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テクノロジーと人間が一体となる時代、知の巨人「梅棹忠夫」が予見していたもの

 「ライフハック」に関心のある読者であれば、梅棹忠夫氏の名前は知っている人も多いはずだ。民族学者・人類学者であった氏が1969年に刊行した『知的生産の技術』は、40年以上経った現在でも版を重ね多くの人に読み継がれている。知的生産の為に思い付いたアイデアをカードに全てを記録し、「こざね」と呼ばれる紙片にその要素を書き写す。そして思考を整理するそのスタイルは、ITが発展した現代にも通じるものだ。

 2013年12月16日、大阪ナレッジキャピタルで『知的生産の技術』を振り返り、氏の発想法、思考法を再確認した上で、現代に通じるものにしていこうという意欲的なイベントが行われた。今後も定期的に開催されるこのイベントのキックオフの模様をお伝えしたい。

 本企画のきっかけになったのは、2011年から12年にかけて大阪・東京で開催された「ウメサオタダオ展—未来を探検する知の道具—」だ。梅棹忠夫氏が設立に尽力した国立民族学博物館の小長谷有紀(こながやゆき)教授、ウメサオ展でインタラクティブな展示を手掛けたATR Creativeの高橋徹チーフプロデューサーらが中心となっている。

梅棹忠夫は「情報」が何かを知っていた

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 冒頭、趣旨説明の中でこれまでの取り組みとしてウメサオタダオ展でのインタラクティブ展示を紹介した高橋氏は、『知的生産の技術』を初めて読んだとき、梅棹忠夫は「情報」がどういうものなのか、その本質を捉えていることに衝撃を覚えたという。そんな梅棹氏が編み出した技術——例えばカードを使った情報の記録、再活用を展示の中でどのように体験してもらえるかに知恵を絞り、それをウメサオタダオ展にも反映したという。例えば、他の来場者が作成したカードをディスプレー上で見ることができたり、デジタル化されたカードを、あたかもキャビネットから拾い上げられたりするようなUIを用意した点だ(展示期間中はiOS向けアプリも無料提供した)。

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『情報の文明学』
『情報の文明学』糸井重里氏が「ほぼ日の父」と評する「情報の文明学」も梅棹忠夫氏によるものだ

 「梅棹忠夫は情報学の創始者と言え、世代は違えどもアラン・ケイや、スティーブ・ジョブズ、マーク・ザッカーバーグらと歴史的に並び立つべき存在だ」と高橋氏は力説する。そんな日本発の知の巨人をぜひ高等教育の中でも紹介されるように、この会の活動を通じて働きかけて行きたいと抱負を語った。

徹底した記録が生み出す知的生産

 梅棹氏と共にモンゴル研究を行い、現在は氏の著作や資料の整理・再編も主導しているのが、国立民族学博物館の小長谷有紀教授だ。小長谷氏は、「今では当たり前になっているプリント写真に日付を入れることを考案したのは梅棹氏」といったエピソードを紹介しながら、梅棹氏がどのように記録に情熱を注いでいたのかを語った。

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 「知的生産の技術とはある種の思想だ」と小長谷氏は指摘する。さまざまな自然環境、文化・文明を横断する旅でもあったモンゴルでの綿密なフィールドワークは、のちの「文明の生態史観」につながっていくのだという。

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『文明の生態史観』
『文明の生態史観』フィールドワークを通じて得た知見から、当時一般的だった「日本対西洋」という考え方を否定し文明論に大きな影響を与えた

 コンピュータがまだ普及していなかった時代に、フィールドワークの記録をノートからカードに取ることで断片化し、まとめておくスタイルを確立した梅棹氏は「整理魔・記録魔だった」(小長谷氏)。さらにカードごとにふさわしい題(タイトル)を付け、インフォーマント(調査対象者)を記号化(付番)。出典を明記するといったことを徹底することで、後からそれらの記録を特定のテーマで抽出し、振り返り、新たな知的生産につなげることが可能になったのだという。

 Evernoteのような情報管理アプリが活用できる私たちにも、学ぶ点が非常に多いと取材した筆者も認識を新たにした。小長谷氏は今後も梅棹氏の資料や逸話を紹介しながら、現代の知的生産の技術の構築に役立てていって欲しいとプレゼンテーションを締めくくった。

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DVD搭載でも軽い12.5型“2in1”Ultrabook、InstantGoモデルも――「Let'snote MX3」

Let'snote SXとAXのイイトコ取りから生まれた新シリーズ

 パナソニックは1月15日、ノートPCとしてもタブレットとしても利用できる2in1(コンバーチブル型)のUltrabook「Let'snote MX3」を発表した。2014年2月14日に発売する。価格はオープン。

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12.5型フルHD液晶搭載の2in1 Ultrabook「Let'snote MX3」。光学ドライブを内蔵したボディだが、液晶ディスプレイが360度回転し、タブレットスタイルでも利用できる

 Let'snote MX3は、光学ドライブ搭載のモバイルノートPC「Let'snote SX」と光学ドライブ非搭載の2in1 Ultrabook「Let'snote AX」から、それぞれの特徴を取り込んだ新シリーズ。光学ドライブを内蔵し、12.5型フルHD液晶ディスプレイが360度回転する変形機構も備えていながら、重量を約1.198キロに抑えた。12.5型以上の液晶を搭載するコンバーチブルPC(2in1)において、世界最軽量をうたう(2013年1月14日/同社調べ)。

 本体サイズは301.4(幅)×210(奥行き)×21(高さ)ミリ。Let'snoteシリーズということで堅牢性にも注力しており、76センチからの落下試験(底面/動作時)、100kgf(重量キログラム)の加圧振動試験(非動作時)などをクリアした頑丈ボディだ。軽さと強さを両立するため、カーボン含有のマグネシウムダイキャストをパームレスト面に、新工法の3層サンドイッチ構造(カーボンの間に発泡材を挟んだ2層発泡プリプレグ)カーボンを天面に採用している。バッテリーはホットスワップに対応し、電源を落とさずにバッテリー交換が可能だ。

 前面の光学ドライブは、トレイ式の軽量DVDスーパーマルチドライブを採用。姿勢制御を組み込んだ専用ドライブを開発し、水平(0度)だけでなく、90度、180度、270度でも再生が可能だ。これにより、液晶を折り返したタブレットスタイルで手に持ったままDVD再生を行うといったシーンにも対応できる。書き込みは0度のみの対応で、一定角度の傾きを検知すると、回転速度を抑制、記録動作を制止する仕様だ。

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側面に収納できるスタイラスペンは先端が2ミリと細い

 側面には専用のスタイラスペンも内蔵。筆圧検知には対応しないが、先端が2ミリと細いペンで細かな操作や手書き入力が行える。液晶ディスプレイ表面の静電容量式タッチセンサーの微細化や、液晶ディスプレイのブランキングタイムに信号を読んでノイズの影響を減らすといった工夫で、細いペン先での入力に対応した。設定変更により、手袋でのタッチ操作も行える。

 キーボードは19(横)×15.2(縦)ミリのキーピッチ、2ミリのストロークを確保したリーフ型キーボード、ポインティングデバイスは10フィンガー対応のタッチパッドを採用する。液晶ディスプレイは1920×1080ドット表示の12.5型ワイドIPSパネル、タッチパネルは10点マルチタッチ対応だ。

 通信機能はIEEE802.11a/b/g/n/ac、WiMAX、Bluetooth 4.0、1000BASE-Tの有線LANを標準搭載。SDXC対応のSDメモリーカードスロット(UHS-I/UHS-II)、USB 3.0×2、HDMI出力、アナログRGB(D-Sub)出力、音声入出力端子、フルHD Webカメラ、ステレオマイクなどを備えている。

 店頭向けラインアップは、基本スペックとソフトウェアの違いで3モデルを用意。最上位モデルのCF-MX3TEABRは、Core i7-4500U(1.8GHz/最大3.0GHz)、8Gバイトメモリ、256GバイトSSD、64ビット版Windows 8.1 Proを搭載し(Office非搭載)、バッテリー駆動時間は約14.5時間だ。実売価格は27万円前後の見込み。

 中位モデルのCF-MX3SEGJRは、Core i5-4200U(1.6GHz/最大2.6GHz)、4Gバイトメモリ、128GバイトSSD、64ビット版Windows 8.1、Office Home and Business 2013を搭載し、バッテリー駆動時間は約15時間となる。実売価格は22万5000円前後の見込み。

 下位モデルのCF-MX3SEBJRは、CF-MX3SEGJRからOfficeを省いた構成で、実売価格は20万円前後の見込みだ。

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純正オプションとして、ディスプレイののぞき見を防止する「プライバシーフィルター」(写真=左)、タブレットスタイルで背面に位置するキーボードを隠して違和感を減らす「キーボードカバー」(写真=中央)、本体を安定して持つことができ、不意の落下を防ぐ「ハンドストラップ」(写真=右)などが用意されている
Let'snote MX3店頭モデルの概要(その1)
シリーズ名モデル名タイプ従来比較CPUメモリHDD/SSDOS実売価格
Let'snote MX3CF-MX3TEABR (シルバー)2in1 Ultrabook (2スピンドル)新シリーズCore i7-4500U(1.8GHz/最大3.0GHz)8GB256GB SSD64ビット版8.1 Pro27万円前後
CF-MX3SEGJR (シルバー)2in1 Ultrabook (2スピンドル)新シリーズCore i5-4200U(1.6GHz/最大2.6GHz)4GB128GB SSD64ビット版8.122万5000円前後
CF-MX3SEBJR (シルバー)2in1 Ultrabook (2スピンドル)新シリーズCore i5-4200U(1.6GHz/最大2.6GHz)4GB128GB SSD64ビット版8.120万円前後
Let'snote MX3店頭モデルの概要(その2)
シリーズ名モデル名液晶解像度チップセット光学ドライブGPUOffice重量
Let'snote MX3CF-MX3TEABR (シルバー)12.5型ワイド1920×1080(タッチパネル対応、ペン対応、IPS)CPU統合DVDスーパーマルチCPU統合(HD4400)約1.198キロ
CF-MX3SEGJR (シルバー)12.5型ワイド1920×1080(タッチパネル対応、ペン対応、IPS)CPU統合DVDスーパーマルチCPU統合(HD4400)Home and Business 2013約1.198キロ
CF-MX3SEBJR (シルバー)12.5型ワイド1920×1080(タッチパネル対応、ペン対応、IPS)CPU統合DVDスーパーマルチCPU統合(HD4400)約1.198キロ

