Quantcast
Channel: ITmedia TOP STORIES 最新記事一覧
Viewing all 17593 articles
Browse latest View live

POS端末に「チューバッカ」感染、世界11カ国で被害

$
0
0

 米EMC傘下のRSA Securityは、小売店などのPOS端末に感染して決済カードや個人情報を盗み出すマルウェア「ChewBacca」が、米国をはじめ、ロシアやオーストラリアなど世界11カ国で見つかったと伝えた。

rsa001.jpgトロイの木馬になった「ChewBacca」

 ChewBaccaはKaspersky Labが2013年12月に報告していたマルウェア。サーバのログインページに映画「スター・ウォーズ」に登場するチューバッカの画像を使っている。RSAは被害に遭った企業と接触し、これまでに判明した実態を1月30日のブログで報告した。

 それによると、ChewBaccaはキーロガーやメモリスキャンの機能を持ったトロイの木馬で、POSシステムなどクレジットカード処理システムに照準を絞った設計になっている。メモリをスキャンしてカードの磁気情報を探し、クレジットカード番号が見つかると抽出してサーバに記録する。

 通信に匿名化ツールのTorを利用するのが特徴で、IPアドレスや制御用サーバを隠し、トラフィックを暗号化して、ネットワークレベルでの検出を免れている。

 マルウェアの中では比較的単純で、それほど高度な仕組みは持っていないにもかかわらず、2カ月足らずで世界の小売業者数十社から決済カード情報を盗み出していたことが分かったという。

 こうした攻撃に対して小売業者ができることはあまり多くないとRSAは言い、「人員を増やして攻撃を検出・阻止するために最先端の態勢を整えるか、データをキャプチャした時点で暗号化またはトークン化して、ネットワーク上で平文で見えないようにする」などの対策を挙げている。

 POS端末に感染するマルウェアは、米小売り大手Targetからの大量情報流出で脚光を浴びた。Targetの場合、「RAM scrapers」という別のマルウェアが使われたと伝えられている。

Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


フラッシュがあらゆるストレージを変える――IBM幹部が熱く語る理由

$
0
0

 米IBMに勤続31年のベテラン、アンブシュ・ゴヤール氏は2013年1月、システムストレージ&ネットワーキング担当のゼネラルマネジャー(GM)に就任し、同社のストレージ事業の統括責任者となった。

 ゴヤール氏がそれまでに就いた同社の役職は、システムズアンドテクノロジーグループのグローバル開発・製造担当GM、情報管理ソフトウェア担当GM、ワークプレース、ポータル、コラボレーションソフトウェア担当GM、ソフトウェアソリューションおよび戦略担当GM、ソフトウェアサービス担当副社長、コンピュータサイエンス担当ディレクターなどだ。

 IBMのストレージ担当GMとしての最初の1年を終えようとしているゴヤール氏に、IBMのフラッシュストレージや、ストレージ分野における今後の変化の見通し、IBMが近い将来どこに向かうかの展望について聞いた。

——2013年初めにGMに就任したとき、ストレージの事業展開において大きな目標としていたことは何ですか?

部下に権限を与えるマネジメントスタイル 日本オラクル・ウイリアムズ社長

$
0
0

——社長就任後の5カ月間を振り返ってみていかがでしょうか。

 日本経済全体は好転しており、明るい未来があると感じています。そうした中で、日本オラクルが顧客やパートナーに対して“真”の戦略的パートナーになることをテーマに掲げて、この5カ月間、改革を進めてきました。国内の顧客だけでなく、海外進出する顧客に対してもグローバルと連携して積極的に支援していきます。

日本オラクル デレク・エイチ・ウイリアムズ社長日本オラクル デレク・エイチ・ウイリアムズ社長

 私自身はOracleにおいて最もグローバルなエグゼクティブだといえます。入社してから25年間、ヨーロッパ、アジア、日本の事業にも長らくかかわってきました。顧客やパートナーがグローバル展開する中で、適確なアドバイスをするなどの大きな貢献ができるのではないかと考えています。

——まだまだグローバル展開に苦戦する日本企業は少なくありません。どのあたりが課題になっていると見ていますか。

 日本企業がグローバル化を真に実現するためには、ビジョンやミッションがあり、多国籍な経営陣、経験者をさらに増強していく必要があります。しかし今後、日本市場は縮小する傾向にしかないので、多くの企業ではグローバル化せざるを得ないというニーズが高まっており、強いモチベーションが生まれているのも事実です。実際、多国籍な人材の採用も進みつつあります。

——2001年8月から日本オラクルの取締役を務めてきましたが、日本オラクルという会社をどう分析していますか。

 私が日本オラクルにかかわる前から、既にデータベースビジネスはとても強い事業となっていました。それ以外の事業である、アプリケーション、ミドルウェア、ハードウェアについても成長し始めています。

 Oracleのグローバル全体の中でも、日本オラクルは総売り上げでトップ3に入ります。日本での事業のサイズ、日本経済の規模、今後の事業の方向性という観点から考えても、この勢いは変わらないと感じています。

——Internet of Things(IoT)を2014年の事業戦略のキーワードの1つに掲げています。この分野におけるオラクルの強みは何ですか。

 他社との大きな差別化ポイントは、データに関する経験が豊富であることです。構造化データや非構造化データ、モバイルデータ、M2M(Machine to Machine)データなど、データを扱うという意味では、世界で最も経験のある会社だといえるでしょう。

 加えて、ビッグデータ、ビジネスアナリティクスなどの優れた製品を活用することで、顧客の事業拡大に貢献できます。売り上げというトップラインだけでなく、コスト削減に対しても有効なソリューションを提供します。

サッチャー元首相がロールモデル

——会社を率いるリーダーとして、マネジメント面で心掛けていることはありますか。

 部下にできるだけ権限を与えることが私のマネジメントスタイルです。仕事を進める上で必要な権限が与えられていることは重要で、モチベーションが高まり、成長する機会が増えるはずです。

 また、優れたパフォーマンスだけを評価するのではなく、パフォーマンスが低いことも認識し、改善を促すようにしていくのもリーダーとして大切です。その上で、持続的に高いパフォーマンスを発揮している人材を評価します。例えば、初めて出たオリンピックで金メダルを獲るのは難しいことですが、続けて次のオリンピックでも金メダルを獲得するのはさらに難しいことです。

——理想とするリーダーはいますか。

英国の首相だったマーガレット・サッチャーです。かつて英国の経済が悪化しているときに、効果的な政策を打ちました。英国出身の私にとって、彼女がロールモデルとなっています。

——日本オラクルの組織をこう変えていきたいという、具体的な考えはありますか。

 垂直型の組織ではなく、横同士の連携も重視し、すべてのレベルでコミュニケーション、インタラクションが取れるような組織が必要だと考えています。

 そうした中、社長に就任して早い段階で行ったことは、あらゆるレベルのリーダーが定期的に意見交換を行う場である「リーダーズエクスチェンジ」を立ち上げたことと、エグゼクティブの意思決定をできるだけ迅速化することを目的に、主要な事業、ビジネスユニットの代表者がかかわる定例会議「オペレーティングコミティ」の設置です。

Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

「タブレットで動画撮影」が“学び心”を刺激する――大阪大学 岩居教授

$
0
0

 長年にわたり、動画撮影を用いたアクティブラーニング(学生の主体的かつ積極的な参加を取り入れた講義方法)の研究・実践に取り組んできたのが、大阪大学 全学教育推進機構の岩居弘樹教授だ。

 担当するドイツ語講義において、学生に1人1台のiPadを持たせ、主体的な学び合いへと導く独特の指導を展開してきた岩居教授(参考:さよなら“静かな講義室”——iPadで実現した「会話が生まれる講義」とは?)。現在は同大大学院の「多言語演習」という講義でもその指導法を実践し、ITを使ったトルコ語、ベトナム語、インドネシア語の語学習得方法を研究している。

