Quantcast
Channel: ITmedia TOP STORIES 最新記事一覧
Viewing all 17593 articles
Browse latest View live

Fablabが目指すモノづくりの究極マシン「ファブリケータ」とは?

$
0
0

 Fablab(ファブラボ)はデジタル工作機械を備えた実験工房である。コンピュータと工作機械をつなげることで、食品・服・楽器などあらゆるものを、必要な人が直接作ることにするための施設だ。「Fab」には、「Fabrication」(モノづくり)と「Fabulous」(楽しい・愉快な)の2つの単語が掛けられている。

 Fablabはマサチューセッツ工科大学(MIT)教授でビット・アンド・アトムズ・センター所長のガーシェンフェルド氏の講座「(ほぼ)何でも作る方法」から生まれ、現在は世界50カ国200カ所以上にある市民工房ネットワークだ。市民による自由なモノづくり活動(パーソナルファブリケーション)を振興している。互いにモノづくりプロジェクトの成果をやりとりしている。

 例えば、インドのFablabでは太陽光で調理するマシンが作られていたり、日本のFablabでは革職人がデジタル工作機械に職人芸を応用してスリッパを作ったりしている。そのスリッパの作り方はケニアのFablabにネットワークで共有されて現地でアレンジされ、オバマ大統領の祖母に手渡されるということもあったようだ。

 Fablabでは作り手と使い手が一体になったこと、作り方が共有されて各人が進化させるようにしていることで、これまでのモノづくりとは異なるイノベーションが起こりつつある。僕はその流れにひかれ、「Fablabから今何が起こっているのかが見たい」と思って、世界中から世界のFablab運営者(Fablabマスター)が集まる「第9回 世界Fablab代表者会議(Fab9)」訪れた。

Fab9とは何か

 「Fablab代表者会議」はこれまでインド、ペルーなど毎年違う国で開催されてきた。「Fab9」と呼ばれる今回が9回目で、日本での開催となった。2013年8月21〜27日の7日間、横浜市中区内のヨコハマ創造都市センター(YCC)、北仲BRICKなどの施設で開催された。世界39カ国から250人のFablabを運営するFablabマスターが集まった。

 文化的、経済的な状況の異なる各地のFablabでは、さまざまなモノづくりプロジェクトが展開されている。それらの情報が共有され、学び合い、さらに頻繁に行われるワークショップや会期中開放されているモノづくりスペースで、何かを作り続けるイベントがFab9だ。

 会期中横浜の一角は、同窓会のような強化合宿のような文化祭のような……、熱狂とエネルギーで満ちていた。

Fablabからのメッセージ、アイデアを世界に発信——国際シンポジウム

 Fab9の集大成として、2013年8月26日に国際シンポジウムが行われ、ムーブメント全体の紹介や、Fablabネットワークが起こしつつある成果が発表された。

Fablabが目指す「モノづくりの究極形態」とは

 Fablabの生みの親であるガーシェンフェルド氏は、まずFablabが目指す「技術」や「組織運営・モノづくりのやり方」について紹介した。

yk_fab9tks_001.jpgデジタル革命について語るニール・ガーシェンフェルド氏

 まず解説したのは、Fablabが取り組んでいるデジタルファブリケーションという「技術」についてだ。

 アナログで情報を伝えていた時代では、距離が離れると信号が減衰し、コピーすると劣化していた。デジタルの時代になって、情報の完全なコピーが可能になった。工作機械をデジタル(コンピュータ)で操作することにより、「モノづくりの方法」(情報)もコピーし、改変していくことが可能になった。これにより「もの」がインターネット上のデジタルなデータのように蓄積され、共有され、改変されるようになった。これがデジタルファブリケーションである。

 現在ではまだ、コンピュータを使って3Dプリンタ、ミシン、旋盤、食品加工機械などの工作機械を個別に動かして部品加工し、その後は部品を組み立てて完成品にしているが、デジタルファブリケーションの究極の目標は、食料品でも精密機械でも、1つのマシンから完成品が自動で出てくる「あらゆるものが作れるマシン」(ファブリケータ)だ。

 「最終的には分子や原子を直接制御することで、この世に存在するあらゆる“もの”を作れるようにすることを目指している」とガーシェンフェルド氏は語った。

 今の3Dプリンタや工作機械でできることから考えると、「あらゆるものが作れるマシン」(ファブリケータ)は、僕にはまるで「ドラえもんの道具」のように思える、技術的にすごく遠い目標だ。だが、Fablabの最初からその遠い目標を掲げることで、これから紹介する各地のFablabのアウトプットが、いわばSF的なスケールを生んでいることも事実である。

Fablabのモノづくり進化論

 ガーシェンフェルド氏のプレゼンは技術の話に続いて、Fablabの「組織運営・モノづくりのやり方」に続く。

 Fablabは多様性をもったさまざまな人が、自分の情報を共有し合うことで、最終的に大きな問題を解決することを志向している。情報がお互い共有されることで、アイデアは出し手を離れて成長していく。

 かつて大型コンピュータを限られた人(一部の専門家)だけで扱っていた時代と比べると、コンピュータが安価になり、それを使う人がどんどん増えている現在では「コンピュータを使ったアイデア」の創出はますます加速している。

 例えばインターネットは、コンピュータが「個人では持てないが、大学のいろいろな研究室には入る」ぐらいの段階で生まれた。手段が民主化され、使い手の数が増えれば、さまざまな人がアイデアを出し合うようになり、さらに面白いアイデアが共有され、その結果、さまざまな発明が生まれる。

 ちょうど今の工作機械のレベルは、インターネットが発明された当時のコンピュータに近い。そのうち、工作機械もパーソナルコンピュータのようなレベルになり、やがてスマートフォンのようなレベルになるだろう。

 Fablabはコンピュータが起こしたイノベーションと同じことを、モノづくりで起こすことを目指している。工作機械がどんどんパーソナルなものになり、個人個人が自分の作りたいもの、自分の解決したい問題に取り組んでいくことで、1つの考えだけで制御されがちな大きな組織では解決できない問題の答えを出していく。

“中心のないネットワーク”と多様性

 Fablabは“中心のないネットワーク”で、多くのFablabがそれぞれのテーマに取り組み、その知識がシェアされることで問題を解決している。現在は世界中で250カ所にFablabがあり、1年半ごとに倍増している状況だ。

 より多様性を増していくために、もっと多くのFablabを作っていく支援システムもさまざまな国で整備されつつある。アメリカなど幾つかの国では、国を挙げてFablabの設立を支援している。

 「そのうち、Fablabが“どこにでも存在”し、そこで本当に“何でも作れる”ようになるだろう。そうなると、どのように世界が変わるのか想像してみてほしい」と触れて、ガーシェンフェルド氏のプレゼンは終了した。

 この「世界各地にFablabを作り、多様性で問題を解決する」という話は、既に現実になりつつある。今回Fab9の実行委員長となっていた慶應義塾大学環境情報学部准教授の田中浩也氏も「WebからFabへ」という言葉で、Fabの多様性の爆発をインターネットになぞらえている。

 カンファレンスではその後、まさに「多様」な幾つものプロジェクトが発表された。

      1|2次のページへ

Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


やっと届いた手書きタブレット「enchantMOON」、実際のところどうなの?

$
0
0

 “手書き”にフォーカスした、一風変わったタブレット「enchantMOON」。注文が殺到したことなどから出荷が遅れていたが、8月にやっと手元へ届いた。発売前から話題を呼び、発売後にはやや辛口な評価の飛び交うこの端末。では、実際のところどうなのか? その使用感について、短い間ながら使ってみた感想を紹介したい。

2つの用途を持つハンドル

 enchantMOONといえば、ペン入力によって行えるプログラミング機能が特徴的。しかし残念ながら、私は技術者ではない。そのため、あくまで一般ユーザーの目線からのレビューとなることを、事前に添えておく。

shk_en01.jpg

 まず、見た目。ほぼ全てのタブレット端末が「一枚板」なのに対し、enchantMOONには“ハンドル”が付いている。このハンドルは持ち運ぶためだけでなく、本体背部へそのまま倒すことが可能。倒した状態ならば、タブレットを斜めに置けるという代物だ。

 確かにタブレットは、置いて操作する際に斜め置きが使いやすい。他タブレット用に発売されているケースにも、iPadのSmart Coverに代表されるように、この“斜め置き”ができるものが多く、人気だ。

 ただ、正直に言ってこのハンドル、かばんなどに入れて持ち運ぶうえでは少々邪魔になる。ハンドルのほうがタブレット本体よりも厚さがあるのだ。ハンドルは「持つ」「斜めに置く」以外に使い道がないので、せめて着脱できるとありがたい……というのが正直なところだ。

イラスト主体の説明書

 本体に同梱されている、1冊の説明書。文字ばかりだと思って開いてみると、その中身はイラストが主体になっていた。クマがenchantMOONを手に入れ、その使い方を月(ムーン)が説明している。

 「おお、これは良い! 文字ばかりだと読む気にならないし」——最初はそう思っていたが、残念。いまいち何を説明しているのかが分からず、結局ほとんどは実際に操作をしながら覚えた。

shk_em02.jpg

 ただしenchantMOONには、操作に欠かせない「コマンド」がある。こればかりは、直感でどうにかなるものではない。説明書にはコマンドが一覧で記載されているので、コマンド利用の際には、覚えるまで重宝するだろう。


shk_em03a.jpgshk_em03b.jpgコマンドは慣れると面白い。例えば「camera」と書き込み、その文字を指タッチで囲むと……

 例えばコマンドで「camera」と書き込み、その文字を指タッチで囲むと、カメラが起動して撮影できる。しかも画面に表示され、撮影できるのは指で囲んだ枠内のみ。丸でも三角でも星形でも、好きな形で写真が撮影できる。ただし一般的な四角い写真を撮影したい場合には、むしろマイナスポイントかもしれない。

 カメラはフロントカメラとトップカメラの2つ。フロントカメラは他のタブレットにも付いている場合が多いが、enchantMOONのトップカメラは背面ではなく、本体の上部分(ハンドルと本体の間)にあるのが独創的だ。

      1|2次のページへ

Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Facebookコメント

'); document.write(''); document.write(''); }; })(); //-->

“廉価版”iPhone 5cが「7万円」──「高過ぎ!」と驚愕する中国人

$
0
0

 新iPhoneが発表された。そのうちiPhone 5cは中国など新興国向けの安価なモデルだという。ところが中国でも発表されるや、その評判はあまりよろしくないものとなっている。中国人にとってそれはちっとも安くなかったのだ。

photoAppleの中国のサイト
photoiPhone 5sを買うか、iPhone 5cを買うかというアンケート。5s、5c、どちらも買わないという回答が6割弱に