Webモデルは「InstantGo」モデルを用意

 なお、同社直販サイト「Panasonic Store」で2月14日に同時発売するWeb販売モデルでは、vPro対応のCore i7-4600U(2.1GHz/最大3.3GHz)、最大512GバイトのSSD、LTE(Xi)、64ビット版Windows 7 Professionalダウングレード、ブラックの本体色、グレーに近い落ち着いた青のカラー天板(SPRING HAZE)など、ハイスペック寄りの構成を用意している。

 さらにLet'snoteでは初めてWindows 8.1の「InstantGo」に対応したモデル「CF-MX3HDXBP」を3月13日に発売する予定だ。Core i7-4600U(2.1GHz/最大3.3GHz)、8Gバイトメモリ、512GバイトSSD、IEEE802.11a/b/g/nの無線LAN(有線LANは非搭載)、LTE、64ビット版Windows 8.1 Proを搭載し、本体色はブラックとなる。

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片手で4K ソニーから4K対応機などハンディカム新製品

 ソニーはデジタルビデオカメラ“ハンディカム”の新製品として4K記録可能な「FDR-AX100」ならびに、フルHD対応の「HDR-CX900」「HDR-PJ800」「HDR-PJ540」「HDR-CX535」「HDR-CX420」を1月24日より順次販売開始すると発表した。いずれも価格はオープン、各製品の特徴ならびに実売想定価格は以下の通り。

製品名特徴実売想定価格
FDR-AX100高画質モデル、4K記録対応、1型センサー22万円前後
HDR-CX900高画質モデル、1型センサー15万円前後
HDR-PJ800スタンダードモデル、動画有効画素数614万、空間光学手ブレ補正、プロジェクター11万円前後
HDR-PJ540エントリーモデル、空間光学手ブレ補正、プロジェクター8万円前後
HDR-CX535エントリーモデル、空間光学手ブレ補正7万円前後
HDR-CX420ベーシックモデル6万円前後

4K撮影可能な「FDR-AX100」

 片手で持てるサイズの小型ハンディカムとしては初めて、4K(3840×2160ピクセル)記録に対応。センサーには大型の1型 Exmor R CMOSセンサー(総画素2090万画素)を搭載しており、バリオ・ゾナーT*レンズと相まって高画質を実現した。

 記録フォーマットにはAVCHD(拡張子 .M2TS)のほかXAVC S(.MP4)も採用しており、4K記録時にはXAVC Sとなる。4K記録時のフレームレートは30P/24P、ビットレートは60Mbpsとなっており、同じく4K記録可能なハンディカムである「FDR-AX1」とは差別化が計られている(AX1はフレームレート60Pでの記録が可能なほか、ビットレートも最大150Mbpsとなっている)

 フルHD映像を再生/編集時に切り出す機能を備えており、テレビなど再生環境が4K対応していなくとも、4K撮影した映像の一部をズームしてフルHD映像として出力することが可能だ。

 1型センサーは従来機種「HDR-PJ790」(1/2.88型センサー搭載)比で約6倍の受光面積ほ持つことから高感度・低ノイズでの撮影を可能としており、組み合わせる画像処理エンジン「BIONZ X」は高い処理能力からデジタル特有の輪郭強調を抑え、高感度時でも低ノイズでの記録を行える。

 レンズは光学12倍(動画撮影時 35ミリ換算29〜348ミリ相当)の「ZEISS バリオ・ゾナーT*」で、7枚羽根の虹彩絞りによって美しいボケを表現する。NDフィルターも2枚を内蔵しており、明るい屋外でもシャッタースピードを上げずに滑らかな映像を撮影できる。ズームレバーはシーソー式を採用している。

1型センサーの高画質モデル「HDR-CX900」

 4Kモデル「FDR-AX100」と同じく1型センサーを搭載したフルHDモデル。レンズもAX100と同じく、光学12倍(動画撮影時 35ミリ換算29〜348ミリ相当)の「ZEISS バリオ・ゾナーT*」を搭載する。4Kでの記録には対応しないがXAVC Sでの記録が可能で、XAVC Sでの記録時には約50Mbpsという高ビットレートでの録画が可能となっている(AVCHD時は最高28Mbps)。

プロジェクター輝度アップ「HDR-PJ800」

 スタンダードモデルの「HDR-PJ800」は既存モデルに比べ、プロジェクター機能を中心に強化した。プロジェクターの輝度を既存モデルの20ルーメンから50ルーメンへと向上させ、明るい場所でも撮影した映像を投影して楽しめる。

 センサーは1/3.95型 Exmor Rで有効画素数は614万画素(動画撮影 16:9時)。レンズは光学12倍の“Gレンズ”で、レンズ群とCMOSセンサーを1ユニットとしてまとめて駆動することで高い補正能力を持つ手ブレ補正機構「空間光学手ブレ補正」も従来モデルに引き続き搭載する。

空間光学手ブレ補正でブレない「HDR-PJ540」「HDR-CX535」

 「HDR-PJ540」「HDR-CX535」はいずれもスタンダードモデルに位置づけられる製品で、HDR-PJ540はプロジェクター(輝度は25ルーメン)を搭載する。いずれも30倍ズームレンズに空間光学手ブレ補正を備えており、撮影時の手ブレに強いのが特徴だ。PJ540はボルドーブラウンとホワイト、CX535はブラウン、ブラック、ホワイト、ピンクの4色を用意する。

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「HDR-PJ540」(写真=左)、「HDR-CX535」(写真=右)

よりブレなくなったベーシック「HDR-CX420」

 シリーズベーシックモデルの「HDR-CX420」は空間光学手ブレ補正こそ搭載しないが、これまでの光学式手ブレ補正にブレの発生した前後のフレームを解析する処理を加えることでブレを抑えた映像を撮影できる「インテリジェントアクティブモード」を新搭載した。センサーは1/5.8型 Exmor R CMOSセンサー(動画記録時有効画素数229万画素)で、ベーシックモデルながらも5.1chマイクを搭載しており、迫力ある音声を記録できる。

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「動く! Snapdragon 805」に「抗菌! Gorilla Glass」

「Adreno 420」の性能を2014 CESで公開

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2013年11月に発表した「Snapdragon 805」の動作デモを行っていた

 Qualcommは2014 CESで2013年11月に発表したSnapdragon 805の動作デモを公開した。Snapdragon 805は、2013年11月に発表したQualcommのモバイルプロセッサーで最新、かつ、最上位のモデルになる。800から805と型番一桁の違いでマイナーバージョンアップと思ってしまうが、統合するCPUコアは、新世代のKrait 450をクアッドで実装し、グラフィックスコアにも新世代のAdreno 420を実装するなど、従来のSnapdragon 800から世代を一新している。

 Krait 450の動作クロックは最大でSnapdragon 800の2.3GHzから2.5GHzに上がったが、それ以上にQualcommはグラフィックス処理性能の向上を重視している。発表当時、Qualcommは、Adreno 420の性能についてSnapdragon 800シリーズに実装するAdreno 330と比べて最大40パーセント向上すると説明していた。2014 CESのブースでは、ベンチマークテストを用いた具体的な数値による比較は行っていなかったが、それでも、複雑なテクスチャと膨大な数のポリゴンで構成した3DグラフィックスをSnapdragpn 805搭載のMDP(Mobile Development Platform)で、スムーズに動かすデモによってパフォーマンスを示していた。


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ポリゴンの数を増やして複雑なテクスチャを貼り付けても、Snapdragon 805に実装したAdreno 420はスムーズにレンダリングを行っていた

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Adreno 420は、3840×2160ピクセルの高解像度もサポートしているが、Qualcommブースは強力なグラフィックス処理性能を生かして快適なゲーム環境をSnapdragon 805(または、Snapdragonシリーズの上位モデル)で実現できることをアピールしていた

触り放題のタッチパネルだから抗菌のGorilla Glass

 Corningは、2014 CESにあわせて、抗菌作用を持つカバーガラス「Antimicrobial Corning Gorilla Glass」(以下、抗菌Gorilla Glass)を1月6日(現地時間)に発表しているが、同社の2014 CESブースでは医療実験器具を用いたデモで、タッチパネルカバーパネルにおける抗菌作用の必要性をアピールしていた。

 抗菌Gorilla Glassは、ガラス成分に銀イオンを配合してガラス表面に埋め込むことで、Gorilla Glass自体に抗菌作用を持たせるだけでなく効果が長期間持続するという。また、銀イオンを配合しても、Gorilla Glassで重要な耐久性(破壊的なひび割れを抑える)に変化はないと関係者は説明している。

