レベル違いの円安値上げ:混乱のピークは1月。1ドル90円を越えて徐々に落ち着く
2013年初頭のアキバ自作街でもっとも関心を集めたトピックは、PCパーツの新製品ではなく、対ドルの円安からくる値上げ情報だった。2012年10月ごろから続く円安傾向により、2012年年末にはメモリやHDD、SSDの値上げに踏み切るショップが現れ、年明けにその動きがピークを迎えた。当時は「12月上旬に7000円を普通に切っていた2TバイトHDDが1カ月で1000円アップしました」(ツートップ秋葉原本店)といった話が方々で聞かれた。
PCパーツは伝統的に海外からの輸入が多いため、円安が続くと仕入れ値の上昇を代理店やショップが抑えきれなくなり、店頭価格の値上げが行われる。特に価格の変動が激しいために多めの在庫をとりづらい商品や、入荷すればすぐに売れるような回転率の高い人気商品ほど値上げに踏み切るタイミングが早くなる。
この原則通りに、流通が再開した1月初旬はメモリとHDD、SSDの値上げが再び活発になった。TSUKUMO eX.は「歳末特価でどうにか9000円台で抑えていた3TバイトHDDでしたが、1月2日に1万280円、4日に1万480円に値上げせざるを得ませんでした」という。パソコンハウス東映のように「仕入れ値からくる値上げだけでなく、他店の価格による調整もあって、価格変動がとにかく頻繁です。年明け早々店外の価格表は張り替えを諦めました」といったショップもあった。
この傾向は1月中に“値上げ常連パーツ”の枠を外れ、当時主流だったIvy Bridge世代のCPUやグラフィックスカードにマザーボード、さらにPCケースや電源ユニット、OS、ケーブル類にまで及ぶようになった。仕入れ値を上げた新型番に切り替えることで値上げする例も多く、1月中旬から2月初旬までの間はほとんど仕様が同じ新型番の商品を複数のジャンルでよく目にした。
1月以降も円安傾向は続くが、代理店やショップが長期的な円安対策を立てたことで、2月中旬には値上げに絡む混乱は落ち着く。その後も半月以上円相場が下落する状況が続くとHDDやSSDの値上がりが行われることもあったが1月ほどの変動ははかった。なお、1月当時の円相場は1ドル90円前後だった。
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