 その前にまずグラフで見る中国人の反応を紹介したい。iPhone 5sとiPhone 5cについては「ワクワク感がなくなった」とも評されている。ポータルサイトはこぞってiPhone新製品発表の詳報を特集ページで掲載した。そのうちの「新浪」(Sina)は読者アンケートを実施、「iPhone 5sか5cを買いたいか?」という質問に「どちらも選ばない」が最も多く57.8%、「iPhone 5s」は38.2%となり、「iPhone 5c」は僅か3.9%という結果に。「iPhone 5cをどう思うか」という質問には「高すぎる」という回答が85.9%に達した。

 iPhoneが正式に中国で発売される前、つまりもっと本体価格が高く、人々の所得が低かった時の「iPhoneを買いたいか?」というアンケートでは、「買いたい」と回答したのが61.8%、「様子見」が19.9%、「買わない」が18.3%。多くの人がiPhoneに「ワクワク感があった」が、5sと5cには「ワクワクさせる変化が少ない」と口をそろえている状況だ。

photophotoiPhone 4S発表時のアンケート。この時点で「不満、買いたくない」という意見が6割を超える

 さて値段である。iPhone 5cはアメリカでは2年契約で99ドル、つまり1万円を切る価格であり、これなら中国をはじめ新興国の人々でも買えることができると思った人もいるだろう。2年契約なしでも549ドル(3360元)である。ところが中国で発表された価格は縛りなしとはいえ4488元だ。1元は16円であり、日本円では7万円を超える計算だ。

 さすがにこれは値段が違いすぎる。中国には「マカー」に相当する「果粉」なるマックファンを呼ぶ言葉があるほどで、Apple恒例の新製品発表を多くの人が心待ちにしていた。果粉でなくとも外国の価格と中国の価格の差にはナーバスな人が多いため、何より高過ぎることにメディアも個人も「中国市場のことを大事に思っていない」という内容が飛び交った。

photo中国メディアがまとめたiPhone 5sとiPhone 5cの国別価格差
      1|2|3次のページへ

Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

写真で見る「iPhone 5c」

$
0
0

 「iPhone 5s」と同時に発表されたもう1つの新モデル「iPhone 5c」は、iPhone 5の機能をベースに、カラフルな5色を採用しており、よりカジュアルにiPhoneを使える。なお、5cの「c」は文字どおり「colorful」を意味する。

photophoto5色をラインアップした「iPhone 5c」
photophotophoto「iPhone 5c」のブルー

 外装のプラスチック素材にはポリカーボネートを用いており、この外装に、アンテナの役割も果たすというスチールの強化フレームをレーザーで溶接している。表面にはハードコーティングを施していることもあり、高い質感を得られる。また、iPhone 5cには塗装を施していない。つまりブルーのボディの場合、もともとブルーの素材を使っているので、端末を傷付けたりしても、塗装が剥げ落ちることもない。各カラーは背面から側面にかけて色が付いているが、パーツの切れ目が一切なく、シームレスなボディを形成していて美しい。iPhone 5sより価格が安いことや、ボディにプラスチックを用いていることから「廉価版」と評されることの多いiPhone 5cだが、デザインや質感からは「単なる廉価版とは違う」と感じた。

photophotophoto外側のポリカーボネートにスチールの強化フレームを溶接している

 iPhone 5cでは側面の角が削がれているのも特徴だ。iPhone 5や5sの側面は角張っているので手に当たるのが気になるが、5cは手に優しい。一方で強化フレームやラウンドフォルムを用いたことが影響してか、本体の幅はiPhone 5/5sの58.6ミリから59.2ミリに、重さはiPhone 5/5sの112グラムから132グラムに増している。それでも幅50ミリ台なら十分細いだろうし、重さもiPhone 4S(140グラム)よりは軽くなっている。

photophotoホワイト(写真=左)とピンク(写真=右)
photophotoiPhone 5と比較
photophoto角がしっかりと削がれているので持ちやすい
photophoto
photophoto電源キー、イヤフォンジャック、スピーカー、マナーキー、ボリュームキー、SIMスロットなどの位置はiPhone 5sと同じだ
photophotoおなじみのホームボタン(写真=左)。800万画素カメラとフォトライト。iPhone 5sのTrue Toneフラッシュは搭載していない(写真=右)
photophotophoto画面も含めてコーディネートできるよう、iPhone 5cの本体色に合った壁紙をプリセットしている
photo

 Apple純正のケースには、シリコンで作られた6色を用意。カメラやスピーカー部分がくり貫かれているのはもちろん、背面にはデザイン上の措置で7×5個の穴を開けており、iPhone 5c本体とケースのカラーで計30パターンの組み合わせを楽しめる。本体を光沢、ケースをマットにすることで、質感のコントラストを楽しめることも狙ったという。ケースにはアップルロゴも刻印されていて美しいが、ケースを装着すると、5c本体の「iPhone」ロゴが隠れてしまい、「hon」しか表示されないのは少々残念。

photophotoケースもカラフルなものを用意した(写真=左)。装着すると、背面の「iPhone」ロゴは中途半端に隠れてしまう(写真=右)

 A6チップ、4インチ(640×1136ピクセル)Retinaディスプレイ、5枚構成レンズの8メガピクセルカメラなど、ハードウェア性能はiPhone 5とほぼ同じ。ただしLTEネットワークはiPhone 5sと同様に、利用できるバンドがiPhone 5よりも拡大しており、KDDIがメインバンドとして使用している800MHz帯をサポートしている。5sのA7チップ、指紋センサー、True Toneフラッシュなどは搭載しない。

iPhone 5s/5c/5の主なスペック
iPhone 5siPhone 5ciPhone 5
サイズ58.6×123.8×7.6ミリ59.2×124.4×8.97ミリ58.6×123.8×7.6ミリ
重さ112グラム132グラム112グラム
容量16、32、64Gバイト16、32Gバイト16、32、64Gバイト
ボディカラーシルバー、スペースグレイ、ゴールドホワイト、ピンク、イエロー、ブルー、グリーンブラック、ホワイト
チップ64ビットアーキテクチャ搭載A7チップA6チップA6チップ
ディスプレイ4インチ、640×1136ピクセルRetinaディスプレイ4インチ、640×1136ピクセルRetinaディスプレイ4インチ、640×1136ピクセルRetinaディスプレイ
Touch ID
アウトカメラ8メガピクセル裏面照射型CMOSセンサー(1画素あたり1.5ミクロン)
F2.2
True Toneフラッシュ
バーストモード
8メガピクセル裏面照射型CMOSセンサー
F2.4
8メガピクセル裏面照射型CMOSセンサー
F2.4
インカメラ1.2メガピクセル裏面照射型CMOSセンサー1.2メガピクセル裏面照射型CMOSセンサー1.2メガピクセル裏面照射型CMOSセンサー
バッテリー駆動時間3G通話時間:最大10時間
インターネット利用:LTE最大10時間、3G最大8時間、Wi-Fi最大10時間
連続待受時間:最大250時間
3G通話時間:最大10時間
インターネット利用:LTE最大10時間、3G最大8時間、Wi-Fi最大10時間
連続待受時間:最大250時間
3G通話時間:最大8時間
インターネット利用:LTE・3G最大8時間、Wi-Fi最大10時間
連続待受時間:最大225時間

Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

パズドラが異なるOS間のデータ引き継ぎ機能を9月中に実装予定 機種変しても安心!

$
0
0

 ガンホー・オンライン・エンターテイメントは、人気スマホアプリ「パズル&ドラゴンズ」のゲームデータについて、異なるOSで引き継げる機能を9月中に実装すると発表した。

画像お知らせ

 iOS←→Android、Android←→Kindle、iOS←→Kindleなど、OSが異なるスマートフォン間でゲームデータを引き継げるようになる。これまでは仮に、AndroidスマホからiPhoneに機種変更した場合、ゲームデータを引き継げなかった。

画像

Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Facebookコメント

'); document.write(''); document.write(''); }; })(); //-->

注目のアイコン

注目のアイコン

プログラムで動く時代から自立的に認知する時代へ── IT革新がビジネスにもたらす新たな価値

$
0
0

 日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は9月10日、「変化するビジネス、進化するテクノロジー、CIOのチャレンジ」をテーマに「IT Leaders' Vision 2013」を開催。米IBM Corporation ディレクター クラウド・イノベーション・テクノロジー担当で、IBMトーマス・J・ワトソン研究所のダニエル M. ディアス氏が、「先進テクノロジーがビジネスとITにもたらす革新」と題した講演を行った。

未来を追い続けるIBM研究所

 「本日は、2つのテクノロジーについて話をする。未来を形成する2つの新しいテクノロジーについてである。1つは“オープン・クラウド・コンピューティングとソフトウェア定義型環境(Software Defined Environment:SDE)”であり、もう1つは“Cognitive Computing(認識するコンピューティング)とアプリケーション”である」(ディアス氏)

daniel290.jpgIBMトーマス・J・ワトソン研究所のダニエル M. ディアス氏

 ディアス氏が所属するIBM研究所は、全世界11カ所に設置され、3000人を超える研究者が、先進技術を適用することで、企業が直面する課題を解決し新しいイノベーションに導くための研究を行っている。日本の研究所である「東京基礎研究所(IBM Research - Tokyo)」は、1982年にアジア地域で初のIBM基礎研究所として設立されている。

 「IBM研究所では、IT分野における新たなテクノロジーを輩出してきた。例えばスーパーコンピュータプロジェクトのBlue Gene、質問応答システムのWatsonなど。過去20年で最多の特許を取得しており、5人の研究者がノーベル賞を受賞したほか、多くの研究者が国家技術賞を受賞したり、発明殿堂入りしている」(ディアス氏)。

 こうしたIBMの研究開発は、常に顧客指向で行われてきたという。「先進の技術開発は、先進の業界をリードする皆さまの声が重要になる」とディアス氏は話している。

テクノロジーの大きなうねり

 現在、主要なテクノロジーは、4つめの波を迎えている。1つめの波はメインフレームによるバックオフィスコンピューティングであり、2つめの波はPCによるクライアント/サーバ、3つめの波はWorld Wide Webによるe-ビジネスである。そして現在、ソーシャル、モバイル、クラウド、ビッグデータ/アナリティクスによる4つめの波を迎えている。

 ディアス氏は、「このテクノロジーの大きなうねりは、メインフレームやPCを中心とした“プログラムにより動くシステムの時代”から、インターネットやソーシャル、モバイル、クラウド、ビッグデータ/アナリティクスによる“自立的に認識するコンピュータの時代”に移り変わっていることを意味する」と言う。

