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AMD、モバイル向けに新型プロセッサを発表

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 AMDは、28nmプロセスを適用した新型のx86モバイルプロセッサとして、ノートPCやタブレット端末向けに「Beema」「Mullins」(いずれも開発コードネーム)の2品種を発表した。同社の既存品に比べて性能を2倍に高め、消費電力量は2分の1に低減したという。2014年7月までには出荷を開始する予定だ。

 Beema/Mullinsは、AMDのx86コア「Puma」を2個または4個と、GCN(Graphics Core Next)のグラフィックスコア「Radeon」を搭載する。さらに、ARMの携帯機器向けセキュリティ技術「TrustZone」に対応した「Cortex-A5」をベースにしてAMDが開発したプラットフォームセキュリティプロセッサを初めて統合する。ノートPC向けSoCのBeemaの消費電力量は10〜25W、タブレット向けのMullinsは2Wだという。

 BeemaとMullinsは、Windows 8.1搭載ノートPC/タブレット向けとして、同OSの新しい高速起動機能「InstantGo」をサポートする。AMDのCTO(最高技術責任者)を務めるMark Papermaster氏は、同社の開発者向けカンファレンスの基調講演に登壇し、「BeemaとMullinsはいずれも、既存のファンレスタブレットや2-in-1機器、超薄型ノートPCなどをはるかに上回るコンピュータ性能を実現することから、競争の激しいグラフィックス市場で優勢性を確保できるとみている」と述べた。

Android、Chrome OSはネイティブサポートせず

 新型チップは、AndroidやChrome OSをネイティブサポートしていない。AMDの広報担当者は、「BlueStacksとのパートナーシップの一環として、『AMD AppZone』向けにエミュレーションソリューションを用意している。詳細については、2014年の『International CES』において発表する予定だ。将来的に、こうしたパートナーシップを一層強化することができると考えている」と述べている。

 AMDは、非営利団体のHSA FOUNDATIONの技術を初めてサポートしたSoC「Kaveri」を発表したばかりだ。Kaveriは、SoC上のCPU/GPUブロックがリソースを共有することにより、変換効率の大幅な向上を実現している。ただしBeema/Mullinsに関しては、HSAの機能をサポートしていない。

mm131119_amd1.jpgAMDのモバイル向けプロセッサのロードマップ(クリックで拡大) 出典:AMD

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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携帯から据置へ変身!〜「PlayStation Vita TV」はリビングエンターテイメントの一翼を担えるか?

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 海の向こうでは「PlayStation 4」の販売開始に沸く一方、日本では「PlayStation Vita TV」が発売された。既にご存じのことだろうが、この製品は早い話が、ソニーの携帯ゲーム機「PlayStation Vita」を据置型にしたもので、液晶画面やバッテリー、操作用スティック/ボタンなどは搭載していない。

ts_vitatvreview02.jpg「PlayStation Vita TV」

 ただ、この製品を“据置型ゲーム機”として注目している人はあまり多くないだろう。少なくとも現時点ではPlayStation Vita専用ソフトウェアのすべてに対応しているわけではないし、PlayStation Vitaの売りの1つだったタッチパネル操作が完全には再現できない関係で、逆に未対応のソフトウェアがかなり多い。「みんなのゴルフ6」や「アンチャーテッド −地図なき冒険の始まり−」、「GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動」など、個人的に好きなタイトルはことごとく対応していない状況だ。

ts_vitatvreview01.jpg操作にはPlayStation3用のワイヤレスコントローラーを利用する。PlayStation Vita TV本体とワイヤレスコントローラー(DUALSHOCK3)、専用メモリーカード8Gバイトを同梱(どうこん)したバリューパックが1万4994円(税込)で発売されている

PlayStation Vitaの基本機能をコンパクトな本体に

 ただ、PlayStation 3と同様に、PlayStation Vitaにはエンターテイメントプレーヤーとしての側面もある。特にソニーのネットワークレコーダー&メディアストレージ「nasne」と密に連携し、テレビ番組の視聴・録画、しかも、録画番組の削除といった管理まで快適に行える点には、それなりのメリットがある。また、製品発表の際には、ソニー自身が提供しているビデオ/ミュージックコンテンツに加え、「TSUTAYA TV」「DMM.com」「スカパー!オンデマンド」「テレビドガッチ」といったVOD/ビデオサービスへの対応も大々的にうたわれていた。なぜか、本体発売には間に合わなかったようだが、HuluやU-NEXTにも今後対応する予定だ。

ts_vitatvreview05.jpgts_vitatvreview06.jpgPlayStation Vita TVのホーム画面に、PS Storeからダウンロードした各種ビデオサービスのアイコンを配置(左)。ネットワークは有線LANに加えて、IEEE 802.11b/g/n対応の無線LANも搭載(右)

ts_vitatvreview11.jpgts_vitatvreview12.jpgts_vitatvreview13.jpg「TSUTAYA TV」では、新作映画や海外TVドラマ、邦画、アニメなどを配信している。また、2013年12月31日まではPS Vita TV向けのキャンペーンが行われており、応募者全員にTSUTAYA TVで配信中の全作品に利用できる1000ポイントがプレゼントされる(左)。スカパー!の有料動画配信サービス「スカパー!オンデマンド」は、開始時点では「スカパー!JリーグLIVE」のみ視聴可能(中)。地上波テレビ局の動画をまとめた「テレビドガッチ」では、見逃した放送中テレビ番組、過去の名作などを配信している(右)

 PlayStation Vita TVの本体サイズは、約65×105×13.6ミリ(横幅×縦幅×厚さ)、質量約110グラムで、厚みを除けば、感覚的にはiPhone5sなどのスマートフォンと同程度といっていいだろう。背面には所狭しとコネクターが配置されており、AC電源、LAN(10BASE-T/100BASE-TX)、HDMI、USB端子(USB 2.0 Type A)、そして、PlayStation Vita専用メモリーカードスロットが並んでいる。

ts_vitatvreview03.jpgts_vitatvreview04.jpgクレジットカードと比較すると、コンパクトさがよく分かる(左)。背面には、ケーブル類のほか、PlayStation Vita専用メモリーカードスロット、そして、電源ボタンが用意されている(右)

 USB端子は基本的にはコントローラーを接続するためのもので、最初にペアリングを行う際、そして、充電時に利用する。残念ながら、USBメモリやUSB HDDには対応していないようだ。

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スーパーコンピュータ「TOP500」、中国の「天河2号」がトップを維持 「京」は4位

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 スーパーコンピュータの性能ランキング「TOP500」最新版が11月18日(現地時間)に公開され、中国国防科学技術大学(NUDT)の「天河2号(Tianhe-2)」が前回に続いてトップに立った。実効性能は33.86ペタFLOPS。

 5位までの順位は前回と変わらず、日本の理化学研究所の「京」(10.51ペタFLOPS)は4位に留まった。

 1位と4位以外のトップ5はすべて米国に設置されたスーパーコンピュータ。2位のTitanの実効性能は17.59ペタFLOPSで、天河2号の約半分だ。

 トップ10に新たに入ったのは、スイス国立スーパーコンピュータセンター(CSCS)の「Piz Daint」。6.27ペタFLOPSで6位だった。同システムはトップ10のシステムの中で最もエネルギー効率が良かった。

 日本のスーパーコンピュータとしては30位までに、京の他に11位に東京工業大学学術国際情報センターの「TSUBAME」が、24位に国際核融合エネルギーセンターのヘリオスが、30位に東京大学情報基盤センターの「Oakleaf-FX」がランクインしている。

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LINEで一時不具合 一部でつながりにくくなる状態に

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画像記者のLINEではトークが送信できない不具合が起きた

 メッセージ&無料通話アプリ「LINE」スマートフォン版の一部で、11月19日午前11時30分ごろから正午ごろまで、トークや通話がつながりにくくなる不具合が発生した。

 運営元のLINEは、原因や影響範囲、不具合の詳細については「確認中」としている。記者のLINE(iPhone版)では午前11時50分ごろ、メッセージを送信しようとすると「!」が表示され、送信できなくなっていた。Twitterでは「メッセージが送れない」といった声が多数ツイートされ、トレンドにも入っていた。

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東芝、1.199キロ/22時間動作「dynabook R634」など企業向けPC新モデル

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dynabook R63413.3型/22時間動作の「dynabook R634」

 東芝は11月19日、企業向けPCのラインアップを一新。業界最長とうたう22時間のバッテリー動作時間を実現した13.3型スリムモバイル「dynabook R634」など、全8シリーズを2013年11月下旬より順次発売する。

 ラインアップは以下の通り。

  • 13.3型で1.199キロ、22時間バッテリーのスリムモバイル「dynabook R634」
  • 14型の1600×900ドットディスプレイを搭載する「dynabook R644」
  • 15.6型フルHD+vPro構成の軽量プレミアムノート「dynabook R654」
  • 13.3型+標準電圧版CPU+ODD内蔵の軽量長時間ノート「dynabook R734」
  • 15.6型+フルHDとvPro構成が可能な高性能ノート「dynabook Satellite B654」
  • 15.6型+多彩なBTOより選べるメインノート「dynabook Satellite B554」
  • 17.3型のデスクトップ代替ノート「dynabook Satellite B374」
  • 15.6型でフルサイズテンキー搭載のSMB向け主力ノート「dynabook Satellite B254」
  • 第4世代Core搭載の高性能デスクトップ「EQUIUM 4030」

