スマートフォン/タブレットやオンラインストレージの普及によって、企業のBYOD(Bring Your Own Device:私物端末の業務利用)対応に注目が集まっているが、日本よりもBYOD文化が進んでいるという米国はどうなのだろうか。ソフトバンクBBは11月22日、米国のBYOD/BCP(事業継続対策)対策の調査結果を紹介するセミナーを開催した。
セミナーに登壇したスプラッシュトップ取締役副社長のジン・コウ氏は、冒頭で「アメリカでは約8割の人が仕事に自分のデバイスを使っており、約半分の会社がBYODでの仕事をサポートしている。今までビジネスパーソンがPCを使っていたのは生産性が高かったから。これからはスマートデバイスのほうが生産性が高まる」と述べた。米国は先進国の中でも企業のBYOD対応が進んでおり、シスコの調査によると約8割の会社が個人所有デバイスの利用に対応しているという。
生産性が高まる理由はさまざまだ。まずはオフィス外でも会社の情報にアクセスできることから、場所や時間の制約を受けずに仕事ができる点が挙げられる。「個々人にとってクリエイティブな場所で作業をすることで、生産性は大きく高まる」とジン氏。BYODを活用している人の約半数が帰宅後や週末などに業務を行っているという。
複数のデバイスが使えることも理由の1つだ。米国では75%のユーザーがモバイル機器(ノートPC、タブレット、スマートフォンなど)を仕事に活用しており、調査の結果、1人あたり2.8台のデバイスを持ち歩いていることが分かっている。
デバイスの中でも、今後成長が期待されるのは業務用のタブレットだ。アメリカにおける業務用タブレットの市場規模は2011年には1360万ドル/年だったが、2016年には9630万ドル/年と約7倍になるという試算があるが「その多くはリモートデスクトップなどを使った業務に活用される」(ジン氏)という。
BYODは生産性を求めるものだが、ジン氏は「普段使用している端末で社内のツールを使うことになるため、UI(ユーザーインタフェース)に注力しないと、使ってもらえない。IT部門の人が一般社員の立場でツールの使い勝手を判断できるかが重量だ」と述べた。
日本も業務用タブレットが普及する兆し
一方の日本はどういう状況なのだろうか。ソフトバンクBB コマース&サービス本部 モバイルクラウドビジネス統括部 マーケティング部 部長の北澤英之氏は「仮想化とXPサポート終了という2つの流れがある。IDCによれば2016年度にはビジネスPCの約半数が仮想化し、Windows XP搭載マシンもサポート終了までには1400万台(2012年11月時点)から350万台程度にまで減るとマイクロソフトは予想している」とする。
また、移行するOSについて聞いたところ約4割がWindows 8を検討しているとのことで、「今後はビジネス用タブレットを導入する企業が増えてくる」(北澤氏)という。今後はタブレットで使いやすいソフトが広く受け入れられるようになると北澤氏は強調した。
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