日本のネット論壇で有名な人を思い浮かべてみよう。彼らがある時を境に、つぶやきを発さなくなったとしたらどうなるだろう。
先月、CNNIC(中国インターネットセンター)による中国のネット統計が発表された。2013年末時点のネット利用者は前年末から拡大して6億1800万人(全人口の45.8%)となったが、マイクロブログの「微博」(Weibo)の利用者が減少したことが分かった。
微博ユーザーは12年末に3億861万人、13年6月末には3億3077万人まで順調に伸びていたものの、年末には2億8078万人にまで急減。たった半年間で約5000万人ものユーザーが減少した計算になる。このインパクトのある数字は、中国メディアだけでなく日本語メディアや英文メディアでも話題になった。
まだまだインターネットユーザーが増える余地がある中国。ブログやオンラインショッピング、オンラインゲームではユーザーは増え続けており、減少は考えられない。過去にユーザーが減ったサービスといえば中国株バブル崩壊後のオンライントレードくらい。微博でいかに例外的なことが起きたのかが分かるだろう。
微博といえば、中国ネット世論の中心となるツールの1つとしてしばしば取り上げられ、また中国市場の販売促進ツールとしても認知されており、日本のメディアでも「中国版Twitter」として報道されることの多い巨大なネットサービスだ。急激なユーザー減少の背景には何があったのだろうかか。
何が起きた?
現地で考えられているいくつかの可能性をここで挙げてみよう。1つは、中国で2013年から顕著になったスマートフォン・3G・インスタントメッセンジャー(IM)「微信」(WeChat)への複合的な移行の中で微博が切り捨てられたという説だ。
SNS系のサービスの利用者数の変化をCNNICのレポートからまとめてみると、以下のようになる。
12年末 | 13年6月末 | 13年末 | 増減 | |
---|---|---|---|---|
チャット | 4億6775万人 | 4億9706万人 | 5億3215万人 | 一貫増 |
ブログ | 3億7299万人 | 4億138万人 | 4億3658万人 | 一貫増 |
微博 | 3億861万人 | 3億3077万人 | 2億8078万人 | 下半期減 |
SNS | 2億7505万人 | 2億8800万人 | 2億7769万人 | 下半期減 |
掲示板 | 1億4925万人 | 1億4098万人 | 1億2046万人 | 一貫減 |
「チャット」が中国で昔から人気の「QQ」だけなのか「QQ」+「微信」なのかは不明だが、一貫して増えている。これに対し昨年下半期に、微博は5000万人減っており、SNSも1000万人減少した。掲示板も昨年下半期に減少が加速している。
ただ、ブログは増えているため、スマホと3Gと微信で一気にライフスタイルが変化した──とは言い切れない。ゾンビアカウントの一掃が影響したという仮説も挙げられるが、過去多くのサービスで、ゾンビアカウントが一掃された後もユーザー数が増え続けた例があるため、これが利用者減少の原因とは思えない。
日本や米国でも見られた、ユーザーの「SNS疲れ」や、SNSが主流のトレンドから外れてきた、という可能性もある。だが、中国メディアには既に2012年には「ユーザーのSNS疲れ」の記事が登場しており、13年上半期までは利用者が増えているのに、SNS疲れが原因で13年下半期に一気にユーザーが減少したとは考えづらい。
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