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徹底レビュー:魅惑の高解像度だけではない「iPad mini Retina」のトンガリ具合

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 iPad mini Retinaは、米Appleが発売した最新の8インチタブレットだ。同社の代名詞であるRetinaディスプレイを搭載し、その仕様が強化されている。初代の「iPad mini」は、「iPad 2」をスケールダウンしたバージョンだったが、iPad mini Retinaは通常サイズの「iPad Air」に匹敵する機能を備えている。

構造とデザイン

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 iPad mini Retinaは、スリムでコンパクトで軽量というApple製品らしい魅力を備えたデバイスだ。寸法は200(高さ)×134.7(幅)×7.5(厚さ)ミリで、重量はわずか331グラムである。3G接続や4G接続を利用した無線通信が可能なCellularモデルの重量は若干増えて341グラムになる。

 iPad Airと同様に、iPad mini Retinaの枠は薄く、デバイスの小型化に貢献している。しかし、片手で持つのは少々困難だ。片手でも持てる大きさだが、両手で持った方が操作しやすく、安定感がある。ディスプレーの端を親指で押さえていても、そのことが適切に認識されるため、ユーザーはもう一方の手で自由にジェスチャを使用できる。

高解像度ディスプレー


今のところ大半は冷静──2013年、尖閣問題で揺れる中国対日ネット世論はどうなった?

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 反日デモから1年。今に至るまで、中国からの艦船や飛行機が尖閣諸島にやってくる。日本発のニュースを見る限りでは、この動きの背景にネット世論があるように一部で報じられることもある。中国のポータルサイトでは尖閣諸島ネタが絶えることなく報道されていた感があるが、実際のところ、中国のネット世論はこの1年間でどう変わったのか。さまざまな角度から調べてみたが、どうも中国人にとっては「ネタ切れ」とも、「それどころではない」ともいえる状況のようだ。

関心が薄れた?尖閣諸島問題

 中国での検索数シェアで72.1%を占める百度(Baidu)が公開しているGoogle Trendsのようなツール「百度指数」で、「釣魚島」(尖閣諸島の中国の呼び名)の今年の検索数を時系列で調べてみると、1月を頂点にどんどん下落していっていることが分かる。その1月にしても、前年の反日デモのころに比べればずっと少ない。つまり昨年に比べれば、中国のネットユーザーは尖閣諸島について検索していないということになる。

photo検索数が減少する「釣魚島」

 百度が先日発表した年間検索ワードランキングでは、「釣魚島」以上に、大気汚染の影響で各都市を覆った「霧」、4月に発生した「四川省雅安地震」、現在も感染者が発生している「H7N9型鳥インフルエンザ」、6月に打ち上げられた「神舟10号」が上位にランクインした。

 また、失脚して無期懲役が確定した元重慶市トップの薄熙来氏に関するスキャンダルや、「大V」と呼ばれるフォロワーが非常に多いオピニオンリーダーの拘束、「デマと認識された書き込みが500回RTされると有罪」になる法律の施行──など、普段政治に関心がない人でも疑問符をつけたくなる中央政府関係のニュースが尖閣諸島以上に目立ったように思う。

photo日本と入れても反日的な予想は出ない

 尖閣周辺では緊張状態にはあったものの、比較的大きな反響のあった日中関係のニュースは、今年前半では、1月に鳩山由紀夫元首相が「尖閣諸島で係争が起きていることを認めよ」と発言した件、3月に抗日ドラマの粗製濫造に中国中央電視台(CCTV)などが注文し抗日ドラマのクオリティの低さが話題になった件、4月に日台漁業協定で台湾が妥協したとして中国のネット民が台湾に対し怒った件──くらいしかない。

 今年後半では、12月に安倍晋三首相が靖国神社を参拝するまで大きな日中関係のニュースはなかった。敢えて注目を浴びたものを挙げれば、8月に言論NPOが発表した日中相互の印象が最悪となった「第9回日中共同世論調査結果」についてのニュースや、11月に大阪の淀川で中国人留学生が小学生を助けて表彰を受けた──くらいだった。留学生が小学生を救助した件では拍手喝采ばかりと思いきや、安倍首相が感謝状を渡したことから、これを陰謀論と決めつけて意見を変えない人もネットで散見された。

中国の“ネット右翼”こと「憤青」の変わらぬ反日に対し、一般人の多くはスルー

photo「高学歴ほど憤青(中国版ネトウヨ)は少ない」という新聞記事

 ニュースネタには欠いた一方で、抗日コンテンツはテレビドラマ以外にも登場した。スマホで読書がさらなるブームになった今年は、日本叩きが題材のオンライン小説が続々登場。その自己満足的な内容から抗日小説を読む気のない人々はそれを「地雷」「意淫(自慰)」と呼んだ。雑貨屋や土産物屋では、中国政府の定番標語「為人民服務」を使った懐古とジョークが混ざったグッズと共に、「釣魚島是中国的(尖閣は中国のモノ)」と書かれたグッズを販売開始。この標語を出す人がネタになってしまったわけだ。

 ネタにされたのは憤青なる人々。憤青については2月に掲載された「中国政府、自国の“ネット右翼”に困惑し始める 嫌がる人も多い“憤青”」を見ていただきたいが、手短にまとめると、20〜30代でネットに依存しすぎており、よく日中戦争論を掲示板などでまくし上げるが、実際に戦争が起きたら真っ先に逃げ募金もしない、低学歴定収入の層──と言われている。彼らの心をつかんで離さないのが、対日本で息を荒げるニュースサイト「環球時報」(環球網)と軍事系のサイト。そこでは多くの憤青が威勢良く抗日系コメントを書き込んでいる。

photo環球日報

 例えば、尖閣諸島を日本が国有化して1年が経った今年の9月11日、尖閣絡みのニュースに環球網では4600もの抗日系コメントが書きこまれた。だがその一方で、大手ポータルサイトでは「網易」(NetEase)では書き込みはゼロ、「捜狐」(Sohu)でもたったの2と極めて反応が悪く、多くの人はスルーしたようだ。環球日報や軍事系サイトの反応と、新浪や騰訊や網易といった大手ポータルの読者の反応では、戦争推進と日中相互理解推進ほどの正反対の差がある。日本のニュースサイトで「中国のネットの反応」が出た時は、どこのサイトの反応かまで見るべきだろう。こうした事例は節目の9月11日だけでなく、毎日のようにある。

冷静なネットユーザーが大半

photo安倍首相の靖国参拝を報じるポータルサイトの特集ページ

 安倍晋三首相が靖国神社を参拝した12月26日。この日の午後7時の時点でも、中国の各ニュースサイトが関連ニュースの特集を組んだが、ポータルサイト「新浪」や「網易」では1500前後の書き込みが投稿され、その内容は「理性的に対処」や「中国(人)への自嘲」的な内容が目立った。憤青の集まる環球網では、3000人以上の抗日系書き込みがあった。

 実際には、多くのネット世代の中国人は、中国内の報道を受けて日中戦争を心配することもあったが、決して人民解放軍の背中を押すような世論にはなっていない(とはいえ尖閣諸島は中国のものだと思っている人は多い)。

 幸か不幸か、同じ日に中国共産党首脳がそろって、毛沢東の遺体が安置されている北京の毛主席記念堂を訪問したこともあり、「靖国参拝もやむなし」「中国政府も日本と変わらない」という反応もあった。ポータルサイトでは靖国神社参拝と同程度の重要ニュースとして並んでいたこともあり、PCスマホを問わずニュースサイトを見た人々は、書き込まずとも「同じじゃない?」と考えた人は少なからずいるだろう。

 「靖国参拝に対して中国のネットは冷静」との報もあるが、中国のネットでは、多くのユーザーが論評するような事件などでは初動では冷静な分析が多いが、やがて憤青の抗日コメントを始めとした野次的な書き込みばかりになる傾向がある。ネットの反応にはもう少し時間をかけて様子を見た方がよさそうだ。

 中国のネットでは、煽り気味の尖閣関連ニュースをスルーしているユーザーが多数派だ。だが日本では、憤青が集まる環球網などが配信する煽り記事とその偏った読者の反応が取り上げられてニュースになっており、心配に思えた。靖国神社参拝に対する中国の反応についても、日本のメディアが中国政府のオフィシャルな声明や、煽りニュースと憤青の反応ばかりを紹介すると、中国市民のリアルを誤解することになろう。

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2013年を総括! 「麻倉怜士のデジタルトップ10」(後編)

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 この1年間を振り返り、とくに印象深いハードとソフトをランキング形式で紹介する恒例「麻倉怜士のデジタルトップ10」。後半は第5位からスタートです(前編はこちら)。

第5位:コルグ「DS-DAC-100」

麻倉氏: 第5位は、コルグが発売した「DS-DAC-100」です。これは10万円以下のUSB-DACの中では“ぶっちぎり”に高音質な製品です。ワイドレンジで解像感が高く、かつ音が緻密(ちみつ)。DACチップは、「DS-DAC-10」と同じCirus Logic(シーラスロジック)の「CS4398」ですが、驚いたことに音は随分と変わりました。オーディオ的な良さがアップしています。

ts_enma10top01.jpgコルグ「DS-DAC-100」

 例えば、有名なノルウェー「2L」のDSD 64コンテンツ「ヴァイオリン協奏曲」は非常に透明で、音の色数が断然多い。一音一音が溌剌(はつらつ)とし、ビビッドな音進行を聴かせてくれます。DSDならではのソノリティーの厚さと透明感が楽しめました。そしてソロバイオリンの美しいこと。倍音の多さも感動的です。同音源のDSD 128版はさらに透明度が高く、音のテンション感と浮遊感が現実離れしています。楽器から発せられた音の粒子が、無重力のようにふわふわと空間に浮いている感覚が聴けるのです。

ts_enma10top02.jpgts_enma10top03.jpgコルグ「DS-DAC-100」。独特のデザインと金属製スパイクなど、見るからに特長的。背面にはバランス出力(XLR)も用意している。2.8MHzと5.6MHzのDSD、および最大192kHz/24bitのPCM音源に対応する

 コルグはオーディオ専業メーカーではなく、音源制作の側に立つ会社で、ベースにある考え方も違うのではないでしょうか。今でこそ他社からもDSD対応の製品は多く出ていますが、プロ向けの「MR-1000」など、何年も前から人知れずDSDを手がけてきたのがコルグです。実際、ハイレゾ音源配信サイトのDSD音源も同社の「MRシリーズ」を用いてDSD録音したものが多い。最近の作品ではスウェーデンの「OPUS3」レーベルは最高です。DS-DAC-100はそれを忠実に再生します。

 また、自社製ソフト「AudioGate 」で再生し、自社のDACで音を出すという、1つの垂直統合もうまく機能しています。AudioGateは、ファイル変換ソフトとして登場した経緯もあり、以前はプレーヤーとしての使い勝手はいまひとつだったのですが、AudioGate 3では「foobar2000」(Windows用の定番ハイレゾ再生ソフト)のようなプレイリスト機能やカスタマイズ機能まで取り入れて使いやすくなりました。また、DSDとリニアPCMのファイル(WAV、FLAC)が共存していると、ノイズが発生するプレーヤーもありますが、AudioGate 3には皆無。

 バランス出力(XLR)を搭載したのも10万円以下のクラスでは初めてではないでしょうか。コルグでは業務用途にも展開します。実売価格は5万円とちょっとですから、とてもコストパフォーマンスが高いDACといえるでしょう。今、一番に推薦するべきDACだと思います。

第4位:ヤマハのセパレートAVアンプ「CX-A5000/MX-A5000」

麻倉氏: ヤマハが10月に発売した「CX-A5000/MX-A5000」は、実に22年ぶりとなるセパレート型のAVアンプです。これも実に出来が良い製品です。

ts_areyamha02.jpgts_areyamha01.jpgヤマハのセパレートAVアンプ「CX-A5000/MX-A5000」

 AVアンプは、いかに新しい機能を取り込んでタイムリーに市場に出すかが重要で、これまでは音が“二の次”にされがちでした。アクション映画などはともかく、音楽再生はいまひとつ。アクション映画の爆発音は出せても、バッハの繊細なチェンバロの音を出すのは難しいのです。今までは、そこにかけるリソースが決定的に不足していました。しかし、「CX-A5000/MX-A5000」でCDを聴くと、スピード感があってヤマハらしい質感の良さも感じられます。

 また、「CX-A5000」と「MX-A5000」の筐体(きょうたい)は、それぞれAVENTAGEの「RX-A3030」と「DSP-Z11」をベースにしています。とくに「CX-A5000」と「RX-A3030」はフロントマスクも共通で、デザイン的な目新しさはありません。しかし、今の時代は金型に投資することよりも中身の方が重要です。

 例えば、DACにはESS Technologyの「ES9016」を採用しています。パイオニアなど各社が採用した人気のチップですが、ヤマハはそのポテンシャルを発揮させた上で自社の“音作り”をしました。

 また、11chものパワーアンプを搭載した「MX-A5000」は、柔軟なアロケーションが可能です。例えば、5.1ch構成として5chのスピーカーをすべてバイアンプ駆動にしたり、大きなスクリーンを使っている場合にはセンタースピーカーを3台まで並べるといったこともできます。

ts_cxmx12.jpgts_cxmx13.jpgチャンネルレイアウト例

 セパレート型のAVアンプには、サラウンドフォーマットやインタフェース(HDMIなど)が進化しても、プリアンプを交換するだけでパワーアンプは長く使えるという合理性もあります。ヤマハが再びセパレート型を提案したことは、AV業界の底上げにもつながる“英断”だったと思います。

