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11.6型の新“2in1”、11ac/LTE拡充、ペン対応アプリも進化――ソニー「VAIO」春モデル

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2014年VAIO春モデルの主な特徴

■ラインアップ

  • マルチフリップ方式ヒンジにより3モードで使える11.6型の新2in1「VAIO Fit 11A
  • 第4世代Core搭載で極薄の11.6型タブレット「VAIO Tap 11
  • スライドボディを採用した13.3型の2in1「VAIO Duo 13
  • 軽量クラムシェルボディの11.6型/13.3型モバイルノート「VAIO Pro 11/13
  • エントリークラスの15.5型ノート「VAIO Fit 15E」
  • 画面を寝かせてタッチできる21.5型テーブルトップ「VAIO Tap 21
  • 13.3型/14型/15.5型の2in1「VAIO Fit 13A/14A/15A」(継続販売)
  • 購入時に仕様を選択できるVAIOオーナーメード(VOM)モデルも用意
  • VOMモデル限定の14型ノート「VAIO Fit 14E」

■ハードウェア

■ソフトウェア

  • 店頭モデルは64ビット版Windows 8.1、Office Home and Business 2013、Photoshop Elements 12を搭載
  • VAIO Fit 11ATap 11Duo 13Tap 21にVAIO Inspiration Suiteを採用

■その他

  • 直販VOMモデルのVAIO Fit 11Aはブラック/ピンクのカラーを用意
  • ソニーのレンズスタイルカメラがVAIOに対応

2014 CESで先出しされた11型クラスの新しい2in1が登場

tm_1401vaio_01.jpg新モデル「VAIO Fit 11A」の利用イメージ

 ソニーは1月28日、「VAIO」の2014年春モデルを発表した。2014年秋冬モデルと同様、店頭販売向けの標準仕様モデルと、購入時に仕様が選択できるソニーストア直販のVAIOオーナーメード(VOM)モデルを用意し、2014年2月22日より順次発売する。

 新ラインアップの目玉は、独自の変形機構により3つのモードで利用できる11.6型“2in1”デバイス「VAIO Fit 11A」だ。

 そのほか、第4世代Core搭載で薄型の11.6型Windowsタブレット「VAIO Tap 11」、スライドボディの13.3型2in1デバイス「VAIO Duo 13」、軽量モバイルノートPCの11.6型モデル「VAIO Pro 11」と13.3型モデル「VAIO Pro 13」、エントリーノートPCの15.5型モデル「VAIO Fit 15E」と14型モデル「VAIO Fit 14E」、画面を寝かせてタッチできる21.5型テーブルトップPC「VAIO Tap 21」は、ソフトウェアの強化が中心のマイナーチェンジとなる。

 なお、VAIO Fit 11Aと同じ変形機構を備えた13.3型/14型/15.5型2in1デバイス「VAIO Fit 13A/14A/15A」は2013年秋冬モデルを継続販売する。

Bay Trail-M搭載の2in1エントリーモデル「VAIO Fit 11A」

tm_1401vaio_02.jpg新たに加わったVAIO Fit Aの11.6型モデル「VAIO Fit 11A」

 「VAIO Fit 11A」は、天板が2つに折れ曲がって11.6型フル液晶ディスプレイが反転する独自の「マルチフリップ」方式ヒンジを採用した2in1デバイスだ。同じヒンジを用いた13.3型/14型/15.5型2in1モデル「VAIO Fit 13A/14A/15A」の下位に位置するVAIOの新しいエントリーモバイルノートとなる。

 上位機同様、通常の「キーボードモード」ではクラムシェルノートPCと遜色ない使い勝手のキーボード入力環境を提供しつつ、映像の表示ではディスプレイを反転させてスタンド付きタブレットのように使う「ビューモード」へ、タッチ操作では反転したディスプレイを閉じた「タブレットモード」へと、利用シーンに応じて最適な3つのモードに変形できるのが特徴だ。筆圧対応のデジタイザスタイラス(別売)にも対応する。

 VAIO Fit 13A/14A/15AはいずれもHaswellこと第4世代Coreがベースのシステムだが、VAIO Fit 11AはBay Trail-Mの開発コード名で知られる新世代の低価格ノートPC向けPentium/Celeronを採用した。Bay Trail-TことAtom Z3000シリーズと同じSilvermontマイクロアーキテクチャを用いているが、PCと同等のメモリ/ストレージ容量に対応し、メモリサポートはDDR3Lながら、Serial ATA 3GbpsやPCI Express 2.0といったインタフェースを利用できるなど、性能面に重きを置いた低価格ノートPC向けSoCだ。

tm_1401vaio_a.jpg上位機同様のマルチフリップ方式ヒンジにより、キーボードモード、ビューモード、タブレットモードに変形できる
tm_1401vaio_b.jpgVAIO Fit 11A/13A/14A/15Aのサイズ比較
tm_1401vaio_03.jpgVOMモデルでは店頭モデルと同じシルバーに加えて、ブラックとピンクのカラーが選べる

 店頭モデルの「SVF11N19EJS」はCeleron N2920(1.86GHz)、4Gバイトメモリ、128GバイトSerial ATA SSDを搭載。ボディカラーはシルバーだ。VOMモデルではPentium N3520(2.166GHz/最大2.42GHz)、8Gバイトメモリ、256GバイトSSDなど、ハイスペックな構成も選べるほか、ブラックとピンクのカラーも用意している。

 上位機より低消費電力のSoCを採用するため、本体サイズは285(幅)×198(奥行き)×16.5〜19(高さ)ミリ、重量は1.28キロと、VAIO Fit 13A(幅325.4×奥行き223.4×高さ14.3〜17.9ミリ、約1.31キロ)と比較してコンパクトな仕上がりだ。有効画素数799万画素のアウトカメラ("Exmor RS for PC" CMOSセンサー)やNFC、SDメモリーカードスロット、USB 3.0×2、HDMI出力×1など、一通りのインタフェース類も備えている。公称のバッテリー駆動時間は約8時間だ。


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ノート(Pro 11/13、Duo 13、Fit 14E/15E)の変更点

 それ以外のシリーズは、プリインストールOSをWindows 8からWindows 8.1に移行し、Photoshop Elements 12やソニー独自アプリの最新版を備えたマイナーチェンジモデルとなっている。

 軽量クラムシェルボディの13.3型モバイルノート「VAIO Pro 13」と11.6型モバイルノート「VAIO Pro 11」は、店頭モデルに802.11acの高速無線LANを採用。いずれもVOMモデルは新たにCore i7-4650U(1.7GHz/最大3.3GHz)+Intel HD graphics 5000の構成が選択可能になり、VAIO Pro 11でも512GバイトSSDを搭載できるなど、より高性能を求めるニーズに対応した。

 独自のスライドボディを採用した13.3型2in1デバイス「VAIO Duo 13」は、今シーズンもVAIOノートのフラッグシップという位置付けだ。その店頭モデルは、OSやソフトウェアを更新した小幅な仕様変更にとどまる。KDDIのau 4G LTE対応のモバイルデータ通信モジュールを搭載した上位機「SVD13229DJB」は、2013年秋冬モデルを継続販売する。

tm_1401vaio_04.jpgtm_1401vaio_05.jpg13.3型モバイルノートPC「VAIO Pro 13」と11.6型モバイルノートPC「VAIO Pro 11」(写真=左)。スライドボディの13.3型2in1デバイス「VAIO Duo 13」(写真=右)

 エントリークラスの15.5型クラムシェルノートPC「VAIO Fit 15E」も、店頭モデルはOSやソフトウェアの更新程度といったマイナーチェンジだが、VOMモデルは最大16Gバイトのメモリ、最大1.5TバイトHDDの搭載が可能になった。VOMモデル限定の14型クラムシェルノートPC「VAIO Fit 14E」も引き続きラインアップしており、上位機であるVAIO Fit 15Eと同容量のメモリ、HDDを搭載できる。

tm_1401vaio_06.jpgtm_1401vaio_07.jpgエントリークラスの15.5型ノートPC「VAIO Fit 15E」(写真=左)と「VIAO Fit 14E」(写真=右)

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タブレット(Tap 11)、テーブルトップ(Tap 21)の変更点

 「VAIO Tap 11」は、本体のカバーを兼ねるワイヤレスキーボードが付いたWindowsタブレット。第4世代Core Y搭載で最薄となる9.9ミリ厚のボディを維持しながら、店頭モデルに802.11acの高速無線LANを標準搭載し、さらにLTE内蔵モデル(au 4G LTE対応)を追加した。VOMモデルは8Gバイトメモリも選択可能になっている。

 21.5型フルHD液晶ディスプレイを備えた「VAIO Tap 21」は、バッテリーを内蔵し、画面を寝かせてタッチ操作が行えるテーブルトップPC。店頭モデルの変更点はOSとソフトウェア構成くらいで、VOMモデルでは802.11acの高速無線LANが選べるようになった。

tm_1401vaio_08.jpgtm_1401vaio_09.jpg11.6型Windowsタブレット「VAIO Tap 11」(写真=左)。21.5型テーブルトップPC「VAIO Tap 21」(写真=右)

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「eBookJapan」を徹底解剖する

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eBookJapaneBookJapan

 紙の本は、購入してしまえば「どの書店で買ったか?」が大きな違いになることはありません。しかし、電子書籍は「どの書店で買ったか?」で、その後の体験が大きく異なります。それは、音楽・映像・ゲームなどの配信サービスと同じように、電子書店がただ単に読み物をパッケージとして販売しているだけではなく、購入後の読書環境や保管に至るまでの総合的な「サービス」を提供しているからです。

 国内でサービスを展開している電子書店はいくつもあり、まさに群雄割拠の様を呈しています。まだ「どこを利用すればいいのだろう?」と悩んでいる方も多いでしょう。どの電子書店もユーザーの満足度向上のためサービス内容を進化させ続けており、2012年度版の「電子書店完全ガイド」特集も既にやや古い内容となりつつあります。

 そこで今回、「電子書店完全ガイド2013」と銘打ち、進化の著しい電子書店をレビューし直すことにしました。これまで通り以下の5つの要素に基づき、前回のレビューとの違いを中心に徹底解説していきます。

 各項目について、3点を平均とし、いい所があれば加点、悪い所があれば減点という形で評点します。記事の最後で、評点結果をチャートグラフにしたものを用意しています。前回の評点と比較できる形で表示していますので、そちらも参考にしてください。

 なお、どの電子書店も以前と比べてサービスレベルが向上しているため、前回は加点した項目でも今回は通常レベルのサービスとみなして加点しない場合もあります。全体のレベル向上により、相対的に評点が前回より下がる場合もあることをあらかじめご了承ください。

 2013年度版の第7回目は、「eBookJapan」をレビューします。前回のレビュー(2012年12月28日)はこちらです。

ラインアップは充実しているか?

