「ツートップ」「おすすめ機種」など、2013年のドコモは商戦期ごとにプッシュしたい機種を打ち出してきたが、2014年夏モデルでは特定のモデルを訴求する方針は取らなくなった。加藤社長も発表会で「おすすめは全機種」と話していた。
この夏は7機種のスマートフォンを発表したドコモだが、なかでも「おすすめ」と言って差し支えないのが「ARROWS NX F-05F」「GALAXY S5 SC-04F」「AQUOS ZETA SH-04F」「Xperia Z2 SO-03F」の4機種だろう。いずれも5型以上のディスプレイや1000万画素以上のカメラ、そしてLTEネットワーク上で通話ができる「VoLTE」に対応するなど、過不足のないスペックを実現している。
最新スマートフォン徹底比較の2014年夏モデル編では、これら4機種を取り上げて、主な機能を比較していきたい。今回は基本スペックや持ちやすさ、画面の見やすさについてまとめた。
まずは4機種の概要をおさらいしておこう。
ARROWS NXは、「スマホ史上最高」をうたう日本語入力システム「Super ATOK ULTIAS」がウリのモデル。スマホ版ATOKとして初めて「日本語英語辞書」「郵便番号辞書」「町名住所変換辞書」「6地域の方言辞書」などを搭載した。ディスプレイには新しい「WhiteMagic」を搭載し、直射日光の下でも見やすい1000カンデラもの明るさを実現した。カメラは2070万画素のCMOSセンサー「Exmor RS for mobile」を搭載している。
GALAXY S5はカメラ機能が進化し、画素数が1600万にアップしたほか、位相差オートフォーカスによって、約0.3秒の高速なオートフォーカスが可能になった。30Mバイト以上のデータをダウンロードする際に、LTEとWi-Fiを同時に接続することで高速にダウンロードできるのもこの機種ならでは。背面のセンサーに触れるだけで心拍数を計測できる心拍数モニターも搭載。日本で発売されたGALAXY Sシリーズとしては、初めて防水性能に対応した。
AQUOS ZETAは、ディスプレイのフレームを極限まで小さくした「EDGEST」設計を採用したモデル。5.4型という大きなディスプレイは、今回取り上げている4機種の中では最も大きい。シャープのスマートフォンでおなじみの「IGZO」もディスプレイに搭載しており、3300mAhのバッテリーと合わせて、高いスタミナを実現した。カメラには、プロっぽい構図で撮れるようアドバイスしてくれる「フレーミングアドバイザー」を採用した。
Xperia Z2は、ドコモ夏モデルの中でも特に売れている人気機種。メタルと樹脂を一体成型したボディは、角に丸みを持たせることで、持ちやすさにもこだわった。5.2型のディスプレイは、新開発の「Live Color LED」によって赤や緑の色域が広がり、さらに色鮮やかな表現が可能になった。暗い場所でも鮮明に撮影できるカメラをZ1から継承したほか、3840×2160ピクセルの4K動画も撮影可能に。音楽面ではデジタルノイズキャンセリングに対応し、前面にはステレオスピーカーも装備した。
基本性能の高い機種は?
続いてスペックを見ていこう。
まずはサイズ。4機種とも5型以上のディスプレイを備えているだけあり、横幅は70ミリ前後と太い。その中で、5型のARROWS NXが唯一の60ミリ台の約69ミリとなっている。厚さはXperia Z2の約8.2ミリが最も薄く、重さは約147グラムのGALAXY S5が最も軽い。
プロセッサは4機種ともQualcomm製のSnapdragonで、ARROWS NX、AQUOS ZETA、Xperia Z2がMSM8974AB、GALAXY S5がMSM8974ACを搭載。違いはクロック周波数で、ABが2.3GHz、ACが2.5GHz。メインメモリはXperia Z2が唯一の3Gバイトとなっており、複数のアプリを同時に立ち上げて利用するようなシーンでも、より安定して使えることが期待される(筆者は実際にXperia Z2を使っているが、動きが緩慢になるようなことはめったにない)。
バッテリー容量は4機種とも3000mAh前後で心強い。中でもAQUOS ZETAの3300mAhが最大で、これに比例して連続通話時間、連続待受時間、実使用時間はこの中では最長だ。静止表示中の消費電力を特に抑える「IGZO」をディスプレイに搭載していることも大きい。
カメラの画素数は、メインカメラは20メガピクセルのARROWS NXとXperia Z2が最高で、インカメラは2メガピクセルのGALAXY S5、AQUOS ZETA、Xperia Z2が高い。
テレビ機能は、ワンセグとNOTTVは4機種とも搭載しており、フルセグはGALAXY S5以外の3機種が視聴できる。テレビ機能の使い勝手を左右するテレビアンテナは、ARROWS NXとAQUOS ZETAが内蔵、GALAXY S5とXperia Z2が外付けとなっている。
卓上ホルダはGALAXY S5とXperia Z2のみが対応しており、2機種とも付属している。ARROWS NXとAQUOS ZETAでは卓上ホルダは利用できないが、充電用のMicro USB端子のカバーがないので、手軽に充電ができる。GALAXY S5とXperia Z2のMicro USB端子はカバー付きなので、ケーブルを直接挿して充電するのは少々煩わしい。
