米Googleには「邪悪にならない(Don't be evil)」という非公式なモットーがあるが、歯に衣着せぬ物言いで知られるシリコンバレーの億万長者ラリー・エリソン氏は、Googleのラリー・ペイジCEOの行為を「絶対的に邪悪だ」と非難している。
ソフトウェア大手Oracleの共同創設者兼CEOであるエリソン氏はかねてから、ライバル企業に対する辛辣な発言で知られている。
今回エリソン氏のターゲットとなったのは、Googleのペイジ氏だ。OracleとGoogleは現在、Googleの「Android OS」の特許侵害をめぐり、米連邦控訴裁で係争中だ。
エリソン氏は8月13日に放送された米テレビ番組『CBS This Morning』でチャーリー・ローズ氏のインタビューに応じ、「Googleが当社の所有物を無断で使ったのは間違っている、というのがわれわれの考えだ」と語った。
「ペイジ氏を邪悪と思うか」との質問には、エリソン氏は「Googleの行為は絶対的に邪悪だ」と答え、ペイジ氏個人を邪悪呼ばわりはしていない。
Googleの広報担当者からはコメントを得られなかった。Oracleの広報担当者からも、エリソン氏のインタビューについてのコメントは断られた。
ペイジ氏に対するエリソン氏の“口撃”の根底には、Oracleが2010年にSun Microsystemsを買収した際に手に入れたJavaプログラミング言語の存在がある。エリソン氏は当時、「Javaはこれまでに買収した中で最も価値の高いソフトウェア資産だ」と語っていた。
Oracleは2010年、GoogleのモバイルOSであるAndroidはJavaの特許を侵害しているとして、Googleを提訴した。連邦判事は2012年、Googleに有利な判決を下したが、Oracleは控訴している。
エリソン氏はかねてから、IBMやMicrosoft、独SAPといった長年のライバル企業の幹部に攻撃的な発言を繰り返しており、時にはその矛先は敵対的買収を仕掛けている相手企業の幹部に向けられることもあった。
2012年には、ソフトウェアメーカーであるSAPの共同創設者ハッソ・プラットナー氏がデータベース事業でOracleに対抗する計画を発表したのを受けて、エリソン氏は「薬剤師の名前を教えてくれる? SAPの幹部は何か変な薬でも処方されているに違いない」とSAPの取り組みを揶揄している。
また2003年には、OracleによるPeopleSoftへの敵対的買収提案が注目を集めたが、この提案に反発していたPeopleSoftのクレイグ・コンウェイCEOについて、エリソン氏は「弾丸で撃ち殺したくなる」と発言している。結局、エリソン氏はこの敵対的買収を成功させた。
シリコンバレーの情勢が変化する中、エリソン氏には新たなターゲットも現れている。
OracleはHewlett-Packard(HP)と長年提携関係にあるが、HPの取締役会がCEOのマーク・ハード氏を解任した際、エリソン氏はそれを激しく非難し、個人的な友人でもあるハード氏をその後Oracleに社長として迎え入れている。
またエリソン氏は2011年には、Oracleのカンファレンスで数千人の聴衆を前に、ライバルであるマーク・ベニオフ氏率いるSalesforce.comのクラウドコンピューティングプラットフォームを「一度入ったら決して出られない粘着シート式ゴキブリ捕獲器のようなもの」と皮肉った。
Oracle出身のベニオフ氏はエリソン氏とは師弟関係にある。両氏は先ごろ、これまでの対立関係を解消し、両社が今後緊密に連携する方針であることを明らかにした。
CBSによれば、今回のインタビューは8月上旬に行ったものという。エリソン氏はこのインタビューで、米国家安全保障局(NSA)の極秘情報収集プログラムについても発言している。
同氏はNSAの情報収集を「テロ対策に絶対的に必要なこと」と擁護し、「問題とすべきは、収集されたデータが政治的な目的で利用された場合のみだ」と語っている。
米政府はOracleにとって大規模顧客の1つ。創業30年以上となるOracleには、創業初期のプロジェクトで米中央情報局(CIA)にデータベースを納入した実績もある。
さらにエリソン氏はiPhoneやMacを生み出したAppleの将来にも言及し、「親友」であった故スティーブ・ジョブズ氏の指揮なしではこれまでほどの成功は収められないだろう、との見通しを示した。
エリソン氏はジョブズ氏の後継者であるティム・クックCEOについて「クック氏のことは好きだ」と述べた上で、次のように続けている。「Appleには優秀な人材が大勢いる。だがスティーブ(ジョブズ氏)の代わりになる人物などいない」
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