ソニーの新しい家庭向け主力ノートPC「VAIO Fit」とは?
“Duo”と“Tap”に続く新世代VAIOは“Tap”——。
ソニーは2013年夏モデルから新しいホームノートPCブランド「VAIO Fit」を投入する。5月18日から順次発売する予定だ。
VAIOはしばらくの間、「VAIO Z」をはじめとして「VAIO+英語1文字」のシリーズ名を続けてきたが、2012年PC秋冬モデルで現れた「VAIO Duo 11」と「VAIO Tap 20」は「VAIO+英語3文字」という新しい命名ルールを採用して話題となった。これは「1文字より3文字のほうが製品イメージを伝えやすい」という理由によるものだ。VAIO Fitはこの新しい命名ルールに従った3番目の製品となる。
そのラインアップは、上位に15.5型の「VAIO Fit 15」と14型の「VAIO Fit 14」、下位に15.5型の「VAIO Fit 15E」と14型の「VAIO Fit 14E」を用意。上位を「プレミアムホームノートPC」、下位を「スタンダードホームノートPC」と位置付けており、両者はスペックだけでなくボディのデザインも異なる。
特に上位のVAIO Fit 15/14は、全モデルにタッチパネル付きの液晶ディスプレイを搭載していながら、超低電圧の第3世代Coreプロセッサー(開発コード名:Ivy Bridge)を用いることで、Ultrabook並のスリムなボディを実現しているのが特長だ。
店頭販売向けの標準仕様は、画面サイズとスペックが異なる3モデル(3つのカラーバリエーションを含めると全9モデル)から選べるが、ここでは15.5型の最上位機「VAIO Fit 15(SVF15A18CJP)」に加えて、ソニーストアで購入できる直販のVAIOオーナーメードモデルから14型の「VAIO Fit 14(SVF14A1A1J)」も入手した。
2台合わせて、性能や使い勝手を検証していこう。
金属の質感を生かしたエレガントなスリムボディ
まずはVAIO Fit 15から見ていこう。シルバー、ブラック、ピンクと3種類のカラーバリエーションが用意されており、今回入手したのはピンクのモデルだ。
VAIO Duo 11とVAIO Tap 20は個性的なボディデザインを採用していたが、VAIO Fit 15はオーソドックスなクラムシェル型ノートPCに仕上がっている。シャープな造形の天板と丸みを帯びたベースボディを組み合わせたスリムなフォルムは、全体的に「VAIO S」に似た雰囲気だ。天板とパームレストにヘアライン加工のアルミニウムを採用することで、金属の質感を強調している。
ピンクのカラーはローズ系に近い落ち着いたトーンだ。天板にはモールドし、ダイヤモンドカット加工を施したVAIOロゴがキラキラと光り、ひときわ目を引く。キーボードベゼルのやや淡いメタリックピンク、シルバーのキートップとのコントラストも絶妙で、女性受けがよさそうなイメージだ。
ボディのサイズは379(幅)×255(奥行き)×22.5(高さ)ミリで、重量は約2.6キロだ。このサイズは、以前にレビューした「VAIO Tシリーズ15(SVT15119CS)」とほぼ同じ(高さが0.3ミリ低い)で、Ultrabookの薄さの要件(画面サイズ14型以上のタッチパネル搭載モデルは23ミリ以下)を満たしているが、このVAIO Fit 15はUltrabookに準拠した製品ではない。
ソニーによれば、「薄さなどの条件は満たしているが、セキュリティに関する部分に相違がある。画面サイズが大きな14〜15型クラスでUltrabookといっても、あまり訴求力はないのではないか」とのことだ。Ultrabookとしての認定を受けることには、あえてこだわらなかったという。
確かに、持ち運びを前提としたモバイル向けのPCではないので、「インテル アンチセフト・サービス」などの重要性は低いだろう。また、いかにスリムであろうと2キロを超える14型や15.5型の製品ではUltrabookとしてアピールする意味があまりない、という点も同感だ。
薄型だが、光学ドライブをはじめ、2基のUSB 3.0と1基のUSB 2.0、有線LAN、HDMI出力、SDメモリーカードスロットと、ホームノートPCとしての使い勝手を損なわないだけのインタフェースはしっかりと備えている。
内蔵のリチウムイオンバッテリーは容量が約44.4ワットアワー(CPUID HWMonitor表示)で、公称のバッテリー駆動時間は約5時間となっている。
本体に付属するACアダプタは出力仕様が約45ワット(19.5ボルト/2.3アンペア)で、薄型軽量モバイルノートPCのACアダプタ並に小さく軽い。実測でのサイズは37(幅)×93(奥行き)×27(高さ)ミリ、電源ケーブル込みの重量は194グラム(電源ケーブルなしで150グラム)だった。
なお、バッテリーはユーザーが着脱できる構造にはなっていない。同様にメモリやストレージにアクセスできるような小さなカバーも用意されていない。この辺りはメンテナンス性よりもデザインや薄型化を優先した仕様だ。UltrabookやモバイルノートPCのトレンドを踏襲している。
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