ソニーは9月3日(現地時間)、ドイツ・ベルリンでプレスカンファレンスを開催し、「スマートグラス」のコンセプトモデルを発表した。発表会当日に実物を見かけることはなかったものの、翌日の同会場でスマートグラスの展示を見かけたので早速紹介していきたい。
スマートグラスとはデジタル情報端末としての機能を有したメガネ型デバイスを指し、世間的には「Google Glass」で比較的メジャーな存在になったと考える。Google Glassは基本的にスマートフォンとの連携を前提にしており、各種操作は擬人化された機械アシスタントと対話形式で行う。必要な情報はGoogle Glass前面に設置されたキューブ状のディスプレイに表示され、背景に透過する形で情報が表示。この仕組みは「HUD(Head-Up Display)」などと呼ばれている。
ソニーのスマートグラスも、このHUD方式を採用しており、緑色のモノクローム調で文字や記号が背景に透過する形で表示され、ユーザーはスマートフォンなど、手元にある端末のディスプレイを見ずとも視線はそのままで各種情報を確認できる。左右同時に緑色のメニュー表示部が確認できるが、実際には左右で同じ情報が表示されているとみられる。
ただし、外見的にはキューブ状のディスプレイが特徴的なGoogle Glassとは異なり、通常の「サングラス」のような形状だ。またデバイスの構成がこのスマートグラスと、ケーブル接続されたリモコンの2つに分かれている。Google Glassの場合、バッテリーやインテリジェントな部分を含めてすべてがメガネ側のデバイス本体に内蔵されていたが、ソニーのスマートグラスはバッテリーから基板、マイクといった機能の多くはこのリモコン側に搭載されており、グラス側が比較的シンプルな形状になっているのだと考えられる。
リモコンには充電状態や通信状態を示すLEDのほか、電源や操作ロックをつかさどるトグルスイッチが用意されている。このほかバッテリーのチャージやデータ送受信に用いるUSBポート、「カメラ」「Back(戻る)」「Talk(通話)」の各ボタンもあった。このほかリモコン側面の切り欠きのような部分にタッチセンサーが搭載され、軽くタップすると「選択」と同じ動作になり、左右にスワイプ動作すると「メニュー切り替え」となる。ちょうどソニーやSamsungがリリースしているスマートウォッチなどでおなじみの操作を想像すると分かりやすい。実際に画面を紹介できないのが残念だが、このスマートグラスに表示される情報もごくシンプルなもので、テキスト文字やちょっとした記号を組み合わせたものとなっているなど、未来的な印象とは裏腹にあまり派手さはない。表示の切り替えそのものも速くなかった。
またリモコンにはNFCが内蔵されており、NFC対応スマートフォンにタッチすることで簡単にペアリングできる。スマートグラスに内蔵されたカメラでの撮影や情報参照を行う場合はスマートフォンとのペアリングが前提となっており、撮影データの転送やネットへのアクセスはスマートフォンを利用することになる。スマートフォン側のアプリとの組み合わせでできることが増えるようになっているとのことで、使い方はアイデア次第といったところだろう。
あくまでコンセプトモデルの位置付けであり、まだほとんど作り込みは行われていない。例えばソニーのスマートグラスにはリモコン部にマイクは搭載されているものの、スピーカーは存在しないため、別途イヤフォンやスマートフォンのスピーカーを利用する必要がある。また、できることの多くはスマートフォン側のアプリに依存するため、今回のデモの段階で出来ることはほとんどない印象だ。
ソニーは今年のCES 2014で、同種のスマートグラスを通してサッカーの試合を見ると「選手データや試合状況」を参照できるデモを紹介していたが、このメガネ部分だけを切り出し、スマートフォンとの連携で汎用的なアプリケーションでも利用できる仕組みを作ったのが、今回のスマートグラスだといえる。おそらく来年2015年のCESには、これをさらにブラッシュアップしたプロトタイプが登場するのだろう。興味ある方はぜひ経過を追ってみてほしい。
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