 こうした今までの取り組みを通じて、岩居教授はIT製品を教育機関で有効活用するために必要な条件を見いだしてきた。その中でも、特に重要な3つの秘訣を岩居教授に紹介してもらう。

秘訣1:「教師が教える」のではなく、「学生が学ぶ」目線で考える

ビル・ゲイツ会長の引き際

$
0
0

Microsoftがゲイツ会長の退任を検討

 複数の欧米メディアが1月30日に報じたところによると、米Microsoftが次期CEOにクラウド・法人部門責任者のサトヤ・ナデラ氏を起用する準備を進めているという。同時に共同創業者であるビル・ゲイツ会長の退任も検討されているようだ。早ければ今週にも発表されるとの見方もある。

Microsoftのビル・ゲイツ会長 Microsoftのビル・ゲイツ会長

 ナデラ氏が次期CEOに起用されれば、昨年8月に退任の意向を表明したスティーブ・バルマー現CEOの後任となる。ナデラ氏はインドのハイデラバード出身で、米Sun Microsystemsを経て1992年にMicrosoftへ入社。ビジネスアプリケーションやオンラインサービス、サーバビジネスなどの部門で要職を歴任し、現在は「クラウド&エンタープライズ」グループのエグゼクティブバイスプレジデントを務めている。

 一方、ゲイツ会長については、慈善活動に専念するとして2008年に経営の一線から退いたものの、依然として社内に影響力を持つとされ、次期CEOの権限を抑制することになりかねないとして、大株主の一部が退任を求めているという。後任の会長には、社外取締役で次期CEO選びでも中心的な役割を担っているジョン・トンプソン氏の名前が浮上しているが、当のゲイツ氏は引き続き積極的な役割を果たす意向があるともいわれている。もし、会長職を退いたとしても取締役にとどまるとの見方が有力のようだ。

 ゲイツ氏は1975年にMicrosoftを設立し、同社を世界最大のソフトウェア会社に育て上げた。設立直後に入社したバルマー氏のCEO退任とともに会長を退くことになれば、同社の経営体制は創業後、最も大きな転機を迎えることになる。

 こうした動きの背景には、Microsoftが今、「デバイス&サービスカンパニーへの変革」を掲げて、創業以来のビジネスの大転換を図ろうとしていることがある。

 デバイス&サービスカンパニーへの変革とは、従来のソフトウェアに変えてデバイスとサービスを展開するのではなく、ソフトウェアを軸にしてフロントエンドにデバイス、バックエンドにクラウドサービスが広がっていくイメージだ。そこで最も重要なポイントは、ソフトウェアを軸にデバイスとクラウドサービスが分断することなくシームレスにつながっていることである。

 シームレスにつながることから、多様なデバイスからオンプレミス(自社での運用)ベースのソフトウェア、そしてクラウドサービスをさまざまな形で組み合わせて提供し、それらを用途に応じて選べるようにする。それによって、既存のソフトウェア資産も引き続き利用できるようにする。これが、同社が描くデバイス&サービスカンパニーである。

ゲイツ会長に期待したい引き際の美学

 バルマー氏がCEO退任の意向を表明した際も、その理由としてこのビジネスの大転換を挙げた。デバイス&サービスカンパニーへの変革を打ち出した同氏は、その実践を新たな経営体制に委ねた。その意味では、クラウドサービスを担当してきたナデラ氏が次期CEOに起用されれば、変革がスムーズに進む可能性は高まる。

サトヤ・ナデラ氏サトヤ・ナデラ氏

 ただ、焦点となるのはゲイツ氏の存在だ。ナデラ氏が次期CEOに起用された場合、ゲイツ氏が会長にとどまるほうが統制を図りやすいとの見方もあれば、大株主の一部の声にあるように次期CEOの権限を抑制することになりかねないとの見方もある。

 ゲイツ氏は自らの引き際をどう考えているのだろうか。今回の動きについてMicrosoftは一切コメントしておらず、複数の欧米メディアによる報道も「事情に詳しい複数の関係者」から得た情報を基にしているが、創業者であるゲイツ氏が誰よりもMicrosoftを愛しているが故に、創業以来のビジネスの大転換にさまざまな思いをめぐらせていることは想像に難くない。同氏も相当、自らの立ち位置に頭を悩ませているのではなかろうか。

 ただ、ここからは筆者の個人的見解だが、もしゲイツ氏が会長を退任するのであれば、Microsoftの取締役会の要請を受けてではなく、自ら引き際を示してほしいと強く期待したい。

 「変わらないで生き残るためには変わらなければならない」とは、名作映画「山猫」で有名になった台詞だが、Microsoftがこれから本格的に挑むビジネスの大転換、およびそれを推進する新たな経営体制は、この言葉通りのような気がしてならない。ゲイツ氏には自ら引き際を示して、次代へ向けた同氏ならではのメッセージを発信してもらいたい。

 最後に、本連載も今回で300回目を迎えることができました。あらためて読者の皆さん、関係者の皆さんに感謝いたします。今後も引き続き、よろしくお願いいたします。

Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

“LTEでも安い通話料金”は実現するか――通信キャリアが「VoLTE」を推進する理由

$
0
0

 先週、VoLTEという言葉が世間を賑わせた。新聞各紙でも報じられたので、目にした読者も多いだろう。「VoLTE(ボルテ)」とはVoice over LTEの略であり、LTEの通信網を使って音声通話(電話)を実現するための新たな技術方式の名称である。

 現在の携帯電話/スマートフォンでは音声通話を「回線交換方式」で実現しており、通信キャリアはデータ通信用とは別に、通話専用の設備を用意している。これはデータ通信サービスの利用比率が高くなった第3世代携帯電話 (3G)の時代も変わらず、これまで音声通話用の回線交換設備とデータ通信用のパケット通信設備とが混在して運用されてきた。

 これに対してVoLTEは、音声通話もIPパケット通信の仕組みでやりとりする。“音声通話サービスもデータ通信アプリケーションのひとつ”とすることで、データ通信用の設備だけで電話サービスを提供できるようにするというものだ。

 VoLTEについては、今年1月24日にソフトバンクモバイルが「VoLTE時代の革新的な新定額サービスが登場!」というプレスリリースを発表(参照リンク)。VoLTE時代を見越して今年4月から新たな料金体系を投入するとして注目を浴びた。しかしフタを開けてみると、この発表は“当初はVoLTEではなく、従来方式でのサービス提供”であり、しかも音声やデータ通信の料金体系が“現行の料金体系よりも割高で、お得感が薄い”ものだったため、やや肩すかしな内容だった。とはいえ他社に先駆けて大々的にVoLTEと銘打ったことで、業界内に波紋を投げかけたのは確かだ。

 →4月21日から:ソフトバンク、4Gスマホに「通話定額」を提供——VoLTE導入を見据えた新料金(参考記事)

 →石野純也のMobile Eye:ファブレットを訴求するau春モデル/Tizenと明暗分かれるFirefox OS/ソフトバンクの新料金プランはお得?(参考記事)

 実際、その後に実施されたNTTドコモとKDDIの四半期決算会見では、VoLTEに関する質問が記者から投げかけられた。ドコモ、KDDIともにVoLTEを用いたサービスの投入時期・料金体系への明言は避けたものの、2014年中にはサービスを開始する方向性を示唆した。VoLTE対応サービスの開始には、対応端末とLTEエリアの拡大がセットで必要になるが、早ければ2014年後半にはキャリア各社の「VoLTE競争」が始まりそうである。