 「eBookJapan」のWebサイトを開くと、上部に電子書籍販売数が17万8445点と表示(2014年1月14日時点)されています。前回の調査(2012年12月14日)から10万7315点の増加(約2.5倍)になっており、「総合書店」として展開するようになったこの1年間で急速に配信数を拡充しています。また、出版社一覧には894件ありますが、同じ社名が複数登録されている場合がある(デバイス制限などの理由で書き分けをしているそうです)ため、正確な社数は不明です。

 次に、ジャンル別の数字です。前回の調査時にはPCで閲覧できないタイトル(約3000点)が非表示になる仕様でしたが、現在は全ラインアップが表示されるようになっています。なお、1つの作品が複数のカテゴリに登録されている場合があるので、縦に合計しても総ラインアップ数にはなりません。

タイトル別(シリーズ数)

ジャンル2012年12月14日時点2014年1月14日時点増加数
青年マンガ433563692034
少年マンガ233633631027
少女コミック358757432156
女性コミック16642229565
ティーンズラブコミック155627781222
レディースコミック31640589
ティーンズラブ小説6512491184
ボーイズラブコミック254643661820
ボーイズラブ小説58745603973
ハーレクインコミック18652253388
ハーレクイン小説27513230479
ライトノベル2717311704
文芸書15081498913481
ノンフィクション21818851667
ビジネス6546724607
カルチャー8892595025061
学術59623711775
写真集23615371301
楽譜(カルチャーに含まれる)01417214172
一般誌(雑誌)0406406
マンガ雑誌04040
ダイナマイツコミック184033131473
ダイナマイツ写真集81419941180
官能小説12351595036

作品別(商品数)

ジャンル2012年12月14日時点2014年1月14日時点増加数
青年マンガ21251291587907
少年マンガ14944209956051
少女コミック10615170806465
女性コミック401854851467
ティーンズラブコミック240842301822
レディースコミック587744157
ティーンズラブ小説7814791401
ボーイズラブコミック373462752541
ボーイズラブ小説68659215235
ハーレクインコミック19742410436
ハーレクイン小説27613364603
ライトノベル4856925644
文芸書22782222519947
ノンフィクション27322842011
ビジネス7749064829
カルチャー12442796826724
学術97931182139
写真集32323722049
楽譜(カルチャーに含まれる)01417914179
一般誌(雑誌)031593159
マンガ雑誌0185185
ダイナマイツコミック271651682452
ダイナマイツ写真集194233911449
官能小説12770036876

 もともとマンガに強い電子書店ですが、今回の調査でもマンガだけで作品数9万点以上、前回調査時から約3万点増加と、他の追随を許さないラインアップを誇っています(☆+0.5)。その上で、文芸書が約2万2000点(約2万点の増加)、カルチャー(楽譜を含む)が約2万8000点(約2万7000点の増加)など、ほかの電子書店と比較しても見劣りしないラインアップを取り揃えるようになりました。

評点:☆3.5

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高解像度な注目モデル続々、ハイスペック8型タブ“ThinkPad 8”、第2世代“X1 Carbon”など──レノボ「ThinkPad」新モデル

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ThinkPadシリーズの特徴

ラインアップ

  • 1920×1200ドット表示対応の8.3型Windowsタブレット「ThinkPad 8
  • 2560×1440ドットディスプレイも選べる薄型軽量のプレミアムUltrabook「新しいThinkPad X1 Carbon
  • 360度回転ヒンジと特殊キーボードギミックを備えたビジネスマルチノート「ThinkPad Yoga

ハードウェア

  • ThinkPad 8に1920×1200ドット表示対応の高精細8.3型IPS液晶を採用
  • ThinkPad 8にインテルのBayTrail-Tシステムを採用
  • 即座にカメラ撮影できる工夫を取り入れたThinkPad 8専用カバー「クイックショットカバー」を用意
  • ThinkPad X1 Carbonに、2560×1440ドット表示の高精細IPS液晶ディスプレイの選択肢を用意
  • ThinkPad X1 Carbonに、可変タッチセンサー式の新キーボード「Adaptiveキーボード」を採用
  • ThinkPad X1 Carbon、ThinkPad Yogaに、独自インタフェース拡張端子「OneLink」搭載
  • ThinkPad Yogaに360度回転ヒンジ+新機構キーボード「Lift’n' Lockキーボード」を採用
  • いずれのシリーズもタッチ対応、静電タッチパネルを搭載
  • ThinkPad 8、ThinkPad Yogaはデジタイザーも搭載

ソフトウェア

  • OSはWindows 8.1 Proを採用
  • ThinkPad X1 Carbon、ThinkPad YogaはWindows 8.1ダウングレード権によるWindows 7インストール構成も選択可能
  • オフィススイート(Microsoft Office)はカスタマイズオプションにより追加可能


ビジネスシーン向けのハイスペックタブレット、高解像度プレミアムUltrabook、マルチモードUltrabook

 レノボ・ジャパンは1月28日、2014年度向けのビジネスPC/タブレット「ThinkPad」新シリーズ3種を発表。法人向けは2014年1月28日、個人向けは同1月29日より順次販売を開始する。

 ThinkPadシリーズは、主にビジネスシーンへの導入を想定したシリーズとして展開。2014年は4月のWindows XPサポート終了や消費増税を控え、かつ例年の新年度用オフィス導入マシンとしての導入を見込み、タッチ、ペン、タブレット、薄型軽量長時間、マルチモードといった昨今の新しいビジネススタイルを取り入れ、何より「さらに業務効率を高めるため」の工夫を盛りこんだラインアップを用意した。

1920×1200液晶搭載のハイスペック8型Windows タブレット「ThinkPad 8」

photo1920×1200ドットの高精細ディスプレイを搭載する8型Windowsタブレット「ThinkPad 8」

 ThinkPad 8は、2013年末にコストパフォーマンスのよさで人気の8型サイズ+Atom Z3000シリーズ+Windows 8.1を採用した小型タブレット。10.1型サイズの既存モデル「ThinkPad Tablet 2」より小型のモバイル性に優れるボディ、そして同等のシステムを採用するレノボ・ジャパンの個人向け8型Windowsタブレット「Miix 2 8」に対し、堅牢性、Proエディションの選択肢とセキュリティ性、そして高精細な1920×1200ドット表示対応の液晶ディスプレイを採用し、ThinkPadブランドとしてビジネスシーンに適する仕様に仕立てた。

 主な仕様は、1920×1200ドット表示+10点マルチタッチ対応のタッチパネル搭載の8.3型タッチディスプレイ、クアッドコアのAtom Z3770、2Gバイトのメインメモリ(LPDDR3)、最大128Gバイトのストレージ、200万画素フロントカメラ/800万画素リアカメラなど。磁力で手軽に装着でき、独自のフリップ型開閉機構によりシステム復帰+800万画素リアカメラで即撮影できる工夫も設けた専用カバー「クイックショットカバー」や外部ディスプレイ出力対応アダプタなど、ビジネスシーンにニーズのある純正オプションも用意する。

 価格は、Windows 8.1 Pro+64Gバイトストレージ仕様の「20BN002DJP」で5万9000円前後から。BTOにより、より容量の多い128Gバイトストレージ、あるいはWindows 8.1構成でより価格を抑えたカスタマイズも可能とする。

14型Ultrabookで世界最軽量、重量約1.34キロ/厚さ13.6ミリ/ハイパフォーマンスなプレミアムUltrabook「新しいThinkPad X1 Carbon」

photo2560×1440解像度の選択肢も設ける14型のプレミアムUltrabook「新しいThinkPad X1 Carbon」

 新しいThinkPad X1 Carbonは、14型ワイドで2560×1440ドット表示の高精細液晶ディスプレイ、さらに1.34キロ/13.6ミリ/最大14時間のバッテリー動作を実現するハイクラスモバイルモデル。業務シーンにおける生産性向上を主目的に、スタンダードなクラムシェルノートPCスタイルを採用する。

 主な仕様は、第4世代のCoreプロセッサー(Core i5からCore i7)をベースに、4G〜8Gバイトのメインメモリ(LPDDR3)、128G〜512GバイトのSSDなど。ディスプレイは14型ワイドで、2560×1440ドット/10点マルチタッチ対応のノングレア仕様を最上位に、ベースモデルでは1600×900ドット/ノングレアの選択肢も用意する。本体サイズは331(幅)×226.8(高さ)×13.6-18.16(厚さ)ミリ、重量は約1.34キロ。

 第1世代のThinkPad X1 Carbonに対し、第2世代となった今回のモデルは、ファンクションキーをタッチセンサー型に変更し、ファンクションキーあるいは各種割り当て機能を起動ソフトウェアやディスプレイ開閉角度によって動的に切り替える新キーボード「Adaptiveキーボード」を採用。ThinkPadシリーズならではのポインティングデバイス「トラックポイント」とともに、Windows 8.1のジェスチャー操作も行いやすい大型のタッチパッドとトラックポイントボタンを融合した「5ボタンクリックパッド」も実装する。

 またオフィス導入ニーズに沿い、標準の64ビット版Windows 8.1 Proに加え、Windows 7 Profesional(8.1 Proのダウングレード権を使用)プリインストール構成でもオーダーできる。

360度回転ヒンジで“ノート”にも“タブレット”にも──特殊キーボード「Lift'n' Lockキーボード」を新たに採用──「ThinkPad Yoga」

photo360度回転ディスプレイ機構を採用する「ThinkPad Yoga」シリーズ

 ThinkPad Yogaシリーズは、12.5型サイズのモバイル利用に向くボディに、ディスプレイがぐるりと360度回転する機構により、普段はノートPCで、時にタブレットやビュワースタイルに変形するマルチモードUltrabook。レノボ・ジャパンの個人向けモデル「Yoga」シリーズをベースに、ProエディションのOS選択肢、堅牢性やセキュリティ性、トラックポイント搭載、デジタイザーペンなどビジネスシーンに向けた機能や特徴を取り入れた。

 主な仕様は、1920×1080ドット表示+タッチパネル+デジタイザー構成も選択できる12.5型ワイドの液晶ディスプレイ、第4世代のCoreプロセッサー(Core i3からCore i7)をベースに、4G〜8Gバイトのメインメモリ(LPDDR3)、500GバイトHDD/16GバイトSSDのIRST構成ストレージなど。本体サイズは316.6(幅)×221(高さ)×18.8(厚さ)ミリ、重量は約1.61キロ(デジタイザ非搭載モデルの場合)。

