Googleのモジュール式自作スマートフォン「Project Ara」の開発は、順調に進んでいるようだ。同社が米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催した開発者向けカンファレンス「Google I/O 2014」(2014年6月25〜26日)では、そのプロトタイプ「Spiral 1」のデモが披露された。プロトタイプのデモでは、起動時にフリーズしてしまったものの、プロジェクトチームはその秘められた可能性について語り、興奮した様子を見せていた。
プロジェクトのリーダーを務めるPaul Eremenko氏は、カンファレンスの参加者たちに向けて、「スマートフォン用のカメラを選ぶことが可能になった今、もはやカメラのためにスマートフォンを選ぶ必要はなくなるだろう。友人や家族、あるいは地域全体で、最も高価なセンサーやコンポーネントを共有することも可能ではないか」と問いかけた。
Spiral 1の基板は、Texas Instruments(TI)のモバイルプロセッサ「OMAP 4460」や、ARMのデュアルコアの「Cortex-A9」、大規模FPGAなどを搭載することにより、パケット交換ネットワークやフレキシブルな電力バスを実行する。
Project Araは、Google I/O 2014で画面がフリーズするという問題を起こしているが、これまでに数々の課題に直面してきた。低周波数帯においてデータ損失を最小限に抑えることや、ユーザーがデバイス上で携帯電話アンテナと無線アンテナを設定できるようにすることなどである。
将来的には3Dプリンタの活用も
Eremenko氏は、「われわれが採用した手法は、コンピュータ向けに最適化されたアンテナを使うことにより、金属構造である内部骨格のフレームを、アンテナシステムの一部として利用するというものだ。また、3Dプリンタを使って導電性インクでアンテナを印刷し、モジュールシェルの一部として使用するという試みも進めている」と述べている。
Eremenko氏によると、ATAPは、New Deal Designsとの協業により、既存製品と比べて50倍の速度で動作可能な3Dプリンタの開発に取り組んでいるという。同氏は、「このような3Dプリンタを使って、硬い素材や柔らかい素材、導体材料などを600dpiで印刷できれば、商用グレードのプラスチックと同レベルのものを実現できるようになる」と主張している。
「ユーザーにとってモジュール式スマートフォンは、携帯電話機に関する問題を解決するためのソリューションであり、あるいは新たな可能性を秘めた携帯電話機として、フレキシブルに利用できるデバイスとなるだろう」(Eremenko氏)。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
- 「セキュリティ119番」設置などを提言、サイバー攻撃から生活機器を守る
- SEMI、2014年第1四半期のウエハー出荷面積は前期比7.1%増と発表
- 液晶モニター市場の縮小続く、スマホ普及の波に勝てず
- 2013年のファブレスランキング、中国・台湾勢の躍進目立つ
- WiGigは急速に普及か——2017年に累計出荷15億台の予想も
- 2014年2月の半導体売上高は258億ドル超、過去3年で最も高い成長率
- 2013年の半導体材料出荷額は3%減の約435億米ドル、SEMIが調査
- 2013年の半導体売上高、過去最高の3150億ドルに
- インテルやIBMら5社、IoTの標準化団体を設立
- 波に乗るBluetooth Smart、IoT市場が後押し
関連キーワード
Google | スマートフォン | Project Ara | 3Dプリンタ | アンテナ | Google I/O | プロトタイプ | 業界動向(エレクトロニクス) | ビジネスニュース(EE Times Japan)
関連記事
- Googleがモジュール式自作スマホ「Project Ara」で狙うもの
Googleが、スマートフォンを自作する「Project Ara」を進めている。機能ブロックごとにモジュール化し、好きなものを組み合わせてカスタマイズしたスマートフォンを作るというものだ。Googleは同プロジェクトで「60億の人々をスマートフォン分野に引き込む」としている。 - Googleのモジュール式スマホ、「興味深いが欠点も多い」
欲しい機能を組み合わせてカスタマイズできるとして、注目を集めるGoogleのモジュール式スマートフォン。米国で開発者会議が開かれ、MDK(Module Developer Kit)が公開された。参加者からは、同スマートフォンについて「興味深いが欠点も多い」との声も聞かれた。 - Googleのスマホ「Tango」、NASAのロボットとともに宇宙へ飛び立つ
3Dスキャンをリアルタイムで行える、Googleのスマートフォン「Project Tango」。NASAが開発中の球体型ロボット「SPHERES」に取り付けられ、宇宙へ飛び立つ予定だ。高性能な撮影能力や画像処理能力を備えるProject Tangoは、SPHERESの活動を手助けする。
Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.