Update 1、5つの変更点
先日、Windows 8.1の大型アップデート「Update 1」(仮称)の概要を紹介した。今回は改めて、過去の記事や最新情報をもとにこのUpdate 1に関する情報を整理していこう。
スタート画面右上、アカウント名表示の横に「シャットダウン」「検索」ボタンを追加
以前、Tipsとして紹介したが、一部で煩雑という意見があった「シャットダウン」や「スリープ」に関する動作をスタート画面から直接行えるようになる。
もともとは検索ボタンの追加と合わせ、基本的にはすべて「チャームメニュー」から呼び出せるのだが、この仕組みが従来バージョンを使っていたユーザーにとって少々分かりにくかったのは確かだろう。仕組みとして見直しが必要ということを示しているのかもしれない。
マウスの右クリックで可能な操作を追加/スタート画面では右クリックメニュー表示、Modern UIアプリ動作中は“閉じる”動作
タスクバーを通じてのModern UIアプリ切り替え/起動が容易に
この2つに共通するのは、マウスを利用する(主にデスクトップUIを使う)ユーザーのための機能改良という点だ。
細かい操作は苦手だが、画面両端への指の移動は容易なタッチ操作スタイルにおいて、Microsoftは「画面の端から指をスライドする」というWindows 8特有の操作体系を取り入れた。
その一方で、これまでと同様にマウスを使う人とっては、カーソルの移動距離が長くなり、かつデスクトップUIからModern UIに切り替えると操作体系が変わってしまう部分が戸惑ってしまう要因の1つとして浮上した。例えば右クリック。デスクトップUIならこれまでと同じ右クリックメニューが出るが、スタート画面は「画面上下端からタッチUI用のメニューが出現」と動きが変わる。こうしたModern UIとマウス操作の相性の悪さを、ある程度解消するのが狙いと思われる。
また、デスクトップUIのタスクバーに出現するソフトは、あくまで「デスクトップUI上で動作するソフトウェア」のみをカバーする動きで、Modern UIのアプリは表示されない。一方Modern UIからは、デスクトップUIそのものを「アプリの1つ」としてカウントするイメージだ。
これを、デスクトップUIのタスクバーを通じてでもModern UIアプリへ切り替えられるよう、動きが変更される。この改良により、キーボード+マウスでデスクトップUIをメインに扱うユーザーもModern UI/スタート画面への窓口が広がる/もう少し受け入れやすくなる……と思う。
1Gバイトメモリ、16Gバイトストレージ容量がWindows 8.1の最低動作要件に
一般ユーザーにはあまり関係ないが、Windows 8.1 Update 1ではハードウェア要件がやや緩和される。これは実際にPCを開発・販売するメーカー向けの施策であり、メーカーらからの要望を受けての対応とみられる。
Windows 8/8.1の最低動作要件は、32ビット版がメモリ1Gバイト/ストレージ16Gバイト、64ビット版がメモリ2Gバイト/ストレージ20Gバイトとなっている。これを64ビット版も含めてメモリ1Gバイト/ストレージ16Gバイトに引き下げるようだ。最低条件に近いスペックの機器でも“ある程度”の利用が可能になることを示し、ひいてはタブレットや超小型マシンのようなモデルをより製品化しやすくするのが狙いだ。タブレット市場で競合モデルと比べると、ハードウェアスペックで勝る分だけ部品コストが上昇するので、価格競争面は不利となりやすい。このあたりも使用要件が緩和される理由だろう。
別のメリットとして、(Windows XPが動作していたような)旧マシンへのWindows 8.1のインストールや、仮想マシンでWindows 8.1を動かす際の利便性向上なども期待できる。例えば筆者は各種確認作業のため、Mac OS X上で動作するOS仮想化ソフト「Parallels」よりWindowsを動作させることがある。Windows Vista以降のWindowsではストレージ容量とメモリをかなり圧迫してしまうので、自身の手持ち環境では唯一ここでのみ比較的軽いWindows XPをいまだ利用していたりする。この点、要件が下がるならば(一部互換性の問題を除けば)今後は動作OSをWindows 8.1に変更しても問題なく利用できると考えている。
IE 11にIE 8互換モードを追加
前述したWindows XPに絡むが、Windows XPから最新OSへの乗り換えをユーザーが拒む理由の1つに、「旧バージョンで利用していたアプリケーションが使えなくなるため」がある。
特にバージョンごとに互換性問題を抱えがちな「Internet Explorer」は大きな課題。IE 8互換モードを追加することで、Windows XPユーザーが得られる最新バージョン「IE 8」での互換性を前面に打ち出すものと想定される。
こちら、どの程度の互換性を確保しているのかについては確かに検証は必要かもしれない。ただ、一定の企業層へ望まれる機能であることは間違いない。IE 8以前のバージョン利用を前提にシステム構築が行われているケースでは、これがWindows 8.1への乗り換えを多少は促すことにつながるだろう。
すでにUpdate 1はRTM段階 そのほかの変更点は?
以上は既知の情報をまとめたものだ。
では、いつ頃のリリースになるだろうか。The Vergeなどが先日報じたところによれば、すでにUpdate 1はRTMに到達しており、一部大手OEMには配布が始まっているという(The Verge:Microsoft finalizes Windows 8.1 Update 1, improved desktop features available next month)。
正式な提供開始時期は、Microsoftの年次開発者会議「BUILD 2014」(2014年4月2日〜4日)が開催される2014年4月初旬とみられる。この段階でリリースされていれば、その後に出荷されるPC(日本では2014年夏モデルになるか)の多くはこのUpdate 1が適用されたものになるかもしれない(もともとはロシアのリークサイトWZorがスクリーンショットとともに報じたもので、最終ビルドは2月21日の日付になっているとのこと。つまり、バルセロナで発表会が開催された2014年2月23日にはすでに最終版の画面が紹介されていたということになる)。
同サイトではUpdate 1に関するほかの変更内容については特に触れておらず、画面もThe Vergeで紹介されているようにスタート画面やタスクバーの一部で表示が変更されていることを確認できるのみだ。また、Update 1が利用可能になった際、インストール対象に含めるかはオプション扱いになるとWZorでは説明している。ともあれ現時点の情報をまとめると、Update 1は従来まで提供されていた“サービスパック”的なものに相当すると思ってとりあえず間違いないだろう。
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