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クラウド市場のホワイトスペースを「信頼」で切り開く――セールスフォース・ドットコム 宇陀社長

——2013年の振り返りをお願いします。

宇陀社長 当社は2013年、グローバル市場と日本市場の両方で前年比30%強の売り上げ増を実現できました。日本の景気が回復基調に乗ったという一面もありますが、それだけが全ての要因ではありません。当社は2011年から3年連続で業績を拡大しており、景気変動にあまり左右されることなく順調に売り上げを拡大しています。

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宇陀栄次社長

 その理由として1つ言えるのは、企業向けクラウドサービスというビジネスモデルがまだ新しいものだということです。クラウド市場はいわば“発展途上”であり、これから利用が拡大していくホワイトスペースがたくさんあります。そこにうまく食い込めているのが、当社の大きな成長要因と言えるでしょう。

 ただし、クラウドがもたらす「所有から利用へ」という変化は、何もいま始まったばかりのものではありません。建築に例えれば、自社ビルを保有している企業が現在どれだけあるでしょうか? 自ら重厚長大な資産を持つのではなく、必要な分だけ利用したほうが効率がいいという“常識”が、今になってようやくITの世界にも浸透しつつあるのです。

 その上であらためて2013年の事業に関して言えば、日本企業のクラウドに対する認知がこれまで以上に広がり、クラウドに対して慎重な考えを持っていた製造業なども活用に向けて動き始めました。その多くはまだ試行段階ではありますが、今まで“自前主義”を貫いていた企業もクラウドの重要性を大きく認識し始めた1年だったと感じています。

——2013年に苦戦したこと、特に成果を上げたことをそれぞれ教えてください。

宇陀社長 まず大変だったことは、他社のサービスも含めて「クラウド」とひとくくりに評価されてしまいがちな中で、いかに顧客の信頼を獲得するかということです。

 企業が本格的にクラウド導入を検討する際、当然セキュリティ対策などが評価項目となります。そうした中で万一、他社のクラウドサービスで情報漏えいなどの事故が起きてしまうと「クラウドは不安」という漠然としたイメージが市場に広がってしまいます。そこでいかに「セールスフォースのクラウドなら安心」と思ってもらえるかに苦心しました。

 裏を返せば、2013年は「信頼」に関してさまざまな取り組みを進められた1年でもあります。その1例を挙げれば、日本銀行出身者に金融プロジェクト担当アドバイザーに就任してもらったほか、日本郵政の元社長に企業顧問に就任してもらいました。彼らももちろん、当社を「信頼できる企業だ」と評価しているからこそ協力してくれているのです。

 こうした信頼のための取り組みは、今後じわじわと成果を上げていくことでしょう。特に、金融業や製造業などが本格的にクラウド導入を進める上で、サービスや運営会社の信頼性はとりわけ大きな比較検討要素になるはずです。

——2014年の事業目標を教えてください。

宇陀社長 当社は近い将来、日本市場での単年度売り上げ1000億円を突破することを目標としています。2014年はそれに近づくため、これまで以上に中小規模のパートナー企業や各種業界団体との連携を強化していきます。また、中小企業庁と共同で実施している中堅・中小企業のサポートプログラム「ミラサポ」も絶対に成功させる所存です。

 単年度で売り上げ1000億円を目指すといっても、当社はクラウドの会社ですから、特定顧客からの売り上げをその年に一括計上するわけではありません。その翌年も翌々年も継続してサービスを使っていただくことで、実質的には売り上げ5000億円くらいの価値になると見込んでいます。

 こうしたビジネスモデルによって可能になるのが、研究開発に対する継続的な投資です。クラウドサービスの特徴として、顧客がいつでも利用をスタートでき、いつでも終わらせられるということが挙げられます。そのように顧客に自由を与えつつ継続的に利用してもらうためには、日々の研究開発を怠らずにサービスの品質を高めていくことが欠かせないのです。

——最後に、宇陀社長が「組織を率いるリーダー」として絶対に譲れないことをお聞かせください。

宇陀社長 自分に対しても他の社員に対してもそうですが、セールスフォース・ドットコムという会社の評判や信頼を落とすことだけは絶対に許せません。

 私が2004年に当社の社長に就任してから約10年にわたって築いてきた信頼も、たった1人が起こした不祥事によって失われてしまうこともありえます。もし自分が仕事において激怒することがあるとすれば、社員が当社の信頼を損ねるようなことをした時でしょう。

 一度失ってしまった信頼を取り戻すことは簡単ではありません。私自身も普段から言動に気をつけていますし、社員に対する働きかけも積極的に行っています。これからもずっと、お客様からの信頼第一でビジネスを展開していきたいと強く思っています。

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ポイントカードはもう古い? ソーシャル時代の小売業“サバイバル術”

 インターネットから手に入る豊富な情報のおかげで、消費者がこれほどまで情報武装できる時代はない。オンラインレビューや最安値のショップが見つかるWebサイトだけでなく、ソーシャルメディアサイト、ニュースグループ、ブログなどのソースから、商品についてありとあらゆる情報が手に入る。

 小売業者は、ロイヤルティーカードプログラム(会員制のポイントカードプログラム)や高度なCRMシステムを通じて、顧客についての理解を深めようと膨大な時間を費やしてきた。しかし、現在、ロイヤルティーカードやCRMは、ソーシャルメディアからの圧力にさらされている。

Lenovo、Android搭載4Kディスプレイ「ThinkVision 28」を発表

 中国Lenovoは1月5日(現地時間)、7日から米ネバダ州ラスベガスで開催される「2014 International CES」に先立ち、Android搭載4Kディスプレイ「ThinkVision 28」を発表した。

 ThinkVision 28は4K(3840×2160)で輝度300nit(カンデラ毎平方メートル)、マルチタッチ対応の28インチディスプレイ。米NVIDIAのモバイルプロセッサTegraと米GoogleのモバイルOS「Android 4.3」を搭載しており、“エンターテインメントハブ”としても使えるという。

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ThinkVision 28

 Android搭載端末と接続して大画面でコンテンツを表示できる。HDMI、Ehternet、USBポートを備え、Bluetooth 4.0、NFC、Miracast、NFCに対応する。32Gバイトのストレージ(eMMC)、2GバイトのRAM、microSDスロットも備えるので、保存したコンテンツを再生することも可能なようだ。

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 発売は7月の予定で、価格はプレスリリースによると約1199ドルから。

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「その製品1つ作ったらいくら儲かるの? 」に答えられるか――キナクシス

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キナクシス

 海外展開に古くから取り組む日系製造業にとって、サプライチェーンマネジメント(SCM)システムは、多くのITシステムの中でも比較的なじみの深いものだ。生産拠点の海外展開や取引先の拡大、外部委託の拡大などもあり、SCMはグローバル展開を目指す製造業にとってはもはや当たり前のものになっている。しかし、今また“SCMをもう一段引き上げる”動きが活発化している。

 なぜSCMを新たに強化する必要があるのか。また、サプライチェーンを強化することでどういうことをできるようになるのか。SCMおよびS&OPソリューションを展開するカナダ Kinaxis(以下、キナクシス) バイスプレジデント兼ソート・リーダシップのトレバー・マイルズ(Trevor Miles)氏、同プロダクトマネジャーのアンドリュー・ベル(Andrew Bell)氏に話を聞いた。



サプライチェーンを1つの“チーム”に統合

MONOist 製造業にとってサプライチェーンの再強化が求められる状況になっていますが、その要因にはどういうことがあると考えていますか。

マイルズ氏 グローバル化が進む中、市場が拡大し、製品の幅も広がっている。サプライチェーンはさらに広がりを見せる。グローバルに点在するサプライヤーや外部委託先などを含めると、複雑性は大幅に増している。これらの複雑さが、2008年のリーマン・ショック以降の経済危機で、多くの問題点を生み出した。複雑なシステムをうまくコントロールできなかったためだ。

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カナダ Kinaxis バイスプレジデント兼ソート・リーダシップのトレバー・マイルズ氏(右)と同プロダクトマネジャーのアンドリュー・ベル氏(左)

 生産管理には、よりビジビリティ(可視性)とアジリティ(俊敏性)が求められるようになってきている。ERP(Enterprise Resource Planning)はトランザクションを管理し、現状を確認するには非常に便利だが、将来について見通すには不向きだ。現在の製造業にとって重要なのは、先を見通しそれに対応するプランニングだ。ERPでもプランニングの仕組みは提供するケースがあるが、現状では十分な機能を備えているとはいえない。ERPは連携はあるが基本的にはさまざまなシステムの複合体であり、プランニング専門でシングルソリューションが可能なシステムが必要だ。

 例えば、大災害があった時にさまざまな判断を素早く下すためのウォールーム(戦略的決定をする部屋)のような、あらゆる情報が判断可能な状況で集まる仕組みがSCMの理想的な姿だ。

 サプライチェーンはチームスポーツのようなものだ。さまざまなメンバーが1つのチームとして動けるようにならなければ、勝ち目はない。社内のリソースや外部委託先、サプライヤーなどが1つのチームとして動けるようにしなければならない。そのためには今まで分散していた機能を1つに統合していくことが重要になる。

状況に応じたシナリオを用意しておく必要性

MONOist 具体的にはどういう要素が重要だと考えていますか。

マイルズ氏 重要になるのはシナリオプランニングだ。製造業を取り巻く環境において、事業運営に関連するものは、ほとんどがトレードオフの関係になっている。これらの関係を読み解き、判断を下すには、それぞれのシナリオを用意しておくことが必要になる。「どのような時にどういう状況が発生しどのようになるだろう」というシナリオを描き、必要なときにそのシナリオを選択するという仕組みだ。

 例えば、製造部門においては「在庫を削減しなければいけない」ということがミッションかもしれないが、カスタマーサポート部門では「アフターサービスの質を向上し顧客満足度を高める」ということがミッションになるだろう。これらはある部分では、相反するもので、企業としての状況や周辺環境などに応じて、どのようにリソースを配分していくか判断していかなければならない。

 企業を取り巻く情報を総合的に集め、指標に応じて「こうなった場合にこのようにする」というシナリオを用意しておく。そして状況の変化が起こったときにシナリオプランを選択するだけでいいようにするということが素早い意思決定には重要だ。

