Cerevo(セレボ)は11月27日、スマートフォンやタブレットで制御できる電源タップ「OTTO」を正式発表した。今年の「International CES」に参考展示され、話題になった“スマート電源タップ”。機能とともに、そのユニークなデザインでも注目を集めた。
Cerevoは、2007年に設立された家電ベンチャー。社員数わずか11名のファブレスメーカーながら、「家電(Consumer Electronics)を革新(REVOlution)する」というアグレッシブな社名を掲げ、家電にネット接続による新しい利便性を加えてオリジナリティーの高い製品を送り出している。また、「マニアックで奇抜な発想」(同社の岩佐琢磨社長)を大切にしているのも特長で、そのため市場としてはニッチだが、世界中で販売することで数を稼ぐというビジネスモデル。実際、同社製品は世界21カ国で販売され、販売実績の45%を海外が占めているという。「ここにしかないものを作る。ここにしかないのだから、世界中から注文が来る」(同氏)。
そしてもう1つ、デザイン性を重視している点も同社製品の重要な要素だという。「電源タップはどこの家庭にもあるが、他人に見せるものではない。むしろお客さんが来たら隠したくなるだろう。しかし、逆に『いいでしょ』と自慢できる電源タップがあってもいい」(岩佐氏)。
岩佐氏によると、最初の発想はサブウーファーの形をした電源タップだったという。リビングルームにあっても不自然ではなく(ただしリビングシアターに限る)、多くのACアダプターを収める容量も確保できる。しかし、このデザインは社内で「ダサい」などと酷評され、改めてデザインを起こすことにした。そのとき声をかけたのが、工業デザイナーの柳澤郷司氏だ。
OTTOは、一見して何か分からない外観をしている。白い石のようにも見えるし、柔らかくなった大福か、溶けかけたスライムのようにも見えなくもない。見る人によって受ける印象は異なるはずだ。しかし、そのデザインコンセプトを聞くと、多くの人が納得するかもしれない。
柳澤氏に対する依頼は、まず「リビングルームのフロアに置いてもインテリアとして成立するもの。一見して電源タップとは分からないもの」だったという。フロア(床)に置くことを考えたのは、現在のスマートフォンやタブレットの使い方を考慮したためだ。
「充電中もスマートフォンを手放さない人は多い。電源アダプターはテレビ台の下などに隠されるケースも多いが、充電しながら使うため、ソファーやテーブル付近まで引き回されてしまうのが実情だ」(岩佐氏)。
こうした要望に対して柳澤氏が考えたのは、「日本庭園の石」と、製品名の元にもなった「オットマン」という2つのコンセプトだった。ソファーに付属するオットマンのように、存在しても違和感を感じさせない。玉砂利が敷き詰められた枯山水に置かれた石のような風情でインテリアに溶け込みつつ、「家電の足置き」という役割を果たす。さらに「イタリア語で“8”はオットー。8口のタップにちょうどいい」(柳澤氏)。
もちろん、8口という数は電源タップとしてはかなり多めだ。「もっと小さく、という声もあったが、あえてゆずらなかった。今、市場にあるタップは3〜4口が中心だが、足りている人は見たことがない」(岩佐氏)。
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