 利用シーンに応じて本体を変形させて活用できる特徴とともに、個人向けYogaシリーズとは異なる独自のキーボードギミック「Lift'n' Lockキーボード」も採用する。ディスプレイを180度以上開くとキーが収納される機構を備え、タブレットモード/スタンドモード時にキーやトラックポイントの引っかかりを防ぐ。価格は、Core i5-4200U、4Gバイトメモリ、500GバイトHDD+16GバイトSSDのIRSTストレージ、Windows 8.1 Pro仕様の基本構成モデル「20CD00BNJP」で12万7000円前後から。

合わせて、「YOGA TABLET 8」3G内蔵SIMロックフリーモデル+プリペイドSIMセットも販売

photoYOGA TABLET 8 3GモデルとIIJmioプリペイドパックのセットパック

 合わせて、2013年11月に発売した「YOGA TABET 8」の3G内蔵/SIMロックフリーモデルも追加する。こちらはIJのプリペイド型SIMカードサービス「IIJmioプリペイドパック(500MB)」とのセットで販売するもの。販売はシネックスインフォテックが担う。

 YOGA TABET 8の3GモデルとセットになるIIJmioプリペイドパックは、NTTドコモのネットワークにてデータ通信量500Mバイトまで速度制限なしにデータ通信を利用できるプリペイド型のSIMカードサービス。なお、YOGA TABET 8の3GモデルはSIMロックを施さない仕様とするため、通信方式が合えば別途他社のデータ通信サービス(低価格SIMカードサービスなど)や海外にて海外キャリアのSIMカードを入手して使用することもできる。価格はオープン、発売時実売価格は2万9800円(税込/税率は2014年1月時点)。2014年2月1日に発売する。


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富士フイルム、“世界最大表示倍率”EVF搭載の80周年記念モデル「FUJIFILM X-T1」

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 富士フイルムは1月28日、投入を告知していたFUJIFILM Xシリーズの新製品として「FUJIFILM X-T1」を発表した。2月15日よりボディおよび「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」を組み合わせたレンズキットを販売開始する。実売想定価格はボディのみが15万円前後、レンズキットが19万円前後。

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 236万画素有機ELのEVFは「デジタルカメラとしては世界最大の表示倍率」(同社)というファインダー倍率 約0.77倍(35ミリ換算50ミリ、無限遠)を誇り、その表示タイムラグは約0.005秒と非常に短い。撮像素子は像面位相差AF機能を持った「X-Trans CMOS II」を搭載しており、AF追従時の連写も約8コマ/秒と高速だ。

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 ボディ素材にはマグネシウムダイキャストを採用しており、各所に施されたシーリングによって防じん防滴機構としているほか、−10度の低温でも利用できる耐低温性能も備える。3型/104万画素の背面液晶はチルト式機構を採用する。

 詳細については追って掲載する。

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タブレット授業のプロが徹底討論、教育ITの今後はこうなる

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 活発化する教育現場のIT活用。2014年には、教育現場のIT活用にどういった動きがあるのか。教育機関がIT活用を推進していく上で、注目すべきこととは何か。これらを明らかにすべく、教育現場へのIT活用を実践する教育者チーム「iTeachers」の3者による座談会を開催した。本稿は、その様子をリポートする。

メンバー

参加者(50音順)

岩居弘樹氏 大阪大学 全学教育推進機構 教授

金子 暁氏 広尾学園 中学校・高等学校 教務開発部 統括部長

小池幸司氏 俊英館 マーケティング部 部長

モデレーター

編集部


—— 2013年は、教育機関でのタブレット活用が非常に注目を集めました。2014年、こうした端末関連の動きはどうなるのでしょうか。

拡張現実をメガネ感覚で――シースルータイプのヘッドマウントディスプレイ「MOVERIO BT-200」

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軽く、使いやすくなったシースルーモバイルビューワー「MOVERIO」新モデル

og_moberio_001.jpgMOVERIO BT-200

 エプソンは1月28日、ヘッドマウントディスプレイ「MOVERIO」シリーズの新モデルとして「BT-200AV」と「BT-200」を発表した。実売予想価格は、HDMI接続用アダプタ(ワイヤレスミラーリングアダプタ)を付属する「BT-200AV」が8万円後半、BT-200が6万円台後半になる見込み。4月24日に発売する。

 MOVERIOは、同社が「スマートグラス」と呼ぶサングラスタイプのウェアラブル情報端末。グラスを通して見える風景の中に映像が浮かび上がるシースルータイプのヘッドマウントディスプレイ(HMD)だ。新モデルでは、ヘッドセット部分の重量を、従来の約240グラムから約88グラムに軽量化したほか、投影映像の輝度を従来比2倍の600カンデラに引き上げ、シェードを装着しなくても映像がはっきりと見えるようになっている。

 また、IEEE802.11b/g/n対応無線LANとBluetooth V3.0を内蔵し、接続機器を拡大。スマートフォンとダイレクトに接続できるWi-Fi- Miracastに対応するほか、HDMI出力機器へ接続するワイヤレスミラーリングアダプタを付属したモデルも用意する。

 さらに今回、GPS、地磁気センサー、加速度センサー、ジャイロセンサーなど各種センサー(GPS以外はヘッドセットとコントローラの双方)を搭載し、これらのセンサーに対応するAndroidアプリを利用できるのもポイント。ジャイロを使って、拡張現実を応用したシューティングゲームなど、MOVERIOならではのアプリを楽しめる。新たに30万画素カメラを内蔵し、QRコードの読み取りや静止画/動画撮影に対応したのもトピックだ。

 なお、液晶パネルのサイズはアスペクト比16:9の0.42型ワイドで、解像度は従来と同じ960×540ドット。仮想視聴距離5メートル時に80型相当、20メートル時に320型相当のスクリーンとして投影される。また、サイドバイサイド方式の3Dコンテンツにも対応する。

og_moberio_002.jpgog_moberio_003.jpg目の前に浮かぶ映像を視聴しながら、周囲の状況も確認できるシースルー型のヘッドマウントディスプレイ(写真=左)。プロジェクター市場で高いシェアを持つエプソンがこれまで培ってきた光学技術、マイクロディスプレイ技術が応用されている(写真=右)

og_moberio_004.jpgog_moberio_005.jpg映像への没入感を調整できるシェードを2種類付属。スクリーン周囲の視界をさえぎるシェード(ダーク)を装着すればホームシアター向けヘッドマウントディスプレイのような体験になる。ちなみに輝度が向上したため、シェードを装着しない状態でも、映像を見やすくなっている(写真=右)。メガネ着用者向けにレンズホルダーも用意。市販のレンズをメガネ店ではめてもらえば、ヘッドセットの内側にホルダーを装着できるため、より違和感なく映像を楽しめる(写真=右)

og_moberio_006.jpgog_moberio_007.jpg実際に試用してみたところ、まず何よりも驚いたのがその軽さ。前モデルは重量のせいで長時間の利用が厳しい印象があったが、これなら映画1本視聴しても大丈夫そう。ちなみに筆者はメガネをかけているが、鼻パッドの部分が自由に変形できるタイプに改良されていたため、レンズホルダーを使わなくてもメガネの上からBT-200を装着できた。ちなみにフレームを軽く2度たたくと映像/音声を遮断する、といったように、内蔵センサーを利用した機能もおもしろい。ただ、BT-200を装着したままの歩行などは想定されていないため、情報端末としての利用よりもAV用途が中心になりそうだ

 コントローラー部分は、OSにAndroid 4.0を採用し、トラックパッド式のユーザーインタフェースで操作する仕様になっている。従来モデルに比べて入力域が拡大したほか、マルチタッチ入力に対応し、スマートフォンと同じような感覚で操作できる。

 プリインストールアプリは、写真/動画ビューワーや、音楽プレーヤー、Webブラウザをはじめ、メーラーやファイルマネージャーなど基本的なものを用意。Google Playには非対応だが、同社が独自にMOVERIO APPS Marketを用意して開発者を募り、4月発売時に30程度のMOVERIO向けアプリをそろえるという。MOVERIO APPS Marketの登録アプリは順次増加するとのことだが、ユーザーapkを直接インストールことでサードパーティ製アプリも利用できる。

 内蔵メモリは、メインメモリが1Gバイト、ユーザーメモリが8Gバイト。コントローラ部にmicroSDスロットを備え、最大32Gバイトのメモリ領域を用意できる(microSDHC対応)。対応フォーマットは、動画がMPEG4(MPEG4+AAC/Dolby Digital Plus)、MPEG2(H.264+AAC/Dolby Digital Plus)、静止画がJPEG、PNG、BMP、GIF、音声がWAV、MP3、AAC、Dolby Digital Plus。本体サイズは、ヘッドセット部が185(幅)×170(奥行き)×32(高さ)ミリだ。バッテリー駆動時間は約6時間(連続動画再生時)。

og_moberio_008.jpgog_moberio_009.jpgコントローラ部のサイズは55(幅)×120(奥行き)×19(高さ)ミリ、重量約124グラム。片手でホールドしやすいサイズ。左手で背面を支え、左の親指で前面のトラックパッドを操作したり、右手の人差し指でタップするといったように、スマートフォンのような操作感だ。前面下部にMENUとHOME、BACKキーが並び、右側面にmicro USBと上/下キーがある

og_moberio_010.jpgog_moberio_011.jpg前面上部は電源投入時に青く光るLED、本体上面は電源スイッチがある。左側面はmicro SDスロット(micro SDHC対応)があり、ストレージとして利用できる

og_moberio_013.jpgog_moberio_014.jpg約30万画素のフロントカメラを内蔵。画素数は低いがこれはカメラをセンサーとして捉えた開発コンセプト(QRコードの読み取りなどが主用途)ためだという。ちなみに撮影時はLEDが緑色に点灯するが、シャッター音はない(写真=左)。ワイヤレスミラーリングアダプタを付属するBT-200AVも用意。レコーダーで録画したコンテンツやBlu-ray作品も楽しめる(写真=右)

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「楽器をチューニングするように開発した」――木にこだわったJVCのイヤフォン「ウッドシリーズ」登場

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 JVCケンウッドは1月28日、筐体(きょうたい)や振動板に木を使用したカナル型イヤフォン「ウッドシリーズ」の新製品を発表した。ハイレゾ音源再生も視野に、各所に木製部材を配置して分解能の向上を図ったモデル。ドライバー径などが異なる「HA-FX850」「HA-FX750」「HA-FX650」の3機種を2月下旬に発売する。

ts_jvcwood010.jpgts_jvcwood09.jpg「HA-FX850」(左)とそのカットモデル(右)

ts_jvcwood011.jpgts_jvcwood012.jpg「HA-FX750」(左)と「HA-FX650」(右)

 開発を担当した同社オーディオ事業部の宮澤貴之氏によると、新シリーズに投入された新しい要素技術は主に3つ。まず、随所に木の素材を配置した新開発のウッドドームユニットだ。