 13.3型スリムモバイルラインのdynabook R634は、個人向け店頭モデルにはラインアップされなくなったdynabook R632の後継に位置付けられる企業向けモデル。薄型、軽量、堅牢性を重視したスリムボディに業界最長クラスとする約22時間の長時間バッテリー動作を実現した点を大きな特長とする。CPUはCore i7-4500U、Core i5-4300U、Core i5-4200Uから、メインメモリは最大8Gバイト、ストレージは256Gバイトないし128GバイトSSD、OSは64ビット版Windows 8.1 Pro、ないしWindows 8.1 Proのダウングレード権を使用したWindows 7 Professional(32ビット/64ビット版)より選択できる。ディスプレイは1366×768ドット表示の13.3型液晶、19ミリピッチ/87キーの日本語JISキーボード、ジェスチャー操作対応タッチパッドに加え、スティック操作型のカーソル操作デバイス「アキュポイント」を搭載できる。価格は25万7250円から。

 dynabook R644は、R634の薄型、軽量、堅牢、長時間動作の特長をそのままに、ディスプレイを14型ワイドに大型化したシリーズ。Core i5-4300Uの構成をベースに、メモリ容量(4Gバイト/8Gバイト)、ストレージ(128GバイトSSD/320GバイトHDD)、OS(Windows 8.1 Pro/ダウングレード権を使用したWindows 7 Professional)、ディスプレイ解像度(1600×900ドット/1366×768ドット)、アキュポイント付きデュアルポインティングデバイスなどの構成をカスタマイズできる。価格は24万6750円から。

 dynabook R654は、さらに大きい15.6型ワイドのディスプレイとテンキーを実装するパワースリムモバイルPC。vPro対応のCore i5-4300Uをベースに、メモリ容量(4Gバイト/8Gバイト)、ストレージ(128GバイトSSD/320GバイトHDD)、OS(Windows 8.1 Pro/ダウングレード権を使用したWindows 7 Professional)、ディスプレイ解像度(1920×1080ドット/1366×768ドット)、アキュポイント付きデュアルポインティングデバイスなどの構成をカスタマイズできる。価格は25万2000円から。

dynabook R644dynabook R654×1080ドット構成が選べる15.6型「dynabook R654」(写真=右)
dynabook R734標準電圧版CPUと光学ドライブ内蔵可+長時間動作が特長の「dynabook R734」

 dynabook R734は、個人向けシリーズにも用意する同名シリーズの企業向け版として展開。13.3型サイズのボディに標準電圧版のCPUを採用する高性能志向の構成に、光学ドライブ、有線LANポート、アナログRGB出力端子などビジネスシーンに望まれる機能、最大17時間の長時間動作を実現する。上記シリーズと同様にOSは64ビット版Windows 8.1 Proのほか、ダウングレード権を使用したWindows 7 Professionalプリインストールの構成も選択可能。個人向け店頭モデルにはない最大256GバイトSSDの構成のほか、最大8Gバイトのメインメモリ仕様も選択できる。価格は22万2600円から。


dynabook Satellite B654dynabook Satellite B554dynabook Satellite B354左から、15.6型フルHDとvPro構成が可能な高性能ノート「dynabook Satellite B654」(24万1500円から)、15.6型+多彩なBTOより選べるメインノート「dynabook Satellite B554」(19万8450円から) 17.3型のデスクトップ代替ノート「dynabook Satellite B374」(22万6800円から)
photophoto左から、15.6型でフルサイズテンキー搭載のSMB向け主力ノート「dynabook Satellite B254」(SMB向けのためオープン価格) 第4世代Core搭載の高性能デスクトップ「EQUIUM 4030」(24万450円から)

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dynabook Satellite | vPro | 東芝 | EQUIUM | dynabook R632


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第33回 iPhotoで写真を仕上げる

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 今回はiPhotoの話をしようかと思ってる。

 アップル純正アプリなのでもっとはやく取り上げてもよかったのだけど、前バージョンって正直なところ使い勝手が今ひとつでわたしも購入はしたものの、ちょっとしか使ってなかったのだ。

 でも、2013年9月にバージョンアップしてフルリニューアルして使いやすくなった上に、2013年9月以降にiPhoneやiPadを買った人は無料でダウンロードできるのだ。有料の人と無料の人ができちゃってるのでややこしいけど、AppStoreへいって「無料」と表示されてたらダウンロードしちゃってOKだ。

photo

 iPhotoは何をするアプリなのか。iPhoneで撮った写真を死蔵させないためのアプリ、といっていい。大きな機能は3つ。ひとつは写真のブラウズ。まあこれは標準の写真アプリでもできるわけで、そう注目すべき機能でもない。ただ、写真にお気に入りやフラグをつけてざくっと分類することはできる。

photo写真のブラウズ機能。1カ月ごとにまとめて見せてくれる

 ふたつめは写真の補正・加工機能。これがなかなか多機能で、写真の修正から大幅な加工まで一通りしてくれるのだ。かなり高機能である。3つめは写真の出力。Webジャーナル、スライドショー、フォトブックと3つあるけど、注目はフォトブック。iPhoneで撮った写真を豪華な写真集にできるのである。全部説明すると長くなるので、今回は2番目の写真の編集機能の話をば。

iPhoneで撮った写真をそのままにしてない?

 iPhoneで写真を撮ったとき、ちょっと暗いなと思ったり、ちょっと傾いてて気になったり、でもまあいいやってんでそのまま公開したりしてないだろうか。料理写真なんか、もうちょっと明るい方が美味しそうにみえるのに、と思ったまま公開したりしてないだろうか。

 まあせっかく撮った写真なら「本当に見せたかった写真」に仕上げてから公開したいじゃないか、と。そのために10分も20分もかけるのはかったるいけど、1〜2分ならまあたいして手間じゃなかろう、と。そこでiPhotoの出番。

 で、きれいな夕空の写真があるとしよう。

 これである。

photoベランダから身を乗り出して撮った夕空の写真。厚い雲の隙間から光の筋がさーっと広がってたのだ

 雲の隙間から光がすーっと差し込んだ姿がなかなか美しかったのでベランダから身を乗り出して撮ったのだけど、無理な姿勢で撮ったものだからちょっと左に傾いてる上に、右端に壁が写り込んじゃってる。これはよくない。直しちゃえ。

 で、まず、サムネイルを消して目的の写真だけにする。

photoサムネイルを消すと作業しやすいのだ

 そして「ツール」をタップして編集ツールを呼び出す。最初はトリミングだ。

photo左下の「ツール」をタップするとこの画面に切り替わり、トリミングや露出、カラーなど各種補正機能が現れる

 トリミングツールをタップするとこんな画面になる。わかりやすいですな。下のダイヤルは見ての通り傾き。ここをドラッグして傾きを直す。

photoダイヤルを左右にドラッグすると傾きの補正ができる

 でもって、四隅のどっかをドラッグしてトリミングする。縦横比を変えたいときは右上のメニューアイコンをタップ。思い切って正方形にしたり縦位置にしてもいい。まあやり過ぎると画像サイズが小さくなっちゃうけど。

photo縦横比を自由に変えてもいいし、これを使ってきちんと合わせてもいい。

 終わったらツールアイコンをタップして戻す。次は明るさ(露出)だ。

 光の筋が目立つように、暗いところはぎゅっと締めて、明るいところも少し落として色をはっきりさせたい。画面一番下のスライダーを動かす。右が明るい側(ハイライト部)、左が暗い側(シャドウ部)。左右の端をそれぞれ動かすとそれぞれ調整できるし、真ん中のを動かすと全体の明るさが変わる。細かい調整をするときは横位置の方が、スライダーが横長になるのでよさげ。iPhoneを傾ければよし。

photo「露出」機能。スライダーに5つのアイコンがあるがそれぞれドラッグできる。これでコントラストを上げ、ハイライト部を少し落としたりして明暗を強く出してみた

 最後は色。

photo「カラー」をタップするとこのように。一番右下がホワイトバランス

 夕日ならではの赤みを目立たせてやれ、ってことで一番右のホワイトバランスを開いて、「日陰」にしてやる。えっと、太陽光を中心に、曇り→日陰としてやるごとに全体に赤みが増します。

photo全体に夕焼けっぽい色に調整してみた

 さらに彩度をちょっと上げて色を派手目に。

photo彩度を少しだけ上げる

 それ以外にもたくさんの機能があるので、気になる方はヘルプ画面をどうぞ。困ったら「?」をタップすればいい

photo困ったときはヘルプ頼み

 ヘルプを参考にあれこれ画面を見ながらいじるとよいかと思う。

 これでとりあえず完成。最初のオリジナル写真と比べるとずいぶん変わったのがわかるかと思う。「オリジナルを表示」ボタンがあるので見比べてみた。

photo元の画像(オリジナル)
photo今回iPhotoで仕上げた画像。ずいぶん派手になりました。

 えっと、実際の空はどうだったかというと、オリジナルが近い。でも「わたしの心の中ではこう見えてたのだ!」ってことでおおむね問題なしです。そういうもんです。となったら、公開ボタンをタップして公開しよう。

