ミクシィが8月9日に発表した2013年4〜6月期連結決算は、2億5300万円の最終赤字(前年同期は5億6200万円の黒字)に転落した。赤字決算は上場来初。6月に就任した朝倉祐介社長は「厳しい状態だが立ち止まることなく、新たな事業成長に向けた取り組みを進めたい」と述べた。
SNS「mixi」の広告・課金売り上げとも減少。売上高は前年同期比39.4%減の21億4400万円。営業損益は8400万円の赤字(前年同期は8億8900万円の黒字)、経常損益は1億9300万円の赤字(前年同期は8億7100万円の黒字)、最終損益は2億5300万円の赤字(同5億6200万円の黒字)に転落した。通期の予想(売上高120〜135億円、営業利益10〜20億円)は変えない。
グループのスマートフォンサービスの月間ログインユーザー数(ほとんどがSNS「mixi」のもの)は、3月時点で993万人だったが、6月には795万人に減少。「ユーザーファースト」「スマホファースト」を掲げてサービス改善をはかってきたが、ユーザーのつなぎとめにはつながっていないようだ。
課金収入は14億400万円と、前四半期(15億3300万円)から1割近く減少。mixiゲームリニューアル後の課金利用の立ち上がりが想定より遅かった影響で、ゲーム課金収入が減った。広告売り上げは4億7200万円と前四半期(8億5600万円)からほぼ半減。スマートフォン版「mixiゲーム」リニューアルに伴い同サービスの自社広告を集中投入した影響で、前四半期まで拡大を続けていたスマートフォン向け広告が減少に転じた。
利益確保に向け、中国の開発拠点を閉鎖するなどコスト削減を行う一方で、ユーザーつなぎとめ・拡大のための投資は続ける。今後もスマートフォンアプリを次々にリリース予定。春先には8.8%だった社内のスマホエンジニア比率は、研修などを通じて44.0%にまで引き上げたという。
近く「mixiニュース」や「mixi日記」を単体アプリとして切り出して公開するなど、アクティブ率が高いmixi内のサービスについて単体アプリ化を推進。mixiと連携しないゲームアプリも開発していく。「mixiゲーム」の魅力的なタイトルの拡充や、スマホWeb向け「mixi Touch」のホーム画面を着せ替えられる「mixiコレクション」、mixi日記を書籍化する「mixiダイアリーブック」など、課金サービスも拡充して利益拡大をはかる。
ユーザーが20万を突破したフォトブックサービス「ノハナ」を9月に分社化するなど、新規事業の立ち上げ・拡大にも引き続き注力する。
朝倉社長は「織り込み済みだったものがあるが、業績面では前期に比べると厳しい状態になっている。引き続き新しい事業を推進し、立ち止まることなく新たな事業成長に向けて取り組みたい」と述べた。
関連記事
- 「まだまだミクシィは終わらない、第2の黄金期を作る」──新社長が抱負、mixiはスマホアプリにシフト
ミクシィ創業者・笠原氏の後を継いで社長に就く朝倉氏ら新体制でmixiはスマホネイティブアプリへのシフトを進めるほか、「変革」を積極化。朝倉氏は「ギラついたミクシィを取り戻したい」と意気込む。 - 「なぜスーツか、お答えします」 ミクシィ経営陣がスーツで会見に臨んだ理由、川崎氏がmixiで説明
ミクシィの新経営陣が会見でスーツを着用していたことを「保守的だ」と批判する記事が話題になったことを受け、同社執行役員の川崎裕一氏が、スーツ着用の意図をmixi日記で説明した。 - ミクシィ笠原社長が退任 朝倉氏が昇格
ミクシィ創業者の笠原社長が代表権のない会長に退く。後任には朝倉執行役員が昇格。 - mixiユーザー同士で商品売買できる「mixiマイ取引」
mixiユーザー同士が商品やチケットなどを売買できる「mixiマイ取引」がスタートした。 - 「mixi日記」を本にできるサービス、今秋スタート 2万人要望
ユーザーの「mixi日記」をオリジナルデザインの本にできるサービスが今秋開始。2万人近い要望があったという。 - ミクシィ、スマホ向け思い出共有サービス「Plannah」公開 イベントごとにアルバム作成
ミクシィは、スマホで撮影した写真をイベント単位のアルバムとして共有できる新サービス「Plannah」(プランナー)をリリースした。社内ベンチャーとして立ち上がった同社新規事業の第4弾だ。 - ミクシィ、学習管理サービス「Studyplus」運営会社など2社に出資
ミクシィが、学習管理サービス「Studyplus」を運営するクラウドスタディと、少人数SNSアプリ「Close」を開発するREVENTIVEへの出資を発表した。
関連リンク
Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.