NTTdocomoソフトバンクの新料金体系について質問されたNTTドコモの加藤社長は「大変工夫しているな、という印象」と答えた(クリックすると決算会見記事へジャンプ)
KDDI同じく決算会見でソフトバンクの新料金体系について質問されたKDDIの田中孝司社長は「あれ、高いよね」とコメント。「音声通話の定額プランについては、将来的にVoLTEの導入を想定して検討している段階にあるが、すぐに提供できる状況にはない」と話した(クリックすると決算会見記事へジャンプ)
      1|2次のページへ

Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Facebookコメント

'); document.write(''); document.write(''); }; })(); //-->

Twitter、IBMから約900件の特許を買収

$
0
0

 米IBMは1月31日(現地時間)、米Twitterと特許のクロスライセンス契約を結び、TwitterがIBMが保有する900件以上の特許を買い取る契約を昨年12月に結んだことを発表した。買収総額や契約の詳細は公表されていない。

 IBMは世界有数の特許保有企業で、米特許取得件数では21年連続で首位だ(米特許商標局(USPTO)の発表より)。

 Twitterは昨年11月の株式公開の際、米証券取引委員会(SEC)に提出した文書で、IBMから特許侵害の通知を受けたことを明らかにしていた。

 IBMは2006年に米Amazon.comを特許侵害で提訴した際、クロスライセンス契約で和解している。

Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ショッピングカートもインテリジェントに! インテルが購買体験を進化させる

$
0
0
SCビジネスフェア2014

 インテルは、日本ショッピングセンター協会主催の第38回日本ショッピングセンター全国大会「SCビジネスフェア2014」(会期:2014年1月22〜24日/場所:パシフィコ横浜)に初出展し、パートナー企業とともに、最新のコンセプトモデルやソリューションの展示デモを披露。来場者はもちろんのこと、出展しているデベロッパーやテナント、ショッピングセンター関連企業に対し、インテルの技術を活用した店舗・商業施設向けの取り組みをアピールしていた。

 同展示会は、ショッピングセンター業界唯一の商談展示会として位置付けられており、「デベロッパー」「テナント」「関連企業」の3つに区分されたゾーンには、非常に多くの企業が出展していた。


 普段MONOistでお伝えしているような組み込み関連イベントとは全く雰囲気の異なる展示会であるが、インテルは「エンドユーザーへのアプローチは非常に重要だと考えている。来場者や出展企業の声を直接聞き、交流する中でインテルの技術を知ってもらう機会を作るとともに、われわれ自身も新たな提案やアプローチのヒントを吸収したい」と出展意義を説明する。

インテルのブース画像1 日本ショッピングセンター協会主催の第38回日本ショッピングセンター全国大会「SCビジネスフェア2014」に初出展したインテルのブースの外観。ブース構成としては、流通情報システム総合展「リテールテックJAPAN」に近い雰囲気だった

 インテル自身はこれまで通り、プロセッサを中心とする自社製品をセットメーカーなどに売り込むことに変わりはない。しかし、こうした業界に特化した展示会にインテル自らが出展することで、業界向けの取り組みや自動販売機/デジタルサイネージなどに活用されている組み込み技術を、エンドユーザーに直接アピールすることができる。「テレビCMや家電量販店に並ぶPCのイメージが強いインテルだが、あらゆるシーンでインテルの技術が活用されている点をエンドユーザーの皆さんにも知ってもらいたい。そして、マーケットの側からも、インテルの技術を搭載した製品を『使いたい』と要求してもらえるような流れを作り出していきたい」(インテル)という。

 こうした意気込みを示すかのように、インテルのブースでは、消費者に新たなショッピング体験を提案するコンセプトモデルや、店舗・商業施設の業務を効率化させる最新ソリューションを数多く見ることができた。ショッピングセンター業界の商談イベントということで、技術色の強いインテルのブースはかなり異彩を放っていたが、これがかえって来場者の注目を集めていたように感じた。それでは、展示デモの様子を紹介していこう。

可視光通信を活用したインテリジェント・ショッピングカート

 接客支援に関するコンセプトモデルとして、展示デモを行っていたのが、ブイシンクの「インテリジェント・ショッピングカート」だ。これは、スーパーマーケットなどにあるショッピングカートに、インテルのプロセッサを搭載したタブレット端末を組み込んだもので、フロアマップの表示だけでなく、個人や行動に基づいたきめ細やかな情報提供を行ってくれる次世代のショッピングカートである。

ブイシンク画像2 インテルのブース内で、ブイシンクが披露していたのが「インテリジェント・ショッピングカート」だ。LED照明から可視光通信でお買い得商品の情報を発信し、それをショッピングカートに組み込まれたタブレット端末の受信器でキャッチし、ディスプレイ上に情報を表示する

 例えば、店舗内のある地点を通過すると、その近辺にあるお買い得商品をタブレット端末のディスプレイにポップアップ表示したり、現在位置や過去の購入履歴などの属性情報に合わせて、オススメ情報や夕食のおかずの提案などを表示したりできる。

フロアマップが表示されている画像3 フロアマップが表示されている

 展示会場では、LED照明から可視光通信でお買い得商品の情報を発信し、それをショッピングカートに組み込まれたタブレット端末の受信器でキャッチして、ディスプレイ上に情報を表示するデモを実演していた。「ショッピングセンターなどの会員向けサービスとして展開できるのではないかと考えている。NFCに対応するスマートフォンなどをインテリジェント・ショッピングカートにかざしてログインしてもらうことで、現在位置や過去の購買履歴に基づいた新しいショッピング体験を提供できる」(説明員)。

 ちなみに、店舗内での位置特定の方法としては、マーカーとカメラの組み合わせなども考えられるが、これだと障害物や商品陳列の仕方などでマーカーが隠れてしまうこともある。「こうしたことが少ないよう既存の照明設備を活用し、可視光通信を用いることにした」(説明員)という。

可視光通信受信器(左)画像4 LED照明から可視光通信でお買い得商品の情報を発信/(右)画像5 タブレット端末の右側に接続されている受信器で情報をキャッチ ※画像クリックで拡大表示

 過去の購買履歴と店舗内での行動を連動させることで、店舗からの一方的な押し売りではない、顧客満足度の高い商品提案が可能になるという。また、店舗側にとっても会計時に、通常のPOSデータに加え、店舗内のどこを通過したかなどの行動履歴を取得することができるため、「店舗レイアウトや商品陳列の改善などにも役立てられる」(説明員)とアピールしていた。

 なお、導入店舗についてはまだ明らかにされていないが、既に「年内中の国内導入が決定している」(説明員)とのことだ。

      1|2次のページへ

Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


Wi-Fi&電源込みで1万5000円台から! 新型NUCが話題に

$
0
0

「普通のサブ機としては対応OSや電力に要注意。でも、お買い得です」

og_akiba_001.jpgインテル「D34010WYKH」(右)と「DN2820FYKH」(左)

 先週末、インテルから新型のNUCベアボーンが2モデル登場した。Core i3-4010Uを搭載した「D34010WYKH」と“Bay Trail-M”ことCeleron N2820を搭載する「DN2820FYKH」で、価格は順に3万8000円強から4万1000円前後と、1万6000円弱から1万8000円前後となる。

 共通の特徴は、これまでのNUCとは異なり、2.5インチドライブベイを1基備えているところだ。D34010WYKHはSATA 3.0対応ポートとmSATAポートが両方使えるので、内蔵2ドライブ構成のマシンが構築できる。ベイはマザー上部に配置される構造で、ボディサイズは116.6(幅)×112(奥行き)×51.5(高さ)ミリで、従来より厚みが12.5ミリ増している。省スペース性は多少犠牲になるものの、「mSATAよりも容量単価の安いドライブが使えるということで、歓迎している人は多いと思います」(TSUKUMO eX.)。

 DN2820FYKHはmSATAがなく、SATA 2.0対応ポートを1基のみ備えている。CPUは省エネ性能に優れた第3世代Atomと同系統で、同梱の36ワットACアダプタで給電する仕組みだ。mini PCIeスロットにWi-Fi/Bkuetoothアダプタを実装しているのもポイント。ボディサイズはD34010WYKHと同じだ。