 自立的に認識するコンピュータの時代において重要になるのがオープン・クラウド・コンピューティングである。「クラウドには、3つのバージョンがある」とディアス氏。クラウド1.0ではコスト削減が注目され、クラウド2.0ではプラットフォームの最適化が主眼となった。そしてクラウド3.0にあたるのがソフトウェア定義型環境である。

 ディアス氏は、「ソフトウェア定義型環境によるクラウド環境は、ビジネスへの機敏な対応と継続的な可用性を実現するSystems of Engagementと企業の効率性と継続性を実現するSystems of Recordを両立する新しいアーキテクチャである。データの一貫性を保ちながらスマートなデバイスとアセットを利用可能にする」と話している。

IBMが取り組むCognitive Computingの世界

 IBMが取り組むCognitive Computingの分野の1つが質問応答システムであるWatsonだ。Watsonは米国時間の2011年2月16日、米国の人気クイズ番組「Jeopardy!(ジョパディ!)」において最高金額を獲得したことで、その名を広く世に知らしめた。Watsonについてディアス氏は、次のように語る。

 「Watsonは、IBMが開発した新しいテクノロジーである。人間の問いあわせに対し、どうすれば正確な回答を短時間で導き出すことができるか、次に求められるものをいかに類推するかを具現化するものだ。現在、Watsonで培ったテクノロジーを、どのような分野に応用できるかを研究開発する段階に入っている」(ディアス氏)

 Watsonの本質は、紙の文書や画像、音声、ビデオのような一般的なリレーショナルデータベース(RDB)では管理できない「非構造データ」と、RDBに格納され、厳密に管理されている「構造化データ」という、まさに対極にある2種類のデータを通じて、効率的な意思決定を支援することにある。

 非構造データは、表面的な理解のみで精度には限界があるが多くのデータを網羅できる。一方構造化データは、意味する内容が明らかであるが柔軟性に欠け、作成コストが高く網羅性も限定的である。Watsonは2つのデータのいいとこ取りにより、理解の深化や精度の向上、タイムリーな網羅性、知識作成コストの削減を実現している。

Watsonを医療分野やコールセンターに適用

 Watsonをクイズ番組以外の分野に適用するためには理解、対話、説明づけ、学習の4つの段階がある。例えば「答えが一意に定まる質問」を理解し、「質問を入力して答えを出力」する対話を行い、「正確な答えと確信度の推定」を説明づけして、「バッチ処理による学習」を繰り返す。

 ディアス氏は、「医者が患者を診断する場合、状態や経過などの一連の情報から患者を理解することが1つめのシナリオ。2つめのシナリオは、インタラクティブな対話により病名という解答を得て、3つめのシナリオで根拠をもとに病名の説明づけを行う。さらに4つめのシナリオでは、継続的な訓練や学習プロセスにより専門知識を高めていく」と語る。

 またインドのIBM研究所では、Watsonをコールセンター業務に適用するプロトタイプも開発されている。ディアス氏は、「コールセンターの担当者が、顧客からの問い合わせに対応する場合、履歴データから自動的に類似する問い合わせの解答を見つけ出すことで、顧客との対話を支援することができる」と話している。

ITシステムは認知するコンピューティングの時代へ

 今後のITシステムの進化についてディアス氏は、次のように語る。「Watsonの威力を発揮できる領域は数多くある。現在、IBM研究所が行っている実験的なリサーチが、“Cognitive Computing”をいかに活用していくかという領域である」と語る。

 Cognitive Computingを活用することで、ITシステムはシステム構成や最適化、問題解決のための複雑なタスクを自動化することができる。またテクニカルサポート/サービスでは、ローカルおよびリモートのサポート要員に、マルチサイロの専門知識と積極的な問題回避タスクを提供できる。さらにITデリバリーでは、環境の変化によるリスクを軽減し、複雑なプロセスと自動化から生じる問題を迅速に解決することが可能になる。

 講演の最後にディアス氏は、「Watsonのテクノロジーを適用することで複雑なプロセスを自動化し、情報を収集して、適切な診断に生かしていく。さらにシステムで今何が起きているのかを把握し、原因を特定して解決策を自動的に発見する世界を切り開いていく。どうすれば人間が究極の想像力を発揮できるのか、そのためにCognitive Computingがどのように貢献できるのかを見きわめていくことが今後のビジョンになる」と話し講演を終えた。

Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

Dellの株式非公開化、臨時株主総会で承認

$
0
0

 米Dellは9月12日(現地時間)、創業者のマイケル・デル会長兼CEOによる同社の買収・非公開化が、同日開催の臨時株主総会で承認されたと発表した。手続きは同社の第3四半期末(10月末)までに完了する見込み。

 同社は2月、デル氏と米投資ファンドのSilver Lakeが率いる企業グループが同社を買収し、非公開化することで合意に達したと発表した。当時、買収総額は244億ドルとしていたが、その後、“物言う株主”カール・アイカーン氏などの反対にあい、買収総額を249億ドルに引き上げていた。

 株式の非公開化により、迅速な意思決定や長期的な開発戦略を可能にするねらい。デル氏は発表文で、「DellをスケーラブルなエンドツーエンドのITソリューションのプロバイダーとして再構築する取り組みを継続する」と語った。同社は近年、企業買収でクラウドコンピューティング事業を強化するなど、PCメーカーからの転身を図っている。

 1984年創業の同社は、かつてはPC市場で米Hewlett-Packard(HP)と首位を争っていたが、米調査会社IDCの直近の発表では、中国Lenovo、HPに次ぐ3位。出荷台数は期ごとに減少している。

Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

KDDI、LTEスマホとタブレットで通信容量を分け合う「データシェア」を2014年春に開始

$
0
0

 KDDIは9月13日、4G LTE対応スマートフォンとタブレットの月間データ容量をシェアして月額料金を抑える「データシェア」サービスを、2014年春から提供すると発表した。それに先がけ、9月20日から「先取り!データシェアキャンペーン」を始める。

 データシェアは、スマートフォンで月間7Gバイト、タブレットで月間2Gバイトの合計9Gバイト分のデータ容量を両端末でシェアすることで、タブレットを月額2992円で利用できるサービス。月間データ容量のシェアはサービスの開始以降に利用できる。申し込み条件などの詳細は、サービス開始前にあらためて告知する。

 先取り!データシェアキャンペーンは、auのLTEスマホとタブレットを2台持ちするユーザーが対象の割引。4G LTE対応タブレットを新規契約もしくは機種変更で購入し、対象のパケット定額プランと「スマホセット割」に申し込むと、最大2年間、タブレットの月額使用料が1050円になる。なお2014年5月末までは、タブレットの月間データ容量が7Gバイトまで利用できる。

photoキャンペーンの割引内容

 対象のパケット定額プランは「LTEフラット for Tab cp」「LTEフラット for Tab(i) cp」で、10月以降はPC向けの「LTEフラット for DATA(m)cp」も追加する。スマホセット割を申し込む場合は、スマホとタブレットの契約が同一名義で、スマホの料金プランが「4G LTEスマートフォン(LTEフラット加入)であることが必要。

 なおキャンペーンは、データシェアの受付開始後にデータシェアに申し込まないと、2014年6月以降に割引が終了する。

Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


標的型サイバー攻撃は日本が突出して多い――FireEyeが新たな対抗策

$
0
0
fireeye001.jpg製品担当シニアバイスプレジデントのマニッシュ・グプタ氏

 標的型サイバー攻撃対策ベンダーの米FireEyeは、9月からユーザー企業向けの新サービス「Oculus」と脅威解析アプライアンスの新製品「NX 10000」の提供を始めた。ユーザー企業における高度な標的型サイバー攻撃(以下、APT)の状況と新施策の狙いについて、製品担当シニアバイスプレジデントのマニッシュ・グプタ氏に聞いた。

 同社は約1000社の企業ユーザーを抱える。APTに関連するマルウェアの検知数は、2013年は8月末までの時点で既に2300万件に達する。平均すると約2社に1社の割合(45%)でAPTが見つかっているが、日本は68%にも上り、世界平均に比べて突出して多い状況だという。

 「自動車産業や重工業、金融、政府機関を中心に、日本は知的財産が非常に多くの知的財産を保有していることから、APTを仕掛けるサイバー攻撃者にとって魅力的なターゲットになっていると思われる」(グプタ氏)

 一般的にATPに分類されるサイバー攻撃の活動(キャンペーン)は、特定の業界あるいは企業群、もしくはごく少数の企業を標的として、さまざまな機密情報を搾取するために、長期間にわたって展開されることが多い。同社が把握し、継続的に監視しているAPTのキャンペーンは160あり、このうち6つのキャンペーンが日本で頻発していることも分かった。

 グプタ氏によると、新施策はこうしたAPTに晒されているユーザー企業の保護をさらに強化する目的で提供するという。

 Oculusは、脅威解析アプライアンスとアプライアンスで解析された脅威情報を1時間ごとに収集し、世界中のユーザー企業に配信するデータベース「Dynamic Threat Intelligence」を基盤に提供する。この基盤で世界中のAPTキャンペーンを継続的に監視し、24時間体制のサポートサービスやAPTによる攻撃を受けた企業への詳細なレポートの提供などを行っていく。APTでは特に、企業の経営者や取締役が利用するコンピュータが狙われることから、彼らのコンピュータを集中的に監視する「E-Suite Protection」サービスも提供する。

 「ユーザー企業へのサポートでは発見されたAPTが自社だけのものか、自社の属する業界ではどのような状況なのかといったことを客観的に把握できる情報を提供していく」(同氏)という。

 NX 10000は、特にWebを攻撃経路とする脅威解析能力を従来の4倍に高め、最大4Gbpsもしくは4万ユーザーの通信を解析して、APTによる攻撃を検知できるようにした。

 同社の日本法人「ファイア・アイ」は2012年2月に設立され、現在はIT系を中心にユーザー企業が増えているという。「日本の人員増強も進めており、サポートを強化していく。特にE-Suite Protectionはカスタマイズが必要になることからも、日本のユーザー企業に適した形で提供できるようにしたい」とグプタ氏。

 9月12日には、ラック代表取締役社長やS&Jコンサル ティング代表取締役社長、政府CIO補佐官などを務めた三輪信雄氏のファイア・アイ最高技術責任者就任も発表された。

関連キーワード

FireEye | スピア型攻撃 | APT攻撃


Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

「iPhone 5c/iPhone 5s」の“魔法”――林信行の1stインプレッション

$
0
0

ウワサに汚染された新製品発表

og_iphone1st_001.jpg「iPhone 5s」と「iPhone 5c」

 今回のiPhone 5ciPhone 5sの発表会は少し残念だった。実際の発表内容にきちんと耳を傾けたり、いっそまったく事前情報に触れずいきなり発表会を見れば、かなり印象が変わっていただろうが、製品の発表前に情報が漏れ過ぎていた。