 ウッドシリーズでは、2007年発売の「HP-FX500」から筐体だけではなく、振動板にも木材を使用している。もちろんすべてを木で作ることは難しいため、実際に音を出すセンター部分に薄膜加工した木材をはり合わせたものを使用する。振幅時に柔軟性が求められるエッジ部分はベース材が担当する仕組みだ。

 今回の新製品では、ドーム型に成型したカバ材を採用した。カバ材は木材の中でも伝搬速度の速い素材であり、振動板に加工した後でも一般的な振動板素材より早い伝搬速度と適度な内部損失を維持するという。

ts_jvcwood08.jpgts_jvcwood01.jpg3機種の仕様の違い。振動板のサイズが異なる(左)。ウッドドーム振動板の概要(右)

 また振動板の背後には、新たに木製のプレートを設けた。従来は金属製だったが、「前方に放射される音(直接音)に金属プレートによる反射音(付帯音)が混ざり合い、分解能を上げきれない要因になっていた」(宮澤氏)。ウッドプレートは、振動板から後方に放射される音を吸収・拡散し、余分な振動を抑制する。

 さらに音の出口にはリング状の木製ディフューザーを設けて音を拡散する。「従来の金属キャップでは金属の付帯音がひずみになっていたため、木材を使って拡散させる。考え方はウッドプレートと同じだ」。

ts_jvcwood02.jpgts_jvcwood03.jpgウッドプレートで金属の付帯音を抑制(左)。木製ディフューザーの概要(右)

 2つめの要素技術は、木を使ってドライバーユニット自体の振動を自然に減衰させるダンパー構造だ。ウッドシリーズでは、従来機からドライバーを比重の大きい真ちゅう製(ブラス)のリングに固定していたが、新たにドライバーの背後に円状のウッドダンパーを設けて振動ロスを低減する。「プラスリングと異なる固有振動数を持つ木を配置することで、効果的に振動ロスを低減する。解像度の高いクリアなサウンド再生につながる」という。

 また上位モデルの「HA-FX850/FX750」ではブラスリングの底にもウッドリングアブソーバーを設け、筐体(きょうたい)の響きをコントロール。さらにユニットの前面もプラスリングで抑えて制振性を向上させた。同社はこれを“アコースティックデュアルハイブリッドバンパー”と名付けている。

ts_jvcwood04.jpgts_jvcwood05.jpg“アコースティックデュアルハイブリッドバンパー”と“ウッドリングアブソーバー”

 3つめの要素技術は、イヤーピースの内側にある。音の通り道にゴルフボールのようなディンプルをスパイラル状に設け、内壁にあたって反射する方遮音を拡散する仕組み。「従来は直接音と内壁の反射音が混ざることで音のにごりになるケースがあった」。ディンプル形状で反射音を拡散することで、それを効果的に抑えることができるという。

ts_jvcwood06.jpgts_jvcwood07.jpgスパイラルドットイヤーピースの概要と効果

 宮澤氏は、「優れた音響素材である木を用い、あらゆる部品を、あたかも楽器をチューニングするように開発した」と振り返る。「木の部材を効果的に使って分解能を高め、空間表現力を向上させることができた。“原音”に込められた楽曲制作者の思いをより生々しく再現できる」(宮澤氏)。

 3機種とも2月下旬に発売する予定で、価格はオープンプライス(右)。店頭では、最上位モデルの「HA-FX850」が3万8000円前後、「HA-FX750」が2万8000円前後、「HA-FX650」は1万9000円前後になる見込みだ(いずれも税抜き)。

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テーマは画質と機動性の両立――「FUJIFILM X-T1」詳報

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 富士フイルムはレンズ交換式FUJIFILM Xシリーズの新製品「FUJIFILM X-T1」を2月15日日より販売開始すると発表した。ボディのみ、標準ズームレンズ「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」とのレンズキットが用意されいずれも価格はオープン。実売想定価格はボディのみが15万円前後、レンズキットが19万円前後。

photoFUJIFILM X-T1 レンズキット。「T」は画質と性能への信頼を表す「Trust」、堅牢(ろう)性の「Tough」よりとられた

 新製品ボディデザインはいままでのレンズ交換式FUJIFILM Xシリーズが採用してきたレンジファインダー風から一変、ペンタ部とグリップの設けられた一眼レフ風となった。デザイン変更されたが、天面から一目見るだけでISO感度、シャッタースピード、露出補正の各値がダイヤルで確認できるのは変わらない。

 ダイヤルは左からISO感度、ペンタ部を挟んでシャッタースピード、露出補正となっており、ISO感度ダイヤルはドライブモード、シャッタースピードダイヤルは測光モードの各ダイヤルと2階建て構成となっている。ボディ素材にはマグネシウムダイキャストを採用しており、各所に施されたシーリングによって防じん防滴機構としているほか、−10度の低温でも利用できる耐低温性能も備える。

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 有機ELを採用する電子ビューファインダーは0.5型 約236万画素と高精細で、「デジタルカメラとしては世界最大」(同社)というファインダー倍率は約0.77倍(35ミリ換算50ミリ、無限遠)となる。EVFの表示は「ノーマル」「フル」「2画面」と表示方式を切り替え可能で、「2画面」時には素通しのライブビューとフォーカスピーキングあるいはスプリットイメージなどフォーカスイメージを分割表示する。「ノーマル」「フル」時にカメラを縦に構えると、情報表示も縦位置に準じた表示に切り替わる。

photophoto0.77倍と大きなファインダー倍率

photo新製品を発表する、富士フイルム 代表取締役社長 COOの中嶋成博氏

 新製品は同社創立80周年を記念してのモデルとも位置づけられており、同社代表取締役社長 COOの中嶋成博氏によれば、FUJIFILM X-T1の「T」は画質と性能への信頼を表す「Trust」、堅牢(ろう)性の「Tough」よりとられたという。中嶋氏はさらに新製品について「画質と機動性を両立した、レンズ交換式カメラの決定版」だと自負する。


 搭載する撮像素子は、像面位相差AFに対応したAPS-Cサイズ(23.6×15.6ミリ)有効1630万画素の「X-Trans CMOS II」で、ローパスレス仕様。回折現象を信号処理によって解析復元する「点像復元」処理も搭載する。 画像処理エンジンには「EXR Processor II」を組み合わせており、AF-C時には位相差AFと動態予測の複合により、最速8コマ/秒のAF追尾撮影が行える。X-Trans CMOS IIとEXR Processor IIの組み合わせは既存「FUJIFILM X-E2」と同様であり、最高ISO感度などに違いはあるが画質面ではほぼ同等であるという。

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 撮影機能としてはPROVIA/Velvia/ASTIAを初めとしたフィルムシミュレーションや露出/ダイナミックレンジ/フィルムシミュレーション/ホワイトバランスの各ブラケット撮影、最大1920×1080ピクセルのフルハイビジョン録画機能などを備える。

 Wi-Fiも搭載しており、アプリ「FUJIFILM Camera Remote」を使用してスマートフォンやタブレットへの画像転送を行えるほか、このアプリからリモート撮影も行える。リモート撮影ではレリーズ操作のほかシャッタースピードや絞り、露出補正、ホワイトバランス、フィルムシミュレーション、タッチAFといった操作を行える。

 なお、本製品の発表と併せてレンズロードマップが更新された。ボディと同様の防じん防滴を備えた製品としてとして、「XF18-135mmF3.5-5.6 R OIS WR」「XF16-55mmF2.8 R OIS WR」「XF50-140mm F2.8 R OIS WR」が投入されるほか、大口径広角レンズ、超望遠ズームレンズが2014年中に投入される予定とされている。

photo「XF18-135mmF3.5-5.6 R OIS WR」(モック)
photo「XF16-55mmF2.8 R OIS WR」(モック)
photo「XF50-140mm F2.8 R OIS WR」(モック)
photophoto本製品のテレビCMには写真家のハービー・山口さん本人が登場。新製品については「初めて手にしたときにはファインダーの大きさに驚いたけれど、なによりささやくようななシャッター音が、個人的にはうれしい」とさりげない表情を上手に引き出せるカメラと評価した
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冷蔵庫は「無実」――シマンテックがスパム発信元を調査

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 「テレビや冷蔵庫など、インターネットにつながったスマート家電から75万通以上のスパムメールが発信された」という報道に関して、シマンテックは2014年1月27日、実際に感染していたのは同じホームネットワーク内のWindows搭載PCであり、冷蔵庫は「無実だ」とするブログを公開した。

 この報道は、「2013年12月23日〜2014年1月6日にかけて、家庭用ルーターやテレビ、それに少なくとも1台の冷蔵庫を含む10万台以上のコンシューマー機器から、75万通以上の迷惑メールが発信された」というプルーフポイントの発表を基にしたもの。あらゆる機器がインターネットにつながる「モノのインターネット」(Internet of Things=IoT)時代のリスクを示す事件だとして、大きな注目を集めていた。

 しかし、シマンテックが一般に公開された情報およびハニーポットなどから得られた情報に基づいて調査を進めたところ、今回のスパムの発信元は、Windows PCに感染した「W32.Waledac」(Kelihos)が形作るボットネットによるものだったことが判明した。冷蔵庫は、「感染したコンピュータとたまたま同じネットワーク上にあったに過ぎない」(シマンテックのブログ)。

 こうした誤解が生じた原因は、家庭用ルーターに設定されているネットワークアドレス変換(NAT)機能にある。外部からNAT越しに見た場合、実際に通信を行っているのがルーターなのか、そのルーターの内側に置かれているデバイスなのか、そして複数あるデバイスのうちどれなのか、特定が難しい。

 加えて、ポートフォワーディング設定が発信元特定をより困難にした。例えば、「外部からテレビ予約を行いたい」などの理由でデジタルビデオレコーダーへのポートフォワーディングを有効にしていると、レコーダーだけがそのIPアドレスを使っている唯一のデバイスに見える恐れがある。

 こうした要因が重なって、冷蔵庫に「濡れ衣」が着せられた可能性がある。

mt_refrigerator.pngポートフォワーディング設定によって、外部からは「冷蔵庫」が発信元のように見えた可能性がある(シマンテックのブログより)

 実際、シマンテックがWaledacに感染したコンピューターのパブリックIPアドレスを調べたところ、エンターテインメントシステムやその他家庭用デバイスに到達した。しかしそれらはたまたま、Waledacに感染したコンピューターと同じネットワークを共有し、ルーターを介して公開されていただけだという。

 だからといって、今後、IoTを使った攻撃の可能性がないというわけではない。シマンテックは同時に、Linuxベースのルーターやカメラなどに感染するワーム「Linux.Darlloz」を発見したことにも触れている。このワームは、他のワーム「Linux.Aidra」を確認するとそれを駆除しようと試みるなど、IoTでの「縄張り争い」を繰り広げている。これはちょうど、2004年前後の「ワーム戦争」を連想させるものだという。