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Amazon Mayday、ほかの電子書籍リーダーベンダーとの差別化要因になるか

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 AmazonがHDXタブレットライン向けに用意した「Mayday」という機能。Amazonの専任オンラインサポート担当者にユーザーをつなげるインタラクティブ機能だ。この機能により、トラブルシューティング技術を案内したり、デバイスをコントロールしたりできる。Maydayはテック企業が顧客サービスで採るアプローチの手法に革命を起こすだろうか。

 AppleとSamsungは一群の最新デバイスで最高レベルの顧客満足度を享受している。JD Powersの最新リポートでも価格や顧客サービスといった要素がそうした満足度を醸成する要素だとしている。Appleは顧客が確実なトラブルシューティングへの助言やトレーニングも受けられるジーニアスバーの存在によって数年間、トップの地位を保っている。同社の電話システムも数分でサポート担当者にアクセスでき、さらに電子メールでのフォローアップが行われ非常に信頼性が高い。

 テック企業のほとんどはひどい顧客サービスを提供している。例えばKoboは、サポートにおいて、電子書籍リーダー・タブレット業界全体で最悪の企業の1つだ。

 われわれは1時間待たされたり、上位のサポート担当者しか対応できないといわれ、第1段階のサポート担当者から結局電話がかかってこなかったり、電子メールでのフォローが行われなかったことをまくしたてる何千もの顧客を知っている。コールセンターは北米外を拠点としており、ほとんどのサポート担当者は基本的な技術サポートすら提供できない。

 まともな顧客サービスシステムすら持たない電子書籍リーダー/タブレットの販売企業は数百と存在する。それらの企業にコンタクトしようとすると通常はヘルプフォーラムを訪問し、そこでの回答を何日も待つといったことになる。ほかのケースでは、質問を送信するための一般的な電子メールアドレスのみが存在し、メールはしばしば無視されるといったこともある。

 AmazonはMaydayによって、ほかの企業に通告している。Maydayは24時間365日コンタクトできる。サポートと話すにはWebカメラが必要だが、サポート担当者からユーザーは見えず、ユーザーからだけサポート担当者が見える。セッションを開始するにはWi-Fiに接続している必要があり、キャリア回線経由では機能しない。素晴らしい特徴の1つはライブチャットウインドウをタブレット上のどこにでもドラッグでき、それが固定されないことだ。

 確立された顧客サービスの典型の本質は企業にとっては自社と顧客との間に壁を設けることだ。ボイスメールに埋もれたり、電子メールの返信を待つ代わりに、Amazonであればユーザーは数秒で問題を解決できる。

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(翻訳責任について)
この記事はGood E-Readerとの合意の下でアイティメディアが翻訳したものです。翻訳責任はアイティメディアにあります。記事内容に関するお問い合わせは、アイティメディアまでお願いいたします。

Lenovo、1920×1200解像度の8型Windowsタブレット「ThinkPad 8」発表

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8型Windowsタブレット「ThinkPad 8」

 Lenovoは1月5日(現地時間)、米国・ラスベガスで開催されている展示会「2014 International CES」で、Windows 8.1搭載8.3型タブレット「ThinkPad 8」を発表した。

 ThinkPad 8は、10.1型の既存タブレット「ThinkPad Tablet 2」より小型となる8.3型ディスプレイを採用したビジネスシーン向けのタブレット。開発コード名:Bay Trail-Tことインテルのタブレット向けSoC“Atom Z3000シリーズ”とWindows 8.1を基本システムに採用し、1920×1200ドット表示に対応する高精細な8.3型ディスプレイと約430グラムのボディを採用する。独自のフリップ型開閉機構により、システム復帰+800万画素リアカメラで即撮影できる「Quickshot Cover」も用意する。

 主な仕様は、1920×1200ドット表示+10点マルチタッチ対応製でタッチパネル搭載の8.3型タッチディスプレイ、クアッドコアのAtom Z3770、2Gバイトのメインメモリ(LPDDR3)、最大128Gバイトのストレージ、200万画素フロントカメラ/800万画素リアカメラなど。Micro HDMI出力×1、Micro USB 3.0×1、microSDスロット、Micro SIMスロット、ステレオスピーカー(Dolby Home Thaterソフトウェア)、デュアルアレイデジタルマイクなどのインタフェースを備え、3G/LTEデータ通信モジュールも内蔵できる。バッテリー動作時間は約8時間(20.5ワットアワー)。

 本体サイズは132(幅)×224.3(高さ)×8.8(厚さ)ミリ、重量は約430グラム(Wi-Fiモデル)/439グラム(LTE内蔵モデル)。価格は399USドル(日本円換算約4万1640円 2014年1月6日時点)から。発売は2014年1月下旬を予定する。


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専用の「Quickshot Cover」。カバーにはリアカメラ部のみが斜めに開く小窓的なフリップ機構があり、カメラアプリ起動の連動とともに即撮影できる工夫がある(写真=左)。通信機能は無線LANのほか、LTEモジュールもオプションで内蔵可能。無線LANはWi-Fi Miracastもサポートし、Miracast対応ディスプレイ(あるいはMiracastアダプタを装着したディスプレイ/テレビ)へワイヤレス映像出力も行える

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総合力ナンバーワンを目指し、競争力に磨きをかける――通信事業者4社の年頭所感

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、UQコミュニケーションズの4社が、2014年の年頭所感を発表した。

 2013年は、携帯キャリア3社のLTEネットワーク競争が激化した年だった。KDDIは800MHz帯のLTEを全面に打ち出し、ソフトバンクは同社とイー・アクセスのネットワーク利用した下り最大37.5Mbpsの「ダブルLTE」と、下り最大75Mbpsの「倍速ダブルLTE」を開始した。ドコモは1.7GHz帯(1.8GHz帯)で下り最大150MbpsのLTEを開始し、2014年は、LTEのネットワークで音声通話を行う「VoLTE」導入の期待も高まる。また、ドコモがiPhoneの取り扱いを始めたことで、3社でiPhoneが出そろった。2014年はネットワーク、端末、料金、サービスで、各社がどう差別化していくのかに、いっそう注目が集まる。

競争力の強化で「総合力ナンバーワン」を目指す——NTTドコモ

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NTTドコモ代表取締役社長の加藤薫氏

 NTTドコモの代表取締役社長 加藤薫氏は、2013年にiPhoneを導入したことを踏まえ、2014年は「『新しい競争ステージ』における競争力の強化」を最重要課題として取り組み、端末、ネットワーク、チャネルなどあらゆる面での総合力ナンバーワンを目指すとした。

 2013年はLTEネットワークの構築を推進し、通信関連で「人為故障ゼロ」を継続したドコモは、2014年もクアッドバンドの利点を生かした「Strong.LTEネットワーク」の構築を加速していく。サービス面でも「ドコモメール」や「docomo ID」「dマーケット」のさらなる充実を図るほか、新規事業領域として、「健康」「医療関連情報」「学び」などを軸とした展開も考えているという。

 東京五輪が開催される2020年においても通信インフラを担う「使命」を果たすべく、これからも同社のモットーである「スピード&チャレンジ」を続けていく構えだ。

あらゆる分野での他社差別化・成長を——KDDI

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KDDI代表取締役社長の田中孝司氏

 KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は、2014年を「新たな成長ステージを目指す」年にすべく、社員に強く意識してほしいことを3つ挙げた。それが「さらなる『ジブンゴト化』と『スピードアップ』」「リーダー自らけん引役に」「KDDIフィロソフィの実行」の3点だ。

 社員1人1人が会社を変えていくという気概を持つことを示す「ジブンゴト化」は、2013年にも掲げたもの。2014年はそれを徹底し、日々の変化に対応してほしいという。そこで重要となるのが、各職場におけるリーダーの姿勢だ。中長期的な視点で「KDDIグループに必要なことは何か」を考え、自部門がやるべきことに率先して取り組む姿を示してほしいとげきを飛ばす。

 こうした社員力と組織力の向上を目指すベースとなるのが、新たに定めた「KDDIフィロソフィ」だ。その具体的な内容は、「高い志」と「具体的な目標」を掲げ、それを「成功するまであきらめずにやり抜く」こと。新たな成長ステージを目指すために、全社一丸となって粘り強く仕事に取り組む1年にしていくと意気込む。

新しい仲間と成長・進化を続ける——ソフトバンク

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ソフトバンクモバイル代表の孫正義氏

 2013年は売上、利益において過去最高を更新したソフトバンク。同社代表取締役社長の孫正義氏は、「『情報革命で人々を幸せに』という当社の経営理念を、世界へ向けて本格的に実現していく第一歩として」、これからも挑戦と進化を続け、「モバイルインターネット世界No.1」を目指すという。

 前年は外部調査でネットワークの面で「スマホのつながりやすさNo.1」および「高速通信の速度No.1」となった同社。グループ会社であるイー・アクセスとウィルコムの合併により、「今まで以上に強力なモバイルインターネット企業グループとして、お客さまの多種多様なニーズに対応」していくという。また、sprint、supercell、ブライトスターの子会社化などにより、業績・業容が大きく拡大したこともあり、「新しく加わった仲間とともにグループ一丸となって挑戦し続け、情報通信の世界に革新をもたらすことで、人々の生活と社会をより豊かなものにしていきたい」と考えを示した。

通信サービスをさらに強化 UQコミュニケーションズ

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UQコミュニケーションズ 代表取締役社長の野坂章雄氏

 2013年、UQコミュニケーションズは総務省から2.5GHz帯に20MHzの追加割り当てを受け、下り最大110Mbpsのモバイル・ブロードバンド・サービス「WiMAX 2+」の提供を開始した。モバイルデータ通信部門の顧客満足度ランキングで三冠を達成するなど、通信面で大きく飛躍した年だった。

 2014年度中には業界最速の下り最大220Mbpsの通信サービスを提供するほか、WiMAX 2+のサービスエリアも2015年3月末には全国に拡大していく見通しだ。同社代表取締役社長 野坂章雄氏は、「お客様のインターネットライフに真の驚きと感動をお届けできるよう、全社一丸となり全力で取り組む」と決意を表明した。

