2014年9月19日に発売された「iPhone 6 / iPhone 6 Plus」だが、これらの新しいiPhoneはビジネスにおけるスマートデバイスの導入や活用をさらに促進するだろう。
筆者が発売日から執筆時の本日(9月24日)までiPhone 6 Plusを手にして感じたのは、5.5インチといった画面サイズの大型化がもたらすであろう「潜在的なiPadユーザーの取り込み」だ。
1つは、閲覧用デバイスとしての進化だ。iPhone 6 PlusでiOS標準のメールアプリを起動して気付くのは、画面を横向きにすると2カラムで表示され、左カラムはメール一覧、右カラムはメールの詳細といったiPadのユーザーインタフェースに近いものとなっている。このように、大画面化により従来の小さな画面では実現できなかったコンテンツの見せ方が可能となったため、より多くの情報を効率的に表示させることができる。
もう1つは、入力用デバイスとしての可能性だ。iPhone 6 Plusではデバイスの大型化によりキーボードの入力がしづらくなったという声を多く聞くが、筆者は横画面でのフリック入力に慣れると、むしろ快適な入力環境になると感じている。また、iOS8からiOS標準のキーボード以外のキーボードも利用できるようになったため、専門用語の入力の簡易化や手書き文字の入力など、特定の業務用に特化されたキーボードが活躍する場面も今後は出てくるだろう。
このように、閲覧用デバイスと入力用デバイスの双方の機能が向上したため、スマートフォンとタブレットの要素を併せ持つ「ファブレット」としての活用も期待される。冒頭に述べたように、潜在的なiPadユーザーの取り込みも可能となるだろう。
一方で、iPhone 6についてはどうだろうか。手にして感じるのは、多少サイズが大きくなったとはいえ、スマートフォンとしての「iPhone 5s」の進化版という印象だ。iPhone 6 Plusとは異なり、iOSに標準で搭載されているカレンダーアプリやメールアプリのインタフェースも2カラムではなく1カラムになっており、iPhone 5sと同様、スマートフォンとしての従来と同じインタフェースが最適である。そのため、iPhone 6はファブレットというより、引き続きスマートフォンとしての活用が企業においても進むだろう。
最後に、現段階では仕様が公開されておらず、決裁機能「Apple Pay」への対応のみが伝えられているため推測の域を超えないが、iPhone 6 / iPhone 6 PlusからはNFC(近距離無線通信の国際標準規格)が搭載されていることで、将来的には従業員の入退出管理や設備機器の保守管理など、NFCの業務活用も実現できるようになるかもしれない。
このように、新デバイスの登場は、ビジネスにおけるさまざまな新しい可能性を提供するだろう。
著者プロフィール
手塚康男
株式会社ジェナ 代表取締役
慶應義塾大学環境情報学部在学中より複数のモバイル関連ベンチャーに参画し、2006年に株式会社ジェナを設立。現在はジェナ代表取締役社長のほか、一般社団法人iOSコンソーシアム理事を務める。また、年間50本を超えるスマートデバイス関連の講演を行い、日々スマートデバイスのビジネス活用の普及に努める。
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