東京ディズニーリゾートは2014年4月に31周年を迎えた。「タワー・オブ・テラー」や「トイ・ストーリー・マニア!」のように、最新の技術が惜しみなく投入されたスリリングなアトラクションもあれば、「白雪姫と七人のこびと」のように、開園当初から存在するマイルドなものも残っている。しかし、そんなクラシックなアトラクションも、実は時代とともに変化していることをご存じだろうか。
それらアトラクションを設計/製作するチームが「ウォルト・ディズニー・イマジニアリング(WDI)」だ。“イマジネーション”と“エンジニアリング”を合わせたディズニーの造語「イマジニア」と呼ばれる技術者が、最新アトラクションを、そして伝統的なアトラクションを驚きの技術で作り上げていく。
今回は、2013年6月25〜27日の3日間、東京ビッグサイトで開催された「第22回 3D&バーチャル リアリティ展」において、ウォルト・ディズニー・イマジニアリング 取締役 技術・構想デザイン担当 マーク・ミネ氏(Mark Mine)が行った特別講演「ウォルト・ディズニー・イマジニアリングの技術と魔法 〜最新アトラクションにおけるVR・AR活用の最先端〜」の様子をリポートしよう(関連記事:キミは知っているか? 魔法の世界を創り出すディズニー・リサーチを)。
物理環境を「ダイナミックメディア」にする
ミネ氏はまず、ウォルト・ディズニー・イマジニアリングの仕事を短いビデオで紹介した。
イマジニアの仕事はアトラクションを作るだけでなく、モデル製作やキャラクター設計、インテリアや環境、音響設計、そしてキュレーションなど多岐にわたるという。その全てが、「来場者がその世界で臨場感を得られること」のために行われている。例えば、「ホーンテッドマンション」や「インディ・ジョーンズ・アドベンチャー」であれば、ホラーや冒険、ファンタジーの世界を体感してもらうことが狙いとなる。
ディズニーは映画からスタートした企業だ。そのため、ディズニーのテーマパークにもシアター型のアトラクションが幾つもある。ディズニーは1956年に3D映像を用いたアトラクションを導入し、その後も9つのカメラで撮影し360度のスクリーンに投影する「サークルビジョン」や、半球型のスクリーン内に乗り込む形で映像に没入し、空の旅を楽しむ「ソアリン・オーバー・カリフォルニア」、さらにはモーションライドと3Dを組み合わせた「スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー」などを導入している。このような試みは、映画を見ているのではなく「その中に存在している」という体験を提供するものだ。
ディズニーのイマジニアは、このようなシアター型のアトラクションのさらに上を行く体験として「Dynamic Environment」を研究している。これは物理的なセットの上にダイナミックメディアを投影することで、環境自体を変化させるというものだ。いわゆる「3Dプロジェクションマッピング」に近いものだと考えればいいだろう。
ミネ氏は「Dynamic Environmentを使うことで、普通のドアを魔法のポータルに変えることができる。ヘッドマウントディスプレイを使うことなく、プロジェクターベースの拡張現実で、より本物らしい現実感を得られる。これでウォルト・ディズニーの夢を実現する」と述べる。
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