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NVIDIA、192基のCUDAコアを搭載する「Tegra K1」

 NVIDIAは1月5日(現地時間)、Kepler世代のGPUコアを採用する次期モバイル向けSoC「Tegra K1」を発表した。「Logan」のコードネームで呼ばれていたもので、CUDAコア数は192基、DirectX 11とOpenGL 4.4に対応するほか、開発環境はCUDA 5.0を利用できる。最大動作クロックは2.3GHz。最大8GバイトのDDR3LおよびLPDDR3メモリをサポートする。

 同社によればUnreal Engine 4の動作も可能で、Xbox 360やPlayStation 3などのコンソールを超えるグラフィックス性能をモバイルプラットフォームで楽しめるようになる。また、アップルのA7チップと比較して3倍近い性能を持つとしている。

 ラインアップは、4つのARM Cortex-A15に省電力駆動向けのコア(第3世代バッテリーセーバーコア)を加えた“4+1コア”構成の32ビット版のほか、ARMv8アーキテクチャを採用するカスタム設計された64ビット版(Super Core CPU)の2つ。前者を搭載する製品は2014年の上半期、後者を搭載する製品は2014年の下半期に登場する予定だ。

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米国ラスベガスで開催中のCES 2014でTegra K1を紹介するNVIDIAのCEO、Jen-Hsun Huang氏

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次期Windows「Threshold」続報──Microsoftは新OSでどう挽回するのか

Windowsはさまざまなニーズを拾い上げるべき

 前回掲載した「次期Windowsは2015年春登場? 開発コード名「Threshold」とは」でも紹介したように、米国が誇る巨大ソフトウェア企業のMicrosoftは「One Microsoft」をキーワードに、複数あるWindows OSの統合を進めている。その成果とも呼べるのが「Threshold」ということになる。

 実際「Windows」「Windows RT」「Windows Phone」とMicrosoftがプラットフォームごとに分散したOS環境をまとめていきたいという意図は随所にみられる(Windowsストアの統合がいい例だ)。PC向けのWindows OS以外の勢力が弱く、連携も弱いことからWindows本来の強みも生かせていない現状はあるが、コスト的にも3つのプラットフォームにそれぞれ開発リソースやマーケティング予算を投入するより「1つの統一されたプラットフォーム」というメッセージを打ち出したほうが力強いのは確かだ。

 だが適材適所という言葉があるように、単純に同じWindowsをすべてのデバイスに搭載すればいいわけではない。スマートフォンに搭載するにはWindows OSはサイズが大きすぎるし、適切ではない。だからこそWindows Phone(Windows Mobile)があり、さらにWindowsに近い仕組みとしてのWindows RTも用意された。またユーザーインタフェースについても同様のことが言える。

 ただ、現在のWindows 8/8.1はどっちつかずの印象を受けるのも確かだろう。従来のPCスタイルでデスクトップUIを中心に作業するユーザーには余分な操作が要求され、逆にタッチデバイスとして利用するなら何かの折に突然出現するデスクトップUI画面の操作(タッチよりマウス+キーボード操作がやりやすいため)で手間取ることになる。筆者としては、現時点「両方取り」の解は存在しないと考えるので、「One Microsoft」という目標こそあれどあくまで適材適所で製品を当てはめていくのがベターだと考える。

1つのコアと複数のSKU

 こうした中で出てきた開発コード名:Thresholdに関する新情報が、以前も登場した米ZDNetのMary Jo Foley氏の「More on Microsoft's SKU-morphic Windows vision」という記事だ。こちらは具体性が不明瞭だったので前回のリポートでは紹介しなかったのだが、同氏は「Microsoft's Windows future: One core, many SKUs」という記事で「1つのOSコアに、たくさんのSKU」というWindowsの将来計画について説明している。市場にはいくつものニーズがあり、これを余さずカバーすることが既存顧客を多く抱えるMicrosoftにとってとても重要なため、当面の間、おそらくは同社が目指すべき道だと感じる。ゆえに用途ごとに別のインタフェースを持ったWindowsが登場するというのはその意味で理にかなっている。

 Foley氏が情報筋の話として紹介したところによれば、次期Windowsは主に3つのSKUがリリースされる可能性がある。ここでのSKU(Stock Keeping Unit)とは、「1つのWindows製品に対するバリエーション/エディション」のことを意味しており、次の3つのバリエーションが考えられるようだ。

  • Modern Consumer
  • Traditional Consumer
  • Traditional Enterprise

 Modern Consumerとは、タッチ中心のModern UIを備えた現行のWindows 8/8.1の延長線上にあるものと思われる。Traditional Consumerは従来のデスクトップUI中心のSKUで、よりWindows 7に近いものと想定する。Modern UIやWindowsストアへのアクセスも可能だが、キーボード/マウス操作中心ユーザー向けの最新Windowsといったつくりである。最後のTraditional Enterpriseもキーボード/マウス操作が中心だが、より企業ユーザーを意識したグループポリシーや管理機能が強化されるイメージだろう。

 ポイントは、従来型のデスクトップUI環境を望むユーザーが依然として多い──が示唆されていること。もう1つはTraditional Enterpriseにみられるように、企業ユーザーのフォローがさらに重視されている点だ。もしTraditional Consumerで本当にデスクトップUIがメイン環境となった場合、「デスクトップ上でModern UIアプリがフロートウィンドウで動作」、そして「スタートメニューの(本当の意味での)復活」を示唆しているのはWindows SuperSiteのPaul Thurrott氏だ。実際にどうなるかはもちろん不明だが、もし本当にこのアイデアを採用するのであれば、Win32からWinRTへのAPI移行を視野に開発に時間を割いてきたMicrosoftにとって、WinRT APIアプリが仮想マシンのように動作する環境にどんな思いを抱いているのだろうか。

エンタープライズを攻略せよ

 企業向け施策の話も重要だ。エンタープライズの世界において、現在Microsoft最大のライバルはAppleでもGoogleでもなく、ほかでもないMicrosoft自身だ。

 2014年4月にWindows XPのサポートが終了するが、Net Applicationsの2013年11月時点のデータによれば、同OS利用者はいまだ全体の3割近くも存在する。大手企業ではすでにWindows 7以降のOSへのシフトも進んでいると思うが、更新されずに残るXPマシンもまだまだ多いと思われ、複数OSをサポートしなければならないサービス事業者にとっても、そして古いOSが攻撃の踏み台になる可能性が考えられるセキュリティ業界にっても極めて頭の痛い問題だ。

 企業が新環境に移行しない理由は、単純なライセンス更新やハードウェア置き換えコスト以外にいくつも考えられるが、中でも厳しいのが、既存のアプリケーションやシステムが新環境でも動作するのかを検証する手間、そしてWindows 8/8.1で大きく変化してしまうユーザーインタフェースだと思われる。前者については移行において必ず必要なものとしても、後者の問題は末端利用者(つまり一般社員など)の教育コストや時間にも跳ね返ってくる。このため、Windows 8/8.1がすでにあるにも関わらず、企業ニーズは現時点リスクがより低いWindows 7を選ぶ例が多く、乗り換えプランを提示するサポートベンダー各社も、最新提案ではWindows 8よりWindows 7を提案するケースが多い。参考までにXP対策手段の1つであるクラウド・デスクトップサービスのAmazon WorkSpacesも、選択可能なベースOSはWindows 7となっている。

 Windows XPサポート終了問題もさることながら、本来の意味でWindows 7の後継となる製品の提案において、Microsoftはかなり苦慮していると思われる。

 例えば、(これはコンシューマー寄りの話ではあるが)先日、「Windows 7プリインストールPCの販売期限」に関する話題での混乱がみられた。当初2014年10月30日で提供を打ち切ると告知されていたものが、2013年12月末現在、未定となった。同社は初出時の日付にミスがあった説明しているが、ともあれ、Windows 8が企業ユーザーの心を掴み切れていないことでWindows 7の扱いにも困っている印象を受けた。前述した想定SKU「Traditional Enterprise」は時代に逆行する施策にも思えるが、本来の意味での企業ユーザーのニーズに応えるために必要なのかもしれない。

MicrosoftがOSを無料化する?

 最後に、Thresholdに関して流れてきた話題で目を惹いたのが、The Vergeの「Microsoft considers free versions of Windows Phone and Windows RT to battle Android」という記事だ。

 簡単にいえば「AndroidやiOSに負けていて、競争力が微妙なので、Windows RTとWindows Phoneのライセンスを無料にして対抗しましょう」という話だ。ただ、個人的には「ライセンスで食べているソフトウェア企業が製品を無料にしてどうするのかな」とこちらは否定的だ。「ハードウェアを売ってサービス群を囲って利益を得るApple」「プラットフォームを広めてサービスと広告で稼ぐGoogle」に対し、Microsoftは、自社製品/サービスにSurfaceとBingなどはあるものの、現時点では対抗できる状態ではない。

 なお、Windows RTは対応デバイスがまだほとんど普及していないため、売上に占める比率はそれほど高くない。Windows Phoneについては、シェアの大部分を占めるNokiaがMicrosoft傘下に入ることでライセンスビジネスとして成立は難しくなる。またWindows Phone自体の問題として、OSがミッドレンジ以上のハードウェアを想定しているため、いわゆる50〜100USドル以下の新興国向け需要をライセンスビジネスでカバーするのはライセンス料がコストの多くを占めてしまうため難しく、こうした分野ではAndroidやオープンソース系OSのほうが有利なのは明白だ。実際、Microsoftによる買収の話がとりざたされてからも、NokiaがAndroidベースの低価格スマートフォンを開発しているという噂はある。Microsoftとの提携がYahoo!の売上貢献率で3割に達したという話題もあるが、Google型のビジネスに傾くのはまだ難しいだろう。

 最近、Microsoftが「ソフトウェアのライセンス」というビジネスモデルで苦慮しつつある場面が増えていると感じる。

 以前、こちらで触れたように、7〜10型クラスのWindows 8.1タブレットでのOfficeバンドルライセンスをとても低価格(実質ほぼ無料)に設定することで、Officeをプリインストールした小型Windowsタブレットが多数市場で販売されている。