 インターネットでは流出したパーツなどをネタにして、製品についてのさまざまなウワサ話を濫造していた。確かにそうしたウワサの中には製品の名称や搭載CPUの名前、カラーバリエーションなど正しい情報もあったが、そのことがかえって混乱を招いた。

 筆者は製品の発表日に3つのテレビ番組と3つのラジオ番組に出演したが、その打ち合わせの度に支障を来したのがこのウワサ情報で、メディアの方々の中にも時間に追われながら準備をする中で搭載フラッシュメモリの容量やNFC搭載など、虚実の区別がつかなくなっている人もいた。

 特に驚いたのが、出演した番組でほとんどすべての人が口を示し合わせたように「廉価版のiPhone 5c」という、ネットで出回っていた共通の安易な表現を用いていたことだ。

 確かに価格が手ごろになったというのは事実だが、実際にiPhone 5cを手に握り、その表面のひややかな質感や剛性の高さを感じ、電源を入れて軽快な動作を試した人なら、決してこの製品をそんな安っぽい言葉では表現しないはずだ。

 事実、iPhone 5cは、ある意味でiPhone 5を進化させた上位機種と言える側面もある。機能や性能はiPhone 5とほぼ同等だが、その上でカメラの画質を向上させ、バッテリーの動作時間も向上し、そのうえでカラーバリエーションを増やし、大幅に値段を下げている。

 決して製品の質を落として顧客の数を稼ぐための廉価ブランドではなく、むしろ、これまで以上の価値を技術の進歩を通してより手ごろを目指した前向きな製品になっており、「廉価」という言葉から受ける印象とは大分違う。

og_iphone1st_002.jpgog_iphone1st_003.jpg実際に触れば質感の高さに驚くはず

 残念なのは、IT系の記事を執筆している人の中にさえ、実物に触れることもなく、物事の表層だけを見て「指紋認証」も「カラーバリエーション」も「堅実なカメラの改良」もほかのメーカーがすでにやっている、といったつぶやきを広めている人がいることだ。もちろん、アップルの発表会に足を運び、きちんと実物に触れたうえで評価している人もいるが、ネット上のスペックシートだけを見て感想を述べる人も多い。

 ちなみに実際にアップルの発表会場に足を運んでいたほかのジャーナリストや記者、アナウンサーらが、みな真っ先に口にしていたのが「iPhone 5s」のゴールドモデルの感想で、「ネットの流出写真と違ってぜんぜんいやらしい感じではなく、ものすごく上品でいい感じ」と評価していた。我々は記事にそえられた写真というものを、文章からくる印象に左右されながら見ているのかもしれない。いい見出しの横にあれば同じ金色でも美しく見え、悪い見出しの横なら本物の同一の金色パーツでもいやらしく見える。

 どんな写真も本物が与えるインパクトの大きさにはかなわない。そして、実際に自らの手で握ったiPhone 5cやiPhone 5sの質感は、きっと多くの人を満足させてくれるはずだ。

 ちなみにどんなにエレガントな高級車でもバラバラに分解したパーツの写真だけみられると、オーラが消えてしまうし、どんなにすごいアーティストの演奏でも調整前の曲はやはりオーラが少し欠けている。我々は本当にクリエイティブな仕事をしている人たちが、なぜ製品の仕上げに、最もエネルギーをかけるのかを、もう1度しっかり考え見直す必要があるのかもしれない。

 そして、スティーブ・ジョブズの存命中からアップル新製品の度に毎回繰り返されていることなので気がついている人も多いが、ネットの情報と完成された製品が与える印象との間には多くの場合、大きな隔たりがあるのだ。ここで1度、事前のウワサと実際の発表に線引きをして、前者を忘れ、純粋な気持ちで新製品に向き合ってもらえればと思う。もっとも、これは来週の20日以降に、店頭で製品に触れるだけで労せず自動的にリセットできるだろう。

      1|2|3次のページへ

Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ポップカルチャー政策は成り立つのか

$
0
0

 日本政府のクールジャパン推進会議(議長・稲田朋美担当相)が「ポップカルチャー分科会」を新設。筆者が議長を務めている。映画監督の河瀬直美さん、漫画原作者の樹林伸さん、トーセの齋藤茂社長とともに、ポップカルチャーを海外に発信するアイデアを練るというものだ。

 ポップカルチャーは読者・視聴者・参加者・ユーザーが創り上げているものだから、「参加型」のアイデアでありたい。政策プラン作りも参加型で行きたい。そこで、議論に先立ち、乱暴な私案をネットで提示し、コメントやアイデアを募ってみた。

考え方

 マンガ、アニメ、ゲーム、音楽、ファッションなど日本ポップカルチャーの強みを生かし、海外の日本ファンを増やすための活動と情報発信を強化する。

 その際、子ども + 大人、アマ + プロ、伝統 + 現代、科学技術 + 文化、ハード + ソフトという日本ポップカルチャーの特徴を生かしつつ、平和を志向し、宗教色が薄く、無国籍的な日本ポップカルチャーの潜在的な魅力を共有するよう努める。

 各施策について、アウトバウンド(海外発信)とインバウンド(国内強化)の双方に力を入れ、3年程度の時限措置により推進する。

 以下、10個のアイデア。[……]は対策の目標数。

[1] 主要国首脳会議、World Economic Forumなど、海外首脳の集まる会議において、ポップカルチャー宣言を首相が表明するとともに、ポップカルチャー政策を一元的に推進する機関を設立し、民間から登用する長官が世界中を渡り歩く。

[3] アジア、南米などの新興国向けにポップカルチャー専用のテレビ3チャンネルを編成するとともに、同番組を世界にネット配信する。

[5] 初音ミク、ピカチュー、ガンダムなどのキャラクターについて国際ネット投票を実施し、上位5名をポップカルチャー大使に任命し、FacebookやTwitter上で多言語観光キャンペーンを打つ。

[7] 映画、放送番組、音楽、アニメ、マンガ、ゲーム、デザイン、7種のデジタルアーカイブ構築を推進するため、著作権制度などの特例措置を講ずる。

[10] 京都、沖縄などの地域やコミケ、ニコニコ超会議、沖縄国際映画祭などのイベントを10件、国際ポップカルチャー特区として認定し、二次創作や税制などの特例措置を講ずる。

[20] 海外および国内の20大学に日本ポップカルチャー講座を開設し、アーティストを講師として派遣するとともに、その場を利用してアニメ、ゲーム、音楽などを創作するワークショップを開催する。

[30] 30本の人気アニメの権利を解放し、世界中のアニメファンに日本のPRビデオを二次創作してもらう。

[50] アニメやゲームの制作力に基づくデジタル教材を50本制作し、途上国にODAで情報システムとともに提供する。

[100] 日本を代表する100人のクリエイターのメッセージ動画を配信する。

[1000] 正規コンテンツ配信サイト、アーティストのブログ、問題のないファンサイトなど、1000サイトを選定し、無償で英中西仏葡の翻訳を付して発信する。


 上記の私案に対して、支持する意見もあったが、案の定、批判も浴びた。大ざっぱにいって2種類ある。

  • 政官が主導するのはムリ。補助金は利権と化す。
    つまり、官や業界に対する、ユーザーやファンの反発だ。
  • そんなことより、労働環境改善するとか、足下を考えろ。
    つまり、業界内部からの声。「タダで協力させるよりカネ回せ」ということだろうか。

 コンテンツが1つの政策ジャンルになって20年近く。ここにきて政府は一段と高いギアに入れ、クールジャパンやポップカルチャーを前面に打ち出した。でも、ポップカルチャー政策を話題にすると、中味も聞かず、「そんなの国のやることかよ!」という声が必ず飛び交う。マンガ、アニメ、ゲームの海外人気が認知されたとはいえ、いまだサブカル扱いで、政策の俎上に乗せようとすると冷たい視線を浴びる。

 これを支援する政策に対しては、マンガ・アニメ・ゲームはお上と闘いながら民間だけで成長してきた、ヘタに手を出すな、との強い意見がある。民間だけでやってきたのはそのとおりだ。

 しかも、それら文化は昨今、突然立ち現れたものではなく、1000年以上の時間の中で、庶民文化として、皆が創造力を発揮することで、できあがってきたもの。社会構造やインフラを含む「総合力」が生み、育てたものだ。

 ネットやケータイでも日本はかなりポップで多様なジャンルを築いているが、それも同様。これからも新しいメディア技術が登場するたびに、その総合力を生かしてポップな文化を生んでくれることを期待したい。

 だが、だからこそ、そこには手を打つべき問題もあると思う。

 まず、そんな現状のポジションを日本は生かせていない。経済的にはコンテンツは成長産業どころか縮小傾向にあり、アニメの制作現場の悲惨さは笑えないギャグネタだ。政治的にも活用できていない。海外の若い世代にとって日本はソニーやトヨタよりもピカチュウやドラえもんだが、そのソフトパワーを外交に生かせてはいない。

 そして、現状が維持できるかどうかもおぼつかない。ポップカルチャーは定義上、流行文化であり、移ろうのが本質。今日のポップが明日のポップである保証はなく、別のポップや外国のポップに置き換えられることを覚悟せねばならない。では、日本が永続的にポップを生み、育て続けるメカニズムはあるのか。あるとは言えまい。政策が第一に考えるべきは、そのメカニズムとなる土壌を豊かにすることだと思う。

 なお、これは今回の短期型のポップカルチャー分科会ではなく、より中長期に関する知財計画の中で考えるべきテーマである。やまもといちろうさんは「知的財産権管理徹底、二次利用・情報発信のための著作権関連の法律整備、発信すべきもののレーティング組織」と対案を寄せてくださったが、こういう重要な論点は、今回の短期アイデアベースの分科会ではなく、常設の知財本部でどっしりと取り組まなければならない。

 そう、今回の会議は同じ内閣官房でも知財本部とは別の建て付けで、しかもさらに多くの省庁がぶら下がっていて、政府全体としての戦略が描きにくい。参加型の政策にはしたいのだが、「誰が作るのか」が一番の課題として浮かび上がる。

waso.jpg

中村伊知哉(なかむら・いちや)

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授。

京都大学経済学部卒業。慶應義塾大学博士(政策・メディア)。

デジタル教科書教材協議会副会長、 デジタルサイネージコンソーシアム理事長、NPO法人CANVAS副理事長、融合研究所代表理事などを兼務。内閣官房知的財産戦略本部、総務省、文部科学省、経済産業省などの委員を務める。1984年、ロックバンド「少年ナイフ」のディレクターを経て郵政省入省。通信・放送融合政策、インターネット政策などを担当。1988年MITメディアラボ客員教授。2002年スタンフォード日本センター研究所長を経て現職。

