米Amazon.comの創業者で同社のCEOを務めるジェフ・ベゾス氏(49)が、米国の老舗新聞社のWashington Postを買収することで合意に達した。Washington Postが8月6日(現地時間)、記事として発表した。買収総額は2億5000万ドル。取引は約2カ月で完了の見込みだ。
この買収は、Amazon.comではなく、ベゾス氏が個人で行うものという。米Forbsの2013年の長者番付によると、ベゾス氏の資産は252億ドルだ。
買収完了後、社名(The Washington Post Company)は変更されるが、Washington Post紙はそのまま、幹部チームも変わらず運営する。
ベゾス氏はWashington Postの社員に宛てた公開書簡で、買収完了後も会社が変わることはなく、オーナーである自分の私益に使われることはないと説明。自分は経営に直接たずさわるつもりはなく、現在のすばらしい幹部チームに運営を任せるという。
その上で、インターネットによってもたらされた情報サイクルの短縮などの変化に対応するための改革を進めていくとしている。
Washington Postは1877年創業のワシントンD.C.に拠点を置く老舗新聞社。場所柄もあり、政治に詳しく、70年代のウォーターゲート事件のスクープで有名だ。最近では、元CIA職員のウィリアム・スノーデン氏がNSAの極秘データのリーク先として、英GuardianとともにWashington Postを選んだことが記憶に新しい。
だが、インターネットの台頭に押され、新聞部門の売上高はここ6年間で44%減少。紙版の発行部数は今年上期で7%減少し、取締役会は売却を検討しはじめていたという。
同社は1933年に破産した際にユージーン・メイヤー氏が買収し、1946年に義理の息子であるフィリップ・グラハム氏が引き継いで以来、グラハム一族が運営している。現在のCEOであるドナルド・グラハム氏は「われわれ一族は皆、会社を売却するという考えに最初はショックを受けたが、ジェフ・ベゾス氏に売却するというアイデアで、気持ちが変わった」と語った。
ベゾス氏によると、グラハム氏とは10年来の知り合いで、グラハム氏を「これほど素晴らしい人を他に知らない」と評している。
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