photophoto公開ボタンをタップするといろんな出力先が現れる(写真=左)、Twitterに投稿するばあいはこんな感じに(写真=右)

 iPhotoがさすがアップル純正だな、というのはこのあと。

 普通の画像編集アプリは、あれこれいじったものを「カメラロールに保存」という作業をしなきゃいけない。iPhotoはそれがいらない。保存しなくても、ここでいじったものはそのままカメラロールに反映されちゃうのだ。

 iPhotoでいじってから、写真アプリでカメラロールの該当する写真を開いて見ると、ちゃんとiPhotoで仕上げた写真にすり替わっているのだ。じゃあ元の写真はどこへ? というと、ちゃんと残ってる。iPhoto上でオリジナルに戻すことも、ひとつひとつの作業(明るさやトリミングやその他もろもろ)をリセットして少しずつ戻すこともできる。

photo右上のオプションメニューを開いて「戻す」をタップすれば、元画像に戻せます

 そういう意味でも安心して使えるのである。ブレやピンボケは直せないけど(これはもうどうやっても無理です)、ほんの一手間で写真を印象的なものにできるということで、ぜひお試しを。

 次回もたぶん、iPhotoの話をお送りします。

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「作図のためのツール」から「製造支援」へ――電気制御設計で活躍する電気CAD

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 以前は、手書きから一歩進んで汎用の2次元CADやグラフィックスツールなどを利用する程度だった電気制御の設計現場でも、現在は専用の電気CADが普及し始めている。さらに近年のトレンドとしては、手書きを単に置き換えた“作図のためのCAD”から、BOMや設計情報DB、3次元CADとの連携といった「統合型の電気CAD」への注目が高まっている。システムコントロールフェア(SCF)2013では、各社の電気CAD最新ソリューションが紹介されていた。

3次元CAD連携を参考出展——ワコム

photoECAD dioとIRONCADとのデータ連携ソリューション

 機械設計の世界と同様に電気設計の世界でも3Dへの要求が高まっている。電気設計専用CAD「ECAD dio」シリーズを展開するワコムのブースでは、参考出展としてECAD dioとミッドレンジ3次元CAD「IRONCAD」とのデータ連携ソリューションを紹介していた。

 「ECAD dioからBOM情報をインポートすると、BOMにリストアップされた部品のみがライブラリという形で自動的に出力される。それをドラッグアンドドロップで簡単に配置していくことが可能。部品表に入っているものだけが表示されているので配置漏れがない。定位置への配置をチェックしたら、干渉のチェックなどが3次元CADで行える。今回のソリューションのリリース時期は未定」(担当者)。

 その他、新設計エンジンを搭載したフラッグシップライン「ECAD dio DCX」やハーネス図と製品情報を統合するハイスペックライン「ECAD dio HARNESS+」、電気制御設計に特化したスタンダードライン「ECAD dio STANDARD」など同社主力製品の紹介が行われていた。

設計情報を1つのDBで統合管理——図研

 図研は、産業機械向け電装・制御ケーブル設計ソリューションの「E3.series」を中心に訴求。設計情報を1つのデータベースで統合管理し、リアルタイムで複数種類の図面間での情報連携を実現できる利点などを訴えた。

 E3.seriesは、プロジェクトにおける各設計情報を1つのデータで統合管理できることが特徴。総合結線図とケーブル仕様図の整合性確保、各種帳票類の自動出力などを得意とし、ケーブルや部材の発注ミスや装置組み付け時のトラブルを軽減するという。

photo「E3.series」を紹介する図研ブース

 図研 プリサイト事業部 マシナリービークル部 E3課 課長の黒田幸親氏は「メカと比較して電気系はIT化が遅れている分野。干渉確認や自動結線などでケーブルや部材のコストや在庫が大幅に低減でき、目に見える成果が得られる。実際に受注も大きく伸びている。IT化の利点を訴えていきたい」と話す。

 SCFでは、これらの背景を踏まえ「未経験者でも製造できる?」や「仕事は段取り八分?」など身近な疑問をブースに貼り、それに答える形で、E3.seriesの利点を訴えた。

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「安全神話は崩壊した」三菱化学が語る制御システムの危険性

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トレンドマイクロ

 三菱化学エンジニアリングは2013年11月14日、トレンドマイクロのユーザーイベント「Trend Micro DIRECTION」で講演に登壇し「製造現場における制御システムセキュリティ取り組み事例紹介」をテーマに、同社が取り組んできた対策について紹介した。

 登壇した三菱化学エンジニアリング エンジ1部 制御・情報システムグループ 課長代理の城間健太郎氏は三菱化学から出向しており、三菱化学の化学プラントの情報システムの運営やセキュリティなどを担当しているという。



産業制御システムへのサイバー攻撃の脅威

三菱化学エンジニアリング エンジ1部 制御・情報システムグループ 課長代理の城間健太郎氏三菱化学エンジニアリング エンジ1部 制御・情報システムグループ 課長代理の城間健太郎氏

 城間氏は「制御システムを取り巻く脅威は増えている」と強調する。産業制御システムへのサイバー攻撃はイランの核燃料施設を狙ったStuxnet(スタックスネット)で大きな注目を集めたが、同様の工場や重要インフラを狙ったサイバー攻撃は増加。またこのような高度な攻撃だけでなく、Windows OS で活動するウイルスによる生産停止被害なども増えているという。

 一方で、事業の効率的活用にはネットワークの利用などは必須になりつつある。ただ環境的には、制御システムの脆弱性の公開や、インターネット接続デバイス全てを検索できる検索エンジン「SHODAN」の登場などで、危険性は大幅に高まっているという状況だ。

 「現状では被害発生時の影響度は大きいが発生率は少ないという状況だ。しかし、日ごとに攻撃は増加しており、対策は必須のものとなりつつある」と城間氏は語る。

海外被害国内被害海外における制御システムのインシデント(被害)事例(左)と国内におけるインシデント事例(右)(クリックで拡大)

危険物を扱う化学分野でも被害事例が

 また、米国の国土安全保障省の管轄で米国の制御システムセキュリティを担当するICS-CERTの2011年のレポートでは、化学分野のインシデント(脅威となる事象の発生)数が5%を占めたとしており、化学プラントなどでも危険とは無縁ではない。

 城間氏は「化学工場は高温、高圧化で危険物を取り扱う場所であり、安全で安定した操業が何よりも優先される。これらに対し脅威が発生するならば、対策は不可欠だ。サイバーセキュリティにも取り組む必要性がある」と話す。

化学ICS-CERTによる調査レポート。化学分野での脅威も確実に存在している(クリックで拡大)

制御システムの“安全神話”の崩壊

 「今までは制御システムは安全だという思い込みがあった」と城間氏は語る。「制御システムはサイバー攻撃は無縁だ」「制御システムをインターネットと切り離しておけば100%安全だ」「特殊なシステム構成だから外部にいる攻撃者に分かるはずがない」「感染するとシステムの状態が変わるのですぐに気付く」などの認識が制御システム関係者にはあったという。「しかし、これらの認識は全て間違いで、根拠のない、一種の“神話”のようなものだった。これらの“神話”は崩壊した」と城間氏は強調する。

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LINE不具合は「内部システムのエラー」が原因 トーク、通話、ゲームなどに影響

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画像トークが送信できない不具合が起きた

 スマートフォン用アプリ「LINE」で11月19日昼に起きた不具合について、運営元のLINEは「内部システムの一時的な負荷の増加によるエラー」が原因だったことを明らかにした。

 通話の発着信・トークの送受信ができなくなったほか、LINE GAMEでゲームがプレイできない、タイムライン、ホームでは閲覧・投稿ができない不具合が起きた。

 不具合は午前11時5分、全世界のiPhone/Android版ユーザーの一部で発生。ホーム、タイムライン、LINE GAMEなどの付加機能が午前11時35分に、通話・トーク機能は午後12時2分に復旧したという。影響を受けたユーザーの数は明らかにしていない。

 不具合のあった時間帯、Twitterでは「メッセージが送れない」といった声が多数ツイートされ、トレンドにも入っていた。

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写真で見る「Venue 11 Pro」――AtomからCore i5まで選べる10.8型“3 in 1”タブレット

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柔軟な仕様を手に入れたWindows 8.1タブレット

 デルが11月19日に発売した「Venue 11 Pro」は、ビジネスもホームユースも1台でカバーするという10.8型のWindows 8.1タブレットだ。話題の低価格な8型モデル「Venue 8 Pro」に続いて、写真とともに実機(海外版)をチェックしていこう。

 Venue 11 Proの特徴は、選択できる基本スペックの幅が広く、キーボードやドッキングステーションなどの純正アクセサリを豊富にそろえており、UltrabookやデスクトップPCのように扱えることだ。1台でタブレット、Ultrabook、デスクトップの3つの体験ができるため、同社はVenue 11 Proを“3 in 1”タブレットと呼んでいる。