著書に『デジタル教科書革命』(ソフトバンククリエイティブ、共著)、『デジタルサイネージ戦略』(アスキー・メディアワークス、共著)、『デジタルサイネージ革命』(朝日新聞出版、共著)、『通信と放送の融合のこれから』(翔泳社)、『デジタルのおもちゃ箱』(NTT出版)など。

twitter @ichiyanakamura http://www.ichiya.org/jpn/


「中村伊知哉のもういっぺんイってみな!」バックナンバー

Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

TechTargetジャパン

スマホのロック解除時にフルスクリーン広告──その開発意図を聞く

$
0
0

 「Android端末のセキュリティロック解除時にフルスクリーンの広告を表示」——こんなシステムが発表された。サイバー・コミュニケーションズ(cci)がディー・オー・エム(DOM)と共同開発したこのシステムについて、製品統括を担当したcciの竹崎純司マーケティング・ソリューション本部長に話を聞いた。

photo新システムの概要

——新広告システムの概要は。

 Android端末のセキュリティロックを解除する際に、フルスクリーンのグラフィックが一定の頻度で表示される仕組みです。リリースでは、一言で「広告」と書いてしまいましたが、単なるバナーではなく、クーポンやポイントサービスなど、ユーザーに何らかのメリットがあるタイプを想定しています。毎回起動時に表示されるわけではなく、頻度の調整も可能です。

 スマートフォンを起動する行為は、人によっては1日に数十回以上やることもある、おそらく生活の中で一番習慣的な動作。誰もが何度も繰り返し行うからこそ、必ず目に触れるからこそ、訴求できる広告は何かと考えてこのような形になりました。

——具体的にはどのような使い方を想定しているのか。

 現在考えているのは、(1)広告を閲覧するとポイントがたまり、各種ポイントやギフト券に還元できるもの、(2)学習アプリの1機能として、起動するたびに簡単な問題と回答が表示されるもの、(3)GPS機能を利用し、場所や時間に合わせて近隣店舗などの情報を配信するO2O(Online to Offline)サービスに近いもの——の3つです。

photo「C4 coin」の画面イメージ

 閲覧でポイントがたまるタイプは「C4 coin」というアプリで実験的な運用を始めています。ロック画面解除後に表示される広告を一定時間見るとポイントが加算され、場所や時間帯によってボーナスが付与されます。現在はAmazonギフト券との交換のみですが、今後提携先の拡充も考えています。ある一定の場所の近くに向かうとボーナス、などオフラインでの活動を促進する使い方もできるかもしれません。

 O2Oタイプはこの派生で、特に飲食店などにアプローチしていくことを考えています。時間と位置情報を利用し、居酒屋であれば「午後5時以降に半径500メートル以内にいる人」などでセグメントし、スマートフォンを立ち上げた瞬間にお得なクーポンと共に情報を配信する──といったことを想定しています。

photo学習アプリのイメージ(開発中)

 学習アプリタイプは、9月下旬に高校生向けにリリースします。ロック解除時に画面に簡単な問題が表示され、スワイプで回答を確認する形式です。単語帳でスキマ時間に暗記に取り組んだように、スマートフォンの画面上で習慣的に“デジタル単語帳”を展開するイメージです。

 学生向けには英単語や漢字、地理や歴史の暗記問題、社会人向けには外国語やワインなど趣味に関する知識、ITなどの専門用語などでコンテンツを作成する予定です。「トラベル英会話」であれば今お得な海外旅行、「TOEIC800点」であれば外資系の転職サイト、など学習の先にある目的に沿った広告を展開します。

——ターゲティングに活用されるユーザー情報はどのように取得するのか。

 アプリのインストール時に、性別や年代などの情報を登録してもらいます。端末内のデータをクロールすることはありません。

——アプリではなくシステム自体の制御に関わるように見えるが、Googleのレギュレーションに照らしてマルウェアとみなされることはないのか。

 抵触していないと理解していますが、明文化されていない部分、解釈による部分もあるので今後どうなるかはわからないというのが正直なところです。8月に更新されたコンテンツポリシーで禁止されたステータスバーや通知領域を使った広告表示とは、事前にユーザーに許諾をとる点と、アプリ内コンテンツに近い点が異なると考えています。

——今後の導入先の拡大は。

 ニュースリリース文では説明が足りなかったのですが、当分は自社が中心となってアプリやコンテンツを作成していきます。スマートフォンの起動後画面はプライベートな部分ですし、ここに広告を表示すること自体ユーザーにも慣れない挙動になるので慎重に進めていく姿勢でいます。しばらくは、先の2つのアプリのユーザーの反応や手応えを見ながら今後の展開を模索します。アプリベンダーへのシステム導入やSDKでの配布は次の段階だと考えているので、「今まで使っていたアプリが突然仕様が変わった」ということは絶対にありえません。

 もし既存のアプリに入れるとしても従来の広告仕様と選べることは必須とし、強制的に押し付けることはないようにします。例えば、ゲームの最中に常に広告が視野に入っているのと、それ以外の時間で何度かフルスクリーンの広告が表示される分ゲーム自体はストレスなく遊べるのと、どちらをより快適と感じるかは人それぞれだと思うので、判断してもらう段階を設けます。

——リリースには「スマートフォンのセキュリティロック解除時広告の新たな価値構築と市場拡大を目指す」とあるが、具体的には。

photocci 竹崎純司マーケティング・ソリューション本部長

 スマートフォンの広告市場は、ユーザーの接触時間を考えるとまだまだ規模が小さいのが現状です。広告モデルを確立し、アテンション相応のお金がきちんと流れる環境を作ることが、アプリ開発者やコンテンツホルダーはじめ、業界全体の発展・活性化になると考えています。

 具体的な課題は表現力のなさ。PCよりも小さな画面の中で広告を訴求するのはどうしても制約が大きくなってしまいます。「C4 Coin」のフルスクリーン広告のサイズは760(縦)×480(横)ピクセルとかなり大きなサイズになっていて、既存のPC広告と変わらないクリエイティブを実現できます。アプリ内の広告と異なり、使用頻度に左右されず目に触れる機会も多いので、商品として魅力がありますが、もちろんユーザー心理との兼ね合いは課題です。

——「この仕組みを搭載した無料端末を売るつもりなのか」という意見もある。

 現時点ではその予定はないです。

——ネットでは厳しい批判の声が上がっているが、今後の方針に影響はあるか。

 誤解されている部分も多いので、一層丁寧に慎重に開拓していかなければならないと感じました。ユーザーにメリットを感じてもらいたい、“うっとうしい”広告をいかに価値のある情報として見せられるかを考えていますが、それでもどうしても使いたくない人は出てくるはず。新しいスタンダードに、というより、「スマートフォン広告」の選択肢を増やしたいという実験的な思いです。正直うまくいくかは未知数ですが、挑戦する価値はあると思っています。

Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

徹底レビュー:“iPad mini信奉者”も買いたくなる、新「Nexus 7」の満足度

$
0
0

 2012年に発売された米Googleの初代「Nexus 7」は、プレミアム製品が価格もプレミアムとは限らないことを教えてくれた。200ドル(日本での発売価格は1万9800円)の7インチAndroidタブレットであるNexus 7は、米Appleの「iPad mini」のような高価な競合製品と比べても遜色がなく、スペックは発売時点でクラス最高レベルだった。これまで一貫して、小型タブレットを求める人から支持されてきた。

 それでもGoogleは飽き足りず、最近では新型のNexus 7でさらに攻勢をかけている。新Nexus 7は、プロセッサの高速化や最新OSのAndroid 4.3の搭載をはじめ全面的に強化されているが、価格は約30ドル値上がりしている。Googleは退屈なアップグレード製品を投入したのか? それとも、Nexus 7は第2世代機も勝者として君臨するのか? 詳しくチェックしていこう。

構造とデザイン

 新しいNexus 7は、薄型軽量デザインで充実した作りとなっており、プレミアム感を醸し出す製品だ。

iPhone 5s/5cのSIMロック解除は行わない――ドコモ

$
0
0

 NTTドコモが9月20日に発売する「iPhone 5s」「iPhone 5c」について、SIMロック解除を行わないことが分かった。

photophoto「iPhone 5s」(左)と「iPhone 5c」(右)

 2011年4月以降に発売されたドコモのスマートフォンでは、1回につき3150円の手数料を支払うことで、ドコモショップでSIMロックの解除が行える。iPhone 5s/5cについてもSIMロック解除への期待が高まるが、ドコモ広報部に確認したところ「SIMロック解除は受け付けていない。今後についても未定」とのこと。ドコモ向けiPhone 5s/5cがSIMロック解除機能を実装しているかどうかは「弊社からはお答えできない」とのことだった。

※初出時にSIMロック解除手数料に誤りがありました。お詫びして訂正いたします(9/13 19:50)。

Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ダントツのLTEが頼り──KDDIのiPhone 5sとiPhone 5c

$
0
0

頼みは料金プランより800MHz帯対応4G LTE

kn_kddievnt_01.jpgKDDI 取締役執行役員専務の石川雄三氏

 KDDIは、9月13日に説明会を行い、iPhone 5sとiPhone 5cで利用できる料金プランの概要を発表した。また、あわせて、iPhone 5やiPhone 4S、さらに、Androidなどからの乗りかえユーザーを対象にした下取りサービスの買い取りポイントや、スマートフォンとタブレットユーザーを対象にした“容量制限合計9Gバイト”の「データシェアプラン」も発表している。

 説明を行ったのは、KDDI 取締役執行役員専務の石川雄三氏だ。石川氏が最初のキーワードとして出したのは、やはり「800MHz」だった。iPhone 5sもiPhone 5cも、KDDIが“基盤バンド”と呼ぶ800MHz帯の4G LTEに対応していることをKDDIは自分たちが取り扱うiPhone 5sとiPhone 5cの優位点として訴求する。「iPhone 5は、2.1GHz帯の4G LTEだけが対応していたが、iPhone 5sとiPhone 5cは、800MHzに対応することで、“ダントツのLTE”を利用してもらえる」(石川氏)

 石川氏は、9月2日の説明会でKDDI代表取締役社長の田中孝司氏が説明した「4G LTE(認可済み)基地局がほかのキャリアを大きく上回る」「4G LTEの実人口カバー率97パーセント」「全国で下り最大75Mbpsを利用可能」「高速移動や屋内でも安定してつながる」という、800MHz帯対応4G LTEの強さを繰り返して紹介した。

