米国の調査会社であるCrehan Researchによると、2014年にデータセンター向けネットワークスイッチ市場で用いられるデータ転送技術であるInfinibandとファイバチャネル(Fibre Channel)、イーサネットが、一斉に高速化されるという。
Crehan Researchは、報告書「Data Center Switch Long-Range Forecast(データセンターのスイッチに関する長期予測)」の中で、「2014年に出荷されるInfinibandは、50%以上が56G FDR規格品になり、現在普及している40G QDR規格品の出荷数を上回る見通しだ」と述べている。同報告書では、「ファイバチャネルも16Gビット/秒品が8Gビット/秒品を上回る。また、イーサネットも10Gビットイーサネット(10GbE)品が1GbE品を上回り、出荷数の半数以上を占める」と予想している。
データセンターへの技術投資が拡大
同社のプレジデントを務めるSeamus Crehan氏は、EE Timesのインタビューに対して、「データセンターのネットワーク環境が大きく向上している要因の1つは、データセンターが近年、技術に対する投資を大きく拡大していることにある」と述べている。
「Infinibandとファイバチャネル、イーサネットの3つの技術は現在、かなり成熟した段階にあり、魅力的な価格帯で、充実した機能を利用できるようになっている。こうした中、さらに広い帯域幅で、ユビキタスな接続が可能な、より機能の充実した技術が求められている。だが、これら3つの技術は、同じサイクルで進化してきたわけではない。重要なマイルストーンの実現時期が、ちょうど2014年に重なった」(同氏)。
40GbEは、10GbEよりもはるかに速いスピードで普及か
Crehan氏は、「10Gビットイーサネット(10GbE)は現在、データセンターのスイッチポート接続に最も多く採用される技術になっている。ただし、右肩上がりに順調に推移してきたわけではない。40GbEも、成長の兆しが見えている。40GbEは、10GbEよりもはるかに速いスピードで採用が進むと予想される」と述べている。
データセンター向けスイッチ市場は、サーバやストレージ、エンタプライズネットワーキングなどの市場と比べて成長が著しい。Crehan氏はこれについて、GoogleやAmazon、Facebook、Microsoftなどの企業を例に挙げ、「データセンターが、ビジネスドライバとなっているケースが多いためだ」と解説している。
2014年ネットワークスイッチ市場は100億米ドル規模に
同氏は、「2014年のネットワークスイッチ市場は100億米ドル規模に上ると予想される。今後も年平均成長率(CAGR)10%弱で成長を続け、2018年には160億米ドルに達する見通しだ」と述べている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
- 5G通信規格の策定団体、欧州で発足
- 「Snapdragon」で低価格LTEスマホが製造可能に、4Gチップ市場は競争が激化
- PCは低迷続くも、ワークステーションは堅調な伸び
- IoT時代の訪れとともに、存在感増すBluetooth
- 注目集める中国の衛星測位システム「北斗」、クアルコムとブロードコムも対応品を開発
- 2013年半導体売上高ランキング——メモリ勢躍進の影で、東芝6位、ルネサス10位、ソニー15位に降下
- 2013年のプロセッサ市場は急成長、モバイル端末がけん引役に
- 2014年の世界半導体製造装置販売額は前年比23%増の約400億米ドルに拡大へ——SEMI予測
- 事業買収が進むSSD業界
- 半導体技術で“モバイル医療”の実現へ
関連キーワード
データセンター | ギガビットイーサネット | イーサネット | Fibre Channel | ネットワーク | ネットワークスイッチ | 10ギガビットイーサネット | データセンター市場 | 投資 | 業界動向(エレクトロニクス) | 調査会社
関連記事
- CPU間データ通信速度で32Gbpsを達成、富士通研が新たな送受信回路を開発
富士通研究所は、CPU間のデータ通信速度を従来比で約2倍となる32ギガビット/秒(Gbps)に高速化できる送受信回路を開発した。次世代サーバ向けCPUに適用し、2014年ごろの実用化を目指す。 - 「量子通信の実現に大きな突破口」、NICTが中継増幅技術を開発
情報通信研究機構(NICT)などは、量子通信を長距離化する新しい「中継増幅技術」の実証に成功したと発表した。NICTは「量子暗号の長距離化や量子通信の実現に大きな突破口を与えるもの」としている。
Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.