 液晶ディスプレイは1920×1080ドット(フルHD)表示の10.8型ワイド画面で、10点マルチタッチ対応の静電容量式タッチパネルを備えている。本体サイズは298(幅)×177(高さ)×10.2(厚さ)ミリ、重量は約772グラムだ。これはCPUにAtomを選択した場合の最薄、最軽量の構成となる。CPUにCore i3/i5を選択すると、内部の放熱設計などが変わるため、厚さは15.4ミリ、重量は約797グラムに増す。

tm_1311_venue11pro_01.jpgtm_1311_venue11pro_02.jpg正面から見る「Venue 11 Pro」は、ブラックカラーでシンプルなデザイン(写真=左)。10.8型フルHD液晶は画素密度が204ppi(pixel per inch:1インチあたりのピクセル数)と、8型モデルの「Venue 8 Pro」より精細な表示だ。背面はブラックとダークシルバーのツートーンカラーで、中央に鏡面仕上げのDELLロゴをあしらっている(写真=右)

 10〜11型サイズのWindows 8/8.1タブレットと比較すると、薄型軽量とはいえないが、背面カバーを工具なしで取り外してバッテリーを着脱できるなど、主に企業導入での保守・管理のしやすさに配慮しているのが見逃せない。オプションで交換用のバッテリーも用意しているため、タブレットを長時間バッテリー駆動でタフに使いたい個人ユーザーにとっても便利だ。

 バッテリー駆動時間はAtom選択時でも、Core i3/i5選択時でも約10時間という。当然バッテリー容量は異なり、撮影した海外版ではAtom搭載機に容量32ワットアワー、Core i3/i5搭載機に容量36ワットアワーのバッテリーを装備していた。

 ちなみに背面カバーを取り外すと、バッテリーだけでなく、無線LAN、無線WAN、SSDのモジュールにもアクセスできる。これらのパーツはユーザーによる交換が保証されているわけではなく、企業向け保守サービスのための仕様だが、こうしたカスタマイズ性はほとんどのタブレットにないため、ノートPCの内蔵パーツを自分で交換できるようなユーザーにとっては魅力的に映るのではないだろうか。

tm_1311_venue11pro_03.jpgtm_1311_venue11pro_04.jpg背面の下部には小さなスリットがあり(写真=左)、ここに指をひっかけて持ち上げると、簡単に背面のカバーが取り外せる(写真=右)。写真はCore i5搭載の構成だ。ボディは全体にカッチリとした作りで剛性の高さを感じるが、背面カバーは複数の細いツメで固定されているだけなので、何度も着脱するのには向かない
tm_1311_venue11pro_05.jpgtm_1311_venue11pro_06.jpgCore i3/i5搭載の構成では、36ワットアワーのバッテリーを採用している(写真=左)。今回撮影した海外版は、SanDiskの128GバイトSerial ATA SSD(SD6SP1M)と、Sierra WirelessのHSPA+(3G)対応データ通信モジュール(AirPrime EM8805)を搭載していた(写真=右)。いずれも薄型のM.2モジュールだ。SSDの下にある黒いフィルムをはがすと、無線LANモジュールも現れる
tm_1311_venue11pro_07.jpgtm_1311_venue11pro_08.jpgAtom搭載の構成は、Core i3/i5搭載の構成と内部設計が異なり、32ワットアワーのバッテリーを採用している(写真=左)。もちろん、Core i3/i5搭載の構成と同様、バッテリーはユーザーが交換できる仕様だ(写真=右)
tm_1311_venue11pro_09.jpgtm_1311_venue11pro_10.jpg上がCore i3/i5搭載時の36ワットアワーバッテリー、下がAtom搭載時の32ワットアワーバッテリー(写真=左)。下のほうがフットプリントは大きいが、薄型に仕上がっている。付属の25ワットACアダプタは、薄型軽量にまとまっている(写真=右)
tm_1311_venue11pro_11.jpgtm_1311_venue11pro_12.jpgACアダプタの表(写真=左)と裏(写真=右)。タブレット本体と接続するUSBケーブルは着脱できる仕組みだ。プラグも収納できる

CPUはAtom Z3000と第4世代Core Yを選択可能

 CPUはタブレット向けSoCのAtom Z3000(開発コード名:Bay Trail-T)に加えて、より高いパフォーマンスを求めるユーザーに向け、第4世代Core(開発コード名:Haswell)の中でも特に省電力なYシリーズも選択できる。共通のボディデザインで、AtomからCore iまでCPUを幅広く選べるタブレットは非常に珍しい。

 企業でタブレットを一括導入する際、部署に応じて必要な性能は異なるだろうが、Venue 11 Proならば、Atom搭載の構成とCore i搭載の構成をまとめて購入でき、しかも見た目が共通で、同じシリーズの製品として一括管理が可能だ。vPro対応CPUの採用も合わせて、法人向けタブレット導入では有利に働くだろう。

 CPUは具体的に、Atom Z3770(1.46GHz/最大2.39GHz)、Core i3-4020Y(1.5GHz)、Core i5-4210Y(1.5GHz/最大1.9GHz)、Core i5-4300Y(1.6GHz/最大2.3GHz)の4種類から選択可能だ。いずれもCPUに統合されたグラフィックス機能を用いる。Core i5-4300YはvProにも対応する。

 Atom選択時の最小構成は、メモリが2Gバイト(DDR3 1333MHz)、ストレージが64GバイトのSSD、OSが32ビット版Windows 8.1だ。Core i3/i5選択時は、4G/8Gバイトのメモリ(DDR3 1600MHz)、128G/256GバイトのSSD、64ビット版Windows 8.1/8.1 Proを搭載できる。

tm_1311_venue11pro_13.jpgtm_1311_venue11pro_14.jpg上がCore i5搭載機、下がAtom搭載機。本体の薄さと厚さだけでなく、Intelロゴの有無も異なる
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“スマホでカーナビ”を拡大するドコモとパイオニアの狙い

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 NTTドコモとパイオニアは11月14日、スマートフォン向けの交通情報サービス「ドコモ ドライブネットインフォ」を発表した。12月中旬から、ドコモのAndroidスマートフォン向けに無料で提供する。対象は10月10日に発表した2013年冬-2014春モデル以降の機種。

photoドコモ 代表取締役副社長の岩崎文夫氏(写真=左)と、パイオニア代表取締役 兼 社長執行役の小谷進氏(写真=右)

 ドコモ ドライブネットインフォは、現在地をもとに周囲の地域情報や、ユーザーから寄せられた渋滞情報などを表示するアプリ。スマホを使った通話やメール(SMS)の送受信、音楽の再生などもできる。「しゃべってコンシェル」の仕組みを使った音声認識技術が使われており、話しかけることで操作できるのが大きな特徴だ。なおドライブネットインフォ単体では経路検索ができず、ナビを利用するには別途「ドコモ ドライブネット」が必要になる。

photophoto「ドコモ ドライブネットインフォ」
photophoto話しかけることで、音声通話やメール(SMS)の送受信、音楽の再生などもできる

 ドコモ ドライブネットは、ドコモとパイオニアが共同で提供しているスマホ向けのカーナビゲーションサービス。月額315円の有料サービスだが、スマホで本格的なナビ機能を利用できる。12月中旬に“ドコモ ドライブネット”として複数のサービスが始まることから、従来のドコモ ドライブネットは「ドコモ ドライブネットナビ」に名称を変更。またドコモ ドライブネットナビのiPhone 5s/5c対応もアナウンスされた。なお、ドコモ ドライブネットインフォのiPhone対応は「検討中」だという。

photophotoドコモのiPhone向け「ドコモ ドライブネットナビ」
photophotophoto同時に発表された「スマートフォンホルダ01」。NFCチップが内蔵されており、ドライブネットインフォをインストールしたNFC対応スマホを置くと、自動でアプリが起動する
photo高精度のナビ機能を提供する「カーナビ用センサーユニット01」。2012年6月に発売した「ドライブネットクレイドル 02」に付属するセンサーユニットと同じ仕様のものだ。今回はより低コストで使い始められるよう、ホルダとセンサーユニットを別売りするという

カーテレマティクスに参入するドコモの狙いとは

 ドコモは5月、カーテレマティクス分野への本格的な事業参入を目的に、パイオニアと業務・資本提携を結んだ。6月末にはパイオニアが行なった約50億円の増資を引き受け、ドコモがパイオニア株式の約7%を取得している。ドコモと提携したパイオニアは、カーナビゲーションシステムなどの車載機器やスマートフォンが取得した位置情報を集め、高度な交通情報を生成できる交通クラウド基盤「モバイルテレマティクスセンター」を構築。ドコモ ドライブネットインフォは、このモバイルテレマティクスセンターを活用するサービスの1つでもある。

photophotoドコモ ドライブネットインフォの特徴(写真=左)。パイオニアが構築したクラウド基盤と、ドコモのITSクラウドを活用する第1弾のサービス(写真=右)

