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“変化”するZTE、「2016年までにスマートフォンで世界トップ3のメーカーを目指す」

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 中国のZTEが1月16日、香港でアジア各地のメディア関係者に向けた「ZTE Spring Media Luncheon 2014」を開催。中国や香港では1月31日に新年を迎えることもあり、ZTEのキーパーソンが2014年の戦略や抱負をあらためて語った。

 日本でのZTEといえば、主にソフトバンクモバイル向けにモバイルWi-Fiルーターやスマートフォン、子供向けケータイを供給しているメーカーとして知られる。ソフトバンクモバイルが「SoftBank 4G」として展開しているAXGPのインフラも、ZTEが手がけている。同社は端末事業やインフラ事業を世界中で展開しているが、特に中国と北米で高い業績を残している。ZTEは2013年12月31日に、キャリアビジネス、モバイル端末、エンタープライズにおける独立した事業部を立ち上げることを発表。メディアミーティングでは、これら3つの事業に関する具体的なビジョンが語られた(本稿ではネットワーク事業と端末事業に焦点を当てる)。

中国でナンバー1の4Gネットワークメーカーに

 キャリアビジネスの中核を成すのが4Gや3Gの「ネットワーク」だ。ZTEは世界で65の商用LTEネットワークのインフラを手がけており、納入先のキャリアには、中国のChina MobileとChina Telecom、香港のCSLとHutchison H3G、インドのBharti Airtel、マレーシアのU-Mobile、そして日本のソフトバンクモバイル(厳密にはWireless City Planningだが)などが含まれる。実証実験のネットワークを含めると140キャリアに及ぶ。中国では13年にTD-LTEの商用サービスがスタートしたが、ZTEのLTEインフラはChina Telecomの40%、China Mobileの28%を占め、中国市場全体では1位のシェアを誇る。

 シニアバイスプレジデントのチャン・レンジュン(Zhang Renjun)氏は「2013年はアジアのビジネスに尽力した。香港、インド、マレーシア、タイなどで通信事業者と良好な関係を築け、中国ではナンバー1の4Gネットワークメーカーとなった。またアメリカでも良い結果を残せた」と手応えを話す。

 バイスプレジデントのショーン・サイ(Sean CAI)氏は「ZTEは通信事業者に最良のLTEソリューションを提供している。2G、3G、4Gを1つの基地局でカバーできる“マルチモード”に対応しているので、4Gにもスムーズに移行できる。LTEでは装置だけでなく、アクセスネットワーク、トランスポートネットワーク、コアネットワーク、データセンター、すべがアップグレードしている。ZTEは2013年に大きく勢いが増したが、2014年にはさらに良いポジションを得られると信じている」と自信のほどを語った。

photophotoシニアバイスプレジデントのチャン・レンジュン氏(写真=左)とバイスプレジデントのショーン・サイ氏(写真=右)
photophoto世界各地でLTEインフラを提供している(写真=左)。ネットワークに関するさまざまな賞も受賞した(写真=右)

Grandシリーズでハイエンドスマホを攻める

photoグローバルマーケティングディレクターのリュ・チャンハオ氏

 モバイル端末事業全体の戦略については、グローバルマーケティングディレクターのリュ・チャンハオ(Lv Qianghao)氏が語った。「Change in 2014」と題してプレゼンテーションを行ったことからも分かるが、2014年における端末事業のテーマは「変化」だ。その1つが、コンシューマーを中心としたモバイル戦略であり、通信キャリアだけでなく、エンドユーザーの声も積極的に取り入れていく。「エンドユーザーとのコミュニケーションを続けることで、ZTEのファンを増やしたい」とリュ氏は意気込む。

 ZTEはフラッグシップモデルとして「Grand」シリーズを展開している。最新モデルの「Grand S II」は、フルHD(1080×1920ピクセル)の5.5インチIPS液晶や、3000mAhバッテリー、13メガピクセルカメラを搭載するハイスペックなスマートフォン。LTEはFDD-LTEとTD-LTEの両方をサポートする。リュ氏は「SamsungのGALAXYよりも美しくてスリムなデザイン、よりパワフルなバッテリーライフを実現する」とアピールし、ブランドネーミング的にもGALAXYを意識していることがうかがえる。GALAXY Noteのライバルになるファブレットの分野では「Grand Memo」を展開する。ZTEはかつて「ZTE Blade」「ZTE Skate」などローエンド端末をヒットさせてきたが、「今後はハイエンドスマートフォンが主流になる」とリュ氏は話す。

photophoto2013年はハイエンドスマートフォン、キャリアを通さないオープンマーケット、スマートフォンの比率が上がった(写真=左)。2013年第3四半期の携帯電話全体のシェアは、世界5位だった(写真=右)
photophotoブランディング向上にも努めている。NBA中国とのパートナーシップも結んだ
photophotophoto新たに音声認識機能を搭載したフラッグシップスマートフォン「Grand S II」(写真=左)。OS、チップセット、ソフトウェア/サービスの企業とも良好な関係を築いている(写真=中)。2013年は16機種のLTE端末をリリースし、800万台を出荷した。2014年は20機種のLTE端末をリリースし、TD-LTE用の新たなチップセットもZTE自ら投入するという(写真=右)

新ブランド「nubia」に込められた意味とは?