 その上で、石川氏は、2.1GHz帯対応 4G LTEの整備計画についても言及し、9月2日の説明会で示した「実人口カバー率を2014年3月に80パーセント超え、2015年3月までに90パーセント台」を再び示したほか、現在実人口カバー率31パーセントにとどまる10MHz幅以上の領域に大半をできるだけ早く移行する考えを示した。

kn_kddievnt_02.jpgkn_kddievnt_03.jpgkn_kddievnt_04.jpgやはり、KDDIが訴求するのは800MHz帯対応4G LTEによる「どこでもつながる、高速転送」な使いやすさだ。iPhone 5sとiPhone 5cは、KDDIが先行して整備してきた800MHz帯対応 4G LTEをサポートすることで、LTE利用エリアが一気に拡大した

kn_kddievnt_06.jpgkn_kddievnt_07.jpgkn_kddievnt_08.jpg2014年3月までに実人口カバー率99パーセントまで拡がる800MHz帯とともに、2.1GHz帯の整備も進める。また、現在主流の5MHz幅から10MHz幅への移行も早期に進めると石川氏は述べている

 9月11日に発表した、4G LTEの海外ローミングサービスでも、9月19日から開始する韓国、香港、シンガポールに加えて、2013年末までにAT&TのLTEネットワークによる米国ローミングも行うことを明らかにした。このローミングによって、全米397都市、実人口カバー率にして75パーセントをカバーするという。

タブレットデバイスとセットで9Gバイトの「データシェアプラン」

 このように、石川氏はKDDIの4G LTEネットワークサービスの優位点を説明した上で、iPhone 5sとiPhone 5c向けの料金プランを紹介した。パケット定額料金では、最大2年間の継続契約という条件において、LTEフラット(7GB)スタート割(i)を適用して月額5460円、LTEフラット(7GB)の「月額5985円」にauスマートバリューによる月額1480年の割引を組み合わせた「月額4505円」を提供する。

 また、KDDIが掲げる「3M戦略」で柱の1つとなっている「マルチデバイス」を実現するために、スマートフォンユーザーのタブレットデバイス利用を促進するため、2014年春から「データシェアプラン」を開始する。

 このプランでは、4G LTE対応スマートフォンと4G LTE対応タブレットデバイスを所有するユーザーがデータシェアプランを契約することで、スマートフォン側の月間データ容量の7Gバイトとタブレットデバイス側の月間データ容量の2Gバイトをあわせた9Gバイトがスマートフォンとタブレットデバイスで共有可能になる。この場合、タブレットデバイスを月額2992円で利用できる。石川氏の説明によると、データシェアプランは、スマートフォンとタブレットデバイスの2回線契約になるため、同時通信も可能だ。

 なお、2014年春の提供開始に先立って、9月20日から「先取り! データシェアキャンペーン」を実施する。このキャンペーンでは、4G LTEスマートフォンユーザーが4G LTE対応タブレットデバイスを新規、もしくは、機種変更で購入して、キャンペーン専用のパケット通信料定額サービスの「LTEフラット for Tab cp」または「LTEフラット for Tab(i) cp」のいずれかを契約、さらに、4G LTE スマートフォン(LTEフラット加入)との「スマホセット割」を契約した場合、2014年5月末までは、スマートフォン利用分7Gバイトとタブレットデバイス利用分7Gバイト分を「それぞれ」を月額1050円(スマホセット割のみの場合は2992円)で利用できる。なお、2014年6月以降は、データシェアへの契約が必要となり、契約をしなかった場合は、割引が終了する。

kn_kddievnt_09.jpgkn_kddievnt_10.jpgkn_kddievnt_11.jpgiPhone 5sとiPhone 5cの利用プランは、LTEフラット(7GB)スタート割(i)を適用して月額5460円(写真=左)、LTEフラット(7GB)で月額5985円にauスマートバリューによる月額1480年の割引を組み合わせた月額4505円となる(写真=中央)。また、タブレットデバイスと組み合わせて合計9Gバイトが利用できるデータシェアプランも2014年春から開始する(写真=右)

      1|2次のページへ

Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


医者はIT技術を学び、エンジニアは医学を学ぶ時代

$
0
0

 2013年8月31日、「10年後の医療」をテーマに日本各地から1000人の医学生が都内に集結し、「Medical Future Fes 2013」が開催された。このイベントは1日掛かりのもので、全国から医療コミュニティを運営する学生たちが集まり、それぞれのテーマに沿ってイベントを企画した。

 その中から今回は、医療系アプリ開発コンテスト「AppliCare」を取り上げる。ここでは、医学生らによって開発されたアプリの最終プレゼンテーションが行われた。このコンテストでは、医療・デザイン・エンジニアリングをそれぞれ専門とした学生が1つのチームとなり、開発を進めた。

コンテストの代表を務める田沢雄基氏コンテストの代表を務める田沢雄基氏

 コンテストの代表を務める田沢雄基氏は、開催に当たっての想いを次のように語る。「医療の世界は、閉鎖的である。ITを活用すれば解決できる問題がたくさんあるはずなのに、なかなか自分の領域から踏み出すことができない。その影響もあって、ITなどの他領域からは医療現場のニーズが把握されておらず、医療の分野でサービスを作ってくれる人が少ない。これでは医療のIT化は進まない。異なる領域と手を組んでこそ、解決できることがたくさんあるはず。私たち学生は、どうすればこの課題を解決できるのか。医学生や学生エンジニアがチームとなり、何の利害関係もなく、既存のフレームワークに縛られることもなく、アイデアを出して作る。そんな文化を創造できないだろうか。医療がITの力を駆使する当たり前の文化を作りたい」(田沢氏)。

がんの痛みを記録することで、薬の種類や量を見直すアプリ

 最初に紹介されたアプリは、がんの痛みを記録するアプリ「Painting」。Paintingは、がんの痛みを記録することで、薬の種類や量を見直す手助けをしてくれるアプリだ。この名前は、「痛みを抱えながらも自分の生活を彩れるようになってほしい」という思いから名付けられたそうだ。

 調査によると、がん患者の6割は「痛み」に悩まされているそうだ。実際、チームメンバーの祖母もがんの痛みに苦しんでいたという。まだ幼かった彼女は、そんな祖母を見てこう思った——「どうして痛みが取れないのか、どうしてこんなに苦しまなくてはいけないのか」。その苦しみが脳裏に焼き付き、今回のアイデアが生まれたという。

 こんなデータもある。「治療により、痛みが取れたかどうか」という質問に対し、医療従事者は「患者の60%は痛みが取れている」と感じていた。しかし、実際に痛みが取れた患者はわずか16%に留まる。

データ

 「そもそも、患者は医療従事者に痛みをうまく伝えられていないのではないか」——彼女たちは、そう考えた。

Painting

 今回、「がん」にフォーカスしたのには理由がある。「がんの痛み」は学術的に3種類に分類できると言われているためだ(参考)。この痛みを口語的に表現すると、「ズキズキ」「ビリビリ」「ずーん」の3種類になる。

がんの痛み

 アプリを起動するとアバターが表示され、アバターのイラスト上から自分の痛いところをタッチして、どんな痛みかを選択する。このとき、「ズキズキ」「ビリビリ」「ずーん」の3種類の痛みから選択する。

 アバターは「切り替えボタン」によって正面・背面の切り替えができ、それぞれに感じる痛みを登録できる。さらに、医療従事者が10段階で評価する痛みのレベルについても、表情のアイコンを付けることで直感的に選択できるよう工夫した。さらに、ここに頓服薬の使用記録を追加することも可能だ。

アプリ画面

 こうして記録されたデータによりグラフが自動的に作成され、医療従事者と患者の間で共有される。これにより、「グラフの値の上下が激しければ、ベースの薬量を増やす」「グラフの値の変化がなければ、薬の種類を変更する」など、状態に応じて治療方針を変えていくことも可能となる。

 このアプリは、痛みの種類を集約できるものであれば、他の病気にも応用できるとしている。また、審査員からは「痛みの感じ方には個人差があるため、蓄積したデータを反映するとより良いものになる。痛みは生活上深刻なものなので、ぜひ世の中に出してほしい」との意見があった。

「予約をしているのに、どうしてこんなに待たなければいけないのか……」という不満を軽減させる

 続いてのプレゼンテーションは、「予約をしているのに、どうしてこんなに待たなければいけないのか……」という誰もが一度は抱いたことがあるであろう不満を軽減させてくれるアプリ「iTsuna」だ。

 病院でこんな経験はないだろうか。

待合室に置いてあるディスプレイには「待ち人数」が表示されているが、あと何分待てばいいのか分からずに待合室に何時間も座っている……。

どうして、待合室にずっと座っていなければならないのだろうか……。手元のスマホで待ち人数が分かればいいのに……

 こうしてできたのが、iTsunaだ。

 現在、「来院する人の48.2%が病院の中で30分以上待たされている」という調査結果が出ている。つまり、病院に来る人のうちの2人に1人が30分以上待っている計算になる。そして、4人に1人は1時間以上待たされているそうだ。

データ

 このように、長い待ち時間によってデメリットを被るのは患者だけではない。患者の満足度が低下し、結果的として病院の評価の低下にもつながる。

調査結果

 このアプリでは、診察までの待ち時間を手元で見られるため、従来のように待合室で座って待っている必要はない。自由な時間が手に入り、イライラを軽減することができる。

 また、それに付随する機能として、電子カルテと連携させることで検査結果を配信したり、既存の屋内位置情報サービスと連携して病院内で迷わないようなナビゲーションシステムも搭載するとしている。

 ほとんどの人が経験する「病院の待ち時間」という観点がとても鋭く、このアプリに興味を持った審査員が多くいた。ゆえに、質問内容も厳しく「利用を想定している病院は、来院者が1日何人くらいで、診療科が何科くらいあるのか」という具体的な質問が飛び交った。「病院のモデルを本質的なところから捉え、そこからアプローチをして設計する必要がある」という。

1分1秒を争う救急搬送の世界に、新たな知恵を

 続いては、救急搬送の高速化に貢献するサービス「Streaming119」のプレゼンテーションだ。

 1分1秒を争う救急搬送の世界。それは、想像以上にシビアな世界だ。心停止してから、約7分で死亡率は100%に近づく。たった「1分」の短縮がとても重要なのだ。

データ

 佐賀県では、医療機関情報・救急医療情報システム「99さがネット」を用いて救急医療機関と連携し、約1分の高速化を実現した。この取り組みはニュースでも多く取り上げられ、注目を集めた。

事例

 佐賀県の取り組みでは、病院の受け入れ先を医療従事者が選定する部分で時間短縮を行った。しかし、電話で通報してから救急車が到着するまでの時間に、まだ短縮の余地があった。彼らは、患者の一番身近にいる通報者が行動を起こせる仕組みを考えた。