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“One Sony”を実現したコンテンツとノート感覚で使えるペン入力の秘密――「Xperia Z Ultra」

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 6.5ミリのボディに6.4インチのディスプレイを搭載したスマートフォン「Xperia Z Ultra」は、そのサイズ感が大きな特徴だが、ソフトウェアも進化を遂げている。開発者インタビューの第4回では、ソニーモバイルコミュニケーションズのエクスペリエンス・プランナーの石田氏と、プロダクトプランナーの市野氏に、ソフトウェアの新しいポイントを聞いた。

photophoto6.4インチディスプレイ搭載の「Xperia Z Ultra」。ボディカラーはBlack、White、Purpleの3色

進化した「アルバム」「WALKMAN」「ムービー」アプリ

photoエクスペリエンス・プランナーの石田氏

 ソニーは、同社が培った家電の技術を集約させる“One Sony”を掲げてスマートフォンやタブレットを開発しているが、これはハードだけでなくコンテンツにも当てはまる。「夏に向けて、ソニーのエンターテインメントをもう一度作り直したいと考え、音楽、映画、写真の3ジャンルを、特に集中して取り組みました」と石田氏は話す。これら3つの体験を得られる入口となるのが、ソニー独自の「アルバム」「WALKMAN」「ムービー」アプリであり、Xperia Z Ultraではその使い勝手が改善されている。なお、3アプリはXperia Z1/Z1 fも同様の進化を遂げているので、ご存じの方も多いと思うが、あらためてチェックしていこう。

 まずはアルバムアプリについて。Xperiaのアルバムアプリといえば、ピンチイン/アウトでサムネイルの画像を縮小/拡大でき、スムーズにスクロールできることが特徴だが、Xperia Z Ultraでは、よりサクサクスクロールできるよう磨きをかけた。「今までもサクサク見られるようこだわっていましたが、(Xperia Z Ultraでは)スクロールしたときのローディングアイコンが出ないよう作り込みました。スクロール速度も従来から改善しています」と石田氏は説明する。

 ソニーのクラウドサービス「PlayMemories Online」にアップロードした写真もアルバムアプリから閲覧できるのはもちろん、「一度アクセスすると、すべてキャッシングをするので、オフライン環境でも閲覧できる」(石田氏)という。6.4インチという大画面と、広い色域で表示できる「トリルミナスディスプレイ for mobile」によって、Xperia Z Ultraなら、よりリッチな環境で写真を楽しめる。

photophoto「My Albums(マイアルバム)」では、PlayMemories Online、Facebook、Picasaにアップロードした写真も閲覧できる(写真=左)。写真を開いたときにピンチインをすると、サムネイルに戻るなど、ちょっとした操作性にもこだわった(写真=右)
photo6.4インチのフルHD、トリルミナスディスプレイ for mobileで写真を大きく、美しく表示する

 「目当ての写真に簡単にたどり着けない」といったことを解消すべく、当日に関連付いた過去の写真を、My Albumsのトップにランダムに表示する「リコールプレイバック」という機能も設けた。ちょうど1年前の写真が表示されたりするので、ちょっとした再発見ができるわけだ。これは「撮影した写真と、PlayMemories Onlineの学習機能を使って、最適な写真を選んでいる」(石田氏)そうだ。

 WALKMANアプリは、ソニーの音楽配信サービス「Music Unlimited」と統合したことが一番の改善点だ。PCなどから転送した曲と、Music Unlimitedの曲が混在し、Music Unlimitedには小さなアイコンが付けて区別できるようにした。

 「『コンテンツを持っているソニーなんだから』という声にしっかりお応えしました。WALKMANアプリを起動すると、(Music Unlimited)の約1500万曲へ簡単にアクセスできます」と石田氏。しかし膨大な曲がWALKMANアプリ上に集約すると、楽曲を探しにくくなりそうだが、そんなときは検索ボタンを利用すればよい。「検索ボタンを押すと、ローカルとMusic Unlimitedの曲を簡単に検索できます。どの曲を聴いて良いか分からないときは、『チャンネル』からムードに合った曲やジャンルを探せます」(石田氏)

 Music Unlimitedの曲はストリーミング再生が基本ではあるが、ダウンロードすることもできる。これはPlayMemories Onlineを統合させたアルバムアプリとと同じく、「どこでも楽しんでもらうこと」にこだわったからだ。

photophotophotoWALKMANアプリの入口。ビジュアルにもこだわった(写真=左)。Music Unlimitedの「チャンネル」もWALKMANアプリからアクセス、再生できる(写真=中)。プレイリストを作成すると、Music Unlimitedの配信曲をダウンロードしてオフラインでも聴けるようになる(写真=右)

 さらに、Xperia Z Ultraではチップセットの性能を生かしつつ再生の仕方を工夫することで、音楽は約120時間の連続再生を実現した。“ちょっと大きなWALKMAN”としても、十分に活用できそうだ。

 高音質なサウンドに簡単に設定できる「ClearAudio+」は、従来はWALKMANアプリからしか変更できなかったが、Xperia Z Ultraでは「設定」から変更できるようになった。これにより、ムービーやYouTubeなどのWALKMANアプリ以外でもClearAudio+が有効になる。

 ムービーアプリは撮影した映像、Video Unlimitedの作品、ホームサーバにある映像などを一元管理できる。高画質処理エンジン「X-Reality for mobile」によってより鮮明に再生できることに加え、Xperia Z Ultraではムービーアプリでも、ClearAudio+やイコライザーの設定も可能になった。「良い音と映像で気楽に映像を楽しんでほしい」(石田氏)という思いから改善した。

photophoto「設定」→「サウンドエフェクト」からClearAudio+、イコライザー、ダイナミックノーマライザーなどの設定が可能になった(写真=左)。ビデオアプリからも同様のサウンド設定が可能だ(写真=右)

 「ようやく、コンテンツを含めてOne Sonyになりました」と石田氏は話すが、これがゴールとは考えていない。「今までは端末のライフサイクルやアップデートのタイミングに合わせて(アプリを)開発していましたが、そういった時間軸ではとても戦えなくなってきています。ソニーのシグニチャーアプリについては、もっと頻繁に更新していきたいですね」——そう石田氏が話すように、Xperia Z Ultraより後に発売されたXperia Z1や、既存のXperia Z/Aについても、「アルバム」「WALKMAN」「ムービー」アプリがアップデートされた。アルバムアプリはPlayMemories Onlineにアップロードした写真・動画と、撮影した写真・動画をまとめて閲覧できるようになり、さらにOne Sony化が進んだ。

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2013年を代表するノートPC“10選”

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理想形と未来を示す2つの「VAIO」

tm_1308vaiopro_iv2_12.jpgCPUとチップセット(PCH)を1つのBGAパッケージに統合した第4世代CoreのUシリーズ。1チップ構成というわけではなく、パッケージ上にはCPUとPCHのチップがそれぞれ並ぶ

 2013年は何といっても開発コード名「Haswell」こと「第4世代Coreプロセッサー」の影響が大きい。

 特にUltrabook向けのUシリーズと2in1デバイス向けのYシリーズは、従来のチップセットの機能をワンパッケージに統合したSoC(System On Chip)に進化した。システムレベルの高度な省電力機能を搭載することで、特にアイドル時の消費電力を大幅に下げることに成功し、実装面積の縮小もあり、モバイルPCの設計の自由度を大幅に広げた。2013年には、特にUシリーズを搭載した魅力的なモバイルPCが続々と登場した。

 その先陣を切ったのが、6月に発表されたソニーの「VAIO Pro 13」「VAIO Pro 11」と「VAIO Duo 13」だ。VAIO Pro 13/11は、従来のクラムシェルスタイルを踏襲した薄型軽量モバイルノートPCだが、そのスペックがスゴい。13.3型のVAIO Pro 13は約940グラムから、11.6型のVAIO Pro 11は約770グラムからという超軽量で、バッテリー駆動時間もそれぞれ約13時間、約11時間と長い。

 さらにフルHD表示に対応した広色域な「トリルミナスディスプレイ for mobile」という非常に美しい液晶ディスプレイを搭載することも特徴だ。数年前あたりの段階でイメージできたモバイルPCの1つの理想形に到達した、といっても過言ではない。

tm_1306vaiopro_r1_04.jpgtm_1306vaiopro_r1_02.jpgソニーの「VAIO Pro」シリーズ。13.3型の「VAIO Pro 13」(写真=左)と11.6型の「VAIO Pro 11」(写真=右)
tm_1306_duo13_r1_01.jpg13.3型モバイルノートPC「VAIO Duo 13」は、VAIOノートのラインアップでフラッグシップモデルとなる

 もっとも、技術というものは日々進化するもので、今ではもっと先の可能性も見えている。その可能性をいち早く示しているのが、ソニーが「スライダーハイブリッドPC」と呼ぶ13.3型モバイルノートPC「VAIO Duo 13」だ。

 独自のSurf Slider機構による素早いスタイルチェンジ、書き味にこだわった快適な筆圧対応のペン入力、第4世代Core搭載PCとしては初めてとなる、スリープ中でもメールチェックなどができるConnected Standby(Windows 8.1ではInstant Go)のサポート、スマートフォン並のスリープからの瞬間復帰、さらに最長18時間のバッテリー駆動時間など、まさに未来のユーザー体験を先取りする1台だ。

さらに軽量になった「LaVie Z」

tm_1312_13note_01.jpgNECの13.3型モバイルノートPC「LaVie Z」

 2012年発売の前世代で約875グラムという軽量を実現し、Haswell世代での動向が注目されていたNECの13.3型モバイルノートPC「LaVie Z」は、軽量・超高解像度モデルとタッチパネル搭載モデルの2系統での展開となった。

 特に先代の正統な後継となる軽量・超高解像度モデルは、約795グラムへとさらなる軽量化を実現しただけでなく、表示解像度は2560×1440ドット、画素密度は約221ppiというノングレアのIGZOディスプレイを搭載し、さらに魅力的な製品に進化した。もちろん、13型クラスとしてはダントツの最軽量だ。

 約770グラムのVAIO Pro 11とともに、軽量志向のユーザーにとっては最有力の選択肢となっている。ボディの軽さ、バッテリー駆動時間を重視するならVAIO Pro 11、画面サイズやキーピッチのゆとりを優先するなら、LaVie Zということになるだろう。

 新たに追加されたLaVie Zのタッチパネル搭載モデルも、また別の魅力を備えた製品になっている。こちらの液晶ディスプレイは1920×1080ドット表示のIPSパネルで、軽量モデルの約1.5倍の大容量バッテリーを内蔵し、約14.5時間の長時間駆動を実現した。重量は約964グラムと少し重いが、それでもタッチパネル搭載で1キロを切っており、軽量志向のニーズを満たす範ちゅうにある。

液晶ディスプレイの高精細化、高画質化が進む

 東芝が4月に発売した「dynabook KIRA V832」は、13.3型で2560×1440ドット表示、画素密度約221ppiという高精細なディスプレイをUltrabookで初めて搭載しただけでなく、最適な色味を実現するため、出荷前に液晶パネル1台1台の色調整を実施するという画質へのこだわりが大きなインパクトを与えた。年末の12月27日にはHaswell版の「dynabook KIRA V834」が登場し、解像度はそのままにタッチパネルを省いた下位モデル(V634)も加わっている。

 また、富士通のUltrabook「FMV LIFEBOOK UH90/M」は、剛性感のある薄型ボディにIGZOディスプレイを搭載し、14型で3200×1800ドット、画素密度約262ppiという超高精細表示を実現している。こちらもPC USERのテストでは画質面についても良好な結果だった(テストしたのは前モデルのUH90/L)。

 ここまでの高精細でなくとも、13型クラス以下でもフルHD(1920×1080ドット)表示に対応する製品が大幅に増え、液晶パネルも視野角の広いIPSやその派生パネルが搭載されることが多くなっている。また、特に国内メーカーの製品を中心に、sRGBの色域をほぼカバーする広色域も兼ね備えるなど、液晶ディスプレイの進化が著しい1年となった。

tm_1312_13note_02.jpgtm_1306uh90l_pr_01.jpg東芝の13.3型モバイルノートPC「dynabook KIRA V834」(写真=左)。富士通の14型モバイルノートPC「FMV LIFEBOOK UH90/L」
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別の意味で“ガラパゴス”になりつつある日本が心配です

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 ちょうど1年前(記事執筆当時)、「(スマートフォンを)1台だけで満足に使える日が来るのだろうか」と書いた筆者。スマートフォン1台だけに絞って使うことがどうしても“スマート”(無駄がない)とは思えない、という思いからこう締めくくったわけだが、2013年はどうだったのだろうか。振り返ってみようと思う。

安定重視にシフトした富士通のAndroidスマートフォン。でも……

 日進月歩がすさまじいAndroidスマートフォン。2012年冬あたりで、円熟、とまでは行かないものの、どのメーカー・機種を選んでも動作や使用感に問題のないところまできて、あとは好みの問題なのかな、というところまで来たと思っている。

