ASUSTeK Computer傘下のASUSTOR。2011年設立ながらも経験豊富なエンジニアをそろえ、「遅れてきた真打ち」の呼び声も高い新興NASメーカーだ。
ASUSTORの主力製品である「AS」シリーズは、LinuxをベースとしたNASキットだが、同様の製品はほかの複数メーカーからも販売されており、そのコンセプトは差別化できるものではなくなってきている。むしろ、その基本デザインはNASキットのアウトラインとしてすでに確立した、と言ってもよい。その状況においてASUSTORの「AS」シリーズがなぜ「真打ち」と評されるのだろうか。
成熟したハードウェアと省電力設計
ASシリーズの外観には競合となる他社製品との大きな違いはない。フロントアクセスが可能なホットプラグ対応HDDベイを前面に並べ、その横にボタン1つで外部ストレージからコピーができる「ワンタッチバックアップ」に対応したUSB 3.0ポート、背面には複数のUSB 2.0/USB 3.0ポート、LANポートを配置。メッシュ状のHDDトレイ前面から吸気し、背面のファンで排気するストレートなエアフローもある意味完成された設計と言える。
心臓部となるプロセッサには全モデルでインテルAtomプロセッサを採用。S3モード(スリープモード)に対応しているほか、欧州連合(EU)の定める電力消費規制EuP(Erp)2.0に準拠するEuPモードもサポートする省電力設計になっている。
「AS」シリーズでなにができる?
ASシリーズは柔軟性の高い、多機能なNASキットだ。追加アプリケーションをインストールしたり、不要な機能を無効化したりすることで自分の目的・用途にあった構成にしていくことができる。まずは全体を(俯瞰)していこう。
1、NASの基本的な機能
何はなくともNASとしての基本的な機能、性能は最重要項目だ。
ASシリーズには原稿執筆時点で2、4、6、8、9ベイモデルがラインアップされ、ベイ数に応じてさまざまなRAID構成をとることができる。2ベイの場合は各ディスクを個別にハンドルするシングル、束ねて1つのボリュームにするJBOD、2台に分散して書き込むことによりパフォーマンスを向上させるRAID 0、同一内容を2台に書き込んで冗長化させるRAID 1が選択できる。4ベイモデル以上になるとそれに加えてRAID 5、RAID 6、RAID 10をサポートする。ベイに余裕があればホットスペア構成も可能だ。
また、クライアントからのストレージ利用ではLinux向けのNFS、Windows向けのCIFS、Mac向けのAFPに対応。そのほかにもWebDAV、iSCSI、FTPなどさまざまなネットワークストレージプロトコルをサポートしている。アクセスコントロールではローカルユーザ/グループ単位での制御のほか、WindowsネットワークのActiveDirectoryにも対応。WindowsServerベースのファイルサーバの代替としても利用できる。
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