グローバルで展開するクラウドサービス大手事業者による国内データセンター設置化が加速している。
11月12日に日本アイ・ビー・エムがパブリッククラウド基盤「SoftLayer」の日本企業向け施策強化とともに、東京データセンターを2014年12月半ばに開設すると告知。翌11月13日、日本マイクロソフトも法人クラウド事業の強化策として、オフィスツール+情報共有クラウドサービス「Office 365」、クラウド型顧客管理アプリケーション「Dynamics CRM Online」も国内データセンターより提供することを発表した。
マイクロソフトは2014年2月、パブリッククラウド基盤「Azure」のためのデータセンターを国内2拠点で先行して設置。これに、同社が“クラウド3兄弟”と位置付けるOffice 365とDynamics CRM Onlineも国内データセンターで提供する。Office 365は2014年内に、Dynamics CRM Onlineは2015年第一四半期まで提供をはじめる予定。新規顧客は日本に主所在地がある企業であればそのまま国内データセンターで。国内既存顧客には、約6カ月前の予告期間通知とともに2014年半ばからを目標に国内データセンターへ順次自動移行される。既存のシンガポール、香港などのデータセンターのままでよいなど、移すか否かの選択もできる。
「マイクロソフトの“クラウド3兄弟”がAzure、Office 365、Dynamics CRM。2月の国内データセンター開設で、急速に日本企業の引き合いが高まった。弊社のクラウドサービス事業も前年比2.5倍に伸びている。顧客の感心の高まり、そしてクラウドインフラが大きく日本に普及できる土壌も整ってきた。日本のお客様は、グローバルレベルのパブリッククラウドサービスを、なにより提供拠点が国内にあることの柔軟性を享受できる。これまで国内の規正などで、国内にデータを保管することがクラウド利用の要件とされていた金融や官公庁、自治体、医療などの分野にもクラウド利用の選択肢を広げられる。もちろん、これまでのオンプレミス環境と容易に連携できることも強み。また、オンプレミス環境からの移行についても、幅広いパートナー各社から、各企業の多用かつ幅広い要望にきめ細かく応えるソリューションを用意するエコシステムもある。今回の“安心”の提供により、日本のパブリッククラウドないしハイブリッドクラウド環境への移行が一層進むとみている」(日本マイクロソフトの樋口泰行社長)
日本には、クラウド導入要件の1つとして「海外のデータセンターにデータを預けるのは、漠然としたセキュリティリスク、不安を感じる」とする企業も多い。「日本にデータセンターがある──」。特に重要な顧客情報や技術情報を持つ、あるいは規制がある金融業、政府自治体、医療関係、製造業などの業界、業種に対して、ひいてはこれら業界の要件にも合致する土壌を整え、「これなら安心できますよ」と、導入の推進をより図る考えだ。ひいては、競争が激しく、普及が進みつつあるパブリッククラウドサービスにおいて、“迷っている企業”は当然として、これから検討する企業も多分にある。「他社に先駆けて今のうちに──というもちろんある。それだけもう競争が激しくなっている」(アナリスト)ようだ。
「Microsoftはクラウドに本気。グローバル企業はもちろん、日本企業にもきちんと向いていることを積極的にアピールする。業務部門も経営層も、基盤も、アプリも、データも、ユーザーインタフェースも、(Officeなど)使い慣れた操作性で一貫性がある優れたプロダクティビティを提供していることがライバルサービスに対する強み。日本は特にモノ作り、開発の分野を考えると重要で、やはり大きな市場。この成長は、われわれの生命線でもあり、Microsoftの成長にも必要な市場と位置付けている」(Microsoftのジョン・ケースコーポレートバイスプレジデント)
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