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スマートフォン限定「地震津波の会」にみるウェザーニューズの“堅牢性”と“柔軟性”

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その目的は会員も減災の当事者になるコミュニティ

 8月8日に、奈良県を震源とする緊急地震警報が送出されたとき、多くの人たちが地震に関する情報を収集しようとして気象関連のWebサイトや大規模ポータルサイトにアクセスした。その結果、Yahoo!のトップページが一時陥落したのは、当日の大きなニュースとなった。

 このとき、気象関連の情報を提供しているウェザーニューズもトップページにアクセスが集中して反応が鈍くなる局面もあったが、その一方で、ウェザーニューズでも影響を受けずに情報を提供し続けたサービスがあった。それがスマートフォン、iPhone限定の「地震津波の会」だ。専用のサーバを用意しているため、ウェザーニューズ本体のアクセスが集中した場合でも、安定したアクセスが確保できるようにしていたが、意図せずそのことが先日の「奈良県を震源とする深度7の緊急地震警報」で実証できたという。

kn_wni02_01.jpg「地震津波の会」は、Android端末とiOS端末限定で提供する会員制のサービスだ

 地震津波の会は、災害発生時でも安定して関連情報を提供することを目的として2013年3月11日からAndroid版アプリの提供を開始している(iOS版の提供は3月26日から開始)。ただ、地震津波の会は単にユーザーに情報を提供するだけでなく、大規模災害が発生したときの情報伝達方法や、必要となる情報の種類について「会員とともに」考えるコミュニティとして機能することも大きな目的としている。その一環として「減災訓練」を定期的に行い、緊急地震速報をはじめとする情報サービスが正常に利用できるかをチェックするほか、緊急地震速報を受信したときの行動について考察する機会としても位置づけている。

 地震津波の会アプリをAppStore、もしくは、GooglePlayからダウンロードするときには無料でインストールできるが、その後、実際にサービスを利用するために会員登録と年会費3110円を支払うことになる。ただ、この費用は、ウェザーニューズが独自に設置運用している「津波レーダー」の建設運用にも使うという。会員は年会費という形で、世界でも類を見ないとウェザーニューズが説明する津波観測網の構築に貢献することになる。

 その意味で、地震津波の会は、ほかのポータルサイトのようにただ単に情報を提供(正確には、情報提供企業から受け取って掲載)するだけではなく、提供する情報の内容、方法、そして、災害時の行動などをウェザーニュースと一緒に考え、観測網の整備にも貢献するという「災害に向かい合う一員」としてユーザーも参加する。年会費3110円というのは、災害発生時のアクセス集中状態でも転送レートを確保できたり、津波レーダーで捉えたデータを2秒後とに視覚化して把握できたりといったインセンティブという意味だけでなく、災害に強い、そして、役に立つウェザーニューズを一緒に確立して観測網を整備する活動に参加するとという意味合いもある。

kn_wni02_03.jpgkn_wni02_02.jpg地震津波の会で提供する情報には、ウェザーニューズが独自で日本沿岸に整備している津波レーダー(写真=左)が捉えた津波の状況を2秒後とにリアルタイムで知らせる項目もある(写真=右)。この津波レーダーの整備費用としても地震津波の会の会費は役立っている

 ユーザーも参加するというコンセプトは、ウェザーニューズが提供する多くのサービスに共通する。典型的なのは日本全国各地からユーザーが画像とともに投稿するウェザーリポートだろう。リアルタイムで各地の天候をチェックできるだけでなく、その雲の状況から、豪雨や雷の兆候を捉えて精度の高い予想を立てることにも役立っている。ウェザーニューズが一般会員のリポートを参考にゲリラ豪雨の予報と災害回避をめざす「ゲリラ雷雨防衛隊」は、その典型的な例といえる。

 リアルタイムで情報を収集できるウェザーニューズの特性を生かして、災害発生時に必要となるサービスをすぐに立ち上げて提供できる柔軟性もウェザーニューズの特徴といえるだろう。2011年3月11日の大震災発生時には、発生当日の夜から情報集約Webページの開設作業にとりかかり、16日には特設サイトの提供を開始している。

kn_wni02_04.jpgkn_wni02_05.jpg会員リポートからゲリラ豪雨の災害を少なくしようという「ゲリラ豪雨防衛隊」(写真=左)。2011年3月11日の東日本大震災発生から1昼夜でサービスを開発して運用を開始した「東日本減災リポートマップ」(写真=右)

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