 シマンテックは、「近い将来に冷蔵庫が本当にスパムを送信し始めたとしても、驚くほどのことではない」とし、PCの場合と同様、

  • IoTデバイス上のソフトウェアを最新の状態に保つ
  • ルーターの内側にデバイスを置く
  • デフォルトのパスワードはすべて安全性の高いパスワードに変更する

といった対策を取るよう勧めている。

 「今回IoTデバイスの罪は晴れたが、将来的にはスパム送信の元凶となる恐れがある」(同社)。

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第42回 写真編集アプリとしても高機能なカメラアプリ「Camera+」

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 写真系のアプリってすごく数が多いから、紹介するときはカメラ系アプリ、編集系アプリ、フィルタ系アプリという感じでもうちょっと細かく分類するのが常なのだけど、実際には多くのカメラ系アプリがフィルタや編集機能も持ってるし、写真編集系やフィルタ系アプリもたいてい撮影機能を持ってる。

 iPhone登場当初に比べて、ひとつのアプリがいろんな機能を持つようになってるので何かとややこしいのだ。前回紹介した「Waterlogue」(荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第41回 一瞬にして盛り上がった水彩画アプリ「Waterlogue」)のように「水彩画のみに特化」したアプリの方が逆に珍しいくらい。

 今回は「カメラ系アプリ」なのに妙に編集機能が充実してて、これ、写真編集アプリとして使ってもいいんじゃないか、ってのをピックアップしてみた。

 で、一番遊べるのが「Camera+」

photoCamera+のカメラ画面。起動するとこの画面になる。もちろんこのまま撮影してOK

 一見するとカメラアプリで、いや一見どころかしげしげと見てもカメラアプリなのだが、編集機能が実に強力なのだ。使わない手はない、というくらいである。

 カメラの状態で、左下の「ライトボックス」アイコンをタップする。すると、ライトボックスの画面になる。Camera+の写真編集機能のはじまり。

 Camera+は(設定にもよるが)、基本的にカメラロールではなく、独自の「ライトボックス」というエリアに写真を保存し、そこで編集してから必要に応じてカメラロールに保存する、という流れになっている。

 だから一見、Camera+で撮った写真しか編集できなさそうなのだが、右上の「+」に注目。これをタップするとカメラロールからCamera+の「ライトボックス」に写真を読み込めるのだ。

photoこのように使いたい写真をまとめて選択して、「読み込み」する
photoするとライトボックスにカメラロールから読み込んだ写真が追加される

 そうすると他のアプリ(標準カメラアプリとか)で撮った写真も、Camera+を使って編集できるようになるのである。一手間必要だけど、すばらしい。

 では実際に編集してみる。 まずは簡単なところで、神社の写真を。

photo写真をタップして「編集」開始
photo元の写真。これに対して、シーン、クロップ、ラボ、フィルタ、フレームの5種類の処理をかけられる

 ちょっと暗いので、もう少し鮮やかにしたい。

 「シーン」をタップして、いいものを選ぶ。

photo「バックライト」は逆光のこと。訳した人がカメラ用語を分かってないときにありがちなアレですが、まあいわゆる逆光です
photo「フラッシュ」はストロボをたいたときのようなイメージで全体を明るくしてくれる。

 この場合どちらかがいいかなという感じ。

 決まったらフレームをつけてみよう。

photoフレームを選択
photoフィルム調にしてみた

photoさらにキャプションを追加したり地名や撮影日を入れたりできる
photoこんな感じに

 で、完了。超簡単。

 そののち、「保存」すると、カメラロールに保存されて、ライトボックスから消える。これが面白いところ。ライトボックスは未完成の写真を置くところで、完成したらカメラロールに写真が移動するのだ。

photo保存すると写真がカメラロールに移行し、ライトボックスからは消える
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“可聴域の情報量”に着目、JVCがハイレゾ対応のウッドコーンオーディオシステム2製品を発表

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 JVCケンウッドは1月28日、ウッドコーンオーディオシステムの新製品として、ハイレゾ音源再生に対応する「EX-N70」「EX-N50」の2機種を発表した。また同時に、イヤフォンの「ウッドシリーズ」3機種もリリースしている(→別記事を参照)。

ts_woodcone02.jpgts_woodcone01.jpg木にこだわったオーディオ機器群を一挙に発表した。また発表会場には春に発売予定のポータブルヘッドフォンアンプも参考展示された(左)。JVCケンウッドの業務執行役員オーディオ事業部長の宮本昌俊氏(右)

 発表会であいさつに立ったJVCケンウッドの業務執行役員オーディオ事業部長の宮本昌俊氏は、昨年末に発売した「Kseries」に加え、高付加価値製品の展開をさらに拡大していく方針を示した。また、同社のハイレゾ対応製品には「Hi-Resolution Audio」マークを付け、店頭で分かりやすくするという。「ハイレゾ音源は、作り手や音楽愛好家の思いを伝えるもの。それを十分に堪能できる製品を分かるようにする」(同氏)。

可聴帯域内の情報量を重視

ts_woodcone03.jpgts_woodcone04.jpgフルレンジスピーカーをセットにした「EX-N50」(左)と、2Wayスピーカーが同梱される「EX-N70」(右)

 新製品のウッドコーンオーディオは、フルレンジスピーカーをセットにした「EX-N50」と、2Wayスピーカーの「EX-N70」の2機種。DLNA1.5準拠のネットワークプレーヤー機能やアンプなどを一体化したレシーバー部はほぼ共通で、NASやPCに保存されている最大192kHz/24bitまでのPCM音源(WAV、FLAC)やDSD(2.8MHzまで)をネットワーク経由で再生できる。またフロントUSB端子はiPod/iPhoneのデジタル接続に対応した。

ts_woodcone07.jpgts_woodcone08.jpgフロントUSB端子はUSBメモリーなどからの楽曲再生に加え、iPodデジタル接続をサポート(左)。背面端子(右)

 JVCでは、ネットワーク再生時のコントローラーとして、iOS/Androd向けのアプリ「JVC Audio Control WR2」を提供する(無料ダウンロード)。手元のスマートフォンからネットワーク上の楽曲選択や端末内の楽曲再生が可能になるほか、K2テクノロジーのオン/オフや音質調整にも対応した。

 開発を担当したJVCオーディオ事業部の今村智氏によると、今回のハイレゾ対応にあたっては、音楽の制作現場であり、従来機から共同開発を進めているビクタースタジオのエンジニアと共同で“音の目標”を設定したという。「ハイレゾというと人間の可聴帯域を超えた高い周波数が含まれていることに注目が集まりがち。しかし、より高音質化につながっているのは可聴帯域内の情報量が増加したこと」と指摘。実際の開発でも可聴帯域内の解像度改善に重点を置いたという。「中高域の情報量増加に見合う表現力の充実と倍音の増強を目指した。音楽再生時の空間表現や空気感、低重心の低音再生につながる」(今村氏)。

 まず、独自のデジタルアンプ「DEUS」は、ハイレゾ音源のきめ細かい情報を的確に表現するためにリニューアル。もともとDEUSは、スピーカーに入力されるアナログ信号の精度を高めるため、デジタルフィードバックとアナログフィードバックをそれぞれ行う仕組みを持っているが、今回はループゲインを拡張。従来は80kHzまでだったが、今回は100kHzまでカバーして広帯域化を実現した。あわせて人間の可聴帯域とされる20kHz内のノイズレベルを低減し、S/N比は100dB、ひずみ率も0.007まで改善している。

 独自の「K2テクノロジー」も進化した。今回は、圧縮音源のみならず、ハイレゾ音源や非圧縮音源に対してもビット拡張と帯域拡張、波形補正の処理が可能になったほか、音楽フォーマットに応じて係数(パラメータ)を自動設定し、処理を最適化する仕組みを備えた。

ts_woodcone05.jpgts_woodcone06.jpg「DEUS」と「K2テクノロジー」の概要

 筐体(きょうたい)の制振対策も徹底している。例えばインシュレーターは樹脂と真ちゅうを組み合わせたハイブリッド型を採用した3点支持構造とした。「通常の4点支持よりもガタツキが置きにくい」ためだ。さらに筐体を構成する各パネルの固定には銅メッキネジを使い、異種金属ワッシャーで固有振動による共振を防ぐ。例えばモールドパネルとシャーシの固定部左側には真ちゅうニッケルメッキワッシャーを使用するが、入力端子を固定する場所にはアルミワッシャー、スピーカー端子の固定にはアルミワッシャーと銅ワッシャーを2枚重ねにするなど、素材も使い方も場所によって異なる。これらはすべて「1つ1つ実際に試聴しながら選んだ」。

 このほか、上位機のEX-N70には、レシーバーの底面に厚さ9ミリのMDF材で作られた「アークベース」を取り付けられた。これもシャーシ剛性の向上と振動の吸収を狙ったもの。EX-N50/N70のレシーバー部で仕様が異なる部分は、アークベースの有無だけだ。

ts_woodcone09.jpgts_woodcone010.jpg「EX-N70」のボトムシャーシを裏返しにしたところ。黒い部分が「アークベース」だ(左)。樹脂と真ちゅうを組み合わせたハイブリッド型インシュレーター(右)

フルレンジ1発でもハイレゾ対応?

