ディーアンドエムホールディングスは9月2日、プリメインアンプ「PM-14S1」およびUSB-DAC/SACDプレーヤー「SA-14S1」を発表した。同社の設立60周年記念モデル「11シリーズ」直系の技術を多く盛り込んだ中級機。「ユーザーの幅の広げたい」(同社)という。各25万2000円で10月中旬に発売する。
PM-14S1には、「PM-11S3」同様のフルディスクリート電流帰還型プリアンプを搭載。また音質チューニングのため、ボリュームアンプ初段には初めてフェアチャイルド・セミコンダクター製のトランジスタを採用した。「市場からオーディオ用トランジスタが減り、新しいサプライヤーを探していたところ、40年ほど前に使っていたフェアチャイルドが候補に上がった」。実際に試してみると「良い意味で、米Marantz時代の音楽性、おおらかさが出た」という。
パワーアンプもPM-11S3と同様、安定性の高いV/Iサーボ方式電流帰還型回路を採用。入力回路DCサーボ回路には独自の「HDAM-SA3」を使用し、ペアンプを廃したディスククリート構成としている。位相補償回路のコンデンサーには、PM-11S3にも使われているフィルムコンデンサー「ブルースターキャップ」を採用。さらに電源トランスには大型のトロイダルトランスを採用し、巻き線にPM-11S3と同様のOFCを用いた点も「このクラスとしては初」という。出力は8オーム負荷時で各チャンネル90ワット、4オーム時には140ワットとなる。
「内容としてはPM-11S3にとても近い。“PM-11S3のパワー(出力)が小さくなったもの”と思っていい」(同社)。
データ再生にも注力したSACDプレーヤー「SA-14S1」
一方、SACDプレーヤーの「SA-14S1」では、ディスク再生の要となるメカエンジン部が「SA-11S3とほぼ同じ」(同社)。とくにピックアップと回路構成はSA-11S3の「SACDM-2」と同一だ。トレーには「SA-8003」から使用されている制振性に優れたザイロン素材を採用。ベースには2ミリ厚の鋼板を使用し、メインシャーシに強固に固定した。
データ再生機能については、DSD 5.6MHz再生まで対応するUSB-DAC機能を搭載。回路構成およびPCなどの外来ノイズを遮断する「コンプリート・アイソレーションシステム」などはSA-11S1から継承したものだ。
DACチップには、さまざまなリスニングテストを繰り返した末、「DSD1792A」を採用した。決して新しいチップではないが、「躍動感の表現に優れている」ところが評価ポイントだという。「最新のDACに比べ、DSD1792Aは許容出力電流が非常に大きい。これが音に影響したと考えている」(同社)。
このほか、iPod/iPhoneのデジタル接続に対応したフロントUSB端子(USB-A)、および最大192kHz/24bitのPCM信号に対応した同軸/光デジタル入力を装備。いずれの入力もジッターリデューサーによりジッターを低減してからDACに送り込まれる仕様となっており、「ネットワークメディアプレーヤーやテレビなどを接続し、SA-14S1のDACやアナログ出力を通した高品位再生が行える」という。
音声出力は、アナログ、同軸デジタル、光デジタル、ヘッドフォンが各1系統。ヘッドフォンアンプもHDAM-SA2によるフルディスクリート構成となっている。
関連キーワード
USB DAC(USB Digital-to-Analog Converter) | DSD | マランツ | SACD | オーディオ | フラッグシップ | アシンクロナス転送モード(USBオーディオ) | ヘッドフォンアンプ
関連記事
- 時代は変わってもノウハウは生きる、マランツ「NA-11S1」で聴くハイレゾ音源の“静寂”
マランツの設立60周年記念モデルとして企画された「NA-11S1」は、ネットワークオーディオプレーヤーとUSB DACという2つの顔を持つ高級機。注目度も高い本機をじっくりと試聴した。 - 「PCはノイズのかたまり」——マランツが考えるUSB DAC/ネットワークプレーヤーのあるべき姿、「NA-11S1」登場
マランツは、USB DAC/ネットワークプレーヤーのフラグシップモデル「NA-11S1」を発表した。昨年発売したSACDプレーヤー「SA-11S3」と共通のデザインながら、単体プレーヤーとは違う部分で苦労したという。
関連リンク
Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.