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Twitterでのデマ・中傷は責任なし? → その気になれば訴えられます 弁護士に聞いた

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 先日、タレントのエド・はるみさんが亡くなったというデマがTwitterで話題になりました(関連記事)。エドさん自身も怒りをあらわにしつつ、匿名でデマを発信しても責任を負わされることのないシステムについて「怖すぎる」と主張しています。


画像Twitterに投稿されたデマ画像

 実はこのようにTwitterで誹謗中傷や名誉毀損(きそん)を行ったアカウントに対し、法的手続きをとることで本人が特定できるようになりつつあります。ある日本人男性がTwitterで中傷を行った投稿者を明らかにしようと、米Twitter社に対し情報開示を求める仮処分申請を行い、去年7月にこれが東京地裁に認められました。これまで投稿者を割り出すのが難しかったTwitterにおいて、本人特定への道を開いた判決となります。



今回の裁判のケース

 上記のケースでは、あるアカウントが原告に対し「詐欺師」「低能ぶさいく」といったツイートを繰り返し送信。原告は中傷を行ったアカウントのIPアドレスを開示するようTwitter社に求めていましたが、いくつかの手続きを経て今回ついに開示してもらうことに成功しました。

 現在はこのIPアドレスをもとに、本人の情報を開示してもらうようプロバイダを提訴している段階。今年1月16日の第一審では勝訴しましたが、被告(プロバイダ)側が控訴したため第二審へと入ります。この訴訟が認められるといよいよ投稿者が確定されることになります。

 もともと日本では匿名のアカウントを訴えたくても、Twitterの書き込みから本人を確定すること自体が困難でした。どのような点で難しく、そして今回の訴訟でハードルをどう乗り越えたのか。裁判で原告代理人を務めた、法律事務所アルシエンの弁護士・清水陽平さんに説明していただきました。




なぜTwitter社からの情報開示は難しかった?

 まず大きな問題が、Twitterの本社が米国カルフォルニア州にあること。日本のTwitter社には仮処分申立書を受け取る権限がないため、直接米Twitter社を訴える必要があります。利用規約でもTwitter社の裁判管轄はカリフォルニア州サンフランシスコ郡の連邦裁判所または州の裁判所にあると明記されており、日本の裁判所で訴えられるのかというハードルがありました。

 いざ訴えるとなっても裁判の準備にはいろいろ時間がかかります。日本の裁判に米Twitter社の人を呼び寄せるための手続き。また会社を訴える際には、会社の存在を証明する登記簿謄本を裁判所に提出しなくていはいけません。相手が米国だとこれも日本とは勝手が違うため時間がかかります。

 また時間がかかることで問題になってくるのが、Twitter社がユーザーのログ(書き込みの日時やIPアドレスなど)を保管する期限です。通常のログ保管期限は3カ月ほど。米Twitter社とやりとりしているうちにログそのものが消えてしまい、投稿者を探れなくなるリスクがあるのです。



解決の鍵はアカウントの「直近のツイート」

 清水弁護士はこれらの難点をどうクリアしたのでしょう。管轄については、「たとえ海外の会社であっても、日本で事業を行う場合は東京地方裁判所に管轄権がある」という民事訴訟法上の規定を利用することで比較的簡単に突破することができました。

 ログの保管期限については、「誹謗中傷を行ったツイート」そのもののIPアドレスではなく、「誹謗中傷のツイートをしたアカウントの直近のツイート」のIPアドレスを要求することで解消されました。Twitterは1つのアカウントを複数人で共有することもありますが、基本的には1人で利用するもの。この点を突きつけ、直近ツイートのIPアドレスを開示するよう主張したところ認められたのだそうです。

 これによってログが消えるタイムリミットというハードルが大きく下がりました。時間はかかりますが、Twitterの投稿者本人を特定する確実性は大きく高まったと清水弁護士は言います。



画像転載やリツイートも名誉毀損の範囲内

 ちなみにエドさんの件でデマとなる画像をツイートしたユーザーは、「画像は転載したもの」と弁明していました。法律では転載画像でも名誉毀損となるのか清水弁護士に尋ねたところ、画像転載はもちろん、その転載したツイートをリツイートしても名誉毀損になるのだそうです(参考:中傷記事「転載しただけ」でも名誉毀損に 東京高裁が初認定 安易な「転載・まとめ」に警鐘)。

 清水弁護士の見解では、画像転載は、画像を一度自分のPCに取り込んで編集してから載せていることになるので、転載であっても「自分の主張・意見になる」とのこと。リツイートも、他人のツイートを自分のツイートとして取り込み自分のフォロワーに流す機能のため、自分の発言として名誉毀損に問われる可能性があります。「みなさん気軽にリツイートしすぎです」と清水弁護士も懸念していました。

 高い匿名性をもつサービスだからか、誹謗中傷などの発言も多いTwitter。しかしその気になれば本人を特定することは十分に可能。ユーザーはあらためて、モラルをもったツイートやリツイート、画像転載を心がけてください。



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