雷を撮ってみた
実は先々月、たまたま駅のホームで電車を待ってたら、空一転暗黒の雲に覆われ、大粒の雨が落ち始め、遠くに稲妻が見え、落雷による停電で電車が遅れるとアナウンスがあったのである。
で、せっかくだから、稲妻でも撮ってみるかと、iPhoneで撮ったのがこれ。
見事に稲妻が撮れました……って超絶技巧を凝らしたわけじゃない。
落雷を見て素早くシャッターを押すとか、そういうのは無理。人間の反応速度的に、無理。空に向かって無闇にシャッターを切って偶然写ってた……というのも確率的に無理。よほど雷が落ちまくればそれで写ることがあるかもしれないけど、まあ、無理。次に落ちる場所とタイミングを予知して撮るとかそういうのももちろん無理。デジカメで雷を撮るノウハウってあるけど、iPhoneのカメラはそういう凝った撮影はできないしね。
実は動画で撮って切り出したのだ。
雷が来そうだなという方向に向かって動画を録る。10秒ほどの動画を録ったら、たまたま(落ちた場所の近所にいた人には申し訳ないが)落雷があったのである。
録った動画を再生してみたら稲妻が映ってた。そこから、きれいに写ってるカットを静止画として切り出せばいいのだ。フルHDだと1920×1080ピクセルで、だいたい200万画素相当。ネットに上げるには十分な画像サイズである。
でも、iOSの動画再生機能って、静止画の切り出しには対応してない。そんなときはアプリを使う。いくつかあるけれども、わたしが見つけたのは「Movie to Image」というアプリ。
Movie to Imageを開いて「Albums」を指定すると、iPhone内の動画にアクセスできる。iPhoneで撮った動画のみならず、iTunesで同期した動画も引っ張り出せるのが面白い。
そして該当する動画を開く。
再生して適当なところで止め、あとはコマ送りしながら、切り出したいカットを選ぶのである。慎重にコマ送りをして稲妻が写っているカットを探し、その前後もいったりきたりして一番きれいに写っているものを、右下にあるアイコンをタップしてカメラロールに保存。
それがこれ。
でも、撮ったのはまだ午後4時ぐらいで日没にはほど遠い時間。暗雲垂れ込めたとはいえ、それなりに明るいので稲妻が目立たない。そんなときは以前紹介した「Snapseed」の出番。
まず輝度を下げることで周りを暗くして稲妻を目立たせ、色や彩度もちょっとコントロール。
そして、アスペクト比が16:9だとワイドすぎるので(稲妻が写ってるのは左の端だったし)、4:3にクロップする。
これにDRAMAフィルタでちょいと派手めに演出したのが冒頭の写真というわけである。なお、「雷を撮ろうと思ったら動画で撮ればいいのか」と思うかもしれないけど、たいていはうまくいかない。
こんな風になる。稲妻写真のひとつ前のコマである。
急激に明るい光が飛び込むため、カメラの方が対応できなくてこんな風になっちゃうのだ。近すぎるとこうなりやすいので、よほど安全な場所にいるのでない限り、避難が先決です。ご注意を。iPhoneも防水じゃないし。
あまりに極端な例ではアレなので、もうひとつ便利な使い方を。
ケヅメリクガメが歩いているシーンを撮りたかったのだけど、日陰で暗いので、どうしてもブレちゃう。ブレないように撮るテクニック、という話はまあ別の機会ということで、そもそもiPhoneって技巧を凝らして使うというよりは、日常的に可能な限り気楽に撮りたいカメラであるからして、そんなときは動画の出番である。
まず動画で撮影し、あとからブレてないカットを切り出せば、1920×1080ピクセルの写真を取り出せる。
顔はブレてないけど、手足は動いてるシーンだと躍動感があっていい。
iPhoneは動画撮影中に静止画を撮るって機能もあるけれども、決定的な瞬間は動画から切り出す方が簡単だ。ただし、動画はいったん「動画用に強めに圧縮されている」のでそこから切り出した写真は、はじめから静止画で撮ったのに比べると画質は落ちてるし、そもそも200万画素相当のサイズしかない。その辺は頭に入れておきたい。
便利だけど頼りすぎないように、ってことで。
関連記事
- 「荻窪圭のiPhoneカメラ講座」バックナンバー
- 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第23回 Snapseedで写真を派手に!