 展示ブースでは、来場者がタッチパネルに触れただけでどれだけの雑菌が付着するのかを、医療実験器具を用いて示すデモや、Gorilla Glass以外のカバーバラスで抗菌作用を持たせた製品では、長期間の使用においてガラス面が変色する一方で、抗菌Gorilla Glassでは経年変化が発生しないことを実証した見本などで、優位性を示していた。

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Corningのブースでは、タッチパネルに来場者が付着させた雑菌の数をカウントしたり、同じ抗菌作用を持つカバーガラスで経年変化を比べたりと、理科実験的雰囲気に満ち満ちていた

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レゴで物語の世界を作る──想像力など育むブロック教材「StoryStarter」発売

 レゴ エデュケーションは、レゴブロックを活用した言語教育教材「StoryStarter」を4月から全国の小中高を中心とした教育機関向けに発売する。手元でレゴの組み立てを楽しみながら、想像力や論理力、コミュニケーション能力などをバランスよく伸ばすことができるという。

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物語を想像し、主要なシーンをレゴで組み立てる

 グループでディスカッションしながら物語を作り、写真や文章でプレゼンテーションするワークショップのためのキット。対象年齢は7歳以上で、小学校の国語や中学校の英語の授業などでの利用を想定する。

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コマ割りを決め、写真や背景画像、スタンプなどで装飾してプレゼンテーションを作成

 キットは、キャラクターや小物、樹木や建物など1144個のパーツの入ったコアセット、専用ソフトウェア「StoryVisualizer」(Windows/Mac/iOS)、指導者向けカリキュラムガイドで構成。創作した物語の主要なシーンをレゴで組み立てて撮影し、コミック風/新聞風/おとぎ話風などのテンプレートを使い、PCやタブレットから写真や文章、セリフを入れ込んでプレゼンテーション用資料を作成する。ソフトウェアは、今後他のタブレットOSにも対応予定という。

 物語を練る想像力、順序立てて伝える論理力、グループで取り組むコミュニケーション能力、資料作成まで含めたプレゼンテーション能力、デジタルツールへの親しみ、積極的・自発的に課題に取り掛かる学習モチベーションなど、「グローバル人材に求められる能力をバランスよく伸ばすことができる」(須藤みゆき日本代表)という。国内で2017年までに1万5000キット、2500校への導入を目指す。

 レゴ エデュケーション最高責任者ヤコブ・クラウ氏は「自ら手を動かすことで学習効果向上を目指すのはもちろん、何より主体的に学びを楽しんでもらえる。『やった、今日は学校に行ける!』とレゴを使った授業を待ち遠しく思う子どもを増やしたい」と話している。

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レゴ エデュケーション最高責任者ヤコブ・クラウ氏(右)と須藤みゆき 日本代表(左)

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新世代ビジネスPCの最適解──2in1+「光学ドライブ内蔵」で提案するパナソニックの狙い

「光学ドライブを内蔵」──ビジネスPC「Let'snote」の新シリーズ「MX3」登場

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12.5型サイズ/1.198キロのボディに“光学ドライブ”を内蔵した「Let'snote MX3」。12.5型ディスプレイ搭載コンバーチブルPCにおいて世界最軽量を実現した

 パナソニックは1月15日、モバイルPC「Let'snote」シリーズの新モデルを発表。タブレットにもなるコンバーチブルスタイル、かつ光学ドライブ内蔵で“世界最軽量”(12.5型コンバーチブル2in1として 2014年1月14日時点、パナソニック調べ)とする新シリーズ「Let'snote MX3」を中心に、2014年春商戦向けモデル全4シリーズを刷新した。

 昨今、タブレット/スマートデバイスの普及と利用シーンの変化にともない、業務でPCを使用するビジネスユーザーにとってもPCのあり方、そしてその機能やスタイル、望まれる使い方が変わりつつある。タブレットは「タッチ操作と閲覧・表示」を担い、PCにはタブレットの使い方に加え、それではカバーしにくい「作成・クリエイティブ用途=生産性の向上」の特性がこれまでに増して強く求められるようになっている。


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パナソニック AVCネットワークス社ITプロダクツ事業部の原田秀昭事業部長「2013年のLets'note販売数は、2014年に控えるXPマシンのリプレースと消費増税対策需要を含め、(まだ年度は終わっていないが)約2ケタの持続的成長となる見込み。特に国内市場は法人販売の比率がより高まっている」・今回の新シリーズは、光学ドライブ内蔵クラムシェルPC「SXシリーズ」と2in1スタイルPC「AXシリーズ」のよいところを融合して誕生した

 Let'snoteは、これまでも業務シーンへの導入を強く追求するビジネスPCシリーズとして「軽量」「長時間」「高性能」「タフ」を特長に展開。2012年にタブレットスタイルにもなるコンバーチブルスタイルの2in1モバイル「Let'snote AX」シリーズを投入し、「新しい使い方を望むビジネスユーザー」をフォローしてきた。PCとしてもタブレットとしても、プレゼンテーションや会議用途、対面して説明するシーンを中心に、11.6型サイズで小型軽量ボディのLet'snote AXシリーズは総じてその層に高い評価を得てきたが、ユーザー意見には「ここもこうしてくれれば」の声もあった。

 その声は「2in1+タッチ&ペン操作」と「光学ドライブ」。ピュアタブレットではなく、PCを選ぶからには「あえて使うのであれば、もっと生産性を高めてほしい」というニーズだ。昨今、薄型/軽量化が進むノートPC/Ultrabookは光学ドライブを搭載しないモデルがほとんどで、個人シーンではもう不要/あるいは外付けでカバーすればよい──とする人もいるが、資料の閲覧・読み込みや配布、会議・対面説明時など、ビジネスシーンには光学ドライブ内蔵のニーズがまだ多く、特に内蔵していることが重視される。新シリーズのLet'snote MX3はこの声を反映し、ドライブ内蔵のクリエイティブモバイルPC「Let'snote SX」シリーズ、2in1スタイルの「Let'note AX」シリーズのよいところを融合し、12.5型の2in1スタイルにあえて「光学ドライブ」を内蔵した。

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業務で使用するLet'noteユーザーの声として、これまでの基本ポイントはそのままに、「2in1」と「光学ドライブ内蔵」が求められていると判明。このため、タブレットにもなる2in1スタイルの薄型軽量ボディに「光学ドライブを内蔵」した

 ただ、光学ドライブを内蔵したため重く、大きくなってしまいました──では許されない。これを「世界最軽量」のプラスαの特長でまかなう。「軽量」「長時間」「高性能」「タフ」Let'noteシリーズに共通する特長はそのままに、Let'snote AXシリーズとは異なる新素材の「カーボン強化マグネシウムダイカスト(UHD合金)トップケース(キーボード面パネル)」を、さらに「3層サンドイッチ構造(2層発泡プリプレグ)のカーボン天板」を新たに開発し、面強度を確保しつつ、軽量化、薄型化を図った。12.5型液晶搭載コンバーチブルPCにおいて世界最軽量(2014年1月14日現在、パナソニック調べ)とする1.198キロの軽量ボディを実現する。

 内蔵する光学ドライブも、約115グラムの一般的な部品からシェルケースの廃止、ケースの穴開け加工など独自カスタムを施すことで約35グラムの軽量化を果たしつつ、加速度センサーと専用ファームウェアで姿勢制御する専用ドライブにより、さまざまな持ち方で運用するタブレットスタイルでも普通に使用できるよう工夫した。光学ドライブはこれまで水平設置のみでしか使用できなかったが、傾けても、裏返しても使えるよう、本体の傾きを検知し最適な回転速度に抑制制御する仕組みだ。

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軽量化を推進するため、ボディに軽量肉薄を実現できる新素材を採用。さらに光学ドライブも独自のカスタムを施して搭載する

 タッチ操作に加え、ペン操作/入力も昨今の新しい使い方をするビジネスシーンに望まれる機能だ。Let'snote MX3は、市販の静電ペンより細い約2ミリのペン先に工夫した専用の静電先細ペンを採用し、細かな操作と細かな描写ができるよう機能を盛りこんだ。ペン入力には筆圧検知も行えるデジタイザー方式もあるが、ビジネスシーンに望まれる「手書き文書の作成/回覧時チェック文字の記入」といった使い方とペンを軽量化できることを重視し、この方式が選ばれた。もちろん本体にペンを収納して携帯できる機構も設けている。

 そして、キーボードの入力性は「PCとしての」作業性/生産性の向上に欠かせないもの。Let'snote MX3は、Ultrabookながら2ミリと深めのストローク+19ミリ横ピッチ仕様と、ベーシックノートPCの標準サイズに近い感覚のキーボードを採用し、“打ちやすい/機能を損ねていない”とビジネスユーザーへ訴求する。見た目のキーの高さは標準的な薄型Ultrabookと変わらない印象だが、キートップをアッパーパネル面よりさらにクッと深く押せる構造とし、ストロークを確保したという。

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書きやすさ向上のため、独自の工夫を取り入れた先細仕様の静電ペンを採用。ペン記入のシーンにはもちろん、タブレットスタイル時の細かい操作も容易に行える。キーボードは深めの2ミリストローク、標準サイズ同等の横19ミリピッチを実現。「より打ちやすい」点も訴求する

 最後に長時間動作。内蔵バッテリー(2セル)と着脱バッテリー(4セル 7.2ボルト/4800mAh)のWバッテリー仕様とし、標準で約15時間動作を実現する。着脱対応のためスペアバッテリーを用意してさらなる長時間動作が可能、かつ内蔵バッテリーがあるため電源オフなしにバッテリー交換(ホットスワップ)も行えるのがポイントだ。

