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まずは“病気”に気付くことから――五月病によく効く「フィードバック」

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連載「そのひとことを言う前に」

 職場で感じるストレスの原因は、うまくコミュニケーションがとれないことによるものが多いようです。本連載では、伝え方や接し方、聴き方に至るまで職場でよくあるエピソードをもとに、仕事や物事がより円滑に進むようなコミュニケーションのヒントをご紹介します。一度、自分が発する言葉について見直してみてはいかがでしょう。


 皆さんも「五月病」という言葉は聞いたことがあるでしょう。連休明けなどに無気力感や不安感、焦りなどに襲われるというアレです。新入社員など新年度で環境が変わった人がかかりやすいと言われており、「うつ病」の一種とも言われていますが、皆さんの周りにも“もしや……”という人はいませんか?

 目の前のことをクリアするのに必死で、日々忙しくしているようなときは、案外、五月病にはかかりません。むしろ注意すべきは、大型連休などで、ぽっかり時間ができたあと。職場のリズムについていけずに、そのまま意気消沈してしまうメンバーが出てきやすいのです。

 なぜこんなことが起こるのでしょうか。一般的には、期待感や緊張感で気持ちが張り詰めていた4月から1カ月ほど経過したところで、その反動が出るためと言われていますが、それだけではありません。

 若い人に多いのが、連休を上手に活用できなかったというパターンです。連休中に昔の友人と久しぶりに会い、情報交換をした結果、相手と自分を比較して落ち込んだまま連休が明けるケースです。こういう場合、相手の状態を知らないと、自分の何気ない一言が、相手にとって“余計な”一言になってしまうかもしれません。

先輩:「(休み明けからなんか元気ないなぁ……、連休に楽しいことしただろうから、それをネタに元気づけよう)そういえば、ゴールデンウィークは何してたの? 楽しかった?」

若手社員:「(うわー、あんまり思い出したくないんだけどな。でも悪気はないだろうし、乗っからないのもな……、と表情が暗くなる)えぇ。まぁ、普通に過ごしてましたよー。」

先輩:「(あれ? 思ったより乗ってこないな。なんか気になるなー。でも、本人は普通って言ってるし、いいか)そっか、よかったな」

若手社員:「(それだけ? いらないこと、思い出させただけじゃないか……)はい、ありがとうございます……」

相手の見た目や様子を「フィードバック」する

photo自分が周りからどのように見えているのか、というフィードバックをするといい

 上の例では、ゴールデンウィーク中の嫌な思い出をつつかれたあげく、何もケアがないために、ますます我が身の不幸を嘆いてしまっています。余計な一言にしないためにも、「あれ?」と思ったら何らかの働きかけをしてみましょう。例えば、以下のようなアプローチはどうでしょうか。

先輩: 「(あれ? 思ったより乗ってこなかったな。なんか気になるなー)そっか。いつもよりため息が多くて、ちょっと調子が出てないように見えたから、気になったんだよね。なんかあったらいつでも言ってね。」

若手社員: 「(マジか、そんなふうに見えてるのか……。後で相談してみようかな)はい、ありがとうございます……」

 気分が落ち込んでいる人の中には、自分がどのような状態になっているのか(態度や仕事のパフォーマンスなど)、把握できていない人もいます。そこで効果的なのが、例のような「フィードバック」です。ここで言うフィードバックは「ほかの人からどのように見えているかを本人に伝えること」を指します。

 大事なポイントは、余計な推測などをせずに、具体的に事実を伝えること。そうすることで、相手は初めて自分の姿を客観視できるのです。しかし、いくら事実でも、もちろん伝え方には注意が必要です。よくある失敗例をみてみましょう。

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