 2012年同様、同じメーカーを選び続けた方が“進歩”を見極められるという方針のもと、基本的に今年も富士通の「ARROWS」を選び続けた。とりあえず、実際の入手順ではなく、発売時期の早い順に振り返ってみようと思う。

 まずは「ARROWS ef FJL21」。auの「4G LTE」対応Androidスマートフォンの第1陣として登場した同機は、筆者にとって、初めての富士通モバイルコミュニケーションズ製ARROWSとなった(ARROWSはドコモ向けのみ富士通製、それ以外は富士通モバイルコミュニケーションズ製。ここ、ARROWSフリークテストに出ますよ!)。

 ARROWSといえば、フルスペックをセールスポイントとしていた。実際、FJL21もそれを採用していたが、同時期に他キャリアから出たARROWSと比較すると、画面サイズをはじめとして、さまざまなスペックが抑え気味となっていた。過去の「ARROWS Z」シリーズで度を過ぎた“やんちゃ”ぶりを見せたせいかもしれないが、真相は定かではない。ただ、今を思うと、この機種が2013年夏以降のARROWSが見せた“安定志向”の伏線のひとつだったのかもしれないな、と思う次第だ。

 実際はどうだったのか? システムメモリー(RAM)容量が2Gバイトが主流になりつつある中で1Gバイトしかないのは、アプリの稼働面では正直辛いところが多かった。一方、通信面ではauの「4G LTE」の快適さを感じるには十分すぎた。現行機種とは異なり、2.1GHz帯には対応しないものの、それがかえって快適さにつながったのかもしれない。現在でも、比較的安定して通信できているのは、KDDIの努力のたまものだろう。

photo筆者初のドコモ向けではないARROWSとなった「ARROWS ef FJL21」

 続いて「ARROWS X F-02E」。2012年の振り返り記事で紹介した「ARROWS V F-04E」よりも型番的には先なのだが、なぜか2013年春モデルとして登場した。ARROWS初のフルHD液晶を搭載したり、機能をあえて削って使いやすさを重視したカメラアプリを搭載したりと、意欲的な取り組みもなされていた。だが、包み隠さず正直に言うと、F-04Eの方が完成度・安定感ともに上で、F-02Eの出番は少なかった。F-02Eはスペック至上主義の旧来路線のARROWS最後の機種となった。

photo2013年に購入したARROWSの中で、一番出番が少なかった「ARROWS X F-02E」。手に入れたものの、この後どうなったかは……お察しください(1年ぶり2度目)

 そして、いよいよ路線変更が決定的となった2013年夏モデル「ARROWS NX F-06E」に至る。ドコモ向けARROWSとしては初めて、Qualcomm製のチップセットを採用し、ハードウェア・ソフトウェアともに安定性を最重要視して開発が進められたモデルだ。実際、従来のARROWSと比較すると、本体の発熱は他社並みかそれ以下に抑えられ、ベンチマークやアプリを動かした際の印象も悪くない。ソフトウェアの不具合更新も、従来機種と比べると少なくなっている。スマートフォン初搭載となったフルセグも、視聴環境に恵まれているせいか筆者的には非常に重宝した。まさしく個人的に「Best of ARROWS」を与えるにふさわしいモデルだ。“そつのない優等生”になった

 ただ、2013年夏モデルでドコモが採用した「ツートップ」戦略や、今までのARROWSが積み重ねたやんちゃぶりがあだとなり、今までのARROWSのような爆発的な売れ行きとはならなくなったのは、ちょっと残念だ。

photo「ARROWS NX F-06E」。フルセグを見たら、ワンセグに戻れなくなるぐらいにフルセグは正義

 さらに、「ARROWS NX F-01F」では安定性重視の路線を踏襲しつつ、見た目やユーザーインタフェース面にも路線変更が加わった。今までも丸みを帯びたARROWSはあったが、言うなれば“硬派な丸さ”といった感じだった。それが、完全に“柔らかい丸さ”になったのだ。ユーザーインタフェースに関しては、よく見ると機能配置などはF-06Eまでと変化ないのだが、配色やデザインがこれまた柔らかい感じになってしまった。

 筆者は、「硬派なARROWSが軟派になってしまった」と、F-06EでチップセットがQualcomm製になったこと以上の衝撃を受けた。恐らくは、今までのARROWSのやんちゃな歴史をフルリセットしたいがゆえのことなのだろうが、ずっとARROWSを見てきた身からすると、何だか残念に思えてしまったのが正直なところだ。

 ただ、実際使ってみると、光沢加工になっているわりには手汗をかいても手からすり落ちることは滅多になく、端末の持ちやすさは秀逸だし、ソフトの安定性も高いし、キャップレス防水はとにかく便利だし、液晶は外でも見やすい——と、デザインの好み以外はF-06E以上に“そつのない優等生”になっていることが分かる。

photo筆者を電子書籍に目覚めさせるほど屋外での液晶が見やすくなった「ARROWS NX F-01F」

 ということで、2012年以上にARROWSについて書いてしまった(編集さん、ごめんなさい……)わけだが、品質面や使い勝手において今夏以降のARROWSは非常に良く、ちまたでよくいわれる品質の悪さはみじんもない。しかし、過去の積み重ね、販売施策、ライバル機種の商品力の高さなどなど、さまざまな要因が重なってその良さが伝わらない状況になってしまったのは事実だろう。来年、再来年とこの品質・使い勝手を更に向上していくことでしか、ARROWSの信頼回復は図れないと思った次第だ。

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確率は2割! A10を買うとDDR3-2133メモリがその場で当たるぞ!

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「やはりA10-6800Kでチャレンジする人が多いでしょうね」——DDR3-2133メモリキャンペーン

og_akibatokka_001.jpgキャンペーンのチラシ

 12月28日土曜日から、ツクモ各店やBUY MORE秋葉原本店など複数のショップがAMDのAPU「A10」シリーズを対象としたユニークなキャンペーンを実施する。買ったその場で抽選にチャレンジでき、当たればDDR3-2133メモリ4Gバイト×2枚キットがもらえるというもの。AMD国内代理店のCFD販売が企画したもので、メモリはSKhynix製チップを載せた国内未流通モデルとなる。

 TSUKUMO eX.には、参加賞的なカプセル型ボールペン100個とメモリキット25セットを入荷しており、ちょうど2割の確率でメモリがもらえるようになっている。「DDR3-2133の真価を発揮できるのはA10-6800Kなので、そのあたりで抽選にチャレンジする人が多いでしょう。ただ、A10であれば6800Kでなくてもキャンペーン対象になります」と語る。

og_akibatokka_002.jpgog_akibatokka_003.jpgプレゼント用のDDR3-2133キット。「CFD-Panram」のロゴが貼られている(写真=左)。参加賞のノベルティグッズ。AMDのロゴが「縦にやや伸びた感じ」でプリントされている(写真=右)

 また、AMDのRadeon R9 290X/290を搭載した初回入荷のグラフィックスカードも底値に近くなっている。「今なら290Xでも5万円台後半、290なら4万円台前半で複数のモデルが選べます。各社のオリジナルクーラー搭載モデルが控えている関係で放出特価気味になっているんですよ」(同店)とのことだ。

og_akibatokka_004.jpgog_akibatokka_005.jpgTSUKUMO eX.のショーケースに並ぶRadeon R9 290X/290搭載グラフィックスカード

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2013年の自作パーツを振り返る

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 2013年、みなさんはどのようなPCを組まれただろうか。自作PC市場は縮小傾向とも言われるが、そもそもPC自体、うかうかしているとタブレットやスマートフォンに食われるかもしれないという現在。ただ、PCこそ技術トレンドの最前線であり、今年も1年、CPUやグラフィックスカード、マザーボードといった基幹パーツはもとより、細々したPCパーツを含めれば、とにかく星の数ほど新製品が発売されている。そこで、PC USERのパーツ系レビューを担当する身から、2013年の自作PCパーツを振り返ってみた。

CPU編:パフォーマンスは向上……が、インパクトには欠けた2013年のCPU

og_jisakumatome_001.jpgCore i7-4770K

 例年であれば、1月開催のCESにあわせてIntelが新製品をリリースするところだが、2013年はプレビューがあっても実際の製品リリースは6月のCOMPUTEXを待つ格好となった。

 Coreアーキテクチャとしては第4世代、22ナノメートルプロセス製品としては第2世代のHaswellだ。ただし、高性能統合GPUや低消費電力というHaswellが本領を発揮する分野はモバイル。デスクトップPCにおいても確かに高性能なのだが、Ivy Bridgeから大きく飛躍したという印象はなかった。あわせてLGA 1155からLGA 1150へと変わったソケットによって、CPUだけでなくマザーボードも更新が必要となり、あるいは電源でもHaswell対応が求められるなど、導入にはハードウェアコストも高めだった。

 ハイエンド向けのLGA 2011プラットフォームでは、Ivy Bridge-Eが登場した。コンシューマ向け6コアCPUの最上位を塗り替える製品として登場したのはCore i7-4960X。つまりメインストリームがIvy BridgeからHaswellとなった年に、ハイエンドではSandy Bridge-EからIvy Bridge-Eへと交代したことになる。

og_jisakumatome_002.jpgog_jisakumatome_003.jpg22ナノメートルプロセス世代のHaswell。特徴の1つは省電力性能だが自作デスクトップPC向けにはそれほどアピールできる要素ではなかったかも。しかし、販売が解禁された深夜のアキバには300人を超える人がつめかけた

og_jisakumatome_004.jpgA10-6800K

 一方、AMDが2013年に投入したCPUは、とにかく高クロック。APUではRichlandが登場し、A10-6800Kでは定格4.1GHz、Turbo時で4.4GHzに達した。CPUでは、FX-9590が定格4.7GHz、Turbo時5GHzと大台にのっている。

 ただし、FX-9590に関してはTDPが200ワット超の特別モデルだったため、自作PCではあまり関係がなかった。また、FX-9590とは言っても内部的にはFX-8000シリーズと同じであり、RichlandもコアレベルではTrinityと同じまま回路を改良することで高クロック化を実現しているという点で、いまひとつフレッシュ感はない。

 このように、2013年のCPUは、両社ともアーキテクチャ面では小さな変更といった印象だ。もちろん、パフォーマンスや省電力性能は確かに向上しているので、その点は十分に評価できる。

 「インパクト」に欠けた2013年だが、2014年は飛躍が待っている。2014年は、Intelのメインストリームプラットフォームに「Broadwell」が、AMDのAPUには「Kaveri」が投入される見込みだ。

 まずBroadwellは、現在の22ナノメートルプロセスから14ナノメートルプロセスへとシュリンクが進む。ただし、14ナノメートルプロセスが素早く立ち上がるのか、歩留まりがどのくらいなのか、不確定要素はある。

 一方、KaveriはCPUコアが「Steamroller」へと変わり、GPUではhUMAに対応することでCPUとGPU間のメモリを共有できるようになる。これは大きな挑戦だ。このように、2014年は、Intelが14ナノメートルプロセス、AMDがhUMAというチャレンジを行う年になるとみられる。

 デスクトップPCまで枠を広げると、昨年末発表されたNUCが、1年でかなり実用度を増したのが興味深い。Intel純正のNUCでは、11月にUSB 3.0をサポートするHaswell版が登場し、内部ストレージのmSATAというハンデを、外付けドライブによって簡単にカバーできるようになった。

 また、GIGABYTEからもNUCサイズのミニPC「BRIX」が登場し、こちらはIvy Bridge版からすでにUSB 3.0やGbEなど豊富なインタフェースを搭載することで本家との差別化を図っていた。なお、BRIXでは、Intel IRIS Pro Graphics搭載モデルも計画されているという。Haswellが登場し、その統合グラフィックスとしてIRISが明らかにされたが、IRISを搭載したPCはまだ少ない。小さなPCが、自作PCやデスクトップPCの概念をどのように変えていくのか、興味深く見守りたい。

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電子出版関連メディアの編集長が熱弁、2013年のトレンドと来年注目すべき点

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左から井芹昌信氏、落合早苗氏、後藤久志氏、西尾泰三氏、福浦一広氏

 日本電子出版協会(JEPA)は12月20日、「第7回 JEPA電子出版アワード」の大賞選考会と表彰式の後、同アワードの選考委員を務めた電子出版関連メディアの方々によるパネルディスカッション「今年の電子出版トレンド」を実施した。

 パネラーは、hon.jp代表取締役 落合早苗氏、ダ・ヴィンチ電子ナビ局長 後藤久志氏、OnDeck副編集長 福浦一広氏、ITmedia eBook USER 編集長 西尾泰三氏。コーディネーターは、JEPA理事で選考副委員長の井芹昌信氏。

電子書籍のデータ分析からみた2013年

hon.jp 落合早苗氏hon.jp 落合早苗氏

 落合氏は、hon.jpが手掛ける電子書店横断型検索サービスのデータベースに登録されている電子書籍のデータから、2013年のトレンドを紹介した。

 落合氏によると、現在 hon.jp に登録されている電子書籍、電子雑誌、電子書籍アプリの総数は、約60万点。このうち、ISBNが付与された(つまり紙でも発行されている)ものは約11万5000点。この増加ペースであれば、2014年のいまごろは100万点を突破するとの予測だ。