 新ブランドのスマートフォン「nubia」は、通信キャリアを経由せず、ZTEがオンラインで直接販売する。さらに「将来的には、ZTEのブランドショップを増やしていく。まずは中国と北米から取り組み、その次にロシア、日本、欧州、インドネシア、インドにも広げたい」とリュ氏は話す。チャン・レンジュン氏は「バンドリングビジネス(キャリアに納入するビジネス)は今後、減っていくだろう」とみる。オンライン限定販売のnubiaは、ZTEのピュアブランド製品であり、キャリアを経由しないB to Cビジネスの先駆けともいえる存在だ。SIMカードが同梱されず、ユーザーが通信キャリアを自由に選べるのも直販ならではだ。

photophoto新ブランド「nubia」では、「nubia Z5S」と「nubia Z5S mini」の2モデルをラインアップする(写真=左)。5インチフルHD液晶を搭載するnubia Z5S。126グラムという軽いボディも特徴だ(写真=右)

 機能面で、nubiaはGrandシリーズと何が違うのか? 最も大きなポイントは「カメラ」だ。「nubia Z5S」は光学式手ブレ補正機能付きの13メガピクセルカメラを搭載。CMOSセンサーにはソニーの「Exmor RS for mobile」を採用し、F2.0の明るいレンズも備えた。カメラの起動やシャッターに使える専用キーを備え、Autoモードでは細かな設定をせずともシーンに合った写真を撮れる。AFロックとAEロックを個別に設定できるProモードは、AF/AEを個別にロックできないiPhoneを意識した機能だと思われる。4Kサイズの撮影や120fpsのスローモーション動画を撮影できるなど、動画機能も充実させた。インカメラは5メガピクセルだ。スペックをやや抑えた「nubia Z5S mini」も、Z5Sとほぼ同等のカメラを備える。

photophotoすべてnubiaで撮影されたという動画を紹介。ちなみに、nubia Z5Sは4Kサイズの動画撮影にも対応している
photophoto光学式手ブレ補正機能を紹介すべく、会場には振動する装置にセットして揺らしながら撮影するデモを実施。iPhone 5と比較していたが、確かにiPhone 5の写真はブレている(写真=左)。せっかくなので最新のiPhone 5sと比較すべきでは? と思い、手持ちのiPhone 5sをセットして比較。こちらは2機種ともブレを抑えられていた(写真=右)

 nubiaには「古代文明の発祥地」「人類の起源」といった意味があり、これから新しいブランドを開拓していくという思いが込められている。nubiaのゼネラルマネージャーであるニー・フェイ(NI Fei)氏は「nubiaは、30歳以下の若いスタッフによるチームが開発している。彼らは若者の嗜好と、インターネットを中心とした考えを持っており、とてもスピーディに開発を進めてきた」と話す。中国でEコマース事業を展開する「JD.com」と協業して販売しており、「2週間で350万台のプレオーダーが入った」(ニー氏)というほど好調だ。今後は北米、ロシア、東南アジア、北欧にもオンライン販売を広げていく予定だ。なお、現時点でnubiaのリアル店舗での販売は予定していない。

photophotonubiaのゼネラルマネージャー ニー・フェイ氏(写真=左)。nubiaの語源と意味(写真=右)
photophoto事前予約で350万台ものオーダーがあったという(写真=左)。nubiaを販売する地域。残念ながら現時点で日本は含まれていない(写真=右)
photophoto白くてシンプルなパッケージ(写真=左)。nubiaブランドのモバイルバッテリー(写真=右)
photophotonubiaブランドの周辺機器も多数用意し、エコシステムの構築にも努める

2016年までにスマートフォンシェアでトップ3に入る

 ZTEは2013年に4000万台のスマートフォンを世界で出荷し、2014年は「6000万台以上の出荷を目指す」とチャン・レンジュン氏は話す。「素晴らしいデザインで、使い勝手のよいスマートフォンを作れるよう努力する。端末事業は米国、中国、日本で特に投資していきたい」と話した。

 世界でのスマートフォンのシェアで、ZTEは2013年第2四半期にSamsung電子、Apple、LGエレクトロニクス、Lenovoに次ぐ5位につけていた(参考記事)が、同年第3四半期はHuaweiに抜かれてしまい、ZTEは6位以降に追いやられた(参考記事)(いずれもIDC調べ)。携帯電話全体のシェアでは2013年第3四半期に5位につけているが(6位がHuawei、Gartner調べ、外部リンク参照)、スマートフォンでは厳しい戦いが続いている。チャン・レンジュン氏は「2016年まで、つまりこれから3年以内に、スマートフォンのシェアで世界トップ3に入りたい」と目標を語った。そのカギを握るのが「ブランディング」「フラッグシップ製品」「デザイン」「(部品メーカーの)サプライチェーン」だという。nubiaのような、キャリアを通さないZTEブランド製品の直販も拡充していく構えだ。

 「日本では、今後ソフトバンク以外のドコモやKDDIに端末を供給する可能性はあるか?」(デジタルフォトフレームはKDDI向けに供給しているが)とチャン・レンジュン氏に尋ねたところ、「話し合いはしているが、まだ時間がかかる」と述べるに留めた。やはりiPhone、Xperia、GALAXY Sなどの間に割って入ることは簡単ではなさそうだ。

 今後の日本事業や、端末事業の詳細については、個別にインタビューを行ったので、別途掲載する予定だ。

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