 これは、従来のライセンス価格体系では安価な小型タブレットに占めるOS/Officeのライセンス料金の割合が増えてしまい、iPadやAndroidと比べて価格的に不利に働くためだ。ライセンス料を一気に下げたことで「Officeまで付いてこの価格」というポイントはユーザーにとってはメリットだが、同時に「ソフトウェアのライセンス料金で稼ぐ」という同社のウィークポイントが露呈する結果になったとも筆者は考える。

 コンシューマーとエンタープライズでニーズは違えど、これまでの蓄積や実績が逆にあだになっている印象のある昨今のMicrosoft。「Threshold」でこの状況をどう打破するだろうか。


「鈴木淳也の「まとめて覚える! Windows 8」」バックナンバー


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4Kテレビ、ホントのところ(2) これからの注目ポイント

 ”4K”に関して考える前に、テレビで楽しむ映像は多様で、目的次第で求められる要素が異なることは改めて意識しておく必要がある。ここを誤ってしまうと、「4Kなんて必要ない」という議論になりがちだ。しかし、エンターテインメントとはそういうものではない。必要なのか、必要ではないのかではなく、高精細な表示が行えるテレビを「欲しい」と思うか、それとも思わないかに尽きる。

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「International CES 2014」でメーカー各社のプレスカンファレンスが行われる「Mandalay Bay Hotel」

 前回はそうした話を書いたが、まもなく米国ラスベガスで開催される「International CES 2014」を控えての注目点について話を進めよう。

 以前にも本連載の中で紹介したことがあるが、液晶パネルを4K化すること自身は、それほど難しいことではない。もちろん、さまざまな開発作業は必要になるが、フルHD液晶パネルを作れているなら、同じサイズの4K液晶パネルも作れると考えていい。実際、4K液晶パネルの生産そのものは、すでに中国大陸が生産拠点として主流になっている。

 むしろ約800万画素もの映像をハンドリングする方に、コストや技術力が求められている。単純に画素が4倍になるためともいえるが、当面は放送、パッケージソフト、ネット配信、いずれもフルHDが映像品位としては標準的なものになると考えれば、これを超解像で高精細映像にする技術などにも、ノウハウの差が出やすいからだ。

 また、4K映像は単に画素数を増やすだけでは、その良さを100%生かせない。より高精細なパネルと映像ソースを使うのなら、動画解像度もより高いものにならなければならない。このため(映画は別として)4K映像はフレームレートも上げる必要が出てくる。高フレームレートの映像ソースでないならば、間のフレームをクリエーション(=フレーム補完)する必要も出てくる。

 4Kに関しては、単に表示を行う側のテレビ(ディスプレイ)に、まだまだやらねばならないテーマがあり、そこにメーカーの工夫の余地も出てくる。International CESにおいては、まずテレビメーカー各社が「必然的にコストが安くなり、ミドルクラスにも広がってくるだろう4Kテレビ」に対して、どのようにその価値を引き出せる創意工夫を施すか? が1つのテーマになると思う。

4K HEVCのデコーダー

 もう1つの切り口として「H.265」、つまりHEVC(High Efficiency Video Coding)への対応をどのように進めていくかについても、いくつかの提案が見られるはずだ。すでにLGエレクトロニクスは自社の4Kテレビ「LA9700シリーズ」に4K HEVCデコーダーを搭載しているが、これは電波による“放送”に対応したものではない(LANおよびUSBをサポート)。

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LGエレクトロニクスの「LA9700シリーズ」(左)と昨年秋の発表会で示された内蔵HEVCデコーダーの資料。LANおよびUSBからの入力に対応する(右)

 また上記の通り、4K解像度を生かすには高フレームレートへの対応が必要になってくるので、毎秒60フレームの4K HEVCデコーダーは内蔵してほしいところだ。1月にお披露目される新製品に搭載されるかどうかは分からないが、いくつかのソリューションは業界向けに展示があると思う。

 ただし、テレビ向けのHEVCデコーダーを提供するタイミングとしては、今は微妙な時期でもある。次世代のテレビ放送規格では、インターネットサービスと融合も視野に入れる必要がある。HTML5ベースのコンテンツと映像コンテンツを融合させる……と書くのは簡単だが、どのような枠組みでクロスメディア/マルチメディア化を行うかは、統一された規格や意志が現時点で存在するわけではない。

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昨年末、次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)の中間報告で示された資料とデモの様子。HEVC復号化(デコード)後の映像は4K 60p(YCbCr 4:2:0)になる見通しだが、その放送フォーマットも確定するのは春の予定だ

 例えば、4K HEVCをデコードしながら、そこに4K解像度でHTML5コンテンツを実行/重ねて表示するといった場合、HEVCは規格できちんと定まっていても、データ構造やどのようなアプリケーションのフォーマットになるかがはっきりしておらず、機能も後からの追加という可能性が残されている。つまり、新規のLSIとして起こすには時期尚早の面もあるのだ。

 それに対して、映像処理LSIのベンダーがどのような提案を製品に盛り込むか?という視点が1つある。しかし、実は今回のInternational CESでは、日本のターボシステムズが、PC用のパワフルなプラットフォームを使って、より柔軟なソフトウェアによるHEVC対応ソリューションを提供するという情報が入ってきた。さっそく取材に出かけたところ、昨年10月の「CEATEC JAPAN 2013」の時点では毎秒30フレームしかサポートしていなかったが、その後の開発が進んだことで、毎秒60フレーム再生をIntel Core i3(Haswell世代)でもこなせるところまで来ているという。HEVCの4Kデコードだけならば、BayTrail世代のATOMプロセッサーでも処理可能だが、さらにRGBビットマップのHTML5コンテンツを重ね、処理するところまで、すべてソフトウェアで実現しているという。

 Blu-ray Discの4K対応や4K放送の開始(来年から日本でも始まる予定)といった話題もあるが、当面は4K映像の配信経路としてインターネットが使われることが多いと考えられる。まだ規格が”柔らかい”状況の中では、上記例のようにソフトウェアによる実装の方がリスクは少ない。

 最終的にはHEVCデコード機能は、スマートフォン/タブレット向けを含め、何らかの形でプロセッサの中に入り込んでいくだろうが、その前段階としての技術展示が“見どころ”としてあると思う。この点は後日、改めて取り上げたい。

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Samsung電子、光学21倍ズームカメラやNFC搭載の「Galaxy Camera 2」を発表

 Samsung電子が1月2日、Android搭載デジタルカメラ「Galaxy Camera 2」を発表した。1月7日から10日まで米ラスベガスで開催されるCESのSamsungブースで展示する。発売時期や地域は未定。

 Galaxy Camera 2は、カメラ機能に特化したAndroid端末。2012年8月に発表されたGalaxy Cameraの後継機にあたる。カメラレンズ面を見るとデジタルカメラそのものといった印象で、裏側にHD(720×1280ピクセル)表示対応の4.8インチディスプレイ(液晶)を搭載している。OSはAndroid 4.3を採用し、プロセッサーは1.6GHz駆動のクアッドコアとなっている。サイズは71.2(幅)×132.5(高さ)×19.3(厚さ)ミリ、重さは約283グラム。2000mAhのバッテリーを内蔵している。LTEや3Gなどのモバイルデータ通信はサポートしておらず、インターネットアクセスはWi-Fiから行う。

 カメラは1/2.3型の16メガピクセルの裏面照射型CMOSセンサーを採用し、最大21倍の光学ズームが可能。23ミリの広角レンズも持つ。内蔵ストレージは8Gバイトだが、プリインストールされている「Dropbox」アプリで50Gバイトのストレージを無料で利用できる。RAMは最大2Gバイト。

 新たに搭載したNFCと、Wi-Fiを活用した「Tag & Go」機能を用意しており、ほかのNFC対応スマートフォンと接続することで、写真やカメラをより簡単かつ便利に楽しめる。閲覧中の写真をペアリングしたスマートフォンへ自動で送信する、Galaxy Cameraの写真をほかのスマートフォンへ転送する、カメラのシャッターをほかのスマートフォンからリモートで操作する、といったことが可能だ。

 28種類の撮影モードから、環境や被写体に合わせて最適なものを自動で設定してくれる「Smart Mode」や、動画撮影のスピードを速くしたり遅くしたりできる「Multi Motion Video」機能も用意した。

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東芝が“プレミアム4Kテレビ”を披露──新コンセプトのテレビやタブレットも参考展示

 東芝は1月5日(米国太平洋時間)、米ラスベガスで7日に開幕する「2014 International CES」に先立ち、同社のCESでの展示内容や4K戦略に関するプレスブリーフィングを開催した。4Kに関しては昨年のCESでも日本メーカーをはじめ中韓のテレビメーカーも対応製品を展示していたが、先行して4Kテレビを展開してきた東芝が、どのような形で他社との差別化を進めるかがポイントになる。

 壇上で説明を行った同社執行役上席常務デジタルプロダクツ&サービス社の徳光重則社長は、まず昨年から進んでいる事業部再編や生産拠点集約、そして開発体制見直しなどの成果が出つつある点を強調しつつ、差別化戦略の1つとしての4Kへの最新の取り組みについて説明した。ポイントとしては、4Kモデルを引き続き拡充し、とくに2014年度中には58V型以上のモデルについて国内向けはすべて4K対応製品で置き換えていくという。

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東芝デジタルプロダクツ&サービス社の徳光重則社長(左)、開発モデルや市場の絞り込み、生産拠点の集約、事業再編などを経て昨年から本格的に走り出した新生東芝の映像・PC事業(右)

 また今後、4Kコンテンツの配信や放送のスタートも見込まれ、これに対応した製品やさらなる新画像エンジンの開発が求められるようになるという。これらを踏まえ、今回のCESでは同社が現時点で持つ4Kに関するノウハウをすべて投入した「プレミアム4Kモデル」を参考出展している。画像エンジンはまだ改良中とのことだが、パネルメーカーと共同で開発体制を刷新し、よりダイナミックレンジの広い映像表現が可能なLEDバックライトシステムの導入や、昨年の「IFA 2013」で発表されたHDMI 2.0への対応、そして4Kコンテンツ配信の標準になるとみられるHDCP 2.2のサポートなど、求められるスペックをすべて網羅したプレミアムモデルだという。なお、4Kコンテンツ配信で必要となるHDMI 2.0+HDCP 2.2について、旧モデルのユーザーについてはアップデートや一部ハードウェア交換での対応を計画していると同氏は説明する。

