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新ホームノート「VAIO Fit」登場、タッチPCを拡充――ソニー「VAIO」夏モデル

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VAIO 2013年夏「標準仕様モデル」の主な特徴

ラインアップ

  • 15.5型/14型の新しいホームノートPC「VAIO Fit
  • BRAVIAの高画質回路を搭載、タッチ対応モデルを拡充した液晶一体型PC「VAIO L
  • メモリ容量を増やしたハイブリッド型ノートPC「VAIO Duo 11
  • 14型以上の「VAIO E」「VAIO T」「VAIO S」は販売終了
  • 13.3型以下の「VAIO T」「VAIO S」は春モデルを継続販売
  • VAIO Tap 20」は春モデルを継続販売

ハードウェア

ソフトウェア

  • 全モデルに64ビット版Windows 8をプリインストール
  • 全モデルにOffice Home and Business 2013をプリインストール
  • VAIO Fit 15/14にImagination Studio VAIO Editionを付属
  • VAIO Fit 15/14にAdobe Photoshop Elements 11を付属

VAIO 2013年夏「VAIOオーナーメードモデル」の主な特徴

ラインアップ

ハードウェア

  • 標準仕様モデルに比べて、ローエンドからハイエンドまで選択可能

ソフトウェア

  • Windows 8やOffice 2013のエディションを選択可能
  • 付属アプリもカスタマイズに対応


14型以上の家庭向けノートPCを新モデルに集約

tm_1305vaio_01.jpg新ラインアップの目玉となる「VAIO Fit」 ※写真は15型のVAIO Fit 15

 ソニーは5月7日、「VAIO」ブランドの2013年PC夏モデルを発表した。2013年春モデルと同様、店頭販売向けの標準仕様モデルと、購入時に仕様が選択できるソニーストア直販のVAIOオーナーメードモデルを用意し、2013年5月18日より順次発売する。

 ラインアップの目玉は、新しい家庭向けの15.5型/14型ノートPC「VAIO Fit」だ。同製品の投入に伴い、14型以上の「VAIO E」「VAIO T」「VAIO S」は販売終了となる。そのほか、既存モデルはスライドボディのハイブリッドPC「VAIO Duo 11」、およびテレビ機能に注力した液晶一体型PC「VAIO L」のマイナーチェンジにとどまり、13.3型以下のVAIOノートと「VAIO Tap 20」は春モデルが継続販売される。

 これらの新モデルは第3世代Coreプロセッサー(開発コード名:Ivy Bridge)を採用しており、6月初旬に発表される予定の第4世代Coreプロセッサー(開発コード名:Haswell)を搭載したモデルは、後日登場するとみられる。

選べる4タイプの新型ホームノート「VAIO Fit」

 VAIO Fitはソニーの新しい大画面ノートPCラインアップ。プレミアムモデルとして15.5型の「VAIO Fit 15」と14型の「VAIO Fit 14」、スタンダードモデルとして15.5型の「VAIO Fit 15E」と14型の「VAIO Fit 14E」を用意している。

 VAIO Fit 15/14は、すべての店頭向けモデルに静電容量式のタッチパネル付き液晶ディスプレイと、低電圧版の第3世代Core i3/i5/i7、NANDフラッシュメモリ内蔵のハイブリッドHDDを採用。タッチパネル付きの液晶ディスプレイや光学ドライブを搭載しながら、厚さは22.1ミリ(14型)もしくは22.5ミリ(15.5型)に抑えた(Ultrabook準拠ではない)。

 薄型ボディの天面とパームレストにはヘアライン加工のアルミニウムをあしらい、天面にVAIOのダイヤモンドカットロゴを施すことで、質感にも配慮している。カラーはシルバー、ブラック、ピンクの3色展開だ。

 VAIO Fit 15の店頭向け上位モデル「SVF15A18CJS・B・P」は、1920×1080ドット表示の15.5型ワイド液晶、Core i7-3537U(2.0GHz/最大3.1GHz)、8Gバイトのメモリ、1TバイトのハイブリッドHDD(8GBフラッシュメモリ内蔵)、BDXL対応のBlu-ray Discドライブ、テンキー付きキーボード(バックライト内蔵)を搭載する。実売価格は18万円前後の見込みだ。

tm_1305vaio_02.jpgtm_1305vaio_03.jpg15.5型上位の「VAIO Fit 15」(写真=左)。14型上位の「VAIO Fit 14」(写真=右)

 VAIO Fit 15Eは、上位のVAIO Fit 15より厚みのあるボディを採用し、天面やパームレストは樹脂製だ。従来機(VAIO Eの2012年秋冬モデル)に比べて約2倍の明るさを確保した高輝度の15.5型ワイド液晶ディスプレイ、大型のボックス型スピーカーとサブウーファーを内蔵し、画質と音質にこだわった。

 店頭向けモデルの「SVF15217CJB・W」はブラックとホワイトの2色を用意。1366×768ドット表示の15.5型ワイド液晶(タッチパネルなし)、Pentium 2117U(1.8GHz)、4Gバイトメモリ、1TバイトHDD、DVDスーパーマルチドライブ、テンキー付きキーボード(バックライト内蔵)を搭載する。実売価格は10万5000円前後の見込みだ。

 VAIOオーナーメードモデルには、14型のVAIO Fit 14E(SVF1421A1J)も用意。液晶ディスプレイが最大1600×900ドット表示の14型ワイドパネルになる以外、主な基本スペックはVAIO Fit 15Eと共通化されている。

tm_1305vaio_04.jpgtm_1305vaio_05.jpg15.5型下位の「VAIO Fit 15E」(写真=左)。14型下位の「VAIO Fit 14E」(写真=右)

「VAIO Duo 11」と「VAIO L」はマイナーチェンジ

 独自のスライド機構により、タブレット形状とノートPC形状をワンアクションで素早く切り替え可能な11.6型ハイブリッドPCのVAIO Duo 11は、ボディデザインや基本設計を継承しつつ、店頭向けモデルのメモリ容量を4Gバイトから6Gバイトに強化した。

 AV機能に注力した液晶一体型デスクトップPCのVAIO Lは、付属ソフトウェアの一部をバージョンアップしつつ、タッチパネルが備わったバリュークラスのモデル「SLV24147CJB・W」を追加している。

tm_1305vaio_06.jpgtm_1305vaio_07.jpgメモリ容量を増やした「VAIO Duo 11」(写真=左)。タッチ対応モデルを拡充した「VAIO L」(写真=右)

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Fireworksはまだまだ終わらない

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 2013年5月6日(現地時間)、アメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルスのロサンゼルスコンベンションセンター(LACC)で、Adobe MAX 2013が開幕した。米アドビシステムズ(以下、アドビ)は、1日目の基調講演で、Creative Cloudのバージョンアップ、多数のアプリケーションの機能強化、複数ユーザーでのコラボレーション機能の強化などを発表した。

 この内容は日本でも速報として伝えられ(参照記事:Creative Suiteシリーズがアップデート終了)いくつかのアプリケーションが今回のアップデートから除外されたことも明らかになった。そのアプリケーションはFireworks、Encore、Acrobat、Flash Builder、Lightroomだ。基調講演が終了し、記者向けのQ&Aセッションが終わったころに、時差の関係で日本で基調講演の内容が伝わるようになった。その中で、ひときわ話題になっていたのが「Fireworksが開発中止になる」というもの。そういった事実のニュースリリースをアドビが出していないにもかかわらずだ。

そもそもFireworksとは、どういう製品なのか

 FireworksはWeb制作において、グラフィック作成を担うアプリケーションで、Photoshopとはまた違った生い立ちもあり、独自のユーザー層を持っている。特にビットマップとベクターの画像データを同一ファイル上で扱うことができ、最近ではPhotoshopフィルタを扱えるため、よりデザイン的な面でサポートを強化してきたアプリケーションだ。Web制作の現場では「Fireworks派」と呼ばれる人達が存在し、筆者もまたその1人である。

 そんなFireworksだが、今後Creative Cloudとしてはアップデートされず、Fireworks Creative CloudではなくFireworks CS6として提供が続けられることになった。また、情報のソースとして伝えられているのがアドビの公式ブログにある「The future of Adobe Fireworks」という記事だ。Twitterなどで報じられている内容では、この記事を根拠に、Fireworksは開発中止であると結論している。しかし、筆者はここに大きな誤解があると考えている。

 まず、CS6ではFireworksに限らず新規機能の追加は行われない。また当該ブログでは、「開発中止」という言葉は使われておらず、Fireworksのセキュリティ更新やバグ修正は提供していき、次のMac OS XやWindowsのメジャーアップデートに併せてサポートしていくと記述している。仮に開発中止であるなら、ブログに「discontinued」などといった言葉が登場してもおかしくはない。

 実際、Fireworksがアドビ製品のメジャーアップグレードのサイクルから外れてしまったことは今回が初めてではなく、外れてしまってもその後はしっかりした機能追加がされたうえで復活を果たしてきている。

 筆者は基調講演の時点では、少なくとも今回のアップグレードからは外れたが、将来はアップグレードされるだろうという認識でいた。そしてそれは今も変わらない。

アドビがPhotoshopにEdge Reflowへの書き出し機能を追加した意図とは

 ところが、Photoshopに「Edge Reflow」への書き出し機能が追加されたことで、アドビがFireworksの開発を止めようとしているのではないかといううわさに一層輪を掛けてしまっている状態だ。

 本来、Web制作用のグラフィック作成ソフトとして開発されたFireworksにこそ、Edge Reflowへの書き出し機能が実装されても良いはずなのだ。実際にAdobe Maxの会場でアドビの関係者に話を聞いても、非公式ながら「それが自然だと思う」という回答を得ている。ではなぜ、Photoshopなのか? それは、アドビが考えるクリエイティブワークスタイルに関係しているのではないか、と筆者は予測する。

 今回のCreative Cloudのバージョンアップにより、Creative Cloudを利用するメリットがより一層強調されるようになった。これは、アドビがこれまでのパッケージ販売からサブスクリプション制へ移行する強い意志の表れであると取ることができる。

 Creative Cloudを利用することで、ユーザーは低いコストでアドビのクリエイティブツールをすべて利用できるようになる。パッケージ版だとすべて利用するにはMaster Collection以上が必要で、定価は39万円、アップグレードで16万円ほどだ。大企業ならともかく、中小企業や個人事業主であれば、このような出費は大変な痛手となる。Creative Cloudだと、出費は毎月一定額になり、支払っている限りアップグレードとダウングレードが保証され、さらにパッケージ版では提供されないコラボレーションツールなどを利用することができるようになる。

 そしてユーザーは、これまでは購入したパッケージの中で必要なアプリケーションだけを利用していたのが、パッケージに縛られずさまざまなアプリケーションを利用できるようになることで、仕事の幅を拡げられる。

 それはつまり、これまでコードを書くことがなかったデザイナがEdge Reflowを利用してレスポンシブルWebデザインを手掛けてみたり、そもそもコードに縁がなかった営業職の人達がデザインなどを手掛ける可能性が出てきたことになる。

 アドビがもし、さまざまな職種の枠を超えたクリエイティブワークを考えているのだとすれば、FireworksにEdge Reflow書き出し機能を搭載しても、結局Webを専業とする人達の間で使われるだけで終わってしまうと考え、さまざまなユーザー層を持っているPhotoshopへあえて搭載したのではないだろうか。

