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「楽器をチューニングするように開発した」――木にこだわったJVCのイヤフォン「ウッドシリーズ」登場

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 JVCケンウッドは1月28日、筐体(きょうたい)や振動板に木を使用したカナル型イヤフォン「ウッドシリーズ」の新製品を発表した。ハイレゾ音源再生も視野に、各所に木製部材を配置して分解能の向上を図ったモデル。ドライバー径などが異なる「HA-FX850」「HA-FX750」「HA-FX650」の3機種を2月下旬に発売する。

ts_jvcwood010.jpgts_jvcwood09.jpg「HA-FX850」(左)とそのカットモデル(右)

ts_jvcwood011.jpgts_jvcwood012.jpg「HA-FX750」(左)と「HA-FX650」(右)

 開発を担当した同社オーディオ事業部の宮澤貴之氏によると、新シリーズに投入された新しい要素技術は主に3つ。まず、随所に木の素材を配置した新開発のウッドドームユニットだ。

 ウッドシリーズでは、2007年発売の「HP-FX500」から筐体だけではなく、振動板にも木材を使用している。もちろんすべてを木で作ることは難しいため、実際に音を出すセンター部分に薄膜加工した木材をはり合わせたものを使用する。振幅時に柔軟性が求められるエッジ部分はベース材が担当する仕組みだ。

 今回の新製品では、ドーム型に成型したカバ材を採用した。カバ材は木材の中でも伝搬速度の速い素材であり、振動板に加工した後でも一般的な振動板素材より早い伝搬速度と適度な内部損失を維持するという。

ts_jvcwood08.jpgts_jvcwood01.jpg3機種の仕様の違い。振動板のサイズが異なる(左)。ウッドドーム振動板の概要(右)

 また振動板の背後には、新たに木製のプレートを設けた。従来は金属製だったが、「前方に放射される音(直接音)に金属プレートによる反射音(付帯音)が混ざり合い、分解能を上げきれない要因になっていた」(宮澤氏)。ウッドプレートは、振動板から後方に放射される音を吸収・拡散し、余分な振動を抑制する。

 さらに音の出口にはリング状の木製ディフューザーを設けて音を拡散する。「従来の金属キャップでは金属の付帯音がひずみになっていたため、木材を使って拡散させる。考え方はウッドプレートと同じだ」。

ts_jvcwood02.jpgts_jvcwood03.jpgウッドプレートで金属の付帯音を抑制(左)。木製ディフューザーの概要(右)

 2つめの要素技術は、木を使ってドライバーユニット自体の振動を自然に減衰させるダンパー構造だ。ウッドシリーズでは、従来機からドライバーを比重の大きい真ちゅう製(ブラス)のリングに固定していたが、新たにドライバーの背後に円状のウッドダンパーを設けて振動ロスを低減する。「プラスリングと異なる固有振動数を持つ木を配置することで、効果的に振動ロスを低減する。解像度の高いクリアなサウンド再生につながる」という。

 また上位モデルの「HA-FX850/FX750」ではブラスリングの底にもウッドリングアブソーバーを設け、筐体(きょうたい)の響きをコントロール。さらにユニットの前面もプラスリングで抑えて制振性を向上させた。同社はこれを“アコースティックデュアルハイブリッドバンパー”と名付けている。

ts_jvcwood04.jpgts_jvcwood05.jpg“アコースティックデュアルハイブリッドバンパー”と“ウッドリングアブソーバー”

 3つめの要素技術は、イヤーピースの内側にある。音の通り道にゴルフボールのようなディンプルをスパイラル状に設け、内壁にあたって反射する方遮音を拡散する仕組み。「従来は直接音と内壁の反射音が混ざることで音のにごりになるケースがあった」。ディンプル形状で反射音を拡散することで、それを効果的に抑えることができるという。

ts_jvcwood06.jpgts_jvcwood07.jpgスパイラルドットイヤーピースの概要と効果

 宮澤氏は、「優れた音響素材である木を用い、あらゆる部品を、あたかも楽器をチューニングするように開発した」と振り返る。「木の部材を効果的に使って分解能を高め、空間表現力を向上させることができた。“原音”に込められた楽曲制作者の思いをより生々しく再現できる」(宮澤氏)。

 3機種とも2月下旬に発売する予定で、価格はオープンプライス(右)。店頭では、最上位モデルの「HA-FX850」が3万8000円前後、「HA-FX750」が2万8000円前後、「HA-FX650」は1万9000円前後になる見込みだ(いずれも税抜き)。

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