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4K時代の取り組み。同社が現時点で持つ4Kに関するすべてのノウハウを盛り込んだプレミアム4Kモデルを今年のCESで参考展示する

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参考出展された4Kプレミアムモデル。実際の製品化にあたっては、さらにチューニングを施すとともに外観デザインも変更する見込みだ(左)。国内市場では58V型以上の大型テレビについて、2014年度中にすべて4Kに移行する(右)

 基本的に国内市場については大型モデルを中心にすべて4Kへと移行していく計画だが、成長市場のASEANについても注力していく。同社は「Japan Quality」をキーワードにプレミア戦略を推進し、とくに差別化ポイントとなる「映像処理技術」を前面に押し出す形で同市場での大型化や高級化のトレンドをキャッチアップしていく。東芝はパネル供給を受けて完成品を市場に提供するメーカーであり、単にパネルだけを比較すれば差別化要因にはならない。そこで培ってきたのが高画質の画像処理を行うSoCといった半導体やサービスであり、国内外を含むメーカーとの競合での最大のアピールポイントとなる。

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成長市場であるASEAN市場も重視しており、ここでは映像技術面で先行する日本の強みを生かし、大型化志向の強まりと合わせて高付加価値戦略を推進する

 前述のパネル供給メーカーとの開発体制の変更でさらに高画質化が可能になったほか、日本で評判だった全録機能「タイムシフトマシン」やクラウドサービス「TimeOn」といった機能を積極的に海外展開し、「名ばかりのスマートブーム」に踊った昨年までのトレンドとは異なる「使えるスマート機能」(同社)をアピールしていくという。もっとも、テレビやコンテンツを楽しむスタイルは国や地域によっても異なるため、そのまま日本のトレンドが受け入れられるものでもない。そのあたりは今後の展開の中で研究が進み、より実践的なサービスへと変化していくと思われる。

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海外や日本の通信事業者は、どのようにモバイル回線の速度を計測しているのか?

 近年、モバイルインターネット通信は高速化が進み、事業者による広告などで最大通信速度を表示しているが、実際に利用する際の実効速度との乖離が大きく、また、事業者やメディアなどによる独自の実効速度の調査結果が公表されているものの、調査基準や方法などにはばらつきがあり、単純な比較ができない状況が続いている。その結果として、利用者のサービス優良誤認に繋がり、適切にサービスを選択できず、不利益が生じたり利便を損なう可能性がある。

 総務省は、これらの課題を解決すべく「インターネットのサービス品質計測等の在り方に関する研究会」を発足し、11月から14年3月まで計5回の会合を開催して、「モバイルの実行速度等のサービス品質の計測等の在り方」について一次報告を取りまとめるとしている。

 そこで、これら研究会の公開情報のまとめと、研究会を主催する総務省(総合通信基盤局 電気通信事業部 データ通信課)への取材訪問(12月12日)内容をレポートする。

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研究会を主催する総務省データ通信課の井上氏、佐藤氏、下谷氏

 まず、本稿では、第1回会合についてレポートする。

「スマートフォン安心安全強化戦略」における課題と提言〜モバイルの実行速度等のサービス品質の計測等の在り方〜

 総務省は、2013年9月4日に「スマートフォン安心安全強化戦略」を公表した。

 利用者情報に関する課題、スマートフォンサービス等の適正な提供に係る課題、アプリ利用における新たな課題という3つのテーマへの対応について、検討がなされている。

 このうち、スマートフォンサービス等の適正な提供に係る課題の1つとして、利用者視点を踏まえたインターネットのサービス品質の表示にかかわる指摘があり、「インターネットのサービス品質計測等の在り方に関する研究会」が開催されている。

  • 関連資料

第II部スマートフォンサービス等の適正な提供に係る課題への対応(別紙1-3・P129)

「第4章 今後の方向性1 利用者視点を踏まえたサービス品質・エリア等の表示(1)通信速度」

http://www.soumu.go.jp/main_content/000247673.pdf

 今回の研究会の総務省からの主旨説明においても、「スマートフォン安心安全強化戦略」提言の概要(P21)が引用されており、スマートフォンやモバイルデータの利用者からのクレームにおいて、通信サービスに関わる項目として、「通信速度」が非常に高い関心事項であることが伝えられている。

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「スマートフォン安心安全強化戦略」提言の概要(P21)より

 また、研究会の検討事項と開催スケジュールは以下の通りで、事前申込で研究会を傍聴することもできる。次回第3回会合は、日時未定ながら取材確認したところ1月下旬の開催を予定している。

  • 検討事項

計測手法(計測員による実地調査、一般ユーザによるモニタリング調査など)

計測条件(時間帯、エリア、回線種別、端末、移動速度、屋内・屋外など)

データのサンプリング・スクリーニング手法など

  • 研究会スケジュール

11月1日 第1回会合(主旨説明、諸外国事例、通信事業者ヒアリング)

11月25日 第2回会合(調査会社ヒアリング、諸外国事例追加調査報告、計測方法の論点整理)

1月下旬 第3回会合(計測方法の詳細、広告表示の方向性、一次報告骨子の検討)

2月 第4回会合(一次報告案の審議)

3月 第5回会合(一次報告のとりまとめ)

  • 第1回会合出席者(敬称略)

座長: 相田仁(東京大学)

構成員: 北俊一(野村総合研究所)、木村たま代(主婦連合会)、長田三紀(全国地域婦人団

体連絡協議会)、新美育文(明治大学)、廣松毅(情報セキュリティ大学院大学)、 福田健介(国立情報学研究所)、横田英明(MM総研)

オブザーバー: 山?拓(NTTドコモ)、吉田智將(KDDI)、水口徹也(ソフトバンクモバイル)、大橋功(イー・アクセス)、菅田泰二(電気通信事業者協会)、今井恵一(テレコムサービス協会)、立石聡明(日本インターネットプロバイダー協会)、山本学(代理:川田由美子 日本ケーブルテレビ連盟)、明神浩(電気通信サービス向上推進協議会)

説明者: 阿波村聡(野村総合研究所)

総務省: 吉良総合通信基盤局長、安藤電気通信事業部長、菊池総合通信基盤局総務課長、吉田事業政策課長、玉田消費者行政課長、竹村料金サービス課長、河内データ通信課長、松井電気通信利用者情報政策室長、柴崎事業政策課企画官、山口データ通信課企画官、佐藤データ通信課課長補佐

野村総研による海外動向レポート〜北米ではおなじみのSpeedtest.net(Ookla)をベースに〜

 野村総研は、「諸外国におけるモバイルインターネット回線速度計測の状況」をレポートしている。

 動向として、「固定回線については、欧米主要国において既に政府による計測が実施されており、 モバイル回線においても政府による計測が本格化しつつある。」とのことで、モバイル回線については、以下のような現状となっている。

諸外国におけるインターネット回線計測の概要
実施概要
米国2013年より、スマートフォンにアプリをダウンロードする形態で実施予定
ドイツ携帯電話に特化した政府としての調査はなされていない。上記固定回線の調査においてモバイルブロードバンドは計測されている
イギリス2010年にモバイルブロードバンド回線の品質調査を人海戦術、専用ソフト等の方法を併用して実施
フランス1997年以降、携帯電話の音声通話等の調査を人海戦術で実施
その他イタリア、スペイン、スウェーデン等においては、政府が一部キャリアに調査を課す形で実施(政府自らの計測は実施していない)

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資料1−4 諸外国におけるモバイルインターネット回線速度計測の状況 より

 イギリスでは、2010年にPC利用でのモバイルブロードバンドの計測を実施しており、「固定ブロードバンドの代替手段となっているなかで、消費者に正しい情報を提供すること」を目的としているという。

 日本国内においても、モバイルルータが普及しており、一人暮らし層を中心に固定網の代替手段としている傾向があることからも、理論値ではなく実効速度がユーザの期待値通りなのかを正しく伝えていく必要性があるだろう。また、各キャリア(通信事業者)の違いについて、社名を含む測定結果を公表している。

 フランスでは、音声通話品質の調査を1997年以降から実施しており、2012年にはMMSの送信時間、Webサイト表示時間、ファイルの送受信時間、ビデオストリーミング品質に関する調査を実施している。

 計測場所は、屋内外の静止時の他、音声のみ自動車での移動や、高速移動(高速道路上やTGVなどの電車移動)でも実施しており、利用シーンを広く想定している。利用端末が4キャリアで提供されているGALAXY S2を選択している点も、フェアな比較を行う上では重要だろう。 

 但し、イギリスとは異なり、計測結果での通信事業者名は公表していないため、利用者は、この結果から事業者を選択することはできないため、あくまでも事業者ごとの違いがあることを掌握するに留まることになる。

 アメリカでは、準備段階という報告ながら、日本国内でも知名度の高い、Ookla社のSpeedtest.netアプリをベースとした、政府(FCC)独自の専用アプリでの計測を計画している。(後日、第2回会合にて、11月から実施している事が報告されている。)

 0ベースでアプリを開発するよりも、コストや使い勝手などの面で、市場で定評のあるアプリをカスタマイズして流用することは、調査標準ツールとして向いているだろう。 あとは、一般向けアプリと異なるサーバ側のインフラを用意することで、サーバ側の混み具合などの影響を回避・抑制することが期待される。

各事業者からのヒアリング結果 計測方法や考え方に各社のばらつきが大きい現状

 NTTドコモ、KDDI、SoftBankおよびEMOBILE(イー・アクセス)からのプレゼンテーションが行われているが、各社の考え方や実際の計測内容には、当然ながらばらつきがある。

 各社の現在の計測方法と、策定している計測方法について各社の考えが各資料に記載されているが、例えば、第1回議事要旨では、計測を静止状態のみとするか、移動中も計測するかという質問があった。

 KDDIは「静止・移動中問わず計測すべきと考える」とポジティブな回答をしているが、ドコモは「移動中の計測については、実施が困難であることから、定点による静止状態での計測が良いと考える」とやや消極的、SoftBankは「計測の場所や方法を計測者に明確に説明することが課題」と必要の有無については回答がなく、EMOBILEは「全く必要ないとは言い難く(中略)実証実験の際に判断すればよいと」という様子を見てといった違いがあった。