 PhotoshopからEdge Reflowへ書き出す際のワークフローはまだ明らかになっていないが、おそらく、HTMLの構造をレイヤ構造に置き換えるような手法が取られると考えられる。であれば、Photoshopに搭載されたEdge Reflowへの書き出し機能をFireworksに搭載することは、そう難しくないのではないだろうか。

 そして、Fireworksはまだまだ終わらんよ、と筆者は考えるのである。

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TechTargetジャパン

「世界最強のネットワークにつながるスマホ」 ソフトバンク夏モデルにフルセグ対応機 機種数は絞り込み

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 「世界で最もスマートフォンがつながりやすいのはソフトバンクのネットワークだ」——ソフトバンクが5月7日に行った2013年夏モデル発表会で孫正義社長は、端末紹介より長い時間を割いてネットワーク品質の高さをアピールした。米Sprint Nextel買収に向け、技術やノウハウをアピールする狙いもあったようだ。

画像孫社長

 スマートフォン新機種としては、フルセグのデジタルテレビ放送対応機やシニア向けなど6機種を新たにラインアップしたが、端末数を絞った展開。孫社長は「今日の目玉は、一端末というよりネットワークだ」と繰り返し、「機種数でバラエティを出すよりは、機種を絞り、新サービスやシニア向けなどで幅を広げていきたい」と話した。

「世界に誇る最先端のネットワークノウハウある」

 同社ユーザーのトラフィックはここ5年で60倍にふくれあがり、「車の渋滞のようにデータが詰まるパケ詰まりが起きた」が、モバイルインターネットに適したネットワーク網をほかのキャリアに先駆けて整備し、つながりやすさを確保しているとアピールする。

 つながりやすさのカギとして強調したのは、(1)1つの基地局でまかなうユーザー数を減らす省セル化、(2)2.1GHz帯と1.7GHz帯の両周波数を利用できる「ダブルLTE」(iPhone/iPad用)、(3)3キャリアで最も多いという公衆無線LANスポットの数──だ。


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 省セル化に伴う電波干渉・混信対策として、ベースバンド機能をアンテナから切り離して複数のアンテナを1つのベースバンドユニットでまとめて制御し、まるで1つの基地局であるかのように扱う“クラウド基地局”を展開。「クラウド基地局をこの規模で行っているのはソフトバンクが世界初。世界に誇る最先端のネットワークノウハウを持っている」と話す。

5インチ・フルセグ対応スマホ、シニア向け参入

 「世界最強のネットワークを活用する端末」として新端末を紹介。ハイエンド機「AQUOS PHONE Xx(ダブルエックス) 206SH」(シャープ製)、「ARROWS A(エース) 202F」はそれぞれ、5.0インチフルHDディスプレイを搭載し、フルセグに対応した。大容量充電池(AQUOS PHONEは3080mAh、ARROWS Aは3020mAh)を搭載しており、フル充電で2日以上連続使用できるという。


画像AQUOS PHONE Xx
画像ARROWS A 202F

画像シンプルスマホ 204SH

 シニア向けスマホに新たに参入した。「シンプルスマホ 204SH」(シャープ製)は電話・メール・ホームボタンに大きなハードウェアキーを採用。「シニア向け端末はドコモからも出ているが、1000人以上の高齢者に生の声を聞き、改良した」という。

 「最強のポケットWiFi」と紹介したモバイルWi-Fiルーター「Pocket WiFi 203Z」(ZTE製)は、SoftBank 4G(2.5GHz帯)とULTRA SPEED(1.5GHz帯)、イー・アクセスのEMOBILE LTEとEMOBILE G4(1.7GHz帯)に対応。5000mAhのバッテリーを搭載し、スマートフォンの充電にも活用できる。

 防水スマートフォンとして世界最軽量・94グラムの「DIGNO R 202K」(京セラ製)、幅60ミリとコンパクトに抑えたスマートフォン「AQUOS PHONE ss 205SH」(シャープ製)、防犯ブザー付きケータイ「みまもりケータイ3 202Z」(ZTE製)などをラインアップ。フィーチャーフォン(従来型携帯電話)はないが、「売れているガラケーは従来通り店頭に並ぶ。より洗練された機種は今後も時々出てくる」と今後の発売の可能性を示唆した。

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ハフィントン・ポスト日本版オープン 読者参加による「ポジティブで良質な言論空間」へのチャレンジ

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photoハフィントン・ポスト日本版

 ニュースサイト「ザ・ハフィントン・ポスト」日本版が5月7日、オープンした。ブロガーによるブログ記事と編集部などによるニュース記事に加え、読者からのコメントを重視。誹謗中傷などは削除するなどし、寄稿者やユーザー間で建設的な議論が行われる「良質な言論空間」を目指していく。米国版創設者のアリアナ・ハフィントン氏は「対話に参加してほしい」と、コメント投稿などでコミュニティーに積極的に参加するよう、日本の読者に呼び掛けている。

 米Huffington Postと朝日新聞社が共同で運営。まず政治、経済、国際、社会の4テーマをカバーし、ジャーナリストの佐々木俊尚さん、ジャーナリスト/メディアアクティビストの津田大介さん、起業家の堀江貴文さんら約70人のブロガーによる寄稿と編集部の独自記事、通信社の配信記事などを掲載する。

 オープンした同サイトには早速、佐々木俊尚さんによる「ハフィントンの上陸は、日本のメディア空間を変えるか?」、映画監督の森達也さんによる「地下鉄サリン事件がテロだったと誰が断言できるのか?」といった寄稿や、「『育休3年』って誰のため?安倍首相の子育て支援策に批判噴出」といった編集部記事が掲載されている。

ポジティブな対話の場に

photoアリアナ・ハフィントン氏(右から3人目)と松浦編集長(右から4人目)、朝日新聞社の木村社長(右から2人目)

 「サイトを見て、従来のニュースサイトとあまり変わらないという印象を持たれたのではないか」と松浦茂樹編集長は言う。「では何が違うのか。それはユーザーの声だ。従来のニュースサイトとは異なり、ユーザーによるポジティブな意見交換を目指している」という。

 The Huffington Postは2005年5月、作家のアリアナ・・ハフィントン氏が創設。ニュース記事と論説的なブログ、ソーシャルコメントが融合したニュースサイトとして成長し、米国では1月時点で月間4600万人が訪問。月間投稿件数は800万件と、ユーザーによるコメント投稿も活発に行われている。誹謗中傷など、規約に反するネガティブなコメントは人力を含めた手段を活用して削除しているのが特徴の1つだ。

 日本版でも、コメントの投稿に当たってはガイドラインの順守を求めていく。ガイドラインによると、コメントは事前承認制とし、「直接であれ間接であれ他人を攻撃、中傷または侮辱することは容認しません。また議論の脱線、乗っ取りまたは相手が感情的に反応するよう仕掛けることも容認しません」とし、こうしたコメントは削除することを明記。また「コミュニティの各メンバーは、コミュニケーションのレベルを向上させるとともに、コミュニティの品位を落とすサイト荒らしをなくすことに協力する権限と責任があります」と参加者への協力も求めている。

 コメント投稿を受け付けている日本のニュースサイトでは、誹謗中傷や差別的なコメントで埋まってしまうケースが多かった。松浦編集長は「日本のニュースサイトにはコメントはいらないのではないかと、絶望的な気持ちになったこともある」が、Huffington Postでは「ネガティブなコメントは淘汰され、前向きなコメントが残る。その仕組みに未来を感じた。日本版でも同じことができるのではないか。チャレンジすべきはこの点ではないかと考えた」という。

 ジャーナリストの藤代裕之さんがYahoo!ニュース個人に公開した「ハフィントン・ポスト日本版は失敗する」という記事が公開されたが、「記事を読んだが、愛があふれる叱咤激励だった。改善すべき点はユーザーの声を聞き、次のステップに進めれば」と批判も歓迎。「ポジティブに日本の未来を語る場としてスタッフ一同盛り上げていきたい」と意気込み、特に団塊ジュニア世代からの発信を促していきたいという。

 来日したアリアナ・ハフィントン氏は「日本の変革の瞬間を迎える時にハフィントン・ポストを公開できることをうれしく思う。みなさんの声を日本中から出して欲しい。コメントを歓迎する」と話し、「もっと対話を育みたい。米国の例を見ればそれができることは分かっている」と期待する。意見だけではなく、ユーザーそれぞれが生きている、それぞれの立場からの「自分の物語」を語ってほしいと呼び掛ける。「ブログを書く人に階層やヒエラルキーはない」

 朝日新聞社の木村伊量社長は「紙の新聞は一方的な情報の供給者としての側面が強かった」とし、「ネットで言論空間を作る推進力に期待している。公平性、信頼性を兼ね備えた質の高いコンテンツと、読者の肉声の数々が言論空間を形作ると考えている」と、新聞的アプローチとは異なる、ネットとソーシャル時代ならではのニュースメディアに期待を寄せた。

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Intel、22ナノメートル世代の「Silvermont」マイクロアーキテクチャを発表

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og_silbermont_000.jpg22ナノメートル世代の「Silvermont」マイクロアーキテクチャが2013年後半から投入される製品群の基盤になる

 インテルは5月7日、22ナノメートルプロセスルールで製造される次期Atom SoC(System on a chip)の新マイクロアーキテクチャ「Silvermont」を発表した。Silvermontは、データセンターからスマートフォンまで広範な市場セグメントを対象にしている。

 コンシューマー向けでは、主にタブレットで採用される「Bay Trail」(Bay Trail-T/開発コード名)搭載製品がクリスマス商戦期に登場する見込みで、スマートフォン向けの「Merrifield」(開発コード名)も2013年内にOEM向けの出荷が開始される予定だ(関連記事:大解説! Intelの“モバイル”SoC戦略をまとめてみた)。

 Silvermontではアウトオブオーダー方式の実行エンジンと、最大8コアまでコア数をデザインできるマルチコア設計(2つのコアと1Mバイトの2次キャッシュを1組としたモジュール単位でコアを増やせる)などにより性能を向上したほか、3次元トライゲートや低消費電力Cステートといった技術を活用することで、消費電力管理機能も大幅に強化されているという。具体的には、32ナノメートルプロセスで製造されるのSaltwell(開発コード名)世代のAtomと比較して、ピーク性能で最大3倍、同一性能であれば消費電力を5分の1に削減できる。また、同社は競合するSoCとの比較も公開しており、デュアルコアのSilvermontとクアッドコアの競合SoCを比較しても、性能で1.4倍〜2.1倍ほど高い半面、消費電力が低いとアピールしている。

og_silbermont_001.jpgog_silbermont_002.jpgデータセンターから組み込みまで幅広いセグメントをターゲットにしている。マイクロサーバでは「Avoton」、ネットワーク機器向けの「Rangeley」、タブレット向けの「Bay Trail」、スマートフォン向けの「Merrifield」(いずれも開発コード名)が2103年内に投入される

og_silbermont_003.jpgog_silbermont_004.jpgSilvermontの特徴。アウトオブオーダー方式の実行エンジンやマルチコア設計、電力管理機能の強化などにより、ピーク性能で3倍、同一性能なら消費電力を5分の1に削減できるという。2つのコアと1Mバイトの2次キャッシュでモジュール化され、投入する市場にあわせて最大4つ(8コア)のモジュールを組み合わせられる

og_silbermont_005.jpgog_silbermont_006.jpgSaltwell(32ナノ)世代のAtomと比較すると、Silvermontのピーク性能はシングルスレッドで2倍、マルチスレッド2.8倍まで向上するが、消費電力は圧倒的に低い。また、競合他社のクアッドコアSoCとデュアルコアのSilvermontを比較しても、性能と消費電力の両面でSilvermontが有利だという

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薄型ボディとタッチ液晶にこだわる新ホームノートPC――「VAIO Fit」実力診断(前編)

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ソニーの新しい家庭向け主力ノートPC「VAIO Fit」とは?