 NTTドコモ代表取締役副社長の岩崎文夫氏は、「ドコモ ドライブネットインフォを通じて、カーライフでもスマートライフを実現したい」と意気込みを語る。ドコモが掲げるスマートライフとは、モバイル技術を応用した新しいライフスタイルのこと。ドコモはネットワークとスマートフォン、そしてユーザーの行動支援を行なうサービスを提供することで、その実現を目指している。というのも、今後のモバイル市場では、キャリアが提供する端末や回線、料金だけでなく、サービスによる差別化が重要になるためだ。

photoドコモは、ドライバーにもスマートライフの提供を目指す

 ただドコモ ドライブネットは、単なるスマホ向けのサービスではなくM2M(機器間通信)の取り組みの一環として位置づけられている。岩崎氏は「M2Mは産業分野のほか、フォトパネルなどのコンシューマー向け、そして自動車向けが考えられる。ドライバーと自動車、自動車と自動車を結び付け、さまざまな情報をクラウド上に蓄積・解析してマッチングする情報やコンテンツをドライバーに提供できれば、より便利で安全で楽しいドライブが実現する」と狙いを説明した。

 ドコモは自動車向けサービスの提供に向け、専用のITSクラウドを開発。ドライブ中に音声でサービスを利用できるよう、しゃべってコンシェルのエンジンを使ったクラウド基盤を構築した。もちろんパイオニアのモバイルテレマティクスセンターとも連携しており、ドコモ ドライブネットなどのサービスやコンテンツは2社の綿密な連携によって提供されている。またコンシューマー用途だけでなくビジネス向けも検討しているという。具体的には、自動車の走行状態に合わせた整備やカー用品の販売・レコメンド、また自動車保険向けに事故対応時のサポートを行なうことなどが考えられている。ドコモとパイオニアはこうした市場の確立を目指して、自動車整備業者やカー用品店チェーンらと「次世代オートアフタービジネス研究会」を9月に発足させた。

既存のナビ事業に影響は? パイオニアがスマホに注力する理由

 かたやパイオニアの狙いはどこにあるのか。パイオニア代表取締役 兼 社長執行役の小谷進氏は、「モバイルネットワークの整備で移動中でも情報が入手しやすくなり、クラウドを使ったサービスの提供が当たり前になった。カーエレクトロニクス市場にも大きな影響があり、これからは“つながるクルマ”を前提とした新たな事業機会を拡大したい」と話す。

photophotoパイオニアの「モバイルテレマティクスセンター」(写真=左)。コンシューマーだけでなく、幅広い業界での利用を想定している(写真=右)

 小谷氏がいう“つながるクルマ”とは、車載機器をネットにつなげるだけでなく、車のソーシャルネットワーク化を進め、車載デバイスによる真のエージェントサービスを目指すというもの。例えばドコモ ドライブネットインフォはユーザーが投稿した渋滞情報を、別のユーザーが参照できる。こうしたSNSを使ったユーザー同士の情報共有を通じて、総合的なドライブ情報を提供したい——という考えだ。それを支えるのがモバイルテレマティクスセンターだが、ドライブネットインフォでの利用はその一端でしかない。パイオニアもドコモと同様に、幅広い業界での利用を目指している。

 そこで気になるのが、従来型ナビとの競合。スマートフォンを使った通信型のナビが増えることで、パイオニアが手がけるナビ専用機の売り上げに影響は出ないのだろうか。しかし小谷氏は「スマホのナビが普及しているが、市場環境の変化は追い風」と話す。

 「弊社の国内向け事業はFIX(ダッシュボードに固定するタイプ)が中心で、この市場はしっかりとした需要があり、これが今すぐスマホ化することはない。スマホで影響を受けているのは、PNDタイプだろう。PNDについては我々は後発であり、むしろスマホを使ったナビでPND市場のシェアを獲得していきたい。ただPNDも一定のシェアがあり、欧州では大きな市場がある。PNDの新規開発をやめるわけではない」(小谷氏)

あえて無料で提供する理由とは

 ドライブネットインフォの背景にある、ドコモとパイオニアのクラウド基盤。いわゆるビックデータを使ったビジネスであり、利用を拡大するには豊富なデータと正確な分析が必要になる。

 ドコモの岩崎氏はドライブネットインフォが無料の理由について、「ユーザーが増えると、クラウド側にさまざまな位置情報がアップされ、精度が上がっていく。そうした狙いもある」と説明。また有料サービスのドライブネットナビへの誘導経路になることにも期待を込めた。

 「そのためには、スマホでこうしたサービスがつかえることを広めたい。目標は特に決めていないが、1つの尺度として早急に100万ダウンロードを目指したい」(岩崎氏)

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世界最速“70ppm”ビジネスインクジェットで国内法人プリンタ市場を狙うHP

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日本HPが国内ビジネスプリンタ市場に本格参入

 日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)は11月19日、法人向けA4インクジェット複合機/プリンタ「HP Officejet Pro X」シリーズを発表した。印刷速度が最大70枚/分という、オフィス用デスクトッププリンタとしては世界最高速のスピードを実現したのが特徴だ。

 単機能プリンタと、プリンタ/スキャナ/コピー/ダイレクトプリント/FAXなどの機能を搭載する複合機のそれぞれに印刷速度の異なる2モデルを用意。毎分70枚印刷が可能な複合機「X576dw」と毎分55枚の複合機「X476dw」、毎分70枚のプリンタ「X551dw」と毎分55枚のプリンタ「X451dw」というラインアップになる。直販サイトのHP Directplus価格は、順に9万7125円、8万6625円、7万3500円、6万1950円。11月28日に発売される。

og_hp_001.jpgog_hp_002.jpgA4ビジネスインクジェット複合機の上位モデル「HP Officejet Pro X576dw」と、単機能の上位モデル「同X551dw」(写真=左)。複合機の下位モデル「HP Officejet Pro X476dw」と、単機能の下位モデル「同X551dw」(写真=右)。上位モデルはカラー、モノクロともに世界最速の70枚/分の印刷速度を実現したのがトピックだ。なお、給紙枚数は手差し50枚+標準トレイ500枚に加え、オプションでもう1段トレイ(500枚)を追加できる。本体サイズは、複合機が517(幅)×399(奥行き)×517(高さ)ミリ、単機能モデルが517(幅)×399(奥行き)×414(高さ)ミリ

 同日行われた製品発表会では、日本HP取締役副社長の岡隆史氏が登壇し、法人向けプリンタ事業に対する意気込みを語った。

og_hp_003.jpg日本HP取締役副社長の岡隆史氏

 HPにとってプリンタ事業は年間売り上げで2兆円を超えるコアビジネスだ。岡氏は「プリンタの歴史を振り返ると、初のインクジェットプリンタや、小型なデスクトップタイプのレーザープリンタを世に送り出したのはHPだし、それをカラーにし、大判に展開してきたのもHP。最近では片手で持ち運べるモバイル複合機なども提供している」と紹介し、プリンタ分野で常にHPが技術トレンドをけん引してきたと説明。「商品の印刷からバスのラッピングまで、人々が気付かないようなところまで、当たり前のようにプリンタが使われているが、そうしたバックボーンをHPのプリント技術が支えている」と述べ、家庭用のインクジェットからデジタル印刷機まで、あらゆるセグメントでシェアNo1の座にいるとアピールした。

 しかし、HPがグローバルのプリンタ市場で大きなシェアを占める一方、日本国内ではそれほど存在感を示せていない。デジタル印刷機の分野でこそ国内シェア75%と、グローバルを上回る高い数字を持つが、それ以外のインクジェットではグローバルの47%に対して国内では10%、大判では52%に対して22%、そして最も苦戦している法人向けレーザー市場ではグローバルで36%なのに対し、わずか0.2%にすぎない。これまで日本HPの国内向けプリンタ戦略がコンシューマーを主軸に展開してきたのも要因の1つだ。

 ただし、今回新たに投入するビジネスインクジェット機「HP Officejet Pro X」シリーズによって、こうした状況を大きく変えていけると岡氏は期待する。同氏は「現在HPは“Ink in the Office”というキーワードで、インクジェットをオフィスに広げていこうと世界的に力を入れているが、(国内で苦戦している)SMB/SOHOや部門プリンタといった分野でようやく戦える製品が出てきた」と述べ、ギネスが認定する世界最速の印刷速度を実現した「HP Officejet Pro X」と、印刷コストを引き下げる定額制の新サービスの2つを武器に、「一般的にオフィスプリンタはレーザーだと認識されているが、これをインクジェットで塗り替え、オフィスプリンタの常識を変えていく。日本で企業向けプリンタ事業を本格展開していくことを宣言する」と力強く語った。

og_hp_004.jpgog_hp_005.jpgプリンタの歴史をひもとくとHPがその技術をリードしてきた。現在も幅広い分野でHPのプリンタ技術が使われている

og_hp_006.jpgog_hp_007.jpg製品発表会には、IDC Japanの石田英次氏も登壇し、「ビジネスインクジェットは『レーザーの壁』を打ち破ることができるか?」と題して、国内ビジネスインクジェット(BIJ)市場の概況を説明した。同氏は、現在のビジネスプリンタ市場におけるインクジェットの影響力はまだそれほどないものの、ページボリュームにみる比率は成長基調にあり、今後“レーザーの壁”を打ち破っていくためには、ビジネスインクジェットに対する速度/品質の古いイメージなど、ユーザー意識を変えていくことが必要だと訴えた