キャリア計測方法
項目NTTドコモKDDISoftBankEMOBILE
測定頻度2か月に1度または四半期に1度定期的に実施(場所により毎日・1週間単位。全国では年1・2回)不定期(新サービス・新商品など)月1回・平日に実施
測定回数5回3回5回
時間帯平日最繁時間帯(18-20時)および通常時間帯(10-16時)、レジャー施設は日曜(16-18時)閑散時・混雑時
場所全国500〜1,000。駅、空港、繁華街、主要大学、大規模施設など駅、ランドマークスポットなど北海道、東北、関東、東海、関西、中国、九州の各エリア (9箇所)。
ターミナル駅、空港、地下街、主要スポット、社員宅で測定。
機種各社売れ筋またはフラッグシップ2機種主力機種(現在はiPhone5sなど)主力機種
内容上り・下り速度(上下カット)
Web表示時間
主に下り速度上り・下り速度
ツール特定の通信速度調査アプリ自社ツールアプリ:Speedtest.Net、Web:BNR Broadband Networking ReportRBBのスピード測定サイト
測定員社員社員または業務委託先社員
移動中実施が困難であることから、定点による静止状態での計測が良い移動中の通信速度も把握したいというユーザーのニーズもあり得ることから、計測場所(状態)を公表できるのであれば、静止・移動中問わず計測すべき
測定条件の統一化(場所、機種、測定内容、時間)
わかりやすい結果表現方法
今後の理論値や独自計測時の扱い
計測の場所や方法を計測者に明確に説明することが課題全く必要ないとは言い難く、他の計測条件が決まってくることにより、どのような分析が可能か見えてくると思うので、実証実験の際に判断すればよい
懸念公平性、測定場所の事前公開、コスト、測定場所の基地局からの距離が各社異なる点など利用者ニーズ、公平性、正確性・測定負担を考慮
諸条件により大きく変動すること
ユーザ認知度の向上
機種、測定内容、ツール、事業者差分、ユーザリテラシーの向上など
※KDDIの空欄は、広報部門に問い合わせしており、回答があり次第追記予定。

 通信規格の違いや機種ごとの違いなどについても、各社の考え方がなされているが、ドコモは「機種を決めれば通信規格も決まる」「複数のキャリアが販売している機種」、KDDIは「通信規格を考慮した計測方法」、SoftBankは「ユーザニーズの高い端末で通信規格に問わず」、EMOBILEは「通信規格や周波数帯域が各社で同じ条件にならないため差分を埋める基準を策定すべき」としている。

 続いて、構成員から「選定された機種の結果をもって事業者の選定になる」「代表的な機種による計測だけで良いのか整理しておく必要がある」「機種による差はあると考えるべきなのか」と述べられているが、ドコモは「機種ごとが望ましいがコスト面から難しい」、EMOBILEは「機種を揃えても環境によって大きく変わる」としている。

 以上、第1回会合のまとめとなるが、各社プレゼン資料は、記述項目やボリュームにかなり差があったものの、SoftBankが得意と思われる上り速度の計測を軽視している点など興味深い内容が含まれている。

 議事要旨についても、質疑応答がまとめられているが、研究会の座長を務める相田氏(東京大学)は、「調査員のトラヒックパターンを分析して、通信事業者が何らかの対応を行う可能性もまったくないとは言えないため、本当にフェアな計測はなかなか難しい。」という指摘などが含まれており、興味のある方は、下記リンク先から参照して頂きたい。

【特集】総務省「インターネットのサービス品質計測等の在り方に関する研究会」

(1)背景と検討事項・海外動向・通信事業者ヒアリング

http://app-coming.jp/ja/articles/detail/626

(2)調査会社ヒアリング・諸外国事例追加調査報告

http://app-coming.jp/ja/articles/detail/627

(3)訪問取材レポート

http://app-coming.jp/ja/articles/detail/630

(4)取材後記〜優良誤認がなく利便を損なわない実効速度表示のありかた〜

http://app-coming.jp/ja/articles/detail/631

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Unveiledで「ThinkPad 8」と「New ThinkPad X1 Carbon」を使ってみた

2014年のUnveiledも主役はLenovoだった

 Lenovoは、2014年のCES Unveiledで、発表したばかりの「ThinkPad 8」と、「New ThinkPad X1 Carbon」を展示した。ThinkPad 8は、8.3型液晶ディスプレイを搭載したThinkPadシリーズのタブレットで、OSにWindows 8.1を導入する。

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ThinkPadシリーズにもついに片手で無理なく持てるタブレットが登場した

 重さは無線LAN対応モデルで430グラム、LTEモデム内蔵モデルで439グラムになる。ボディのサイズは132(幅)×224.3(高さ)×8.8(厚さ)ミリだ。バッテリー駆動時間は約8時間としている。Lenovoでは、8型ディスプレイを搭載してWindows 8.1を導入するタブレットとして「Lenovo Miix 2.8」を出荷しているが、それよりやや重く、バッテリー駆動時間は短いものの、CPUは上位モデルを採用し、ディスプレイ解像度は1200×1920ドットと大幅に向上している。

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本体には、Micro HDMIとMicro SDスロット、Micro USB 3.0、そして、ヘッドフォンジャックを備える

 CPUは“Bay-Trail”世代のクアッドコアタイプのAtom Z3770(最大2.4GHz)を採用し、システムメモリはLPDDR3-1067を2Gバイト実装、ストレージは最大で128Gバイトを用意する。本体搭載のインタフェースには、Micro USB 3.0とMicro HDMI、MicroSDスロットを備えるほか、米国販売予定モデルでは、MicroSIMスロットを用意して、4G LTE対応モデルも出荷するという。

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デバイスマネージャーで確認した展示機材のハードウェア構成とディスプレイプロパティで確認したディスプレイ解像度

 CES Unveiledでは、本体のほかに、着脱式のフリップカバーも用意して、スタンドとして使えることや、背面に畳んだ状態でレンズの部分を折り曲げられる構造と、折り曲げたときにカメラアプリが起動する仕掛けも紹介していた。

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取り外し可能なフリップカバーはそのままスタンドにも利用できる

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背面に畳んだ状態でカメラレンズの部分を折り曲げると自動でカメラアプリが起動する仕掛けも用意している

5段キーボードを採用した“新しい”X1 Carbon

 Lenovoが「New ThinkPad X1 Carbon」と発表した新モデルは、第4世代のCore i7シリーズと対応するプラットフォームを採用する。ディスプレイは、14型と従来モデルと同様ながら、解像度が2560×1440ドットとなったほか、10点同時対応のタッチパネルを内蔵したモデルも登場する。本体サイズはタッチパネル内蔵モデルで331(幅)×226(奥行き)×18.46(厚さ)ミリ。

 New ThinkPad X1 Carbonでは、キーボードレイアウトが従来の6段から5段に変わった。これまでファンクションキーを並べていた最上段をタッチセンサー式に変更し、アプリケーションによってキーに割り当てる機能を動的に切り替えるようになったが、最上段にあったESCキーとDeleteキー、Homeキーの場所を変更し、Insertキーを廃止している(なお、これは展示していた機材のASCII配列の場合)。

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“New”ThinkPad X1 Carbonで登場する解像度2560×1440ドットのIPSパネル採用タッチパネル内蔵モデルでは、従来モデルより本体の厚さと重さがやや増している

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キーボードレイアウトは5段となり、従来の最上段にはアプリケーションによって機能を動的に変更するタッチセンサーパネルを採用した

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NVIDIA、“Kepler”コアを実装する「Tegra K1」の実力を誇示

A15の4+1コアバージョンとデュアル“Denver”バージョンが登場する

 NVIDIAは、1月5日(現地時間)に行った説明会で、同社 CEOのジェンスン・ファン氏が「Tegra K1」の概要を紹介した。Tegra K1は、NVIDIAが開発するモバイルプロセッサ「Tegra」シリーズの最新モデルで、2013 CESで発表したTegra 4の後継だ。実装するグラフィックスコアは、ディスクリートGPUで最新の“Kepler”世代と同等で、192コアを組み込む。

 CPUは、従来と同じARMのCortex-A15のクアッドコア+1コア構成を採用する32ビット命令対応バージョンと、現在NVIDIAが開発を進めている“Denver”コアをデュアルで実装する64ビット命令対応バージョンを用意する。どちらのバージョンもピンコンパチブルで、Cortex-A15バージョンは、3-way Superscalar実装で1次キャッシュメモリを32Kバイト+32Kバイト内蔵する。動作クロックは2.3GHz以上を予定している。Denverバージョンは、7-way Superscalar実装で、1次キャッシュメモリは128Kバイト+64Kバイト内蔵する。動作クロックは2.5GHz以上を予定している。

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“Kepler”世代のGPUに相当するグラフィックスコアを192基実装する「Tegra K1」は組み合わせるCPUの構成によって、従来と同じ「Cortex A15」を4+1コアで実装するバージョン(写真=左)と、NVIDIAが開発中のCortex A8ベース「Denver」をデュアルコアで実装するバージョン(写真=中央)を用意する。それぞれのバージョンで仕様が異なる(写真=右)

その性能はXbox 360やPlayStation 3を超える

 ファン氏は、これまでのモバイルプロセッサ「Tegra」シリーズでは、実装するグラフィックスコアの性能が同世代のディスクリートタイプGPUと比べて、明らかに異なっていたのに対して、Tegra K1では、一気にディスクリートタイプGPUで同世代の“Kepler”シリーズと同等の能力を発揮すると訴求する。

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ファン氏は、Tegra K1の概要をXbox 360とPlayStation 3と同等と説明する。Tegra K1はDirectX 11に対応し、グラフィックス処理能力はPlayStation 3の2倍、CPU処理能力は4倍に相当する。そして、消費電力は5ワットに抑えている