 “Duo”と“Tap”に続く新世代VAIOは“Tap”——。

 ソニーは2013年夏モデルから新しいホームノートPCブランド「VAIO Fit」を投入する。5月18日から順次発売する予定だ。

tm_1305fit_r_01.jpgソニーの新しいホームノートPC「VAIO Fit 15」と「VAIO Fit 14」。既存の大画面VAIOノートを置き換えるモデルで、VAIO Fitの発売に伴い、14型以上の「VAIO E」「VAIO T」「VAIO S」は販売終了となる(13.3型以下は継続販売)

 VAIOはしばらくの間、「VAIO Z」をはじめとして「VAIO+英語1文字」のシリーズ名を続けてきたが、2012年PC秋冬モデルで現れた「VAIO Duo 11」と「VAIO Tap 20」は「VAIO+英語3文字」という新しい命名ルールを採用して話題となった。これは「1文字より3文字のほうが製品イメージを伝えやすい」という理由によるものだ。VAIO Fitはこの新しい命名ルールに従った3番目の製品となる。

 そのラインアップは、上位に15.5型の「VAIO Fit 15」と14型の「VAIO Fit 14」、下位に15.5型の「VAIO Fit 15E」と14型の「VAIO Fit 14E」を用意。上位を「プレミアムホームノートPC」、下位を「スタンダードホームノートPC」と位置付けており、両者はスペックだけでなくボディのデザインも異なる。

 特に上位のVAIO Fit 15/14は、全モデルにタッチパネル付きの液晶ディスプレイを搭載していながら、超低電圧の第3世代Coreプロセッサー(開発コード名:Ivy Bridge)を用いることで、Ultrabook並のスリムなボディを実現しているのが特長だ。

 店頭販売向けの標準仕様は、画面サイズとスペックが異なる3モデル(3つのカラーバリエーションを含めると全9モデル)から選べるが、ここでは15.5型の最上位機「VAIO Fit 15(SVF15A18CJP)」に加えて、ソニーストアで購入できる直販のVAIOオーナーメードモデルから14型の「VAIO Fit 14(SVF14A1A1J)」も入手した。

 2台合わせて、性能や使い勝手を検証していこう。

tm_1305fit_r_02.jpgtm_1305fit_r_03.jpg15.5型の「VAIO Fit 15(SVF15A18CJP)」(写真=左)と、14型の「VAIO Fit 14(SVF14A1A1J)」(写真=右)をまとめてチェックする

金属の質感を生かしたエレガントなスリムボディ

tm_1305fit_r_04.jpgVAIO Fit 15とVAIO Fit 14はシルバー、ブラック、ピンクの3色が用意されている

 まずはVAIO Fit 15から見ていこう。シルバー、ブラック、ピンクと3種類のカラーバリエーションが用意されており、今回入手したのはピンクのモデルだ。

 VAIO Duo 11とVAIO Tap 20は個性的なボディデザインを採用していたが、VAIO Fit 15はオーソドックスなクラムシェル型ノートPCに仕上がっている。シャープな造形の天板と丸みを帯びたベースボディを組み合わせたスリムなフォルムは、全体的に「VAIO S」に似た雰囲気だ。天板とパームレストにヘアライン加工のアルミニウムを採用することで、金属の質感を強調している。

 ピンクのカラーはローズ系に近い落ち着いたトーンだ。天板にはモールドし、ダイヤモンドカット加工を施したVAIOロゴがキラキラと光り、ひときわ目を引く。キーボードベゼルのやや淡いメタリックピンク、シルバーのキートップとのコントラストも絶妙で、女性受けがよさそうなイメージだ。

tm_1305fit_r_05.jpgtm_1305fit_r_06.jpg天面は継ぎ目のないヘアライン加工のアルミ板で構成されており美しい仕上がりだ(写真=左)。天面に彫り込んだVAIOのロゴは、文字のエッジがキラキラと光るダイヤモンドカットを採用している(写真=右)

tm_1305fit_r_07.jpgタッチパネル付きの15.5型フルHD液晶ディスプレイや光学ドライブを搭載しながら、ボディの厚さは22.5ミリに抑えた。インタフェース類も十分な内容だ

 ボディのサイズは379(幅)×255(奥行き)×22.5(高さ)ミリで、重量は約2.6キロだ。このサイズは、以前にレビューした「VAIO Tシリーズ15(SVT15119CS)」とほぼ同じ(高さが0.3ミリ低い)で、Ultrabookの薄さの要件(画面サイズ14型以上のタッチパネル搭載モデルは23ミリ以下)を満たしているが、このVAIO Fit 15はUltrabookに準拠した製品ではない。

 ソニーによれば、「薄さなどの条件は満たしているが、セキュリティに関する部分に相違がある。画面サイズが大きな14〜15型クラスでUltrabookといっても、あまり訴求力はないのではないか」とのことだ。Ultrabookとしての認定を受けることには、あえてこだわらなかったという。

 確かに、持ち運びを前提としたモバイル向けのPCではないので、「インテル アンチセフト・サービス」などの重要性は低いだろう。また、いかにスリムであろうと2キロを超える14型や15.5型の製品ではUltrabookとしてアピールする意味があまりない、という点も同感だ。

 薄型だが、光学ドライブをはじめ、2基のUSB 3.0と1基のUSB 2.0、有線LAN、HDMI出力、SDメモリーカードスロットと、ホームノートPCとしての使い勝手を損なわないだけのインタフェースはしっかりと備えている。

tm_1305fit_r_08.jpg内蔵のリチウムイオンバッテリーは取り外せない構造だ。超低電圧版のCPUを採用するため、ACアダプタはモバイルノートPC並に小さくて軽い

 内蔵のリチウムイオンバッテリーは容量が約44.4ワットアワー(CPUID HWMonitor表示)で、公称のバッテリー駆動時間は約5時間となっている。

 本体に付属するACアダプタは出力仕様が約45ワット(19.5ボルト/2.3アンペア)で、薄型軽量モバイルノートPCのACアダプタ並に小さく軽い。実測でのサイズは37(幅)×93(奥行き)×27(高さ)ミリ、電源ケーブル込みの重量は194グラム(電源ケーブルなしで150グラム)だった。

 なお、バッテリーはユーザーが着脱できる構造にはなっていない。同様にメモリやストレージにアクセスできるような小さなカバーも用意されていない。この辺りはメンテナンス性よりもデザインや薄型化を優先した仕様だ。UltrabookやモバイルノートPCのトレンドを踏襲している。

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原因は機械部品の「不適切な材質」、異常な摩耗が風車の破損事故を招く

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 およそ1か月前に三重県で発生した大型風車の破損・落下事故に関して、事業者のシーテックが原因の調査結果を発表した。それによると、強風時に風車の羽根の角度を変えて運転を停止するための機械部品の一部に材質の問題があったことが判明した。シーテックは「不適切な材質で製造されていた」と指摘し、メーカーの日本製鋼所も認めた。事故機と同じ型の部品を搭載した風力発電機に対しては早急に交換を実施する。

 事故の状況を簡単に振り返っておくと、三重県の津市にある風力発電所「ウインドパーク笠取」の19基ある大型風車のうち最も東側に建てられた19号機で、4月7日(日)の夕方16時37分〜16時55分の間に風車部分が丸ごと地上に落下した(図1)。現地では前日から低気圧の影響により風速20メートル/秒を超える強風が吹いていて、事故が起こる2時間ほど前には発電を自動的に停止する25メートル/秒に達していた。

ceatec2.jpg図1 「ウインドパーク笠取」19号機の破損したタワー(左)と落下した風車(右)。出典:シーテック

 風力発電設備は大きく分けて3つの構成要素で作られている。羽根の部分は「ブレード」と呼ばれ、その軸に「発電機」を接続し、さらに後部には電力を変換する装置などを収容した「ナセル」がある(図2)。今回の事故原因になった機械部品は、ブレードの中にあって羽根の角度を変えるために使われる。

ceatec1.jpg図2 風力発電設備の構成要素。出典:シーテック

 風力発電には通常5メートル/秒以上の平均風速が必要だが、風が強すぎると風車が回転し過ぎて事故の原因になるため、限度を超えると自動的に停止するように設計されている。ウインドパーク笠取の場合は25メートル/秒で自動停止するようになっていた。

ceatec3.jpg図3 運転時と停止時のブレード(グレーの部分)の角度。真横から見た状態。出典:シーテック

 この停止状態は風車の角度を変えることで実現する。運転時には羽根の角度を風の方向に垂直にすることで回転させているが、角度を水平にすると風が吹いても受け流して風車は回転しない。この状態を「フェザリング」と呼ぶ(図3)。当日は事故が起こる4時間ほど前に電気系統の故障もあって、3枚のブレードともに水平状態の角度になっていたことが運転記録で確認されている。

 さらに16時少し前には瞬間風速が40メートル/秒を超えたことから、ブレードを風下側に移動させる「ストームモード」への移行が自動的に始まった。発電設備全体をタワーを軸にして180度回転させることにより、ブレードが強風を受けても安定した状態を維持することができる(図4)。

ceatec5.jpg図4 平常時(左)と強風時のストームモード(右)における風車の位置。上空から見た状態。出典:シーテック

 ところがストームモードへの移行中にブレードの1枚の角度が変わって、風車が回転を始めてしまった。その後に残る2枚のブレードの角度も変化して、3枚すべてが強い風を受けて過剰な回転が始まる。事故の直前には回転数が通常時の最大値(定格回転数)の3倍を記録し、破損・落下につながったと推定されている。

 問題は、なぜストームモードへの移行中にブレードの角度が変化してしまったかである。シーテックの調査結果では、ブレードの角度を制御する「ピッチモーター」の中のブレーキを構成する部品に摩耗が見つかった。この摩耗による粉がブレーキの保持力を低下させ、適正な角度を維持できなくなり、風を受ける角度に変わってしまった。

 風車が過剰に回転し始めて、ブレードが大きく変形してタワーに接触。その衝撃で風車をタワーに接合していたボルトが破壊されてしまい、ブレード・発電機・ナセルで構成する発電設備が丸ごと落下した(図5)。シーテックはシミュレーションによっても同様の現象を確認したという。

ceatec4.jpg図5 風車の中核部分の内部構造。出典:シーテック

 原因分析の中で注目すべきは、ピッチモーターのブレーキ部分を構成する「スプライン」と呼ぶ部品が「不適切な材質で製造された」と結論づけている点だ。ウインドパーク笠取に設置した19基の発電設備には日本製鋼所の同じ製品が使われている。同様の事故は残る18基でも起こる可能性があったわけだ。シーテックは18基のピッチモーターのブレーキ部分を早急に点検して、耐摩耗性の低いものがあれば交換する。

 この三重県の事故より約1か月前の3月12日には、京都府でも大型風車の落下事故が起きている。日本海に面した与謝郡伊根町にある「太鼓山風力発電所」で発生したもので、事業者は京都府文化環境部である。事故から1か月を経過しても公式な発表がなく、ようやく4月25日に事故の概況を公表し、原因を調査中であることを明らかにした。