 2013年に顕著に増加したコンテンツは、マイクロコンテンツ、完全版・豪華版・セット版、セルフパブリッシング。フィーチャーフォンで配信されていた1話1巻形式のコンテンツが、完全版として再配信されているケースが約1万点。セルフパブリッシングは約3万点ほど増えているという。

 落合氏は、データベースに登録されているコンテンツがどういった価格帯で販売されているかも紹介。それによると、平均単価が562円、最安値(無料を除く)は10円、最高値は8万円(手塚治虫作品400巻セット)、最多価格帯は400円から500円だという。7月の調査時点では、平均単価573円、最安値10円、最高値2万5200円、最多価格帯は100円未満で、数カ月で最多価格帯が上振れしているほか、100円未満のコンテンツが5.6%に急減しているという。

 落合氏は、2013年を象徴するキーワードは、「O2O (Online to Offline)」「取次再編」「著作権」だという。

 O2Oは、三省堂の店頭でBookLive!の電子書籍が購入できる「デジ本」や、トーハンの「c-shelf」、紙と電子のパッケージ販売である「新装版 沈黙の艦隊」や、米Amazon.comで始まった紙と電子のバンドル販売「Kindle Matchbook」など、オンラインとオフラインが連動する動きを指す。

 取次再編は、ビットウェイが出版デジタル機構に買収され、電子取次はクリーク・アンド・リバー、ブックリスタ、モバイルブック・ジェーピー、メディアドゥの5社体制になったこと。また、著作権については、スキャン代行業が違法であるした地裁判決や、海賊版対策を目的とした電子出版権創設と著作権法改正に向けての動きなどだ。

 また、来年に向けて注視しておきたいのは「LINEマンガ」だとした。

スマートフォンの爆発的普及とソーシャル系プレイヤーの参入

ダ・ヴィンチ電子ナビ 後藤久志氏

 ダ・ヴィンチ電子ナビの後藤久志氏は、今年の電子出版トレンドとして、スマートフォンの爆発的普及とタブレットの着実な普及、専用端末の大々的プロモーション、LINE・Ameba・DeNAなどのソーシャル系プレーヤーの参入、各電子書店のラインアップが横並びになってきたこと、セルフパブリッシングが伸びてきていることなどを挙げた。日本はフィーチャーフォンが先行したため、米国のような専用端末先行での普及とトレンドが異なると指摘する。

 また、値下げキャンペーンは今後も継続して行われるのか、値段は下げずに特典を付ける方向へ進むのかを注視したいと話す。米国の電子書籍市場は急拡大期から安定成長期に入り、激しい値下げ競争から脱却して価格水準が上がりつつあるという。落合氏が話した価格の変化と合わせて注目したい流れといえる。

 一方で、「Crunchyroll」が日本の漫画をほぼ同時に米国などで配信したり、DeNAの「マンガボックス」には当初から言語切替ボタンが付いていたりと、海外の漫画ファンが読みたくても読めなかったがために海賊版が横行していた状況も変わりつつあるという。

KADOKAWAの取り組みが目立った1年

ITmedia eBook USER 西尾泰三氏ITmedia eBook USER 西尾泰三氏

 ITmedia eBook USERの西尾泰三氏は、出版社と電子書店という両方の立ち位置を持つKADOKAWAの取り組みが非常に目立ったと所感を述べた。例えば、KADOKAWAとして新たな一歩を踏み出した10月、50%オフの大規模なキャンペーンで電子書籍の価格弾力性を持たせる先鞭をつけたこと、EPUBの制作仕様書を一般公開したこと、青空文庫の取り扱い開始時に「本の未来基金」にポイントを寄付できる仕組みを用意したことなどを挙げた。

 文字モノの波はひと通り終わり、来年は「電子雑誌」や「電子図書館」の領域が徐々に動き出すと西尾氏は予想する。また、「Dモーニング」や「ジャンプLIVE」のようなアプリにみられる編集部の取り組みにも可能性を感じると語った。

OnDeck Weekly読者アンケートから見る現在の状況

OnDeck 福浦一広氏OnDeck 福浦一広氏

 OnDeck 福浦一広氏は、OnDeck Weekly購読者を対象とした「電子書籍ストア利用動向調査」について説明。一部のアーリー・アダプターだけを対象としたアンケートなので、一般化はできないと前置きしつつ、「Kindleストア利用者が半数越え」に載っていない情報として、他ストアとの併用状況を紹介した。

 Kindleストアのユーザーは、併用ストアとして、iBooks Store(25.3%)、紀伊國屋書店Kinoppy(14.7%)、楽天Kobo(16.3%)、Reader Store(12.5%)を利用。一方、紀伊國屋書店Kinoppyを利用しているユーザーの60.5%が、楽天Koboを利用しているユーザーの76.1%がKindleストアを併用しているという。これらの詳細は、Kindleストアや楽天Koboで販売中の「電子書籍ストア利用動向調査」を読んでほしいと締めくくった。

組織から個人への革命が進行している

JEPA理事 井芹昌信氏JEPA理事 井芹昌信氏

 JEPA理事の井芹昌信氏は、パネラー全員が語った共通のキーワードは「セルフパブリッシング」だと指摘。米国では10人いれば9人が「本を書きたい」と言うが、日本人は奥ゆかしいので、そうした状況にはならないかも? とパネラーに疑問を投げかけた。

 これに対し落合氏は、2006年のベストセラーは10点中7点が「ケータイ小説」だった点や、ブログの普及率などを挙げ、今後はパッケージ化して有償販売することに壁を感じない人がさらに増えてくるだろうと予想。

 西尾氏は、セルフパブリッシングで話題になった人がまだ限定的であることを指摘、現時点では制作からプロモーションまで一人で何でもできてしまう人だけが成功している状態だと語った。電子出版アワードの大賞を受賞した高瀬氏の「でんでんコンバーター」のように、電子出版をより簡便化するサービスが今後はもっと出てくるだろうが、現時点ではハードルがいくつもある状態だと指摘する。

 また、後藤氏は、日本の中でもかなりの人が高い作家性を持っていると語る。コミックマーケットの活況や、pixivで人気が出た方がゲームのイラストレータとして採用されたり、ライトノベルの新人賞にも数万人が挑戦するなどの事例を挙げた。

 福浦氏は、電子出版で成功している個人はいても、成功している出版社が見当たらない点を指摘。出版社の存在価値がこのままではなくなってしまうので、セルフパブリッシングでの成功事例を出版社が拾い上げ紙の商業出版にしていくのはあるべき姿なのではないかと言う。

 これらを受けた井芹氏は、インターネットのメディアパワーは、組織から個人への革命を進行させていると語る。パソコンは登場して30年でほぼコモディティ化しているが、インターネットは登場して20年経つがまだコモディティ化しているとは言えない。いまなお大きな変化を起こしつつあり、出版産業でもこの流れと関連する電子化のトレンドが当分続くだろうと締めくくった。

著者プロフィール:鷹野 凌

鷹野 凌鷹野 凌

 フリーライター。「日本独立作家同盟」呼びかけ人。ITmedia eBook USER、ダ・ヴィンチ電子ナビ、INTERNET Watch、マガジン航などに寄稿。ブログ「見て歩く者」で、電子出版、ソーシャルメディア、著作権などの分野について執筆。自己出版で『これもうきっとGoogle+ガイドブック』を1〜3巻まで配信中。

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佐川電子が「パワードジャケット」の後継機を開発中!!

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佐川電子「MK3」の後継機「MK4」を開発中!

 アニメでも特撮でもなく、現実に搭乗型パワードスーツを制作してしまった……。7月の「パワードジャケットMK3」発表以来、その動向が注目されていた佐川電子ですが、このほど後継機にあたる「パワードジャケットMK4」を制作中という情報が入ったので、突撃取材を敢行してきました。

パワードジャケット搭乗すると、「MK3」より25センチメートル増しの高さが際立つ

 この「MK4」は、「MK3」に比べて、全高が25センチメートル増しの65センチメートルになるうえ、膝関節のモーターアシストにより搭乗者プラス50キログラムの耐荷重を実現(50キログラムまでの物を保持可能)。

 モーター搭載分の重量は増したものの、基本フレーム15%減など構造の見直しにより軽量化を実現しています。筆者は「MK3」の実物も見たことがありますが、「MK4」のほうが機構としては洗練されつつも、力強そうな印象を受けました。

 佐川電子取締役CTO・町 浩輔氏にお願いして、制作中の「MK4」に搭乗してもらうと天井に手が届きそうです(氏の身長は177センチメートル)。また、このときはソフトウェアの調整中だったため、搭乗時は電源をオフにしていたものの、天井から吊した状態ではダイナミックに可動する様子が確認できました。

パワードジャケット「パワードジャケットMK4」の脚部。脚部だけなのには理由がある

パワードジャケット「MK4」の脚部にはモーターを搭載

パワードジャケット構造が見直されたことで軽量化しつつも、パワーはアップしている

パワードジャケットソフトウェアを調整中だったため、搭乗中は電源をオフにしている

某作品とのコラボのため鋭意制作中!

 しかし、またなんでこの師走に完成目指して制作しているんでしょうか? 実はこの「MK4」、某作品とのコラボレーションが決定していて、イベント出展を目指して年の瀬に鋭意制作中なんです。

 つまり、外装を身に着けて(コスプレして)、外装付き「MK4」の脚部に搭乗すると、某作品のメカが再現されるというしかけになっております。残念ながらコラボ作品名についてはまだ公表できないとのことですが、制作中の外装は細部まで再現されていました。「MK4」と外装の完成、そしてコラボに関する公式発表を楽しみに待ちたいと思います。

パワードジャケットこちら「MK4」と某作品に登場するメカを再現した外装(制作中)

パワードジャケット強度が必要な外装の両手部分は、DMM 3Dプリントサービス協力のもと立体化されている

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2013年のタブレットを冷静に振り返る

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PCがタブレット側に適用領域を広げた2013年

tm_1312_qh55_01.jpgタブレットの概念をPC側に引き寄せたWindows 8.1タブレット。写真は富士通の「ARROWS Tab QH55/M」

 ITmedia PC USERは、タブレット端末の記事を多数掲載しており、タブレット USERというまとめページも設けている。とはいえ、昨年までは、パソコン(PC)の名を冠する媒体でタブレットについて書くことに、やや抵抗感を感じつつ、編集部のリクエストや注目を集める分野ということでコラムに取り上げてきた。

 しかし、今年になってみると、PCとタブレットの距離が大幅に縮まり……いや、PC産業がタブレット側に適応領域を広げてきたという方が正しいのだろうが、本誌でタブレットについて書くことに、あまり違和感がなくなってきた。

 Windows 8を搭載するPCが増え、8.1へのバージョンアップやWindowsタブレットのパフォーマンス向上といった要素が、タブレットの概念をPC側に近い方向へと広げたことが背景にはあると思う。

 一方で、これまで“タブレット端末”と漠然とした言葉で表現すれば、おおよそ“iPadの親戚”的な商品イメージができていた昨年までとは異なり、製品の多様化が進んだ年でもある。まずは、タブレットという商品カテゴリの変化について振り返りつつ、2013年のタブレット市場トレンドについて、考えてみることにしよう。

サイズバリエーションの広がり+用途バリエーションの広がり

os_ipadrev-01.jpg2012年を振り返ると、「iPad mini」が登場し、iPadファミリーを中心にサイズバリエーションが広がった1年だった。下がiPad、上がiPad mini

 2012年のタブレットを思い出してみると、そこで起きたのはサイズバリエーションの広がりだった。北米、欧州とタブレット市場が爆発的に伸びたことで、サイズバリエーションが広がる余地が生まれたからだ。

 画面そのものがユーザーインタフェースとなるタブレット端末の場合、画面サイズの違いは商品性に大きな違いをもたらす。例えばiPhoneとiPadは、ハードウェアとソフトウェアの構造は同じと言っていいほど近いが、画面サイズの違いとそれによるアプリ設計の違いから、まったく異なるカテゴリの製品になっている。

 これは10型程度のタブレットと7型程度のミニタブレットとの間にも言えることで、同じアーキテクチャや同じアプリケーションを使っているとしても、画面サイズの違いは適応領域の違いとなる。ユーザーから見てどちらが優れているかではなく、どちらが適しているかという話だ。

tm_1212_tablet2012_05.jpg2012年に登場し、圧倒的なコストパフォーマンスで人気を博した「Nexus 7(2012)」

 GoogleがAndroid搭載タブレットの普及に、それまでは開発者向けプラットフォームの意味合いが強かったNexusブランドを通じ、圧倒的にコストパフォーマンスの高い端末「Nexus 7(2012)」を提供したことも、ミニタブレットというジャンルが定着する一因になった。Appleの「iPad mini」がヒット商品になったことも大きく、(円高だった昨年の為替も大きな要因だが)やはり1万9800円というNexus 7(2012)の価格が市場トレンドを作ったと言わざるを得なかった。

 「では今年は?」というと、用途のバリエーションが広がったことが大きな特徴だったと思う。これまでタブレットというと、iPadが1つの規範となってきた。PCがあらゆる作業、アプリケーションをこなせるよう、高いパフォーマンスやリッチなユーザーインタフェース、多様な使い方に対応できる柔軟性を重視しているのに対して、iPadはクラウド型サービスとユーザーの間を“アプリ”という媒介役を通じてシンプルに結びつける。