 ファン氏は、Epicが開発しているゲームエンジン「Unreal Engine 4」をTegra K1に対応させる予定であることを明らかにした。ファン氏は、DirectX 9対応のUnreal Engine 3 が、2002年に登場してから、2010年にiOS対応となるまで8年間の時間をかけてきたのに対して、DirectX 11対応のUnreal Engine 4では、2012年に登場してからわずか2年でモバイルプロセッサのTegra K1が対応しただけでなく、処理性能もXbox 360やPlayStation 3といったコンシューマーゲーム機に匹敵することをアピールしている。

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説明会では、Tegra K1の性能をXbox 360とPlayStation 3(写真=左)、そして、iPadやiPhone向け最新モバイルプロセッサ「A7」と相対的に比較したグラフも紹介している(写真=右)

リアルレンダリングデモで示した“K1”の実力

 ファン氏は、次世代のゲームでは、フォトリアルのグラフィックスが実現し、そこでは、ジオメトリシェーダやHDR、物理演算、MRTを多用することになるが、Tegra K1はそれを実用的な速度で処理できる性能を持つ。ファン氏は、そのことを示すデモンストレーションをいくつか実演して、Tegra K1の性能を訴えた。

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Tegra K1でリアルタイムレンダリングを行ったFaceWorks “Ira” demoは滑らかな表情の変化や表面の質感が実写と見間違えるほどだった


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説明会会場には、Tegra K1を実装したリファレンスボードやタブレットが多数動作していた。タブレットはTegra Note 7のボディがベースになっているが、ディスプレイ解像度は1920×1080ドットに変更したと説明している

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社内の「スノーデン」にどう対応? セキュリティ担当者の本音を探る

「内なる脅威」の代名詞になった「スノーデン」

 米国家安全保障局(NSA)のスパイ行為をエドワード・スノーデン氏が暴露したことで、管理者権限の設定状況の見直しを余儀なくされた企業が増えたかに思えた。しかし、最近の調査によると、企業は必ずしもこのような懸念への対策を講じていないようだ。

 国防関連業務を請け負っていた職員として、ハワイにあるNSA関連施設に勤務していたスノーデン氏は、大量の機密文書を公開し、悪名を轟かせた。通信監視プログラム「PRISM」を始めとするNSAプログラムを暴露することになった資料には、NSAのネットワーク上のファイル共有スペースからアクセスしたといわれている。スノーデン氏には機密情報にアクセスする権限が与えられており、また当時の職務の性質から、後日暴露した機密情報を同氏がダウンロードした際、何の警告も発せられなかったという。セキュリティコミュニティーにおいて「スノーデン」は、盛んに論じられている「内なる脅威」の代名詞になっている。

Internet Explorerの調子が悪くなったら試すべき8つの対処法

 米MicrosoftのWebブラウザ「Internet Explorer(IE)」は恐らく、社内のほとんどの人が毎日、調査から“ひまつぶし”まで、ありとあらゆる用途に使っているだろう。だが奇妙なことに、IEは、IT管理者の知識が最も乏しいソフトウェアの1つだ。IEは多くの場合、問題なく機能するが、管理者にとっては注意点やすべきことが実はたくさんある。その理由は、IEがWindowsに深く組み込まれていることだ。

 以下に挙げる基本的なテクニックは、IEをソフトウェアテストやセキュリティ評価などに使用する場合に特に役立つ。あなたの会社が「IEはいつもきちんと機能する」と期待しているユーザーであふれている場合、こうしたテクニックの重要度はさらに高まる。

ビッグデータで社会をあっと言わせるサービスを リクルートテクノロジーズ・泉さん

企業のIT部門で活躍する方々を追ったインタービュー連載「情シスの横顔」のバックナンバー

 2012年10月1日にホールディングカンパニーとなったリクルート。時を同じくして全社横断の組織として立ち上がったのが「ビッグデータグループ」だ。

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リクルートテクノロジーズ ITソリューション部 インフラソリューション6グループ グループマネジャーの泉晃さん
リクルートテクノロジーズ ITソリューション部 インフラソリューション6グループ グループマネジャーの泉晃さん

 同社では、運営するさまざまなWebサイトのユーザー行動データを中心に、月間数十億レコードにも上る膨大なデータが発生しているが、これまでそのデータの活用は十分と言えるものではなかった。しかし、企業ビジネスにおけるデータの重要度が増す中、リクルートとしてもデータ活用に対して本腰を入れることが重要な戦略であると位置付け、この新組織を設立するに至った。特に、顧客のライフタイムバリュー(LTV)を向上するというCRM(顧客情報管理)の観点でビッグデータを活用しようという動きがリクルート社内であったことが大きいという。

 このビッグデータグループの推進役の一人といえるのが、リクルートテクノロジーズ ITソリューション部 インフラソリューション6グループでグループマネジャーを務める泉晃さんだ。

 泉さんは2011年3月、リクルートグループのビジネスを支えるITの開発や提供を行うリクルートテクノロジーズに中途入社した。それ以前は、日本IBMでストレージのシステムエンジニアとして、さらにさかのぼると、フリーのエンジニアとして働いていたという経験を持つ。学生時代は英語英文学科に在籍していたが、キーボード配列の研究に勤しみ、ローマ字入力で有用と思われる手法を取り入れた日本語入力用拡張Dvorak配列「DvorakJP」を開発したという、一風変わった経歴の持ち主である。

リクルートのビッグデータ戦略を支える全社共通のデータ活用基盤

 リクルートテクノロジーズに入って最初に携わったのは、並列分散処理基盤「Hadoop」の導入である。プロジェクトは順調に進み、1年間で11事業に展開した。当初、ビッグデータグループはHadoopのスキルを持ったエンジニア中心だったが、大量データを活用する上で、データサイエンティストと呼ばれるような高度なデータ解析をする部隊が加わった。現在、リクルートテクノロジーズでビッグデータのソリューションを担う組織は、パートナーを含めて約120人の組織で、エンジニアとサイエンティストが同居してシナジーを生み出しているのだという。

 そうした中で2012年は、実際にデータを活用するビジネス部門にとって最適な分析インタフェースだったり、そのための基盤だったりを用意する動きが出て、データウェアハウス(DWH)やビジネスインテリジェンス(BI)を導入した。

 2013年に入ると、事業横断でのデータ活用とその仕組みを作るべく、「リクルート トータルデータベース(DB)」という全社の共通データ活用基盤の整備を進めることになった。

 「これまでリクルートは、『リクナビ』や『ホットペッパー』など、事業ドメイン内でのデータ活用は進んでいましたが、個別最適にとどまっており、組織のカベを超えたデータ連携はなされていませんでした。しかし、データが爆発的に増えていく中で、事業単体としてもうまくデータを活用し切れていないという課題が生じました。そこで効率化を図るためにサービス単体ではなく全社的にデータを集約して使おうという方針の下、トータルDBを構築することになったのです」(泉さん)

 泉さんによると、トータルDBの特徴は大きく2つあるという。1つは、各事業のデータに加えて、ユーザーID/ポイントデータなども集約している点、もう1つは、単にデータを集約するだけではなく、営業部門などのユーザーにとって使いやすい形にモデリングしている点だ。「Webサイトデータや外部のSNSデータなどさまざまなデータを取り込んでHadoopで処理し、統計解析の専門知識がない人でも簡単にデータを使えるように加工しています」と泉さんは説明する。

失敗に終わった理由

 実は泉さん、入社して1年ほど経ったころに全社共通のデータ基盤を作ろうとして失敗したそうだ。トータルDBはまさに再チャレンジということになる。なぜ失敗したのだろうか。

 「各事業とのコンセンサスがとれていませんでした。データを集約して活用することで、どういった価値が出るのかということを納得してもらう必要があったのですが、コストの観点からもデータ基盤やデータ活用のメリットを事業の担当者にうまく伝えることが難しかったです」(泉さん)

 この失敗から学んだのは、全社的な取り組みを進めるためには、各事業とのコミュニケーションを深め、彼らのビジネスを理解することが不可欠だということである。そこで、トータルDB構築のプロジェクトにおいては、事業側に座席を作ってもらい、ある程度常駐して一緒に考える時間を設けたそうだ。

ほかのプロジェクトでは得られない価値を提供

 このように全社を巻き込むような大規模プロジェクトをマネジメントする泉さんは、プロジェクトに対してどのような心構えを持っているのだろうか。

 1つには、全体最適と個別最適を要所で使い分けつつ、最終的には全体最適に組み込むことが重要だという。「全社のシステムなのだからと画一的なものにしても、結局は誰にも使ってもらえなかったりします。一方で、各事業側のニーズだけを拾って独立したシステムにしても、バラバラなシステムが乱立してしまうだけ。ある程度は事業側のニーズを聞きながらも、アーキテクチャを統一したり、共通設計部分を入れたりすることが大切です」と泉さんは話す。

 プロジェクトメンバーに対するマネジメントにもこだわりを持っている。

 「一人一人がプロジェクトにかかわることで自分のスキルや経験を向上できればいいなと思います。この仕事をして将来的に良かったなと思えるような。そのためには他人からかっこいい、すごいと言われるようなプロジェクトにすることが重要です。優秀なエンジニアは、今まで経験したことやできる仕事をやってもモチベーションになりません。自分が初めてやること、ほかのプロジェクトでは絶対にできないことを提供してあげることで、そのプロジェクトに深くコミットしてもらえるのです」(泉さん)

 また、泉さんはプロジェクトマネジメントのスキルを磨くために、資格の取得は効果的だという。例えば、トータルDBの構想を考え始めたときには「ITストラテジスト」を、前職時代にある製造業のファイルサーバをマイグレーションするプロジェクトにかかわった際には、データの監査が必要だったため、「システム監査技術者」の資格を取ったという。

 「業務だけでは気付かなかった視点を得ることもあるし、知識を身に付けることでアイデアが豊富に出るようになります。軽んじてはいけないなと思っています」(泉さん)

ビッグデータでこれまでにない新サービスを!