 「119」に電話をしてから救急車がたどり着くまでの時間は、約9分。Streaming119は、この間に通報者が救急隊に患者の情報を提供するためのサービスだ。救急隊は現場到着前に患者の状態を知ることで、到着後の行動をシミュレーションでき、搬送や治療の準備にも、より早く着手可能となる。

図
開発チームメンバー

 彼らの作る「Streaming119」では、主に2つの機能を実装。1つは、動画ストリーミングの機能。もう1つは、バイタルサインの共有機能だ。バイタルサインは、「ヒトの生命維持に必要な情報」として医療で用いられている。一般的には「呼吸数」「脈拍数」「体温」「血圧」の4つを指すことが多いが、ここでは医学的知識や道具がなくても比較的正確な情報を取得しやすい「呼吸数」「脈拍数」「体温」の3つの共有を目指している。

 普段、救急隊と活動を共にしている医師へのヒアリングによると、これらの情報は「医療の知識がなくても簡単に取れ、かつ、医療従事者にとっては的確に患者の状態を把握できる情報」なのだそうだ。一般に、医療従事者は素人からの情報をなかなか受け入れ難いようだが、バイタルサインであれば信頼のおける情報として受け取ってもらいやすい。

ヒアリング

 また、「バイタルサインをカメラで取得する」という既存の技術もある。今後は、その機能も実装に取り入れたいという。

バイタルサインをカメラで取得

 筆者が特に素晴らしいと感じたのは、このアプリを起動するまでのアイデアである。このサービスは、スマートフォンアプリではなく、Webアプリとして実装されている。というのも、アプリにしてしまうと、緊急時に「ダウンロード」という余計な作業と時間が発生するためだ。彼らのアイデアは、「119」で通報をしたあと、通報した電話番号宛てにWebアプリのURLが自動で送信されてくるというものだ。通報者は、送られてきたリンク先から、すぐにブラウザ経由でWebアプリを起動し、動画を救急隊に共有できる。「各自治体と連携することで、このような仕組みが可能となるのではないか」と彼らは提案する。

デモ1
デモ2
デモ3
デモ4

 「このサービスによって、これまで傍観することしかできなかった通行者が、医療の貢献者の1人として参加できる社会を創造したい。そして、1人でも多くの人の命を救うことができたらうれしい」(開発チーム)。

薬の飲み忘れによる病気の発症・進行を防ぐ

flixy

 最後は、薬の飲み忘れを防止するシステム。医療従事者の処方どおりに薬を服用できていない人は、73%もいる。このうちの半数以上が「うっかり忘れ」という調査結果も出ている。

調査結果

 主なターゲットは、高血圧性疾患を抱える40代。特に、仕事で忙しい昼どきの飲み忘れ防止を目指すという。「flixy」は、アプリを専用のケースと連動させて服薬を促すシステムだ。

flixyの仕組み

 既存のアプリの中にも、薬を管理するアプリは存在するが、ユーザーがいちいち手入力しなければならない。また、「お薬!どーぞ」は、自宅での服薬にはいいが持ち運び用ではない。これに対し「flixy」のケースは、手のひらサイズで、カバンの中に入れて持ち運ぶことができる。

flixy1
flixy2

 ケースのふたの開閉をトリガーにして、服薬ログは自動的に取得され、データはBluetoothでiPhoneに送信される。ユーザーの負担はほとんどなく、生活に溶け込んだデザインだ。また、あらかじめ設定していた時間になるとケースのLEDが光り、内部のモーターが動作して目的の薬だけを取り出すといった機能も備わっている。

 既に、実際にスマートフォンアプリと連想して動いており、制作にあたっては学校にある3Dプリンタを使いプロトタイプを何度も作り直し、ブラッシュアップしたという。プロダクト制作にかかったお金は、わずか2000〜5000円程度だった。

flixy3

 一方、アプリ側でも、さまざまな工夫がされている。設定画面で薬の情報やアラートを設定でき、トップ画面では、患者の服薬達成率やランキング機能に加え、薬をちゃんと飲めば隠れていた美女の姿が徐々に表れてくる「美人めくり機能」といったユニークなアイデアも実現されている。タイムラインでは、家族や同じ症状を抱えている患者同士で服薬状況を共有することができ、お互いの近況や励ましの言葉を送ることが可能だ。

設定画面
タイムライン
トップ

 服薬を怠った患者には、悲劇的なビジュアル表示や、今飲んでいる薬の効能などを見せるなどの工夫もされている。こういった機能により、flixyで服薬指導もできる。

服薬指導1
服薬指導2

 ケースは無料で患者に配布し、将来的には製薬会社に向けたデータビジネスの展開を予定している。ヒアリング調査によると、有償ビジネスとして成立する可能性もあるという。

データビジネス

 プレゼンテーション後の質疑応答も大変興味深かった。「薬を飲んだことを示す他のトリガーはなかったのか?」という審査員の質問に対し、彼らの回答はこうだった。「当初は、錠剤の重みを感知して実装することを考えていた。しかし、薬はとても軽いため、精密な感知が難しい。ケースの開閉であれば、自然な形である程度正確な情報を得られる。他のサービスでは、薬の中にちょっとした電波を出すものを入れて正確な服薬ログを取ろうとするものもある。しかし、ぼくたちはそこまで正確な服薬ログを取ることを目的としていない。『飲む意思があるけど、つい忘れてしまう』という人が少なくなるためのデザインをしたいと思っている」(開発チーム)。

 この回答に対し、審査員からは「厳密性を追求して動かないよりは、こういう形で広まるならば本当に素晴らしい」との声が上がった。なお、今後のアドバイスとして「今、調剤情報はコード化されているため、ダイレクトにQRで吐き出す仕組みなども採用するといいかもしれない」という意見があった。

 今、医学生たちは、自分たちの専門領域を今まで以上に超えていこうと挑戦している。IT業界からも、医学を専門とした組織やコミュニティにもっと多く足を運び、一緒にできる可能性を探っていけたらいい。

Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

TechTargetジャパン

960GバイトSSDが4万円台だと……!?

$
0
0

ASUS製マザーがメーカー主導の大攻勢、主力モデルが6000〜7000円引きに

photoTSUKUMO eX.の特価POP

 連休時は普段以上に思い切りのいい特価品が見つかりやすい。TSUKUMO eX.は9月16日までの限定で、クルーシャルの「M500シリーズ」960Gバイトモデルを4万9980円で販売する。同店は「最近はSSDでもテラバイト級の大容量を求める人が増えているので、この値段ならかなり需要があると思います。在庫がなくなったら期日を待たず終了なのでお早めにどうぞ」と話していた。

 マザーボードではASUSTeK製Z87モデルの特価品が目立つ。ソフマップ秋葉原リユース総合館やBUY MORE秋葉原本店などが、通常2万円弱の「Z87-A」を7000円引きの1万2980円としているほか、「Z87-PRO」や「Z87-PLUS」も6000円引き対象とするセールがみられる。「複数のショップで結構実施していますね。メーカー側主導でかなり大胆な攻勢をかけてきた感じです。CPUとのセット割引も併用できるので、相当お得だと思いますよ」(BUY MORE秋葉原本店)という。

 また、パソコンショップ・アークは、1世代前(Intel 7シリーズ)のギガバイト製品を放出特価で販売している。マザーボードはZ77モデル「GA-Z77P-D3/A」が7980円、「GA-Z77X-UP7」が1万5970円。そしてそれ以上に注目されているのがGeForce GTX 680搭載のグラフィックスカード「GV-N680OC-2GD」だ。価格は4万8980円。同店は「人気があるまま終息したGTX 680カードだけに、需要はかなりあるかと思います。在庫は少ないので、狙うなら早めがいいと思います」とプッシュしていた。

photophotophotoソフマップ秋葉原リユース総合館の立て看(写真=左)。BUY MORE秋葉原本店のPOP。3倍返し……?(写真=中央)パソコンショップ・アークにスポット入荷した、ギガバイト「GV-N680OC-2GD」(写真=右)
      1|2次のページへ

Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

「市場拡大を見越した戦略」――デル、タッチ対応ディスプレイに27型と19.5型の2モデルを追加

$
0
0

タッチディスプレイにハイエンドモデルとエントリーモデルを追加

photo27型ワイド液晶ディスプレイ「P2714T」。10点マルチタッチに対応する

 デルは9月18日、タッチパネル内蔵の液晶ディスプレイ2機種を発表した。ラインアップは27型ワイドの「P2714T」と19.5型ワイドの「E2014T」だ。P2714Tは同日、E2014Tは2013年9月26日に販売を開始する。価格はそれぞれ6万9980円(税込み、以下同)と2万4980円となる。

 P2714Tは高パフォーマンスモデルと位置付ける「P」シリーズの製品で、10点マルチタッチに対応する。解像度は1920×1080ドットに対応しており、輝度は270カンデラ/平方メートル。応答速度が8ms(GtG)、コントラスト比は1000:1(ダイナミックコントラスト比は800万:1)、表示色は約1677万色、色域はCIE1976比で83%だ。

 液晶パネルにPLS(Plane to Line Switching)方式を採用しており、視野角は水平/垂直ともに178度となる。PLSはIPS方式の派生版にあたり、一般的なIPSと同様に広視野角ながら、液晶の透過率を高めることにより、高輝度・低消費電力を実現している。消費電力は19ワットだ。

photophotophoto背面にスタンドを備える。タッチしやすいよう角度をつけるとディスプレイが下がる仕組みだ(写真=左)。電源ボタンなど各種操作ボタンは右側面に配置する(写真=中央)。映像入力インタフェースは背面に搭載。HDMIはMHLに対応しており、スマートフォンやタブレットの画面を出力できる(写真=右)

 映像入力インタフェースはHDMI(MHL対応)×2、アナログRGB、DisplayPortの3系統を搭載し、USBハブ(アップストリーム×1、ダウンストリーム×4)も備えた。USBポート4基のうち2基はUSB 3.0、残りの2基はUSB 2.0に対応する。

 スタンドによりディスプレイは0〜60度までの角度調節が行え、100×100ミリのVESAマウントも利用可能だ。本体サイズは665(幅)×79.7〜421.3(奥行き)×475.5〜246.5(高さ)ミリで、重量は約9.39キロ。

photophotophotoディスプレイは0〜約60度までの角度調節に対応。左側面にUSB 3.0ポート(ハブ用)を2基備える
photo19.5型ワイド液晶ディスプレイ「E2014T」。5点マルチタッチに対応する

 E2014Tはエントリーモデルの「E」シリーズに属する。解像度は1600×900ドットで、5点マルチタッチに対応する。こちらはTNパネルを採用しており、視野角は垂直方向が160度、水平方向が170度となる。輝度は225カンデラ/平方メートルで、応答速度は2ms(GtG)、コントラスト比は1000:1(ダイナミックコントラスト比は800万:1)だ。