 風車のメーカーはオランダのLagerwey社で、国内の販売はJFEグループが担当してきた。いまのところJFEグループからは事故に関する発表はない。同じメーカーの風車は国内でも数多く稼働中であり、迅速な原因究明と情報公開が求められる。

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「Windows Blue」の開発者向けパブリックプレビューは6月のBUILDで公開へ

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 米Microsoftは5月7日(現地時間)、Windows 8のアップデート(コードネーム:Windows Blue)の開発者向けパブリックプレビュー版を、6月26日から開催の開発者会議「BUILD 2013」でリリースすると発表した。

 Windows Blueについては同日、Windows部門CFO(最高財務責任者)兼COO(最高執行責任者)であるタミ・レラー氏が、正式版を年内にリリースすると語ったインタビューがMicrosoftの公式ブログで公開された

 パブリックプレビュー版については同社のWindows担当社長、ジュリー・ラーソン−グリーン氏が米Wired主催のカンファレンス「2013 WIRED Business Conference」で語った。

 BUILD 2013は6月26日〜28日にサンフランシスコのモスコーニ・センターで開催する。チケットは発売から24時間で完売した。

 build順番待ちリストにエントリーできる

 MicrosoftはまだWindows Blueの正式名称を発表していないが、「Windows 8.1」になるとみられている。

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OSSビジネスに挑むノーチラス・テクノロジーズ

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「田中克己の『ニッポンのIT企業』」 バックナンバー一覧


 「企業向けOSS(オープンソース・ソフトウェア)のビジネスを成功させる」。2011年10月に誕生した中小IT企業、ノーチラス・テクノロジーズの神林飛志社長はこう意気込み、大規模な基幹バッチ処理を可能にするOSS「Asakusa Framework」の普及活動に力を注いでいる。

中小企業にも使えるOSSに

 ノーチラスは基幹系向けミドルウェアの開発、販売を手掛けており、主な商品に流通業向けEDIソフトと「Asakusa Framework」がある。特に安定した収入を得られるEDIソフトは、同社の大きな収益源になっている。そこから得られた資金を、将来の成長の種となる商品の開発に振り向けており、その成果の1つがAsakusa Frameworkというわけだ。

 Asakusa Frameworkは、大規模なデータを分散処理、管理するHadoop上で、基幹バッチ処理を実行するもの。Hadoopの周辺機能を開発するIT企業が数多くある中で、ノーチラスは基幹バッチ処理に適する開発環境と実行環境、運用環境の開発に取り組んできた。「例えば5時間かかっていたバッチ処理が20分になる。しかも、クラウドでも実行できる」。神林社長はAsakusa Frameworkの特長をこう説明する。

 ユーザー数は2013年3月末時点で20社近くになる。アンデルセンサービスが原価計算、西鉄ストアが会計、九州電力が社内文書などに、それぞれAsakusa Frameworkを利用している。クラウドサービス「Amazon Web Services」でも稼働するなど、関心を持つユーザーは増えており、「講習会はいつも満杯になる」(神林社長)。日立ソリューションズや東芝ソリューション、新日鉄住金ソリューションズなど数社のIT企業も、システム構築案件の中に採用している。

 現在、ノーチラスはAsakusa Frameworkの機能強化を進めている。「ユーザーが直観的に使えるようにする」(神林社長)。中堅・中小企業のIT担当者にも簡単に使えるようにするためだ。多くの機能を盛り込んだソフトには、あるユーザーにとっては不要な機能がたくさんある。そんな機能を削ぎ落し、シンプルなものする。しかもクラウドを活用すれば、ハードなどIT設備を購入しなくても、安価に大規模なバッチ処理の環境を作れる。「そんなユーザー寄りの道具を揃える」(同)。

ライセンス販売の限界

 日本市場でもこうしたOSSが増え続けている。適用領域もWeb系からエンタープライズ系へと広がっており、例えば、商用からOSSのデータベースに切り替える企業は少なくない。IT部門が購入するプロダクトの投資効果を精査し始めていることもある。だが、国産OSSは意外に少ない。最大の理由は「商売にならないからだろう」(神林社長)。

 ノーチラスがOSSに商機を見出したのには、EDIソフトというストックビジネスを持っていた以外の理由がある。「商用ライセンス販売がクラウドの台頭で頭打ちになる」との予見だ。兆候は、ASPサービスの立ち上がった約10年前からあった。「ASPがクラウドになり、ソフト会社は身動きをとれなくなっている」(神林社長)。ライセンス販売の次のビジネスモデルを作らなければ、生き残れない時代になるということ。

 だが、多くのソフト会社はクラウド対応に躊躇する。クラウド版を出しても、明確な料金体系を用意しない。ライセンス販売を可能な限り持続させたいからだろう。つまり、その場しのぎの対応策になっているのだ。そこにOSSが普及し始めたら、ライセンス販売はますます難しい状況に追い込まれるだろう。

 神林社長は「(OSS専業の)レッドハットのようなビジネスモデルにする」という。基幹業務に使える業界標準のOSSに仕立てて、保守サポートなどから収益を稼ぐというものだろう。そのため、情報の発信や多くの技術者との交流を活発に行うなどし、より多くの企業や技術者が支援するOSSに育てようとしている。コミュニティーからの評価が高くなければ、OSSは成功しないからだ。

 社員約15人のノーチラスは、プロダクトとサービスの開発に投資を集中させている。実際の収入は、プロダクトのサポートと導入支援になるが、最近はクラウドの設計依頼も増えている。「どうクラウド化すればいいのか」とIT部門から相談があったら、アドバイスするとともにAsakusa Frameworkの採用を働きかける。加えて、ユーザーの声を直接聞くため、3人の営業を配置するなど直販にこだわる。「下請けは決してしない」(神林社長)。


一期一会

 神林社長は1970年生まれの43歳。公認会計士の資格を持っており、外資系会計事務所に入った。その後、父親が経営する流通会社のCIO(最高情報責任者)を務め、2000年にITコンサルティング会社、ウルシステムズの取締役に就いた。2011年10月にノーチラスの誕生とともに副社長になり、2012年4月に社長に就任した。

 ノーチラスは複雑な成り立ちに思える。2011年5月、ウルシステムズとイーシー・ワンが経営統合を発表し、イーシーのSI事業をウルシステムズに統合する一方、ウルシステムズのHadoop関連部門とEDIをイーシーに移管し、社名をノーチラスに変更した。ところが、イーシーの経営者らが去ってしまったことで、Hadoop関連事業を担当していた神林氏が社長に就いた。

 実は、神林社長は経営統合の話が出る前にスピンアウトを考えていた。エンタープライズ向けOSSにチャレンジしたかったからだ。大手IT企業は組織の肥大化、複雑化で、新しい領域の商品開発に出遅れている。特に、「OSSは、どう儲けるのか」と経営者から明確な回答を求められる。稟議書の作成などに時間がかかり、経営判断も遅れる。決断力と行動力のある中小IT企業に、チャンスがあるということだ。

「田中克己の『ニッポンのIT企業』」 連載の過去記事はこちらをチェック!


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標的型サイバー攻撃を教訓にした認証機能の可能性

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 EMCジャパン RSA事業本部は、認証製品の最新版「RSA Authentication Manager 8」で、「リスクベース認証」機能の提供を発表した。モバイルデバイスやBYOD(私物端末の業務利用)といったユーザー環境の変化への対応、また、標的型サイバー攻撃への対策がその狙いだという。

rsa0001.jpg米EMCのジェフ・カーペンター氏

 リスクベース認証は、固定パスワードや別の認証手段を組み合わせる「多要素認証」の一つで、ログインを要求するユーザーの環境からその真正性を確認する。米EMC RSA事業部門でシニアプロダクトマーケティングマネジャーを務めるジェフ・カーペンター氏によると、同製品のリスクベース認証では主に(1)ユーザーのデバイス、(2)ユーザーの行動、(3)ネットワーク情報、(4)トークン情報——といった観点から「リスクスコア」を算出する。リスクスコアがしきい値を超えた場合に追加認証を行うことで、正規ユーザーであるかをチェックしていく。

 これまでリスクベース認証は、オンライバンキングやeコマースサイト、ソーシャルネットーワークといったコンシューマー向けのオンラインサービスを中心に利用されてきた。例えば、FacebookやGoogleでは普段とは異なる場所からログインすると、すぐに登録済みのメールアドレスへログインが正しいユーザーによるものであるかを確認するメールが送信される。

 コンシューマー向けのオンラインサービスでは正規ユーザーの認証情報が第三者に悪用され、迷惑メールやマルウェアの配布などに使われる問題が多発していた。膨大な数のユーザー規模と多種多様なアクセス環境に提供できる認証方法として、サービス提供企業がリスクベース認証を採用するケースが増えているという。

 多要素認証は、固定パスワードに比べてセキュリティレベルを大幅に高められるが、コストや複雑さ、不便さといった点で企業の社内利用では普及があまり進んでいない。カーペンター氏によれば、企業が多要素認証を適用している従業員の割合は平均で2割ほど。残りの約8割は固定のIDとパスワードによる認証しか利用していない現状があるという。

 EMCはコンシューマーサービスを提供する企業向けに「Adaptive Authentication」というリスクベース認証に対応した製品を販売しているが、今回の製品はリスクベース認証を企業の社内認証に利用できるようにするものとなる。Authentication Managerではリモートアクセスなどのワンタイムパスワード認証などの利用が多く、「リスクベース認証にも対応することで、ユーザー企業では多要素認証の適用先を広げる、あるいは、セキュリティレベルをさらに引き上げることが可能になる」とカーペンター氏は説明する。

 その背景には、企業ではPCに加えてスマートフォンやタブレット端末など、業務に利用するデバイスが多様化していること、また、標的型サイバー攻撃での手口の巧妙化がある。デバイスの多様化ではBYODも含めて企業として一律的にデバイスを管理することが難しくなり、コンシューマー向けオンラインサービスの利用形態に似るようになってきた。標的型サイバー攻撃では犯罪者が正規ユーザーの認証情報を搾取し、正規ユーザーになりすまして機密情報にアクセスする。搾取される情報が正規のものであるだけに、その悪用を検知するのは難しい。

 標的型サイバー攻撃に関しては、2011年に同社の二要素認証製品「SecurID」に関する情報が盗まれたとする事件があった。カーペンター氏は、「事件の詳細は明らかにできないが、この出来事を教訓に堅牢な製品の開発に努力しており、その一例が今回のリスクベース認証になる」と話す。

 「標的型サイバー攻撃を完全に防ぐことは難しいが、対策を強化する手段としては有効だと考えている。製品開発では人間の行動心理に関する研究成果を反映しており、認証情報の悪用を防ぐさまざまな手立ても講じている」(カーペンター氏)

 リスクベース認証は、ユーザーの利用が広がれば広がるほど認証の精度や堅牢性が高まる特性もあるといい、同氏は多要素認証の一つとしての活用を呼び掛けている。

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先進性でiOSを上回るAndroid、しかし企業採用は?