 このほか、タブレットスタイルで安定・安心して本体を保持できるよう「ハンドストラップ(1000円)」と「キーボードカバー(1500円 銀/黒)」の純正オプションも開発した。キーボードカバーはタブレットスタイルやディスプレイを200度以上に開いて使用するスタンドスタイル時にキーボード面を覆う樹脂製のカバー。キーボードとタッチパッドはディスプレイを210度以上に開くと自動オフとなるので誤動作の心配はないが、手にするとゴツゴツ当たる/スタンドモードで机面に当たるのが不安とする声を反映して用意した。

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2セル内蔵/4セル着脱対応のWバッテリー仕様にて、標準で最大15時間の長時間動作をサポート。ホットスワップ+スペアバッテリーでの運用により動作時間をさらに延長できる。オプションで「ハンドストラップ」「キーボードカバー」も用意する


 業務シーンに望まれるPCとは何か。個人シーンではタブレットの普及によりPCは次第に廃れていくなどという声が聞かれるが、そのタブレットで表示するコンテンツの作成、ひいては創造する作業を担う業務シーンのPCにおいては、逆にこれにも増して重要。昨今、個人向けも法人向けもさまざまなマルチシーン対応機器が登場しているが、いずれも細分化が進むユーザーニーズをいかにカバーするかが背景にある。そして、2014年はWindows XPサポート終了、2014年4月の消費増税など、PC購入を促すタイミングも後押しし、業務PCの販売も好調だという。

 この点、長らく主に業務シーンとニーズに沿って開発してきたLet'noteシリーズが示す方向は「PC業務がベース」であることは変わらず、新しいスタイルも「すべて業務シーンのため」と明確だ。どれを選べばよいか分からない企業導入層にとって、利用シーンも使い勝手も“分かりやすい”のはかなり助かる提案になるはずだ。「Let'snoteは顧客のニーズを聞きながら、時代に合わせて進化してきた。顧客の仕事を止めない、顧客の新たなビジネスをサポートする適切なツールを──とするLet'snoteの根底のテーマは今後も変わらない」(パナソニック AVCネットワークス社ITプロダクツ事業部の原田秀昭事業部長)。

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eコマースの将来を握る技術要素とは

 Webは既に消費者の生活に深く入り込んでおり、今後も浸透が進んでいく——。ホリデーショッピングシーズンにおける消費者の購買行動からも明らかだ。

 米国では、年末商戦期の初日とされるブラックフライデー(11月第4木曜日に当たる「感謝祭」の翌日)のモバイル端末による売り上げが急増している。繁華街に軒を連ねる小売店や量販店が追い込みを掛けている一方で、eコマースサイトではアクセス数も売り上げも急激に伸ばしているのだ。

 われわれは現在、非常に変化の激しい時代に生きている。顧客の期待は変化し、eコマースに関連する機能やテクノロジーは急速に進化を続けている。

“ウィンテル”はまだ終わらない――クラウド注力が追い風に

 IT担当者は、データセンターを刷新して高度なクラウドコンピューティング環境に対応させる際、ウィンテル(Wintel:Windows+Intel)サーバハードウェアをベースにしたスケールアウト戦略を採用することが多い。プロプライエタリなサーバのスケールアップを避けてのことだ。

 これは米Hewlett Packard(HP)や米IBMのRISCベースシステムには逆風だ。そこで両社はサーバロードマップの再構築を進めている。

 IT担当者がウィンテルを選ぶ主な理由は、初期コストと隠れたコストなどコスト面で有利だという判断と、新しいプラットフォームに移行することでデータセンターチームにとってなじみがないベンダーと付き合うリスクを回避するためだ。

UNIX市場を揺るがすXeonチップの存在


社会を支えるセキュリティの役割が増す――トレンドマイクロ 大三川副社長

—— ビジネスにおいて2013年はどのような1年でしたか。

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大三川氏
トレンドマイクロ取締役副社長の大三川彰彦氏

大三川 2013年は当社にとって創業25周年の記念すべき年でした。この25年間に当社は、セキュリティのエキスパートとしてデジタル情報を安全に交換できる社会の実現に取り組んできましたが、その知見や経験がこれまで以上に必要とされる時代が始まったと感じています。

 われわれは「3つのC」、クラウドおよび仮想化、サイバー攻撃、コンシューマライゼーションを切り口として、情報にまつわるリスクに着目し、ソリューションを提供してきました。以前から(ネットワークの)入口対策や出口対策の重要性が指摘されますが、今ではそれらを含めて複合的にセキュリティ対策を講じなくてはなりませんし、対策に必要な情報を得るための基盤も、問題解決策を提供することも不可欠です。

 クラウドおよび仮想化ではVMwareやAmazon Web Servicesなどとの協業をさらに強化し、コンシューマライゼーションでは安全で利便性の高いファイル共有を実現する企業向けファイル共有ソリューションも発表しました。

 特にサイバー攻撃の対策では「カスタム ディフェンス」というコンセプトのもと、3年前から個々の企業や組織に応じて仕組まれる高度な攻撃に対し、「検知・分析・適応・対処」のサイクルによって個々の企業や組織に最適化した防御を提供する複合的なソリューションの提供に取り組んできました。2013年は大手企業や官公庁のお客様を中心に、本格導入が始まりました。標的型サイバー攻撃対策製品である「Deep Discovery」は広島県庁や沖縄県教育委員会をはじめとする多くの企業や組織で採用されたことは、2013年の大きな成果の一つです。

 ただし、当社だけで全ての対策を提供できるわけではありません。また、標的型攻撃は一部の大企業や公的機関だけが狙われるという認識がまだ根深いのも事実です。リスクを感じていても対策のアプローチが分からないというところもあります。われわれはパートナー企業や世界のセキュリティ機関などとの連携を通じ、お客様にとって最適なソリューションを提供していける充実した体制づくりにも取り組んでいます。

—— 2014年のセキュリティビジネスではどのような点に注目し、取り組まれますか。

大三川 セキュリティの専門家として引き続き、最先端のセキュリティ技術を開発し、お客様の環境を守るソリューションの提供に注力していきます。今ではさまざまなツールや技術がありますが、万一の際にどう行動すれば良いか、処方箋はあるのかといったことも含めて対応できる存在はあまりいないでしょう。その点でトレンドマイクロは、この25年間にお客様の安全を支える新しいソリューションを先駆けて提供してきました。

 そうしたソリューションの礎に「Trend Micro Smart Protection Network(SPN)」という技術基盤があり、2014年はこれを強化します。SPNは、世界中から収集した脅威に関連する大量のデータを共有・分析し、独自のクラウド技術と分析手法を駆使してソリューションを物理や仮想、クラウド、モバイルといった環境にクラウドから提供しています。

 2014年は、SDN(Software Defined Network)やSDDC(Software Defined Data Center)といったソフトウェア定義型のコントロールやIoE(Internet of Everything)も大いに注目されるでしょう。クラウドや仮想化といった領域ではわれわれは、SPNを巨大なデータセンター上でSPNを運用しており、データセンターや仮想化環境における技術の検証や実験にも取り組んでいますし、セキュリティの課題も見つけることができるわけです。これから企業に広がるであろうハイブリッドなIT環境に求められるセキュリティモデルとは何かといったことも提示できると考えています。

 IoEではあらゆるものが情報をインプット・アウトプットするようになり、インターネットを通じて情報を集約・活用する仕組みも登場します。家庭にはネット接続環境がありますが、これからはもっと多くのものがつながり、ユーザーはそうしたことを意識せずに利用するようになります。IoEによってそれが社会全体に広がっていきます。それに応じてセキュリティの脅威も拡大するでしょう。

 つまり、いろいろなところに混乱を引き起こす因子が存在するということになります。それをだれが守るのかという点はありますが、少なくても混乱が起きないために脅威を監視していく必要はあります。また、多くのネット接続機器に管理ツールが付属していますが、ユーザーが意識しなければ使われませんし、パッチを適用するということすら忘れられてしまいがちです。それが社会全体に広がると、いったいどうなるでしょうか。

 このように、セキュリティの脅威に備えるために必要なことがあらゆるところに広がっています。セキュリティの専門家には今まで以上にその役割が高まっていくでしょう。

—— マネジメントでの心構えや2014年の抱負をお聞かせください。

大三川 当社はチャレンジ精神を大事にしています。失敗しても、チャレンジすることで成長につながりますから、新しいもの・ことをもっとスピーディーにキャッチし、全社員でチャレンジして、成長していきたいですね。そして、われわれのミッションを通じて社会にも貢献し、そのことに誇りにして活躍してほしいですね。

 トレンドマイクロは日本を中心にグローバル展開している企業です。ですので、日本からグローバルに進出されるお客様やパートナーとグローバル市場でご一緒にしたいと思います。

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パロアルト、クラウド型仮想サンドボックス機能を強化

 パロアルトネットワークスは2014年1月15日、アプリレベルでの可視化機能を特徴とするファイアウォール製品「PAシリーズ」用OSの最新バージョン、「PAN-OS 6.0」を発表した。疑わしいファイルをクラウドに送信して仮想サンドボックス上で解析する「WildFire」の強化により、解析可能なファイルの種類が拡大したほか、DNS通信のモニタリングによる悪意あるドメインの検出が可能になっている。