 なお、こちらのモデルは発売時点ではインテルの公式サイトにWindows 7以下のOS向けドライバが公開されておらず、「現状ではWindows 8/8.1で使うことを想定して買ってください」(BUY MORE秋葉原本店)といった注意促すショップがいくつかあった。

og_akiba_002.jpgog_akiba_003.jpgog_akiba_004.jpgBUY MORE秋葉原本店のPOP(写真=左)。Core i3-4010Uモデル「D34010WYKH」。開封時にインテルのジングルが鳴るギミックは健在だ(写真=中央)。Celeron N2820モデル「DN2820FYKH」は、従来とは異なる立方体に近い箱に入っている。ジングルが鳴るギミックもない(写真=右)

 特に話題になっているのは下位のDN2820FYKHだ。パソコンハウス東映が「CeleronといってもBay Trail-M世代なのでパフォーマンスもなかなか高く、電源とWi-Fiがついてお値段も相当安い。これは鉄板で売れるでしょう」と語るように、ショップの評判も高い。

 BUY MORE秋葉原本店も「使えるOSの縛りもありますし、現在主流のCore i5搭載NUCのように汎用的なサブ機として売れるというよりは、もうちょっと割り切った使い方で安いマシンを求める人に人気が出るモデルだと思います。電源容量も低いので(SSDよりも消費電力の高い)HDDを使うのは微妙だったりと、色々気をつけるぽんとがありますが、それでもこのお値段。かなりお買い得な面白い製品だと思いますよ」と、従来機との売れ方の違いを見通しつつ、新たな筋のヒット作として期待していた。

og_akiba_005.jpgog_akiba_006.jpgog_akiba_007.jpgパソコンハウス東映でデモ中の「DN2820FYKH」。SATAポートを使わずに外部ストレージから起動していた(写真=左)。マザー上位に固定される2.5インチドライブベイ(写真=中央)。CPU-ZでCeleron N2820が稼働していると確認できる(写真=右)

関連キーワード

アキバ | NUC | Serial ATA | 改造 | NVIDIA | 自作 | Bay Trail


      1|2|3|4次のページへ

Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

「Wii U」は何が問題なのか 任天堂挽回へキャラクタービジネスも選択肢に

$
0
0
REUTERS

 3年連続で営業赤字を計上し、据え置き型ゲーム機「Wii U」の販売不振を認めた任天堂に対し、いかにして「マリオ」シリーズをより大きな利益につなげ、再び業績を上向かせるかをめぐり、おせっかいながら数多くの助言が出されている。

 任天堂は1月30日に発表予定の新しい経営戦略について、まだほとんど明らかにしていない(編集部注:任天堂は専用機プラットフォームを堅持する方針を明らかにした)。だが1つ確かなのは、Wii Uに取って代わる新製品で再挑戦を果たすまでの向こう何年間かで、任天堂は大金を費やす必要があるという点だ。

 新生の任天堂は、「自社開発ソフトをプレイする端末としてハードウェアを開発する」という基本のスタンスは変えずに、皆に愛されているキャラクターをもっと上手く利益につなげることで、今よりも効率のよい企業に生まれ変われるかもしれない。

 多くのアナリストは、任天堂がこれ以上の思い切った改革に踏み切るとは予想していない。他にも、オンラインサブスクリプションサービスを通じてバックカタログを提供したり、同社のゲームをスマートフォンでもプレイできるようにしたりといった選択肢があり、実際、「そうした方向にこそゲームの未来がある」との指摘があるにもかかわらずだ。

 これまでオンラインサービスに消極的だった任天堂は、米Microsoftやソニーに後れを取っている。Microsoftとソニーは今夏、クラウドベースのストリーミングサービスを始動し、各種のプラットフォームで同じゲームをプレイできるようにする予定だ。任天堂は京都に本社を置いている。

 保守的な任天堂にとって、マリオをクラウドに対応させることはかなり大きな一歩となる。

 「オンラインは大きな問題だ。任天堂は優れたオンラインシステムを持っていないことが知られている」と、東京に拠点を置くゲーム専門家のジーン・スノー氏は語る。

 任天堂は、存続にかかわるような差し迫った危機には直面していない。同社が保有する現金と有価証券の総額は2013年9月時点で8500億円(83億ドル)となっており、あと数年は赤字を持ちこたえられる。

 これほどの大金は、初代「Wii」などの過去のヒット商品によって蓄えたものだ。この点について、「活況と低迷を繰り返してきた企業には、再び状況を好転させる力があることを示す証拠だ」と指摘する向きもいる。

 「任天堂は特別だ。任天堂には長い歴史があり、任天堂のことが大好きなゲーマーは多い。今回は最新のハードウェアWii Uで自ら墓穴を掘った。だが、必ずや抜け出せるはずと私は確信している」と、前出のスノー氏は語る。

 任天堂は1月29日、発行済み株式の7.82%、1250億円(122億ドル)を上限に自社株を買い戻す計画を発表した。さらに同社は、2013年10〜12月期の営業利益が前年同期比6.9%減だったと発表している。

      1|2|3次のページへ

copyright (c) 2014 Thomson Reuters. All rights reserved.

(翻訳責任について)
この記事はThomson Reutersとの契約の下でアイティメディアが翻訳したものです。翻訳責任はアイティメディアにあります。記事内容に関するお問い合わせは、アイティメディアまでお願いいたします。

(著作権、商標について)
ロイター・コンテンツは、トムソン・ロイター又はその第三者コンテンツ・プロバイダーの知的財産です。トムソン・ロイターから書面による事前承認を得ることなく、ロイター・コンテンツをコピー、再出版、再配信すること(キャッシング、フレーミング、又はこれらと同等の手段による場合を含む)は明示的に禁止されています。トムソン・ロイターは、コンテンツの誤謬又は遅延、或いはコンテンツに依拠してなされたあらゆる行動に関し一切責任を負いません。 Reuters(ロイター)及びReuters(ロイター)のロゴは、トムソン・ロイター及びその関連会社の商標です。ロイターが提供するその他のメディア・サービスについてお知りになりたい場合は、http://about.reuters.com/media/をご参照ください。

教育のIT化を再考する(1)

$
0
0

 2010年から11年頃にかけて、電子教科書導入の議論が盛り上がった時期がある。「すでに他国では全面移行した国がある、日本はいつまでも紙で大丈夫か」という論調が主であった。

 文科省では、現行制度からの移行期間も含めて2020年頃には導入という絵を描いているが、教科書会社や情報端末メーカーなどでつくる「デジタル教科書教材協議会」(DiTT)では、それでは遅すぎるとして2015年導入を提言してきた。しかし紙ではなぜいけない的な反論もあり、思うように進んでいないのが現状だ。

 紙派の主な意見としては、

  1. 導入コストを誰がどう負担するのか
  2. 紙の使い勝手を超えられるのか
  3. 先生が使えない

 といったところである。筆者は個人的には電子教科書導入推進派だが、特に3番の、先生が教科書のページもめくれないようでは、制度として一斉導入はどうだろうかと二の足を踏む。

 そもそも、教育をIT化することの目的は何か。言うまでもなく、学習の効率化である。だが効率化する先には、どういう人材を育成すべきかというビジョンがあるはずだ。筆者が思うにそれは、“自分で考えて答えが見つけられる人間になって欲しい”という事であろう。端的に言うならば、同じ水準のことができる人材を大量に輩出するよりも、今の社会からは創造的な人材が求められている。創造的と言うことはオリジナルという事なので、画一的とは逆の方向を向いていると言うことである。

