インテルは11月27日、“Bay Trail”の開発コード名で知られるAtom Z3000シリーズの概要や同社のタブレット戦略を説明する技術説明会を開催した。
Bay Trailは、22ナノメートル世代の「Silvermont」マイクロアーキテクチャを採用するタブレット向けSoC(System on a chip)で、命令を効率よく並べ替えて実行するアウトオブオーダー方式の実行エンジンや、モジュール単位(2つのコアと1Mバイトの2次キャッシュで構成する)の柔軟な設計、20を超える新しい拡張命令、3次元トライゲート、20段階以上にもおよぶ細かい電力制御などを特徴とする。これにより、32ナノメートル世代のAtom Z2760(開発コード名:Clover Trail)と比較して3倍の性能を持ち、同一性能においては5分の1の消費電力と、パフォーマンスと電力効率を飛躍的に高めているのがポイントだ(関連記事:大解説! Intelの“モバイル”SoC戦略をまとめてみた)。
ラインアップは、デュアルコア(2次キャッシュは1Mバイト)のZ36xx系とクアッドコア(2次キャッシュは2Mバイト)のZ37xx系が用意され、より低い消費電力で動作するDDR3L-RSをサポートした型番末尾に「D」のつくモデルもそれぞれに用意される。内蔵グラフィックスは、Ivy Bridge世代と同じIntel HD Graphicsに強化され、DirectX 11やOpenGL 3.2 に対応、主要なハードウェアデコーダーを備え、メインストリーム向けCPUと同じメディアエクスペリエンスを実現できるという。
Bay Trailの技術説明はおさらい的な内容になるが、簡単にまとめると、インテル製SoCを搭載した最新タブレットなら、高性能とロングバッテリーライフを両立しつつ、周辺機器やアプリケーションとの高い互換性を実現できるので、仕事でも遊びでもストレスフリーな体験を提供できますよ、というわけだ。
なお、新技術ではないものの(すでにClover Trailで導入されている技術)、システムの温度を複数のセンサーでモニターし、各部コントローラの挙動や動作クロックを動的に変更する「Intel Dynamic Platform Thermal Framework」(Intle DPTF)についての技術も明らかにされた。Intle DPTFは、ファンを搭載できない8型クラスのタブレット端末で、細かい電力管理により発熱を抑制しつつ、システムの処理性能を保つ機能だ。こちらの詳細は別記事で取り上げているので参照して欲しい(これぞ“八八艦タブ”必須技術──「Intel Dynamic Platform Thermal Framework」)。
インテルクラウドコンピューティング事業本部のマイケル・キャンベル氏は、このBay Trailを武器にタブレット市場へ注力していくとアピールする。同氏は「タブレット市場は急速に伸びており、2014年はグローバル全体で3億台の出荷が見込まれている。このうち日本は700万台。タブレットにはいろいろなサイズ、デザイン、OSがあり、選択肢がある」とタブレット市場の動向を説明。消費者が価格や画面サイズ、モビリティ(軽量か、LTEを内蔵するかなど)を選定基準にしていると指摘したうえで、メーカー各社から発売されているBay Trail世代のタブレットを紹介し、「(インテル搭載タブレットで)日本の消費者と企業ユーザーにとってこれまで以上に選択肢を用意できる」と、タブレット市場シェアの獲得に自信を見せた。
キャンベル氏によれば、2014年のタブレット出荷予想である3億台のうち、IA搭載タブレットで4000万台の出荷を見込んでいるという。これまでタブレット市場では存在感のなかったインテルがBay Trailで一気に13%のグローバルシェアを目指すことになる。日本市場での具体的な出荷台数には触れなかったが、同氏は「グローバルと同等、2ケタ以上を目指したい」と語った。
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