 同社は、いわゆる次世代ファイアウォール製品であるPAシリーズを提供してきた。ポート単位だけでなくアプリケーション単位、さらにはそのアプリケーション内で利用できる機能単位でトラフィックを識別し、ユーザーやコンテンツとひも付けながら制御できることが特徴で、PAN-OSはその基盤OSだ。同時に、PAシリーズで捕捉した疑わしいファイルを、パロアルトが構築したクラウド基盤上の仮想環境で実行させ、振る舞いを解析してマルウェアかどうかを判断できるサブスクリプションベースのサービス、WildFireも提供している。

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パロアルトネットワークス 技術本部長 乙部幸一朗氏

 新バージョンのPAN-OS 6.0では、主にWildFire関連の機能を強化した。検査対象をこれまでのEXE/DLL形式だけでなく、標的型攻撃の最初の突破口としてよく使われるPDFやMicrosoft Office、Javaといったファイルにも広げた。「PDFファイルやOfficeドキュメントは、マルウェア本体を引き入れる“ドロッパー”としてよく使われる。裾野を広げることで、マルウェアにひも付くこうしたものも見つけることができる」(同社技術本部長 乙部幸一朗氏)。

 同時に、WildFire上に用意する仮想サンドボックス環境も、従来のWindows XPに加えて、Windows 7とAndroidを追加した。「これまでもAndroid向けマルウェアをシグネチャで検出することはできたが、サンドボックスによりAndroid向けの新たな標的型攻撃を見つけ出せる」(乙部氏)。

 さらに、DNS通信をモニタリングすることで、マルウェアを配布する悪意あるサイトへの接続をブロックしたり、代理応答を返してボットなどに感染した端末を洗い出す機能を追加した。顧客の許可を得て、オプトイン方式でDNS通信をモニターし、悪意あるサイトのドメイン名を含むクエリが見つかるとブロックする。ドメイン名のリストは、WildFireの解析結果などから作成する仕組みだ。さらに、悪意あるドメインを検索しようとするクエリには疑似アドレスを返し、感染端末の特定と封じ込めを支援する。

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 乙部氏は、「従来から提供してきたアプリケーション制御などの対策に、新版で追加された機能を組み合わせることにより、脆弱性を突く攻撃や、これまで見たことのない攻撃に対し、多層的な防御アプローチを提供する」と説明した。

 なお乙部氏は、オンライン入力機能を備えた日本語入力システム(IME)を介して、意図せず入力内容が外部に送信されてしまっていた問題に関して、「Baidu IMEなど、どれか特定のIMEが問題なのではない。そもそも企業として、『ユーザーが何を使っており、どんなトラフィックが流れているか』を把握できているか、コントロールできているかがポイントだ」と指摘した。Dropboxをはじめ、外部との情報共有が可能なクラウドアプリが広く普及している中、「まず、使われているアプリを可視化し、ログを残し、端末を特定しておくことにより、何かあったときにすぐトラックして対応できる状態を整えておくことが重要だ」と述べている。

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TechTargetジャパン

HP、Android搭載ファブレットでスマートフォン市場に再参入

 米Hewlett-Packard(HP)は1月15日(現地時間)、Android搭載の大画面スマートフォン「Slate6 VoiceTab」と「Slate7 VoiceTab」を発表した。2月にインドで発売する計画という。

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 hp

 モデル名から推測できるように、Slate6は6インチ(1280×720)、Slate7は7インチ(1280×800)のIPSディスプレイを搭載するいわゆる“ファブレット”だ。

 同社は昨年4月、Android搭載タブレット「HP Slate7」を米国で発売しているが、通話機能を搭載するAndroid端末はこれが初。同社は2010年に米Palmを買収し、2011年にPalmのモバイルOSであるwebOSを搭載するタブレット「TouchPad」でタブレット市場に参入したが、その後webOS事業を打ち切った

 Androidのバージョンは4.2.2(コードネーム:Jelly Bean)で、サポートするネットワークは3G(LTE非対応)とスペックはかなり低く、デュアルSIM仕様と新興国市場向けになっている。ストレージは16Gバイトで、32Gバイトまで拡張可能なmicroSDカードスロットを備える。2台のカメラ(画素数は不明)と前面にステレオスピーカーを搭載する。プロセッサの詳細も不明だ。

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「21.5インチiMac」――グラフィックス強化で「新生FF14」も楽しめるオールインワンPC

ココが「○」
・Haswell世代のCPUを搭載
・グラフィックス性能を強化
・エッジ5ミリの超薄型ボディ
ココが「×」
・2.5インチHDD(5400rpm)を採用
・最大ストレージ容量は1Tバイトまで
・2012年モデルに比べて価格が高い

はじめに:Haswell世代に進化した定番オールインワンPC「21.5インチiMac」

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21.5インチiMac(ME086J/A)

 アップルの「iMac」は、継ぎ目の見えないアルミの外装をまとう美しいボディラインが特徴の液晶一体型PCだ。ディスプレイのエッジ(最薄部)をわずか5ミリまで絞ったボディはいかにもアップルらしいデザインで、発売当時の販売ランキングを見ても分かるように、Mac/Windowsの区別なく、液晶一体型PCカテゴリの定番モデルとして人気を集めている。

 2013年9月に発売された最新モデルは、前述のアルミボディや、フルラミネーション技術(ディスプレイとガラスの間の隙間をなくす加工法)、パネルの個体ごとにキャリブレーションを行うことで実現した薄く高品位なディスプレイなどを引き継ぎつつ、内部システムを刷新している。

 具体的には、CPUが第3世代Core(Ivy Bridge)から第4世代Core(Haswell)に移行し、グラフィックス機能もHaswell内蔵グラフィックスまたは、モバイル向けの外付けGPUがGeForceの600番台から700番台に強化された。

 ラインアップは従来同様、21.5型と27型の2ライン構成で、それぞれクロックの異なるクアッドコアのCore i5を搭載する。価格は13万8800円からと、円高の影響を受けた2012年モデルに比べてやや高価になった印象はあるものの、仕事も含めて幅広い用途に対応するアプリケーションをプリインストールしており、購入して電源ケーブルを1本つなげばすぐに使い始められるオールインワンPCとしての魅力は健在だ。

 ここでは最も安価なエントリーモデル「ME086J/A」を取りあげる。ME086J/Aは外付けGPUを搭載しない代わりに、Haswell世代の内蔵グラフィックスで上位グレード(GT3e)にあたる「Iris Pro 5200」を利用する仕様で、どの程度のパフォーマンスを発揮できるのか気になるところだ。それではチェックしていこう。

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CPU-Zの画面。CPUにCore i5-4570R(2.7GHz/最大3.2GHz)を採用する。内蔵GPUは4次キャッシュとして128MバイトのeDRAMを搭載する「GT3e」(Crystalwell)だ

ボディと製品概要:エッジわずか5ミリの超薄型アルミボディ

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1920×1080ドット表示に対応するIPS方式の広視野角パネルを採用する。パネル表面は光沢仕様だが、2012年モデルで低反射処理が強化され、映り込みは大きく抑えられている。もちろん、写真などを表示した際の発色もいい。外装はアルミ製で、ノート型Macに採用されているユニボディのように前面と背面のつなぎ目が見えない。ただし、iMacのボディは1枚のアルミから削りだしたわけではなく、高い摩擦熱と圧力を利用し、2つのアルミ部材の面にある分子を混合することで実現している

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ボディは背面中央から液晶ディスプレイ部4隅に向かって緩やかに傾斜するデザイン。眺める角度によっては、どこに基板が入っているのか不思議になるくらい薄く見える。iMacの前に座ると「意識するのは画面だけ」「わずらわしく感じるものがなにもない」という体験によって、ユーザーが自分のやりたいことに集中しやすい。液晶ディスプレイ部が薄く、軽いため、ディスプレイの角度を片手で簡単に変えられる。本体サイズは528(幅)×450(高さ)×175(スタンドの奥行き)ミリだ

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ユーザーインタフェースは背面左下にまとめられている。左からヘッドフォン出力、SDメモリーカード(SDXC対応)、USB 3.0×4、Thunderbolt×2、ギガビットLANという内容だ。外付けストレージなど周辺機器を接続するのに十分な数をそろえているが、USB 3.0ポートは間隔がやや狭いため、サイズの大きなUSBメモリなどを利用する際は、となりの端子と干渉する可能性がある(写真=左)。液晶ディスプレイ上部にFaceTime HDカメラを内蔵する。カメラのすぐ上と、背面側に2つのマイク(デュアルマイク)があり、ビデオチャットなどがクリアな音声で楽しめる(写真=右)

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Microsoft、「Windows XP」のマルウェア対策署名更新を2015年7月14日まで延長

 米Microsoftは1月15日(現地時間)、4月8日にサポートを終了する「Windows XP」のマルウェア対策の署名更新を2015年7月14日まで延長すると発表した。サポートの終了予定は変わらない。

 署名更新は、企業顧客の場合はSystem Center Endpoint Protection、Forefront Client Security、Forefront Endpoint Protection、Windows Intuneで、一般ユーザーの場合はMicrosoft Security Essentialsで実施を継続する。

 同社は、この延長は企業などの組織がOSの移行を完了することを助けるためであるが、サポート対象外のOSにおけるマルウェア対策の効果は限定的であるため、迅速に移行するよう推奨している。

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シャープ、3200×1800解像度の15.6型Windowsタブレット──電子黒板と連携、オフィス/教育分野に訴求

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15.6型IGZO液晶搭載Windowsタブレット「RW-16G1」

 シャープは1月16日、ビジネス向けの15.6型Windowsタブレット「RW-16G1」および大型電子黒板「第二世代BIG PAD」4モデルとオフィス/業務機器連携ソリューションを発表。2014年3月より順次販売する。

