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「痛がるふりの顔」見抜くコンピュータの目 ウソをつくのも大変に?

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REUTERS

 人工知能と人間の知能との競争がますます盛んになる中、もう1つ新たな分野でコンピュータに軍配が上がった。

 高度なパターン認識能力により、「本当に苦痛を感じている人」と「苦痛を感じているふりをしている人」を人間よりもはるかに正確に見分けられるコンピュータシステムが開発されたのだ。

 学術雑誌「Current Biology」の最新号に掲載された研究論文によると、人間の被験者に「本当に苦痛を感じている人」と「苦痛を感じているふりをしている人」の動画を見せ、苦痛が本物かどうかを判断してもらったところ、正解率は約50%と、偶然と同じレベルにとどまったという。

 一方、コンピュータの正解率は85%だった。なぜコンピュータのほうが正解率が高いのか? 研究者によれば、コンピュータがパターン認識能力によって、特に口の動きを中心に表情の特徴を上手く読み取れたのに対し、人間の被験者は大概そうした特徴を見抜けなかったという。

 研究に参加した米カリフォルニア大学サンディエゴ校ニューラル計算研究所のマリアン・バートレット氏は、次のように語る。「われわれは皆、コンピュータが論理的な処理を得意とし、チェスの勝負などでは長年人間を負かしていることを知っている」

 「だがコンピュータは知覚プロセスでは人間に大きく後れを取っており、音声認識や視覚認識など人間には簡単なことがコンピュータには非常に難しい。今回の研究結果は、コンピュータが人間よりも上手くこなせる知覚プロセスの1例となる」とバートレット氏は電話取材に応じ、語っている。

 実験では、25人の有志協力者それぞれについて2種類の動画を作成した。

 1つは、ぬるめの水に片腕を1分間浸し、苦痛を感じているふりをしてもらうというもの。もう1つは、顔の表情については一切指示せず、氷水の入ったバケツに片腕を1分間浸してもらう(つまり、本当に苦痛を感じてもらう)というものだ。

 実験では、これらの動画を170人の被験者に見せ、「本当に苦痛を感じている人」と「苦痛を感じているふりをしている人」を見分けてもらった。

 最初の実験では正解率は50%と、コイントスと同レベルにとどまった。その後、被験者に「苦痛を感じているふりをしている人」を見抜くためのコツを教えた上で再度実験したが、正解率は55%までしか上がらなかった。

 一方、コンピュータの視覚システムにはビデオカメラを組み込み、動画内の人物の表情を撮影して解読できるようにした。顔面の各種の動きを読み取り、「本当の苦痛」を示唆する顔面運動の組み合わせと、「偽の苦痛」を示唆する顔面運動の組み合わせとを見分けられるようプログラミングが施された。

 「動画の各フレームで、顔面の20種類の筋肉の動きを読み取るようになっている」と、バートレット氏は説明する。

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