エレクトロニクス製造・実装技術展「インターネプコン ジャパン」(2014年1月15〜17日、東京ビッグサイト)では2014年1月16日、台湾フォックスコン(Foxconn、鴻海精密工業)の技術顧問を務めるファインテック代表取締役社長の中川威雄氏が特別講演を行った。「世界No.1 EMS “Foxconn”のビジネス戦略」をテーマとし、米アップルのiPhone生産や主要各社の家庭用ゲーム機生産などを一手に請け負う、同社の強さの秘密と今後の課題などについて紹介した(関連記事:フォックスコン顧問が語る“失われた20年”が生んだ日本の未来とは?)。
10兆円の売上高を誇る世界最大規模の“製造業”
EMS(電子機器受託製造サービス)とは電子機器においてOEM(original equipment manufacturer、相手先ブランドでの製品製造)を行う製造代行サービスのことだ。フォックスコンはこのEMSで世界最大規模を誇る。顧客企業には主要な電機・IT企業の大半が含まれ、売上高は10兆円にも及ぶ。
同社は、現在も董事長(CEO)を務める郭台銘氏が1974年に24歳で創業し、約40年間で売上高10兆円という巨大企業となった。創業当時は樹脂射出成形を中心とした町工場だったが、1990年頃に米国コンパックからデスクトップPCの筐体製造と組み立てを請け負い、EMS事業へと舵を切ったことが奏功した。
年々製造製品のカバー範囲を広げており、現在では、デスクトップPC、ノートPC、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット、デジタルカメラ、ゲーム機、デジタルテレビ、コネクタ、液晶パネルなど、の生産を行っている。代表的な生産製品としては、米国アップルのiPhoneやiPad、ソニーや任天堂のゲーム機、主要メーカーのPCなどがある。生産量という点から見れば、世界最大規模の“製造業”ということがいえるだろう。
フォックスコンが急成長した3つのポイントとは?
フォックスコンといえば、街と言っていいほどの大規模な工場が有名だが「急成長の秘密はそれだけではない。フォックスコンがここまで急成長したのには主に3つのポイントがあった」と中川氏は話す。
1つ目はその大規模工場を含む早期の中国進出だ。フォックスコンでは、数少ないオリジナルブランド製品としてコネクタがあるが、1988年にこのコネクタ事業で中国に工場展開を開始。これを礎とし、中国国内に大規模工場を次々と建設していった。中国における安価で豊富な労働力と、中国語でコミュニケーションできるという点を最大限に生かし、組み立て生産において圧倒的な製造力とコストパフォーマンスを実現することに成功した。
「中国語という武器を生かし、中国の安い人件費で、組み立て生産におけるコスト競争力を発揮できたのは大きな強みとなった。中国では35万人が働くという深セン市の大規模工場を含み100万人余りが働いている。中国から海外に輸出する外資系企業の中でも最大規模の売上高を誇っている」と中川氏は語る。
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