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 韓国SamsungのGalaxy S IVやGalaxy Note IIなどのスマートフォンを眺めていると、Androidが提供するさまざまなエンタープライズ機能に驚かされる。ところが残念なことに、IT部門の意思決定者たちには、そのような気楽な見方はできない。なぜなら、それらのデバイスはAndroidエコシステムの一部分にすぎないからだ。IT部門は、AndroidとiOSを比較するに当たり、Androidの全体的な機能、セキュリティの先進性が、エンタープライズ環境においてiOSと十分競合するものかどうかを見極めなければならない。

 米Googleは2012年、Androidに2つのメジャーなアップデートを発表した。Ice Cream Sandwich(Android 4.0)とJelly Bean(Android 4.1、4.2)だ。どちらもタブレットとスマートフォン向けのルック&フィールを近づけることに成功した。また。2012年12月にはAndroid初のエンタープライズアプリストアがスタート。その他、Jelly Beanに追加された歓迎すべき機能には、次のようなものがある。

佳境に入った大規模IT刷新プロジェクトを率いるリーダーの心得とは?

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注:本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 2013年4月17日号」(PDF:無償ダウンロード提供中)に掲載されている記事の抄訳版です。

 英公益信託団体のWellcome Trust(ウェルカムトラスト)は2013年、5年にわたるIT計画の2年目を迎えた。IT部門を統括するマーク・ブラムウェル氏は、Wellcome Trustに入職以来最大のプロジェクトの陣頭指揮を執る準備を進めている。

 Wellcome Trustは、139億ポンドの資産を有する、世界有数の医学研究支援公益団体だ。付属図書館(Wellcome Library)のデジタル資料が増大したことや、より機能的なコアシステムやユーザー機能の強化が必要になるなどさまざまな要因から、ITの刷新を迫られた。現在、IT部門は重要なプロジェクトを並行して急ピッチで進めている。

 2012年は、新しいネットワークの導入や障害復旧サービスの移転など、ITの基礎部分が整備された。その次の12〜18カ月はコアインフラストラクチャを入れ替えることになる。

 「2012年の仕事は、Welcome Trustのスタッフからはほとんど認識できないものだった。2013年は、新しいデスクトップPC、新しいノートPC、今よりもスマートな業務プロセスなど、目に見えてメリットが分かることをしていく。どの年も重要だが、2013年は特に重要だ。どのプロジェクトも職員全員が認識できるものだからだ」とブラムウェル氏は語る。

ストレージのアップグレード

 最も大掛かりで、最初に取り組むプロジェクトは、ストレージ環境の入れ替えだ。Wellcome Trustのデータ量は、付属図書館のデジタル化計画の影響もあり、爆発的に増えている。この計画では8万冊の書籍、2万点の医学関係のエフェメラ(訳注:一時使用を目的とした1枚だけの印刷物)、手稿(マニュスクリプト)、画像、その他医学の歴史や進歩に関する膨大な数の資料をスキャナで読み取り、デジタル化する。

 これまでに150万点の資料がデジタル化され、データは既に2Pバイトに達している。今後数カ月でさらに増大する見込みであるため、新しいストレージシステムへの移行は急務だ。

 そこで、Wellcome TrustはOracleとの5年間にわたる契約を終了して、古いストレージシステムを置き換えることにした。新システムの競争入札を実施し、これにはDell、HP、EMC、NetApp、そして現行のOracleなど、ほとんどの大手ベンダーが参加している。

 「最大の目標は、ストレージを3カ所に用意して、業務継続性を確保できるソリューションを構築することだ。3カ所のサイト間で同期または非同期にデータをレプリケートするシステムを導入する予定だ」(ブラムウェル氏)

 5月初めに導入が完了する新しいストレージシステムは完全に物理的なシステムだが、増え続ける図書館データを考え、IaaS(Infrastructure as a Service)の利用も選択肢の1つとして検討されている。

 「Pバイト単位で増えていくデータをWellcome Trust自体のデータセンターで維持・管理するのは避けたい」(ブラムウェル氏)という理由からだ。

 Wellcome Trustは現在、データソースを共有する3つのデータセンターを運用している。業務時間中はブラムウェル氏のチームが管理し、業務時間外は英Selection Servicesに監視とオペレーションを委託している。

 ブラムウェル氏によると、最近、入職以来進めてきた仮想化計画の成果が出てきたという。3年前までWellcome Trustには300台の物理サーバがあったが、現在は約480台の仮想マシンと50台の物理サーバ、これらの物理サーバ上で実行される1400のデータベースが運用されている。

ユーザーエクスペリエンスの変更

 2013年、Wellcome Trustのユーザーは、日常的に使用するテクノロジーの変化を実感することになるだろう。Windows 7へのアップグレード、約1100台のデスクトップPC、250台のノートPC、80台のAppleコンピュータの入れ替え、新しいOSへの275種類のアプリケーションの移行が、4月に完了する予定だ。

 Wellcome Trustでは、2011年にクラウドを導入している。2種類のレガシーITサービス管理システム(ITSM)をクラウドベースのITSMに移行し、60万ポンドの年間コスト削減とサービスレベルの向上を達成した。しかし、MicrosoftのOffice 365などのクラウド製品は、Wellcome Trustにとって費用的にも実用性の意味でもメリットが感じられないため、当面はOffice 2010が引き続き使われる予定だ。

 ブラムウェル氏は、「事業所が複数ある組織ではないので、(Office 365が提供する)インスタントメッセージなどの機能はWellcome Trustにとってあまりメリットはない。また、ここのITチームは非常にコンパクトなので、クラウド製品に替えたところで、現在のサポートと保守に掛かるコストを削減できるとは限らない。ただし、この方針は将来見直す可能性はある」とその理由を話す。

 Microsoftのクラウドソフトウェア製品を採用しない理由には、ストレージ容量が限られていることや、サポートするメールアカウント数の問題、BlackBerry Enterprise Serverと統合できないことも含まれる。

続きは「Computer Weekly日本語版 2013年4月17日号」(無料)にて

Computer Weekly日本語版 2013年4月17日号

ブラムウェル氏が理事会の理解を得て、「IT部門の増強」まで実現した秘訣とは? そしてIT部門はどうあるべきなのか? 続きは「Computer Weekly日本語版 2013年4月17日号」(PDF)をご利用ください。同PDFは、

■英情報通信庁の4G 周波数帯競売、その勝者と敗者

■セキュリティの未来はビッグデータ対応にあり

■MySQL→Hadoop 移行でビッグデータの威力を引き出すゲームサイトKing.com

■大規模IT 刷新プロジェクトを率いるリーダーの心得とは?

■中堅・中小企業のパブリッククラウド普及のヒント

■クラウドの“本当のお値段”

といった記事で構成されています。


アフィリエイト市場が拡大している――その要因は意外にもあの業界のお客さん

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インタビュー

仕事をしたら“けしからん奴”を見つけた:アフィリエイト市場が拡大している——その要因は意外にもあの業界のお客さん (1/7)

アフィリエイト市場が拡大している。ある調査会社によると、今後も拡大が見込まれるという。「アフィリエイト」と聞いても、なんだか古い印象があるのだが、なぜ好調が続いているのか。日本で初めてサービスを提供した「バリューコマース」の担当者に話を聞いた。

[土肥義則,Business Media 誠]

 気になる数字を見つけた。それは「アフィリエイト市場が伸びていて、今後も拡大していくのでは」というものだ。

 下の棒グラフを見ていただきたい。矢野経済研究所が発表した「アフィリエイト市場」レポートによると、2012年度の市場規模は前年度比112.6%の1276億9000万円。その後も年平均10.0%で成長し、2015年度には1659億円に拡大すると予測している。

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 「アフィリエイト」と聞いて、「なんだか古いなあ。ブログが登場したときに、流行ったやつでしょう?」と感じる人もいるだろう。記者もそのひとりなのだが、なぜ市場は拡大しているのか。その謎を解くために、日本で初めてアフィリエイトサービスを開始したバリューコマースの木村康夫さん(経営戦略部)に話を聞いた。


 木村さんの話を紹介する前に、アフィリエイトの仕組みについて簡単に説明しておこう。

 まず、広告主の広告をWebサイトの運営者が掲載する。そしてWebサイト運営者のページから売り上げがあると、報酬として売り上げの一部が支払われるというもの。

 例えばA社が自社商品を掲載する際に「お願いがあるのです。あなたのWebサイトに弊社の商品を紹介していただけないでしょうか?」と各サイトに打診していては、莫大な経費がかかってしまう。そこで登場するのが、広告代理店ともいえる「アフィリエイト・サービス・プロバイダー(ASP)」なのだ。

 ASPとは、広告を出稿したいクライアントと、広告を掲載したいWebサイト運営者との“橋渡し”のような存在。広告を掲載してくれる運営者集めから、報酬発生時の支払いなどをこなして、アフィリエイトサービスを提供しているのだ。

 EC(電子商取引)の“黒子”ともいえるASPが、なぜ成長を続けているのか。その理由は、意外にも「縮小しつつある業界」が絡んでいたのだ。

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ついにAPS-Cセンサーを搭載した高級コンパクト――リコー「GR」

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高品位なマグネシウム合金ボディ

 ペンタックスリコーから、APS-Cサイズの大型センサーを搭載した高級コンパクトデジカメ「GR」が登場した。2011年に発売された「GR DIGITAL IV」の後継機にあたり、基本デザインと操作系を受け継ぎながら、ファン待望となる撮像素子の大型化を実現している。同社よりβ機をお借りしたので、インプレッションをお届けしたい。

photoペンタックスリコー「GR」(β機)

 実機を手にしてまず感心したのは、外観の印象がこれまでのGRシリーズとほぼ同じであること。マグネシウム合金外装の硬質な手触りや、部材がぎっしりと詰め込まれたような凝縮感、指になじむラバーグリップのフィット感などは、これまでのGRシリーズから継承したもの。サイズはわずかに大きくなった印象はあるが、それでも、手の中に隠れるくらい小さくて軽く、胸ポケットにもすんなりと収まる。GRユーザーを安心させる、いつものGRがここにある。

 具体的に言うと、ボディサイズは117(幅)×61(高さ)×34.7(奥行き)ミリで、使用時重量は約245グラム。前モデル「GR DIGITAL IV」に比べると、幅は8.4ミリ、高さは1.2ミリ、奥行きは2.2ミリそれぞれアップし、重量は26グラム増えている。やや大きく重くなったが、センサーサイズを考慮すれば十分に小型軽量だ。ちなみに、このボディサイズは1996年に発売されたフィルムのコンパクトカメラ「GR1」と同じである。

 実は、初代の「GR DIGITAL」が発売された2005年ごろからすでに、APS-Cサイズなどの大型センサーの搭載を期待するユーザーの声はあった。だが、「大型センサーを載せるとレンズやボディが大きくなり、GRではなくなってしまう」というのが、その当時、開発者を取材した際の回答だった。あれから約7年半。小型ボディのままで大型センサーを搭載する技術がいよいよ成熟した、ということになる。

photo新しいボタンを搭載しているが、基本的な操作系は継承する
photoガイドナンバー5.4のポップアップ式フラッシュを内蔵する

photo35ミリ換算で28ミリ相当の焦点距離を持つ「GR LENS」を搭載
photo電源はリチウムイオン充電池で、USB充電に対応。CIPA規格による撮影可能枚数は約290枚となる

