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「VAIO Fit 11A」の直販ハイエンド構成と店頭モデルを徹底比較する

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←・【前回記事】最新PC速攻レビュー:「VAIO Fit 11A」——11.6型“2in1”新モデルを徹底検証 Bay Trail-Mの実力は?

直販ハイスペックモデルと店頭モデルの性能差を見極める

 既報の通り、ソニーが発売するVAIOノートは2014年春モデルが最後となるが、その中で唯一のニューフェイスが「VAIO Fit 11A」だ。独自の「マルチフリップヒンジ」を用いた画面回転機構により、3つのスタイルに切り替わる「VAIO Fit A」シリーズ最小の11.6型2in1デバイスとして注目されている。

 先に掲載した速報的なレビューでは、ソニーストアで購入できるVAIOオーナーメード(VOM)モデル「SVF11N1A1J」のハイスペック構成を中心に見てきたが、今回は店頭販売向けの標準仕様モデル「SVF11N19EJS」も含め、より詳細な性能検証を行なっていく。

tm_1402_fit11a_r2_01.jpg標準仕様モデルの「SVF11N1A1J」はボディカラーにシルバーを採用(左)。VOMモデルの「SVF11N1A1J」は直販限定カラーのブラックも選べる(右)。天面の中央部を横切るラインを軸として、液晶ディスプレイが180度回転して裏返るソニー独自の「マルチフリップヒンジ」を用いた画面回転機構がユニークだ
tm_1401_fit11a_r_27.jpgtm_1401_fit11a_r_28.jpgtm_1401_fit11a_r_29.jpgVAIO Fit 11Aが提供する3つの利用スタイル。左からキーボードモード、ビューモード、タブレットモード

 前回述べた通り、このVAIO Fit 11Aは、基本システムに“Bay Trail-M”の開発コード名で知られる新しいモバイル向けPentium/Celeronを搭載する。CPUコア、グラフィックスコア、そしてチップセットの機能も1チップに統合したSoC(System On Chip)であり、CPUコアのアーキテクチャは、Windowsタブレットでの採用例が多いAtom Z3000シリーズ(Bay Trail-T)と同じSilvermontだ。

 一般的なUltrabookや2in1で数多く採用されている第4世代Core(開発コード名:Haswell)とはCPUコアの内部構造が大きく異なるため、コア数や動作クロックを横並びで比較できない点に注意していただきたい。

 なお、Bay Trail-Tとの違いは主にチップセット部分だ。Bay Trail-MはSerial ATA 3GbpsやPCI Express 2.0をサポートするなど、ストレージがeMMCに抑えられるタブレット向けのBay Trail-Tに対し、汎用(はんよう)性が高く、省電力よりは性能やコスト面に重きを置いている(InstantGoには対応しない)。また、OSは64ビット版Windows 8.1だ(現状でBay Trail-T搭載機のOSは32ビット版に限られる)。

 今回テストした店頭モデルとVOMモデルの主な仕様は下表にまとめた。一部のテストでは、以前にレビューした2013年秋冬モデルの「VAIO Tap 11」(店頭モデル)と「VAIO Fit 13A」(店頭モデル)のスコアとも比較するため、これらの仕様も併記している。

今回テストしたVAIO Fit 11Aのスペック比較
製品名VAIO Fit 11A 店頭モデル (SVF11N19EJS)VAIO Fit 11A VOMモデル (SVF11N1A1J)VAIO Tap 11 店頭モデル (SVT11218DJB)VAIO Fit 13A 店頭モデル (SVF13N19DJS)
CPUCeleron N2920Pentium N3520Core i5-4210YCore i5-4200U
コア/スレッド数4コア/4スレッド4コア/4スレッド2コア/4スレッド2コア/4スレッド
CPU基本クロック1.86GHz2.166GHz1.5GHz1.6GHz
CPU最大クロック2GHz2.42GHz1.9GHz2.6GHz
キャッシュ容量2Mバイト(2次)2Mバイト(2次)3Mバイト(3次)3Mバイト(3次)
チップセットCPUに内蔵CPUに内蔵CPUに内蔵CPUに内蔵
内蔵グラフィックスIntel HD GraphicsIntel HD GraphicsIntel HD Graphics 4200Intel HD Graphics 4400
GPU実行ユニット数4基4基20基20基
GPUクロック844MHz854MHz200〜850MHz200MHz〜1.0GHz
TDP7.5ワット7.5ワット11.5ワット15ワット
SDP4.5ワット4.5ワット6ワット
メモリDDR3L-1066デュアルチャンネルDDR3L-1333デュアルチャンネルDDR3L-1600デュアルチャンネルDDR3L-1600デュアルチャンネル
メモリ容量4Gバイト8Gバイト4Gバイト4Gバイト
データストレージ128GバイトSSD256GバイトSSD128GバイトSSD128GバイトSSD
データストレージ型番TOSHIBA THNSNJ128GVNUTOSHIBA THNSNJ256GVNUTOSHIBA THNSNH128GMCTTOSHIBA THNSNH128G8NT
画面サイズ11.6型ワイド11.6型ワイド11.6型ワイド13.3型ワイド
液晶ディスプレイトリルミナスディスプレイ for mobile(IPS)トリルミナスディスプレイ for mobile(IPS)トリルミナスディスプレイ for mobile(IPS)トリルミナスディスプレイ for mobile(IPS)
表示解像度1920×1080ドット1920×1080ドット1920×1080ドット1920×1080ドット
バッテリー容量24.5ワットアワー24.5ワットアワー30.45ワットアワー36.23ワットアワー
公称バッテリー駆動時間約8時間約8時間約8時間約12時間
OS64ビット版Windows 8.164ビット版Windows 8.164ビット版Windows 864ビット版Windows 8
※VAIO Tap 11とVAIO Fit 13Aは2013年秋冬モデル

