米Amazon.comは、出版大手Hachetteとの契約更新が難航する中、Hachetteから書籍を出版している著者やそのエージェントの一部に直接メールを送り、懐柔を図っていると米New York Timesが7月8日(現地時間)に報じた。
New York Timesが入手したメールの差出人はAmazonで出版社と作家を担当する幹部、デビッド・ナガー氏になっており、メールを受信した作家の作品の電子書籍版に関し、Amazonでの売り上げの100%を作家に提供することと、現在行っているHachetteの出版物の出荷遅延や高い価格設定をやめることを提案しているという。
メールを受け取った米国の作家組合Authors Guildのロクサーナ・ロビンソン代表はNew York Timesに対し、「Amazonがわれわれとの建設的対話を望むならいつでも応じる準備があるが、このような(メールを個別に作家に送る)ことは短期的な解決策であり、作家を出版社と対立させることになる」と語った。
ナガー氏はメールで、契約更新の交渉を1月に開始した後、Hachetteからは3カ月も返事がなかった上、6月5日に送った提案に対してHachetteは1週間後に対案を提示するといいながら1カ月経っても返事をくれないなど、交渉が難航しているのはHachetteの対応が遅いせいだ説明している。
この問題は、5月ごろにAmazon.comで販売されるHachetteの書籍の価格が値引きされなかったり出荷予定が数週間になったり、予約ボタンが消えたことから明るみに出た。AmazonはHachetteとの交渉が完了するまでこうした措置を続けるとしている。
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Amazon.com上のHachetteの書籍ページから予約ボタンが消えたり、配送予定が数週間になったり、値引きがなかったり、購入できなくなったりしている。
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