 セットのスピーカーは、シリーズ名にもなっている「ウッドコーン」だ。伝搬速度が高く、適度な内部損失を持つ優れた音響素材である“木”を振動板に使うため、同社が5年以上をかけて開発したものだ。

 上位モデルの「EX-N70」は、110ミリ径ウーファーと20ミリ径ツィーターの2Way構成。ウーファーの振動板背面に薄いチェリー材を十字に貼り付けた“異方性振動板”など従来機の技術を継承しつつ、エッジ材料(ブチルゴム)の素材配合比率を変更したり、ウッドブロックを大きくするなどのチューニングが行われた。またスピーカーターミナル部にダブルナット構造を採用して内部配線との接触抵抗を小さくするなど、細かい改善も施している。

ts_woodcone011.jpgts_woodcone012.jpg「EX-N70」のスピーカーカットモデル(左)。使用されているユニット。ウッドコーンは、木目の繊維方向によって伝搬速度が異なるという、自然の素材ならではの難点があったため、振動板の上下左右に“羽根”を取り付け、上下の羽根を少し細くする“異方性振動板”が開発された。水平方向の指向特性を改善し、音場空間を広げる効果もある(右)

 一方のEX-N50は、85ミリのウッドコーン(振動板)を採用したフルレンジスピーカーが付属する。70ミリ径の大型マグネットを採用して低域の再生力をアップしたほか、磁気回路の後部にウッドブロックを装着して不要な振動を吸収するといった変更が加えられている。ただし、フルレンジ1発ということもあり、再生周波数帯域の上限は2万Hzと人間の可聴域とほぼ同等。つまりスペックだけを見ると“ハイレゾ非対応”だが、前述の通り可聴帯域内の情報量が増えたことで、晴れてハイレゾ対応モデルに分類されることになった。

 「EX-N70/N50」の発売は2月上旬の予定。価格はいずれもオープンプライスとなっているが、店頭ではEX-N70が12万円前後、EX-N50は10万円前後になる見込みだ(いずれも税抜き)。

 なおJVCでは、新製品の発売を記念して、「EX-N70」を入札による特別価格で購入できるモニターキャンペーンを実施する。募集人数は100人で、商品モニターとして後日アンケートへの協力が条件となる。応募期間は1月28日(11時)から2月7日(10時)まで。詳細は同社サイトの告知ページを確認してほしい。

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ITの新定義が必要になる――EMCジャパン 山野社長

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—— 2013のIT市場とビジネスの振り返りをお願いします。

EMC山野修代表取締役社長

山野 まずIDCさんがいわれる「第2のプラットフォーム(クライアント/サーバモデル)」から「第3のプラットフォーム(クラウド、ソーシャル、モバイル、ビッグデータ)」への移行の息吹を感じられたことが挙げられます。ソーシャルやモバイルの流行はもちろん、ビッグデータもITの話題から社会の話題になりましたし、クラウドも本格的に普及し始めました。

 EMCのビジネスでもパブリックやプライベートのクラウド構築に関する話題が増えましたね。業種別ではサービスプロバイダーや通信事業者向けのビジネスが好調でした。こうした業種ではトレンドの到来が早いと思いますが、その他の業務でも大企業を中心にクラウドの構築や利用が広がっています。モバイルでも仮想デスクトップの導入や構築に関連した動きが盛り上がっています。ビッグデータ活用に関して日本ではまだ手探りという状況もありますが、大手メーカーとの間でデータサイエンティストの育成や活用モデルの設計、ワークショップといった活動に取り組んでいます。

 第3のプラットフォームに対する取り組みは先進的な企業が中心ですが、2014年は将来への投資として多くの企業が取り組むようになり、市場が本格的に立ち上がっていくのではないでしょうか。

 ストレージビジネスでは特に中堅企業や地方企業のお客様からの引き合いが増えています。これまでのストレージはサーバに付随して購入されるケースが多かったのですが、サーバのコモディティ化によって逆にストレージの重要性が高まり、サーバとは別にストレージを検討される状況になりました。当社としては多くの製品ラインアップやソフトウェアによる先進技術を提供しています。パートナーの評価も高く、新たなお客様の獲得につながっていますね。

 ただ、ITの新たな潮流や当社の取り組みをもっと多くのお客様にご理解していただけるよう取り組まなければならないとも感じています。

—— 2014年の展望をお聞かせください。

山野 第3のプラットフォームへの移行がもっと加速するでしょう。IDCさんが言及していますが、2018年までに主要産業のトップ20社のうち3分の1が第3のプラットフォームの影響を受けるとされています。第3のプラットフォームを利用した新しいビジネスモデルやプロセス、コスト構造が出現し、既存ビジネスが破壊されるというものです。

 日本ではこの動きが海外よりも遅れるとは思いますが、東京五輪が開催される2020年頃には第3のプラットフォームを活用する企業が現れて産業構造やシェアががらりと変わっているかもしれません。既に流通分野ではAmazonや楽天が大きな変革をもたらしていますし、出版分野でも電子書籍の取り組みが加速しています。2014年は販売を伴う業種でこうした動きが顕著に現れてくるでしょう。

 EMCとしては2014年に「フェデレーション(連体)」を推進していく方針です。EMCやVMware、Pivotal、RSAのつながりさらに深め、製品や技術より重なり会うようになっていきます。例えば、VMwareは「Software-Defined Data Center」に取り組んでいますが、EMCも「Software-Defined Storage」に取り組んでいるので重なり会う点が増えるでしょう。同様にビッグデータやクラウド管理基盤のCloud Foundryを手掛けるPivotalもVMwareと重なり合うところが広がりますし、これらの共通テーマとなるセキュリティにおいてRSAとも多くの点で重なり合うようになります。競合ベンダーは「垂直統合」モデルを推進していますが、EMCグループの特徴は「水平分業」にあります。お客様が組み合わせてより良く利用できるものを提供しましょうという点が特徴ですね。

 もう1つ、今年は「Re-Define」をテーマに掲げています。第3のプラットフォームへの移行が進んでいくと、ITの新たな新しい定義が必要になるでしょう。従来はコストの削減や運用の効率化などが中心でしたが、今後はビジネスの価値を高めたり、ライバルと差別化を図ったりするためにITが活用されるようになります。こうなると従来の定義のままではいけません。そのためにEMC自身の定義も変えていくことが必要です。

 昨年から取り組む「Software-Defined Storage」は、その一環と言えます。ハードウェアとしてのストレージの上位にソフトウェアのレイヤを重ねることで、ストレージの差異に関係なく活用できるようにするものです。例えば、従来のバックアップがハードウェア同士の間で行うものでしたが、それをソフトウェア化することで、クラウド上にあるストレージも、まるで手元にあるかのようにデータをバックアップできます。その結果として、運用を自動化したり、管理の負荷を低減したりできるようにしたいと考えています。

—— EMCジャパンとして今年はどんな取り組みが大切だと考えていますか。

山野 若い世代は新しいツールを使ってリアルタイムにコミュニケーションをすることがもはや当たり前です。一方で、お父さん世代はメールの返信にも数時間から数日も費やしてしまう。世代間のギャップが広がる中で、会社でも第2のプラットフォームと第3のプラットフォームに分かれ、若い人はどんどん第3のプラットフォームに向かっている状況です。

 私も含めて社員はこの事実をもっと知らなければなりませんし、第3のプラットフォームを享受しなくてはなりません。第3のプラットフォームというものを理解するだけではだめで、これが当たり前のものとして生活も仕事もしていくように自らを変革していきたいと思います。

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Qualcommが5GHz帯を利用するLTE-Advanced技術を開発へ――Wi-Fiとの競合も

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 Qualcommは、5GHz帯を使用するLTE-Advancedに対応するための技術を開発したと発表した。モバイル端末のデータトラフィックは今後、1000倍に急増するとみられており、この新技術によって対応することを目指す。免許不要の帯域では今後、携帯電話通信とWi-Fiとの間で奪い合いが起こることが予測されるため、早い段階での対応を目指す動きだといえる。

 Qualcommの新技術は、今のところまだ試作の段階であり、対応製品に関する情報も明らかにされていない。このため、「増大の一途にあるモバイルデータに対応するために5GHz帯を利用するのは、本当に最善策だといえるのだろうか」という疑問さえ生じる。現在、モバイルデータの大半は、電波法で割り当てられた周波数帯(ライセンスドバンド)である3GHz帯以下の帯域を利用する携帯電話通信において伝送されている。

免許不要の周波数帯を携帯電話通信とWi-Fiで争奪か

 Qualcomm Atherosなどをはじめとするベンダー各社は、5GHz帯を利用するさまざまなWi-Fi対応製品を投入している。なかには、現在増加しているスモールセル方式の無線基地局において、5GHz帯だけでなく60GHz帯を利用するベンダーもある。また、次世代セルラー通信技術の開発メーカー各社は、5G〜60GHzのあらゆる帯域を利用する携帯電話通信サービスの開発を進めている。

 Qualcommのテクニカルマーケティング担当シニアディレクタを務めるRasmus Hellberg氏は、「増大するデータに対応するための土台として、スモールセル基地局の設置数をさらに増やすとともに、新しい導入モデルの開発と導入手法の低コスト化を実現する必要がある。免許不要の帯域は、モバイル通信の効率的な切り替えを自動化する上で理想的だといえる。なぜならLTE-Advancedは、データ量が増大すると、ノード間のスケジューリング調整や同期化を行うことによって処理性能を高められるため、ノード数が多い方がうまく機能するからだ」と述べている。

tt140129Q001.jpg免許周波数と免許不要周波数の双方を使用し、通信帯域を確保する 出典:Qualcomm

 Hellberg氏は、「免許不要帯域を利用するLTE-Advancedは、長距離への対応や制御性、高い信頼性、シームレスなエンドユーザーエクスペリエンスといった利点を備えているため、キャリアWi-Fiよりも優れているといえる。さらに携帯電話通信事業者にとっても、統合型の携帯電話通信サービスから得られるメリットは大きい」と述べている。

 Qualcommは、対応製品に関する詳細を明かしていないが、Hellberg氏は、「LTE-Advanced機能は将来的に、SoCに搭載されるようになるだろう」と述べている。米国のコンサルティング会社であるJ Gold Associatesでアナリストを務めるJack Gold氏は、「SoCへの搭載を実現するには、今後まだ3〜5年を要する見込みだ。Qualcommは今回の発表を急ぎ過ぎたかもしれない」と述べる。

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モノが自律する時代はすぐそこ? IoTの可能性を探る

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1.IoTとは? M2MからIoTへ

モノとモノがつながるインターネットの世界

 「IoT」とは、「モノのインターネット」(Internet of Things)の略称であり、インターネットをはじめとする通信インフラに、さまざまなモノを接続する技術やビジネスモデルを指す。ここでいう“モノ”とは、PCやサーバ、プリンタなど、従来接続の対象となっていたIT関連機器以外も含み、新たな情報や価値を創出することを目的とする。

 モノをインターネットにつなぐことにより、どのような変化が生じるのか? 具体的には次のようなことが例として挙げられる。

  • 離れたモノの状態が分かる
  • 離れたモノを操作することが可能になる

 これらは「スマート家電」などで既に実現しつつあり、IoTの具体例として一般消費者も理解しやすいだろう。その他にも、モノをインターネットに接続する流れは、今後も増えていくだろう。

image001.jpg図1:IoTの概要とイメージ

IoTが注目される背景とは?

