日本マイクロソフトは1月29日、2015年7月にサポート終了を迎える「Windows Server 2003」の稼働状況と移行策について説明した。Windows Server 2003は国内で稼働するx86サーバ全体の約16%を占めており、利用企業は早期に最新環境へと移行するよう呼び掛けている。
IDC Japanの調査によれば、2013年に国内で稼働しているx86サーバは約223万台あり、70.6%をWindows Serverが占める。そのうち23.0%に当たる36万台はWindows Server 2003以前のOSで稼働しているという。これらのサーバはサポート終了後にセキュリティアップデートが提供されなくなり、システム全体の脆弱性が高まるリスクがある。
マイクロソフトによれば、サーバOSの移行はクライアント端末のように「順次入れ替え」というわけにはいかないという。「サーバは単にハードウェアを入れ替えるだけでなく、用途や条件に応じて移行先を十分検討する必要がある」と同社の高橋明宏氏(執行役 ゼネラルビジネス ゼネラルマネージャー)は指摘する。さまざまなシステムが複雑に関係しながら稼働しているサーバのOS移行に当たっては、各システムに適した移行先を選択した上で、全てのシステム環境を一気に移行する必要があるという。
では、Windows Server 2003以前のサーバ環境を利用している企業はどのように新環境に移行すべきか。同社の佐藤久氏(業務執行役員 サーバプラットフォームビジネス本部長)は、移行準備として以下の3つのステップを紹介する。
- 既存サーバ環境の棚卸し(台数、用途、設置場所など)
- 移行先の選択(クラウドか、オンプレミスか)
- 移行に必要な予算とスケジュールの確認
Windows Server 2003からの移行先としては、新OSを搭載したオンプレミスサーバ(プライベートクラウド含む)のほかパブリッククラウドの利用も考えられる。佐藤氏は、Webアプリケーションなどはパブリッククラウドに移行し、業務アプリケーションなどの複雑なシステムはオンプレミス環境に残すという「ハイブリッドクラウド」構成が今後の情報システム基盤の主流になるとみる。
ある大手金融機関では、Windows Server 2003で稼働していた大規模な業務アプリケーションの移行プロジェクトの完遂に約1年半を要したという。「『サポート終了まであと1年以上もある』と思う企業も多いかもしれないが、来年7月に全てのアプリケーションを新環境で本番稼働させる必要がある。そう考えると残された時間は多くない」と高橋氏は呼び掛けている。
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