一括受電とは?
一括受電とは、電気の契約を、マンション住戸ごとではなく、「マンション一棟」と電力会社との契約に切り替える仕組みだ。安価な電力をまとめて購入し、マンション居住者が割安な電気を利用できるサービスである。
多くのマンションの居住者は電力会社との間で、「電灯契約」と呼ばれる低圧契約を結んでいる。この低圧契約をマンション単位でまとめると50kW以上になり、高圧契約に切り替えることができる。なお、商業ビルや大規模事務所などで50kW以上の電力使用量がある場合の契約を高圧契約、2000kW以上の電力使用量がある場合の契約を特別高圧契約という。
例えば、低圧の電力単価が26円/kWh、高圧の単価が19円/kWの場合、高圧契約に切り替えることで約7円/kWhの差益が生まれる。
図1の中央に示した電力単価の差(削減分)が、電力料金の値下げの源泉になる。一括受電のサービスを提供する事業者は、低圧契約と高圧契約から生じる電力単価の差を使って、変圧器の設置などの必要な設備投資を行う。マンション居住者は基本的に電気料金以外には負担はなく、管理組合と一括受電サービスの事業者がその削減メリットをシェアするというビジネスモデルである。
市場調査会社である富士キメラ総研の予測では、一括受電を既に導入済みのマンションと、2013年末までに導入予定のマンションの戸数は合計して約28万7000戸に達する。その内訳は新築が約8万7000戸、既存マンションが約20万戸である(図2)。
同社の予測では、2017年には約74万戸に達するという。日本の分譲マンションは600万戸以上もあるので、市場規模が大きな事業領域として注目がされている。
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