 だがそれは、教科書を電子化するぐらいで実現できるのだろうか。現在の電子教科書の方向性は、紙派への配慮もあって、限りなく紙に近いものが求められすぎている。

 学習するべきものを、理解して頭に入れるということは、教科書を丸ごと暗記する事とは違う。教科書は方向性を示すだけで、個々の授業は先生の裁量に大きく依存しているのが実情だ。

IT化はまずノートから

 先日、中高大まで一貫の学校の先生に取材している時に、興味深い話を聴いた。学生のノートは、高校までは紙だが、大学に入ると皆PCになるという。これは大学でレポートの提出や履修登録、あるいは授業の資料を手元にダウンロードして見るなどで必要になるので、入学までにノートPCを購入するよう保護者に求めているという。

 高校まで紙のノートで、大学からいきなりPCで授業のノートが取れるものだろうか。当然これには人によってばらつきがあり、長い子だとPCでノートが取れるようになるまで、1年程度かかるという。それだったら、授業ノートを先にIT化するべきではないのだろうか。

 現在、ノートの取り方を指南する本は多い。また学校でもノートの取り方はたびたび指導しているという。自分で理解できるノートとは、単に先生が板書したものを丸写しするのではなく、学習内容の構造を理解し、頭の中を整理するために様々な要素を入れる。例えば色で囲ってみたり、大きく書いてみたり、線を引いて関連付けをしてみたりといった具合だ。

 だがそういうものならば、紙にフリーハンドで一生懸命書くより、気の利いたアプリを使った方が全然効率がいいのではないか。高校生ぐらいからなら、年齢的にも難しくはないだろう。最終目的が、綺麗なノートが手書きできることよりも、理解できて頭に入ることなのであれば、多様な方法があっていいはずである。

 例えば昔から思考をまとめるのによく使われているMind Mapは、学習にも効率がいい。さらに項目を入れ替えたりまとめなおしたりする作業も簡単で、関連性の発見にもつながりやすい。さらには問題点や疑問点も見つかりやすい。脳内で構築されている論理回路に近いものができるように思える。

 あるいはアウトラインプロセッサのようなものを活用したり、手書きがいいという人ならNote AnytimeやOne Noteなどの優れたアプリもある。勉強法が多種多様あるのだとすれば、当然理解の方法も多種多様あってしかるべきだろう。また、いいノートができたらクラスでシェアしたり、みんなで追記していったりといった、コラボ学習も可能になるのではないだろうか。

 こういう提案をすると、大抵は手書き擁護派から袋だたきに遭う。それは、手を動かして書いた方が頭に入るとか、手書きの方が早いという根拠であろう。だがこれまで、思考支援系のアプリと手書きの学習効率が比較されたことはないはずだ。

 学校教育では、「みんな同じ」でなければならないというかたくなな思想がある。もちろん学習のチャンスは公平にあるべきだが、その中でもノートは各子供の裁量に任せられている部分である。タブレットの導入に踏み切る学校も増えてきているが、教材がなかなか付いて来ない現状もある。それならまず、ノートをIT化するとどうなるか、試す価値はあるように思う。

小寺信良

映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作は、ITmedia Mobileでの連載「ケータイの力学」と、「もっとグッドタイムス」掲載のインタビュー記事を再構成して加筆・修正を行ない、注釈・資料を追加した「子供がケータイを持ってはいけないか?」(ポット出版)(amazon.co.jpで購入)。


Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

レタスを作る半導体工場!? 植物工場は製造業を救う切り札になるのか

$
0
0
syokubutu

 隔絶された空間に4mにも及ぶ高い棚が整然と並ぶ。部屋の中は蛍光灯で溢れんばかりの光。そこで頭から足先まで白衣に身を包んだ作業員がレタスの状況を確認する。部屋は埃の数が抑えられたクリーンルーム——。富士通セミコンダクター会津若松工場に設置された植物工場の様子だ。

 植物工場とは、施設内でLED照明や空調、二酸化炭素、水分や肥料などを人工的に制御し、季節や外部環境に影響されずに農作物を生産できるシステムのこと。安定した環境を作り出すため、1年中安定した生産が可能な他、農地以外でも設置可能な点や、無農薬生産が可能である点など、多くの利点がある。一方で、初期投資、運営投資ともに大きくなる他、栽培ノウハウが今は限定的であるなどの課題があるといわれている(関連記事:野菜の工場生産本格稼働へ——成否のカギは出口戦略と製造マネジメント)。



野菜市場に参入する富士通の決意

 富士通ではもともと農業や畜産業に向けのクラウド型の基幹サービス「Akisai」(秋彩)など農業分野への取り組みを強化しており、これらの実践用に静岡県沼津市に自社農場を構えている。ただ2013年7月に発表した富士通セミコンダクター会津若松工場の植物工場が画期的だったのは、富士通自らが野菜販売に乗り出すということだ(関連記事:富士通が野菜を作る!? ——半導体のクリーンルームを転用した植物工場を設立)。実際に2014年2月中旬にレタスの出荷を開始する。

レタス富士通が生産する低カリウムレタス(クリックで拡大)

 富士通が生産に乗り出したのは機能性野菜である低カリウムレタスだ。低カリウムレタスは、カリウムの含有量が少なく、カリウムの摂取制限のある腎臓病患者でも食べられる。植物においてカリウムは、窒素やリンとともに必須元素であり、含有量を抑えるには、徹底した生産管理が必要になる。そこで、半導体生産のクリーンルームを転用した完全閉鎖型の植物工場が力を発揮する。

 安倍晋三内閣による成長戦略の一環として農業強化が叫ばれ、新たな農業法人の参入などは確かに増えているが、植物工場などを含む農業ベンチャーにとって大きな障壁になっているのが販売先の開拓などを含む出口戦略だ(関連記事:野菜の工場生産本格稼働へ——成否のカギは出口戦略と製造マネジメント)。実際に最先端の技術により農業の各種工程が効率化できることは見えているが、現在の農作物の流通過程において新たに参入することが難しいために断念するケースなども多い。

低カリウムレタスの可能性

野牧氏富士通ホーム&オフィスサービス 先端農業事業部 企画部 部長の野牧宏治氏

 富士通ではまず、機能性野菜で量産が難しい低カリウムレタスに絞り込むことで腎臓病患者に向けたターゲットを明確化し、病院や医療機関などを販売先とすることにしたという。ターゲットとなるのは国内で30万人いるといわれる透析患者と1330万人いるといわれる慢性腎臓病患者だ。

 低カリウムレタスは秋田県立大学が栽培特許を持っているが量産に成功したのは会津富士加工のみ。富士通ではこの会津富士加工の技術協力を得て、低カリウムレタスの量産に乗り出した。2014年2月中旬から毎日1800株の出荷を計画。最大で毎日3500株の出荷を計画しているという。

 工場の運営を担当する富士通ホーム&オフィスサービス 先端農業事業部 企画部 部長の野牧宏治氏は「今までできなくて植物工場だからできることを考えた。低カリウム野菜はデータ解析型の管理を行わなければ生産が難しい。また社会的意義があることに加え、新市場を創出できるという利点がある」と話している。

 既に販路開拓を開始しており、会津若松市の竹田綜合病院をはじめとしていくつかは納品が決まっているという。価格については会津富士加工が2株(約90グラム)480円で販売しているが「現在検討中だが量産が本格化すればこの価格を下回れる」と野牧氏は話している。2014年度(2014年4月〜2015年3月)は売上高1.5憶円、3年目の2016年度(2016年4月〜2017年3月)には売上高4.0億円を目指すという。

植物工場植物工場の様子(クリックで拡大)
      1|2|3|4次のページへ

Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

見えてきたテレビの高画質化、そして次世代BDの姿――「2014 International CES」(後編)