iPhoneで撮った写真にフィルタをかけるのは珍しいことじゃないけど、「Snapseed」にはこれはっていう特徴的なフィルタがたくさんある。「ドラマ」やレトロ系など、代表的なモノを紹介してみるのだ。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第22回 SnapSeedで学ぶ、iPhone写真レタッチの基本
撮った写真がそのままベストならよいが、ちょいとひと手間加えるだけで見違えることも多い。そこでレタッチの出番である。今回は「Snapseed」でレタッチの基本を確認しよう。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第21回 HDRをアプリでもっと楽しむ
そもそも純正カメラに搭載されている「HDR」だが、アプリで実現しているものは標準のモノとかなり毛色が異なる。絵画的な、印象的な写真を撮りたいなら使ってみるのも面白い。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第20回 iPhoneでデジタルズームを上手に使う
デジタルズームといえばあまり積極的に使わないようにという風潮だけれど、ズームする、つまり焦点距離が変われば写真の写りも変わる。「近くのモノをカタチ良く撮る」時にも有効なのだ。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第19回 本格派カメラアプリを使ってみよう お勧めアプリ4選
App Storeで見ると分かるけれど、iPhone用カメラアプリって数がとても多い。今回はその中で「本格派カメラアプリ」といえるものに注目、独断と偏見で4つを選んでみた。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第18回 グリッド線はなんのためにある?
簡単にオンオフできる割に使われていない感じのする「グリッド線」。水平と構図の決定には便利なので是非とも使ってみよう。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第17回 LEDライトを使ってライティングを楽しんでみる
マンフロットのiPhoneケース「KLYP(クリップ)」には、LEDライトの付属するパッケージがある。せっかくなので、LEDライトを使ってiPhoneでの撮影でもライティングにh一工夫してみよう。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第16回 iPhone 5ケース「KLYP」+三脚を使って夜景を撮る
マンフロット社の「KLYP(クリップ)」はけっこう気に入っていて常用している。せっかくなので、夜景も撮りたい。というわけで、いろんな場所で試してみた。あと、KLYPにはLEDライトが同梱されているので、これも使ってみた。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第15回 iPhoneを三脚につけるのは意外に簡単で効果的
失敗写真の大半は手ブレで起こる。その対処法のひとつとして挙げられられるのが三脚の利用だ。三脚というと大げさなイメージだけれど、軽くて小さい、ポケットサイズのものもあるのだ。 - マンフロット、LEDライトや三脚などで本格撮影を楽しめるiPhone5ケース「KLYP」
マンフロットはLEDライトや三脚など装着可能なiPhone用ケース「KLYP」(クリップ)のiPhone 5対応版を発売する。iPhone写真でのフォトコンテストも開催する。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第14回 デジカメユーザー的視点によるiPhoneカメラQ&A 15連発
この連載ではここまでiPhoneカメラの活用の話を中心にしてきたのだけど、今回はちょっと趣向を変えて、カメラ性能・機能そのものの話。15のQ&Aでお送りします。( - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第13回 上手な自分撮りをするために
さすがにやらんわーという声もあるであろうインカメラでの自分撮りだけど、ちょっとしたコツで自分の顔が見違える。ひとに教えてあげる機会があるかもしれないしね。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第12回 写真に位置情報をつけるリスクとその回避
iPhoneはGPSを内蔵してるので、撮った写真に位置情報をつけられる。あとから見直したり写真を探すのに便利な位置情報だけど、不用意に出さない方がいい情報でもある。そこで今回は位置情報とのつきあい方を考える。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第11回 iPhoneでパノラマ写真を撮ろう! 応用編
結構アバウトに撮っても上手にとれて、非常にいい感じなiPhoneのパノラマ写真。だけれど、きれいに仕上げるため、知っておいた方がいいポイントもある。今回はそのあたりのお話を。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第10回 iPhoneでパノラマ写真を撮ろう! ベーシック編
デジカメではおなじみのパノラマ撮影機能はiPhoneにも用意されている。結構アバウトに撮っても上手にとれて、非常にいい感じなのだ。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第9回 iPhone動画で気をつけるべきアレコレ
カメラ講座ってことで写真の話をしてきたが、iPhoneのカメラを使えばフルハイビジョン動画も撮れる。動画と静止画(写真)では気をつけるところが違うので、ちょっとそのあたりの話を。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第8回 内蔵ライトのカシコイ使い方
