中国科学院ソフトウェア研究所と上海のLiantong Network Communications Technologyは2014年1月、共同で国産OS「COS(China Operating System)」を開発したことを発表した。スマートフォンやタブレット端末、テレビ向けセットトップボックス、PCなどに向けるという。このCOSは、世界に大きな影響を与える可能性がある。
どの機器メーカーや通信事業者がこのCOSをサポートする予定なのかについては、さまざまな臆測が飛び交っている。一部のアナリストからは、有力な候補として、HuaweiやHTC、MediaTek、Lenovo、ZTEなどの名前が挙がっている。かつてMIPS Technologies(Imagination Technologiesが2012年に買収)の経営幹部を務め、現在は米国ワシントン州シアトルで独立コンサルタントを営むRobert Bismuth氏は、「2013年春に開催されたCOSアーキテクチャ関連のミーティングにおいて、約30社のメーカーがCOS導入に意欲を見せていた」と述べている。
さらに同氏は、「中国政府の国内に対する影響力は強大なため、携帯電話通信事業者は好意的な反応を示さざるを得ないだろう。中国政府としては、同国の宇宙開発計画と同様に、今回の中国産OSによって国家としてのアイデンティティを確立していきたい考えだ。中国国民にとっては、COSを使わない理由がない」と述べる。
既にCOSを採用しているスマホ機種も
今のところ、COSの採用を正式に発表した携帯電話通信事業者や機器メーカーは1社もないようだ。しかし、The New York Timesが掲載した記事によると、Liantong Network CommunicationsのChen Feili氏が、「既に4機種のスマートフォンでCOSが採用されている」と発表しているという。Bismuth氏は、「中国の通信事業者にとっては、COSを採用する他に選択の余地はない」と指摘する。
米国の市場調査会社であるTirias Researchで主席アナリストを務めるJim McGregor氏は、「どのメーカーが最初にCOSを導入するのかを判断することは難しい。しかしあえて言うなら、比較的規模の大きいスマートフォンメーカーではないだろうか。自社の製品ラインの中の1つでCOSを採用してみてから、投資する価値があるかどうかを判断できると考えられるためだ」と述べている。
HuaweiやMediaTekなどの他のメーカーは、コメントを避けている。ARMの関係者は、「現時点ではまだコメントできない」としている他、Imagination Technologiesの関係者は、「当社にとって中国は、膨大な数の消費者が存在する市場だ。COSの動向については、当然高い関心を持っている」と述べるにとどまっている。またHTCは、発表した声明の中で、「既存のOSパートナー企業との協業関係を維持することに注力していきたい。その他のOSに関する臆測についてコメントすることはできない」と述べている。
McGregor氏によると、「HTCに対する臆測は、『Butterfly』プラットフォームに関する情報が流れ出たことと、COSのユーザーインタフェースがHTCのものとよく似ていることが根拠になっている。しかし、正式にCOSのサポートを表明した機器メーカーはまだ1社もない。実際にCOSを搭載する製品を投入できる段階になってから、COSへの対応を発表するのだろう」と述べている。
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