スナップ用に使いやすい28ミリ相当の単焦点レンズ

 ボディ天面の電源ボタンを押すと、沈胴式のレンズが約13ミリせり出して、約1秒で撮影スタンバイの状態になる。レンズには、35ミリ換算で28ミリ相当の単焦点レンズを搭載する。初代モデルから受け継がれた換算焦点距離であり、スナップショット用に使いやすい画角だ。28ミリ相当に慣れている人の中には、ファインダーを見る前からおおよその構図が予測でき、被写体との距離感がつかみやすいと感じる人もいるだろう。

photo新しいボタンを搭載しているが、基本的な操作系は継承する
photoガイドナンバー5.4のポップアップ式フラッシュを内蔵する

photo35ミリ換算で28ミリ相当の焦点距離を持つ「GR LENS」を搭載
photo電源はリチウムイオン充電池で、USB充電に対応。CIPA規格による撮影可能枚数は約290枚となる

 新機能「35mmクロップモード」を使った場合は、画像の上下左右をカットして35ミリ相当の画角で撮影が行える。また、オプションのワイドコンバージョンレンズを装着し、21ミリ相当の超広角撮影を楽しむことも可能だ。

 レンズの開放値はF2.8で、残念ながら手ブレ補正には非対応となる。開放値F1.9で、センサーシフト式の手ブレ補正を搭載したGR DIGITAL IVに比べると少々スペックダウンした部分である。センサーサイズの大型化によって高感度性能を大きく向上しているので、手ブレや被写体ブレが不安なシーンでは、ISO感度を上げて撮影するといいだろう。

photoシャッターを一気に押し込むと、AFを行わず設定した距離で素早く撮影できる「フルプレス スナップ」機能

 AFには、コンパクトデジカメで一般的なコントラスト検出方式を採用。CIPA規格でのAF速度は約0.2秒。大きなストレスを感じることなくピントが合う。AFのタイムラグを避けたい場合は、GRシリーズでおなじみの「フルプレススナップ」機能が役立つ。これはシャッターボタンを半押しせずに一気に押し込んだ際、事前に設定したフォーカス位置で素早く撮影できる機能だ。

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想像以上の実力!──快速・最強構成「LaVie G タイプL フルHDモデル」のギャップに驚く

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フルHD液晶+16Gバイトメモリの構成も選べる、プレミアムな大画面ノートPC

photoほぼ最強構成の「LaVie G タイプL」。“フルHDディスプレイ”は現在Webモデルのみ選択可能。2013年5月27日15時まで、Windows 8 Proプリインストールが3150円オフとなるキャンペーンも行われている

 「LaVie L」は、15.6型ワイドの液晶ディスプレイを採用する高性能+大画面なNECのフラグシップノートPCシリーズだ。

 2013年春モデルでは1モデル(LL750/LS)のみラインナップする、標準の“店頭モデル”は普通……いや、売れ筋構成のスタンダードな仕様なのだが、NECの直販サイト「NEC Direct」でオーダーできるWebオリジナルモデル「LaVie G タイプL フルHDモデル」は、フルHD液晶、クアッドコアCPU、16Gバイトの大容量メモリ搭載といった、ツウ好みのハイスペックな構成が選べる。最近は軽量なUltrabookや携帯性に優れるタブレット、あるいはどちらのスタイルも選べるハイブリッドスタイルのモデルが話題だが、じっくり作成するクリエイティブ業務にはもっと高性能マシンという人は多いだろう。今回はほぼ最強構成のLaVie G タイプL(フルHDモデル)を用い、改めて据え置き高性能ノートPCの性能と使い勝手を検証していこう。

 まずは外観から。15.6型だけにボディは少々大柄だが、ゴールドに輝く上品な天面パネルが実に印象的だ(評価機はクリスタルゴールド。このほか、クリスタルブラック、クリスタルレッド、クリスタルホワイトよりカラーバリエーションを選択できる)。ゴールドとブラックのツートーン、そしてワンポイント的に側面に入ったシルバーがより高級感を高めている。細かいドットパターンを入れたゴールドの天面、そして透明の光沢コートが施されたパームレストは、深みのある透明感があって光を美しく反射する。クリスタルゴールドというカラー名はまさにピッタリである。光沢はあるものの表面はツルツルで、ベトつかない触感も絶妙。意外と指紋や皮脂の汚れもつきにくく、目立ちにくい。


photophoto評価機のクリスタルゴールドは、天面の光沢ゴールドとブラックのツートーンがとても上品だ。近くで見ると細かいドットパターンが施してある
photoバッテリーは46ワットアワーで着脱可能。ACアダプタはそれなりに大きめで重量は約417グラムだ

 ボディサイズは、382(幅)×270(奥行き)×33.2(厚さ)ミリで、重量は約3.1キロだ。もちろんモバイル用途には向かないサイズ感だが、自室/書斎/オフィスで据え置くのが基本的な使い方になるだろう。それでもバッテリー動作時間は約4.7時間(CPUの選択によって変化)と、思ったより短くはなく、たまにリビングルームやダイニングルームへ持っていき、家族で旅行の写真や動画を楽しむ──といった用途にも十分利用できそうだし、万一停電などがあった際にもしばらく使い続けることができる点は心強い。バッテリー容量は46ワットアワー(14.4ボルト/3200mAh)で、着脱が可能になっている。

 付属のACアダプタは約58(幅)×133(奥行き)×32(高さ)ミリで、重量は約417グラム(いずれも実測値)だ。昨今のモバイルPCのそれと比べるとかなり大きいが、数年前の大画面ノートPCの水準からすれると、だいぶスマートになっている。出力仕様は約90ワット(19ボルト/4.74アンペア)である。

最高3.7GHzで動作する「パワフルなクアッドコアCPU」を選択可能

 主要パーツはBTOでカスタマイズオーダーできる。ここが店頭モデルにはない、NEC Direct/Webオリジナルモデルの大きな特長だ。基本システムはIvy Bridge/Chief Riverプラットフォームを採用している。昨今のUltrabookやモバイルPCのほとんどは薄型軽量ボディでも放熱しやすい超低電圧版のCPU(TDP 17ワット)を搭載するが、LaVie GタイプLは、より高性能な優れる通常電圧版CPU(TDP 35〜45ワット)を搭載している。こちらは「モバイル性能はさほど必要ない。それより絶対的なパフォーマンスを」と思うハイクラスな層に向く仕様だろう。

 CPUは、店頭モデルが搭載するクアッドコアのCore i7-3630QM(2.4GHz/最大3.4GHz)のほか、より高性能なCore i7-3740QM(2.7GHz/最大3.7GHz)を、あるいは若干低価格なデュアルコアのCore i5-3230M(2.6GHz/最大3.2GHz)を選択できる。

photophotoCPUは3種類から選択可能。評価機は中でも高性能なCore i7-3740QMを搭載する。4つのコアを内蔵するクアッドコアCPUで、Hyper-Threadingにより8スレッドの同時実行が可能。動作クロックはIntel Turbo Boost Technologyにより、最大3.7GHz(4コア動作時は3.5GHz)で動作する。ちなみにこの画面ではCore i7-3820QMと表示されているが、表示ミス(あるいはまだCore i7-3740QMの情報がデータベースにないため)と思われる

 今回の評価機は、本機で選べる最上位CPUとなるCore i7-3740QMをチョイスしている。こちらは4つのコアを内蔵するクアッドコアCPUで、Intel Hyper-Threading Technologyにより計8スレッドの同時実行が可能。動作クロックはIntel Turbo Boost Technologyにより、最大3.7GHz(4コア動作時は3.5GHz)で動作する。ノートPC向けながら、ハイクラスなデスクトップPC向けの主力CPUに匹敵するスペックであり、動画や写真の編集、CG制作、DTMなどの用途もサクサクと迅速にこなせるパフォーマンスを持っている。TDPは45ワットだ。

photoメモリはPC3-12800 SO-DIMMを採用しており、最大で16Gバイトを搭載できる。どの構成を選んでもデュアルチャンネルアクセスに対応し、メモリ帯域は25.6Gバイト/秒と高速だ

 グラフィックス機能は、CPU統合のIntel HD Graphics 4000を利用。チップセットにはIntel HM77 Expressを採用している。メモリはPC3-12800 SO-DIMMで、全2本のメモリソケットは底面のカバーからアクセスできる(評価機は8Gバイト×2の計16Gバイトを実装)。メモリ容量はBTOで選択可能で、4Gバイト、8Gバイト、そして16Gバイトの大容量な構成も選択できるのが非常にうれしい。いずれの容量でもデュアルチャネルアクセスに対応しており、メモリコントローラのフル性能を発揮できる。

 データストレージは2.5インチのSerial ATA対応HDDを採用する。容量は1Tバイト、あるいは750Gバイト、さらにIntel Smart Response Technologyを利用したハイブリッドストレージ構成(1Tバイト+SSD/750Gバイト+SSD)も選べる(ハイブリッドストレージはワイヤレスTVデジタル非選択時に選択可能)。


photo評価機では、Intel Smart Response Technologyを利用したハイブリッドストレージの構成を選択した。利用頻度の高いデータやプログラムをキャッシュ用SSD(32Gバイト)に格納しておき、SSDから読み出すことでレスポンスを高速化する

 Intel Smart Response Technologyは、約32GバイトのSSDをHDDのキャッシュとして利用することで、SSDに近いレスポンスが得られるようになる高速データ転送技術だ。HDDの大容量さと高レスポンスなSSDのよいところを比較的低コストで両立できる点が大きなメリットだ。

 通信機能は、1000BASE-T対応有線LANのほか、IEEEE802.11a/b/g/n対応の無線LANを標準装備しており、BTOではさらにBluetooth 4.0+HSも追加できる。本体装備のインタフェース類は、4基のUSB 3.0と1基のUSB 2.0のほか、マルチメモリカードスロット(SDXC/SDHC/メモリースティックPRO-HGデュオなどに対応)も備える。さらに、HDMI出力、アナログRGB出力(D-Sub15ピン)、ヘッドフォン出力、マイク入力と、さすがにフルサイズの高性能据え置き型ノートPCだけに充実した内容となっている。液晶ベゼル上部に有効92万画素のWebカメラとステレオマイクも内蔵している。

 最後にOSも、64ビット版Windows 8のほか、店頭モデルには用意されない64ビット版Windows 8 Proプリインストールを選択することが可能である。

photophoto本体前面(写真=左)、本体後面(写真=右)
photophoto本体左側面(写真=右)、本体右側面(写真=右)
photoディスプレイは180度まで倒せる

NEC Direct(NECダイレクト)
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NokiaのWindows Phoneを“激安”で──Microsoft、シェア獲得に本腰

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REUTERS

 米Microsoftのスマートフォン責任者はフィンランドNokiaの最新スマートフォン「Lumia 521」を低価格端末とは呼びたくないようだ。だがこの低価格スマートフォンの米国での発売はMicrosoftにとって、スマートフォン市場をリードするAppleや韓国Samsung Electronicsから市場シェアを一気に奪うためのこれまでにない思い切った一手となる。

 世界最大のソフトウェア企業であるMicrosoftはこれまで、主にNokiaや台湾HTCが製造する高価格なハイエンド端末へのWindows Phone OSの搭載に注力してきた。

 だが小売大手Walmartで今月発売されるLumia 521の価格は販売奨励金なしで150ドル以下と、長期契約の縛りがなく最新ソフトウェアを搭載する新しいスマートフォンの価格としては比較的安価だ。

 MicrosoftのWindows Phone部門の責任者を務めるテリー・マイヤーソン氏は先頃、シアトル近郊のMicrosoft本社で取材に応じ、次のように語った。「われわれには、メインストリーム市場に非常に高性能な端末を投入するチャンスがある。ここ数カ月間、われわれはそうした分野に取り組んできた。今後も国内ではこの市場を追求していく方針だ」