iPhoneカメラのレンズ横にはLEDライトがついてる。標準ではオンオフが自動なので、あまり意識しないかもしれないが、オンオフを意識的に使い分ければよりいい感じの写真が撮れるのだ。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第7回 デジタルズームはどこまで使えるか
デジカメにあってiPhoneにないものは「ズームレンズ」。困ることは少ないけど、時として、もっとでかく撮りたいって思うことがある。そんなときのために「デジタルズーム」機能があるのだ。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第6回 電車を撮ると歪んで写る理由とその対策
電車の中から景色を撮ったり、外から電車を撮ったりすると、景色や電車が歪んでしまうことがある。これはCMOSセンサー特有の現象で、スマホのカメラでは原理的に避けられないのだ。これ、本当に避けられないのか。いや実は、ひとつ手があるのだ。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第5回 iPhoneで撮った写真を見る/送る/消す
iPhoneカメラの起動〜撮影の基本的な話は一通りやったかなと思うので、今回は少し気分を変えて、主に「写真を見る」ための話をしておこうかと思う。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第4回 “連写+合成”ができるHDR撮影を活用する
iPhoneに限らず、スマホやデジカメの撮像素子はとても小さいので、一度に取り込める光の量が少なく、ちょっと光が多いと明るいところが真っ白になり、暗いところがつぶれてしまう。そこで活用したいのが「HDR」なのだ。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第3回 “露出補正”を活用して最適な明るさで撮る
手ブレ→ピンボケときたら、次は明るさ。iPhoneで撮影してみたものの、イメージよりも暗すぎる、またあ明るすぎることはよくある。でも、これはiPhoneカメラが備えている“露出補正”を活用することで解消できるのだ。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第2回 これでピンボケ写真とおさらば——AFをうまく活用する
iPhoneでうまく写真が撮れない人の多くは手ブレが原因だけど、ほかに「ピンボケ」もあると思う。じゃあどうすればピンボケを防げるのかというと、被写体が画面に収まる位置や、被写体との距離などが重要になってくるのだ。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第1回 カメラの起動方法/手ブレを抑える構え方
今最もよく使われているデジカメは「iPhone」ではないだろうか。というわけでiPhoneカメラ講座、始めます。まずは超基本だけどカメラの起動方法と、手ブレを抑える構え方から。撮影に役立つ小技もあります。 - 荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ:iPhone 4Sから着実にレベルアップ——「iPhone 5」のカメラをねっとりと試す
iPhone 5が発売された。カメラの画素数はiPhone 4Sと同じ800万画素だが、iOS 6になったことでパノラマ撮影が利用可能になった。ではハードウェアに依存する処理速度や画質はどうか。iPhone 4Sとの作例も交えながらiPhone 5のカメラ性能をチェックした。 - 荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ:機能はシンプルなまま、画質はトップクラスに——「iPhone 4S」
ついに発売された「iPhone 4S」。見た目はiPhone 4と変わらないが、デュアルCPUやより高画素な800万画素CMOSカメラを搭載するなど、ハードウェア性能が強化されている。加えてiOS5により、カメラの使い勝手も向上した。その実力をさっそくチェックした。 - 荻窪圭のケータイカメラでこう遊べ:iOS 4.1でiPhone 4に追加された「HDR撮影」機能とは?
iOS 4がiOS 4.1にアップデートされ、「iPhone 4」のカメラに新たに「HDR撮影」機能が用意された。HDRは、iPhone 4のカメラ機能をさらに強化する。HDRを使うとどんな写真が撮れるのか、どんな風に使いこなすのがいいのかを紹介しよう。 - 荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ:圧倒的によくなったカメラ性能——「iPhone 4」
iPhone 4のカメラは、絵作りが根本的に変わり、大きな画質向上を果たした。これは画素数が300万から500万に上がったことよりも大きな変化で、iPhone 4のカメラは他のケータイと比べても十分満足行くレベルに仕上がっている。 - 荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ:「次元が1つ違う」——進化した「iPhone 3GS」のカメラ
「iPhone 3GS」のカメラはスペックの進化もさることながら、“起動→撮影→保存→活用”という総合的な使い勝手が素晴らしく、「多機能と高機能は違う」ということを感じさせる仕上がりだ。「iPhone 3G」との作例比較や動画作例も交え、ファーストインプレッションをお届けしよう。 - 荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ:笑っちゃうほど何もないシンプルカメラ、ピントの合う範囲が独特──「iPhone 3G」
“おまけ”とか“しょぼい”とも言われるiPhone 3Gのカメラ機能だが、実際のところはどうか。いくつかのシチュエーション別に撮った作例を中心に、改めて使い勝手や特有の「クセ」、ケータイ宛てに写真を送る方法などをチェックしていく。
関連リンク
Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Facebookコメント