 このような視点で言うと、細かなユーザーインタフェースのアプローチなどは異なるものの、Androidタブレットも概して似た端末だったと言える。多様な端末が生まれやすいAndroidの土壌が、iPadとは異なるテイストの端末を作り出すとはいうものの、ザックリと大まかに見れば(iPhoneとAndroidスマートフォンがそうであるように)同じような製品と言える。

 しかし、今年はそこにWindowsタブレットが加わった。正確に言えば、昨年末から加わっていたが、昨年末に投入されたWindows 8搭載タブレットは2つの点でタブレットというジャンルを拡張するには不足する部分があった。

 1つはWindows 8そのものの完成度が低く、「キーボードなしのタブレットだけで使いこなせるか?」というと、コントロールパネルの設定1つを取ってみても、タッチパネルのユーザーインタフェースだけではこなせなかったことがある。Windows 8は、単にタッチ操作にも対応したPC用OSであり、キーボードとマウスでの操作が前提としてある……という甘えがあったように思う。

 さらに昨年末の段階では、Windows RTが動作する各社ARMプロセッサ、32ビット版Windowsのフル機能が使えるタブレットに適したIntelのAtomプロセッサともに、パフォーマンス面で十分と言えなかった。

 しかし、OSはWindowsがRTも含めてバージョン8.1になることで(完全とは言えないが)大幅に改善し、プロセッサはNVIDIAのTegra 4やIntelのBay Trail-TことAtom Z3000シリーズが投入されたことで大きく事情が変化した。とりわけBay Trail-Tの影響は大きい。従来のデスクトップOSも完全に動作するIntelプロセッサにもかかわらず、ARMアーキテクチャを採用する同世代のプロセッサと同程度の電力しか消費しないかたからだ。

tm_1311_surface_pro2_14.jpgtm_1312_tab_02.jpgWindows 8.1の登場で、Windowsタブレットの使い勝手は向上した(写真=左/「Surface Pro 2」)。2012年9月に登場した「Clover Trail」と、2013年2月にAndroid向けとして登場した「Clover Trail+」の後継となる「Bay Trail」(写真=右)。Windows/Androidの両OSに対応する。タブレット向けSoCである「Bay Trail-T」は、Atom Z3000シリーズとしてリリースされた

 これまでもiPad向けのキーボードが流行したり、一部のAndroidタブレットがOSをカスタマイズしてPCライクな使い方ができるよう設計していたこともあったが、あまり本格的なものではなかった。あくまで“キーボードも使える”程度でしかなかったが、Windows 8.1のフル機能が動くタブレットとなれば、それはかなり話が変わってくる。

 「せっかくiPadで機能を取捨選択して切り捨てることができたのに、フル機能のWindowsをタブレット端末に入れるなんてナンセンスだ」という方もいるだろう。従来のiPadの機能に満足している人たちにとっては、その言い分は正しい。iPad的にWindowsタブレットを使おうとしても、あまりいいところはない。

 しかし、一方でiPadでは仕事が完結しない人や、Microsoft Officeを使って文書を作れなければならない、あるいはWindows PCを前提に作られたシステムと接続しなければならないユーザーからは、はじめて“PCが不要になる”タブレットが登場したという感覚をWindowsタブレットに対して感じられる。昨年までは感じなかったとしても、ハードウェアのパフォーマンスやバッテリー駆動時間が向上し、Windowsのバージョンが1つ進んだ現在ならば、感じることができると思う。

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「HP ENVY 17-j100 Leap Motion SE」――手振りで操れる“タッチの次”を先取りしたノートPCはアリか?

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ココが「○」
・手振りで操作できるLeap Motion搭載
・クアッドコア&外部GPUによる高性能
・4スピーカー+サブウーファー内蔵
ココが「×」
・液晶ディスプレイの上下視野角が狭い
・Leap Motionの搭載部がやや右寄り
・SSD搭載の構成が欲しいところ

はじめに:話題の3Dモーションコントローラーを内蔵した17.3型ノートPC

tm_1311_ENVY17_01.jpg日本HPの17.3型ノートPC「HP ENVY 17-j100 Leap Motion SE」。HP Directplusでの直販価格は12万9990円から

 日本ヒューレット・パッカード(HP)から登場した「HP ENVY 17-j100 Leap Motion SE」は、17.3型ワイドの大画面液晶ディスプレイを搭載したノートPCだ。しかも、画面に触れずに空中で手や指を動かして操作できる3Dモーションコントローラーの「Leap Motionコントローラー」を内蔵している点で、他のノートPCとは大きく異なる。

 CPUにはクアッドコアのCore i7-4702MQ(2.2GHz/最大3.2GHz)、外部GPUとしてNVIDIA GeForce GT 750M(グラフィックスメモリ4Gバイト)を搭載し、動画編集などクリエイティブな用途や3D描画性能を必要とする3Dゲームまで幅広い用途に対応できる。GeForce GT 750MとCPU内蔵グラフィックスのIntel HD Graphics 4600をアプリケーションごとに自動で使い分けることにより、性能と消費電力を最適化するNVIDIA Optimus Technologyも搭載している。

 その他の主要なスペックは、BTOでカスタマイズが可能だ。メモリは最大16Gバイト、HDDは最大2Tバイト(1Tバイト×2)までで、Blu-ray Disc(BD-RE)ドライブ、802.11acの無線LAN+Bluetooth 4.0など、ハイスペックな構成が可能だ。OSは64ビット版のWindows 8.1だけでなく、8.1 Proも選択できる。

 液晶ディスプレイは17.3型ワイドと大画面で、解像度は1920×1080ドットのフルHDだ。10点マルチタッチ対応のタッチパネルを搭載し、画面に直接触れて操作できるほか、右パームレスト部にLeap Motionコントローラーを内蔵しており、画面にもキーボードにも触れずに空中のジェスチャーだけでPCを操作できる。また、Beats Audioブランドのクアッドスピーカーとサブウーファーを内蔵しており、低音の効いたパワフルなサウンドが楽しめるのも特徴だ。

ボディと製品概要:エレガントな金属ボディに高性能を内蔵

 まずはHP ENVY 17-j100 Leap Motion SEの概要を写真とともに見ていこう。

tm_1311_ENVY17_02.jpgtm_1311_ENVY17_03.jpgボディはシルバーとブラックのツートーンカラーを採用し、シンプルな仕上がり。アルミニウム製のパームレストと天面は、きめ細かな明るいシルバーの塗装で、サラッとした手触りだ。ヒンジ側はシャープにカットしている一方、手前側は丸みを持たせた外観だ
tm_1311_ENVY17_04.jpgtm_1311_ENVY17_05.jpg17.3型ワイド液晶ディスプレイは、フルHD(1920×1080ドット)表示に対応(写真=左)。表示品質はごく普通の水準だ。輝度は十分だが、発色はややあっさり目で色味はわずかに青が強い。TNパネルとしては左右の視野角が広めだが、やはり正面以外から見ると色味が変化する。Windows 8.1の標準dpi設定(96dpi)でもアイコン、テキストとも十分な大きさで表示される。画素数そのままの広大な作業領域をフルに生かせる一方、画素密度は約127ppiと平凡で、特に精細な表示ではない。液晶ディスプレイの角度は125度程度まで開く(写真=右)。TNパネルということもあり、低い位置に置くと表示が少々見づらい
tm_1311_ENVY17_06.jpgtm_1311_ENVY17_07.jpgキーボードベゼルはフラットなイメージを強調したデザインだ。アイソレーションタイプのテンキー付き6列キーボードを装備し、キーピッチは約18.7(横)×18.7(縦)ミリ、キーストロークは約1.5ミリとなっている(写真=左)。特に変則的な配置はない。Enterキーとテンキーとの間隔は約5ミリほど。通常よりもわずかに空けられている程度だが、全体のサイズに余裕があるため、ミスタイプしやすいというほどではない。キーボードにはバックライトも内蔵している(写真=右)
tm_1311_ENVY17_14.jpgtm_1311_ENVY17_15.jpg最大の特徴である「Leap Motionコントローラー」は、パームレストの右側に指紋センサーとともに黒いバーで配置されており、デザイン的にあまり違和感がない(写真=左)。外部GPUのNVIDIA GeForce GT 750M(4Gバイト)と、CPUに統合されたグラフィックス機能のIntel HD Graphics 4600を、アプリケーションごとに自動的に使い分けることで、性能と消費電力を最適化するNVIDIA Optimus Technologyに対応する。設定はNVIDIAコントロールパネルで確認でき、使い分けの設定をカスタマイズすることも可能だ(画像=右)
tm_1311_ENVY17_08.jpgtm_1311_ENVY17_09.jpgBeats Audioブランドのサウンドシステムを搭載。底面の奥には「Beats Audio」ロゴ入りのサブウーファーがあるほか、放熱用のスリットが多く開いている(写真=左)。底面の手前側と、パームレスト面のキーボード奥に2つずつのスピーカーを内蔵したクアッドスピーカー+サブウーファー構成を採用し、クリアでパワフルなサウンドを再生する。再生/録音環境を最適化するユーティリティも導入されている(画像=右)
tm_1311_ENVY17_10.jpgtm_1311_ENVY17_11.jpg前面(写真=左)と背面(写真=右)に端子類は何も配置されていない。前面側に丸みを持たせたフォルムは、液晶ディスプレイを閉じた状態で正面から見たとき、大きさの割に威圧感を感じない。シャープな造形の背面も高級感があり、シンプルに見えてなかなか奥が深いデザインだ
tm_1311_ENVY17_12.jpgtm_1311_ENVY17_13.jpg左側面には手前側からSDXC対応SDメモリーカードスロット、2基のUSB 3.0ポート(1基は電源オフチャージ対応)、1000BASE-Tの有線LAN、HDMI出力、排気口、セキュリティロックポート(盗難防止用ワイヤー取り付け穴)も装備している(写真=左)。右側面は手前側からヘッドフォン/マイク兼用端子、2基のUSB 3.0、トレイ式のBlu-ray Disc(BD-RE)ドライブ、そして奥の邪魔になりにくい場所にACアダプタ接続用のDC入力が並ぶ(写真=右)。評価機はIEEE802.11b/g/nの無線LANとBluetooth 4.0+HSを標準装備している
tm_1311_ENVY17_16.jpgtm_1311_ENVY17_17.jpg底面の6セルバッテリー(約5時間30分駆動)は着脱できる構造だ(写真=左)。ACアダプタは出力120ワットと大容量で大型だが、薄くまとめている。バッテリーを外し、ネジを1本外すと、中央部のカバーを開いて2基のメモリスロットと2.5インチベイにアクセスできる。2.5インチベイは2基あり、BTOでは最大で2Tバイト(1Tバイト×2)の構成が選べる。さらにmSATAスロットにキャッシュ用SSD(24Gバイト)の追加も可能だ(※カタログスペックに記載はあるが、現時点では購入ページの選択肢に表示されていない)。ただし、2.5インチベイのSerial ATA接続には専用のフラットケーブルが必要なため、ユーザーが自己責任でHDDやSSDを追加するのは難しそうだ
top_features4_icon_9_1388125416.jpg

→HP Directplusで「HP ENVY 17-j100 Leap Motion SE」をチェックする
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五感ならぬ“三感”に訴えるスマートフォンに満足した2013年

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 2013年のモバイル業界は、ついにNTTドコモからiPhoneが発売され、NECカシオモバイルコミュニケーションズとパナソニック モバイルコミュニケーションズがスマートフォン事業から撤退、イー・アクセスとウィルコムの合併が決まるなど、動きの多い1年だった。

 新機種の数は2011〜12年よりも絞られたが、「うおお!(今風に言うなら『じぇじぇじぇ!』か)」と感動したスマートフォンは、ケータイが主流のころと比べて少なくなったように思う。その形状のほとんどがストレート型で、デザインも似たり寄ったり……となると仕方のないことかもしれない。そんな中でも、2013年に筆者が「うおお!」と思ったスマートフォンを紹介したい。

“ガラスの一枚板”を思わせるデザインが秀逸だったXperia Z

 まず取り上げたいのが、ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia Z」だ。Xperiaはソニーモバイルを代表するスマートフォンであり、これまでも弧を描くデザインの「Xperia arc」、小型の「Xperia ray」、透明パネル(Floating Prism)の「Xperia NX」など、ほかのスマートフォンとはひと味違うデザインで注目を集めてきた。一方で2012年後半に登場した「Xperia GX」と「Xperia AX」は過去のアークデザインを継承したもので、新鮮さはそれほど感じなかった。それだけに、2013年はどんなデザインで来るのだろうかと期待していた。そこに登場したのがXperia Zだ。

 Xperia Zは米ラスベガスで1月に開催された「CES」で初めて披露されたが、見た瞬間に「うおお!」と思った。何よりも背面のガラスパネルが格好いいし、フラットなガラスの一枚板という発想は、これまでのスマートフォンにはなかった。2011年のアーク、2012年のFloating Prismと比べても引けを取らない、斬新なカタチだった。

photophoto2013年の年明け早々、強烈なインパクトを放った「Xperia Z」。ほとんど凹凸のないデザインが印象的だった

 ソニーモバイルのグローバル色の強いスマートフォンは、2012年まではおサイフケータイや防水などは対応せず、arcに対してXperia acro、NXに対してXperia acro HDなど、同時期に日本仕様に対応させたXperiaを販売していた。しかしドコモから発売された「Xperia Z SO-02E」は、おサイフケータイや防水にもしっかり対応させ、グローバル仕様と日本仕様をうまく融合させた。5インチフルHD、新しいCMOSセンサー「Exmor RS for mobile」、当時最新のQualcomm製プロセッサーを採用するなどスペックも申し分なく、ソニーが称する“スーパーフォン”と呼ぶにふさわしいモデルに仕上がった。