 映像入力インタフェースは、P2714Tと同様にHDMI(MHL対応)×2、アナログRGB、DisplayPortの3系統を搭載し、USB 2.0ハブ(アップストリーム×1、ダウンストリーム×2)を備える。ディスプレイのチルト角度はマイナス5度から30度まで対応しており、100×100ミリのVESAマウントも利用できる。本体サイズは505.9(幅)×165(奥行き)×376(高さ)ミリで、重量は4.89キロ。

photophotophotoディスプレイはマイナス5〜30度までの角度調節に対応する(写真=左、中央)。映像入力インタフェースは背面に備えた。エントリーモデルでもDisplayPort入力を用意する(写真=右)
      1|2次のページへ

Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

iOS 7のダウンロートがスタート

$
0
0

 米Appleの新モバイルOS「iOS 7」のアップデートが、日本時間の9月19日未明にスタートした。インストールできるのは、iPhone 4以降、iPad 2以降、iPad mini、iPod touch(第5世代以降)。

 ios 7

 対応する端末の[一般]→[ソフトウェアアップデート]→[インストール]でインストールできる。

 あるいは、MacあるいはPCのiTunesをバージョン11.1にアップデートすれば、iTunesから各端末にインストールすることも可能だ。iOS 7端末と連係させるためには、iTunesをバージョン11.1にアップデートする必要がある。新バージョンでは、iOS 7端末のサポートの他、ライブラリ内の音楽をランダム再生する「Genius Shuffle」、気に入ったポッドキャストを一元管理できる「Podcast Stations」が利用できる。米国でスタートしたストリーミング音楽サービス「iTunes Radio」は日本では利用できない。

 Appleは、iTunes Storeに「iOS 7対応」コーナーを開設し、既に新OSに対応しているアプリを紹介している。ただし、このページに載っていないアプリでも既に対応しているものもある。例えば、FacebookやTwitterなどは、個別のページでiOS 7対応と明示されている。

 ios 7 2

 iOS 7の新機能についてはこちらの記事を、iOS 7にアップデートしても機種によっては使えない機能についてはこちらの記事を参照されたい。

Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

2070万画素“Gレンズ”の実力は?――「Xperia Z1」のカメラ機能を徹底レビュー

$
0
0

 ソニーモバイルの新型スマートフォン「Xperia Z1」を語る上で外せないのがカメラ機能だ。ソニーの高性能デジタルカメラに搭載している「Gレンズ」をスマートフォンで初めて採用し、ハードウェア性能が大きく向上した。F値は2.0と明るく、広角27ミリ相当(35ミリ換算)、そしてレンズは薄型非球面となり、センサーサイズはXperia Zなど従来機の1/3.0型から、サイバーショット「DSC-HX50V」と同等の1/2.3型に大きくなった。画素数が2070万にまでアップしたのも特筆すべき点だ。

photophotoIFAでも多くの注目を集めた「Xperia Z1」(写真=左)。スマートフォンでは初の「Gレンズ」を搭載した(写真=右)
photophotoセンサーのサイズは従来機の1/3.0型から1/2.3型へと大きくなった(写真=左)。新しいセンサーを並べたオブジェ(写真=右)。いずれも「IFA 2013」のソニーブースで展示されていたもの

 ソニーが掲げるカメラの使い方は「作品」「思い出」「ライフログ」の3種類であり、「作品」は一眼レフなどの本格カメラ、「思い出」はデジタルカメラ、そして「ライフログ」はスマートフォンのカメラが担ってきた。その中でXperia Z1が目指すのは、思い出とライフログの両方。「いつでも手軽に“思い出”画質を記録する」というのが、Z1のカメラのテーマだ。このテーマを実現するのが、明るくて広角の「Gレンズ」、大型の裏面照射型CMOSセンサー「Exmor RS for mobile」、手ブレ補正やノイズ低減処理を施す信号処理エンジン「BIONZ for mobile」という3つの技術だ。

 では、具体的にXperia Z1のカメラ機能はどこが向上したのか。それは大きく分けて「全画素超解像3倍ズーム」「ブレない静止画と動画」「高感度な写真」の3点。「IFA 2013」でのドイツ滞在中に撮影した作例も交えて、1つずつ見ていこう。

解像感を残したままズームできる「全画素超解像3倍ズーム」

 Xperia Z1のメインカメラは2070万という高い画素数を実現しているが、「スマートフォンにそこまでの画素数が必要なのか?」という意見もあるだろう。しかしXperia Z1では、20MPの写真を8MPに凝縮することで、よりクオリティの高い一枚を撮影できる。その1つが、劣化を抑えてズームできる「全画素超解像3倍ズーム」だ。Xperia Z1は光学ズームには対応しないが、解像感を保ったまま3倍のズーム(焦点距離27〜81ミリ相当)ができる。その仕組みは、20MPサイズから1.5倍ズームで8MP分を切り出した後に、2倍の全画素超解像ズームで画素を復元するというもの。切り出しはExmor RS for mobileが、復元はBIONZ for mobileが処理している。

photoボリュームキーからズームができる。ズームバーのグレイの部分が超解像ズームできる範囲を示す

 全画素超解像3倍ズームはプレミアムおまかせオートとマニュアルモードで利用できる。プレミアムおまかせオートで同ズームで撮影した写真の解像度は8MP(16:9)に固定される。ちなみに、ズームをしなくても撮影サイズは8MP(16:9)に固定されるが、その理由は後述する。

 マニュアルモードでは、撮影サイズを20MP、8MP(4:3)、8MP(16:9)、3MP、2MPに変更でき、いずれのサイズでも全画素超解像3倍ズームは利用可能。3MPまたは2MPで同ズームを利用した場合、20MPから3MPまたは2MP分を切り出して処理をする形になるので、8MPで切り出しものよりも遠くを表示できる。もちろん解像度は下がるが、解像感は8MPと変わらないので、より遠くのものを撮りたいときは、3MPや2MPがいいかもしれない。

photophotophotoプレミアムおまかせオート設定時に3倍ズームで撮ったもの(写真=左)。マニュアル+3MPサイズにすると、20MPから3MP分を切り取る形になるので、超解像ズームが可能な範囲が狭くなる。この写真のズーム倍率は4.59倍(写真=中)。マニュアル+20MPだと2倍ほどしか超解像ズームができない(写真=右)

 ベルリンのシンボルでもあるブランデンブルク門に立っている像を、Xperia Z1とZの2機種でズームして撮影。時刻は20時過ぎで、まだ少し明るかったが、撮影環境はなかなか厳しめ。撮影サイズはZ1は8MP(16:9)、Zが9MP(16:9)(Zには8MPサイズがない)。ズーム倍率は2機種でやや異なるが、見比べると、Zはノイズ(特に空の部分)が目立つのに対し、Z1はノイズがよく抑えられている。ISO感度はZが640、Z1が800なので、Z1のノイズ低減処理がうまく働いていることが分かる。さすがに像の部分を拡大すると粗さが目立つが、この撮影環境でここまで鮮明にズームできるのは、なかなかのクオリティだろう。

photophoto左がXperia Z1、右がXperia Zでズームしてブランデングルク門の像を撮ったもの。ズーム倍率はZ1が3.03、Zが2.82。Zの写真の方が大きくズームしたように見えるが、これはZ1の方が画角が広いため。空、象、門、背景のビルはZ1の方が鮮明に描写している
photophotoこちらも左がXperia Z1、右がXperia Zで撮ったもの。2機種とも3.03倍ズーム。やはりZ1の方がきれいに撮影できている
photophoto左が3.03倍、右が2.83倍ズームして撮影したもの。いずれもプレミアムおまかせオートに設定した。左の写真では、さすがに窓際に見える植物や花はつぶれてしまっているが、建物自体はきれいに写せている。右の写真では、文字がくっきりと見える
photophoto左が駅の電光掲示板、右がIFAのソニーブース。どちらも2.83倍ズームで撮影したもの

ブレない静止画と動画を撮影できる仕組み

 続いてブレない静止画と動画について。子どもやペットなど動きの多い被写体を撮ると、どうしてもブレやすくなるが、Xperia Z1では被写体とカメラの動きを検知することで、ブレを抑えられる。その仕組みは、プレミアムおまかせオートで被写体とカメラの動きを検出→自動でシャッタースピードを上げることでブレの少ない写真を撮影→その際にISO感度が上がっても、ソニー独自のノイズ除去技術でノイスを低減する、というもの。

photophoto薄暗い場所でのライブをZ1のカメラで撮影。ブレることなく写せている

 動画撮影時には、フルHD+α(補正マージン)を持つデータを出力→カメラの位置から切り出し位置とCMOS特有のひずみを検出し、+αの部分を切り出す→フレームごとに補正処理をする。これにより、中心が安定していて画面周辺の歪みの少ない、滑らかな動画を記録できる。

明るくてノイズの少ない写真を撮れる

 最後が高感度な写真。従来の裏面照射型CMOSセンサーでも暗い場所での撮影が得意とされているが、Xperia Z1では、20MPのCMOSセンサーとBIONZ for mobileを組み合わせることで、さらにノイズを抑えることができる。

 Xperia Z1のカメラは、暗い場所ではISO感度が最大で6400に上がる。これだけ上がるとノイズが発生しやすくなるが、ノイズ低減技術によって明るくきれいな写真を撮れる。それはなぜか? まず、撮影する際に「20MP/ISO6400」の画像を、画素加算技術によって「2MP/ISO2000相当」にまでサイズとISO感度を落とす。その後はBIONZ for mobileによって、最大6枚の写真を重ね合わせて処理し、ここでノイズ量がISO1000相当にまで減る。最後に全画素超解像ズームによって、解像感を保ちながら8MPに復元される。

 この“8MPの高感度撮影”はプレミアムおまかせオート利用時にのみ有効になるので、ズームをしなくても、プレミアムおまかせオートの撮影サイズは8MPに固定される。ここでも2070万画素が生きてくるのだ。一方、撮影時にこれだけの処理をすると、けっこうな時間がかかりそうだが、実際にシャッターを切ると、裏で処理をしながら、すぐさま次の撮影画面に移るので、ストレスは感じない。Qualcommの最新プロセッサー「Snapdragon 800」がその性能を発揮しているのだろう。

photophotoIFAのソニーブースでは、暗い箱の中にある写真を、箱の穴から撮影するデモを実施。後処理でノイズを低減するので、撮影中の画面は暗いままだが(写真=左)、撮影後の写真をみると、このとおり明るく撮れている(写真=右)
photo上がXperia Z1、右がXperia Zで撮影したもの。その違いは一目瞭然だ
      1|2|3次のページへ

Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Viewing all 17593 articles
Browse latest View live