日本マイクロソフトは3月3日、Windows XP搭載PCからWindows 8.1/Office 2013搭載PCへ乗り換えた層を対象とする無償サポート「Office搭載パソコン乗り換えサポート窓口」を同日より期間限定で開設した。
2014年4月9日(日本時間)のWindows XP/Office 2003サポート終了を前に、主にセキュリティ面が脆弱(ぜいじゃく)となる課題から同社は個人層に対しても最新PCへ/最新OSの移行を促している。ただ、同社が掲げる2014年時点で残10%という目標に対し、インターネット経由の計測ベースでデスクトップOSにおけるWindows XPのシェアは2014年2月時点でいまだ3割近くあるという調査結果もあり、同様に個人向けについても思うように移行が進んでいない現状がある。
こちら、ともあれ本誌読者層のように自身で何をすればいいか分かっている/自身で解決できる能力のある層はともかく、XPサポート終了は知っているが「とはいえ、どうすればいいのか分からない/何をすればいいか分からない/新PCへのデータ移行で不安がある」といった不安から移行を実施できない個人層が多分に含まれる。この層に対し、データ引っ越し方法を具体的に紹介するページの開設、無償電話サポート窓口の開設、ユーザーイベントといった機会を設けることで「漠然とした不安」を解消してもらうことが狙いだ。
新サポート内容は、
- Windows XPからWindows 8.1への環境およびデータ移行方法
- Office 2013の初期設定とデータ移行方法
の2点について解決/理解できる専用サポートWebサイトを開設し、さらに専用の電話サポート窓口を設置する。
サポートサイトは「安心して乗り換えましょう。分かるまでマイクロソフトがサポートします」をテーマに、移行の準備と設定、メールの移行、アプリケーションの移行、新しいWindows/Officeの使い方について、従来より詳しく、図解入り手順とともに説明するもの。Webサイトの説明でも分からない/解決できない場合は、専用の窓口に電話相談できる。Officeは通常90日間電話サポートを受けられるが、同施策実施期間中は標準の保証プログラムを使わずとも無償かつ回数無制限で電話サポートが受けられる。メーカー製PCにはメーカー独自のサポートプログラムも存在するが、これに「+」する考えで展開する。中にはメーカー製機器に依存する質問、WindowsやOfficeに由来しない課題(周辺機器の使い方など)もあると想定されるが「困ったときはまずお電話を──という姿勢で実施する。ユーザーに最適な方法を、ユーザーの立場に立って責任を持って、Windows 8リリース時と同規模──コールでお待たせすることはないはずという規模で展開する」(日本マイクロソフト取締役 オフィスプレインストール事業統括本部長の宗像淳氏)という。
対象は、現在Windows XPを利用しており、2014年3月3日から2014年5月18日までの期間に「Windows 8.1およびOffice 2013搭載PC」を購入/乗り換えた個人ユーザー全般。サポートはOffice 2013のプロダクトキーを要する(OfficeプリインストールPCには初期起動に必要なプロダクトキーが記載されたカードが同梱されている。なおプロダクトキーがあればということで、一応対象期間に購入したパッケージ版Office 2013購入者も含まれる)。実施期間は2014年3月3日から2014年5月31日(電話サポートは9時30〜18時)。Windows 8.1ではなく、Office 2013もバンドルしたPC/モデルが対象になるが、国内メーカー製PCの9割がOfficeプリインストールモデル。今回サポートすべき対象をかんがみ、さらにその層にはその後の活用シーンもしっかり提案・サポートすべき点を考慮したためという(同社としてはビジネスとしてOfficeバンドルの是非も重要であり、OfficeをバンドルするPCメーカーへの配慮も多分にあると想定される)。
XP環境からのデータ移行については、AOSテクノロジーズと提携し、XP対応データ引っ越しソフトウェア「ファイナルパソコンデータ引越し eXPress」を期間限定(使用期間は2014年7月31日まで)で無償提供する施策も実施する(公開は2014年3月中予定。後日開始日は告知予定)。Windows 8.1にはOS標準の旧環境からのデータ移行ソフトウェア「Windows転送ツール」も存在するが、こちらは同ビット同士(32ビット版→32ビット版、64ビット版→64ビット版)のWindows 7以降からWindows 8/8.1環境へのデータ移行に対応と、利用可能な範囲がやや限られ、若干の知識も要する難点があった。
この点、例えば32ビット版Windows XPから64ビット版Windows 8.1のデータ/メールデータの移行や、サードパーティ製ソフトウェアのデータ(年に数回しか使わないが残しておくべきデータ──例えばはがき/年賀状作成ソフトの住所録データなど)の移行も最短3ステップで完了するとうたう同ソフトの無償提供により旧PC利用者を幅広くサポートする方針だ。2014年春商戦向けのメーカー製PCにはファイナルパソコンデータ引越し を含めて同等機能を持つソフトウェアがバンドルされる例もあるが、それがないPCを利用する層に対するサポート策ととらえられる。こちらは期間内であれば使用条件を設けないので、詳しい層が、家族や知人のPCをサポートしてあげるのに必要な場合──などにも使用できるだろう。
Windows XPサポート終了まで、残り約1カ月。いまだ「認知」の段階であるのは気がかりだ。ただ、やはり「何から手をつければいいのか分からない」人が多いのも事実。重要なのは、移行プランを検討し「対策をする意思を持つ」こと、そして「企業の責任として、そういった時にどうすればよいか、具体的な策はもちろん、電話サポート窓口とイベント告知などとともに幅広く対応していく。これが最後のお願い」と同社は強調とする。
「XPサポート終了が“危険だから”新PCへ──な訴求は重要。ただ、もっとポジティブに、Officeでは個人利用で活用できるOfficeデータのおすすめテンプレート集など、具体的な活用例の紹介にも力を入れている。新PCでは“こんな新しいことができる/便利になる”ことこそもしっかり伝えたい」(マイクロソフトの宗像氏)
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