$
0
0
ts_02enmaces08.jpg会場の様子。写真は衛星放送のキャラクターらしい

 前編では、米国における4Kテレビ事情から大型テレビのフォームファクターの変化を中心に取り上げた。湾曲した画面やシネスコサイズ(ほぼ2:1のアスペクト比)の展示機は、いずれも4Kの高精細画面を使ってさらに臨場感を得るためのアイデアであり、一部は国内メーカーのブースにも展示されていた。後編では、気になる有機ELテレビや国内メーカーの動向、そして4K収録の“次世代Blu-ray Dsic”などについて、AV評論家・麻倉怜士氏に詳細を聞いていこう。

——今年は有機ELテレビの発表が少なかった気がします。実際はどうだったのでしょう。

麻倉氏: そうですね。昨年まではかなり有機ELの勢いを感じましたが、今年は積極派と消極派に二分された格好です。このうち積極派は、パナソニックとLGエレクトロニクス。消極派はサムスンで、ブース内にいくつかの展示機はありましたが、昨年秋の「IFA2013」に展示したものと同じでした。ソニーは展示をしていません。

 理由を聞きましたが、サムスンはどうやらRGBの蒸着方式が難しく、製造技術の確立に時間がかかっているようです。ソニーに関しては、昨年末にパナソニックとの共同開発が終了するというニュースもありましたが、もともとあの提携はソニーが推進している低分子有機ELを印刷方式で製造するメドが立たなければ契約を更新しないと明記されていたのです。つまり、ソニーの技術革新はまだ達成できていないのだと思います。

——一方のパナソニックはいかがでしたか?

麻倉氏: パナソニックブースは面白かったです。印刷方式によるRGBの塗り分けに挑戦して、ほぼ製品化に近い状態に仕上げて来ました。昨年のIFAリポートでマザーガラス方式を取り入れたことに触れましたが、今年のチャレンジは有機ELパネルで凹型と凸型を作ったことです。

ts_02enmaces01.jpgts_02enmaces02.jpgパナソニックとLGエレのブース

麻倉氏: 担当の技術者の方に話を聞きましたが、「どこも湾曲ばかりなので、違うことをやってみた」と話していました。元気がありますね。考えてみると、これはスゴイことです。凹型のパネルは中央の画素が引き締まるという難しさがありますが、凸型は広がるのでさらに難しい。発光の安定性など、いくつもハードルがあったそうです。

 そのアール(R、曲率半径)もすごいです。LGやサムスンの展示機は4000ミリから5000ミリと緩やかなのですが、パナソニックの凸は2000ミリ(数字が小さい方がカーブがきつい)ですから、かなり曲がっているのです。また、研究室では1000ミリのパネルもできているそうです。技術者の方は、「大阪梅田駅に直径2メートルの円柱があるのですが、そこに有機ELパネルを“巻く”のが夢です」と話していました。もちろん私は「もっと大きい凹凸のウォールを作ってください」と注文しておきました。

——パナソニックの展示がデジタルサイネージ中心だったこともあって、今回はどうしても韓国メーカーに注目が集まりがちでした

麻倉氏: それは韓国メーカーがディスプレイデバイスを作っているからです。さまざまな展示機で目をひくため、どうしても目立ちますが、一方で中身に関してはいまひとつ注力していません。一方で日本のメーカーは中身重視なのです。

直下型バックライトの復活

麻倉氏: 中身といえば、もう1つ明らかなトレンドがあります。それは、液晶テレビの新製品や試作機に、直下型LEDバックライトとローカルディミングが戻ってきたことです。

 振り返ると、リーマンショック以前は各社とも強気でコストのかかる直下型バックライトに注力していました。当時はプラズマもありましたから、コントラストの面で負けないようにがんばっていたのです。しかし近年は、エッジ式LEDバックライトが主流になり、4K化で精細度は高くなったのにコントラストは悪い、という状況です。ところが、今年のCESでは直下型バックライトに回帰したケースが増えました。東芝、シャープ、ソニー、パナソニック、つまりテレビを展示した国内メーカーすべてです。

——なぜでしょう

      1|2|3次のページへ

Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

機械学習時代がやってくる――いいソフトウェアとマルウェアの違いは?

$
0
0

 2014年1月17日にベルサール新宿グランドで開催された「エンジニアサポートCROSS 2014」(以下、CROSS)に参加しましたので、今回はその様子をレポートしたいと思います。

 CROSSは、主にWeb技術に関わる人たちが集まり、さまざまな技術について横断的に語り合うイベントです。2014年で3回目の開催となり、昨年度は計925名の参加があり、今年も同様に約1000名近くの参加があったようです。

 CROSSのテーマは名称通り「技術」「興味」「年代」「個人・企業」など、さまざまな軸を超えて「CROSS(交流)」することに重点が置かれています。イベントの至るところにCROSSを促すさまざまな仕掛けを見て取ることができました。これについては後述したいと思います。

機械学習CROSS

 連載の第2回「Chromeの守り方、マルウェアの見つけ方」でもご報告したように、FFRIでは機械学習のセキュリティ応用に関する研究に取り組んでいます。この活動の中から株式会社プリファードインフラストラクチャー(以下、PFI)の比戸氏よりお声掛けいただき、今回筆者も「機械学習CROSS」という2時間のパネルディスカッションに参加致しました。

 パネルディスカッションは、モデレーターにPFIの比戸氏、他のパネリストの方もヤフー株式会社 Yahoo! JAPAN研究所の田島氏、楽天株式会社 楽天技術研究所の平手氏、株式会社ALBERTの小宮氏、独立行政法人産業技術総合研究所の油井氏、株式会社Gunosyの福島氏というそうそうたる面々によって行われました。

 前半後半1時間ずつ計2時間の構成となっており、前半は主に機械学習の紹介、自己紹介および各社での利用事例についての発表が行われました。前半は、主に資料ベースでの発表となったため、興味のある方は、スライドシェア上に公開されている発表資料を確認ください。

 利用事例については、イベントの性質上、Web業界での利用例がやや多めではありましたが、各社でのさまざまな利用例を直接当事者から聞くことができ、興味深い点が多かったです。

 前半の1時間終了後、昼食を挟んで午後の部が開始となりました。こちらは、前半とは打って変わってモデレーターである比戸氏からの機械学習に関するさまざまな質問について各パネリストが回答するという王道のスタイルで進行しました。こちらも質問項目自体は、スライドシェア上に資料として公開されていますので詳細についてはこちらをご確認ください。

 このパートは、他のパネリストの方の考えや経験に基づいた話を聞くことができ、個人的には今回のイベントの中で最も有意義な時間となりました。ここでは、幾つか印象に残った質問とその回答を紹介したいと思います。なお、檀上で話を聞きながら、あるいは話しながら手元で取ったメモに基づいているため、多少不正確な点があることをご了承ください。

  • 機械学習はどこから導入が進むか?
  1. 比較的間違いが許容されるところ
  2. ビジネスとして儲かるところ
  3. (機械学習的に)タスクを明確化しやすい(切り出しやすい)ところ
  • 機械学習は精度で人間に勝てるのか?
    1. チェスや将棋のように「勝ち」の基準が明確な勝負では機械学習の方が強い・強くなり得る
    2. 逆にルールや評価が曖昧な場合は人間の方が強いのではないか
    3. 質の良い教師データを集められる場合は機械学習の方が強い/強くなり得る(上記のチェスや将棋が良い例)
    4. 論文など、アカデミックな領域ではより高度な手法が研究、提案されているが現実に利用する場合、シンプルな手法・モデルの方がうまく行くケースが多い。手法やアプローチが人間の自然な感覚に合っているかどうか、は重要ではないか。
  • 役立つケースとそうでないケースの違いは何か?
    1. 機械学習というブラックボックスの技術があるわけではなく、データを投入し、モデルを見直し、改善していくというPDCAサイクルを回していくことが重要