 店頭モデルは、CPUにCeleron N2920を採用したエントリークラスの構成だ。VOMモデルが搭載するPentium N3520に比べて、CPUコア、グラフィックスコアともに動作クロックが低いほか、対応メモリもDDR3L-1066に限られる。

 各種性能テストは、Windows 8.1の電源プランを「バランス」、「VAIOの設定」での「CPUとファンの動作モード」を「標準」にして実施した。どちらもデフォルトの設定だ。

tm_1402_fit11a_r2_02.jpgtm_1402_fit11a_r2_03.jpgBay Trail-Tのブロック図(画像=左)。タブレット用に最適化されているため、メインストレージ用のeMMC 4.5のほか、SDメモリーカード(SD Card 3.0)やカメラ(MIPI CSI)用のインタフェースを直接統合している。Bay Trail-Mのブロック図(画像=右)。HD Audio、PCI Express 2.0、Serial ATA 3Gbpsなど、PC向けの汎用インタフェースを統合している。カメラやSDカードリーダーなどはUSBやPCI Expressなどを介して接続される
tm_1402_fit11a_r2_04.jpgtm_1402_fit11a_r2_05.jpgtm_1402_fit11a_r2_06.jpgCPU-Zの情報表示画面。店頭モデルはCPU(SoC)にCeleron N2920を採用する(画像=左/中央)。クロックは動的に変化し、最大2.0GHzで動作する仕様だ。TDP(熱設計電力)は7.5ワット、2in1向けの電力指標であるSDP(Scenario Design Power:利用シナリオに即した電力設計)は4.5ワットとなっている。Celeron N2920の対応メモリは、DDR3L-1066(デュアルチャンネル)だ(画像=右)。DDR3L-1333に対応するPentium N3520に比べて少し速度で見劣りする
tm_1401_fit11a_r_43.jpgtm_1401_fit11a_r_44.jpgtm_1401_fit11a_r_45.jpgCPU-Zの情報表示画面。今回テストしたVOMモデルは、Bay Trail-Mで最上位のPentium N3520を搭載していた(画像=左/中央)。動作クロックは2.166GHz、最大2.4GHzで動作する。TDPは7.5ワット、SDPは4.5ワットだ。8Gバイトのオンボードメモリ(DDR3L-1333)は、デュアルチャンネルアクセス対応だ(画像=右)
tm_1402_fit11a_r2_07.jpgtm_1402_fit11a_r2_08.jpg「VAIOの設定」ではWindows 8.1の電源プランだけでなく、独自の「CPUとファンの動作モード」を選べる(画像=左)。省電力設計のSoCだが、ボディには冷却ファンを内蔵しており、左側面に排気口がある(写真=右)

Sandra 2014(CPU/メモリ性能テスト)

 まずはSandra 2014 SP1(20.10)でCPUとメモリの性能を見てみよう。

 「プロセッサの性能」は、Dhrystone、Whetstoneという伝統的なプログラムで整数演算/浮動小数点演算性能を調べる内容、「マルチメディア処理」はマンデルブロ集合演算を行うことでSIMD拡張命令(SSE、AVXなど)の性能を調べる内容だ。いずれもワークセットはごく小さいため、メモリやストレージなどの影響を排除したCPUの純粋な演算性能を測定できる。

 こちらのテスト結果は、VOMモデルのPentium N3520と店頭モデルのCeleron N2920でCPUの内部構造が同じだけに、どの項目でも約21〜22%スコアに差が出た。CPUグレードに応じた素直なテスト結果だ。

tm_1402_fit11a_r2_09.jpgtm_1402_fit11a_r2_10.jpgSandra 2014 SP1(20.10)のテスト結果。「プロセッサの性能」(グラフ=左)、「マルチメディア処理」(グラフ=右)のスコア

 「暗号処理」は暗号化/復号化のパフォーマンスを調べるテストだ。こちらもやはりVOMモデルと店頭モデルの差は、AES-256、SHA-256とも21%ほどだった。

 「メモリー帯域」は文字通りメモリの帯域を測定する内容となる。理論値はPentium N3520が21.3Gバイト/秒、Celeron N2920が17Gバイト/秒だが、どちらも実効性能はほぼ半分で、2モデルの比較では17%ほどPentium N3520のほうがよいスコアとなった。

 キャッシュの帯域を計測する「キャッシュとメモリー」では、CPUコア内部の1次キャッシュ帯域が約20.8%と、CPU性能とほぼ同じ差があることが分かる。

tm_1402_fit11a_r2_11.jpgtm_1402_fit11a_r2_12.jpgtm_1402_fit11a_r2_13.jpg「暗号化処理」(グラフ=左)、「メモリーの帯域」(グラフ=中央)、「キャッシュとメモリー」(グラフ=右)のスコア

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