 実際にXperia Z SO-02Eを購入したが、確かに満足感は高かった。スマートフォンは通常は画面を表向きにして置くが、Xperia Zは背面を表にして机に置いてしまう。とにかくガラスパネルを見せたくなってしまうのだ。また静止画と動画を鮮やかに見せてくれる「モバイルブラビアエンジン2」も個人的には気に入っていた。このようにXperia Zは「見る」部分を特に満足させてくれたモデルだった。

暗所での撮影機能に驚いたXperia Z1

 一方で、Xperia Zには側面が角張っていて持ちにくい、デカイ、イヤフォンジャックがキャップ付き、といった不満もあったが、後継機の「Xperia Z1」がそれらの一部を解消してくれた。Xperia Z1は背面のガラスパネルはそのままに、フレームがZのプラスチックから金属に変更されたほか、側面をカットしたことで持ちやすくなった。Zベースのデザインだったので、初見の「うおお!」はZほどは感じなかったが、デザインがさらに洗練されたので、触れば触るほど満足度が上がっていった。

photophotoXperia Zのデザインと機能をブラッシュアップさせた「Xperia Z1」

 Xperia Z1で感動したのは、なんといってもカメラだ。ドイツで9月に開催された「IFA」で実機を使った際に「暗い場所でここまで明るく撮れるのか!」と驚いたのを覚えている。これまで、「暗い場所をスマートフォンで撮影するのは難しい」という暗黙の了解があったと思うが、Xperia Z1はそれを見事に覆してくれた。画質面で完全に満足しているわけではないが、Z1を超える「暗所に強いカメラ」をスマートフォンで実現できるメーカーは、しばらく現れないのではないだろうか。また、画質の劣化を抑えた「全画素超解像3倍ズーム」も、光学ズームほどではないが実用性が高く、撮影シーンが広がるので満足している。ソニーがXperia Z1で目指す“思い出画質”は実現できているのではと思う。

 Xperia ZやZ1の「デカイ」という不満を解消すべく、4.3インチディスプレイ搭載の「Xperia Z1 f SO-02F」を投入したことも評価したい。ディスプレイ解像度やフルセグ非対応などの違いはあるが、Z1と同じ「デザイン」と「カメラ」をZ1 fに盛り込み、ソニーが重視するユーザー体験を得られることは大きい。ドコモのツートップ戦略の恩恵もあって夏に売れまくった「Xperia A SO-04E」は、acro/acro HDに続く「A」ラインの最新モデル、つまり(どちらかというと)スマホ初心者向けの一台だったので、個人的にはあまり食指が動かなかった。Xperia Z/Z1/Z1 fこそ、ソニーが持つ技術の粋が詰まったスマートフォンだったといえる。

 Zシリーズ3機種の中から選ぶならどれか? ファーストインプレッションなら断然Xperia Zだが、デザインのブラッシュアップ、カメラ性能の大幅アップ、そしてOne Sonyを具現化するために初めて“フルスイング”したこと——を踏まえると、「Xperia Z1」を選びたい。

 Xperiaのデザインは1年ごとに変更されるのが通例だ。2013年のXperiaは、どの方向からでも持ちやすい「オムニバランスデザイン」で統一されていたが、2014年はどんな新しいカタチを見せてくれるのか。ソニーモバイルコミュニケーションズ UXデザイン・商品企画部門 部門長の田嶋知一氏は「フラッグシップモデルは6カ月で進化させる」とIFAで話していたので、9月から数えると、2014年2月下旬開催の「Mobile World Congress 2014」で次期Xperiaが披露される可能性は高い。まだ気が早いが、次のXperiaもわくわくしながら待ちたい。

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2013年のアキバを振り返る(前編)

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レベル違いの円安値上げ:混乱のピークは1月。1ドル90円を越えて徐々に落ち着く

 2013年初頭のアキバ自作街でもっとも関心を集めたトピックは、PCパーツの新製品ではなく、対ドルの円安からくる値上げ情報だった。2012年10月ごろから続く円安傾向により、2012年年末にはメモリやHDD、SSDの値上げに踏み切るショップが現れ、年明けにその動きがピークを迎えた。当時は「12月上旬に7000円を普通に切っていた2TバイトHDDが1カ月で1000円アップしました」(ツートップ秋葉原本店)といった話が方々で聞かれた。

 PCパーツは伝統的に海外からの輸入が多いため、円安が続くと仕入れ値の上昇を代理店やショップが抑えきれなくなり、店頭価格の値上げが行われる。特に価格の変動が激しいために多めの在庫をとりづらい商品や、入荷すればすぐに売れるような回転率の高い人気商品ほど値上げに踏み切るタイミングが早くなる。

 この原則通りに、流通が再開した1月初旬はメモリとHDD、SSDの値上げが再び活発になった。TSUKUMO eX.は「歳末特価でどうにか9000円台で抑えていた3TバイトHDDでしたが、1月2日に1万280円、4日に1万480円に値上げせざるを得ませんでした」という。パソコンハウス東映のように「仕入れ値からくる値上げだけでなく、他店の価格による調整もあって、価格変動がとにかく頻繁です。年明け早々店外の価格表は張り替えを諦めました」といったショップもあった。

og_akibamatomez_001.jpgog_akibamatomez_002.jpgog_akibamatomez_003.jpg価格部分に「新しい価格と在庫状況は店内にてご確認ください」と書かれた、パソコンハウス東映の店外価格表。1月初旬に撮影(写真=左)。当時の売れ筋CPUを「あえて」特価にしたツートップ秋葉原本店。3月の店舗名変更後も取り組みは続いた(写真=中央)。1月末にTSUKUMO eX.に並んだSandy Bridgeの割安セット。値上げの影響を受けない主流から逸れた発が脚光を浴びた(写真=右)

 この傾向は1月中に“値上げ常連パーツ”の枠を外れ、当時主流だったIvy Bridge世代のCPUやグラフィックスカードにマザーボード、さらにPCケースや電源ユニット、OS、ケーブル類にまで及ぶようになった。仕入れ値を上げた新型番に切り替えることで値上げする例も多く、1月中旬から2月初旬までの間はほとんど仕様が同じ新型番の商品を複数のジャンルでよく目にした。

 1月以降も円安傾向は続くが、代理店やショップが長期的な円安対策を立てたことで、2月中旬には値上げに絡む混乱は落ち着く。その後も半月以上円相場が下落する状況が続くとHDDやSSDの値上がりが行われることもあったが1月ほどの変動ははかった。なお、1月当時の円相場は1ドル90円前後だった。

og_akibamatomez_004.jpgog_akibamatomez_005.jpgog_akibamatomez_006.jpg1月中旬に撮影したPC DIY SHOP FreeTのHDD POP。3Tバイトの最安でも1万円を突破していた(写真=左)。7月の三連休に張り出したBUY MORE秋葉原本店の特価POP(写真=中央)。こちらは12月末のもの。3Tバイトの1万円切りはキープしている(写真=右)

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2013年のアキバを振り返る(後編)

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奮闘するWindows 8.1:鬼のように強い7としぶといXP

 OSは最新版の「Windows 8.1」が売り出されたのが1年を通した最大のトピックだ。しかし、DSP版の売れ行きベースでみると、主役であり続けたのはWindows 8/8.1ではなく7という感が強い。年初のころは「7と8は9:1の割合です」といったコメントが多く、8.1が広まった年末時点でも「7:3」というショップが多かった。

 PC DIY SHOP FreeT(当時)は「タッチ環境を自作するのは、値が張るのと選択肢が少ないのとであまり普及していません。8の最大の魅力が使える方向がそういう状態なので、7中心になるのは自然な流れな気がします」と語る。

 それでも年中話題を振りまいていたのはWindows 8/8.1だ。2012年10月26日の発売時から続く「Windows 8 Pro アップグレード版」の優待価格が1月31日に終了するため、1月後半には駆け込み需要を巻き起こした。

 2月以降は「6000円弱の優待価格から2万5000円前後の通常価格に戻るので、今までと同じようには売れないでしょう。DSP版の8 Proも1万5000円程度で、(パーツとセットで1万4000円前後の)7 Professinalと同程度ですし」(ツートップ秋葉原本店)と予想どおり一旦失速。その後も、バレンタイン時の窓辺ファミリークリアファイルや新生活シーズンの特別パックなどの特典を投入するなど、話題を提供し続けた。

og_akibamatomek_001.jpgog_akibamatomek_002.jpgog_akibamatomek_003.jpg1月31日に撮影。各店が翌日からの大幅値上がりを告知していた(写真=左)。2月中旬にTSUKUMO eX.で撮影したOS価格表(写真=中央)。新生活時期に投入された、DSP版Windows 8 Proの窓辺ゆう&あい限定パック。春以降も夏や秋に店頭に並ぶことがあった(写真=右)

 そして10月18日、最新版の「Windows 8.1」が登場。当初から8と比べて自作よりとの評判が多く、OSとしての評価はまずまずの様子だった。「7やβ版8.1からのアップグレードが上手くいかないという声が多く、10月中は対応が大変でした」(某ショップ)とのコメントもあったが、複数の声を総合すると年末にかけて着実にシェアを伸ばしているのは確かなようだ。

 一方、2014年4月9日にサポートが切れるWindows XPも、根強い人気を見せつけていた。中古PCショップではXP搭載マシンが夏頃まで店頭の目立つ位置によく置かれていたほか、パソコンハウス東映が2月と6月、10月に入荷したDSP版パックは目覚ましい売れ行きをみせている。特に2月と6月の入荷分はすぐに売れきれるほどのハイペースだったとか。10月分も「さすがに需要はかなり減りましたが、検証用やスタンドアロンマシン用に求める人はいらっしゃいますね」とのことで、11月には売り切れていた。

og_akibamatomek_004.jpgog_akibamatomek_005.jpgog_akibamatomek_006.jpg8.1発売を控え、9月末頃は各店がWindows 8の値下げを実施していた(写真=左)。Windows 8.1。発売からしばらくは限定版の「Windows 8.1 Pro DSP版 発売記念窓辺ファミリーパック」だけ抜きんでて売れた(写真=中央)。6月に撮影したパソコンハウス東映のPOP。10月にはXP Professionalのみ再入荷していた(写真=右)

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飽和するスマホ市場の中で、ドコモはパラダイムを変えたい――加藤社長に聞く

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 2013年を振り返って、大きな注目と多くの話題を集めたのはNTTドコモだった。

 春商戦にソニーの「Xperia Z」を一押しとしてスマートフォンの“選択と集中”を行ったことを手始めに、夏商戦にはツートップ戦略を実施。さらに9月には、ドコモにとって懸案だったAppleのiPhone導入に踏み切った。こうした端末ラインアップの再編を行う一方で、1年を通して「dマーケット」のサービスを拡充。今後のスマートフォン市場拡大を見据えて、積極的なサービス拡大と、異業種他社への大規模な出資や提携を行っていった。

 そして2014年。2013年のドラスティックな変化を受けて、ドコモはどのような姿勢で新たな年に臨むのか。NTTドコモ代表取締役社長の加藤薫氏に新春特別インタビューを行った。

iPhone導入効果は日増しに高くなっている

photoNTTドコモ代表取締役社長 加藤薫氏

—— (聞き手 : 神尾寿) 2013年のドコモにとって大きな戦略転換となったのがAppleの「iPhone」を導入したことでした。その手応えや成果について、どのように評価されていますか。

加藤氏 iPhoneは世界的にとても人気が高いスマートフォンであり、特に日本では多くのユーザーに望まれています。それを導入することで、ドコモの端末ラインアップは充実しました。一方で、iPhoneはグローバルで(基本仕様やデザインが)まったく同じものであり、これを国内の大手3キャリアが同時に取り扱うというのは初めてのことでした。

 そのような中で販売の成果はどうかと言いますと、MNPの状況はとても改善しています。(2013年)9月のiPhone発売以降、10月、11月、12月と時間がたつほどにMNPの結果がよくなってきている。またドコモ全体での純増数も伸びている。

—— iPhone導入効果が日増しに高まっている、と。

加藤氏 もちろん、もっと早く効果を出したかったのですけどね(苦笑)。しかし現実問題として、当初はiPhoneを取り扱いできる販売チャネルが限られていましたし、とにかくiPhoneは世界的な人気機種ですから(Appleからの)供給量も限られていた。これらの要因から、立ち上がりに時間を要したのは事実です。

—— 実際、他社の状況を見ると、9〜10月時点では旧機種になった「iPhone 5」に高額なキャッシュバックをつけて拡販し、MNPの数字を稼いでいました。特にauの初戦での“数字上の好調”は、800MHz帯LTEによるつながりやすさが評価されたというよりも、(800MHz帯LTE非対応ながら)高額キャッシュバックを積んだiPhone 5が売れたからという理由が大きかった。