 今後のキャリアについて、泉さんはどのような展望を描いているのか。「トータルDBを、日本はもちろんのこと、世界でも有数のデータ活用基盤に育てたいです。その上で、このデータを活用して今のリクルートにないようなまったく新しいサービスを作りたいです」と泉さんは意気込む。

 リクルートは、世界でも有数のライフログデータを持っている会社だという。そうしたデータを集約し、さまざまな切り口で分析を加えることで、消費者一人一人に最適なサービスを提供できたり、思ってもみなかったサービスを提供したりすることも可能だとする。「データセントリックなサービスを、日本を飛び越えてグローバルでも展開していきたいです」と泉さんは力強く語った。

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ITとデータはリクルートという企業にとって生命線。実際にそれを活用する営業担当をはじめ、業務部門が使いやすい形にしないと誰も使ってくれません。そうならないために、業務に応じて最適化するなど、仕組みをきちんと提供してあげるのが重要な役目だと考えています
ITとデータはリクルートという企業にとって生命線。実際にそれを活用する営業担当をはじめ、業務部門が使いやすい形にしないと誰も使ってくれません。そうならないために、業務に応じて最適化するなど、仕組みをきちんと提供してあげるのが重要な役目だと考えています

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第39回 新幹線の車窓からiPhoneで富士山を撮る

 2014年の正月、東京から東海道方面を西へ新幹線で帰省していたみなさま、お疲れ様でした。わたしも思い切り、3日に有楽町駅近隣で発生した火災の影響を受けてエライ目にあったわけだけど、それでもなんとかふたりがけの席をゲット。東海道新幹線はDE側(つまり2人席側)に乗ることに決めているのだ。富士山が見えるから。車窓から見える富士山が好きなのですよ。工場だらけの前景も含めて。

 で、富士山が見えると何をするかというと、iPhoneを取り出して撮るわけであるが、そのときのコツの話を。

 iPhoneで新幹線から富士山を撮るとき問題になるのは2つ。

 ひとつは「前景が思い切りゆがんで写る」こと。この話は以前もした(荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第6回 電車を撮ると歪んで写る理由とその対策)。もうひとつはちょっとでもタイミングがずれると手前に鉄橋やら鉄柱やら高架沿いのビルやらがかぶって富士山が隠れちゃうこと。

 この2つを解決する。

 まず前景が思い切りゆがんで写る話だけど、これは「ローリングシャッターゆがみ」と呼ばれてて、高速に動いているものを撮ると(あるいはiPhoneを高速に動かしながら撮ると)どうしても出ちゃう。避けられない。両方が重なるとこんなことになる。ぐにょん。

 さてどうするか。

 まずは「連写」する。特にiPhone 5sは高速連写機能を持ってる。新幹線から富士山を撮る時は(まあ高速で移動する乗り物から風景を撮るときは、と言い換えるべきだけど)、カメラボタンを長押しして、1〜2秒くらい撮り続けるべし。

 で、あとからいい感じの写真を選択してやればOK。

 選択が終わったら「完了」をタップする。

 ちなみに、最初の1回はこんな画面になるので、「使えない写真は消しちゃいたい」ときはここで「〜枚のお気に入りのみ残す」にすると、他の写真を消してくれる。

 で、前景に何もない写真を連写した中から見つけ出したけど、どうにもこうにも電線が邪魔である。そこでアプリ「Touch Retouch」の登場。

 うまく電線が消えたら、窓越し撮影によってちょいと色がくすんでコントラストもいまひとつなので、次はそちらを補正する。使うアプリはいつもと同じ「snapseed」。いくつか試したけど、これが一番簡単で効果的なので。

 まず自動補正をかけて色をちょいと直し、続いて、傾きを補正。

 さらに、「snapseed」の新機能「HDR SCAPE」を使ってみた。HDR風に写真を加工する機能だ。

 そして仕上げにTILT-SHIFT機能で上下にぼかしをかけ、

 ちょいとクロップして仕上げたのがこちら。

 元の写真と比べてもらえると面白いかと思う。

 でも、前景を入れたまま富士山を撮りたいってこともある。

 そんなときは「縦位置」で撮ればいい。高速被写体のゆがみはCMOSセンサーの方向によって変わるので、縦位置で撮ればぐにょんとはならないのだ。普通にこんな風に撮れる。

 つまり「iPhoneを縦位置にして高速連写してあとからきれいに撮れてたものを選ぶのが一番簡単」なのだ。これで車窓から富士山を撮っても、前景がゆがんだりタイミングがずれて余計なものがかぶったりしなくなる。

 新幹線からの富士山って、ほんのちょっとの間に前景がめまぐるしく変わり、その都度雰囲気ががらっと変わるのが面白いのだよね。

 新幹線の窓越しだと画質的にキツいものがあるので、ちょっとレタッチしてスクエアにしてみたものを3枚。

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小田原側から3本の電柱(でいいのかな)とともに
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工場街と合わせてみた。新幹線から見る富士山ってこういうイメージがある
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富士川越しの富士山。一瞬だけど、このときが一番富士山の全貌を楽しめる気がする

 こういう話は昨年末にしといてくれ、といわれる気がしないでもないが(自分でもそう思うし)、まあわたしも帰省する新幹線に乗って思いついたのでご容赦下さい。

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プロ棋士がコンピュータ将棋に10倍返し! 船江五段が雪辱を果たした「電王戦リベンジマッチ」を振り返る

 昨年4月に開催され、現役プロ棋士がコンピュータ将棋ソフトに大きく負け越して話題になった「第2回将棋電王戦」。今年開催される第3回に先駆けて、船江恒平五段が将棋ソフト「ツツカナ」に再戦を挑む「電王戦リベンジマッチ」が12月31日に開催されました。

 前回、ツツカナにあと一歩のところで逆転負けを喫した船江五段。何度人間が優勢を築いても決して動揺せずに喰らいついてくるコンピュータ将棋の強さを、多くの人に印象付けた対局でした。敗れはしたものの船江五段はその後もツツカナを研究パートナーとして活用しており、「ツツカナと新婚生活をしているようなもの」と語るほどの相思相愛ぶりは棋士と将棋ソフトの新しい関係性として話題に。プロが2度も同じソフトに負けてしまえば格付けがはっきりしてしまうというリスクはありますが、「ツツカナともう一度指してみたい」との想いから今回のリベンジマッチに名乗りを上げました。


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船江五段はチャレンジャーとして自ら「玉将」を持った


プロの意識を変えた電王戦

 対局・解説会場となったのは、この日を最後に移転が決まっている原宿・ニコニコ本社。会場には200人近いファンが詰めかけ、会場の外にまで人があふれるほどの盛り上がりを見せました。


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ニコニコ本社に1日だけ作られた対局室

 解説陣は前回と同じ鈴木大介八段と聞き手の藤田綾女流初段に加え、ともに電王戦を戦い終局後の涙が話題を呼んだ塚田泰明九段が登場。第2回電王戦の結果はプロ棋士達のコンピュータ将棋に対する意識も大きく変えたようで、「電王戦をきっかけに、自分の指した将棋をソフトで分析して研究するようになった」というエピソードも披露されました。


前回の指し手をなぞる展開に

 序盤は30手を過ぎるまで前回とまったく同じ指し手で進むという展開に。人間が同じ手を指してもツツカナはランダムで指し手を変えることがあるのですが、この日はたまたま前回と同様の進行が続いたそうでまさに「リベンジマッチ」にふさわしい局面に進んでいきました。また、時間の使い方は対照的で、常に1手を数分考えるツツカナに対し、船江五段は序盤をノータイムで進めソフトの得意な中盤〜終盤に持ち時間を残す作戦。十分にコンピュータ将棋対策を立ててきた様子をうかがわせます。


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得意の自虐ネタで笑いを誘う鈴木八段

 ちなみに解説の鈴木八段は前回の電王戦後、船江五段と改めて指し手を検討したそう。船江五段が鈴木八段の考えた手を聞いて「いい手ですねー」と言ったというまさにその局面が登場すると、「ここで船江君が僕の言った手を指すかどうかで僕たちの友情が試されます」と盛大にフラグを立てます。案の定、船江五段があっさりと違う手を指すと、鈴木八段は「なんて奴だ!」と声をあげ会場の笑いを誘っていました。


豪華ゲストも多数


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紅ちゃんの登場に沸くコメント

 電王戦恒例の「素敵なゲスト」には中学生美少女棋士として人気の竹俣紅女流2級などが登場し、コメントは大盛り上がり。また、電話コーナーの「ティロフォンショッキング」には、「リベンジマッチ」という棋士には珍しいカタカナでの題字を書いた船江五段の師匠・井上慶太九段などが出演しました。ちなみになぜ「ティロフォン」なのかというと、ニコ生で頻繁に流れる将棋アプリのCMで西尾明六段が奏でる速弾きギターに合わせた「ティロティロティロティロ」という弾幕からとられたようです。なお、公式の曲名も「ティロティロ」になってしまったもよう。


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ニコ生将棋のコメントでは定跡の「ティロティロ」がついに公式化


完璧な指し回し

 先に前回の進行と違う手を指したのはツツカナ。この攻めには無理があり、解説陣は船江五段有利の見解を示します。ただし、わずかな気の緩みであっという間に逆転されてしまうツツカナの恐ろしさはすでに経験済み。昼食休憩後には早くも船江五段が待っていた勝負所となり、節約していた持ち時間を一気に投入して長考に入ります。


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対局者の昼食は鮒忠の「金龍膳」3150円

 局面が二転三転した前回とは違い、気力体力の充実した状態で読みを入れる船江五段は、完璧な指し回しでツツカナに逆転の隙を与えません。逆にツツカナの攻めが緩んだ瞬間を見逃さず、最後は“詰め将棋の名手”の面目躍如でツツカナの王を鮮やかな即詰みに討ち取り、85手で勝ち。「10倍返しで勝ちたい」という対局前の宣言通り、完璧な勝利を収めました。


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倍返し達成の瞬間

 終局後の感想では「楽しく指せました」と笑顔を見せた船江五段。事前対策の立てやすさなど船江五段に有利な条件はありましたが、それでも練習での成績は「五分五分」だったというところにツツカナの強さが感じられます。


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「103」の愛称で親しまれる一丸さんの穏やかなキャラクターも光っていました

 ツツカナ開発者の一丸貴則さんが、記者会見後に慣れない正座で足がしびれてしまった場面では、会場も一丸さん達も爆笑。相思相愛の両者らしく、最後は和やかな雰囲気での終了となりました。


 この日のために禁酒をして臨んだ船江五段。勝利の美酒で一年を締めくくることができたようです。


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