シングルパスのプリントヘッドで世界最速を実現

og_hp_008.jpgHP Officejet Pro X開発責任者のブラッド・フリーマン氏

 HP Officejet Pro Xの技術的な説明は、開発責任者のブラッド・フリーマン氏が担当した。同製品最大の特徴である高速印刷は、4万2240個のノズルをラインで配置し、シングルパスで4色(YMCK)ページ幅印刷を行うプリントヘッドで実現している。プリントヘッドが左右に動く必要がなく、紙送りの速度で印刷できるのが利点だ。4万2240個というノズルは、初代「Thinkjet」のプリントヘッド(12ノズル、印刷速度毎分1枚)に比べれば3520倍にあたる。

 フリーマン氏はムーアの法則になぞらえて「HPのインクジェットプリントモジュールも同様に18カ月の2倍のパフォーマンスを達成している。ビジネスプリンティングにおいて、我々の目的は他社と競合することではなく、まったく革新的な製品を開発すること。そこで(HP Officejet Pro Xでは)世界最速の印刷速度とファーストプリント、消費電力、印刷コストで2倍、または半分という「2」の数字を目指した。また、耐水性や接続性、信頼性においても大きく改良した」と説明する。

og_hp_008b.jpgHPのインクジェットプリントモジュールもムーアの法則のようにパフォーマンスを向上してきたという

 高速印刷の実現には、膨大なデータ(1秒あたり10億ビットのデータがノズルに送られている)を処理する2つのデジタルASICや、新開発の顔料インクも貢献している。これまでの染料インクでは、紙の中にインクが浸透してしまい、にじみや裏写りの原因になっていたが、用紙の表面に素早くインク層を形成する顔料インクなら、シャープで鮮明な文字や豊かな色合いを表現でき、レーザートナー並みの黒の密度を実現できるという。同氏はインクの速乾性や耐久性を示すために、HP Officejet Pro Xで印刷された紙に水をふりかけ、文字がにじみにくい様子をアピールした。

 このほか、ビジネス向けプリンタとして、印刷品質を保つための自動ノズルテスト機構(BDDもユール)や、大容量のインクタンクシステム(黒9200枚/カラー6600枚)も目を引く。特に新しいインクシステムでは、印刷コストがモノクロ1.5円/枚、カラー7.5円/枚と、10万円前後のレーザープリンタと比較して40〜50%ほど低いという。

og_hp_009.jpgog_hp_010.jpgシングルパスでページ幅印刷を行う新開発のプリントヘッド(写真=左)。大容量の4色独立インクシステムはワンプッシュでカートリッジを着脱できる(写真=右)

og_hp_011.jpgog_hp_012.jpgフリーマン氏によるデモ。水をかけてもにじまないとアピール(写真=左)。実際に水をかけてみたが、確かににじみが少ないように見える(写真=右)

 なお、国内の販売に当たっては、HPが推奨する印刷枚数内であれば契約期間中のインクと本体保守が使い放題になる、定額パックサービスも提供する。インク残量が20%を切ると自動的にコールセンターへメールを発信して交換用インクが送られてくるため、メンテナンスの手間を省けるだけでなく、定額制であることから消耗品のコストをあらかじめ明確できるというメリットがある。定額パックはライト(年間12万6000円)と標準(年間22万500円)の2種類があり、それぞれ推奨月間印刷枚数が2000枚と4200枚。モノクロでもカラーでも同じ印刷コストになるため、カラー印刷を多用する人にお勧めという。

og_hp_013.jpgog_hp_014.jpg各ラインアップとサプライ品の価格

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有力大学の講義が無料? 教育市場を揺るがす「MOOC」の衝撃

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 学習管理のためのラーニングマネジメントシステム(LMS: Learning Management System)といえば、かつては概してユーザーに不人気で低迷していた。だが現在、LMSは大規模公開オンライン講座「MOOC(Massive Open Online Courses)」との競争に直面し、クラウドやソーシャル、モバイルといった技術によって全く新しいものへと作り変えられつつある(MOOCについては「タブレット授業利用のプロ3者が語る、『端末は生徒が購入』が理想な理由」も参照)。先頃開催された人事関連技術のカンファレンス「HR Technology Conference and Exposition」で、人事戦略と組織管理を専門とする米調査・コンサルティング会社Bersin by Deloitteのアナリストがそう語った。

「iPhone/iPadなら安全」は古い? 崩れる安全神話

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 米AppleのiOSプラットフォーム向けアプリケーションに幅広く存在する単純なコーディングの脆弱性を、2人のセキュリティ研究者が発見した。もし悪用が広がれば、ユーザーのアプリがアプリ開発者の提供する正規サーバではなく、不正なサーバに恒久的にリダイレクトされる恐れがある。

「HTTPリクエスト乗っ取り」の内容とは?

世間から必要とされない“ガラパゴス社員”になっていないか?

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ガラパゴス社員を欲しがる企業はない!

 かつて中堅システムインテグレーターでソリューション営業のリーダーを務めていたYNさんには、一生忘れられない苦い記憶がある。3年前、年収が半分以下になる危機に直面したのだ。

 当時、在籍していた会社で彼はエースだった。売り上げ面でもナンバーワン。クライアントの開拓も数多く手掛け、取引先からの評判も上々。「今なら自分を高く売れる!」と、ある種、浮かれ気分で転職を決意した。

 念のためにと、土日を使ってアドバイスを受けに行った転職相談の場で、転職コンサルタントから、恐ろしい現実を突きつけられたのだ。

 このままの状態で転職しても、年収は良くて今の3分の2、悪くすれば半分を切ってしまうと就職コンサルタントは断言した。「嘘でしょ?」。信じられなかったYNさんは、セカンドオピニオンとして別のコンサルタントを当たってみた。だが、結果は同じ。収入がアップするどころか維持することすら叶わないというのが現実だった。

 彼はコンサルタントを問い詰めた。自分に何が足りないのかと。そこで浮き彫りになったのが、彼の“ガラパゴス社員”ぶり。要は、自分の会社の役には立っているが、世間の常識から見ると、とてもではないがビジネスにおいて通用しない仕事ぶりだったのだ。

外で通用しない社内エリート

気が付けば自社でしか活躍できない“ガラパゴス社員”に……(写真はイメージ)気が付けば自社でしか活躍できない“ガラパゴス社員”に……(写真はイメージ)

 例えば、サービス残業。毎日何時間も残業し、土日も返上に働く。それは彼の売り物だった。転職コンサルタントは一刀両断。「それはマイナスにしかなりません」

 サービス残業が法令違反であるのはさることながら、残業が恒常化している会社で、「良く働く真面目なヤツ」という評価は、外の会社では、「ダラダラと時間を使ってやっと仕上げる、仕事の遅いヤツ」としか評価されない。

 あるいは、接待営業。足繁くクライアントに何度も通い、接待攻勢をかけ、中元歳暮を欠かさずに贈る……。そうして仕事を引き出す手法は、もはや、今の世の中では哄笑の対象。迷惑行為でしかない。結果、接待を受けることが好きな、これまたガラパゴス感覚の企業とだけ付き合うことになり、ますます浮き世離れしていく。

 精神論発想。気合い、やる気、夜討ち朝駆け。若い世代にはまったく意味が理解できないクエスチョンマークのオンパレード。具体的な提案やタクティクスを示せない上司に、若い社員が従うはずもない。強烈なショックを受けたYNさんは、一念発起。自分の価値=売値を高めることを心に決めた。会社が給料を支払ってくれているうちに、自己変革に取り組んだのだ。

人生再起動計画

 キーワードは“個のチカラ”を高め、価値を上げること。そのために、“新規開拓力を身に付けること”を自らに課した。これならどんな会社も欲しい能力だろうと考えたのだ。

 まず、新たな顧客管理システムを急ピッチで開発した。そして、飛び込み営業ではなく、セミナーを企画し、参加者を募り、セミナー参加者の中からニーズのありそうな企業に対し、個別にプレゼンテーションを行うというスタイルに変えた。つまり、数撃ちゃ当たるという手法から見込み客を炙り出す作戦に変えたのだ。

 用いたのはFAXDM(ファックス一斉送信サービス)の手法。徹底的にFAXDMのスキルとコピーライティング手法を学び、実験を繰り返しスキルを高めていった。システムプレゼンの手法も自分が売りたいモノを押し付けるやり方ではなく、見込み客の実情を徹底的に精査し、それにフィットする提案をするように変えていった。そうして約1年の間に、新規クライアントを7社も開拓し、大きな実績を上げた。当時彼が開発し送付したFAXDMはYN式セールスフォームとして今もこの会社で活用されている。

