8月1日に始動する第4のキャリア「Y!mobile」。狙うターゲットは、スマートフォンを買うのに重い腰が上がらない“非スマホ”ユーザーだ。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルといった3大キャリアと、低価格でスマホを利用できる“格安スマホ”の中間的存在と自らを位置付けるワイモバイルは7月17日に新製品・サービス発表会を開催。携帯電話市場を勝ち抜くための戦略を語った。
「分かりやすい、安い、シンプル」な新料金プラン
「Y!mobile」のTシャツ姿で現れたワイモバイル代表取締役社長兼CEO エリック・ガン氏は、ワイモバイルの3つの事業領域として、約550万ユーザーを抱える「PHS事業」、約450万ユーザーを抱える「PocketWifi事業」、約100万ユーザーを抱える「Y!mobileスマートフォン+α」を紹介。これからはスマートフォン事業に注力し、ユーザー数を増やしていく意向を示した。
新製品については、スマートフォン2機種、PHS4機種、モバイルWi-Fiルータ1機種を8月1日より順次発売する。総務省が義務化の方針を表明したことで話題になったSIMロックフリーについては、Huawei製スマートフォン「STREAM S 302HW」をSIMロックフリーで発売することを明らかにした。
通話定額やデータ定額プランをどこよりも早く提供してきたウィルコムやイー・アクセス時代の強みを生かし、3大キャリアよりも価格を抑えた新料金プランで業界に殴り込みをかける。
国内のスマホ保有率が53.5%にとどまっている理由として、ガン氏は「現行キャリアが提供する料金プランの分かりにくさ」や「ユーザーが実際に使っているデータ通信量との隔たり」を指摘する。3キャリアが提供する新プランはほぼ同じ料金体制で、データ通信は2Gバイトからのプランしか選択できなくなっている。その隙間を縫うようにワイモバイルは、10分以内の通話が月300回まで利用でき、高速な4G通信が1Gバイトまで使える料金プランを2980円(税別)から提供。必要なデータ量に合わせた上位プランもあるが、「S・M・Lとドリンクを選ぶようなシンプルさ」(ガン氏)が特徴だ。「通話料と通信料全て込みという分かりやすさがあるほか、月額1000円を追加すれば国内通話の完全定額もできる」とガン氏はワイモバイルならではの強みを示した。
ヤフー連携でスマホ初心者を後押し
ヤフーと協業するワイモバイル端末の特徴は、ヤフーと連携したサービスが使えること。Yahoo! JAPAN IDとひも付け、無料で「Y!mobile メール」「Yahoo!ボックス」「Yahoo!ウォレット」といったサービスを利用できる。しかし、ワイモバイルCOO 寺尾洋幸氏は「ヤフーとの連携はまだやりたいことの半分くらいしかできていない。今日展示している端末は“道半ば”のものと思ってほしい。特にPHSとモバイルWi-Fiルータはまだまだ」と語り、あくまで今回の発表会を「第一ステップ」と位置付ける。
また、Y!mobileのスマートフォンから「Yahoo! JAPAN」アプリまたはスマートフォン版「Yahoo! JAPAN」のトップページにログインすると、契約プランに応じた「マイル」がたまる「パケットマイレージ」も提供する。獲得マイルに応じて、翌月に無料データ通信量が付与される形で、寺尾氏は「これも、レイトマジョリティの人にスマホをどんどん利用してもらうための第一歩」と説明する。
“格安スマホ”を使うにはある程度のリテラシーが必要
3大キャリアと料金面で差別化を図る一方で、低価格で利用でき、イオンなどのスーパーで購入できる“格安スマホ”にはどう対抗するのだろうか。寺尾氏は、「“格安スマホ”は一定のリテラシーがない人が利用するにはまだ難しい」とし、「料金プランの分かりやすさ」や「充実したアフターサポート体制」で優位性を持つと胸を張る。
さらに、「Android OSもスマートフォンも、まだまだ初めて触る人には操作が難しい」と述べ、「何も知らない人が端末を触るだけで操作できるのが理想」(寺尾氏)だと続けた。
ワイモバイルとヤフーは「ネットの良さをまだ味わっていない人に、その良さを知ってもらいたい」というミッションを掲げていると寺尾氏は話す。「それを実現するには必ずしもスマホである必要はなく、別の形があり得るかもしれない。我々は今まで下流を支える『土管屋』だった。上位アプリを持つヤフーと提携することで、上と下の両方を提供できるようになるのが強み」(寺尾氏)
また、10月からPHSも番号ポータビリティ(MNP)の対象になることについて質問されると、「MNP戦争に巻き込まれるリスクはあるが、新規ユーザーを獲得するチャンスだと捉えている」と寺尾氏は前向きな姿勢を見せた。
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