 Lumia 521は4月末にショッピングチャンネルの米Home Shopping Network(HSN)で発売され、既に完売している。この4Gスマートフォンは米国以外ではLumia 520として販売されているミッドレンジの端末で、4インチのタッチスクリーン、5メガピクセルのカメラ、高精細ディスプレイなど、いくつかハイエンドな特徴を備えている。

 このスマートフォンが今週Walmartにおいて、月額30ドルで無制限にデータ通信ができるT-Mobileのプランとともに、150ドル以下で発売される。長期的に見れば、多額の販売奨励金が組み込まれたiPhoneや、通常高額の長期契約が必要となるAndroidのハイエンド端末と比べて、はるかに安価だ。

 HSNでの発売当初からのLumia 521の人気は、Microsoftにとってささやかな後押しとなっている。同社は2007年に登場したAppleのiPhoneにスマートフォン市場における初期の優勢を奪われて以来、モバイル戦略で苦戦を続けている。

 MicrosoftはモバイルOSの刷新にも踏み切った。comScoreによれば、現在、同社のモバイルOSを搭載するスマートフォンは米国のスマートフォン市場で3.2%のシェアを占めている。一方、Appleのシェアは39%、GoogleのAndroid OSのシェアは52%だ。

 Nokiaは現在Windowsを搭載するスマートフォンだけを製造している。同社が2013年1〜3月期に販売したLumiaは560万台と、2012年10〜12月期より27%増加している。ただし、iPhoneの数千万台という販売台数と比べるとまだごくわずかだ。

 MicrosoftはWindowsスマートフォンの販売台数や売上の詳細を発表していないが、2013年1〜3月期にはスマートフォン関連の売上が2億5900万ドル増加したと発表している。これには、Microsoftが特許を所有しているいくつかの技術の使用に対し、Androidスマートフォンのメーカーから支払われるライセンス料が含まれている。

 Microsoftによれば、Windowsスマートフォンは米国よりも米国以外の市場で健闘しており、例えば、メキシコやポーランドでは20%、英国でも7%近いシェアを誇っているという。

 これは一部には、米国のスマートフォン小売市場を支配しているAT&TやVerizon Wirelessといった大手キャリアの影響力が海外ではそれほど強くないことによるものだ。

 「AT&TとVerizonは素晴らしい提携相手だ。だが市場の力学が異なる地域、携帯電話事業者の販売戦略が米国とは異なる地域においては、われわれもうまくやれている」とマイヤーソン氏は語る。

 AT&TやVerizonによる多額の販売奨励金は、長期のサービス契約と引き換えに提供されるものだ。このシステムのおかげで、米国ではユーザーはAppleやSamsungの最良のハードウェアを手に入れられる。同氏によれば、Windowsスマートフォンにも販売奨励金のシステムはあるが、Microsoftは米国市場のこの現状を打破するのに苦戦しているという。

 「SamsungやApple、AT&T、Verizonにとっては、販売奨励金は強力なビジネスモデルだ。こうした企業はこのビジネスモデルのおかげですべてを上手く機能させ、シェアを伸ばし、利益を伸ばすことができている。成功しているビジネスモデルの当事者であれば、それを手放そうとはしないはずだ」とマイヤーソン氏。

 こうした状況で戦うためには、Microsoftには価格以外の点でも差別化を図ることが求められる。

 マイヤーソン氏によれば、Windowsスマートフォンの「キラーハードウェア」を投入した後の次なるタスクは、MicrosoftのOffice製品とXbox製品を活用し、仕事用のツールとしてであれ、最新の玩具としてであれ、「本当に新しいスマートフォン体験」を提供することだという。

 「われわれはまだ能力を十分に発揮できたとは思っていない。OfficeとXboxという当社の主力製品を武器に、こうしたポケットサイズのモバイル端末で、仕事やエンターテインメントのユーザー体験を充実させたいと考えている。これから時間をかけてその点を発達させていきたい」と同氏。

 なお、マイヤーソン氏はMicrosoftが「Surface」タブレットに続き、自社ブランドのスマートフォンを開発中であるとの報道を一蹴し、次のように語っている。

 「Nokiaは素晴らしい仕事をしている。市場開拓に向けた当社の目下のエネルギーをNokiaはすべて受け止めてくれている」

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専用リモコンとクラウドで、「お父さん、帰りに牛乳買ってきて!」がスマートに

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どこでも買い物メモシステム

 2013年5月8〜10日まで開催中の「第16回 組込みシステム開発技術展(ESEC2013)」において、ユビキタスは、2012年12月に資本・業務提携を発表(関連記事1)した村田製作所との共同展示コーナーを設け、クラウド連携買い物メモ「どこでも買い物メモシステム」を参考展示した。

 冷蔵庫の中にある“在庫切れ”になった食材などを、専用リモコン(食材の名称がボタンに割り当てられている)でワンタッチで指定して、その情報をクラウドサービス上にアップロードし、手持ちのスマートフォンなどから閲覧することができる。


クラウド連携買い物メモ「どこでも買い物メモシステム」クラウド連携買い物メモ「どこでも買い物メモシステム」のデモ環境。冷蔵庫のドアに付いているオレンジ色のデバイスが専用リモコンだ

 “メモ”というだけあって、その操作は非常にシンプルだ。例えば、冷蔵庫の中にある牛乳が切れた場合、それに気がついた人が専用リモコンの[牛乳]ボタンを押す。その情報が宅内のAP(Access Point)経由でインターネット上のクラウドサービスに送られ、管理される。その情報を出先にいる別の家族が帰宅前にスマートフォンなどで閲覧し、在庫切れの食材を買って帰るといった具合だ。「メモを書いて渡したり、出先にいる家族の誰かに電話したり、メールしたりしなくても、在庫切れの情報を共有し、どこからでも確認できる」(説明員)。展示会場では、iOS向けの専用アプリでクラウドサービス上の情報を閲覧・操作してみせたが、Webブラウザ上で閲覧・操作できるようにすれば、デバイスの種類やアプリのインストールの有無などにかかわらず、家族全員で同じ買い物メモを見ることができる。

どこでも買い物メモシステム専用リモコンで入力した“在庫なし”の食材情報が、スマートフォン側のアプリに反映される

 「検討の初期段階では、冷蔵庫の中にあるものを全て管理しようと考えたが、女性社員からの意見を参考に『ないもの・なくなったものをすぐにメモできるもの』を目指して開発を進めてきた」(説明員)という。スマートフォンのアプリなどでもリモコン機能を実現できるが、「それだと、家事をしている濡れた(あるいは、油などが付いた)手でスマートフォンを触ることになる」(説明員)ため、専用リモコンで実現する案に行き着いたそうだ。

 専用リモコンには、STマイクロエレクトロニクスの32ビットアプリケーションプロセッサ(STM32F205 120MHz)とブロードコムのWi-Fiモジュール(BCM43362)を一体化した村田製作所製の「無線LAN Smartモジュール(LBWA1ZAYDZシリーズ)」を搭載。ユビキタスのソフトウェアプラットフォーム「Ubiquitous Network Framework」と、Wi-Fi Protected Access(WPA)サプリカントのソフトウェア「Ubiquitous WPA」を組み込んでいる。液晶ディスプレイなどは非搭載で、配置されているのはボタンのみ。電池で駆動する。なお、クラウド側の開発はユビキタスが担当しているとのことだ。

村田製作所製の「無線LAN Smartモジュール(LBWA1ZAYDZシリーズ)」村田製作所製の「無線LAN Smartモジュール(LBWA1ZAYDZシリーズ)」

 今後の可能性として、「例えば、在庫切れの食材データと、近所にあるスーパーマーケットの特売情報をひもづけて表示させるなど、他のWebサービスと連携させることも考えられる」(説明員)という。

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極薄ボディのスタミナは十分か?――「Xperia Tablet Z」

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←・Xperia Tablet Z マニアックス(2):密閉された極薄ボディは熱くならないのか?——「Xperia Tablet Z」

薄型軽量化はバッテリーに跳ね返ってくるものだが……

tm_1305xptz3_01.jpgソニーの10.1型Androidタブレット「Xperia Tablet Z」は、6.9〜7.2ミリ厚で約495グラムの超薄型軽量ボディに、容量6000ミリアンペアアワーのバッテリーを詰め込んでいる

 ソニーの“極薄”Androidタブレット「Xperia Tablet Z」をディープに検証する本特集。前回(第2回)は、薄型軽量で防水防塵のボディが動作時にどれくらい発熱するかを調べた。

 今回は薄型軽量ボディの採用により、発熱とともに気になるバッテリー駆動時間をテストする。今回も比較対象となる10型クラスのAndroidタブレットとして、前モデルの「Xperia Tablet S」(SGPT123JP/S)と、GoogleとSamsungが共同開発したハイスペックモデル「Nexus 10」の計測結果を併記した。これらの仕様は下表の通りだ。

tm_1304xptz2_04.jpgtm_1304xptz2_05.jpgtm_1304xptz2_06.jpg左からソニーの新モデル「Xperia Tablet Z」、前モデル「Xperia Tablet S」、そしてAndroidタブレットのフラッグシップ機に相当する「Nexus 10」
今回テストした10型クラスのAndroidタブレット
製品名Xperia Tablet Z Wi-Fi (SGP312JP/B)Xperia Tablet S (SGPT123JP/S)Nexus 10 (16Gバイトモデル)
メーカーソニーソニーGoogle (Samsung Electronics製)
OSAndroid 4.1.2Android 4.1.1Android 4.2.2
液晶ディスプレイ10.1型IPS9.4型IPS10.055型IPS ※PLS
画面解像度1920×1200ドット (約224ppi)1280×800ドット (約160ppi)2560×1600ドット (約300ppi)
SoCQualcomm Snapdragon S4 Pro APQ8064NVIDIA Tegra 3Samsung Electronics Exynos 5
CPUコアKrait (クアッドコア、1.5GHz)Cortex-A9 (クアッドコア+コンパニオンコア、1.3GHz)Cortex-A15 (デュアルコア、1.7GHz)
GPUコアAdreno 320ULP GeForce (12コア)Mali T604 MP4 (クアッドコア)
メモリ2Gバイト1Gバイト2Gバイト
ストレージ32Gバイト64Gバイト16Gバイト
通信機能IEEE802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0、NFCIEEE802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0IEEE802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0、NFC
カメラ220万画素(イン)、810万画素(アウト) ※いずれも「Exmor R for mobile」100万画素(イン)、800万画素(アウト) ※アウトのみ裏面照射型CMOS約190万画素(イン)、約500万画素(アウト)
搭載センサー類GPS、デジタルコンパス、照度、3軸加速度、ジャイロ、FMラジオGPS、デジタルコンパス、照度、3軸加速度、ジャイロGPS、デジタルコンパス、照度、加速度、ジャイロ、気圧計
カードスロットmicroSDXCカード(SDXC対応)SDメモリーカード(SDHC対応)
インタフェースMicro USB(MHL対応)×1、ヘッドフォン出力/マイク入力兼用×1、赤外線(リモコン用)マルチポート(HDMI出力、USBにオプション対応)×1、ヘッドフォン出力/マイク入力兼用×1、赤外線(リモコン用)Micro USB、Micro HDMI、ヘッドフォン出力
スピーカーステレオステレオステレオ
マイクモノラルモノラルモノラル
バッテリー容量6000ミリアンペアアワー6000ミリアンペアアワー9000ミリアンペアアワー
バッテリー駆動時間音楽再生時:約110時間、ビデオ再生時:約10時間、Wi-Fi Web閲覧時:約8.2時間スタンバイ時:約1050時間、ビデオ再生時:約12時間、Wi-Fi Web閲覧時:約10時間スタンバイ時:約500時間、ビデオ再生時:最大9時間、Wi-Fi Web閲覧時:最大7時間、音楽再生:最大90時間
バッテリー充電時間約6.5時間約5.5時間非公開
外形寸法(幅×高さ×厚さ)266×172×6.9〜7.2ミリ239.8×174.4×8.8〜11.85ミリ263.9×177.6×8.9ミリ
重量(公称値)約495グラム約570グラム約603グラム
重量(実測値)480グラム555グラム601グラム
防水/防塵防水(IPX5/7)、防塵(IPX5X)防滴(IPX4)