 主な対象はオフィス全般と教育/文教分野。タブレットを軸にしたスマートデバイス、タッチ操作対応大型ディスプレイ(電子黒板)、ソフトウェア、クラウドサービスを連携させ、「オフィスをフリーアドレス化したい」「スマートデバイスを業務で活用したい」「システムのクラウド化で情報共有の強化と業務速度を高めたい」といったオフィスワーカーが昨今抱える課題に応えるワンパッケージのソリューションとして展開する考えだ。


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電子黒板市場は2014年度5万台規模に伸びると予測。電子黒板(インタラクティブホワイトボード)市場シェアトップのシャープは、オフィス、教育・文教市場に電子黒板+タブレット、連携ソフトウェア、サービスをソリューションとして強く提案していく方針

1.25キロ+高精細IGZO搭載、ビジネス向け15.6型Windowsタブレット

 RW-16G1は、高精細な15.6型IGZO液晶ディスプレイを採用するWindows 8.1タブレット。Core i5-4200U、4Gバイトのメインメモリ、128GバイトのSSD、9時間動作のバッテリー(44Wh)、64ビット版Windows 8.1 Proといった一般的なインテルの第4世代Coreプロセッサー搭載ノートPC/Ultrabookと同等クラスの仕様に、3200×1800ドットと超高精細(235ppi)な15.6型IGZO液晶ディスプレイを採用、かつ厚さ12.5ミリ、重量約1.25キロと薄型軽量なピュアタブレットスタイルに仕上げた。

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15.6型IGZO液晶ディスプレイを採用する「RW-16G1」。普通のWindows 8.1マシンのため、別途キーボード、マウスを用意することで液晶一体型PC(いわゆるオフィスでのメインマシン)として使用できる。3200×1800ドット表示の15.6型ディスプレイにより、A4紙資料をほぼ原寸で表示できる

 15.6型サイズのため、まず「A4資料をほぼ原寸で(さらに高精細に)表示」できるのがポイントだ。ディスプレイは10点マルチタッチ対応の静電タッチパネルに加え、256段階筆圧検知に対応するデジタイザーペンによる文字記入なども行える。ほか、表示したコンテンツに手書きメモを残せる「ペンソフトモバイル」、ペーパーレス会議を実現するミーティング支援ソフト「タッチディスプレイリンク」を同梱し、電子黒板BIG PADシリーズやほかのタブレット、スマートフォンなどオフィス内機器とも連携して使用できる。

 主なインタフェースはUSB 3.0×3(うち1つは電源オフ充電対応)、HDMI(Ver 1.4)出力×1、Mini DisplayPort(Ver 1.2)出力×1、SDメモリーカードスロット、マイク/ヘッドフォン出力×1、200万画素リアカメラ、ステレオスピーカー、内蔵マイクなど。通信機能は802.11a/b/g/n/ac無線LAN、Bluetooth 4.0+HS、NFCリーダー(ISO/IEC 14443 Type A、FeliCa準拠)。ほか加速度、地磁気、ジャイロ、照度の各種センサー、セキュリティチップ(TPM 1.2)+セキュリティロックスロットも実装する。

 本体サイズは382.8(幅)×244.5(奥行き)×12.5(高さ)ミリ、重量は約1.25キロ。価格はオープン、参考価格は25万円前後。

 OSは64ビット版Windows 8.1 Proのほか、Windows 8.1 Proのダウングレード権を用いた32ビット版Windows 7 Professionalプリインストールの構成も選択できる。Windows 7はWindows 8.1と比べるとタッチ操作系など一部機能制限があると想定されるが、法人PCニーズに応えて用意。ドライバ類提供などにて対応するという。

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後述する電子黒板のBIG PADシリーズ、他のWindows PCやタブレット、Android/iOSタブレットと連携したペーパーレス会議システム「タッチディスプレイリンク」を同梱する(写真=左) ディスプレイはさすがIGZO。3200×1800ドットで非常に高精細。PCとしての仕様は現行モバイルPC/Ultrabookと同等クラスで、かなりハイパフォーマンスな感じ。評価機はSSDにSanDisk「SD6SF1M128G」、無線LANモジュールは802.11ac対応の「Intel Dual Band Wireless-AC 7260」が搭載されていた

 なお、2013年12月に発表したIGZOタブレット「Mebius Pad」のブランド名はビジネス向けのため、そしてLTE内蔵における通信事業者/製品分類の都合で用いず、原則として個人向けの単体販売も行われない。大型画面ながらかなり軽量で、デジタイザー搭載+バッテリーもそこそこ持つため、IGZOなペンタブなどとして使うとどうかなと妄想したが残念だ。

”70型/60型の電子黒板「BIG PAD」4モデル

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大型タッチディスプレイ/電子黒板「BIG PAD(PN-L703A)」

 大型タッチディスプレイ/電子黒板「BIG PAD」シリーズは、2012年1月に発表した「80型BIG PAD(PN-L802B)」に続く第二世代版として、70型2モデル(ホワイトボード機能+コントローラ内蔵の有無)、60型2モデル(同)をラインアップに加える。

 70型の「PN-L703A/L703B」は、解像度1920×1080ドット/赤外線遮断検出方式のタッチパネル付きのUV2A技術搭載液晶パネルを採用する。表示画面サイズは1538.9×865.6ミリ、本体サイズは1647(幅)×1010(高さ)×94(厚さ)ミリ(ディスプレイ部のみ)、重量は約61キロ。参考価格はPN-L703Aが約96万円、PN-L703Bが約82万円

 60型の「PN-L603A/L603B」も解像度とタッチパネル仕様は同一。表示画面サイズは1329.1×747.6ミリ、本体サイズは1437(幅)×890(高さ)×94(厚さ)ミリ(ディスプレイ部のみ)、重量は約48キロ。参考価格はPN-L603Aが約77万円、PN-L603Bが約63万円。

 それぞれ、アナログRGB入力×2、HDMI入力×3、DisplayPort入力×1、3.5ミリピン端子音声入力×2、RCA映像入力×1、コンポーネント映像入力×1、3.5ミリピン端子音声出力×1、DisplayPort出力×1、外部スピーカー(10W+10W)、100BASE-T有線LANを搭載する。

 70型/60型モデルともに末尾Aが付くモデルは、電源オンですぐペンで書き込める「ホワイトボード機能」を実装するのが特長の1つ。最大4人の同時記入を可能とし、手書き入力においても、描画速度を従来モデル比で約1.4倍に向上させることでよりなめらかな書き味となるよう改善した。

 ペーパーレス会議システムの母艦として、PCやタブレット(Windows、Android、iOS)などのモバイル機器(最大50台)とワイヤレスで会議資料を共有できる機能(タッチディスプレイリンク2.0)、BIG PAD同士を結び「遠隔地(支社や別拠点など)とも画面共有」、さらに手書き文字をデジタルテキスト化する「議事録作成補助」などの機能も備える。


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BIG PADを軸にスタッフが持ち寄るタブレットやPC、スマートフォンと連携してペーパーレス会議と手書き記入した資料の共有が可能。データはローカルのほかに、どこからでも参照できるクラウドストレージサービス「Data Cabinet Online」などを使い共有保管する使い方もできる

 「国内の電子黒板(インタラクティブホワイトボード)市場は、着々と増えてきている。2012年度の約2.5万台規模に対し、2013年度は約3.9万台出荷を見込み、2014年度は5万台規模に達すると予測する。オフィスではタブレットの業務利用が一般化してきたことでより業務効率を高める方法を取り入れたいとする企業が増えていること、そして教育・文教分野にも強く訴求したい。すべての教室に電子黒板を──というICTを活用した取り組みも各方面で広がってきており、自治体別ではあるが学校の予算が付くならば電子黒板とタブレットを軸にした教育システムの採用例は急速に広がるとみている。電子黒板市場シェアトップメーカーとして、この会議ソリューションは強力にプッシュしていきたい」(シャープ ビジネスソリューション事業推進本部の寺川雅嗣本部長)

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GoogleのNest買収は「モノのインターネット(IoT)」への賭け

 米Googleは、スマートサーモスタット企業の米Nest Labsを32億ドルで買収する計画を発表した。「モノのインターネット:Internet of Things」(以下、IoT)に大きな期待を寄せている。


ドコモ、Tizenスマホ導入を当面見送り 「モバイル環境の変化」

 NTTドコモは1月16日、2013年度内に予定していた「Tizen」OSを搭載するスマートフォンの導入を当面見送ることに決めたと発表した。「モバイル市場を取り巻く環境の変化に鑑み、当面見送ることにした」と説明している。

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Samsung製Tizenスマートフォンのプロトタイプ=2012年

 TizenはLinuxベースのオープンソースモバイルOS。昨年2月、Tizenの普及に取り組むTizen Associationが同年後半にドコモが搭載端末をリリースすると発表。加藤薫社長は「一生懸命開発している」などと述べていたが、ドコモは昨年9月にiPhone販売に参入しており、状況が変化していた。

 ドコモは「引き続きTizen AssociationのメンバーとしてTizen OSの普及に向けて取り組んでいく」としている。

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タブレットはノートPCの代わりになる? ならない?

