IFA会場で目立っていた新PC/タブレットを総括
ドイツ・ベルリンで開催されていた家電総合展示会「IFA 2013」。2012年までであればPC系メーカー各社の最新Ultrabook、新作タブレットが豊作というPC業界の一大祭典な様相を呈していたのだが、2013年のPC関連はやや不作傾向だった。2012年まで出展していたDellは参加せず、別の会場で新製品展示を行ったHewlett-Packard(HP)も目新しい展示がないなど、全体的に見ると少しさびしい印象を受けた。
その理由としては、インテルの第4世代Coreプロセッサー(開発コード名:Haswell)の提供時期がずれたことでそれを採用した新製品ラッシュも2013年6月のCOMPUTEX TAIPEIへ後倒しとなり、総じて発表タイミングがずれる傾向にあったこと、そして開発コード名:Bay Trailこと新Atom ZシリーズがIDF 2013次週となるIDF 2013で発表される予定であり、製品発表の端境期に重なってしまったことなど、いくつかのマイナス要因が考えられる。実際、韓Samsung電子(日本市場向けにPCは投入していない)はIFA 2013開催に先立って行われたプレス向けイベント「Unpacked」においても、Windows関連の製品については一言も言及しなかった。
一方でソニーのように多岐に渡るカテゴリの新製品を大々的に発表したメーカーもあった。新VAIOシリーズも「VAIO Fit multi-flip PC」や「VAIO Tap 11」にかなりの注目が集まっていた。
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2013年後半はBay Trail-T搭載デバイスに注目
今回のIFA 2013会場で特に多く見かけたのが、タブレット向け新Atomプロセッサ(開発コード名:Bay Trail-T)を搭載した機器だ。
IFA 2013開催時は未発表のSoCだった(9月12日発表)ため、詳細は公開されず展示が行われてたのみだったが、少なくともこのAtom Z3000シリーズは2013年末から2014年にかけて登場するタブレットに多く採用される見込みで、その低価格志向な特長も相まって今後の目玉商品の1つとなりそうだ。
IFA開催前に行われたIntelのプレスカンファレンスでは、自社のリファレンスマシンとともに東芝の8型Windows 8タブレット「Encore」を紹介し、同社のプロセッサがWindowsにAndroidと複数のプラットフォームをカバーでき、より優れたユーザー体験を提供できる製品であることを強調していた。
Encoreの展示機に触れてみたところ、まだドライバのチューニング中なのか動作具合は微妙だったが、前世代のClover Trail世代のAtom Zシリーズと比較するとパフォーマンスは大きく向上するとのことで、実製品ではより快適になっていることと思われる。
東芝m、小型Windowsタブレットながら各種作業・業務にもある程度本格的に利用できる製品──を目指す計画のようで、MicrosoftがWindows 8.1で推進しようとしている小型タブレット市場の開拓に一役買うカテゴリになるかもしれない。
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