優れた「人材」を武器に観客を呼び込む米大手映画館チェーン

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kenexa01.jpgKenexaの創業者、ルディー・カーソン氏

 米国時間の1月28日、フロリダ州オーランドで開催中の「IBM Connect 2014」は2日目を迎えた。今年から「Kenexa World Conference」を併催していることもあり、午前のジェネラルセッションは「より良い組織づくり」がテーマとなった。

 IBMがクラウド型の人材管理アプリケーションと人事に関するコンサルティングサービスを提供するKenexaを買収したのは2012年。SAPが2011年末にSuccessFactorsを買収したことによって火がついた業界の再編は、OracleがTaleoを、そしてIBMがKenexaを手に入れたことで一気に進んだ。ビジネスにおける人材の重要性はもちろんだが、こうした大手ベンダーの相次ぐ参入も人材管理を一躍ホットな市場にしている。

 余談だが、Notes/Dominoが今年のジェネラルセッションで語られることはついになかった。クラウド化が進み、アナリティクスと組み合わせることでさらなる成長が見込めるKenexaに追いやられた格好だ。

フォーカスすべきは、あなたの「使命」

 この日のジェネラルセッションでもトップバッターは、Kenexaの創業者、ルディー・カーソン氏だった。

 「貧困や疾病の問題も解決され、より良い世界になりつつある中、仕事でもなく、家族でもなく、今一度あなた自身について考えてほしい。何をなすためにあなたは生まれてきたのか」とカーソン氏。ITのカンファレンスにしてはやや場違いに感じられた問い掛けだったが、彼はさらに畳み掛ける。

 「もちろん人材管理のツールはあるが、そこにエネルギーを費やしてしまうのではなく、あなたは何によってモチベーションが高まるのか、そして、どんなときに生きている実感を得られるのかを考えてほしい。フォーカスすべきは“使命”だ」(カーソン氏)

 もちろん、Kenexaは宗教ではない。同社はフォーチュン500の企業の半数以上を顧客に持ち、その数はIBMによる買収時点で8900社以上に達しており、彼らはKenexaの科学的なアプローチによって、より良い組織づくり、という成果を上げている。この日のジェネラルセッションに登場したAMC Theatresもその1社だ。

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スマホとソーシャルははずせない――Expedia、リクルートジョブス、楽天のコンテンツマーケティング戦略

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 ここ数年「コンテンツマーケティングの時代」といっても過言ではないほど、日本で“コンテンツマーケティングバブル”が続く。Ginzamarkets バイス・プレジデントの清水昌浩氏は「以前から自社コンテンツをマーケティングに活用していた企業は存在する」と指摘するが、では、そのような企業はコンテンツとどのように向き合ってきたのだろうか。Expedia、リクルートジョブス、楽天のマーケティング担当者3名に、コンテンツマーケティングの実際を聞いた。

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米Yahoo!、広告不調で四半期連続の減収

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 米Yahoo!が1月28日(現地時間)に発表した2013年第4四半期(10〜12月期)決算は、売上高は前年同期比6%減の12億6600万ドル(トラフィック獲得コスト(TAC)などを除くと2%減の12億ドル)だった。主力のディスプレイ広告が不調で、4四半期連続の減収になった。

 純利益は28%増の3億4800万ドル(1株当たり33セント)だった。純利益には、特許売却による4900万ドルが含まれる。非GAAPベースの1株当たり純利益は46セントで、アナリスト予測の38セントを上回った。

 ディスプレイ広告による売り上げは6%減の5億5300万ドル、検索広告による売り上げは4%減の4億6400万ドルだった。

 2013年通年は、売上高が前年比6%減の46億8000万ドル(TACを除くと1%減の44億2600万ドル)、純利益は65%減の13億6600万ドルだった。2012年の純利益にはAlibaba Groupの株式売却に関連する28億ドルの純利益が含まれる。

 同四半期に買収した企業は、Aviate、PeerCDN、Evntlive、Ptch、SkyPhrase、LookFlow、Bread Labs、Hitpostの8社。

 今後の見通しについては、2014年第1四半期の売上高を11億2000万〜11億6000万ドルとした。

 yahoo 2

 業績発表後の会見は前回同様ストリーミングで行われた。マリッサ・メイヤーCEOとケネス・ゴールドマンCFO(最高財務責任者)の2人に、新たに司会役としてYahoo! Financeのシニアコラムニスト、マイケル・サントーリ氏が加わった。

 yahoo 1マリッサ・メイヤーCEO(左)とコーポレートカラーの紫のシャツを着たケネス・ゴールドマンCFO(右)

 メイヤー氏は会見で、同社のモバイル戦略は順調で、例えば月間モバイルユーザー数が同社のユーザーベースの約半分に当たる4億人になったと語った。「成長したのはユーザー数だけではなく、売り上げも拡大している」と語った(具体的なモバイルからの売上高は不明)。

 質疑応答でエンリケ・デカストロ氏の退任について質問されたメイヤー氏は「彼は同社に合わなかった。とても残念だ」と答えた。

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世界スマートフォン出荷台数、初の10億台超え──IDC調べ

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 米調査会社IDCは1月27日(現地時間)、2013年第4四半期(10〜12月)の世界スマートフォン市場に関する調査結果を発表した。

 同四半期のスマートフォンの総出荷台数は、前年同期比24.2%増の2億8440万台だった。2013年通年の総出荷台数は前年比38.4%増の10億420万台で、年間出荷台数が初めて10億台を超えた。

 第4四半期の携帯電話全体の総出荷台数(4億8840万台)に占めるスマートフォンの割合は58.2%だった。

 メーカー別出荷台数のトップ4の順位は前回の調査と同じだったが、トップ2社の韓国Samsung Electronicsと米Appleのシェアは減り、廉価版端末が主力の中国Huawei、Lenovo、韓国LG Electronicsが2社のシェアを奪った。

 スマートフォンの出荷拡大の主な要因は大画面と低価格で、特に低価格が差別化要因になっているとIDCは指摘する。中国やインドなどの新興国市場は150ドル以下のスマートフォンにシフトしているという。

 Appleが前日発表した同四半期の決算では、iPhoneの販売台数は過去最高だったが粗利益率は下がっており、新興国市場での旧モデル販売などが増加していることを示した。

2013年第4四半期のメーカー別世界スマートフォン出荷トップ5(単位:百万台)
順位メーカー名3Q13出荷台数3Q13市場シェア(%)3Q12出荷台数3Q12市場シェア(%)出荷台数伸び率(%)
1Samsung82.028.866.729.122.9
2Apple51.017.947.820.96.7
3Huawei16.45.810.54.656.5
4Lenovo13.94.99.44.147.3
5LG13.24.68.63.853.2
その他107.937.985.937.525.6
合計284.4100.0229.0100.024.2
(資料:IDC)

2013年通年のメーカー別世界スマートフォン出荷トップ5(単位:百万台)
順位メーカー名2013年出荷台数2013年市場シェア(%)2012年出荷台数2012年市場シェア(%)出荷台数伸び率(%)
1Samsung313.931.3219.730.342.9
2Apple153.415.3135.918.712.9
3Huawei48.84.929.14.067.5
4LG47.74.826.33.681.1
5Lenovo45.54.523.73.391.7
その他394.939.3290.540.135.9
合計1004.2100.0725.3100.038.4
(資料:IDC)

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「マクラーレンやフェラーリと同じ」、「トミーカイラZZ」は1台1台を職人が手作り

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「トミーカイラZZ」とグリーンロードモータースの小間裕康氏

 電気自動車(EV)ベンチャーのグリーンロードモータースは2014年1月28日、東京都内で会見を開き、EVスポーツカー「トミーカイラZZ(ズィーズィー)」を公開した。併せて、2013年4月に受注を始めた第1期分の33台に続き、第2期分に当たる33台の受注も開始した。その後、第3期分として33台を受注することにより、限定99台を生産する予定である。価格は税別で800万円。

 なお、第1期で受注した第1号車の納入は2014年春ごろになる見通し。今回の第2期の受注分は1年以内に納車する計画だ。

「トミーカイラZZ」とグリーンロードモータースの小間裕康氏「トミーカイラZZ」とグリーンロードモータースの小間裕康氏(クリックで拡大)

 グリーンロードモータースは京都に本拠を置く企業であるため、これまでトミーカイラZZの実車は京都もしくは大阪でしか見ることができなかった。今回、東京で初公開した後は、2014年2月1日から六本木のカーグッズセレクトショップ「Le Garage(ル・ガラージュ)」で実車展示を行う。そして同年4月からは赤羽橋のパートナー企業の施設で常設展示する計画である。

 グリーンロードモータース社長の小間裕康氏は、「スポーツカーは、加速性能、軽さ、乗員のヒップポイントの低さが重要視される。当社が開発したEVプラットフォームトミーカイラZZは、時速0〜100kmの加速時間が3.9秒、車両重量が850kg、ヒップポイントが227mm。大排気量のエンジンを搭載するスーパーカーと同等以上の加速、軽自動車並みの車両重量の軽さ、走りをダイナミックに感じられるヒップポイントの低さを実現した」と語る。

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sp_140129glm_05.jpgsp_140129glm_06.jpgsp_140129glm_07.jpg「トミーカイラZZ」の外観と内装(クリックで拡大)

京都府舞鶴市でEVプラットフォームを量産

 トミーカイラZZは、電動システムやリチウムイオン電池パックなどを収めた独自開発のEVプラットフォームに、樹脂製のボディカウルを組み付けた構造になっている。グリーンロードモータースは、トミーカイラZZの製造/販売の他に、このEVプラットフォームも外販していく考えだ。

 小間氏は、「既にアジアや欧州などの海外企業からEVプラットフォームに関する問い合わせを受けている。会社の立ち上げから3年間活動を進める中で、EVプラットフォームに用いるモーターや電池セルなどの個別の部品を供給するサプライヤのネットワークがかなり充実してきた。顧客との交渉では、EVプラットフォームとともに、このサプライヤのリストも確認してもらっている」と説明する。

 2014年11月には、京都府舞鶴市にあるアルミニウム部品の溶接を得意とする小阪金属工業の工場で、EVプラットフォームの本格量産を始める。「本格量産の立ち上げに時間がかかり過ぎているように思われるかもしれないが、マクラーレンやフェラーリのスポーツカーと同様に、1台1台を職人の手作りで製造することになる。そのための準備期間だと考えてほしい」(小間氏)という。

電池コストは3年で3分の1に、今後はさらに下がる

 小間氏に、トミーカイラZZの次に開発するEVの構想について聞いたところ、以下のような回答が返ってきた。

 「どういった車両を開発するかについては話せないが、充電インフラの整備と走行距離の短さというEVの2つ課題が克服されつつあることが、大きな影響を与えるだろう。充電インフラについては、2015年度末までに、ガソリンスタンドの数よりも多くのEV用充電器が国内に設置される見込みだ。10km圏内に1台はEV用充電器があるという状態になるので、もはや大きな問題とは言えない。一方、走行距離の短さは電池コストが高過ぎることに起因しているのだが、コスト削減は年々進んでいると感じている。例えば、当社が3年前に創業したときと比べて、現在の電池コストは3分の1くらいになっている。Tesla Motorsなどの成功例や、EV用リチウムイオン電池工場の量産規模の拡大も手伝って、今後もさらに電池コストは下がるだろう。このため、次期モデルのEVを量産するころには、コスト増に陥ることなく、内燃機関車と同程度の400k〜500kmという走行距離を実現できるはずだ」(同氏)。

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「VAIO Fit 11A」――11.6型“2in1”新モデルを徹底検証 Bay Trail-Mの実力は?