ビジネスでも無視できない存在のタブレット

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アップルの9.7型タブレット「iPad Air」。今日のタブレットブームは、iOS搭載のiPadファミリーから始まった。現在、国内では最もシェアが高いタブレットだ

 タブレットが急速に普及しつつある。2010年のiPad登場に端を発し、おもにコンシューマー用途を中心に広まってきたタブレットだが、昨今はアプリ、さらにはセキュリティ面などにおいて法人ユースにも耐えうる製品が増えつつある。Androidタブレットの成熟、Windows 8.1タブレットの登場といった動きもあり、法人におけるノートPCの代替として、本格的に注目を集めているというのが現在の流れだ。

 それゆえ、現在使用しているノートPCから、タブレットへのリプレースを検討している法人も少なくないと聞くが、タブレットがあらゆる面でノートPCより優れているかというと、決してそのようなことはない。ブームに乗って社内に導入してみたところ、思っていたような使い方ができず、ノートPCを利用していた頃に比べてむしろ効率を落としてしまったという例もあちこちで耳にする。きちんと理解して導入すれば便利さは折り紙つきだが、過剰な期待ゆえに短所が目立ってしまっているケースもあるようだ。

 今回は、SOHO/中小企業向けのタブレット導入指南の第1回として、ノートPCと比較した場合、タブレットの何が優れていて、一方で何が劣っているのか、まずはそのメリットとデメリットをじっくりと見ていくことにしよう。

 なお、ノートPCとしてもタブレットとしても利用可能な変形型の新しいPCとして「2in1デバイス」(別名:コンバーチブルPC/ハイブリッドPC)という製品群も出てきているが、ここでは話を単純化するため、業務向けに一般的な変形機構がないクラムシェル型ノートPCを中心に比較する。

メリット——可搬性、電池の持ち、即時起動、タッチ、価格など

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ソニーの「Xperia Tablet Z」は、6.9〜7.2ミリ厚で約495グラムと薄型軽量の10.1型Androidタブレット。前述のiPad Airも重量は469グラム(Wi-Fiモデルの場合)と非常に軽い

 タブレットのメリットは数多く存在するが、まず挙げられるのは本体の軽さや薄さといった可搬性だ。

 画面サイズが同等の一般的なモバイルノートPCと比べておよそ半分ほどの重量であることは、外回りで多くの荷物を持ち歩く場合や、移動中に電車やバスの中で立って使いたい場合、大きな利点となりうる。今なら10型クラスで、およそ500〜600グラム前後が標準的だろうか。2013年10月に登場した「iPad Air」などは、500グラムを切っている(469グラム〜)といった状況である。

 特にノートPCでは、たとえ本体が軽量でも、ACアダプタを含めるとそこそこの重さになってしまうことも多い。その点タブレットであれば、たいていの場合はACアダプタが非常に小さく、多くの製品はUSBケーブル1本あれば充電できてしまうのも利点だ。また薄型であることも、バッグへの収まりを考慮した場合、強みとなる。

 そのバッテリーの持ちについては、製品によってばらつきはあるものの、一般的なノートPCをはるかに超える駆動時間を誇る製品は珍しくない。ノートPCの多くはACアダプタによる駆動を前提にしており、たとえモバイル向けのノートPCであっても、丸1日通して使える製品はまだ少ない。長時間駆動を目的に大容量のバッテリーをノートPCで利用すると、今度は重さや厚さが増してしまう。

 その点タブレットであれば、ほとんどの用途において、終日の利用にも問題なく対応する。またiPadのようにバッテリーの持ちがよい機種になると、バッグの中に数日程度入れっぱなしにしておいても、バッテリーの減りがほとんど見られない。こうした長寿命ぶりは、ノートPCの先を行っている。

 起動の速さも利点だ。正確には電源オフ状態からの起動ではなく、スリープからの復帰ということになるが、タブレットはボタンを押すと瞬時に復帰する。起動完了までに数十秒〜数分程度かかるのがざらのWindows 7以前のWindows OSと比べると、まさに雲泥の差と言っていい。

 Windows 8以降のPCは、起動が高速になり、タブレット並の高速復帰をうたう製品もあるが、低価格なHDD内蔵ノートPCまで対応できていないのが現状だ。思い立ったらすぐに使える機動力の高さは、ビジネスシーンでこそ重宝する。

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指によるタッチと、それに最適化されたユーザーインタフェースにより、直感的に素早く操作できるのも特徴になる(写真はiPad Air)

 また、タッチパネルで直感的に操作できることも利点だ。Windows 8以降は、ノートPCにおいてもタッチ対応製品は増えつつあるが、タブレットであればそもそもがタッチ前提に設計されており、利用スタイルからして立ったままの姿勢でタッチ操作を行いやすいので、プレゼンテーションやデモなどで威力を発揮する。

 指でタッチしやすいように、画面上のボタンやアイコンなど1つ1つのサイズが大きく、相対的にフォントなどのサイズが大きくなっているため、視力が弱くても比較的画面が見やすいというのも副産物だろう。

 画面表示の向きを縦横自由に切り替えられるのも、使い方によってはメリットとなる。幅を最大化して文字などをなるべく大きく表示したければ横向き、縦に長いWebページなどで広い領域を表示したければ縦向きのまま使えばよい。プレゼンなどで威力を発揮することも多い。基本的に横向きで表示が固定されているノートPCでは、なかなかこうはいかない。

 最後に価格。コンシューマー用とビジネス用で価格帯は少々異なるが、多くの場合において10万円を超えない予算で(タブレットとして)ハイスペックな製品が入手できるのは、予算の範囲でまとまった台数の導入を考えている側からすると心強い。特に法人の場合は、10万円を超えると固定資産として扱われるケースが多いほか、購入時の決済においても10万円を基準に稟議のプロセスが変わってくるケースがあるので、こうした点からも扱いやすい品と言える。


 では、デメリットは何だろうか?

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2カメラ搭載の“ワイプ撮り”ビデオ「HC-W850M」を試す

 パナソニックのデジタルビデオカメラ「HC-W850M」は、サブカメラを搭載しており主画面の一部に小窓のようにサブ画面を表示させる「ワイプ撮り」(ピクチャーインピクチャー PinP)が楽しめるモデル。β機を入手したので、この「ワイプ撮り」がどのようなものか紹介したい。

 HC-W850M本体はやや大柄といえるが、光学20倍ズームレンズを搭載したデジタルビデオカメラとしては標準的と言えるサイズ。サブカメラは液晶の先端に取りつけられており、回転させることで自動的にサブカメラが起動する(サブカメラのON/OFFは画面タッチでも行える)。

 サブカメラが起動すると画面左下に子画面が表示され、この状態で録画を開始すると、そのまま1画面に映し出されている2つの映像が同時に記録される。サブカメラは35ミリ換算37.2ミリ相当の固定焦点レンズで、メインカメラのレンズ(29.5〜612ミリ相当)よりもやや広角側のセッティングとなっている。

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液晶の先端に用意されているサブカメラ

 サブカメラの記録サイズは大小2段階に切り替え可能で、ワイプの位置も変更できる(標準は左下)。メインとサブの映像はカメラ内で1本の映像として統合して記録されるため。いずれか片方だけの映像を編集するといったことはできない。

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メイン/サブの撮影例

 広角の固定焦点レンズと20倍ズームレンズでの同時撮りとなると、「風景を広角で、主被写体をズームで追う」といった使い方ができるほか、サブカメラのレンズは回転させることができるので、正面と横の風景を広角で撮影する、あるいは撮影者の自分撮りを同時に行うといった使い方もできる。

 これが実に面白く、同じ被写体でもいろいろな撮り方にチャレンジしたくなる。今回はサブカメラを回転させてのメインカメラで被写体、サブカメラで自分撮りというパターンを何回か試したが、結構腕を前に突き出すようにしないと、サブカメラの画面が自分の顔で一杯になるということが分かった。サブカメラの最短撮影距離は30センチなので自分撮りに使えないわけではないが、主目的としては想定されてないようだ。ちなみにマイクは後方についてもかなり集音するので、意識してはっきり話せば、撮影者の声も充分に録音される。

 通常、家庭用ビデオカメラでの撮影というと被写体に集中して撮影するために「被写体のみ」の映像となり、結果的に面白みに欠けるということが起こりやすい。理想をいえば2台以上のカメラで映像を撮って編集することなのだが、それでは家庭用という範囲を超えることになりかねない。

 本製品ならば撮影しながらサブカメラを指でくるっと回すと画面が2画面となるので、映像に簡易的な編集を施したような変化を与えることができる。サブカメラの使用中にはタッチシャッターや自動追尾AFなど一部機能が利用できなくなるなど実装面での甘さは見受けられるが、サブカメラの搭載は“撮ることが面白い”と感じさせてくれるアイディア。次はよりカジュアルな(低価格な)製品へも搭載を進めて欲しいと感じた。アクションカム「HX-A100」のツインカメラ版とかどうですか? パナソニックさん。

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眠る「マシンデータ」を処理、スプランクが国内でのビジネス戦略を発表

 米スプランクは2014年1月16日、日本法人の新カントリーマネージャー就任に合わせ、日本国内でのビジネス戦略を発表した。ビッグデータ処理だけでなく、セキュリティ、学術マーケットでも同社の製品を活用してもらい、売上を2013年の2倍に増やすことを目標とした。

全ての「マシンデータ」をSplunkに

 米スプランクが提供する「Splunk Enterprise」(以下、Splunk)は、ITシステムや各種デバイス、センサーなどから生成されるデータを集約し、それを分析するためのプラットフォームだ。いわゆるビッグデータの解析ツールとしての利用を想定しているが、セキュリティ機器から出力されるログの解析を行うセキュリティ情報/インベントリ管理(SIEM)などの目的でも利活用が可能としている。