 一方でドコモの場合は、在庫処分として安く売れる旧機種がなかった。ですからiPhone 5sの供給が安定し、販売チャネルの体制が整ってきたから、本来の実力値が見えてきたとも言えますね。

加藤氏 ええ、我々の在庫が潤沢になってきたのは11月下旬ぐらいからです。ここから本調子になりました。iPhone導入の狙いのひとつだった「MNPでの顧客流出を止める」という止血剤としての効果は、どんどん出てきていますね。

—— iPhone導入に合わせて投入した「ドコモへおかえり割」の効果はいかがでしたでしょうか。

加藤氏 現在、ドコモにポートイン(流入)するお客様で、iPhoneを選ぶ方が過半を占めています。具体的な数字は申し上げられませんが、ここでの「ドコモへおかえり割」の効果には手応えを感じています。我々としては、元ドコモユーザーの皆様には、もっともっとお帰りいただきたいと考えています。このあたりは春商戦にはさらに力を入れていきます。

ネットワーク競争は「ワンフレーズ」では語れない

photo

—— キャリア間競争において、2013年からのトピックスのひとつになっているのが「ネットワーク(インフラ)競争」です。この部分においては、他キャリアが積極的なアピールを繰り返しているわけですが、ドコモとしては今後、どのように対抗していくのでしょうか。

加藤氏 まず、これは自戒を込めてでもあるのですが、(現在のキャリア間の)ネットワーク競争については、お客様に誤解を与えてしまったり、混乱させてしまっている面があると考えています。

 例えばですけれども、「どこかの地点での計測値が速かった」とか「特定の周波数を使っている」から、キャリア全体のネットワークが優れているなどということはないわけです。ネットワークは生き物のように、その状況は常に変化しています。ですから、ネットワークのよしあしを評価する絶対的な指標というものは存在しません。

—— しかし、他キャリアは自らの強みの部分をワンフレーズで強調し、優位性をアピールしています。

加藤氏 それはとても悩ましいところです。ワンフレーズで訴求される強みは、間違いではないのでしょうけれども、それが絶対的に正しいものかというと、そうともいえません。しかし、ワンフレーズは一般のお客様には響きやすいものですから、その部分だけが強調されてイメージができてしまう。これは怖いな、と思います。

—— ドコモのネットワーク戦略は、どちらかというと一部分を強化するというよりも、さまざまな技術的アプローチを積み重ねて総合的な品質を高める、というものですね。特に重視されているのは収容力ですが、なかなかワンフレーズ化するのは難しい。

加藤氏 そうですね。我々は4つの周波数帯を組み合わせて使い、さらに都市部は6セクタ基地局を積極的に導入するなど、収容力は重視しています。ただ、そこだけに力を入れているかというと、そうではありません。特定の技術分野や周波数に注力するのではなく、全体的にネットワーク品質を上げていくという姿勢です。これがなかなか、アピールが難しい(苦笑)。

 あと、基地局をたくさん作る、というのは確かに重要なことなのですけれども、実際によいネットワークというのは基地局が多いだけでよいかというと、そうではない。基地局を作った後に現地調査をしっかりと行い、チルト調整をはじめとしたチューニングを継続的に行っていかなければなりません。こういった調整は、ほぼすべての基地局で遠隔操作で適宜行っています。実利用環境での快適さを重視する、というのがドコモの考え方です。

—— 一方で、LTEのエリアの広さについてはいかがでしょうか。現時点では、auの方が郊外も含めたLTEエリアの広さをアピールしていますが。

加藤氏 ドコモでも今後、郊外エリアでのXi(LTE)展開を行っていきます。ただ、ここでは都市部で導入しているような6セクタ基地局やマイクロセル構成ではなく、800MHz帯を用いた比較的セル半径の広い基地局になります。我々も800MHz帯のプラチナバンドを持っていますからね。これを郊外のエリア拡大に使いつつ、都市部は2GHz帯をベースバンドに高密度で収容力の高いネットワークを作っていきます。なお、地方都市については、大都市と同じく収容力重視でいきます。

—— 1.5GHz帯と1.7GHz帯のエリアはどうなりますか。

加藤氏 そのふたつはトラフィックの多い場所で積極的に使っていきます。2GHz帯と800MHz帯の使い分けに、1.5GHz帯と1.7GHz帯もブレンドして、全国エリアを作りつつ速度も速くしていきます。

—— 4つの周波数を使うクアッド化は、ネットワーク競争におけるドコモの優位性になりそうですが、進捗はいかがでしょうか。

加藤氏 積極的に推進しています。まずXiエリアの75Mbps化は全国に広がっており、112.5Mbps化も全国75都市まで拡大している。2014年はクアッド化を積極的に推進する。これが進むことで「ドコモは速くなった」と日々実感していただけるようになると思います。

—— 2014年は各キャリアがLTEへの投資を進めることで、そのエリアがかなり広がり、充実すると考えられます。となりますと、LTEインフラを使った「VoLTE (Voice over LTE)」の商用化も注目されます。

加藤氏 VoLTEはできるだけ早く商用化したいですね。これは音声通話の需要をどう掘り起こすかという観点だけでなく、ネットワークの効率的な運用という点でも重視しています。VoLTEが本格稼働しますと、現状のCSフォールバックを使うよりも全体的な(ネットワークの利用)効率が上がりますから。

—— 直近では「楽天でんわ」なども始まり、LTEを前提にしたIP電話サービスが続々と登場していますが、この動きをどうご覧になっていますか。

加藤氏 これは個人的な考えですが、音声通話はコミュニケーションの基本だと考えています。日常的な利用から、緊急通報や災害時まで、電話の必要性というものはなくなりません。コミュニケーションをなりわいとするドコモとして、音声通話の今後については、(将来を見据えて)もういちど見直す必要はあると考えています。

—— ここにきて各社のスマホ向けIP電話系サービスが台頭してきた背景には、FOMAからXiにすると音声電話の料金が上がってしまうことが背景にあると思います。FOMAには存在した音声通話のパックプランや割引サービスが、Xiではほとんど用意されていない。この点について、今後改善することは考えていますか。

加藤氏 Xiを導入するとき、我々は複雑化した音声通話の料金プランを少しシンプルにしたいと考えました。しかしそれがお客様が求める音声通話の料金体系に完全に応えられるものだったかというと、ご指摘のとおり、そうではないのかもしれません。ドコモユーザー同士が対象になる自網内定額、さらにはすべての通話が対象になる全体定額も含めて、どのような料金体系が求められているかについてはいつも考えていますし、(新たな料金体系を投入する)タイミングを見計らっています。

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2014年、PCはどう進化するか?

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2014年は「モバイルPC熟成の年」に

 「1年のPC動向を占う」——これまでに何度か執筆してきた年始定番のテーマだ。かつては「PC動向=IntelとMicrosoftの動向」であり、両社の戦略を見ておけば、おおよそPC業界の進む方向や製品を買うべき時期を知ることができた。

 現在でもIntelのマイクロプロセッサ開発ロードマップは、製品動向を考えるうえで重要な指標であることは間違いない。2013年に発表された“Haswell”(開発コード名)こと第4世代Coreは、Intelが2011年に提唱したUltrabookのコンセプトを完成させるために作られたマスターピースと言っても過言ではなく、これによってモバイル系のPCの使い勝手が大幅に向上したことは皆さんご存じの通りだ。

 今年も大まかな流れはIntelのロードマップに依存している。結論から言えば今年、2014年は「モバイルPC熟成の年」になるだろう。Haswellに盛り込まれたさまざまな機能とWindows 8.1(あるいはそのアップデート版)がうまく溶け合い、幅広い製品に浸透していく。

tm_1401_pc_01.jpg2014年にはHaswellの後継として、インテル初となる14ナノ世代のSoC“Broadwell”が登場する予定だ。写真はIDF 2013で初公開されたBroadwell

 Haswellの後継となる14ナノメートルプロセスを採用した“Broadwell”(開発コード名)の登場も予定されているが、フォームファクタや絶対的な性能には大きな影響があるものの、基本的にはHaswellベースだ。言い換えれば、道具としての作り込みが使い勝手や機能性に影響するモバイルPCは、2014年が買いどきになる。

 一方、「動向」という意味ではAtom系プロセッサの進化がPC業界全体の「形」を換えていくことになるだろう。2013年に登場した、“Silvermont”と呼ばれる新設計のコアを用いたBay Trail(開発コード名)は、省電力性を維持しながら、Atomの性能を大幅に引き上げた。特にBay Trail-T(開発コード名)ことAtom Z3000シリーズは、高性能タブレット向けのSoCとして見逃せない存在だ。

 また、改善されたAtom系プロセッサは、その適応領域を大きく広げてきた。すでにエントリークラスのデスクトップPC、ノートPC向けのBay Trail-D/-M(開発コード名)には、PentiumやCeleronといった、かつてIntelプロセッサのメインストリームだったブランドが割り当てられている。PCのアプリケーションが広がっていくならば、まだ亜流のままだろうが、今とさほど変わらない応用範囲で使われる分野では、将来、Intel Coreアーキテクチャに代わってAtomが主流になっているかもしれない。

 Intelのプロセッサは、他社の安価な生産設備を利用してコストを下げたエントリークラスのスマートデバイス向けSoC“SoFIA”(開発コード名)の製品計画などもあり、コストや省電力性、パフォーマンスなどの軸により、多様な製品が展開されることになるだろう。その位置付けや上下関係、あるいは用途の違いなどは複雑さを増しており、単純にIntelのロードマップを見ているだけでは状況を追うには不十分になっている。

tm_1401_pc_02.jpgtm_1401_pc_03.jpgSilvermontコアを採用したSoCのBay Trailは、タブレット向けのBay Trail-T(Atom Z3000)に限らず、低価格ノートPC向けのBay Trail-N(Pentium N/Celeron N)や、低価格デスクトップPC向けのBay Trail-D(Pentium J/Celeron J)も用意し、適応範囲を広げている(画像=左)。Intelは2014年の後半に、Bay Trailの後継となるCherry Trail、そして3Gモデムなどを統合したエントリークラスのSoCであるSoFIAを投入する計画だ(画像=右)。IntelはSoFIAにおいて自社製品の製造を他社で行う一方、ファウンドリ(半導体の製造受託)事業を拡張するなど、従来と異なる戦略を打ち出しており、企業としての転換期も迎えている

 前提となるPC環境の変化について述べたうえで、2014年の話をすることにしたい。

Intelのロードマップから類推できないこと

 かつてPCの大半がデスクトップだった時代、Intelの新プロセッサ投入タイミングは、そのまま新型PCの登場を意味していた。前記したHaswellのような大きなアップデートだけでなく、新しいクロック周波数の追加タイミングも重要。さらにプロセッサに合わせて設計されたチップセットの提供ロードマップをキャッチアップすれば、PCメーカーの動向や、自作PCの最適な組み換えタイミングを予想することは容易だった。

 Intelは2003年にCentrinoプラットフォーム(当時はCPU、チップセット、無線LANモジュールで構成されたモバイルPC向けプラットフォーム)を立ち上げて以降、年々、製品開発の基礎部分についてPCメーカーに協力(あるいは技術供与)する領域を増やしていき、新プラットフォームの立ち上げが素早くなったことも、買いどきを予想しやすくなっていた理由だ。

 ノートPCが市場の大半を占めるようになった今、CPUソケットに入れる石を換装すれば新製品……といったお手軽なアップデートはあまり意味がないが、Haswellのような大幅なアップデートは、消費者としては決して逃したくないものだ。よって、いまだにIntelのCPUロードマップはPC市場のウォッチャーにとって重要である。

 ノートPC、とりわけ軽量さやバッテリー持続時間を重視するモバイルPCとなると、「新たなプラットフォームの特徴を生かした製品はいつ登場するのだろう?」という観測点も必要になるため、より評価は複雑になるが、大まかなところで言えば、しっかりと情報は押さえておきたいところだ。

 問題はプラットフォームのリプレースが行われるタイミングを予想するだけでは、現実に出てくる製品が、どこまでそのプラットフォームの能力を生かしたものになるのか、予測することが難しくなってきたことだ。昨今のPCは、以前にも増してOSを含むソフトウェアとハードウェアの協調動作が求められるようになってきている。

 典型的な例は“InstantGo”だ。Windows 8.1のInstantGo機能は、スタンバイ状態でも特定のプロセスを省電力に動かせるタブレット端末のような動作が期待できるうえ、トータルの省電力化にも貢献する。もとよりHaswellの利点として、またUltrabookが実現するフィーチャーとして強く訴求されていたので、Haswellが市場に投入されれば、即座にどのPCを選んでもInstantGoが使えると思っていた人が多いのではないだろうか。

tm_1306_duo13_r2_26.jpg2013年PC夏モデルとして登場したソニーの「VAIO Duo 13」は、Haswellこと第4世代Coreと64ビット版Windows 8/8.1を搭載し、InstantGoもサポートした先進的な2in1デバイスだ。2013年秋冬モデルになっても、これに対抗するInstantGo搭載機は販売されなかった

 筆者もInstantGo対応には、各デバイスの選定やドライバなどの対応が必要とは知っていたが、まさか2013年の年末に「まだ、Haswell搭載機ではソニーのVAIO Duo 13だけしか対応していない」とは想像していなかった(Atom搭載の32ビット版WindowsタブレットならInstantGo対応製品は他にもある)。

