KADOKAWA・DWANGOは11月13日、経営統合前のドワンゴの2014年9月期通期決算とKADOKAWAの4〜9月期決算を発表した。ドワンゴはポータル事業の拡大などで大幅な営業増益だった一方、KADOKAWAは営業赤字を計上した。
ドワンゴの14年9月期通期の連結決算は、売上高が前期比15.4%増の414億円、営業利益は49.9%増の31億9300万円だった。
niconicoを運営するポータル事業では、9月末時点のプレミアム会員が236万人に拡大。売上高が15.1%増の184億6900万円、営業利益は55.1%増の32億8200万円と大幅な増収増益だった。「ニコニコ超会議」などを展開するライブ事業は赤字だったが、モバイル事業の増益やゲーム事業の好調も貢献した。税支払いの増加で最終損益は3.2%減の21億9900万円だった。
KADOKAWAの14年4〜9月期連結決算は、売上高が前年同期比2.4%減の704億円にとどまり、営業損益は9億3300万円の赤字だった。
ここ数年好調だった文庫やコミックスの売り上げ減や返本率の上昇で収益性が低下したほか、雑誌販売・雑誌広告収入の減少。映像関連も配給・パッケージともに点数減や小規模作品の比率が高かったことで減収だった。一方、電子書籍の売り上げは高く伸びているという。
最終損益は8億3500万円の赤字だった。
業績見通しの開示見送り
経営統合後の10〜3月期の連結業績予想は開示しない方針。「変化の激しい経済環境の中、さらなる成長を目指し事業構造の改革や新規事業への積極的進出を行なっており、短期的な視野で企業活動の動向を見極めることは困難と判断した」として、合理的な算定ができないためと説明している。
また経営統合の際、KADOKAWAの時価純資産額が取得原価を上回ったとして、差額の約260億円を「負ののれん」として10〜12月期に特別利益として計上する見通し。時価評価により金額は変動する可能性があるとしている。
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