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IBMの「Watson」が“作った”料理はうまいのか? 実際に食べてみた

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 「今日の夕飯、何を作ろうか……?」と悩む自炊派や、「夕食なんでもいいよ」と言って奥さんに怒られている“お父さん”に朗報だ。コンピュータが料理のレシピを教えてくれる時代は、すぐそこに来ているかもしれない。

 人間の話し言葉を分析し、データを蓄積することで自ら“学習”するスーパーコンピュータシステム「Watson」。この開発を手がけるIBMは、Watsonを活用した料理のサポートアプリケーション「Chef Watson」を開発。この英知を料理に活用する動きを進めているのだ。

photoChef Watsonの画面。キーワードを入れてレシピを検索すると、Watsonがレシピを提案してくる。料理の材料だけでなく、調理手順も表示される

 Chef Watsonは膨大な料理のレシピデータを基に、ユーザーが提示する材料やイベント(ランチ、冬、クリスマスなど)といった条件に合ったレシピを提示してくれる。どの食材の組み合わせが良いかを分析し、未知の組み合わせと味わいを提案するという。

 このChef Watsonと一流シェフがタッグを組んだらどんな料理ができあがるのか——。そんな“おいしい”実験が、東京・西麻布にあるフランス料理店「レフェルヴェソンス」で開催された。

Watsonが“作った”料理とは?

 今回、Chef Watsonと料理を作ったのは、レフェルヴェソンス エグゼクティブ・シェフの生江史伸氏。出てきたメニューは食前のカクテルからデザートまでの5品だ。いずれも、日本の素材と季節感を重視したメニューという。まずはその料理を紹介しよう。

photophoto当日のメニュー(写真=左)。1品目はカクテル。「みかん」「パンチ」「休日」という3つのキーワードで出てきたという。「休日のようにリラックスしてコース料理を楽しんでほしい」(生江氏)という思いがあるそうだ(写真=右)
photo2品目は前菜。キーワード「蟹」「ソテー」「フランス風」の3つ。「寒い日が続いているので暖かいスープをWatsonにオーダーした」(生江氏)とのこと。パスタのように見えるのは大根だ
photo3品目は野菜料理。「レフェルヴェソンスの代表料理である“かぶのソテー”をWatsonがどう新しくするか見たかった」(生江氏)という。その結果、レタスやマッシュルームといった材料が加わり、新たな味わいになったそう。キーワードは「かぶ」「ソテー」「フランス風」の3つ
photo4品目はメインの肉料理。厚めのローストビーフにホースラディッシュのソースを合わせた一品。キーワードは「牛肉」「ロースト」「冬」。「ぜいたくな冬の料理をイメージした」(生江氏)そうだ。
photo5品目はデザート。季節に合わせて栗を使ったデザートをWatsonにオーダーしたという。キーワードは「栗」「パルフェ」「クリスマス」。いちごなどが材料に加わり、赤、白、緑と色鮮やかなメニューとなった。周りはメープルシロップで飾り付けている

 もちろん記者は5品とも食べたのだが、はっきり言ってしまえば、どれもおいしすぎた。Watsonが提示する100以上のレシピの中から、生江氏が料理を選び、日本人向けに食材や調理温度などをアレンジしたものだという。Chef Watsonはアメリカのフードマガジンのデータに基づいているため、「一部、日本にない材料などもあった」(生江氏)という。

 Watsonが提示したレシピとはいえ、一流シェフが監修したんだからおいしいのは当たり前……そう思う人もいるかもしれない。しかし、Watsonとコラボレーションしたことで、生江氏にも思わぬ気付きがあったという。

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