     個人的な意見では、現時点で取り組んでいるマルウェア検知(分類)は、機械よりも人間の方が高い精度でマルウェアを分類、区別できると考えています。というのも、この応用について言えば「あるプログラムがマルウェアであるか否か」は、人間が明確に決定しなければ教師データを用意することもできないためです。

     現時点ではアンチウイルス製品によってマルウェアと判定された場合に、当該プログラムをマルウェアと考えるのが共通認識かと思いますが、実際にはアンチウイルス製品は世界で40製品以上存在し、各製品で検出率、検出結果は異なります。また、時間経過の中で新たにマルウェアとして認定される場合もあれば、逆に誤検出であったため非マルウェア扱いになる場合もあります。そのため「誰がマルウェアと言ったら(どういった基準を満たせば)マルウェアなのか」は本質的に難しい問題です。

     一方、経験を積んだマルウェア解析者が、十分な時間をかけて解析を行った場合、検体が端末固有に暗号鍵で暗号化されているなどの特殊な状況を除けば、それがマルウェアか否かの判断は大概付けられると考えています。

     仮に将来的にコンピューター(機械学習)が人間に勝り、マルウェア検知について人間が不要になった場合、「マルウェア解析者=セキュリティ知識、技術を備えた機械学習技術者」になるのではと考えています。これに関連するセッション後半のやり取りはtogetterでまとめられています。

          1|2次のページへ

    Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

    コメント

    ツイート

    メルマガ購読キャンペーン

    TechTargetジャパン

    「SmartNews」、300万ダウンロード突破 メディア提携推進、「1社でも多くよい関係を」

    $
    0
    0

     スマートニュースは2月3日、同社の開発するニュース閲覧アプリ「SmartNews」がリリースから約14カ月で300万ダウンロードを達成したと発表した。読売新聞東京本社からニュース提供を受け「ソチ五輪」特設チャンネルを設置するなど、メディアとの提携を積極的に進めていく。

    photoダウンロード数の推移

     Twitterのパブリックタイムラインから話題のニュースを収集し、カテゴリごとに表示する閲覧アプリで、2012年12月に公開。スマートフォンからの閲覧に特化した使いやすさが売りで、検索や広告だけでなくブログや口コミでユーザーを拡大。ダウンロードしたデバイスはiOSがAndroidの約2倍という。1月の月間アクティブユーザー率(MAU)は75%、毎日利用しているユーザー(DAU)は約4割と、利用も活発だ。

    photo「ソチ五輪」特設チャンネル

     課題に掲げるのはメディアとの連携強化。新たに読売新聞東京本社から記事提供を受け、ソチ五輪関連情報を配信する特設チャンネルを五輪期間中の28日まで約1カ月間設ける。

     現時点の提携・協業メディアは、報道機関やテクノロジーメディア、ビジネス誌、女性誌など55社102媒体。。関連記事など配信元サイトの他ページに遷移する率は約20%といい、66媒体には月間100万PV以上誘導しているという。メディアごとの記事一覧ページ「チャンネルプラス」の開設数は「msn産経」「東洋経済オンライン」 「ギズモード」など21社32チャンネルとなり、総登録者(重複含む)は400万人を超えているという。

     昨年10月に事業の現況を公開後、メディア運営企業からの問い合わせの件数が増えたため、12月には「媒体運営者の皆様へ」としてメディア向けのドキュメンテーションを公開した。藤村厚夫執行役員は「スマートフォンユーザーの流入元として一番多いのはSmartNews、という声もかなり聞かれるようになってきた。初期に比べ、記事提供やデータクロールを断られるケースは減っており、どう提携できるかを模索する姿勢の媒体社が増えている。まだまだこれからが勝負、1社でも多くよい関係を築きたい」と話す。

     現在は記事提供に対して対価を支払う形ではなく「金銭面以外でメリットを感じてもらっている」(藤村執行役員)状態。メディアサイトへの送客や、アプリ内で記事ページを開いた際の広告の表示に加え、読み込みが速くオフライン向きの独自閲覧モード「Smartモード」にも媒体社の売り上げとなる広告を表示できるようにする方針だ。

    photo浜本階生社長

     鈴木健取締役は、アプリ自体の収益化については「まだ急いでいない」という。「ニュースの書き手と読み手、両方にメリットを感じてもらい、よりよいマッチングの機会を作りたい。注目されることの多いインタフェースだけでなく、アルゴリズムも日々進化している」という。浜本階生社長は「Twitter解析に基づく人気記事の抽出など、言語問わず使える技術を中心に海外への展開なども検討していきたい」と今後の技術面でのノウハウ活用にも意欲を見せている。

    Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


    足りない電気をお隣さんから調達、マンションの光熱費が30%減る

    $
    0
    0

     静岡ガスはマンション内で余剰電力をやりとりする仕組み「T-グリッドシステム」を実用化する。東レ建設が2017年度に完成を予定するスマートタウンに組み込む。家庭用燃料電池システム「エネファーム」をマンションの全戸に組み込んで使う(図1)。分譲マンションとして同システムを導入する初の事例である。「今後は他の建設事業者や不動産開発事業者はもちろん、他のガス会社への技術供与も検討している」(静岡ガス)。

     「スマートタウンには主にマンション共有部で利用する太陽光発電システムと蓄電池を導入する」(東レ建設)。この他、HEMSとMEMSを導入し、T-グリッドシステムと併せて、電力と融通電力量、ガスの見える化や最適制御を試みる。

    yh20140204Shizuoka_mansion_500px.jpg図1 各戸のエネファームが電力を融通し合う 出典:静岡ガス

    光熱費が30%減る

     T-グリッドシステムの効果は大きい。静岡ガスによれば、エネファームを導入していないマンションと比較して、一次エネルギー削減率は全棟で約25%となる。これによって、二酸化炭素(CO2)の排出量を全棟で約30%削減できる。

     エネファームが電力を作り出すため、電力会社から購入する電力が約60%減る。ガスの消費量は増えるものの、エネルギーコストは約30%低減する。これが最終的な効果だ。

    他の家庭のエネファームを動かす

     電力と湯を同時に作り出すことができるエネファームのようなコジェネレーションシステムのメリットはこうだ。条件次第では、都市ガスなどが持っているエネルギーを最大限に引き出すことができる。エネファームの効果が最も高くなるのは湯と電力を大量に使う家庭だ。

     逆にいえば、湯は使うが電力を使わない家庭やその逆の場合は効果を引き出しにくい。「マンションにエネファームを設置する場合に難しい理由がこれだ。そもそもどの部屋にどのような住人が生活するのかは分からないため、電力などの消費パターンを予測できず、エネファームの使い方が難しい」(静岡ガス)。

    yh20140204Shizuoka_exchange_590px.jpg図2 低出力のエネファームが消費電力の大きな家庭へ電力を供給する 出典:静岡ガス

     T-グリッドシステムを利用した場合、どのように電力を融通できるのか、大まかな概念を示したのが図2だ。2人暮らしで消費電力の小さなBさん宅(図右)が、5人家族で消費電力の大きなAさん宅に電力を供給している。

     図3では、さらに時間帯による消費電力の増減と合わせて効果を示した。縦軸はエネファームの出力、横軸が時間だ。エネファームの最大出力(0.75kW)に相当する位置に点線(横線)を描いた。Aさん宅では7時以降と17時以降の炊事の時間に大量に電力を消費する。従来は、電力会社から電力を購入する必要があった時間帯だ。T-グリッドシステムを利用すると、これらの時間帯にあまり動作していないBさん宅のエネファームを使ってAさん宅に電力を融通できる。Aさん宅は電力会社から購入するよりも安く電気を利用できる。Bさん宅でも光熱費から電力供給分が差し引かれるため、メリットがある。

    yh20140204Shizuoka_graph_590px.jpg図3 消費電力のピーク値が異なる2つの家庭が電力を融通し合う 出典:静岡ガス
          1|2次のページへ

    Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

    もはや手が付けられない 金融機関を狙って進化するマルウェア

    $
    0
    0

     金融機関を狙ったマルウェア(フィナンシャルマルウェア)が進化し、次々と新たな能力を備えるようになってきた。その多くは高度な通信テクニックを駆使しており、攻撃を検知するのは不可能に近い。こうした状況の中、金融機関と消費者を狙うマルウェアの実態について述べたリポートが公表された。

    「これがわれわれの最新リサーチだ!!」――MSR マイクロソフトリサーチ研究事例

    $
    0
    0
    日本マイクロソフト

     日本マイクロソフトは2014年1月27日、「2014 Technology Update」と題して記者説明会を開催。“デバイス&サービス カンパニー”として変革を推し進めるMicrosoftの研究・開発の最新動向を発表した。その中で、アジア圏の基礎研究部門である「Microsoft Research Asia」の研究・開発事例が幾つか紹介された。本稿ではその模様を中心にお届けする。

     「Microsoft Research(MSR)」は1992年、米ワシントン州レドモンドに設立されたMicrosoftの基礎研究部門である。世界7カ所に拠点があり、約1100人の博士号を持つ研究者が在籍し、最先端技術の研究・開発を行っているという。その中で、アジア圏をカバーするMicrosoft Research Asiaは、1998年11月に中国・北京に設立され、NUI(Natural User Interface)や次世代マルチメディア、データ指向コンピューティングなどの研究を進めているそうだ。


    加治佐俊一氏画像1 マイクロソフト ディべロップメント 代表取締役 社長 兼 日本マイクロソフト 業務執行役員 最高技術責任者 加治佐俊一氏

     マイクロソフト ディべロップメント 代表取締役 社長 兼 日本マイクロソフト 業務執行役員 最高技術責任者である加治佐俊一氏によると、「数年前まで、Microsoft Research Asiaに在籍する日本人研究者は1人だったが、現在では6人の日本人研究者が活躍し、最先端の研究・開発に携わっている」という。説明会では、Microsoft Research Asiaが中心となり研究・開発を進めている「Urban Computing」「3D FACE」「3Dプリントにおける最適化」「BodyAvater」の4つが紹介された。

    Microsoft Researchについて画像2 Microsoft Researchについて

    都市の“今”を教えてくれる——渋滞回避や大気汚染の把握・予測にも

     Urban Computingとは、都市に存在する人、乗り物、建物、道路、そして、無数に点在するセンサーやデバイスといった全てのものを、都市の変動(ダイナミクス)を計測するための1つのコンポーネントと見立て、収集されるさまざまなデータをコンピュータで分析・解析することで、地域の課題解決に役立てようというコンセプトだ。

    Urban Computingのフレームワーク画像3 Urban Computingのフレームワーク

     「ご存じの通り、Microsoft Research Asiaのある北京は、深刻な交通渋滞やPM2.5(微小粒子状物質)に代表される大気汚染が課題となっており、研究者にとっては非常にチャレンジのしがいがある環境といえる。Urban Computingはこうした環境から生まれたコンセプトだ」(加治佐氏)。スマートフォンやタクシーなどに搭載されている各種センサーからの情報、気象情報、そして、生活する人々が使用するSNSなどの情報を組み合わせ、解析することで、都市活動や環境変化の状況をつぶさに捉えることができ、さまざまな予測にも活用できるという。

     この技術を応用すると、交通渋滞の影響を最小限に抑えたナビゲーション機能の提供も行える。例えば、出発地点(現在位置)ですぐにタクシーを拾うのではなく、ある地点まで歩いて移動してからタクシーを拾う方が渋滞の影響を受けないだとか、降りる際も、目的地の少し手前の交差点で降りて歩く方が効率的に移動できるだとか、今現在の交通状況を考慮したインテリジェントなナビゲーション機能を実現できるという。さらに、深刻な大気汚染に対しても「例えば、ジョギングする際、大気が汚れている地域を回避したコースを提案してくれる機能なども提供可能だ」(加治佐氏)。

    UrbanAir画像4 Microsoft Research Asiaが公開しているWebサービス「UrbanAir」。センサーを設置してある36箇所の地点にPM2.5の数値が表示されている。100以上の値は危険だというが……

     説明会では、Microsoft Research Asiaが公開している「UrbanAir」を紹介。UrbanAirは、北京に設置されている36個のセンサー情報を活用し、大気中のPM2.5の値などを地図上に表示してくれるWebサービスだ。センサーが設置されている場所の数値を基に、センサーのない範囲の汚染状況を予測して表示する機能なども備えている。「いろいろな制約もあり36個しかセンサーが設置されていない。このため、センサーで直接カバーし切れていない箇所の状況を精度良く予測する技術が非常に重要だと考えている」(加治佐氏)。

    センサーのない箇所の状況を予測画像5 センサーのない箇所の状況を予測
          1|2|3次のページへ

    Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

    携帯電話とPHSでMNPが可能に――2014年10月1日から

    $
    0
    0

     総務省と通信事業者は2月4日、携帯電話とPHS間の番号ポータビリティ(MNP)を2014年10月1日に開始することを発表した。

     これまで、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・アクセスの携帯電話では、電話番号を変えずに他社へ乗り換えることができたが、10月1日からは、ウィルコムのPHSと携帯電話間でも番号を変えずに乗り換えられるようになる。

     あわせて、携帯電話とPHS間でSMSも利用可能になる予定だ。

     携帯電話とPHS間でMNPをすると、電話番号だけでは携帯電話とPHSを区別できなくなるが、PHSに電話をかけると、通常の呼び出し音の前に「ププープー」という音が約2秒間鳴る「ウィルコム呼び出し音」が、ウィルコムから提供されている。

    Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

    「HMCが今後のトレンドに」――マイクロンの技術者が語る

    $
    0
    0

     Micron Technologyでチーフテクノロジストを務めるThomas Pawlowski氏は、米国カリフォルニア州サンタクララで開催された電子機器設計技術の学会兼展示会「DesignCon 2014」(2014年1月28〜31日)において基調講演に登壇した。この中で同氏は、「今後、新しいメモリインタフェースやメモリチップ、プロセッサなどが登場する予定だ。これによって、エンジニアは開発する製品の性能や機能の向上を図ることができるだろう。こうした変化に抗うことなく、受け入れていくことが求められる」と語った。

     同氏は、現在Micronが期待をかけて開発に取り組んでいる3次元実装のメモリ「Hybrid Memory Cube(HMC)」についても言及した。HMCは、DRAMチップとロジックチップをTSV(シリコン貫通ビア)で1パッケージに積層している。最大で160Gバイト/秒のメモリ帯域幅が得られる(関連記事:次世代メモリ「HMC」の仕様バージョン1を公開)。

    mm140204_memory1.jpg「DesignCon 2014」の基調講演に登壇したMicron TechnologyのThomas Pawlowski氏

     Pawlowski氏は、「HMCのインタフェースに必要なのは、シンプルな命令セットを使うSerDes(シリアライザ/デシリアライザ)インタフェースだけだ。細かな対応はすべて不要である。このように高度に最適化されたされたインタフェースがDRAMとともに搭載されることが、今後のトレンドになるだろう。従来のメモリインタフェースを置き換えるはずだ」と述べている。

     Pawlowski氏は、基調講演後のインタビューで、「JEDEC*)は、DDR4の後に続く新たな取り組みを何も進めていない。ただし、低消費電力のDDRの他、『Wide I/O』については引き続き開発しているようだ」と語った。

    *)JEDEC:米国の電子部品関連標準化団体「JEDEC Solid State Technology Association」

          1|2次のページへ

    Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

    Viewing all 17593 articles
    Browse latest View live