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iPhoneの歴史――12の転機(後編)

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 2007年に発売されて以来、スマートフォン市場をけん引し続ける「iPhone」。前編に続き、iPhoneの転換期を見ていこう。

【7】2011年2月3日:キャリアの選択が自由に

 AppleとAT&Tとの間では独占契約が締結されていたが、Verizonが自社のネットワークをiPhoneに提供し始めたことを受け、その独占的な契約関係は終わりを迎えることになる。iPhoneユーザーはついに、通信事業者(キャリア)間の競争によるメリットを享受できるようになった。

【8】2011年4月15日:特許係争が始まる

 競合他社がiPhoneのまねばかりすることにうんざりしたAppleは、Samsung Electronicsを相手取り、訴訟を起こす。Appleは、Samsungが自社で独自に開発することなく、Appleの技術やインタフェース、デザインなどをそっくりそのまま、まねたとして非難した。その3年後、Appleは法廷において、Samsungに対し勝利を獲得する。

 しかしAppleは、法的には勝利を収めたものの、ほとんど何も得ることができなかった。Samsungに課された賠償金が、Appleが求めていた金額を大幅に下回っただけでなく、Appleが最も強く望んでいたSamsung製品の米国内における販売差し止め命令についても、勝ち取ることはできなかった。AppleとSamsungは2014年8月、最終的に休戦に応じ、米国外における両社間の訴訟を取り下げることに合意している(関連記事:アップル対サムスン、特許係争再び)。

【9】2011年10月5日:ジョブズ氏が死去

 Appleの共同創設者でありCEOを務めたSteve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏が、長い間患っていた膵臓(すいぞう)がんのために死去した(関連記事:「無線LAN普及の父でもあった」、Steve Jobs氏の隠れた功績)。新たにCEOに就任したTim Cook氏のリーダーシップに基づき、Appleはその後約3年間で、いろいろな意味でよい方向に変化してきた。しかし同社は、iPhoneのような革新的な製品を開発できる力が残っているのかどうかは、まだ実証できていないようだ。

【10】2012年9月19日:不評だった地図アプリ

mm140924_apple.jpg写真はイメージです

 AppleとGoogleの間で、「Google Map」データのライセンス供与をめぐり対立が生じたことを受け、Appleは「iOS 6」向け地図アプリ「Apple Maps」を独自に開発し、マップデータを提供し始めた。しかし、Apple Mapsの精度が低かったために激しく非難されることになる。Cook氏はこの9日後に、正式な謝罪を発表した。

【11】2012年10月12日:経営陣の処遇を発表

 Appleは、マップの不具合に対する責任追及に動く。同社のソフトウェア担当シニアバイスプレジデントだったScott Forstall氏の辞任を発表し、経営幹部であるJony Ive氏やBob Mansfield氏、Eddy Cue氏、Craig Federighi氏らに職責を追加することを明らかにした。報道によると、Forstall氏は、Apple Mapsアプリの不具合に関する謝罪文に署名することを拒否したために、辞任に追い込まれたとみられている。

 経営陣を刷新したことにより、Appleが自社のクラウドサービスを改善していきたい考えであることが強調される形となった。クラウドサービスはその後、iOSやMac用OS「OS X」の新バージョンの中で、重要な役割を担っていくことになる。

【12】2013年9月18日:「iOS 7」が幸運をもたらす

 Appleは、「iOS 7」を発表したことにより、主要なインタフェースのオーバーホールを実現しただけでなく、アプリの自動更新機能など、これまで切望されてきた機能を提供できるようになった。さらに、その2日後となる9月20日に、iPhoneの新型機種として「iPhone 5s」と「iPhone 5c」を発表する(関連記事:iPhone 5を分解、新型プロセッサ「A6」の謎に迫る)。iPhone 5cは、Appleのフラッグシップ端末iPhone 5sの廉価版だ。このことからも、Appleが、Android端末の幅広い多様性に対抗していく上で、自社製品のラインアップを拡充することの必要性を認識していることが分かるだろう。iPhone 5s/iPhone 5cの販売台数は、発売後3日間で合計900万台を達成した。ちなみに、初代iPhoneの販売台数が100万台となったのは、発売開始後74日目だった。

 こうしてiPhoneは発売されて8年目となる2014年を迎えた。現在のスマートフォン市場はAndroidのシェアが他を圧倒している。米国の市場調査会社IDCが2014年8月に発表したところによると、2014年第2四半期におけるスマートフォンのシェアは、Android端末が84.7%、iPhoneが11.7%、Windows Phoneが2.5%だという。

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【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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