米連邦判事は7月10日、米Appleが電子書籍の価格をつり上げるために出版大手5社と共謀したとする判決を下した。インターネットでの電子書籍販売をめぐるAppleの戦略が真っ向から否定された形だ。
マンハッタン連邦地裁のデニス・コート判事は、Appleが電子書籍の販売で公正な価格競争を阻害し、価格をつり上げるために出版社と共謀したとされる問題をめぐり、「Appleがこの共謀で中心的な役割を果たし、独占禁止法(反トラスト法)に違反したことを示す有力な証拠を得られた」としている。
今回の判決により、Appleは今後、損害賠償金の支払いを求められることになる。この独禁法民事訴訟は米司法省および全米33の州と準州が起こしたもので、出版大手5社は既に和解している。
Appleは、電子書籍市場におけるオンライン小売業者Amazon.comの独占状態を打ち破るべく共謀したとして提訴された。この共謀の結果、それまでAmazonでほとんどが9ドル99セントで販売されていた電子書籍の価格は12ドル99セントや14ドル99セントに跳ね上がったという。Amazonは一時、90%の市場シェアを誇っていた。
「Appleは電子書籍の価格をつり上げるために被告の出版社と手を組み、そのための手段を出版社に与えた。Appleがこの共謀を指揮していなければ、ここまで成功はしていなかっただろう」とコート判事は159ページにわたる判決文で述べている。
コート判事が以前、2週間半にわたる非陪審審理が6月3日に始まるのに先立ち、Apple側の主張は通らないかもしれないと示唆していたこともあり、今回の判決は全くの想定外ではなかった。
「この結果は、書籍を電子的に読むことを選ぶ何百万人もの消費者にとっての勝利だ。今回の判決は、Appleの違法行為によって引き起こされた損害を回復する上で重要なステップとなる」と司法省独禁法部門の責任者であるビル・ベア氏は声明で語っている。
さらに同氏は、「今回の判決は、既に成立している和解も合わせて、電子書籍価格の引き下げにつながり、消費者にプラスに作用する」とも語っている。
コート判事は改善措置を議論するための審問を8月9日に設定した。さらに同判事は、Appleが支払うべき損害賠償額についても裁判を行う方針だ。同判事は被告と原告双方に対し、キンバ・ウッド連邦地裁判事の監督下で「和解に向けた話し合い」を行うよう要請している。
出版業界の専門家であるフォーダム大学経営大学院のアルバート・グレコ氏によれば、現在、電子書籍市場ではAmazonが約65%のシェアを誇っており、Barnes & Nobleが約20%、Appleが1桁のシェアでそれに続いている。
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