 そして、その実績を引っさげて再び転職活動した結果、現在のポジションである、大手ソフトウェア会社の営業管理職として好条件で転職できたのだ。

 彼は述懐する。「転職を考え始めた当時、僕は完全にガラパゴス化していました。外界の動きを全く知らない、ガラパゴス企業のガラパゴス管理職。取引相手もガラパゴス。狭い狭い世界の中でのお山の大将。その小さなコップの中で成績を競っていただけでした。会社も進歩という言葉とは無縁だし、安ければいいんだと言う会社としか付き合えません。そんな仕事しか取ってこられない営業なら、年収半分と言われても当然ですよね」

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企業を“モバイルレディ”に変える「Salesforce 1」、ベニオフ氏が発表

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photosalesforce.comのシンボルカラーである青一色に染まったモスコーニセンター

 朝晩の肌寒さを増しつつあるサンフランシスコ市内では、街を歩く人々もどこか足早に見える。そうした中、多くの人々が足を止めて見入っているのが“青一色”に染まったモスコーニセンターだ。米国時間の11月19日、今年で11回目となる米salesforce.comの年次カンファレンス「Dreamforce 2013」が幕を開けた。事前登録者数は昨年の9万人を大幅に上回る約13万人で「過去最大規模」(同社)という。

 モスコーニの北館と南館の間を通るハワードストリートは閉鎖され、巨大なパーティー会場が特設されている。ロックバンドによる演奏やスポーツカーの展示などが同時多発的に行われるお祭り騒ぎの中、初日の基調講演にトップバッターとして登場したのはもちろん、同社のマーク・ベニオフCEOだ。

企業を“モバイルレディ”に変える「Salesforce 1」とは

photo「Salesforce 1」を発表するベニオフ氏

 「われわれは常に顧客のことを考えている」——基調講演の中でベニオフ氏はこう切り出した。

 スマートデバイスやソーシャルメディアが普及した今、人々はこれらのツールを使って無数の情報をインターネット上に生み出すようになった。「企業から見ればスマートフォンなどのデバイスが情報を生み出しているように見えるかもしれないが、全てのデバイスの裏側には必ず顧客がいる。これはいわば“Internet of Customers”(顧客のインターネット)だ」(ベニオフ氏)

 人々が各種デバイスを使ってインターネットにつながることで、企業と顧客の関係性は変わりつつあるという。例えば、ベニオフ氏も愛用しているというPhilipsの最新歯ブラシは、位置情報をWi-Fi経由でネットに発信する機能を搭載。歯科医がモバイル端末で患者の“歯磨きデータ”を確認し、患者向けサービスに活用できるようになっているという。

 「この歯ブラシを使い始めて以来、かかりつけの歯科医で言われる言葉が『ちゃんと歯を磨いていますか?』から『ずいぶん長い間“ログイン”していませんでしたが、何かありましたか?』に変わった。こうしたサービス革命は今後、歯科医だけでなくあらゆる企業の製品・サービスに及ぶだろう」

 市場に出回るモバイル端末の数が50億を超えると言われる中、「非常にエキサイティングな時代だ」とベニオフ氏は強調する。とはいえ、全ての企業がすでにモバイル化の波に対応できているわけではない。同社の調べによれば、企業の約60%は顧客/従業員向けモバイルアプリの必要性を感じているが、実際にアプリをリリースできているのは30%程度にとどまっているという。

photo

 「多くの企業はモバイル端末をどう扱えばいいか分からず、大きな革命の波に乗り遅れてしまっている。この問題を解消し、アプリ開発者やパートナー企業、エンドユーザーなど全ての人々にモバイルの力を与えるのが『Salesforce 1』だ」(ベニオフ氏)

 Salesforce 1は、大きく分けて(1)salesforce.comの各種サービスと連携するモバイルアプリケーションの開発環境、(2)作成したモバイルサービスを企業内のユーザーが実際に使うためのアプリ(Android/iOS)——で構成される。

 (1)では、「Force.com」や「Heroku1」をはじめとするアプリケーション開発環境と、salesforce.comの各種クラウドサービスのモバイル向けAPI群を提供する。開発者は、Sales CloudのAPIを使ってモバイル向けCRMアプリを作成したり、Service CloudのAPIを活用してカスタマーサポートアプリを作ったりできる。さらに、Visualforceで開発したPC向けのユーザーインタフェースをわずかな手間でモバイルに対応させられるという。

 (2)は、作成したさまざまなモバイルアプリを実際にユーザーが利用できるようにするためのネイティブアプリだ。すでにDropboxやEvernote、LinkedInなどが同アプリ上でサービスを提供しており、今後はアプリ開発コミュニティーを拡充してサービスを増やす予定としている。

photo開発者やユーザーだけでなく、IT管理者にとってもモバイル端末上でSalesforceを管理できるようになるメリットがあるという

 先行ユーザーとして、すでにPhilipsやソニー・コンピュータエンタテインメントの欧州法人などがSalesforce 1を利用しているという。「Salesforce 1を使えば、既存のSalesforceサービスをモバイル向けに簡単に移行できるほか、新しいモバイルアプリも迅速に開発・展開できる。これは世界中で類を見ないモバイルプラットフォームだ」とベニオフ氏は話している。

photoSalesforce 1のアーキテクチャ

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「おせち事件、決して忘れない」――Groupon日本法人新CEOが誓う“おせちからの再出発”

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画像「夢のおせち」の5段重を持つ根本CEO(右)と、スペイン料理担当シェフのジョセップ・バラオナさん

 「おせち事件は決して忘れることができない」——デイリーディールサービス「グルーポン」(Groupon)を運営するグルーポン・ジャパンの根本啓(ねもと・さとる)CEOは11月21日に開いた会見で、2011年正月に起きた“おせち事件”の反省を繰り返し述べた。「新生グルーポンのスタートの年」と位置付けた2014年を目前に「改めておせちから考え直そう」と、5人の有名シェフが作った「夢のおせち」をプレゼントするキャンペーンを開始した。

 11年正月、Grouponで半額チケットを販売したおせち料理が見本と大きく異なったり、食材を偽装していたことが判明し、大きな騒動になった。今年8月に同社の社長に就任した根来氏は当時、アマゾンジャパンの社員だったが、「非常に注目された新しいサービスで事故が起きたことは残念に思っていた」と振り返り、「決してあってはならない、繰り返してはならないと感じていた」と話す。


画像“おせち事件”の経緯
画像改善した社内プロセス

 “おせち事件”以降同社は「さまざまな変革、改善を行ってきた」という。店舗や商品の審査基準は従来の30項目から200項目に増加。不当な二重価格表示や食材の偽装表示を防ぐため、通常価格や食材表記の根拠となる証明書の提示を求めたり、業種ごとの校正・編集チームを発足させるなどの取り組みを行ってきた。

 アフターケアにも注力し、クーポン掲載後の店舗ケア専門部隊を設立したほか、電話による問い合わせ窓口も設置し、メールは24時間以内で93%返信しているという。「信用を失うのは簡単だが、回復はすごく難しい。まだまだ改善の余地はあると考えている。正直にこつこつと、基本的な改善をしていく」と根本CEOは話す。

世界のアクティブユーザー4400万 4割以上がモバイルから

 “おせち事件”以降もGrouponはグローバルで成長を続け、世界48カ国で累計2億ユーザー(うちアクティブ4400万)が利用、これまでに50万以上のパートナーで、4億以上のディール(クーポン)を販売してきた。スマートフォンアプリは世界で累計6000万ダウンロードされており、購入の40%以上がモバイル経由という。

 2014年は「新生グルーポンのスタートの年」と位置付け、品ぞろえの強化やカスタマーエクスペリエンスの改善、スマートフォンアプリの改善などを進めていく。人気アーティストが結婚式や卒業式で歌ったり、プロ選手とスポーツの対戦ができるクーポンなどの販売も検討。「お客様が最初にチェックししたいと思ってもらえるサイト」を目指す。

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いま、ドコモが夢中になっている新技術

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ドコモ、Open Houseで1アンテナ4ストリーム公開実験などを紹介

 NTTドコモは、同社が現在進めている研究開発の成果を公開するOpen Houseを横須賀市のドコモR&Dセンターで11月21日から行っている。その展示内容の一部と同日発表になった「マルチバンド対応屋内基地局と屋内アンテナ」と「近距離通信を活用したコミュニケーション手段の開発」に関する説明とデモ、そして、11月13日に発表した「Smart Vertical MIMO」の公開実験を行った。

 NTTドコモ 取締役常務執行役員(CTO) 研究開発センター所長の尾上誠蔵氏は、ドコモが注力している研究開発の概要を説明した。ドコモでは研究開発分野のキーワードとして、新領域に拡大するサービスでは「クラウド」「ビッグデータ」を、モバイル関連技術の進化では「5G」「LTE/LTE-Advanced」「ウェアラブル」「ネットワーク仮想化」を挙げている。Open Houseでは、それぞれのキーワードに関連した展示を行っており、例えば、近距離通信コミュニティー手段はクラウド領域に関連する開発で、マルチバンド対応屋内基地局とアンテナ、そして、Smart Vertical MIMOはLTE/LTE-Advanced領域の研究開発の成果にあたる。

kn_dcmrd_01.jpgkn_dcmrd_02.jpgNTTドコモ 取締役常務執行役員(CTO) 研究開発センター所長の尾上誠蔵氏(写真=左)。NTTドコモの研究開発で現在重視しているキーワードと関係者に紹介した関連開発の内容(写真=右)