 同社はアプリケーション、サーバー、ネットワーク装置、セキュリティ機器などから出力されるシステム由来の情報を「マシンデータ」と定義し、ログだけでなくセンサー情報なども含め処理を行う。Splunkの活用事例として、「あるショッピングサイトにおいて、特定のユーザーがWebサイトにアクセスした。しかしそこでも待ち時間が長く顧客サポートに問い合わせを行ったが、待ち時間が長く問い合わせを断念。その結果、Twitterへサポートに対する悪い印象を投稿した」という一連の流れを追えることをアピールした。

 これらはWebサイトのログ、顧客サポートの記録、TwitterをはじめとするSNSなどの情報をまとめて処理しなければ分からない。Splunkは活動から生まれるデータをリアルタイムで処理し、どこで問題が起きているかを検索によって見つけることができるとしている。

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データには顧客ID、プロダクトID、TwitterのIDなどさまざまなデータが遍在している

 Splunkは当初「Google for the Datacenter」というキーワードでリリースされ、2013年10月には高速化、UI強化を行ったバージョン6がリリースされている。また、HadoopのデータをSplunkにインポート、エクスポート、閲覧が可能となるコネクタ「Hunk:Splunk Analytics for Hadoop」も2013年10月に提供を開始した。

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台湾の金融機関での事例。オンラインバンキングシステムのBI情報だけでなく、マシンのキャパシティプランニングでも活用されている

日本を重要マーケットと位置付け

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Splank Services Japan カントリーマネージャー 中村 賢生氏

 スプランクの日本法人においては、2013年11月にカントリーマネージャーとして中村 賢生氏が就任し、2013年12月には新オフィスへ移転、国内事業を強化している。日本国内においてはパートナーとの協業により、2013年は対前年比で190%成長、100社以上の顧客を持つ。

 国内事例としては、セキュリティ分野において三井物産セキュアディレクションが統合ログ監視システムとしてSplunkを導入し、最大4週間掛かっていたマルウェア感染のインシデント対応を数時間まで短縮した。その他にもスーパーコンピューター「京(けい)」ネットワークのシステム運用での事例や、日立ビルシステムにおける十数万台のエレベーターに対するマシンデータのリアルタイム検索、メンテナンス対応での事例などがあるという。

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三井物産セキュアディレクションの事例。IDS/IPS、WAFなどから出力されるログ10数種類をSplunkで処理する

 中村氏は2014年の戦略として「セキュリティ」「ビッグデータ」の両マーケットにフォーカスするだけでなく、「学術マーケット」にも力を入れると述べる。学術マーケットについてはビッグデータ分析に対応する人材の枯渇を懸念し、Splunkを学生に対し教材として安価に提供するという。

 中村氏は「例えば日本の学術ネットワークを世界の学術ネットワークとSplunkでつなぐことができれば、海外の気象データを日本からSplunkでアクセスすることも可能になる。Splunkを日本の優秀な学生に使ってもらい、分析に役立ててほしい」と述べた。

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電子マネー決済の波、コミケにも――サークル「自転車操業」が導入を決めたわけ

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同人サークル「自転車操業」のブース

 読み取り機にカードやスマホをかざすだけで、商品の購入代金を支払える——。電子マネーは今や、駅の改札をはじめ、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、商店街などさまざまな店舗で使えるようになり、対応店舗は増え続けている。

 しかし、まさかこんなところで電子マネー決済にお目にかかるとは——。その場所とは、2013年12月29日から31日にかけて東京ビッグサイトで開催された一大同人イベント「コミックマーケット85」。このブースの一角から、「シャリーン」「ワオンッ」「ピッ」という、電子マネー決済時特有の音が聞こえてきたのだ。

 そのブースの主はサークル「自転車操業」を運営するかざみみかぜ。氏。同氏のブースには驚くほどの人だかりができており、電子マネーによる決済が行われるたびに歓声が上がっていた。これまで、現金を使わずにモバイルで支払いをする方法としてPayPal HereやSquareのことばかり考えていた筆者にとってはまさに目からウロコの光景だった。

 想像を絶する忙しさと混雑で知られるコミケで、なぜ電子マネーを導入することに決めたのか——。その理由をかざみ氏に聞いた。

同人イベントと電子マネーは相性がいい

 安価で手軽に導入できるモバイル決済といえば、最近ではPayPal HereやSquare、Coiney、楽天スマートペイといったクレジットカード決済サービスが注目を集めている。これらのクレジットカード決済サービスを導入しなかった理由を聞いてみたところ、「同人イベントで頒布される同人誌は数百円単位。例えば500円だけ支払うのに、わざわざクレジットカードを利用したいと思いますか? それに、すべての人がクレジットカードを持っているわけでもありませんしね」(かざみ氏)という答えが返ってきた。

 確かに現状では、少額決済でクレジットカードを利用する人は少ない。コンビニで「おにぎり1個からでも、クレジットカードがご利用になれます」とうたっていても、あまり使っている人を見たことがない。対する電子マネーは、少額決済でもよく利用されているイメージがある。

 「電子マネーなら、気軽に支払ってもらえます。おサイフケータイを利用している人もいますし、交通系のカードは、多くの人が持っています。クレジットカードよりハードルが低いのではないでしょうか」(同氏)

 また最近のコミケには、クレジットカードこそ持っていないものの、日々、交通系の電子マネーを使っている中学生や高校生の参加も増えているという。こうしたユーザーが利用できるという面でも、コミケと電子マネーの相性はよさそうだ。

読み取り機は短期間のレンタルも

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無線タイプのレンタル機器

 筆者が気になったのは、電子マネー決済の導入にかかったコストだ。電子マネー決済サービスを提供するためには、読み取り機や通信回線、それらの機器を稼動させるためのバッテリーなどが必要になる。どれくらいのコストで導入できるのだろうか。

 かざみ氏が利用したのは、ヤマトシステムが開発したマルチ電子マネーサービスだ。同社のサイトには、月額5000円で最低1年間の継続契約が必要と書かれていたが、問い合わせてみると1週間だけのレンタルにも対応していたという。「1週間、5000円(内蔵のauモバイル回線の料金含む)と決済手数料(店舗の契約条件によって異なる)だけで済むんです」(同氏)。ただし、読み取り機を稼動させるためのAC電源をコミケ会場で確保できなかったため、PCなどに給電できるタイプのモバイルバッテリー(1万5000円)を別途購入した。

 今回、自転車操業が販売した同人誌は4点。そのうちの3点が300円で新刊の『同人イベントに電子マネーを紛れ込ませる。』に至っては98円だ。いくらそのうちの3点が電子書籍版だといっても、どれだけ売れても元は取れないように見える。

 「こんなにたくさんの人たちが同人誌を買ってくれても、(モバイルバッテリー代がかかったため)ぜんぜん黒字にはならないですね。でもいいんです。お金を払ってもらっているのに、買ってくれる人が払うたびに『おおーっ!』とか『胸熱!』『いいもの見せてもらいました』と喜んだり、ありがたがってくれるんですから。それだけでも、僕としてはありがたいですし、やったかいがありました」(同)。

 もう1つ筆者が気になったのは、会場の電波状態だ。コミケといえば、たくさんの人が集まるため、電波状態が悪くなることで知られている。決済時の通信でトラブルは起きないのだろうか。

 「この読み取り機にはauの3G回線が内蔵されています。通信は、電子マネーをかざすたびに行うのではなく、ある程度のデータをプールしておいて、1日に何回か情報を送る仕組みになっています。通信しようとしているときに電波状態が悪かったとしても、送信できなかったデータはプールされているので、支払ってもらえない、という事態は起きません。今日、通信できなかったのも1回だけでした」(同)

 支払いのたびに通信しなければならないクレジットカードと異なり、こうした面でも電子マネー支払いは、同人イベントと相性がいいようだ。

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レシート出力にも対応

利用システムは「マルチ電子マネーサービス」

 今回、かざみ氏が利用したシステムは、ヤマトシステムが開発した「マルチ電子マネーサービス」。nanaco、WAON、楽天Edyといったストア系の電子マネーだけではなく、Suica、PASMO、ICOCAなど、交通系の電子マネーにも対応している。

 交通系電子マネーは、ほかの電子マネーに比べて所有率が高いことから、かざみ氏は著書『同人イベントに電子マネーを紛れ込ませる。』で「交通系とそれ以外の2択なら、交通系を取るしかありません」と書いている。交通系電子マネーへの対応を最優先事項とし、借りっぱなし(毎月費用が生じる)ではなく使いたい時だけ借りられ、なおかつストア系電子マネーも使えれば……ということで、たどり着いたのが、マルチ電子マネーサービスだったという。

 実際、かざみ氏のブースで支払いに利用されていたのは、ほとんどが交通系の電子マネーだった。場所が東京だけに、Suica(JR東日本)、PASMO(主に首都圏の私鉄・バスで利用)での支払いが多かったが、ICOCA(JR西日本)やmanaca(主に名鉄などで利用)を利用する人もいた。

電子マネーの導入で生まれるメリットは

 同人イベントで販売者側が現金を扱うのには、さまざまなリスクや課題が伴う。面倒なつり銭の用意や現金の運搬、計算ミス、つり銭の渡し間違いなどだ。つり銭を間違えにくくするため、販売する冊子に500円、1000円といったきりのいい値段を付ける販売者も多い。

 電子マネーを導入すれば、「98円」といった1円単位での価格設定が可能になる上、支払い対応の手間や時間がかからない、計算ミスや釣り銭の渡し間違いを減らせるといったメリットが生まれる。これらは販売側も購入側も享受できる恩恵だ。

 コミケといえば、制作者とファンが顔をつき合わせて冊子を売り買いするのが醍醐味のイベント。手間要らずの電子マネー支払いがコミケで当たり前の光景になる日は、そう遠くないのかもしれない。

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