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ココが「○」
・“3 VIEW STYLE”のコンパクトボディ
・高品位な液晶、スピーカー、筆圧ペン対応
・11.6型の新型VAIOでは求めやすい価格
ココが「×」
・約1.28キロと11.6型VAIOでは重め
・VAIOモバイルノートでは駆動時間がやや短い
・Haswell搭載の上位機より性能は控えめ

はじめに:Bay Trail-M搭載でコンパクトな変形型モバイルPC

tm_1401_fit11a_r_01.jpgソニーの新しい11.6型2in1デバイス「VAIO Fit 11A」。写真は通常のクラムシェルノートPCスタイル(ソニーは「キーボードモード」と呼ぶ)

 2014年春、新たな“2in1”がVAIOのラインアップに加わった。この「VAIO Fit 11A」は、液晶ディスプレイをクルッと回転させて裏返す、ソニー独自の変形機構により、3つのスタイルで使える「VAIO Fit A」シリーズ最小の11.6型モデルだ。

 同シリーズは、これまで15.5型の「VAIO Fit 15A」、14型の「VAIO Fit 14A」、そして13.3型の「VAIO Fit 13A」を展開してきたが、ここに11.6型モデルが追加されたことになる。画面が小さくなったぶん、ボディが小さく、薄く、軽くなり、アーキテクチャも変更することで、購入しやすい価格帯におさめているのが見逃せない。

 製品コンセプトは13.3型以上のモデルと同様だ。一般的なPCユーザーにとっての使いやすさを意識した2in1デバイスで、テーマとして「従来型クラムシェルノートPCの機能と使い勝手を100%確保」しつつ、それに加えて「スタイルチェンジによる新しい体験ができること」を掲げている。そのために「マルチフリップヒンジ」と呼ぶ液晶回転機構を開発し、通常のクラムシェルノートと同じ「キーボードモード」のほか、「ビューモード」に「タブレットモード」と、3つのスタイル(ソニーは“3 VIEW STYLE”と呼ぶ)を簡単に切り替えて使うことが可能だ。

 一方、VAIO Fit 11Aでは、カジュアルさやアフォーダブル(購入しやすい)であることを強く意識しており、基本システムもHaswellこと第4世代Coreではなく、Bay Trail-Mの名で開発が進められてきた新しいモバイル向けのPentium/Celeronを採用している。タブレットでの採用例が多いAtom Z3770(開発コード名:Bay Trail-T)などと同じSilvermontアーキテクチャを採用したエントリーモバイル向けのSoC(System on Chip)だ。

 Bay Trail-Tとの違いは主にインタフェース部分で、メモリサポートがDDR3Lであったり、Serial ATA 3Gbps、PCI Express 2.0をサポートするなど、タブレットに特化したBay Trail-Tに比べて汎用(はんよう)性が高く、省電力よりは性能方向に振った仕様となっている(InstantGoには対応しない)。また、OSは64ビット版Windows 8.1だ(現状でBay Trail-T搭載機のOSは32ビット版に限られる)。

 店頭販売向けの標準仕様モデルはコストパフォーマンスを重視した1モデル「SVF11N19EJS」のみの展開だが、ソニーストアで購入できるVAIOオーナーメード(VOM)モデル「SVF11N1A1J」では、よりハイスペックな構成を含めて、主要パーツやソフトウェアの有無をカスタマイズしてオーダーできる。今回はVOMモデルの最上位スペック構成(試作機)を入手できたので、性能や使い勝手をチェックしていこう。

ボディと製品概要:クールなデザインは健在 画質と音質にもこだわり

tm_1401_fit11a_r_02.jpgtm_1401_fit11a_r_03.jpg本体サイズは約285(幅)×198(奥行き)×16.5〜19(高さ)ミリ、重量は約1.28キロだ。粗めのヘアライン加工で仕上げたアルミニウムの天板とキーボードベゼル/パームレストの2枚の板を強調した独特のデザインを採用する。画面反転の軸となる、天板中央部に走る1本のラインが目を引く(写真=左)。通常のVAIOノートと異なり、液晶ディスプレイのヒンジ付近にダイヤモンドカットで反射光が輝く「VAIO」ロゴが配置されている(写真=右)
tm_1401_fit11a_r_04.jpgtm_1401_fit11a_r_05.jpgソニーではクラムシェルノートPCと同じスタイルを「キーボードモード」と呼んでおり、そこから天板のラインを軸に、画面をクルッと反転させると「ビューモード」になる。ビューモードは、対面する相手に表示を見せたり、映像コンテンツを視聴したりするのに最適だ
tm_1401_fit11a_r_06.jpgtm_1401_fit11a_r_07.jpgビューモードの画面を倒して畳めば「タブレットモード」になる(写真=左)。11.6型ワイド液晶は1920×1080ドット表示に対応し、画素密度は約190ppi(pixel per inch:1インチあたりのピクセル数)と、通常利用でドットの粗さが気にならない精細さだ。広視野角のIPSパネルに専用カラーフィルターを導入して色域を広げた「トリルミナスディスプレイ for mobile」、液晶パネルと表面ガラスの間にクリアな樹脂を挟んで空気層をなくし、コントラスト感とタッチ精度を高めた「オプティコントラストパネル」を採用する。一方、大型モデルが搭載する超解像技術を含む映像高画質化エンジン「X-Reality for mobile」は、CPU処理性能の関係から省かれた。画面の上部には、"Exmor R for PC" CMOSセンサー搭載の92万画素カメラ、カメラランプ、モノラルマイク、照度センサーも内蔵する。キーボードモードでは、約135度まで画面のチルト角度が調整可能だ(写真=右)
tm_1401_fit11a_r_08.jpgtm_1401_fit11a_r_09.jpg6列仕様のアイソレーションキーボードは、打ちやすさにこだわり、VAIOの薄型ノートPCにしては深めとなる約1.35ミリのキーストロークを確保した。横キーピッチは約16.95ミリ(縦キーピッチは実測約16.5ミリ)と広くはないが、レイアウトは自然で長文入力も可能だ。剛性が高く、入力時のたわみもない。キーボードの右上には「ASSIST」ボタン(サポートツールの「VAIO Care」を起動)がある。大型モデルはキーボードベゼル/パームレストがアルミニウム製だが、VAIO Fit 11Aは樹脂製だ。それでも塗装は上質で高級感があり、剛性の面でもまったく不安はない。VOMモデルはLEDバックライト付きのキーボードを選択可能(写真=右)。周囲が暗くてもキー入力が行える
tm_1401_fit11a_r_16.jpgtm_1401_fit11a_r_17.jpg左右ボタン一体型のタッチパッドは90(横)×55(縦)ミリと十分な広さがあり、指の滑りは良好だ。シナプティクス製のドライバを導入し、2本指でのスクロールや拡大/縮小機能が標準で有効になっている(画像=左)。もちろん、右端からのスワイプによるチャーム表示など、Windows 8.1のジェスチャー操作も可能だ。音質面では、xLOUD、CLEAR PHASE、S-FORCE Front Surround 3D、VPT、Voice Zoom、Sound Optimizerといったソニーおなじみの音響効果技術を導入。これらの効果をインテリジェントに適用するClearAudio+モードを搭載しており、音楽/映画コンテンツをそれぞれに最適な音質で楽しめる(画像=右)
tm_1401_fit11a_r_10.jpgtm_1401_fit11a_r_11.jpgキーボードモードで液晶ディスプレイを閉じた状態の見た目は、クラムシェルノートPCそのものだ。前面には端子もボタンもなく、電源とバッテリーの状態を示すインジケータのみを備える(写真=左)。背面の左端には、音量調整ボタンも配置している(写真=右)。タブレットモードを意識し、「VOL」のプリントが逆向きとなっているのは、VAIO Fit 13Aと同じだ。音量調整はキーボードの「Fn」キーと「F3」または「F4」キーの同時押しでも行なえる
tm_1401_fit11a_r_12.jpgtm_1401_fit11a_r_13.jpg左側面は手前から、左スピーカー、SDメモリーカードスロット、排気口、ACアダプタ接続用のDC入力がある(写真=左)。右側面は手前から、右スピーカー、ヘッドフォン出力、USB 3.0、USB 3.0(電源オフチャージ対応)、HDMI出力、電源ボタンが並ぶ(写真=右)。通信機能はIEEE802.11b/g/nの無線LANとBluetooth 4.0+HSを備えている
tm_1401_fit11a_r_14.jpgtm_1401_fit11a_r_15.jpg肉厚のソリッドなアルミニウム板で構成された天面のデザインは、大画面モデルと同様だが、サイズがコンパクトで持ち運びやすい(写真=左)。写真のカラーはブラックだが、シルバーとピンクも選べる(店頭モデルはシルバーのみ)。底面もノイズを極力排除し、シンプルに仕上げている(写真=右)。表面はザラっとした手触りで、VAIO Fit 13Aほど上質な触り心地ではない。中央の手前側にNFC、奥側に799万画素カメラを搭載している。カメラは高感度撮影に強い"Exmor RS for PC" CMOSセンサーを採用した
tm_1401_fit11a_r_18.jpgtm_1401_fit11a_r_19.jpg10点マルチタッチのタッチ操作に加えて、専用デジタイザスタイラス(筆圧対応ペン)での描画にも対応。VAIO Duo 13などVAIO共通の筆圧対応ペン(256段階)がオプションで用意されている(写真=左)。液晶のオプティコントラスト技術、そしてペンの先までセンサーを内蔵した独自のペン構造によって、視差を最小限に抑えており、精細な描画が可能だ(写真=右)。フォトレタッチソフトはPhotoshop Elements 12が付属するが、同ソフトをはじめ、プロ向けのPhotoshop CCとIllustrator CCについても、ペン入力の筆圧機能にアップデートで対応する予定だ(アップデートは2014年春を予定)
tm_1401_fit11a_r_20.jpgtm_1401_fit11a_r_21.jpg内蔵バッテリーの駆動時間は約8時間、充電時間は約3時間(いずれも公称値)。付属のACアダプタはVAIO Fit 13と同じだ(写真=左)。実測でのサイズが39(幅)×104(奥行き)×27(高さ)ミリ、電源ケーブル込みの総重量が214グラムと、持ち運びは苦にならない。出力仕様は19.5ボルト/2アンペアだ。USBポートタイプの出力(5ボルト/1.0アンペア)も装備し、スマートフォンなどを同時に充電できる。オプションとして、ACアダプタのUSBに接続して使える小型無線LANルータを用意(写真=右)。スティック型ACアダプタのような細長い形で、合体したまま持ち運べる

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