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「きかんしゃトーマス」は成功、自治体とは絶縁寸前? 大井川鐵道に忍び寄る廃線の危機

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杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP


 鉄道と自治体の関係について、私が今、最も心配しているローカル鉄道がある。静岡県の大井川鐵道だ。大井川鐵道といえば、2014年夏のリアルな「きかんしゃトーマス」が大成功した(関連記事)。あのにぎわいを見れば廃線の危機など想像できないだろう。しかし、大井川鐵道はトーマスの実現に奔走する一方で、地元自治体をガッカリさせている。

 2014年2月、大井川鐵道は地元自治体への協議なしに、普通列車の減便ダイヤ改正を発表した。その直前に島田市長と川根本町長を訪問している。しかしこれは相談ではなく報告であり、加えて、経営支援策を検討してほしいと要請する内容だったのだ。

 ローカル鉄道の経営は厳しい。単体で営業黒字となっている路線はほとんどない。地方の鉄道会社は、鉄道事業の赤字をバス事業などの付帯事業で何とか補っている。しかし、鉄道事業の赤字は大きくなるばかり。自動車の普及や少子化傾向で利用者が減り、老朽化施設の更新費用や燃料高騰で負担はますます大きくなる。収入が減って支出は増える。とうとう自社の努力では限界となって、沿線自治体の支援を乞う事態になる。

 問題はここからだ。沿線自治体にとって鉄道が必要不可欠ならば支援の道が開ける。しかし、地元自治体に対して貢献度が低ければ「鉄道はいらない」となる。

普段の大井川鐵道の姿。普通列車は近鉄特急電車の中古品。乗り心地は良いが傷みは多い普段の大井川鐵道の姿。普通列車は近鉄特急電車の中古品。乗り心地は良いが傷みは多い
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