長時間バッテリー駆動のコツは輝度設定にあり

 ソニーによるXperia Tablet Z Wi-Fi(SGP312JP/B)の公称バッテリー駆動時間は、音楽再生時で約110時間、ビデオ再生時で約10時間、Wi-Fi Web閲覧時で約8.2時間だ。

 バッテリー容量は前モデルのXperia Tablet Sと同じ6000ミリアンペアアワーを確保しているが、液晶ディスプレイの大型化や高解像度化に伴い、公称のバッテリー駆動時間は少々短くなった。今回はバッテリー駆動時間を延ばすより、6.9〜7.2ミリの薄さ、約495グラムの重さという圧倒的な薄型軽量を最優先したモデルチェンジといえる。

 なお、Nexus 10は2560×1600ドットの高解像度液晶ディスプレイを搭載するため、消費電力では不利になるが、9000ミリアンペアアワーの大容量バッテリーを内蔵することで、長時間のバッテリー駆動に配慮している。

tm_1304xtziv1_26.jpgtm_1304xtziv1_27.jpgXperia Tablet Z(写真=左)とXperia Tablet S(写真=右)の内部構造。バッテリー容量はどちらも6000ミリアンペアアワーだ。Xperia Tablet Zは本体とともにバッテリーも薄型化され、そのぶん面積が広い3セルタイプとなった。Xperia Tablet Sの中央に配置されたバッテリーは2セルで構成されていた

 バッテリー動作時間のテストは、液晶ディスプレイの輝度を最大まで上げ、自動調光はオフ、Wi-Fi/GPSはオン、Bluetoothはオフ、音量は50%(ヘッドフォン出力)という条件で、「mVideo Player(開発者:afzkl氏)」を使い、MPEG-4 AVC/H.264(Baseline Profile)形式の1080p動画ファイルをリピート再生させて行った。

 ちなみに液晶ディスプレイを最大輝度まで上げた状態では、Xperia Tablet Sが目立って明るく、その次にNexus 10で、Xperia Tablet Zは一番暗かった。試しにカラーキャリブレーションセンサーの「i1 Display Pro」で計測した表面輝度は、Xperia Tablet Sが456カンデラ/平方メートル、Nexus 10が421カンデラ/平方メートル、Xperia Tablet Zが399カンデラ/平方メートルだ。最も暗いXperia Tablet Zでも約400カンデラ/平方メートルの高輝度表示なので、実際の見た目はかなり明るく見栄えがよい。

 さて、この条件でバッテリー満充電の状態からテストを開始し、自動的に電源が切れるまで、Xperia Tablet Zは約4時間18分動作した。より明るいNexus 10は5時間56分、Xperia Tablet Sは6時間6分というテスト結果だ。Xperia Tablet Zは10型クラスのAndroidタブレットとして抜群の薄さと軽さを実現した一方、やはりスタミナ面では少々不利という結果になった。

tm_1305xptz3_02.jpg輝度最大で1080pのHD動画を再生し続けた場合のバッテリー駆動時間

 もっとも、最大輝度でタブレットを使い続けるケースはまれだろう。試しに液晶ディスプレイの輝度を50%まで下げ(輝度の実測値は97カンデラ/平方メートル)、バッテリー満充電の状態から同じ動画を再生し続けたところ、9時間39分まで駆動時間を延長できた。明るくない室内では十分な輝度を保ちつつ、ビデオ再生時で約10時間という公称値に近い良好な結果だ。

 また、輝度50%の状態でPC USERのトップページを1分おきに自動でリロードし続けるという、無線LAN経由でのWebブラウズを想定したバッテリーテストも行ったところ、8時間56分と公称値の約8.2時間を上回る結果が得られた。このようにバックライト輝度などをうまく調整すれば、長時間のバッテリー駆動にも耐えうる

tm_1305xptz3_03.jpg輝度を50%まで下げ、HD動画再生やWebブラウズをし続けた場合のバッテリー駆動時間

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「ゲーム機」の枠組みを超えたい「Xbox One」──Apple、Googleもライバルに

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REUTERS

 米Microsoftは5月21日、8年ぶりとなる新型ゲーム機「Xbox One」を発表した。リビングルームにおける主導権を握るべく、独占コンテンツを多数取り揃え、これまでにない最強の布陣で戦いに挑むかまえだ。

 Xbox Oneは4年をかけて開発された。21日には、この新型ゲーム機の独占コンテンツとして、スティーブ・スピルバーグ監督がXboxのキラータイトル「Halo」を題材とした実写ドラマシリーズを手がけることも発表された。

 シアトル近郊のMicrosoft本社で開かれた発表イベントにおいて、同社ゲーム部門の責任者であるドン・マトリック氏は「世界発売は年内になる」と記者らに語った。発売時期と価格の詳細は明らかにされていない。

 さらにActivision Blizzardの大ヒットシリーズ「Call of Duty」の最新作も、まずはXbox Oneでダウンロードコンテンツが先行配信される予定という。

 最近はモバイル端末でゲームを試すユーザーが増えているが、Microsoftは同社の第3世代のゲーム機となるXbox Oneでゲームユーザーを引き付け、リビングルームにおけるエンターテインメントの中心的役割を担いたい考えだ。

 Xbox Oneはテレビと連係するほか、音声やジェスチャーでも操作でき、Skypeでのグループビデオ通話にも対応する。15本の独占ゲームタイトルのほか、Xbox Oneのみで視聴できるオリジナルのテレビ番組コンテンツも提供される。

 Xbox Oneは650億ドル規模のゲーム市場におけるシェア拡大を目指し、主に任天堂の最新ゲーム機「Wii U」やソニーが発売予定の次世代機「プレイステーション4(PS4)」を相手に戦うことになる。

 Forrester Researchのジェームズ・マキビー氏は、Microsoftがこの新製品を「ゲーム機」ではなく「エンターテインメントシステム」と呼んでいる点に言及し、Xboxを「メディアとエンターテインメントコンテンツの窓」として位置付けようというMicrosoftの新たな意気込みを示す変化だ、と指摘する。

 「Microsoftはゲームという枠組みから抜け出そうとしている。スマートTVやタブレット、スマートフォンの時代において、ホームエンターテインメントの中心的存在となるべく、Microsoftはソニーや任天堂だけでなく、AppleやGoogleなどの企業とも戦うかまえだ」と同氏。

 世界的に有名な映画監督兼プロデューサーであるスティーブ・スピルバーグ氏が、Xbox One向けにMicrosoftの大人気SFゲーム「Halo」をテレビシリーズ化することも発表された。Haloはゲーム市場でトップクラスの売上高を誇る人気ゲームシリーズの1つだ。

 Microsoft幹部によれば、さらにXbox Oneでは、全米プロフットボールリーグ(NFL)の独占コンテンツのほか、ゲームの新シリーズも8本提供される見通し。

 Reutersの取材に対し、Microsoftのインタラクティブエンターテインメントビジネス部門担当上級副社長を務めるユスフ・メディ氏は独占タイトルや独占コンテンツへの投資額の公表は断り、「かなり本気で取り組んだ」と述べるにとどめている。

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ビッグデータと攻撃者視点でセキュリティ対策を講じるべし――IBM

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 米IBMは今年1月、「IBM Security Intelligence with Big Data」という企業向けセキュリティ対策のコンセプトを発表した。情報システムから発生する多種・大量のログデータにビッグデータ分析を適用し、そこで得られた知見をセキュリティ対策の強化に役立てるというものだ。

ibmsecurity01.jpgIBMソフトウェア・グループ セキュリティー・システムズ ワールドワイド・アイデンティティー セキュリティー・コンプライアンス戦略ソリューション・セールス・マネージャー ジョー・スコシッチ氏

 同社ソフトウェア・グループ セキュリティー・システムズのジョー・スコシッチ氏は、「膨大なネットワーク接続デバイスが登場し、SNSなどでは膨大な量の情報が発信されている。仮想化やクラウドによってコンピューティングパワーのスケールアップしており、既に企業ではマーケティングなどでビッグデータの分析活用を始めている。これをセキュリティ対策にも適用すべきだ」と話す。

 その背景には企業を狙うサイバー攻撃の増加がある。IBMのセキュリティ研究機関「X-FORCE」の調査によれば、2012年は企業を狙うサイバー攻撃の発生が前年から40%増加した。その中では攻撃手法の特定が困難な事案が増えているという。

 「攻撃者は、複数の技術や手法を使う。例えば、SNSで標的に関する情報を収集して知人になりすまし、メールやSNSを通じてマルウェアに感染させる。感染に成功すると、システムの脆弱性を突いて感染先をさらに広げ、目的の情報を盗み出す。ここでは既存のセキュリティ製品に検知されないテクニックも多用している」(スコシッチ氏)

 同氏は、こうしたサイバー攻撃の対策では従来のように脅威の侵入を防ぐことだけに重要を置かず、攻撃者がどのような手口を使っているかを理解し、それに基づいて対策を講じていくアプローチも必要だと指摘する。そのコンセプトが「IBM Security Intelligence with Big Data」であり、具体的には、SIEM(セキュリティインシデント・イベント管理)基盤製品のQRadarとビッグデータ分析基盤のInfoSphere BigInsightsの連携によって実現するという。

ibmsecurity02.gif「Security Intelligence with Big Data」のための基盤

 「ログなど定型のデータソースとSNSなどの非定型のデータを取り込み、相関分析をすることによって、外部からサイバー攻撃や組織内部の不正行為などを検知できるようにする」と、スコシッチ氏。IBMでも同様の仕組みを自社で運用し、セキュリティ対策に役立てているという。

 システムの導入コストは最小構成なら約5万ドルからで、導入・展開に要する期間は平均で3週間という。これは参考値であり、実際はケースバイケースとのこと。スコシッチ氏は、「IBMが提供するからには、『導入支援などのサービスにコストが掛かるのではないか』と思うユーザーがいるかもしれない。われわれはそうしたサービスで稼ぎたいとは考えていない。つまり、導入・展開に手間がかかるシステムでは無いということだ」と強調する。

 ビッグデータの分析からセキュリティの脅威を可視化し、対策に反映するというアプローチは、これまでセキュリティベンダーがビジネスとして手掛けてきた。これをユーザー自身も行うというのは、スキルやノウハウ、人材の確保、また、セキュリティポリシーや対策の見直しといったあらゆる面でチャレンジになると言えそうだ。

 スコシッチ氏は、「分析のための多数のテンプレートをシステムに実装している。X-FORCEやマネージドセキュリティサービスでのノウハウや知見も提供し、ユーザー企業におけるビッグデータを活用したセキュリティ対策を支援したい」と話している。

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