DMM.comが3Dプリントサービス「DMM 3Dプリント」を開始したのは2013年7月のこと。間もなくサービス開始から1年が経とうという2014年6月某日、依頼していた造形物がようやく完成した。
そう、MONOist主催「第1回 3Dモデリングコンテスト」のグランプリ受賞作品だ(関連記事:グランプリの栄冠は誰の手に?——「第1回 3Dモデリングコンテスト」結果発表!)。
今回、担当の方から「完成したから取りにおいで」という連絡をいただき、西麻布にある「DMM 3Dプリンティングセンター」にお邪魔させていただいた。ちなみに、通常、依頼した造形物は宅配便で送られるので、読者諸君は直接取りに行かないよう注意してほしい。
ハイエンド3Dプリンタと匠の技が支えるサービスクオリティ
DMM 3Dプリンティングセンターは、東京メトロ六本木駅から徒歩10分ほどの場所にある。DMM.comと共同で、DMM 3Dプリントサービスを運営するパートナー企業nomadの1階スタジオがそうだ。おしゃれな建屋の中に入ると、そこには業務用3Dプリンタがずらりと並んだワークスペースが広がっている。
出迎えてくれたDMM.com 3Dプリンタ事業部 テクニカルマネージャーの大西章氏は、「ここには合計6台の業務用3Dプリンタが設置されている。手前の4台は『ProJet HD3500 Max』(3D Systems製)でアクリル樹脂による造形を行っている。そして、奥にあるのがゴムやABSライクの造形を行う『Connex500』(Stratasys製)と、マルチマテリアル&カラー対応の『Objet500 Connex3』(Stratasys製)だ」と紹介してくれた。
ここ東京では約20人のスタッフが働いており、受付データのチェックなどを行う受付班と、出力・後処理(仕上げ)・発送などを行う造形班、そして、サービス運営を陰で支える管理者らで構成される。「まず、出力依頼をいただいたデータは、ツールにかけてエラーのチェックを行い、さらに厚みなど強度的に不安のある部分がないかどうかを確認する。特に厚みについては、造形物の品質にかかわってくるので、お客さまに修正をお願いするケースもある」と大西氏。
こうした受付班によるデータチェックをクリアしたものが、DMM 3Dプリンティングセンターに待機する造形班の手に渡る。彼らは3Dプリンタへの出力作業の他、サポート材の除去、磨き、着色などの後処理、そして、発送まで行っている。ちなみに、加賀(石川県)にもプリンティングセンターがあり、そちらでは金属と石こう、ナイロンの造形を行っているという。
特に印象的だったのが、作業テーブルの上で黙々と手を動かし、後処理工程を行っているスタッフたちだ。「依頼から出力までのスピードも重要だが、われわれは手にしたときのクオリティ、つまり、見た目の美しさや手触りなどを大切にしている。この部分は、オートメーションではどうしてもできないものなので、熟練スタッフによる丁寧な仕上げが欠かせない。サービスとしてお客さまに利用していただく以上、ここは絶対に手を抜けない」(大西氏)。立ち上げから約1年が経過し、どうしたらクリア感を出せるか、きれいにムラなく着色できるかなどのノウハウもかなり蓄積されてきているそうだ。
「もちろん、立ち上げ当初は試行錯誤なところもあり、失敗しながら学んだことも数多くある。1年というと短いと思われるかもしれないが、われわれにとっては非常に濃密な1年間だった。そのおかげで依頼数も順調に増え、スタッフや設備も充実してきた。よりよいサービスを提供できる環境が整った状態にある」と大西氏。
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