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着る人工筋肉「マッスルスーツ」ベンチャー、東京理科大など設立 介護や物流の現場支援に

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 東京理科大学と菊池製作所は2月27日、人工筋肉を利用した動作補助ウェア「マッスルスーツ」を開発・販売する大学発ベンチャー「イノフィス」を設立したと発表した。腕や腰の関節の働きを人工筋肉で補助する着用型の装置で、介護医療や物流の現場でのニーズを見込み、世界市場も視野に入れる。

photo前傾姿勢の状態で人工筋肉の空気を調節し、上体をあげるのを補助する

 マッスルスーツは、同大工学部第一部機械工学科の小林宏教授の成果。圧縮空気を出し入れすることでゴムとPET繊維でできた人工筋肉が収縮し、最大30キロ分を補助し、重いものを持ったり体を屈める行為がしやすくなる。

photo小林宏教授

 「生きている限り、自立した生活を」をコンセプトに、小林教授が研究に着手したのは2000年前後。当初は非健常者向けの製品開発を目的としていたが、プロトタイプ製作を重ねるうち、腰痛による離職者が多い介護や物流などの現場で補助器具のニーズが高いことが分かった。すでに訪問入浴介護の現場で100台をテスト導入しており、「500台追加して全国で展開したい」と良好な反響を得ているという。

 新会社は同大葛飾校舎内に設立し、資本金1050万円。まず、利用シーンに合わせて「物流用マッスルスーツ」「介護・福祉用マッスルスーツ」の2種類を30〜50万円の価格帯で展開する。今後、人工筋肉の本数を増やした強力なものや、高齢者や障害者向けの歩行補助・リハビリ支援機器なども展開していく予定。14年度に1000台、15年度は2000台、16年度は5000台の発売を目指す。

 小林教授は、10年以上に渡って研究を続けてきた自身の研究成果は「世界初かつ競合の追随を許さない」と胸を張る。「通常の機械類と異なり、人間が装着して使うロボットは仕様書通り作ることが完成ではない。現場の意見を取り入れて柔軟にトライ&エラーを繰り返し続けてきた結果で今があり、常に上を目指し続けている。マッスルスーツは仕組みも形状もすべてがノウハウの賜物。真似できない」(小林教授)

photo事業体制
photo菊池功社長

 これまで大手企業との連携も含め製品化・事業化の可能性を模索してきたが、市場規模が見込めない、量産化がハイリスク──などの理由で何度も断念してきたという。試作に実績を持つ菊池製作所の菊池功社長が事業としての可能性を見込み、出資による法人設立に踏み切った。新会社は菊地社長が社長を兼任し、菊池製作所にライセンスとノウハウを供与して機器を製造する形になる。

 菊池社長は「大手企業の大量生産品を請け負うだけでなく、技術ある加工業者として主体的に新事業を見つけていく必要があると考えていた。マッスルスーツは、世界でますますニーズが高まっていく可能性のある製品。特に介護分野は今後の日本全体の産業を支える上でも重要な部分であり、市場の発展や成長に貢献できれば」と話している。


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