マルチバンドとキャリアアグリゲーション対応で屋内も効率的に

 マルチバンド対応屋内基地局と屋内アンテナは、スマートフォン普及に伴う屋内トラフィックの増加に対応するため、従来ワンバンド(2GHz帯)に加えて、1.7GHz帯と1.5GHz帯に対応する屋内向け基地局とアンテナを用意、さらに、キャリアアグリゲーションに対応することで、空いている1.5GHz帯を活用して伝送速度を向上できると説明している。アンテナ構成は、2×2のMIMOをサポートする。屋内基地局は、親機と子機を光ファイバーで結ぶ「ROF:Radio Over Fiber」形式で、親機と子機の距離は最大20キロ、1台の親機に接続できる子機の台数は最大で128台(集約装置8台×子機最大16台接続)になる。

 マルチバンド対応の屋内アンテナもキャリアアグリゲーションに対応したタイプで、サイズは150×150×40ミリ、重さは約320グラムと、従来の屋内アンテナよりサイズで20ミリ大きくなり、重さで約90グラム重くなるが、建築の法的基準では同じとみなすことができるとNTTドコモの担当者は説明している。取り付け金具の位置とサイズも従来アンテナと同じなので、そのまま取り外して取り付けるだけで交換できるという。

kn_dcmrd_03.jpgkn_dcmrd_04.jpgkn_dcmrd_05.jpg屋内基地局の構成例(写真=左)に、屋内基地局を構成する親機、集約装置、子機(写真=中央)。そして、マルチバンドに対応した屋内基地局アンテナ(写真=右)

デバイスだけでワイヤレスWANを構築できるか?

 近距離通信を活用したコミュニケーション手段の開発では、大規模災害や大規模イベントなどワイヤレスWANが機能しなくなったときに、携帯電話だけでネットワークを構築するために、近距離通信技術を使ったアドホックネットワークの構築と活用を主な目的として考えている。

 NTTドコモではネットワークインフラとして、無線LANアドホックや無線LAN Directの活用も考えたが、無線LANアドホックに既存の携帯電話やスマートフォンが対応していなかったり、無線LAN Directでは、近距離通信コミュニケーションで必要な「1対他」接続(マルチポプ)に対応したいないなどの問題があり、現時点では、通信速度に制約があって到達距離が短いBluetoothをネットワークインフラとして使うことを想定している。

kn_dcmrd_06.jpgkn_dcmrd_07.jpgkn_dcmrd_08.jpg大規模災害や大規模イベントなど、ワイヤレスWANが機能しなくなったときに(写真=左)、携帯電話だけでネットワークを構築するのが目的だ(写真=中央)。ネットワークインフラとしてはBluetoothが最も汎用的だった(写真=右)

 NTTドコモが考える最終目的では、大規模災害でワイヤレスWANの基地局などのインフラが損傷して使えなくなっても、近距離通信ネットワークが代替することだが、そのためには、大規模災害のときに使うのではなく、日常から利用してユーザーが自然と使えるように慣れておく必要があると認識している。このことから、日常でも近距離通信を使えるアプリや活用案などを紹介しているが、その1つが「まちあわせアプリ」だ。

 オンラインコミュニティーのオフ会や、ファンサイトなどのイベントで普段顔も知らない(でも、ハンドルネームは知っているみたいな)メンバーが集まるとき、待ち合わせアプリにキーワードを入力しておけば、お互いがBluetoothのサーチモードで検出したときにアラームとおおよその距離を示すことで、無事に集合できる、という機能を持つアプリをデモとあわせて紹介していた。

kn_dcmrd_11.jpgkn_dcmrd_09.jpgkn_dcmrd_10.jpgまちあわせアプリのデモ。Bluetoothはペアリングがいらないサーチモードで同じ合言葉を入力したデバイスを見つけたら本体のフォトランプが点灯して、相手の名前とおおよその距離を表示する

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Xbox OneをiFixitが解剖──PS4と同じCPUに巨大冷却ファン

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 スマートフォンやタブレットの分解リポートで人気の米iFixitは11月21日(現地時間)、米Microsoftの「Xbox One」を世界で最も早く発売されたニュージーランドで購入して分解し、リポートを公開した。

 xbox 1

 Xbox Oneは、11月15日に米国で発売されたソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の「プレイステーション 4」(PS4)と競合する“エンターテインメントセンター”。iFixitはPS4の分解リポートも公開している。

 ケースを開いてまず目につくのは巨大な冷却ファンだ。初代の「Xbox 360」は発熱による熱暴走トラブルがみられたが、これならトラブルを避けられそうだ。

 xbox 2手前右が冷却ファン、左はBlu-ray/DVDドライブ。ドライブはマザーボードにSATA直結

 HDDはSamsung Electronics製で、標準的な2.5インチのSATA IIドライブ。換装を公式に認めているSCEと異なり、自分でHDDを換装すると保証の対象外となってしまう。物理的には換装できそうだが、iFixiは「未フォーマットのHDDを認識するかどうかは不明」としている。

 xbox 3

 SoCを構成するCPUとGPUはPS4と同じAMD"Jaguar"8コアとAMDのRadeonベースのGPU。RAMとFlashメモリはSK Hynix製だ。

 xbox 4赤い囲みがSoC、オレンジがRAM、緑がNAND Flash
 xbox 5

 恒例の“修理しやすさ”の評価はPS4と同じ10点満点の8点。Xbox 360よりずっと分解しやすくなったという(初代Xbox 360の分解リポート時代にはまだ採点していなかった)。マイナスポイントは、ケースがネジではなくクリップでとめてあるので少し開けにくいことと、HDDへのアクセスが比較的難しく、換装が保証外であることとしている。

 Xbox Oneの日本での発売は来年で、具体的な日程と販売価格はまだ発表されていない。

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切手と世界人口から読み解く情報セキュリティのオキテ

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 今回は筆を休めるという程の事ではないが、最近筆者が気になったことについて、気楽に読める内容でお届けしたい。なお、以降はあくまで筆者の私見であることをお断りしておく。

大学の講演にて

 今年の夏に某大学で特別講演を行った。たしか「真夏の怪談:恐ろしい情報セキュリティ」とかいう題材だった思う。その講演を聴講した一人の学生がメールをくれた。はじめは情報セキュリティに関する素朴な質問についてだったが、ある時「地球環境の講義がありました。そこで世界人口が急増しているのです」というメールを送ってきた。

 その講義では地球の世界人口が以下のように変化したと説明されたらしい。

  • 1800年 10億人
  • 1900年 20億人
  • 1960年 30億人
  • 1974年 40億人
  • 1987年 50億人
  • 1999年 60億人
  • 2006年 65億人
  • 2011年 70億人

 彼はメールで、「この数字はすごいですよね。これについて、ほかの人がほとんど指摘していないことや気が付いたことがありますか」と質問してきた。

 そこで筆者は、同じ統計数字として40年以上も切手コレクターをしている友人を例に挙げた。友人がいうには、親戚のお土産でもらった「使用済み世界の切手50種」がきっかけになった。その後、だいたい10年で1000種、20年で3000種、30年で4000種、そして40年以上の現在では4500種も収集している。昔は種類を競っていたが、今では自分がほしいテーマの切手や珍品などを集めているので、種類の数はそれほど増えていないという。だが思い入れもあるので、処分するつもりはないらしい。

 学生が質問した世界人口と友人が集めた切手の種類は、どちらも「数」と「時間」の2次元の表で表すことができる。この2つの本質的な違いとはなんだろうか。筆者が学生に「どう考えるか?」と尋ねた。

 ところで、情報セキュリティには「アンテナを高くし、物事の裏、本質を常に考えて結論につなげる」という原則がある。これはセキュリティに限らないが、筆者が30年近くこの仕事に関わってきて痛切に感じていること。そういう意味もあって、学生に尋ねてみたのである。

 2日ほどして学生から回答が来た。しかもメールではなく、たまたま用事で上京したというので、彼と東京駅の喫茶店でお会いした。その答えは、一般的なものと筆者が期待したものとが混在していた。例えば、「時間軸と数量の単位が違いすぎる」「切手には上限があるが、人口には原則として上限がない(地球の質量を上回る人数とか、消費酸素量とかといった他律的な上限はあるが)」「数値のコントロールは、切手なら収集家の判断でできるが、人口はそうはいかない」「現在までの増加率の曲線の傾きが全く違う」などである。

 筆者の期待する答えからはまだ遠く、まあ35点といったところだと伝えた。すると、すかさず彼は、「萩原さんならどう答えますか」と聞いてきた。彼としては2日間まじめに考えてきたので、これ以上は降参ということなのだろう。

 筆者は彼に、「世界人口の数値をよく感じとってほしい。例えば、1900年に20億人だったが、2011年に70億人になった。ほとんどの人は、111年間で50億人も増加したと考えるだろう。それは事実だ。でも、その数字の捉え方は一面的ではないだろうか」と告げた。

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