赤外線通信はARROWS NXのみが対応している。防水、おサイフケータイ、NFC、Miracastは4機種ともサポートしている。VoLTEもアップデートによって利用可能になる。
ARROWS NX F-05F | GALAXY S5 SC-04F | AQUOS ZETA SH-04F | Xperia Z2 SO-03F | |
---|---|---|---|---|
OS | Android 4.4 | Android 4.4 | Android 4.4 | Android 4.4 |
サイズ(幅×高さ×厚さ) | 約69×140×10.4(最厚部約11.2)ミリ | 約73×142×8.3(最厚部約9.6)ミリ | 約74×140×9.3ミリ | 約73×147×8.2ミリ |
重さ | 約159グラム | 約147グラム | 約154グラム | 約163グラム |
プロセッサ | Qualcomm MSM8974AB(2.3GHzクアッドコア) | Qualcomm MSM8974AC(2.5GHzクアッドコア) | Qualcomm MSM8974AB(2.3GHzクアッドコア) | Qualcomm MSM8974AB(2.3GHzクアッドコア) |
ディスプレイ | 約5.0型フルHD(1080×1920ピクセル)TFT液晶(WhiteMagic) | 約5.1型フルHD(1080×1920ピクセル)有機EL(Super AMOLED) | 約5.4型フルHD(1080×1920ピクセル)TFT液晶(IGZO) | 約5.2型フルHD(1080×1920ピクセル)TFT液晶(トリルミナスディスプレイ for mobile) |
連続通話時間 | LTE:約890分 3G:約840分 GSM:約720分 | LTE:約1020分 3G:約1020分 GSM:約700分 | LTE:約1420分 3G:約1380分 GSM:約1070分 | LTE:約1160分 3G:約930分 GSM:約810分 |
連続待受時間 | LTE:約720時間 3G:約860時間 GSM:約690時間 | LTE:約440時間 3G:約500時間 GSM:約440時間 | LTE:約770時間 3G:約900時間 GSM:約750時間 | LTE:約570時間 3G:約650時間 GSM:約570時間 |
実使用時間 | 約88.2時間 | 約65時間 | 約101.7時間 | 約79.2時間 |
バッテリー容量 | 3200mAh | 2800mAh | 3300mAh | 3200mAh |
メインカメラ | 有効約2070万画素CMOS | 有効約1600万画素CMOS | 有効約1310万画素CMOS | 有効約2070万画素CMOS |
インカメラ | 有効約130万画素CMOS | 有効約210万画素CMOS | 有効約210万画素CMOS | 有効約220万画素CMOS |
ストレージ | 32Gバイト | 32Gバイト | 32Gバイト | 32Gバイト |
メインメモリ | 2Gバイト | 2Gバイト | 2Gバイト | 3Gバイト |
外部メモリ | microSDXC(最大64Gバイト) | microSDXC(最大128Gバイト) | microSDXC(最大128Gバイト) | microSDXC(最大128Gバイト) |
防水 | IPX5/IPX8 | IPX5/IPX7 | IPX5/IPX7 | IPX5/IPX8 |
ワンセグ | ○(録画可能) | ○(録画可能) | ○(録画可能) | ○(録画可能) |
フルセグ | ○(録画可能) | − | ○(録画可能) | ○(録画可能) |
NOTTV | ○ | ○ | ○ | ○ |
テレビアンテナ | 内蔵 | 外付け | 内蔵 | 外付け |
おサイフケータイ | ○ | ○ | ○ | ○ |
NFC | ○ | ○ | ○ | ○ |
卓上ホルダ | − | ○(同梱) | − | ○(同梱) |
ワイヤレス充電 | − | − | − | − |
指紋センサー | ○ | ○ | − | − |
LTE通信速度 | 下り最大150Mbps/上り最大50Mbps | 下り最大150Mbps/上り最大50Mbps | 下り最大150Mbps/上り最大50Mbps | 下り最大150Mbps/上り最大50Mbps |
Wi-Fi | IEEE802.11a、b、g、n、ac | IEEE802.11a、b、g、n、ac | IEEE802.11a、b、g、n、ac | IEEE802.11a、b、g、n、ac |
Bluetooth | V4.0 | V4.0 | V4.0 | V4.0 |
赤外線通信 | ○ | − | − | − |
Miracast | ○ | ○ | ○ | ○ |
MHL | − | ○ | − | ○ |
VoLTE | ○ | ○ | ○ | ○ |
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