 これは、どのタイミングでどんな機能、性能、省電力性を持った製品(Intelのプロセッサではなく、PCメーカーの製品という意味)が登場するかを、Intelのロードマップだけで一概に類推するのが難しくなっている1つの例だ。

 そのうえで「2014年のPC」について考えると、今年は購入時期や新製品に搭載されるだろう要素が「読みやすい」タイミングだと考えられる。なぜなら、プロセッサやチップセットなど、Haswellで加わった大幅な機能、仕様の変更がきちんと製品レベルで反映され、どの製品を購入しても体験レベルの差が少ないというところに近付いていく年になると考えられるからだ。

 デスクトップPCに関しては、デスクトップPC(省スペース型や液晶一体型など)の形状していても、中身はノートPCと共通のコンポーネントを採用した製品がメーカー製としては主流だ。Intelと話をしても、現在のデスクトップPC向けプロセッサのラインアップは、自作PCやガレージメーカーのPCが想定される用途であると認めている。

 一般論としては、Intelのロードマップから最終製品の性能や機能、使い勝手を類推することは難しくなっているが、今年はおそらく大きな変化はなく、Haswellがメインストリームのプロセッサとなっていく。Haswellの縮小版であるBroadwellは大幅な機能追加がないと言われている。

 その結果として、2014年、Intel Coreアーキテクチャのプロセッサを搭載するPCには大きな変化のない年になる。しかし、機能を生かした製品という意味では、Ultrabookの本来のコンセプトが生きてくるのが、このタイミングだ。CPU中心主義ではなく、製品トータルの魅力としては、Haswellのよさを引き出す製品が増えて、その恩恵をさまざまな人が受けられるようになる。ノートPCにタブレット機能を組み込んだ“2in1”(コンバーチブル)タイプの筐体も、さらに増えてくるだろう。

tm_1401_pc_04.jpg2in1フォームファクタの例。HaswellとWindows 8.1のメリットを生かすため、2in1のパワフルなPCは、さらに増えてくると予想される
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実質的開幕2時間前──2014 CES“前前日”リポート

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開幕前日の基調講演はQualcommからIntelに

 2014 International CES(以下、2014 CES)が、現地時間の1月7日から始まる。会場は、例年と同じく、米国ラスベガスのLas Vegas Convention and World Trade Center(LVCC)と、The Venetianになる。また、開催前日の6日には各企業の説明会が集中するが、その会場も2013年と同じMandalay Bay Hotelだ。

 現地時間の5日には、「CES Unveiled」が行われる予定だ。CES Unveiledは、その年のCESで注目の製品が一堂に会するイベントで、実質的に2014 CESのスタートになる。

 開幕前日の6日は、報道関係者に向けた各企業の説明会が集中する。2014 CESでは、LG Electronics、シャープ、パナソニック、Huawei、サムスン電子、エプソン、Intelなどが“公式”の説明会を予定しているほか、東芝やLenovo、NVIDIA、AMDなど“非公式”で説明会を予定する企業も多い。また、ソニーは、これも毎回恒例となっている展示ブースの事前公開に合わせて、PC、ゲーム、AV機器、デジタルカメラといった各事業の幹部による説明会を行う。

 公式基調講演のトップとして6日夕方には、Intel CEOのブライアン・クラーザーニッチ氏が登場する。CEO就任して初めてのInternational CESで、米国コンシューマー業界にどのようなメッセージを伝えるのか注目したい。

 7日の午前には、正式開幕後最初の基調講演にソニー CEOの平井一夫氏が登場する。2013年のIFAで掲げた「One Sony」のコンセプトをこの先どのように進化させていくのか。製品群が登場したあとの“第二段作戦”について注目したい基調講演だ。

 以上、PCやタブレットデバイス、デジタルカメラやデジタルオーディオの今後を占う2014 CESの情報は、ITmediaのPC USER、Mobile、LifeStyle、デジカメプラス、そして、eBook USERで連日お伝えする予定だ。また、2014 CESの特集ページにも関連記事を集約していくので、動向をまとめてチェックしたい人は是非利用してほしい。

kn_zenzen_01.jpgkn_zenzen_02.jpg5日のCES Unveiledから6日の各メーカー説明会の会場になるMandalay Bay Hotel(写真=左)……の隣にあるMandalay Bay HotelのConvention Center。ホテルの建物を目指して歩くととんでもないことになる広大なラスベガスで、ITmedia取材班の老兵は腰痛をおして取材を観光、いや、敢行するのであった

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2014年 IT市場のメガトレンドを読む

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 2014年が始まった。そこで今回は、新年のIT市場のメガトレンドについて、IDC Japanが先頃発表した国内IT市場予測を踏まえながら読んでみたい。

「第3のプラットフォーム」がメインストリームに

 2014年のIT市場におけるキーワードとしては、「モバイル」「ソーシャル」「ビッグデータ」「クラウド」の4つが挙げられる。これらはIDCが言うところの「第3のプラットフォーム」である。2014年のIT市場は、この第3のプラットフォームが中心になり、ますます進化していく年になるだろう。

 その進化も、それぞれの領域で起きるとともに、連携・統合して新たなソリューションが創造されていくだろう。第3のプラットフォームについては、これまでも注目されてきたが、2014年はIT市場のメインストリームになるというのが、まさしくメガトレンドである。

 では、それぞれに見ていこう。まず1つ目のモバイルについては、IDCは次のように予測している。

 「国内の携帯電話総出荷台数に占めるスマートフォン比率が2014年に約86%に達し、出荷台数も前年比8%増と鈍化する見込みから、スマートフォンはコモディティ化していく。一方、タブレット市場は2014年も前年比20%超とプラス成長すると見ているが、消費者向け市場では平均販売価格の下落が激しく、PC市場の落ち込みをカバーできる見込みはない」

 「このような状況下で2014年は、国内通信事業者でモバイル領域における新規事業の探索が本格化すると考えられる。モバイルデバイスベンダーは、家庭市場から法人市場に軸足を移し、業種特化型の付加価値ソリューションに活路を見出そうとするだろう」

 IDCが言うように、国内通信事業者は今、こぞってモバイルベースのサービス事業に力を入れ始めている。

 2つ目のソーシャルについては、IDCは次のように予測している。

 「2014年には多くのユーザー企業が競争力強化のために、ソーシャル技術を利用したマーケティングを開始するだろう。その際、社内外の情報をリアルタイムで分析し、最速で店舗・営業・顧客サポートにフィードバックする要求が出始める。これに対応したSNS情報提供に対する要求が増加し、クラウド上でSNS情報収集および顧客情報分析サービスを提供するベンダーが2014年末までに大幅に増加するだろう」

 「このことは、ソーシャル技術を利用したマーケティング活動がクラウド上で進展し、特定のエコシステムを形成し始めることを意味している。ITベンダーは生き残り戦略として、エコシステムを形成する主体になるか、相乗りするのかを決断する時期が来るだろう」

 この領域については、筆者も「エンタープライズソーシャル」について一言述べておきたい。社内の情報共有を目的としたエンタープライズソーシャルは、グループウェアやタレントマネジメント、プロジェクトマネジメントなどのさまざまなアプリケーションと連携・融合しながら進化していくと考えられる。企業のIT利用環境におけるソーシャルの存在はさらに大きなものになっていくだろう。

問われるベンダーの提案力と実施能力

 3つ目のビッグデータについては、IDCは次のように予測している。

 「2014年は、ビッグデータを応用した成功事例の蓄積を追い風にして、その利用範囲が拡大していく。大規模案件においては提案力や実績、専門性の選定基準によって、ベンダーがふるいにかけられるだろう」

 「ユーザー企業は、ビッグデータの成果である投資対効果や収益に対する評価をITベンダーに求めるため、ベンダーの提案力と実施能力が問われることになるだろう」

 ビッグデータについては、以前も本コラム「ビッグデータ活用ソリューションの課題」(2013年11月18日掲載)で、「さまざまな製品・サービスやそれらをまとめたソリューションが登場してくる中で感じるのは、こんなことができそうだ、という話ばかりでユーザー視点でのコストパフォーマンスがさっぱり見えてこないことだ」と述べた。IDCが後段で指摘していることと同じだ。2014年はそのあたりがもっとクリアになってくるだろう。

 4つ目のクラウドについては、前回の本コラム「2014年のクラウド市場予測」(2013年12月24日掲載)で詳しく取り上げたので参照いただきたい。

 以上、述べてきたように、2014年のIT市場は、第3のプラットフォームがまさしくメインストリームになる年である。ユーザー企業は自社のビジネスやマネジメントと照らし合わせて、この新たなプラットフォームをどう取り入れていくのか。また、ITベンダーはどのようなソリューションでユーザー企業の要求に応え、さらに新たな提案を行って価値を生み出していくのか。それ次第で、ユーザーもベンダーも競争力に大きな差がつく1年になりそうだ。

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ネット上にスマホの位置情報が自動的に記録されるのは便利? それとも恐怖?

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著者紹介:宮田健(みやた・たけし)

元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。アイティメディアのONETOPIでは「ディズニー」や「博物館/美術館」などのキュレーターをこなしつつ、自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め日々試行錯誤中。


 2013年はスマートフォンの普及が伸びた年でした。筆者もAndroidスマホとiPhoneを使い分けています。毎日、片時も手放せないといってもいいでしょう。

 ところで先日、Twitterで「Googleアカウントを持っている人は、ログインした上で『Google Location History』と検索してみましょう(参照リンク)」という投稿を見つけたので試してみたら……、思わずうなってしまいました。

 Androidスマホやタブレット端末を活用するには、Googleアカウントと関連付けることがほぼ必須の作業ともいえます。Google Location History(ロケーション履歴)をひとことで説明するならば「Android端末の移動履歴」といったところでしょうか。

 スマホの移動履歴は基本的に人の動きと一致します。つまり、ほぼ毎日、自分がどのように行動をしているのかがここに記録されています。もしもAndroid端末をお持ちでしたら、ご自身のアカウントがどのように記録されているのかチェックしてみましょう。

最初の感想は「便利かも!」

 このサービスを使って初めに浮かんだ感想は「便利だ!」でした。日記を書くことが苦手な筆者にとって、TwitterやFacebookに書き込むことが日記の代わりになっています。Google Location Historyのように足跡記録が自動的に残るのは面白いと思いました。

 この記録はAndroid端末の位置情報をプロットしているようで、筆者がAndroid端末を購入した日以降の位置情報が記録されていました。GPSをオンにすることはほとんどなかったのに記録が残っているということは、Wi-Fiの位置情報を記録しているのでしょう。そのため、急に位置がジャンプしていたり、細かな記録は残っていませんが、それでもいつ、どこにいたのかを把握するには十分な情報です。

Google Location HistoryGoogle Location Historyを見てみると……。香港LCCで1泊2日弾丸ツアー(参照記事)の移動履歴もきっちり残っていました

次の感想は「なぜこれがクラウドに?」

Android「匿名化された現在地データの収集をGoogleの位置情報サービスに許可します。一部のデータがお使いの端末に保存されることがあります。データ収集はアプリが起動していなくても行われることがあります」

 そんなふうに便利だと思ったのも数分程度。その次に浮かんだ感想はやっぱり「これは危険だ」です。

 そもそも位置情報が記録されてうれしいのは自分(本人)だけです。他人がこれを見る可能性があると考えると、恐ろしくて仕方がありません。それに「こんなふうに使われると思っていなかった」ということも気持ち悪さと不信につながります。

 Android端末で位置情報をオンにするとき、2つのオプションを設定します。1つは「GPS機能」の有効化、もう1つは「Wi-Fi/モバイル接続時の位置情報」の有効化です。後者をオンにすると、下記のような文言が表示されます。

 この文言、具体的にGoogleにおいてどのような目的で使うのかよく分からないのが問題です。上記のGoogle Location Historyのように、かなりきれいに可視化されることが説明されていれば、不快感は少なかったでしょう。

 個人的には、このような情報をクラウド上に保管するのではなく、端末内に保管し、強力なパスワードなどで保護されるのであればとても便利だと感じます。特に旅行などでは思い出のデータになるでしょう。

 しかし、赤の他人に自分のGoogle Location Historyを見られると、確実に自宅の場所が把握されますし、日々の行動が丸裸になってしまいます。位置情報の蓄積は確かに便利なのですが、使い道次第ですね。

プライバシーへの配慮のないサービスはもういらない

 これを読むと「だからGoogleは!」「Androidは危険!」という印象を持つかもしれません。しかし、同様の事件がiOSでも起きていました。iOS 4のころに位置情報を収集していたことが判明したことについて、アップルはFAQを公開しています(参照リンク)

 位置情報はプライバシーに直結する情報です。もし利用する場合はその利用手法が適切かどうか、利用者に対し説明することが必須だと思います。例えばアップルが提供するアプリ「友人を探す」などは位置情報をうまく利用しつつ、探す人にも探される人にも配慮した機能を搭載しています。

 サービス提供側は、情報をどのように使っているのか、もっと分かりやすくアピールすべきだと思います。特に位置情報や行動データなど、個人が特定でき得る機微な情報であればなおさら。スマホが浸透したいま、こういったプライバシーへの配慮がより重要になるでしょう。

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